半期報告書-第137期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当中間連結会計期間における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、設備投資の増加や堅調な企業業績を背景に緩やかな回復基調で推移したものの、各地で頻発する自然災害や海外経済の動向と政策に関する不確実性、更に、10月の消費税率引上げ後の消費減退リスクなど景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような状況のもとで、当社グループの核となる運輸事業においては、国内外からの観光客誘致に向け積極的な営業活動や事業の効率化に努めてまいりました。
この結果、当中間連結会計期間の経営成績は、営業収益5,942,642千円(前年同期比0.1%減)、営業利益175,388千円(前年同期比10.2%減)、経常利益421,951千円(前年同期比8.3%減)、親会社株主に帰属する中間純利益340,307千円(前年同期比9.8%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
a. 運輸事業
鉄軌道事業では、「改元記念 鉄道・市内電車 全線2日フリーきっぷ」の発売や、「新黒部☆スきっぷ」の発売など、積極的な営業施策を展開し、自動車事業においては、「平成」→「令和」のりつぎきっぷの販売や2階建てオープントップバスで富山県の観光名所を周遊する企画商品の販売の他、高速バスや大型ノンステップバスの新車導入など利用者の利便性やサービス向上に努めましたが、長引く梅雨と台風の影響を受けた当中間連結会計期間の営業収益は3,991,703千円と前中間連結会計期間に比べ64,521千円(前年同期比1.5%減)の減収となりました。
(提出会社の運輸成績表)
(イ)鉄道事業
(注) 乗車効率の算出は延人粁/(客車走行粁×1車平均定員)によります。
(ロ)軌道事業
(注) 乗車効率の算出は延人粁/(客車走行粁×1車平均定員)によります。
(ハ)自動車事業
乗合自動車
(注) 乗車効率の算出は延人粁/(客車走行粁×1車平均定員)によります。
貸切自動車
(業種別営業収益)
b. 不動産事業
不動産賃貸業においては、積極的な営業展開をし、賃貸物件の稼働率向上に努めた結果、当中間連結会計期間の営業収益は、248,729千円と前中間連結会計期間に比べ2,436千円(前年同期比0.9%増)の増収となりました。
(業種別営業収益)
c. 建設事業
建設事業においては、大型受注工事が完成したため当中間連結会計期間の営業収益は、247,869千円と前中間連結会計期間に比べ122,562千円(前年同期比97.8%増)の増収となりました。
(業種別営業収益)
d. 保険代理事業
保険代理事業においては、積極的な営業展開をしたものの依然として厳しい環境にあり当中間連結会計期間の営業収益は、210,462千円と前中間連結会計期間に比べ2,851千円(前年同期比1.3%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
e. 航空輸送事業代理業
航空輸送事業代理業においては、ソウル便が激減したものの大連便、上海便の増便の影響とチャーター便の就航が増加した結果、当中間連結会計期間の営業収益は、433,341千円と前中間連結会計期間に比べ6,518千円(前年同期比1.5%増)の増収となりました。
(業種別営業収益)
f. ホテル業
ホテル業においては、充実した館内施設・サービスを積極的にアピールした結果、インターネットによる予約が好調に推移し、当中間連結会計期間の営業収益は、307,327千円と前中間連結会計期間に比べ12,004千円(前年同期比4.0%増)の増収となりました。
(業種別営業収益)
g. 自動車整備業
自動車整備業においては、受注拡大に努めたものの伸び悩み当中間連結会計期間の営業収益は、390,436千円と前中間連結会計期間に比べ46,836千円(前年同期比10.7%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
h. その他
その他においては、その他事業に含まれる旅行業では団体受注型企画旅行の取扱いが増加し、好調に推移しました。一方で、広告代理店業では企業の広告が大幅に減少し、娯楽・スポーツ業も競争が激化しており当中間連結会計期間の営業収益は、942,871千円と前中間連結会計期間に比べ4,714千円(前年同期比0.4%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
②キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フローのそれぞれが減少した結果、前中間連結会計期間末に比べ41,295千円減少し、当中間連結会計期間末には2,671,642千円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は785,739千円(前中間連結会計期間は810,815千円の資金を得ている)となりました。これは税金等調整前中間純利益が420,644千円と前中間連結会計期間に比べ9,195千円減少し、売上債権の増加額が116,723千円(前中間連結会計期間は191,033千円の減少額)、たな卸資産の増加額が298,127千円(前中間連結会計期間は210,283千円の増加額)、減損損失が前中間連結会計期間は30,821千円でしたが当中間連結会計期間は発生しなかった一方で、仕入債務の増加額が59,941千円(前中間連結会計期間は390,174千円の減少額)、未払消費税等の減少額が16,139千円(前中間連結会計期間は72,968千円の増加額)、法人税等の支払額が89,729千円(前中間連結会計期間は121,067千円の支払額)であったことが主な要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は105,048千円(前中間連結会計期間は110,203千円の使用)となりました。これは有形固定資産の取得による支出が428,678千円と前中間連結会計期間に比べ145,984千円減少し、工事負担金等受入による収入が319,490千円と前中間連結会計期間に比べ143,332千円減少したことが主な要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は489,453千円(前中間連結会計期間は839,726千円の使用)となりました。これは借入金の純減額が前中間連結会計期間に比べ327,558千円減少したことが主な要因であります。
③生産・受注及び販売の状況
当社グループの販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また受注販売形態をとらない品目も多く、セグメントに関連付けて記載することが困難であるので記載しておりません。そのため生産、受注及び販売状況については、「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「①財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントごとに経営成績に関連付けて示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの中間連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この中間連結財務諸表の作成に当たりましては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの中間連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 中間連結財務諸表等(1)中間連結財務諸表」の「中間連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当中間連結会計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
当社グループの当中間連結会計期間の経営成績等は、運輸中心の事業構成を占める特性から第一四半期は天候にも恵まれ、国内、国外の観光客需要が大きく伸びを見せたものの、第二四半期では長引く梅雨と台風の影響を受け、営業収益は5,942,642千円(前年同期比0.1%減)となり、営業費は電車動力費の電気料金のアップ、軌道整備費の増加、賃貸建物修繕費の増加、消費税改正対応経費等があった一方で、バス動力費の軽油単価が低く推移したこと、徹底的なコスト削減に努め5,767,254千円(前年同期比0.1%増)となった結果、営業利益は175,388千円(前年同期比10.2%減)、営業外損益を加減した経常利益は421,951千円(前年同期比8.3%減)となりました。これに特別利益と特別損失を加減した税金等調整前中間純利益は420,644千円(前年同期比2.1%減)となり、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額並びに非支配株主に帰属する中間純損失を加減した340,307千円の親会社株主に帰属する中間純利益(前年同期比9.8%減)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、経験したことのない自然災害による国内外からの観光客の激減、海外情勢の先行き不安定からの訪日外国人観光客の激減、また、全国的に広がりつつある雇用者確保が厳しくなってきている現状は当社グループも例外ではなく、電車・バスの通常運行確保、施設整備の安全確保に支障をきたす恐れと、需要に応えられず収益に悪影響を与えると予測しています。加えて、バスの軽油単価が先行き不透明であり、電気料金の値上げによる電車動力費、賃貸不動産の電気料の負担は今後も収益を圧迫させるものであります。建設事業においては、建設材料費の高騰、現場作業員確保の困難により収益へ悪影響を与えると予測しています。航空輸送事業代理業においては、北陸新幹線の影響を受け今後も収益確保は厳しいと予測しています。
財政状態の分析
(流動資産)
当中間連結会計期間末における流動資産の残高は4,483,368千円となり、前連結会計年度末に比べ214,896千円増加しました。この主な要因は、運輸事業の工事負担金等の回収によりその他に含まれる未収金が減少した一方で、建設事業の未成工事支出金を多額に計上したことによるたな卸資産の増加、現金及び預金の増加であります。
(固定資産)
当中間連結会計期間末における固定資産の残高は18,280,734千円となり、前連結会計年度末に比べ221,700千円増加しました。この主な要因は、運輸事業を中心に計画に沿って設備投資をしましたが減価償却費が進んだ結果、固定資産が減少した一方で、投資有価証券に含まれる関係会社株式は、持分法適用会社が利益を計上したため増加したことであります。
(負債)
当中間連結会計期間末における負債の残高は12,333,649千円となり、前連結会計年度末に比べ174,530千円増加しました。この主な要因は、有利子負債の圧縮のため借入金を減少させた一方で、その他に含まれる前受金で消費税改正前の運輸事業に係る運賃の駆け込み需要と受託工事の受け入れにより増加したことであります。
(純資産)
当中間連結会計期間末における純資産の残高は10,430,453千円となり、前連結会計年度末に比べ262,067千円増加しました。この主な要因は、投資有価証券の時価評価が下がったためその他有価証券評価差額金が減少した一方で、利益剰余金が大きく増加したことであります。
資本の財源及び資金の流動性の分析
(キャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」の記載のとおりであります。
(契約債務)
2019年9月30日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
上記の表において、中間連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年以内返済予定の長期借入金は、長期借入金に、1年以内長期未払金は、長期未払金にそれぞれ含めております。
(財務政策)
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、運輸事業の設備修繕費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、運輸事業の設備の新設と改修等であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金、当社グループ間短期借入及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金は自己資金、金融機関からの長期借入、リース及び補助金を活用し調達しております。
なお、当中間連結会計期間末における借入金、リース債務、長期未払金、割賦未払金を含む有利子負債の残高は5,390,330千円となっております。また、当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は2,671,642千円となっております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、富山地方鉄道は年度計画に基づき、社長を議長に毎週経営幹部会議を開催し、月次業績や経営計画、個別施策の進捗状況等について報告し、情報の共有化を図るとともに、多面的な対策検討を実施し、経営目標の適切な達成管理を行っております。また、2018年4月に開催した取締役会において、中期事業計画を示し、多角的な事業へのテコ入れを図り、激変する事業環境の対応に即した経営戦略を推し進めております。また、連結子会社の経営管理については、年度計画に基づく業務執行状況等の報告を受け、その都度指導を行うとともに重要案件は合議稟議制により決裁を行い、地鉄グループ全体として経営基盤を固め、中長期的に発展・存続できる体制づくりを行っております。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
運輸事業
鉄道事業は、地方私鉄においては93.2㎞の長い営業粁を有し、またトンネル、鉄橋も多数所有する中、安心・安全を経営理念に置きながらその維持管理費用は莫大であります。北陸新幹線による経済の活性化、交流人口の拡大によって恩恵は受けつつも営業赤字は解消できず、国、自治体から老朽化する鉄道設備維持への補助金を受けながら事業の存続を維持している厳しい経営状態が続いております。今後の展望も、鉄道沿線人口の減少に加え、2018年4月からの電気料金の値上げによる電車動力費の増大が収支を圧迫させており、運行本数、走行キロの見直しを図り経費削減に努めております。また、慢性的な雇用者不足は解決の糸口が見い出せず運行や設備の維持管理にも影響を与えつつあります。加えて、近年の大雨や台風の影響は、繁忙期を直撃しており、観光収入源に大きな影響を与えております。これらを踏まえ今後の収支改善に向け、運賃改定、運行形態、勤務体系を抜本的に見直す必要があると認識するとともに、自然災害に対し、車両管理、施設管理体制の見直しを早急に整備する必要があると認識しております。
軌道事業は、運行本数の維持と軌道線の富山駅までの延伸の利便性への定着が通勤・通学定期利用客の安定した支持を受け、前年同期を上回る輸送客数と売上を確保しました。一方、定期外利用客については大型GWと安定した天候により好調な売上を確保していましたが、梅雨の長期化や台風の影響を受け、第二四半期では輸送客数が急激に減少した結果、売上は前年同期に比べ微増となりました。今後の事業運営としては、2020年2月22日に富山ライトレール株式会社を吸収合併し、同年3月21日に当社の軌道線と富山ライトレール線の南北直通運転を開始することとなります。富山市が掲げているコンパクトシティーの集大成として、また、県民の南北接続による経済効果の大きな期待の一役を担う当社としては、安心、安全は勿論の事、収益確保に向け更なる効率化を図り事業運営に尽力を傾注する所存であります。
自動車事業は、乗合自動車の路線バス部門では営業利益は依然として赤字が続いております。富山市内近隣路線は売上を確保しているものの、山間部や富山県呉西地区においては路線周辺の利用客の減少に歯止めがかからず、売上高は前年同期から更に悪化しております。経費面では、バスの動力費である軽油は低調に推移したものの、バス車両修繕費や施設維持費等が依然として経費と嵩上げ要因となっております。また、バス運転手の慢性的な要員不足は定期運行維持にも支障をきたす状況になりつつあります。インフラを担う当社グループとしては、路線ダイヤの見直しやコミュニティバス運行の受託により収入確保に努めるとともに、国、地方自治体からの生活路線維持費補助金の支援を受け、今後も交通インフラを守る所存であります。高速バス部門では東京、仙台、名古屋、大阪、新潟、金沢、高山の7路線を運行しておりますが、東京、仙台については他社との競合、運転手不足による増発運行ができない状況から前年同期比を下回る売上となりました。今年度は新造高速バス2両を導入予定であり、ソフト面でも満足度が得られるよう努力してまいります。貸切バス部門では大雨と台風の影響により観光客の出控えによる売上の伸び悩みに加え、運転手不足により一般路線確保のため需要に応えられなかったことも大きく起因し、前年同期に比べ売上を大きく落とす結果となりました。
今後の運輸事業の見通しとして当社グループは、現業雇用者の慢性的な不足を少しでも解消するために運営体系を早急に立て直すことが安定的な経営につながるものと認識しております。
不動産事業
不動産事業は、不動産分譲業においては分譲団地販売がなく昨年度に引き続き営業損失となりました。富山市内の不動産状況はマンション建設が続いており、宅地開発への投資は慎重に検討していく必要があると判断しております。不動産賃貸業においては2019年4月に地鉄本社ビルに1店舗、電鉄富山駅ビルに2店舗入居し売上は前年同期を上回りましたが、賃貸建物修繕費が嵩んだ結果、収益は前年同期に比べ微増となりました。賃貸建物はどれも30年を経過しており、今後、建物維持管理にかかるコストが収益を圧迫すると予測しておりますが急激に収支の悪化とは捉えていないため、近隣の同業他社の動向を注視しながら対処してまいります。
建設事業
建設事業は、2件の大型受注工事が完成したため前年同期に比べ2倍近くの売上を計上しました。一方で、建設材料費の高騰、下請け会社の人材確保が厳しくなってきている中、地鉄グループとして収益確保に向け積極的に営業展開をしてまいります。
保険代理事業
保険代理事業は、毎期、減収減益となっており、競合他社が多い中、新規加入者の獲得と継続者の維持が課題であると認識しており、今後も積極的な販促活動を行ってまいります。
航空輸送事業代理業
航空輸送事業代理業は、北陸新幹線利用の流れが定着し国内便は厳しい経営環境が続いております。一方、国際便はソウル便が激減したものの、中国便、上海便が顕著に増加したため前年同期を上回る売上を計上しました。しかし、11月に入りエアソウル富山支店が年内撤退を決定したことにより、今後の国際便の動向は国際情勢に左右される不透明なものとなっております。
ホテル業
ホテル業は、2019年4月に富山駅前に昨年に続き2店舗目となる同業他社の新規ホテルが開業したものの、収益は前年同期を上回る顕著な伸びとなりました。訪日外国人観光客をはじめ、個人のインターネット予約も好調に推移しており、年間を通じ収益は前年度を上回ると予測しております。一方で、今後さらに富山駅前に大型の新規ホテルが3店舗オープンすることが決定しており、ますます激戦区となってきています。当社グループは同業他社との差別化をより鮮明にアピールし、魅力ある商品ラインナップを充実させ顧客獲得に向かいます。
自動車整備業
自動車整備業は、車両整備士不足により一般車両整備の需要に応えられず、前年同期に比べ大きく減収減益となりました。整備士不足は売上に直結しており今後の事業運営に大きな支障を及ぼすことから、早急な雇用者確保と事業体系の検証が必要と認識しております。
その他
娯楽・スポーツ業は、前年同期に比べ減収増益となりました。スポーツドーム・エアーズは昨年度減損損失を計上し、2019年度から態勢の立て直しと破損した屋根の張替えを8月に予定しておりましたが、抜本的な運営の見直しの遅れと、それに伴う張替え工事の完了が11月まで延長されたことが減収の大きな要因となりました。運営の見直しが今後どこまで回復できるかが大きなカギとなっております。
広告代理業は、新聞広告の企画ものが激減したため前年同期に比べ減収増益となりました。企画ものは一過性ではあるものの大きな収入源でもあり、今後も積極的な営業展開を図り年度予算達成に向け総力を挙げる所存であります。
物品販売業は、前年同期に比べ減収減益となりました。主な要因は、飲食業で昨年3月に1店舗を撤退し、改めて4月から2店舗を展開させていますが、新規オープンでもありお客の認知度が低く、今後の巻き返しを図る所存であります。
旅行代理店業は、前年同期に比べ増収増益となりました。売上は大きく伸びましたがその分経費も嵩んでおり今後の事業運営からも経費削減に努めてまいります。
総括として、当社グループは運輸事業を核とする企業体であり、富山県はマイカー所有率が全国でも高く、地方から首都圏への人口流出が続く中、老朽化施設の更新、バス運転手、鉄軌道運転士の確保、技術職の育成、燃料費高騰への対応等に対し、資金の確保と現業者の確保が今後の最優先事項と考えております。加えて近年の自然災害に対する防災意識を高めるとともに対応策を早急に整備する必要があると認識し、インフラ事業者としての使命を果たしていく所存であります。
当中間連結会計期間における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、設備投資の増加や堅調な企業業績を背景に緩やかな回復基調で推移したものの、各地で頻発する自然災害や海外経済の動向と政策に関する不確実性、更に、10月の消費税率引上げ後の消費減退リスクなど景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような状況のもとで、当社グループの核となる運輸事業においては、国内外からの観光客誘致に向け積極的な営業活動や事業の効率化に努めてまいりました。
この結果、当中間連結会計期間の経営成績は、営業収益5,942,642千円(前年同期比0.1%減)、営業利益175,388千円(前年同期比10.2%減)、経常利益421,951千円(前年同期比8.3%減)、親会社株主に帰属する中間純利益340,307千円(前年同期比9.8%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
a. 運輸事業
鉄軌道事業では、「改元記念 鉄道・市内電車 全線2日フリーきっぷ」の発売や、「新黒部☆スきっぷ」の発売など、積極的な営業施策を展開し、自動車事業においては、「平成」→「令和」のりつぎきっぷの販売や2階建てオープントップバスで富山県の観光名所を周遊する企画商品の販売の他、高速バスや大型ノンステップバスの新車導入など利用者の利便性やサービス向上に努めましたが、長引く梅雨と台風の影響を受けた当中間連結会計期間の営業収益は3,991,703千円と前中間連結会計期間に比べ64,521千円(前年同期比1.5%減)の減収となりました。
(提出会社の運輸成績表)
(イ)鉄道事業
項目 | 単位 | 当中間連結会計期間 (自 2019年4月1日 至 2019年9月30日) | 前年同期比(%) |
営業日数 | 日 | 183 | 0.0 |
営業粁 | 粁 | 93.2 | 0.0 |
客車走行粁 | 千粁 | 2,373 | △1.4 |
乗車人員 | 千人 | 3,087 | 2.0 |
定期 | 〃 | 2,094 | 2.1 |
定期外 | 〃 | 993 | 1.7 |
旅客収入 | 千円 | 804,236 | 0.9 |
定期 | 〃 | 329,958 | 1.2 |
定期外 | 〃 | 474,232 | 0.7 |
手小荷物収入 | 〃 | 45 | 187.7 |
運輸雑収 | 〃 | 95,026 | 1.8 |
収入合計 | 〃 | 899,262 | 1.0 |
乗車効率 | % | 12.00 | 3.1 |
1日平均収入 | 千円 | 4,914 | 1.0 |
1日1粁平均収入 | 〃 | 52.72 | 1.0 |
(注) 乗車効率の算出は延人粁/(客車走行粁×1車平均定員)によります。
(ロ)軌道事業
項目 | 単位 | 当中間連結会計期間 (自 2019年4月1日 至 2019年9月30日) | 前年同期比(%) |
営業日数 | 日 | 183 | 0.0 |
営業粁 | 粁 | 7.6 | 0.0 |
客車走行粁 | 千粁 | 418 | △0.8 |
乗車人員 | 千人 | 2,730 | 1.8 |
定期 | 〃 | 1,447 | 2.9 |
定期外 | 〃 | 1,282 | 0.6 |
旅客収入 | 千円 | 341,452 | 1.3 |
定期 | 〃 | 122,107 | 3.0 |
定期外 | 〃 | 219,344 | 0.4 |
運輸雑収 | 〃 | 40,609 | △0.6 |
収入合計 | 〃 | 382,061 | 1.1 |
乗車効率 | % | 22.89 | 2.9 |
1日平均収入 | 千円 | 2,087 | 1.1 |
1日1粁平均収入 | 〃 | 274.70 | 1.1 |
(注) 乗車効率の算出は延人粁/(客車走行粁×1車平均定員)によります。
(ハ)自動車事業
乗合自動車
項目 | 単位 | 当中間連結会計期間 (自 2019年4月1日 至 2019年9月30日) | 前年同期比(%) |
営業日数 | 日 | 183 | 0.0 |
営業粁 | 粁 | 2,489.78 | △0.1 |
車両走行粁 | 千粁 | 5,013 | △0.9 |
乗車人員 | 千人 | 3,173 | △0.4 |
定期 | 〃 | 1,367 | 0.1 |
定期外 | 〃 | 1,806 | △0.8 |
旅客収入 | 千円 | 1,139,022 | 1.3 |
定期 | 〃 | 229,774 | 0.0 |
定期外 | 〃 | 909,248 | 1.7 |
運輸雑収 | 〃 | 175,090 | △4.5 |
収入合計 | 〃 | 1,314,113 | 0.5 |
乗車効率 | % | 18.95 | 1.8 |
1日平均収入 | 千円 | 7,180 | 0.5 |
走行1粁当り収入 | 円 | 262.13 | 1.5 |
(注) 乗車効率の算出は延人粁/(客車走行粁×1車平均定員)によります。
貸切自動車
項目 | 単位 | 当中間連結会計期間 (自 2019年4月1日 至 2019年9月30日) | 前年同期比(%) |
営業日数 | 日 | 183 | 0.0 |
車両走行粁 | 千粁 | 719 | 5.7 |
乗車人員 | 千人 | 165 | △2.7 |
旅客収入 | 千円 | 308,752 | 3.3 |
運送雑収 | 〃 | 46,227 | △0.1 |
収入合計 | 〃 | 354,979 | 2.8 |
1日平均収入 | 〃 | 1,939 | 2.8 |
走行1粁当り収入 | 円 | 493.70 | △2.6 |
(業種別営業収益)
セグメントの名称 | 当中間連結会計期間 (自 2019年4月1日 至 2019年9月30日) | 前年同期比(%) |
鉄道事業(千円) | 899,262 | 1.0 |
軌道事業(千円) | 382,061 | 1.1 |
自動車事業(千円) | 2,791,612 | △2.5 |
調整額(千円) | △81,233 | - |
報告セグメント計(千円) | 3,991,703 | △1.5 |
b. 不動産事業
不動産賃貸業においては、積極的な営業展開をし、賃貸物件の稼働率向上に努めた結果、当中間連結会計期間の営業収益は、248,729千円と前中間連結会計期間に比べ2,436千円(前年同期比0.9%増)の増収となりました。
(業種別営業収益)
セグメントの名称 | 当中間連結会計期間 (自 2019年4月1日 至 2019年9月30日) | 前年同期比(%) |
不動産分譲業(千円) | 327 | - |
不動産賃貸業(千円) | 248,402 | 0.8 |
報告セグメント計(千円) | 248,729 | 0.9 |
c. 建設事業
建設事業においては、大型受注工事が完成したため当中間連結会計期間の営業収益は、247,869千円と前中間連結会計期間に比べ122,562千円(前年同期比97.8%増)の増収となりました。
(業種別営業収益)
セグメントの名称 | 当中間連結会計期間 (自 2019年4月1日 至 2019年9月30日) | 前年同期比(%) |
建設業(千円) | 247,869 | 97.8 |
報告セグメント計(千円) | 247,869 | 97.8 |
d. 保険代理事業
保険代理事業においては、積極的な営業展開をしたものの依然として厳しい環境にあり当中間連結会計期間の営業収益は、210,462千円と前中間連結会計期間に比べ2,851千円(前年同期比1.3%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
セグメントの名称 | 当中間連結会計期間 (自 2019年4月1日 至 2019年9月30日) | 前年同期比(%) |
保険代理業(千円) | 210,462 | △1.3 |
報告セグメント計(千円) | 210,462 | △1.3 |
e. 航空輸送事業代理業
航空輸送事業代理業においては、ソウル便が激減したものの大連便、上海便の増便の影響とチャーター便の就航が増加した結果、当中間連結会計期間の営業収益は、433,341千円と前中間連結会計期間に比べ6,518千円(前年同期比1.5%増)の増収となりました。
(業種別営業収益)
セグメントの名称 | 当中間連結会計期間 (自 2019年4月1日 至 2019年9月30日) | 前年同期比(%) |
航空輸送事業代理業(千円) | 433,341 | 1.5 |
報告セグメント計(千円) | 433,341 | 1.5 |
f. ホテル業
ホテル業においては、充実した館内施設・サービスを積極的にアピールした結果、インターネットによる予約が好調に推移し、当中間連結会計期間の営業収益は、307,327千円と前中間連結会計期間に比べ12,004千円(前年同期比4.0%増)の増収となりました。
(業種別営業収益)
セグメントの名称 | 当中間連結会計期間 (自 2019年4月1日 至 2019年9月30日) | 前年同期比(%) |
ホテル業(千円) | 307,327 | 4.0 |
報告セグメント計(千円) | 307,327 | 4.0 |
g. 自動車整備業
自動車整備業においては、受注拡大に努めたものの伸び悩み当中間連結会計期間の営業収益は、390,436千円と前中間連結会計期間に比べ46,836千円(前年同期比10.7%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
セグメントの名称 | 当中間連結会計期間 (自 2019年4月1日 至 2019年9月30日) | 前年同期比(%) |
自動車整備業(千円) | 390,436 | △10.7 |
報告セグメント計(千円) | 390,436 | △10.7 |
h. その他
その他においては、その他事業に含まれる旅行業では団体受注型企画旅行の取扱いが増加し、好調に推移しました。一方で、広告代理店業では企業の広告が大幅に減少し、娯楽・スポーツ業も競争が激化しており当中間連結会計期間の営業収益は、942,871千円と前中間連結会計期間に比べ4,714千円(前年同期比0.4%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
セグメントの名称 | 当中間連結会計期間 (自 2019年4月1日 至 2019年9月30日) | 前年同期比(%) |
娯楽・スポーツ業(千円) | 203,957 | △6.5 |
広告代理業(千円) | 352,434 | △4.9 |
その他事業(千円) | 386,480 | 7.7 |
その他計(千円) | 942,871 | △0.4 |
②キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フローのそれぞれが減少した結果、前中間連結会計期間末に比べ41,295千円減少し、当中間連結会計期間末には2,671,642千円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は785,739千円(前中間連結会計期間は810,815千円の資金を得ている)となりました。これは税金等調整前中間純利益が420,644千円と前中間連結会計期間に比べ9,195千円減少し、売上債権の増加額が116,723千円(前中間連結会計期間は191,033千円の減少額)、たな卸資産の増加額が298,127千円(前中間連結会計期間は210,283千円の増加額)、減損損失が前中間連結会計期間は30,821千円でしたが当中間連結会計期間は発生しなかった一方で、仕入債務の増加額が59,941千円(前中間連結会計期間は390,174千円の減少額)、未払消費税等の減少額が16,139千円(前中間連結会計期間は72,968千円の増加額)、法人税等の支払額が89,729千円(前中間連結会計期間は121,067千円の支払額)であったことが主な要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は105,048千円(前中間連結会計期間は110,203千円の使用)となりました。これは有形固定資産の取得による支出が428,678千円と前中間連結会計期間に比べ145,984千円減少し、工事負担金等受入による収入が319,490千円と前中間連結会計期間に比べ143,332千円減少したことが主な要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は489,453千円(前中間連結会計期間は839,726千円の使用)となりました。これは借入金の純減額が前中間連結会計期間に比べ327,558千円減少したことが主な要因であります。
③生産・受注及び販売の状況
当社グループの販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また受注販売形態をとらない品目も多く、セグメントに関連付けて記載することが困難であるので記載しておりません。そのため生産、受注及び販売状況については、「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「①財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントごとに経営成績に関連付けて示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの中間連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この中間連結財務諸表の作成に当たりましては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの中間連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 中間連結財務諸表等(1)中間連結財務諸表」の「中間連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当中間連結会計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
当社グループの当中間連結会計期間の経営成績等は、運輸中心の事業構成を占める特性から第一四半期は天候にも恵まれ、国内、国外の観光客需要が大きく伸びを見せたものの、第二四半期では長引く梅雨と台風の影響を受け、営業収益は5,942,642千円(前年同期比0.1%減)となり、営業費は電車動力費の電気料金のアップ、軌道整備費の増加、賃貸建物修繕費の増加、消費税改正対応経費等があった一方で、バス動力費の軽油単価が低く推移したこと、徹底的なコスト削減に努め5,767,254千円(前年同期比0.1%増)となった結果、営業利益は175,388千円(前年同期比10.2%減)、営業外損益を加減した経常利益は421,951千円(前年同期比8.3%減)となりました。これに特別利益と特別損失を加減した税金等調整前中間純利益は420,644千円(前年同期比2.1%減)となり、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額並びに非支配株主に帰属する中間純損失を加減した340,307千円の親会社株主に帰属する中間純利益(前年同期比9.8%減)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、経験したことのない自然災害による国内外からの観光客の激減、海外情勢の先行き不安定からの訪日外国人観光客の激減、また、全国的に広がりつつある雇用者確保が厳しくなってきている現状は当社グループも例外ではなく、電車・バスの通常運行確保、施設整備の安全確保に支障をきたす恐れと、需要に応えられず収益に悪影響を与えると予測しています。加えて、バスの軽油単価が先行き不透明であり、電気料金の値上げによる電車動力費、賃貸不動産の電気料の負担は今後も収益を圧迫させるものであります。建設事業においては、建設材料費の高騰、現場作業員確保の困難により収益へ悪影響を与えると予測しています。航空輸送事業代理業においては、北陸新幹線の影響を受け今後も収益確保は厳しいと予測しています。
財政状態の分析
(流動資産)
当中間連結会計期間末における流動資産の残高は4,483,368千円となり、前連結会計年度末に比べ214,896千円増加しました。この主な要因は、運輸事業の工事負担金等の回収によりその他に含まれる未収金が減少した一方で、建設事業の未成工事支出金を多額に計上したことによるたな卸資産の増加、現金及び預金の増加であります。
(固定資産)
当中間連結会計期間末における固定資産の残高は18,280,734千円となり、前連結会計年度末に比べ221,700千円増加しました。この主な要因は、運輸事業を中心に計画に沿って設備投資をしましたが減価償却費が進んだ結果、固定資産が減少した一方で、投資有価証券に含まれる関係会社株式は、持分法適用会社が利益を計上したため増加したことであります。
(負債)
当中間連結会計期間末における負債の残高は12,333,649千円となり、前連結会計年度末に比べ174,530千円増加しました。この主な要因は、有利子負債の圧縮のため借入金を減少させた一方で、その他に含まれる前受金で消費税改正前の運輸事業に係る運賃の駆け込み需要と受託工事の受け入れにより増加したことであります。
(純資産)
当中間連結会計期間末における純資産の残高は10,430,453千円となり、前連結会計年度末に比べ262,067千円増加しました。この主な要因は、投資有価証券の時価評価が下がったためその他有価証券評価差額金が減少した一方で、利益剰余金が大きく増加したことであります。
資本の財源及び資金の流動性の分析
(キャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」の記載のとおりであります。
(契約債務)
2019年9月30日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
年度別要支払額(千円) | |||||
契約債務 | 合計 | 1年以内 | 1年超3年以内 | 3年超5年以内 | 5年超 |
短期借入金 | 290,000 | 290,000 | - | - | - |
長期借入金 | 3,991,862 | 1,534,362 | 2,177,520 | 272,380 | 7,600 |
リース債務 | 1,104,513 | 435,651 | 532,773 | 124,021 | 12,066 |
長期未払金 | 1,613 | 1,294 | 114 | 114 | 90 |
割賦未払金 | 2,342 | 2,342 | - | - | - |
上記の表において、中間連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年以内返済予定の長期借入金は、長期借入金に、1年以内長期未払金は、長期未払金にそれぞれ含めております。
(財務政策)
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、運輸事業の設備修繕費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、運輸事業の設備の新設と改修等であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金、当社グループ間短期借入及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金は自己資金、金融機関からの長期借入、リース及び補助金を活用し調達しております。
なお、当中間連結会計期間末における借入金、リース債務、長期未払金、割賦未払金を含む有利子負債の残高は5,390,330千円となっております。また、当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は2,671,642千円となっております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、富山地方鉄道は年度計画に基づき、社長を議長に毎週経営幹部会議を開催し、月次業績や経営計画、個別施策の進捗状況等について報告し、情報の共有化を図るとともに、多面的な対策検討を実施し、経営目標の適切な達成管理を行っております。また、2018年4月に開催した取締役会において、中期事業計画を示し、多角的な事業へのテコ入れを図り、激変する事業環境の対応に即した経営戦略を推し進めております。また、連結子会社の経営管理については、年度計画に基づく業務執行状況等の報告を受け、その都度指導を行うとともに重要案件は合議稟議制により決裁を行い、地鉄グループ全体として経営基盤を固め、中長期的に発展・存続できる体制づくりを行っております。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
運輸事業
鉄道事業は、地方私鉄においては93.2㎞の長い営業粁を有し、またトンネル、鉄橋も多数所有する中、安心・安全を経営理念に置きながらその維持管理費用は莫大であります。北陸新幹線による経済の活性化、交流人口の拡大によって恩恵は受けつつも営業赤字は解消できず、国、自治体から老朽化する鉄道設備維持への補助金を受けながら事業の存続を維持している厳しい経営状態が続いております。今後の展望も、鉄道沿線人口の減少に加え、2018年4月からの電気料金の値上げによる電車動力費の増大が収支を圧迫させており、運行本数、走行キロの見直しを図り経費削減に努めております。また、慢性的な雇用者不足は解決の糸口が見い出せず運行や設備の維持管理にも影響を与えつつあります。加えて、近年の大雨や台風の影響は、繁忙期を直撃しており、観光収入源に大きな影響を与えております。これらを踏まえ今後の収支改善に向け、運賃改定、運行形態、勤務体系を抜本的に見直す必要があると認識するとともに、自然災害に対し、車両管理、施設管理体制の見直しを早急に整備する必要があると認識しております。
軌道事業は、運行本数の維持と軌道線の富山駅までの延伸の利便性への定着が通勤・通学定期利用客の安定した支持を受け、前年同期を上回る輸送客数と売上を確保しました。一方、定期外利用客については大型GWと安定した天候により好調な売上を確保していましたが、梅雨の長期化や台風の影響を受け、第二四半期では輸送客数が急激に減少した結果、売上は前年同期に比べ微増となりました。今後の事業運営としては、2020年2月22日に富山ライトレール株式会社を吸収合併し、同年3月21日に当社の軌道線と富山ライトレール線の南北直通運転を開始することとなります。富山市が掲げているコンパクトシティーの集大成として、また、県民の南北接続による経済効果の大きな期待の一役を担う当社としては、安心、安全は勿論の事、収益確保に向け更なる効率化を図り事業運営に尽力を傾注する所存であります。
自動車事業は、乗合自動車の路線バス部門では営業利益は依然として赤字が続いております。富山市内近隣路線は売上を確保しているものの、山間部や富山県呉西地区においては路線周辺の利用客の減少に歯止めがかからず、売上高は前年同期から更に悪化しております。経費面では、バスの動力費である軽油は低調に推移したものの、バス車両修繕費や施設維持費等が依然として経費と嵩上げ要因となっております。また、バス運転手の慢性的な要員不足は定期運行維持にも支障をきたす状況になりつつあります。インフラを担う当社グループとしては、路線ダイヤの見直しやコミュニティバス運行の受託により収入確保に努めるとともに、国、地方自治体からの生活路線維持費補助金の支援を受け、今後も交通インフラを守る所存であります。高速バス部門では東京、仙台、名古屋、大阪、新潟、金沢、高山の7路線を運行しておりますが、東京、仙台については他社との競合、運転手不足による増発運行ができない状況から前年同期比を下回る売上となりました。今年度は新造高速バス2両を導入予定であり、ソフト面でも満足度が得られるよう努力してまいります。貸切バス部門では大雨と台風の影響により観光客の出控えによる売上の伸び悩みに加え、運転手不足により一般路線確保のため需要に応えられなかったことも大きく起因し、前年同期に比べ売上を大きく落とす結果となりました。
今後の運輸事業の見通しとして当社グループは、現業雇用者の慢性的な不足を少しでも解消するために運営体系を早急に立て直すことが安定的な経営につながるものと認識しております。
不動産事業
不動産事業は、不動産分譲業においては分譲団地販売がなく昨年度に引き続き営業損失となりました。富山市内の不動産状況はマンション建設が続いており、宅地開発への投資は慎重に検討していく必要があると判断しております。不動産賃貸業においては2019年4月に地鉄本社ビルに1店舗、電鉄富山駅ビルに2店舗入居し売上は前年同期を上回りましたが、賃貸建物修繕費が嵩んだ結果、収益は前年同期に比べ微増となりました。賃貸建物はどれも30年を経過しており、今後、建物維持管理にかかるコストが収益を圧迫すると予測しておりますが急激に収支の悪化とは捉えていないため、近隣の同業他社の動向を注視しながら対処してまいります。
建設事業
建設事業は、2件の大型受注工事が完成したため前年同期に比べ2倍近くの売上を計上しました。一方で、建設材料費の高騰、下請け会社の人材確保が厳しくなってきている中、地鉄グループとして収益確保に向け積極的に営業展開をしてまいります。
保険代理事業
保険代理事業は、毎期、減収減益となっており、競合他社が多い中、新規加入者の獲得と継続者の維持が課題であると認識しており、今後も積極的な販促活動を行ってまいります。
航空輸送事業代理業
航空輸送事業代理業は、北陸新幹線利用の流れが定着し国内便は厳しい経営環境が続いております。一方、国際便はソウル便が激減したものの、中国便、上海便が顕著に増加したため前年同期を上回る売上を計上しました。しかし、11月に入りエアソウル富山支店が年内撤退を決定したことにより、今後の国際便の動向は国際情勢に左右される不透明なものとなっております。
ホテル業
ホテル業は、2019年4月に富山駅前に昨年に続き2店舗目となる同業他社の新規ホテルが開業したものの、収益は前年同期を上回る顕著な伸びとなりました。訪日外国人観光客をはじめ、個人のインターネット予約も好調に推移しており、年間を通じ収益は前年度を上回ると予測しております。一方で、今後さらに富山駅前に大型の新規ホテルが3店舗オープンすることが決定しており、ますます激戦区となってきています。当社グループは同業他社との差別化をより鮮明にアピールし、魅力ある商品ラインナップを充実させ顧客獲得に向かいます。
自動車整備業
自動車整備業は、車両整備士不足により一般車両整備の需要に応えられず、前年同期に比べ大きく減収減益となりました。整備士不足は売上に直結しており今後の事業運営に大きな支障を及ぼすことから、早急な雇用者確保と事業体系の検証が必要と認識しております。
その他
娯楽・スポーツ業は、前年同期に比べ減収増益となりました。スポーツドーム・エアーズは昨年度減損損失を計上し、2019年度から態勢の立て直しと破損した屋根の張替えを8月に予定しておりましたが、抜本的な運営の見直しの遅れと、それに伴う張替え工事の完了が11月まで延長されたことが減収の大きな要因となりました。運営の見直しが今後どこまで回復できるかが大きなカギとなっております。
広告代理業は、新聞広告の企画ものが激減したため前年同期に比べ減収増益となりました。企画ものは一過性ではあるものの大きな収入源でもあり、今後も積極的な営業展開を図り年度予算達成に向け総力を挙げる所存であります。
物品販売業は、前年同期に比べ減収減益となりました。主な要因は、飲食業で昨年3月に1店舗を撤退し、改めて4月から2店舗を展開させていますが、新規オープンでもありお客の認知度が低く、今後の巻き返しを図る所存であります。
旅行代理店業は、前年同期に比べ増収増益となりました。売上は大きく伸びましたがその分経費も嵩んでおり今後の事業運営からも経費削減に努めてまいります。
総括として、当社グループは運輸事業を核とする企業体であり、富山県はマイカー所有率が全国でも高く、地方から首都圏への人口流出が続く中、老朽化施設の更新、バス運転手、鉄軌道運転士の確保、技術職の育成、燃料費高騰への対応等に対し、資金の確保と現業者の確保が今後の最優先事項と考えております。加えて近年の自然災害に対する防災意識を高めるとともに対応策を早急に整備する必要があると認識し、インフラ事業者としての使命を果たしていく所存であります。