半期報告書-第138期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当中間連結会計期間における当社グループ(当社及び当社の関係会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大が、社会経済活動全般に大きな影響を及ぼし、渡航規制によるインバウンド需要や、国内個人消費が大幅に減少するなど、極めて厳しい状況となりました。同感染症の影響が長期化するなか、外出自粛要請の緩和やGoToトラベルの実施などにより、個人消費が戻りつつあるものの景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような状況のもとで、当社グループの核となる運輸事業においても、同感染症拡大の長期化により、国内外観光客の利用や通勤・通学での利用も大幅に減少しましたが、地域のインフラを担う公共交通機関として、日常生活を支え守ることを使命と捉え、生活路線では平常通りのダイヤ確保に努めてまいりました。また、お客様に安心してご利用いただけるよう、車両・駅施設ではこまめに消毒作業を行い、車内は窓開けや空調による換気を実施、乗務員や駅係員にはマスクの着用を徹底し、職員の安全を守るとともに、お客様が安全な環境だと感じてご利用いただけるよう、感染拡大防止策に取り組み、実施してまいりました。
この結果、当中間連結会計期間の経営成績は、営業収益2,790,004千円(前年同期比53.0%減)、営業損失1,841,695千円(前年同期は営業利益175,388千円)、経常損失2,191,712千円(前年同期は経常利益421,951千円)、親会社株主に帰属する中間純損失2,682,068千円(前年同期は親会社株主に帰属する中間純利益340,307千円)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
a. 運輸事業
当中間連結会計期間の運輸事業においては、新型コロナウイルス感染症拡大の長期化により、訪日外国人観光客は、ほぼゼロとなり、国内においては、外出自粛要請などにより、利用客が大幅に減少し極めて厳しい環境でありました。この状況下において鉄軌道事業では、観光交通スーパーチケットキャンペーンを実施し、三種類のフリーきっぷを半額で販売し新規需要の掘り起こしに努め、自動車事業においては、観光路線や都市間高速バスは減便や運休体制をとり、需要にあったダイヤ管理で不要な経費の削減に取り組むとともに、GoToトラベル開始時期に合わせ、二階建てオープントップバスによる、富山県内の観光名所を周遊する企画商品を販売、観光需要の取り込みに努めたものの、当中間連結会計期間の営業収益は1,829,250千円と前中間連結会計期間に比べ2,162,452千円(前年同期比54.1%減)の大幅な減収となりました。
(提出会社の運輸成績表)
(イ)鉄道事業
(注) 乗車効率の算出は延人粁/(客車走行粁×1車平均定員)によります。
(ロ)軌道事業
(注)1.乗車効率の算出は延人粁/(客車走行粁×1車平均定員)によります。
2.当中間連結会計期間において、営業粁等に著しい変動がありました。これは富山ライトレール㈱を吸収合併したことによるものです。
(ハ)自動車事業
乗合自動車
(注) 乗車効率の算出は延人粁/(客車走行粁×1車平均定員)によります。
貸切自動車
(業種別営業収益)
b. 不動産事業
不動産事業においては、積極的な営業展開をしたものの分譲土地の販売不振と不動産賃貸業においては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い飲食店の1店舗が退店したことにより当中間連結会計期間の営業収益は、227,325千円と前中間連結会計期間に比べ21,403千円(前年同期比8.6%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
c. 建設事業
建設事業においては、工事の受注が減少し、当中間連結会計期間の営業収益は、51,161千円と前中間連結会計期間に比べ196,708千円(前年同期比79.3%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
d. 保険代理事業
保険代理事業においては、依然として厳しい状況が続いており当中間連結会計期間の営業収益は、205,400千円と前中間連結会計期間に比べ5,062千円(前年同期比2.4%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
e. 航空輸送事業代理業
航空輸送事業代理業においては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い国際線の全便運休や国内線の減便により当中間連結会計期間の営業収益は、179,792千円と前中間連結会計期間に比べ253,548千円(前年同期比58.5%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
f. ホテル業
ホテル業においては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い宿泊客が大幅に減少したことに加え、営業を休止したため当中間連結会計期間の営業収益は、89,582千円と前中間連結会計期間に比べ217,745千円(前年同期比70.8%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
g. 自動車整備業
自動車整備業においては、修理受注工事が減少し当中間連結会計期間の営業収益は、281,390千円と前中間連結会計期間に比べ109,045千円(前年同期比27.9%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
h. その他
その他においては、娯楽・スポーツ業では新型コロナウイルス感染症拡大に伴い臨時休業等の影響を大きく受けたことや、広告代理業においては、企業の広告費削減により、その他事業に含まれる旅行代理店業においても旅行の取扱いの激減により当中間連結会計期間の営業収益は、389,980千円と前中間連結会計期間に比べ552,890千円(前年同期比58.6%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
②キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前中間連結会計期間末に比べ876,347千円増加し、当中間連結会計期間末には3,547,990千円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は691,847千円(前中間連結会計期間は785,739千円の資金を得ています)となりました。これは税金等調整前中間純損失が2,188,355千円と前中間連結会計期間に比べ2,609,000千円減少し、売上債権の減少額が411,216千円(前中間連結会計期間は116,723千円の増加額)であった一方で、仕入債務の減少額が365,443千円(前中間連結会計期間は59,941千円の増加額)、持分法による投資損失が647,157千円(前中間連結会計期間は244,199千円の投資利益)であったことが主な要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は28,592千円(前中間連結会計期間は105,048千円の使用)となりました。これは有形固定資産の取得による支出が982,780千円と前中間連結会計期間に比べ554,102千円増加し、工事負担金等受入による収入が827,489千円と前中間連結会計期間に比べ507,998千円増加、定期預金の払戻による収入が146,000千円と前中間連結会計期間に比べ140,000千円増加したことが主な要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は2,152,235千円(前中間連結会計期間は489,453千円の使用)となりました。これは借入金の純増額が前中間連結会計期間に比べ2,589,828千円増加したことが主な要因であります。
③生産・受注及び販売の実績
当社グループの販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また受注販売形態をとらない品目も多く、セグメントに関連付けて記載することが困難であるので記載しておりません。そのため生産、受注及び販売実績については、「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「①財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントごとに経営成績に関連付けて示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの中間連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この中間連結財務諸表の作成に当たりましては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの中間連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 中間連結財務諸表等(1)中間連結財務諸表」の「中間連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当中間連結会計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
当社グループの当中間連結会計期間の経営成績等は、各事業部門において新型コロナウイルス感染症が長期化したことにより、営業収益は2,790,004千円(前年同期比53.0%減)となり、営業費は南北接続による経費増加があった一方で、バス動力費の軽油単価が低く推移したこと、徹底的なコスト削減に努め4,631,699千円(前年同期比19.6%減)となった結果、営業損失は1,841,695千円(前年同期は営業利益175,388千円)、営業外損益を加減した経常損失は2,191,712千円(前年同期は経常利益421,951千円)となりました。これに特別利益と特別損失を加減した税金等調整前中間純損失は2,188,355千円(前年同期は税金等調整前中間純利益420,644千円)となり、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額並びに非支配株主に帰属する中間純損失を加減した2,682,068千円の親会社株主に帰属する中間純損失(前年同期は親会社株主に帰属する中間純利益340,307千円)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、新型コロナウイルス感染症の影響による国内外からの観光客の激減、3密対策による公共交通機関の利用者減、不要不急の外出自粛による商業施設の利用減により今後も収益に悪影響を及ぼすと予想しています。建設事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響による工事
の中止や延期、人材不足により収益へ悪影響を与えると予測しています。航空輸送事業代理業においては、国際便の全便運休と国内線の減便が続いており今後の収益確保も厳しいものと予測しています。ホテル業は訪日外国人観光客の利用は見込めず、国内においても県をまたがる旅行等の自粛により収益に悪影響を与えると予測しています。
財政状態の分析
(流動資産)
当中間連結会計期間末における流動資産の残高は4,846,799千円となり、前連結会計年度末に比べ150,895千円増加しました。この主な要因は、運輸事業の工事負担金等の回収によりその他に含まれる未収金の減少や借入金増加による現金及び預金の増加、建設事業の未成工事支出金を多額に計上したことによるたな卸資産の増加によるものであります。
(固定資産)
当中間連結会計期間末における固定資産の残高は15,974,418千円となり、前連結会計年度末に比べ1,321,755千円減少しました。この主な要因はコロナ禍の中、先行き不透明なことから設備投資を極力控えた一方で減価償却が進んだことと、収益の回復には相当時間がかかると判断し、税効果が見込めない事から繰延税金資産の取崩によるものであります。
(負債)
当中間連結会計期間末における負債の残高は13,895,667千円となり、前連結会計年度末に比べ1,503,729千円増加しました。この主な要因はコロナ禍の中、急激に収益が悪化したため、運転資金としての借入金が多額となったものであります。
(純資産)
当中間連結会計期間末における純資産の残高は6,925,550千円となり、前連結会計年度末に比べ2,674,588千円減少しました。この主な要因は新型コロナウイルス感染症の長期化により、収益がこれまでになく悪化し、利益剰余金が大きく減少したことによるものであります。
資本の財源及び資金の流動性の分析
(キャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」の記載のとおりであります。
(契約債務)
2020年9月30日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
上記の表において、中間連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年以内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。
(財務政策)
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、運輸事業の設備修繕費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、運輸事業の設備の新設と改修等であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金、当社グループ間短期借入及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金は自己資金、金融機関からの長期借入、リース及び補助金を活用し調達しております。
なお、当中間連結会計期間末における借入金、リース債務、割賦未払金を含む有利子負債の残高は7,399,542千円となっております。また、当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は3,547,990千円となっております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、富山地方鉄道株式会社は年度計画に基づき、社長を議長に毎週経営幹部会議を開催し、月次業績や経営計画、個別施策の進捗状況等について報告し、情報の共有化を図るとともに、多面的な対策検討を実施し、経営目標の適切な達成管理を行っております。また、連結子会社の経営管理については、年度計画に基づく業務執行状況等の報告を受け、その都度指導を行うとともに重要案件は合議稟議制により決裁を行い、地鉄グループ全体として経営基盤を固め、中長期的に発展・存続できる体制づくりを行っております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の長期化により経済活動が停滞する中、当社グループへの影響は計り知れず、今後の展望は不透明であります。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
運輸事業
鉄道事業は、地方私鉄において93.2㎞の長い営業粁を有し、またトンネル、鉄橋も多数所有する中、維持管理費用は莫大であり、国、自治体から老朽化する設備維持への補助金がなくては事業の存続が厳しい状態が続いております。今後の展望も、鉄道沿線人口の減少に加え、コロナ禍が始まって以来、外出自粛やテレワークの普及、公共交通に対する不安感による利用者減、加えて、インバウンド効果に左右される観光収入源に大きな影響を与えております。又、7月には脱線事故という、あってはならない事故を起こしており、原因等については現在も調査中ではありますが、安全確立と信頼回復が急務となっております。これらを踏まえ今後の収支改善に向け、運賃改定、運行形態、勤務体系を抜本的に見直す必要があると認識するとともに、車両管理、施設管理体制の見直しを早急に整備する必要があると認識しております。
軌道事業は、2020年3月21日に市内軌道線と富山港線の南北接続という100年に1度の事業を開始し、新たな需要を生み出すと期待していたものの、新型コロナウイルス感染症の長期化により、未だ効果が見受けられない状況が続いております。新型コロナウイルスの特徴と対策が分かってきた現在、車内消毒・車内換気・南北接続による利便性のアピールに努め、事業運営に努めるところであります。
自動車事業は、乗合自動車の路線バス部門では新型コロナウイルスの影響で、お客様が利用されない状況となっていたものの、緊急事態宣言解除により徐々に回復してきている状況であります。高速バス部門においてはコロナ禍の中、出張・レジャー等の県をまたぐ移動の自粛や、公共交通機関に対する警戒の為、未だ回復の糸口が見えない状況であります。貸切バス部門においては3密対策の為、個人旅行の利用が多く貸切バスを利用する団体旅行の需要が伸び悩んでいる状況であり、当社グループとしては、今後も車内の3密対策、車内消毒、車内換気等の万全な体制を維持し、お客様の信頼を得る所存であります。
不動産事業
不動産事業は、不動産分譲業においては分譲団地販売がなく昨年度に引き続き営業損失となりました。コロナ禍の中、宅地開発への投資は慎重に検討していく必要があると判断しております。不動産賃貸業においては新型コロナウイルスの影響で、電鉄富山駅ビルにて飲食店の退店が1店舗、営業再開の目途が立っていない飲食店が1店舗という厳しい状況でありましたが、10月より飲食店が1店舗入居し、集客も徐々に戻ってきており、商業施設の活性化を見込んでおります。
建設事業
建設事業は、新型コロナウイルスの影響で民間工事の発注が激減しているなか、公共工事の受注に尽力し、収益の確保をしてまいります。
保険代理事業
保険代理事業は、コロナ禍での厳しい営業活動環境のなかで減収減益となりました。マスク着用、アルコール消毒、3密の回避を徹底し、場合によっては非対面営業により顧客の獲得を図ってまいります。
航空輸送事業代理業
航空輸送事業代理業は、航空業界全体が新型コロナウイルスの影響で甚大な影響を受けており、先行きが見通せない状況です。富山空港においても国際線は全便運休、国内便は一部のみ運行という状況が続いており、今後も予断を許さない状況であります。
ホテル業
ホテル業は、緊急事態宣言発令による休業や、解除後の3密対策の為の利用者制限により、極めて厳しい状況での営業活動となりました。今後の展開としましてはGoToキャンペーン事業の恩恵を得られるよう、万全の対策を実施し、お客様に安心してご利用いただく為のおもてなしを行っていく所存であります。
自動車整備業
自動車整備業は、新型コロナウイルスの影響で県内の高速バスや貸切バスの稼働が減少した事により、修理受注工事が大幅に減少しました。コロナ禍の収束がしばらく見込めない事から新規顧客の開拓を図っております。
その他
娯楽・スポーツ業は、緊急事態宣言が全国に拡大されたことから富山地鉄ゴールデンボウルとスポーツドームエアーズが5月中まで休業しておりました。営業再開後は万全な感染症対策を実施しておりますが、収入の回復には至っておらず、今後の見通しも予測できない状況であります。
広告代理業は、インターネットやスマホの普及でテレビCMが減少傾向で進んでいたところ、新型コロナウイルスの影響で各企業の広告費の削減が続いており、今後の展望が予測できません。
物品販売業は、緊急事態宣言発令により休業状態が続いていましたが、緊急事態宣言解除後、それぞれ状況を見ながら営業開始したものの、1店舗については未だ再開の目途が立っておらず、又、営業再開した店舗においても3密対策や入店制限等で収入が伸び悩んでいる状況であります。現在、新型コロナウイルスの感染が拡大や小康状態を繰り返し、収束が見通せない中、消毒・清掃対策、3密対策、飛沫感染対策に万全を期し、お客様が安心できる環境を提供してまいります。
旅行代理店業では、旅行会社を通さず、インターネットやアプリで旅行を手配する若い世代が増加しているなか、新型コロナウイルスの影響で旅行の需要そのものが縮小している状況です。経済活動の活性化に伴う感染拡大が懸念される中、今後の展望が予測できません。
総括として、当社グループは運輸事業を核とする企業体であり、富山県はマイカー所有率が全国でも高く、地方から首都圏への人口流出が続く中、老朽化施設の更新、バス運転手、鉄軌道運転士の確保、技術職の育成への対応等に対し、資金の確保と人員の確保が今後の最優先事項と考えております。加えて、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せないなか、交通インフラ事業者としての使命を果たし、この経営難を乗り越える所存であります。
当中間連結会計期間における当社グループ(当社及び当社の関係会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大が、社会経済活動全般に大きな影響を及ぼし、渡航規制によるインバウンド需要や、国内個人消費が大幅に減少するなど、極めて厳しい状況となりました。同感染症の影響が長期化するなか、外出自粛要請の緩和やGoToトラベルの実施などにより、個人消費が戻りつつあるものの景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような状況のもとで、当社グループの核となる運輸事業においても、同感染症拡大の長期化により、国内外観光客の利用や通勤・通学での利用も大幅に減少しましたが、地域のインフラを担う公共交通機関として、日常生活を支え守ることを使命と捉え、生活路線では平常通りのダイヤ確保に努めてまいりました。また、お客様に安心してご利用いただけるよう、車両・駅施設ではこまめに消毒作業を行い、車内は窓開けや空調による換気を実施、乗務員や駅係員にはマスクの着用を徹底し、職員の安全を守るとともに、お客様が安全な環境だと感じてご利用いただけるよう、感染拡大防止策に取り組み、実施してまいりました。
この結果、当中間連結会計期間の経営成績は、営業収益2,790,004千円(前年同期比53.0%減)、営業損失1,841,695千円(前年同期は営業利益175,388千円)、経常損失2,191,712千円(前年同期は経常利益421,951千円)、親会社株主に帰属する中間純損失2,682,068千円(前年同期は親会社株主に帰属する中間純利益340,307千円)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
a. 運輸事業
当中間連結会計期間の運輸事業においては、新型コロナウイルス感染症拡大の長期化により、訪日外国人観光客は、ほぼゼロとなり、国内においては、外出自粛要請などにより、利用客が大幅に減少し極めて厳しい環境でありました。この状況下において鉄軌道事業では、観光交通スーパーチケットキャンペーンを実施し、三種類のフリーきっぷを半額で販売し新規需要の掘り起こしに努め、自動車事業においては、観光路線や都市間高速バスは減便や運休体制をとり、需要にあったダイヤ管理で不要な経費の削減に取り組むとともに、GoToトラベル開始時期に合わせ、二階建てオープントップバスによる、富山県内の観光名所を周遊する企画商品を販売、観光需要の取り込みに努めたものの、当中間連結会計期間の営業収益は1,829,250千円と前中間連結会計期間に比べ2,162,452千円(前年同期比54.1%減)の大幅な減収となりました。
(提出会社の運輸成績表)
(イ)鉄道事業
項目 | 単位 | 当中間連結会計期間 (自 2020年4月1日 至 2020年9月30日) | 前年同期比(%) |
営業日数 | 日 | 183 | 0.0 |
営業粁 | 粁 | 93.2 | 0.0 |
客車走行粁 | 千粁 | 2,232 | △5.9 |
乗車人員 | 千人 | 2,184 | △29.2 |
定期 | 〃 | 1,745 | △16.6 |
定期外 | 〃 | 438 | △55.8 |
旅客収入 | 千円 | 449,451 | △44.1 |
定期 | 〃 | 272,036 | △17.5 |
定期外 | 〃 | 177,360 | △62.6 |
手小荷物収入 | 〃 | 54 | 19.2 |
運輸雑収 | 〃 | 47,341 | △50.1 |
収入合計 | 〃 | 496,793 | △44.7 |
乗車効率 | % | 8.63 | △28.1 |
1日平均収入 | 千円 | 2,714 | △44.7 |
1日1粁平均収入 | 〃 | 29.12 | △44.7 |
(注) 乗車効率の算出は延人粁/(客車走行粁×1車平均定員)によります。
(ロ)軌道事業
項目 | 単位 | 当中間連結会計期間 (自 2020年4月1日 至 2020年9月30日) | 前年同期比(%) |
営業日数 | 日 | 183 | 0.0 |
営業粁 | 粁 | 15.2 | 100.0 |
客車走行粁 | 千粁 | 607 | 45.2 |
乗車人員 | 千人 | 2,394 | △12.2 |
定期 | 〃 | 1,503 | 3.8 |
定期外 | 〃 | 891 | △30.4 |
旅客収入 | 千円 | 285,062 | △16.5 |
定期 | 〃 | 133,741 | 9.5 |
定期外 | 〃 | 151,320 | △31.0 |
運輸雑収 | 〃 | 47,207 | 16.2 |
収入合計 | 〃 | 332,270 | △13.0 |
乗車効率 | % | 13.84 | △39.5 |
1日平均収入 | 千円 | 1,815 | △13.0 |
1日1粁平均収入 | 〃 | 119.45 | △56.5 |
(注)1.乗車効率の算出は延人粁/(客車走行粁×1車平均定員)によります。
2.当中間連結会計期間において、営業粁等に著しい変動がありました。これは富山ライトレール㈱を吸収合併したことによるものです。
(ハ)自動車事業
乗合自動車
項目 | 単位 | 当中間連結会計期間 (自 2020年4月1日 至 2020年9月30日) | 前年同期比(%) |
営業日数 | 日 | 183 | 0.0 |
営業粁 | 粁 | 2,494.83 | 0.2 |
車両走行粁 | 千粁 | 3,878 | △22.6 |
乗車人員 | 千人 | 2,152 | △32.1 |
定期 | 〃 | 1,181 | △13.6 |
定期外 | 〃 | 971 | △46.2 |
旅客収入 | 千円 | 521,191 | △54.2 |
定期 | 〃 | 194,729 | △15.2 |
定期外 | 〃 | 326,461 | △64.0 |
運輸雑収 | 〃 | 180,552 | 3.1 |
収入合計 | 〃 | 701,744 | △46.5 |
乗車効率 | % | 8.98 | △52.5 |
1日平均収入 | 千円 | 3,834 | △46.5 |
走行1粁当り収入 | 円 | 180.92 | △30.9 |
(注) 乗車効率の算出は延人粁/(客車走行粁×1車平均定員)によります。
貸切自動車
項目 | 単位 | 当中間連結会計期間 (自 2020年4月1日 至 2020年9月30日) | 前年同期比(%) |
営業日数 | 日 | 183 | 0.0 |
車両走行粁 | 千粁 | 59 | △91.6 |
乗車人員 | 千人 | 20 | △87.7 |
旅客収入 | 千円 | 36,141 | △88.2 |
運送雑収 | 〃 | 3,507 | △92.4 |
収入合計 | 〃 | 39,648 | △88.8 |
1日平均収入 | 〃 | 216 | △88.8 |
走行1粁当り収入 | 円 | 663.35 | 34.3 |
(業種別営業収益)
セグメントの名称 | 当中間連結会計期間 (自 2020年4月1日 至 2020年9月30日) | 前年同期比(%) |
鉄道事業(千円) | 496,793 | △44.7 |
軌道事業(千円) | 332,270 | △13.0 |
自動車事業(千円) | 1,068,128 | △61.7 |
調整額(千円) | △67,941 | - |
報告セグメント計(千円) | 1,829,250 | △54.1 |
b. 不動産事業
不動産事業においては、積極的な営業展開をしたものの分譲土地の販売不振と不動産賃貸業においては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い飲食店の1店舗が退店したことにより当中間連結会計期間の営業収益は、227,325千円と前中間連結会計期間に比べ21,403千円(前年同期比8.6%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
セグメントの名称 | 当中間連結会計期間 (自 2020年4月1日 至 2020年9月30日) | 前年同期比(%) |
不動産分譲業(千円) | 12 | △96.0 |
不動産賃貸業(千円) | 227,313 | △8.4 |
報告セグメント計(千円) | 227,325 | △8.6 |
c. 建設事業
建設事業においては、工事の受注が減少し、当中間連結会計期間の営業収益は、51,161千円と前中間連結会計期間に比べ196,708千円(前年同期比79.3%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
セグメントの名称 | 当中間連結会計期間 (自 2020年4月1日 至 2020年9月30日) | 前年同期比(%) |
建設業(千円) | 51,161 | △79.3 |
報告セグメント計(千円) | 51,161 | △79.3 |
d. 保険代理事業
保険代理事業においては、依然として厳しい状況が続いており当中間連結会計期間の営業収益は、205,400千円と前中間連結会計期間に比べ5,062千円(前年同期比2.4%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
セグメントの名称 | 当中間連結会計期間 (自 2020年4月1日 至 2020年9月30日) | 前年同期比(%) |
保険代理業(千円) | 205,400 | △2.4 |
報告セグメント計(千円) | 205,400 | △2.4 |
e. 航空輸送事業代理業
航空輸送事業代理業においては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い国際線の全便運休や国内線の減便により当中間連結会計期間の営業収益は、179,792千円と前中間連結会計期間に比べ253,548千円(前年同期比58.5%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
セグメントの名称 | 当中間連結会計期間 (自 2020年4月1日 至 2020年9月30日) | 前年同期比(%) |
航空輸送事業代理業(千円) | 179,792 | △58.5 |
報告セグメント計(千円) | 179,792 | △58.5 |
f. ホテル業
ホテル業においては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い宿泊客が大幅に減少したことに加え、営業を休止したため当中間連結会計期間の営業収益は、89,582千円と前中間連結会計期間に比べ217,745千円(前年同期比70.8%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
セグメントの名称 | 当中間連結会計期間 (自 2020年4月1日 至 2020年9月30日) | 前年同期比(%) |
ホテル業(千円) | 89,582 | △70.8 |
報告セグメント計(千円) | 89,582 | △70.8 |
g. 自動車整備業
自動車整備業においては、修理受注工事が減少し当中間連結会計期間の営業収益は、281,390千円と前中間連結会計期間に比べ109,045千円(前年同期比27.9%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
セグメントの名称 | 当中間連結会計期間 (自 2020年4月1日 至 2020年9月30日) | 前年同期比(%) |
自動車整備業(千円) | 281,390 | △27.9 |
報告セグメント計(千円) | 281,390 | △27.9 |
h. その他
その他においては、娯楽・スポーツ業では新型コロナウイルス感染症拡大に伴い臨時休業等の影響を大きく受けたことや、広告代理業においては、企業の広告費削減により、その他事業に含まれる旅行代理店業においても旅行の取扱いの激減により当中間連結会計期間の営業収益は、389,980千円と前中間連結会計期間に比べ552,890千円(前年同期比58.6%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
セグメントの名称 | 当中間連結会計期間 (自 2020年4月1日 至 2020年9月30日) | 前年同期比(%) |
娯楽・スポーツ業(千円) | 106,097 | △47.9 |
広告代理業(千円) | 203,605 | △42.2 |
その他事業(千円) | 80,277 | △79.2 |
その他計(千円) | 389,980 | △58.6 |
②キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前中間連結会計期間末に比べ876,347千円増加し、当中間連結会計期間末には3,547,990千円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は691,847千円(前中間連結会計期間は785,739千円の資金を得ています)となりました。これは税金等調整前中間純損失が2,188,355千円と前中間連結会計期間に比べ2,609,000千円減少し、売上債権の減少額が411,216千円(前中間連結会計期間は116,723千円の増加額)であった一方で、仕入債務の減少額が365,443千円(前中間連結会計期間は59,941千円の増加額)、持分法による投資損失が647,157千円(前中間連結会計期間は244,199千円の投資利益)であったことが主な要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は28,592千円(前中間連結会計期間は105,048千円の使用)となりました。これは有形固定資産の取得による支出が982,780千円と前中間連結会計期間に比べ554,102千円増加し、工事負担金等受入による収入が827,489千円と前中間連結会計期間に比べ507,998千円増加、定期預金の払戻による収入が146,000千円と前中間連結会計期間に比べ140,000千円増加したことが主な要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は2,152,235千円(前中間連結会計期間は489,453千円の使用)となりました。これは借入金の純増額が前中間連結会計期間に比べ2,589,828千円増加したことが主な要因であります。
③生産・受注及び販売の実績
当社グループの販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また受注販売形態をとらない品目も多く、セグメントに関連付けて記載することが困難であるので記載しておりません。そのため生産、受注及び販売実績については、「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「①財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントごとに経営成績に関連付けて示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの中間連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この中間連結財務諸表の作成に当たりましては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの中間連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 中間連結財務諸表等(1)中間連結財務諸表」の「中間連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当中間連結会計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
当社グループの当中間連結会計期間の経営成績等は、各事業部門において新型コロナウイルス感染症が長期化したことにより、営業収益は2,790,004千円(前年同期比53.0%減)となり、営業費は南北接続による経費増加があった一方で、バス動力費の軽油単価が低く推移したこと、徹底的なコスト削減に努め4,631,699千円(前年同期比19.6%減)となった結果、営業損失は1,841,695千円(前年同期は営業利益175,388千円)、営業外損益を加減した経常損失は2,191,712千円(前年同期は経常利益421,951千円)となりました。これに特別利益と特別損失を加減した税金等調整前中間純損失は2,188,355千円(前年同期は税金等調整前中間純利益420,644千円)となり、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額並びに非支配株主に帰属する中間純損失を加減した2,682,068千円の親会社株主に帰属する中間純損失(前年同期は親会社株主に帰属する中間純利益340,307千円)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、新型コロナウイルス感染症の影響による国内外からの観光客の激減、3密対策による公共交通機関の利用者減、不要不急の外出自粛による商業施設の利用減により今後も収益に悪影響を及ぼすと予想しています。建設事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響による工事
の中止や延期、人材不足により収益へ悪影響を与えると予測しています。航空輸送事業代理業においては、国際便の全便運休と国内線の減便が続いており今後の収益確保も厳しいものと予測しています。ホテル業は訪日外国人観光客の利用は見込めず、国内においても県をまたがる旅行等の自粛により収益に悪影響を与えると予測しています。
財政状態の分析
(流動資産)
当中間連結会計期間末における流動資産の残高は4,846,799千円となり、前連結会計年度末に比べ150,895千円増加しました。この主な要因は、運輸事業の工事負担金等の回収によりその他に含まれる未収金の減少や借入金増加による現金及び預金の増加、建設事業の未成工事支出金を多額に計上したことによるたな卸資産の増加によるものであります。
(固定資産)
当中間連結会計期間末における固定資産の残高は15,974,418千円となり、前連結会計年度末に比べ1,321,755千円減少しました。この主な要因はコロナ禍の中、先行き不透明なことから設備投資を極力控えた一方で減価償却が進んだことと、収益の回復には相当時間がかかると判断し、税効果が見込めない事から繰延税金資産の取崩によるものであります。
(負債)
当中間連結会計期間末における負債の残高は13,895,667千円となり、前連結会計年度末に比べ1,503,729千円増加しました。この主な要因はコロナ禍の中、急激に収益が悪化したため、運転資金としての借入金が多額となったものであります。
(純資産)
当中間連結会計期間末における純資産の残高は6,925,550千円となり、前連結会計年度末に比べ2,674,588千円減少しました。この主な要因は新型コロナウイルス感染症の長期化により、収益がこれまでになく悪化し、利益剰余金が大きく減少したことによるものであります。
資本の財源及び資金の流動性の分析
(キャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」の記載のとおりであります。
(契約債務)
2020年9月30日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
年度別要支払額(千円) | |||||
契約債務 | 合計 | 1年以内 | 1年超3年以内 | 3年超5年以内 | 5年超 |
短期借入金 | 1,290,000 | 1,290,000 | - | - | - |
長期借入金 | 5,267,900 | 1,176,000 | 1,620,070 | 722,148 | 1,749,682 |
リース債務 | 744,407 | 353,900 | 317,120 | 68,116 | 5,270 |
割賦未払金 | 97,234 | 22,998 | 46,867 | 27,369 | - |
上記の表において、中間連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年以内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。
(財務政策)
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、運輸事業の設備修繕費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、運輸事業の設備の新設と改修等であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金、当社グループ間短期借入及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金は自己資金、金融機関からの長期借入、リース及び補助金を活用し調達しております。
なお、当中間連結会計期間末における借入金、リース債務、割賦未払金を含む有利子負債の残高は7,399,542千円となっております。また、当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は3,547,990千円となっております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、富山地方鉄道株式会社は年度計画に基づき、社長を議長に毎週経営幹部会議を開催し、月次業績や経営計画、個別施策の進捗状況等について報告し、情報の共有化を図るとともに、多面的な対策検討を実施し、経営目標の適切な達成管理を行っております。また、連結子会社の経営管理については、年度計画に基づく業務執行状況等の報告を受け、その都度指導を行うとともに重要案件は合議稟議制により決裁を行い、地鉄グループ全体として経営基盤を固め、中長期的に発展・存続できる体制づくりを行っております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の長期化により経済活動が停滞する中、当社グループへの影響は計り知れず、今後の展望は不透明であります。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
運輸事業
鉄道事業は、地方私鉄において93.2㎞の長い営業粁を有し、またトンネル、鉄橋も多数所有する中、維持管理費用は莫大であり、国、自治体から老朽化する設備維持への補助金がなくては事業の存続が厳しい状態が続いております。今後の展望も、鉄道沿線人口の減少に加え、コロナ禍が始まって以来、外出自粛やテレワークの普及、公共交通に対する不安感による利用者減、加えて、インバウンド効果に左右される観光収入源に大きな影響を与えております。又、7月には脱線事故という、あってはならない事故を起こしており、原因等については現在も調査中ではありますが、安全確立と信頼回復が急務となっております。これらを踏まえ今後の収支改善に向け、運賃改定、運行形態、勤務体系を抜本的に見直す必要があると認識するとともに、車両管理、施設管理体制の見直しを早急に整備する必要があると認識しております。
軌道事業は、2020年3月21日に市内軌道線と富山港線の南北接続という100年に1度の事業を開始し、新たな需要を生み出すと期待していたものの、新型コロナウイルス感染症の長期化により、未だ効果が見受けられない状況が続いております。新型コロナウイルスの特徴と対策が分かってきた現在、車内消毒・車内換気・南北接続による利便性のアピールに努め、事業運営に努めるところであります。
自動車事業は、乗合自動車の路線バス部門では新型コロナウイルスの影響で、お客様が利用されない状況となっていたものの、緊急事態宣言解除により徐々に回復してきている状況であります。高速バス部門においてはコロナ禍の中、出張・レジャー等の県をまたぐ移動の自粛や、公共交通機関に対する警戒の為、未だ回復の糸口が見えない状況であります。貸切バス部門においては3密対策の為、個人旅行の利用が多く貸切バスを利用する団体旅行の需要が伸び悩んでいる状況であり、当社グループとしては、今後も車内の3密対策、車内消毒、車内換気等の万全な体制を維持し、お客様の信頼を得る所存であります。
不動産事業
不動産事業は、不動産分譲業においては分譲団地販売がなく昨年度に引き続き営業損失となりました。コロナ禍の中、宅地開発への投資は慎重に検討していく必要があると判断しております。不動産賃貸業においては新型コロナウイルスの影響で、電鉄富山駅ビルにて飲食店の退店が1店舗、営業再開の目途が立っていない飲食店が1店舗という厳しい状況でありましたが、10月より飲食店が1店舗入居し、集客も徐々に戻ってきており、商業施設の活性化を見込んでおります。
建設事業
建設事業は、新型コロナウイルスの影響で民間工事の発注が激減しているなか、公共工事の受注に尽力し、収益の確保をしてまいります。
保険代理事業
保険代理事業は、コロナ禍での厳しい営業活動環境のなかで減収減益となりました。マスク着用、アルコール消毒、3密の回避を徹底し、場合によっては非対面営業により顧客の獲得を図ってまいります。
航空輸送事業代理業
航空輸送事業代理業は、航空業界全体が新型コロナウイルスの影響で甚大な影響を受けており、先行きが見通せない状況です。富山空港においても国際線は全便運休、国内便は一部のみ運行という状況が続いており、今後も予断を許さない状況であります。
ホテル業
ホテル業は、緊急事態宣言発令による休業や、解除後の3密対策の為の利用者制限により、極めて厳しい状況での営業活動となりました。今後の展開としましてはGoToキャンペーン事業の恩恵を得られるよう、万全の対策を実施し、お客様に安心してご利用いただく為のおもてなしを行っていく所存であります。
自動車整備業
自動車整備業は、新型コロナウイルスの影響で県内の高速バスや貸切バスの稼働が減少した事により、修理受注工事が大幅に減少しました。コロナ禍の収束がしばらく見込めない事から新規顧客の開拓を図っております。
その他
娯楽・スポーツ業は、緊急事態宣言が全国に拡大されたことから富山地鉄ゴールデンボウルとスポーツドームエアーズが5月中まで休業しておりました。営業再開後は万全な感染症対策を実施しておりますが、収入の回復には至っておらず、今後の見通しも予測できない状況であります。
広告代理業は、インターネットやスマホの普及でテレビCMが減少傾向で進んでいたところ、新型コロナウイルスの影響で各企業の広告費の削減が続いており、今後の展望が予測できません。
物品販売業は、緊急事態宣言発令により休業状態が続いていましたが、緊急事態宣言解除後、それぞれ状況を見ながら営業開始したものの、1店舗については未だ再開の目途が立っておらず、又、営業再開した店舗においても3密対策や入店制限等で収入が伸び悩んでいる状況であります。現在、新型コロナウイルスの感染が拡大や小康状態を繰り返し、収束が見通せない中、消毒・清掃対策、3密対策、飛沫感染対策に万全を期し、お客様が安心できる環境を提供してまいります。
旅行代理店業では、旅行会社を通さず、インターネットやアプリで旅行を手配する若い世代が増加しているなか、新型コロナウイルスの影響で旅行の需要そのものが縮小している状況です。経済活動の活性化に伴う感染拡大が懸念される中、今後の展望が予測できません。
総括として、当社グループは運輸事業を核とする企業体であり、富山県はマイカー所有率が全国でも高く、地方から首都圏への人口流出が続く中、老朽化施設の更新、バス運転手、鉄軌道運転士の確保、技術職の育成への対応等に対し、資金の確保と人員の確保が今後の最優先事項と考えております。加えて、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せないなか、交通インフラ事業者としての使命を果たし、この経営難を乗り越える所存であります。