有価証券報告書-第138期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に歯止めがかからず、緊急事態宣言が発出され経済活動が著しく抑制された影響により、生産や個人消費が大きく落ち込み、景気は急激かつ大幅に悪化しました。政府によるGoToキャンペーンなどにより持ち直しの動きは見られたものの限定的であり、昨年末より感染拡大の波が再び押し寄せ、変異株の流行など、依然として感染収束の兆しが見られず、経済は低迷し先行き不透明な状況となりました。
地方の中小私鉄・バス業界におきましても、新型コロナウイルス感染拡大に伴う全国一斉の休校措置や在宅勤務、外出自粛などの移動制限やインバウンドの消滅などによる向かい風が重なり、主力事業である輸送・観光需要が著しく激減し、未だかつて経験したことのない極めて厳しい事業環境での経営を余儀なくされました。
このような情勢のもと、当社では、鉄道線において立山や宇奈月方面への観光列車の運用取りやめを行い、高速バスにおいて東京・大阪・名古屋など大都市を往来する路線を中心に、運休や減便を実施し、遠足・修学旅行などの学校行事や団体ツアーが軒並み中止となった貸切バスでは最大20両の車両休車を実施するなど、感染状況により変動する利用動向を見極めながら柔軟な運行体制の構築に取り組み、動力費、経費の削減をしました。また、従業員の雇用を確保しつつ設備投資の先送りなど、当社グループでは徹底したコスト削減と運営の効率化に努めた一方で、営業収益の急減に伴う厳しい資金繰りに対処すべく、運転資金として金融機関よりこれまでにない多額の支援融資を受けたほか、雇用調整助成金など国や富山県並びに沿線自治体の補助金を最大限に活用しながら、地域住民の生活を支える公共交通機関としての社会的使命を果たすため、事業継続に向け全力をあげて取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は営業収益7,153,866千円(前年同期比40.3%減)、営業損失2,907,809千円(前年同期は営業損失106,465千円)、経常損失3,819,438千円(前年同期は経常損失491,939千円)、親会社株主に帰属する当期純損失2,996,238千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失391,394千円)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
a.運輸事業
鉄道事業では、鉄道オリジナルグッズの通信販売を開始し販売促進に努めたほか、参加人数を制限した事前申し込み制のイベントを2日間にわたり開催し、車庫見学や写真撮影会、鉄道物品の販売など多彩な企画で、鉄道ファンのニーズを捉えた営業活動を展開しました。施設面においては、富山駅付近連続立体交差事業における本線の高架化に向けた仮線建設工事に着手しました。
軌道事業では、本年3月21日に富山市の整備事業により富山港線に「オークスカナルパークホテル富山前」と「龍谷富山高校前(永楽町)」の2カ所の停留場を新たに開業し、市内電車の更なる利便性の向上と沿線地域の新規需要の開拓に取り組みました。また同日には、市内電車の南北直通運転開始1周年を記念して、市内電車の運賃を終日無料とし、南北直通運転による利便性向上と市内電車の優れた交通機能としての役割と存在価値をアピールしました。
乗合バス事業では、地域住民の生活を支える公共交通機関として、運行確保とダイヤの維持に努めるとともに、富山高専射水キャンパス線の運行を開始し、「富山市堀川南地域コミュニティバス」のバス停増設や運行ルートの見直しなど、利用者のニーズに即した運行経路の整備と生活路線の活性化に努めました。
貸切バス事業では、2階建てオープントップバス「スカイバス」を使用し、富山市内周遊コースなどを企画運行しました。富山県による県在住者を対象として運賃を半額とする割引キャンペーンの効果もあり好評を博し、コロナ禍で大打撃を受け停滞する観光需要の回復と富山県観光の新しい魅力の発見、発信に繋げました。
以上の結果、当連結会計年度の営業収益は、4,310,253千円と前連結会計年度に比べ3,097,597千円(前年同期比41.8%減)の減収となりました。
(提出会社の運輸成績表)
(イ)鉄道事業
(注)乗車効率の算出は延人粁/(客車走行粁×1車平均定員)によるものです。
(ロ)軌道事業
(注)乗車効率の算出は延人粁/(客車走行粁×1車平均定員)によるものです。
(ハ)自動車事業
乗合自動車
(注) 乗車効率の算出は延人粁/(車両走行粁×1車平均定員)によります。
貸切自動車
(業種別営業収益)
b.不動産事業
不動産事業においては、分譲土地の販売が1区画あったものの、不動産賃貸業においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴い飲食店の4店舗が退店したことにより当連結会計年度の営業収益は、470,804千円と前連結会計年度に比べ27,648千円(前年同期比5.5%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
c.建設事業
建設事業においては、大型工事の受注減少により当連結会計年度の営業収益は、902,440千円と前連結会計年度に比べ953,946千円(前年同期比51.3%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
d.保険代理事業
保険代理事業においては、依然として厳しい状況が続いており、更に新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛の影響で旅行保険等の減少により当連結会計年度の営業収益は、398,326千円と前連結会計年度に比べ16,333千円(前年同期比3.9%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
e.航空輸送事業代理業
航空輸送事業代理業においては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い国際線の全便運休や国内線の減便により当連結会計年度の営業収益は、411,198千円と前連結会計年度に比べ397,331千円(前年同期比49.1%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
f.ホテル業
ホテル業においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で営業を休止したことや、営業再開後も訪日外国人観光客、国内観光客ともに大幅に減少し、当連結会計年度の営業収益は、254,655千円と前連結会計年度に比べ281,040千円(前年同期比52.4%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
g.自動車整備業
自動車整備業においては、自動車販売は好調に推移したものの、修理受注工事が減少し当連結会計年度の営業収益は、701,437千円と前連結会計年度に比べ80,764千円(前年同期比10.3%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
h.その他
その他においては、娯楽・スポーツ業では新型コロナウイルス感染症拡大に伴い臨時休業等の影響を大きく受けたことや、広告代理業においては、企業の広告費削減により、その他事業に含まれる旅行代理店業においても団体旅行の取扱いの激減により当連結会計年度の営業収益は、943,404千円と前連結会計年度に比べ828,464千円(前年同期比46.7%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度に比べ1,958,378千円増加し、当連結会計年度末に4,074,572千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は745,166千円(前連結会計年度は827,065千円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純損失が2,431,257千円(前連結会計年度は3,367千円の税金等調整前当期純損失)、仕入債務の減少額が185,102千円(前連結会計年度は157,989千円の増加額)、固定資産圧縮損が252,104千円(前連結会計年度は1,190,130千円)、賞与引当金の減少額が92,826千円(前連結会計年度は8,414千円の増加額)であった一方で、工事負担金等受入額が317,364千円(前連結会計年度は1,360,411千円)、減損損失が186,552千円(前連結会計年度は118,632千円)、売上債権の減少額が256,106千円(前連結会計年度は158,723千円の増加額)、持分法による投資損失が1,307,935千円(前連結会計年度は370,266千円の投資損失)等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は239,074千円(前連結会計年度は358,811千円の使用)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入が286,811千円と前連結会計年度に比べ255,806千円増加したことや、工事負担金等受入による収入が1,115,026千円と前連結会計年度に比べ244,929千円増加したこと、有形固定資産の取得による支出が1,294,237千円と前連結会計年度に比べ124,587千円減少したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は2,464,470千円(前連結会計年度は832,464千円の使用)となりました。これは主に借入金の純増額が前連結会計年度に比べ3,207,164千円増加したこと等が主な要因であります。
③ 生産・受注及び販売の状況
当社グループの販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また受注販売形態をとらない品目も多く、セグメントに関連付けて記載することが困難であるので記載しておりません。そのため生産、受注及び販売の状況については、「①財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントごとに経営成績に関連付けて示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、各事業部門において新型コロナウイルス感染症の長期化に伴い、経済活動や個人消費が低迷し、GoToキャンペーンや助成金等の施策は行われたものの、本格的な回復には至らず、極めて厳しい状況となった結果、営業収益は7,153,866千円(前年同期比40.3%減)となりました。一方、営業費は設備投資の縮小や徹底的なコスト削減に努めたものの、運輸事業では記録的な大雪による除雪費の増加や鉄道線において落石による運行障害の復旧費等、自然災害にも見舞われ、10,061,676千円(前年同期比16.7%減)となった結果、2,907,809千円の営業損失となり、雇用調整助成金410,049千円を含む営業外収益の535,389千円と持分法による投資損失1,307,935千円を含む営業外費用1,447,018千円を加減した経常損失は3,819,438千円(前連結会計年度は491,939千円の経常損失)となりました。これに補助金549,642千円と工事負担金等受入額317,364千円、新型コロナウイルス感染症に係る助成金1,050,384千円を含む特別利益1,921,460千円と固定資産圧縮損252,104千円と減損損失186,552千円を含む特別損失533,280千円を加減した結果、2,431,257千円の税金等調整前当期純損失となり、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額ならびに非支配株主に帰属する当期純損失を加減した2,996,238千円の親会社株主に帰属する当期純損失(前連結会計年度は391,394千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、感染防止対策をきっかけとした人々の暮らし、働き方、価値観が大きく変化し、消費低迷が長引くことは避けられない見通しであり、今後も収益に悪影響を及ぼすと予想しています。
財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は6,368,126千円となり、前連結会計年度末に比べ1,672,222千円増加しました。この主な要因は、運転資金の確保として投資有価証券の一部売却や借入金増加による現金及び預金が増加したことであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は14,846,377千円となり、前連結会計年度末に比べ2,449,796千円減少しました。この主な要因は、コロナ禍の中、先行き不透明なことから設備投資を極力抑えた一方で減価償却費が進んだことと、運転資金の確保として投資有価証券を売却したことや、収益の回復には時間を要すると判断し、税効果が見込めないことから繰延税金資産の取崩しによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債の残高は14,524,639千円となり、前連結会計年度末に比べ2,132,701千円増加しました。この主な要因は、コロナ禍の中、急激に収益が悪化したため、運転資金としての借入金が多額となったものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は6,689,864千円となり、前連結会計年度末に比べ2,910,275千円減少しました。この主な要因は、新型コロナウイルス感染症の長期化により、収益がこれまでになく悪化し、利益剰余金が大きく減少したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」の記載のとおりであります。
(契約債務)
2021年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
上記の表において、連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年以内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。
(財務政策)
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、運輸事業の設備修繕費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、運輸事業の設備の新設と改修等であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金、当社グループ間短期借入及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金は自己資金、金融機関からの長期借入、リース及び補助金を活用し調達しております。
なお、当連結会計年度末における借入金、リース債務、割賦未払金を含む有利子負債の残高は7,736,932千円となっております。また、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は4,074,572千円となっております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、富山地方鉄道は年度計画に基づき、社長を議長に毎週経営幹部会議を開催し、月次業績や経営計画、個別施策の進捗状況等について報告し、情報の共有化を図るとともに、多面的な対策検討を実施し、経営目標の適切な達成管理を行っております。また、連結子会社の経営管理については、年度計画に基づく業務執行状況等の報告を受け、その都度指導を行うとともに重要案件は合議稟議制により決裁を行い、地鉄グループ全体として経営基盤を固め、中長期的に発展・存続できる体制づくりを行っております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の長期化により経済活動が停滞する中、当社グループへの影響は計り知れず、今後の展望は不透明であります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としています。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し、合理的に判断していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、新型コロナウイルス感染症による影響は不確定要素が多く、将来事業計画の見込数値に反映させることが難しいところではありますが、期末時点で入手可能な情報をもとに検証等をしております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
運輸事業
鉄道事業は、地方私鉄において93.2㎞の長い営業粁を有し、またトンネル、鉄橋も多数所有する中、維持管理費用は莫大であり、国、自治体から老朽化する設備投資への補助金がなくては事業の存続が厳しい状態が続いております。今後の展望も、鉄道沿線人口の減少に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛やテレワークの普及、公共交通に対する不安感による利用者減、加えて、インバウンド効果に左右される観光収入源に大きな影響を与えている中、昨年7月には脱線事故という、あってはならない事故を起こしており、安全確立と信頼回復が急務となっております。又、本年発生した大雪や落石による各種自然災害に対し、防災対策の更なる充実を図る必要があると認識し、車両管理、施設管理体制の見直しを早急に図ります。今後の収支改善については、運賃改定、運行形態について、抜本的な対策案を検討する段階に入ったと認識し、関係各所と更なる連携を密にし、推し進める所存であります。
軌道事業は、2020年3月21日に市内軌道線と富山港線の南北接続という100年に1度の事業を開始し、新たな需要を生み出すと期待していたものの、新型コロナウイルス感染症の長期化により、未だ効果が見受けられない状況が続いております。新型コロナウイルスの特徴と対策が分かってきた現在、車内消毒・車内換気・南北接続による利便性のアピールに努め、事業運営に努めるところであります。
自動車事業は、乗合自動車の路線バス部門では新型コロナウイルス感染症の影響から、ある程度は回復してきている状況ではありますが、路線別収支状況によっては、路線の再編も含め改革を進めてまいります。高速バス部門においては繰り返される緊急事態宣言により、出張・レジャー等の県をまたぐ移動自粛の為、未だ回復の糸口が見えない状況であり、事業縮小や一部撤退も視野に入れ、早急に建て直しを図ります。貸切バス部門においては、インバウンド需要の消失や団体旅行から個人旅行への変換により貸切バスの需要が伸び悩んでいる状況であり、事業縮小や撤退も視野に入れ、今後状況に応じた体制を図ってまいります。当社グループとしては、今後も車内の3密対策、車内消毒、車内換気等の万全な体制を維持し、お客様の信頼を得る所存であります。
不動産事業
不動産宅造事業は、コロナ禍の中、宅地開発への投資は慎重に検討していく必要があると判断しております。不動産賃貸業においては、コロナウイルスの影響で、電鉄富山駅ビルにて飲食店の退店が4店舗ありました。入店が1店舗あったものの、今後の予断を許さない状況となっております。
建設事業
建設事業は、新型コロナウイルスの影響で民間工事の発注が激減しているなか、公共工事の受注に尽力し、収益の確保をしてまいります。
保険代理事業
保険代理事業は、コロナ禍での厳しい営業活動環境のなかで減収減益となりました。マスク着用、アルコール消毒、3密の回避を徹底し、場合によっては非対面営業により顧客の獲得を図ってまいります。
航空輸送事業代理業
航空輸送事業代理業は、航空業界全体が新型コロナウイルスの影響で甚大な影響を受けており、先行きが見通せない状況です。富山空港においても国際線は全便運休、国内便は一部のみ運行という状況が続いており、今後も予断を許さない状況であり、今後の運営については、事業の撤退も含めて関係各所と検討に入る段階であると考えております。
ホテル業
ホテル業は、度重なる緊急事態宣言発令により国内旅行者や出張者の大幅減少に加え、インバウンドの消失により、極めて厳しい状況であります。今後の運営については、コロナ禍から脱しても低稼働が長引くようであれば自社ブランドでの事業継続可否についても判断を下す必要があると考えております。
自動車整備業
自動車整備業は、新型コロナウイルスの影響で県内の高速バスや貸切バスの稼働が減少したことにより、修理受注工事が大幅に減少しました。コロナ禍の収束がしばらく見込めない事から新規顧客の開拓を図っております。
その他
娯楽・スポーツ業は、富山地鉄ゴールデンボウルとスポーツドームエアーズが万全な感染症対策を実施しておりますが、収入の回復には至っておらず、今後の見通しも予測できない状況であります。スポーツドームエアーズについては、事業の継続可否について早急に検討に入るところであります。
広告代理業は、インターネットやスマホの普及でテレビCMが減少傾向で進んでいたところ、新型コロナウイルスの影響で各企業が広告費の削減が続いており、今後の展望が予測できません。
物品販売業は、新型コロナウイルス感染症の長期化の影響により、飲食店3店舗が閉店しております。現在、新型コロナウイルスワクチンの接種が始まったとはいえ、依然、収束が見通せない中、消毒・清掃対策、3密対策、飛沫感染対策に万全を尽くし、お客様が安心できる環境を提供してまいりますが、更なる事業縮小や撤退を視野に検討に入ります。
旅行代理店業は、旅行会社を通さず、インターネットやアプリで旅行を手配する若い世代が増加しているなか、新型コロナウイルスの影響で旅行の需要そのものが縮小している状況下で、一部営業所の撤退を実施しました。緊急事態宣言が繰り返される中、今後の状況次第では、更なる縮小や撤退も検討し始めております。
総括として、当社グループは運輸事業を核とする企業体であり、ウィズコロナ、アフターコロナに対し、安定的な事業運営を図るため早急な抜本的改革と中・長期的な改革を推し進めるべく中期計画を策定しました。今後、この計画を円滑に推し進めるため、関係各所と更なる連携を密にし、交通インフラ事業者として使命を果たし、経営難を乗り越える所存であります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に歯止めがかからず、緊急事態宣言が発出され経済活動が著しく抑制された影響により、生産や個人消費が大きく落ち込み、景気は急激かつ大幅に悪化しました。政府によるGoToキャンペーンなどにより持ち直しの動きは見られたものの限定的であり、昨年末より感染拡大の波が再び押し寄せ、変異株の流行など、依然として感染収束の兆しが見られず、経済は低迷し先行き不透明な状況となりました。
地方の中小私鉄・バス業界におきましても、新型コロナウイルス感染拡大に伴う全国一斉の休校措置や在宅勤務、外出自粛などの移動制限やインバウンドの消滅などによる向かい風が重なり、主力事業である輸送・観光需要が著しく激減し、未だかつて経験したことのない極めて厳しい事業環境での経営を余儀なくされました。
このような情勢のもと、当社では、鉄道線において立山や宇奈月方面への観光列車の運用取りやめを行い、高速バスにおいて東京・大阪・名古屋など大都市を往来する路線を中心に、運休や減便を実施し、遠足・修学旅行などの学校行事や団体ツアーが軒並み中止となった貸切バスでは最大20両の車両休車を実施するなど、感染状況により変動する利用動向を見極めながら柔軟な運行体制の構築に取り組み、動力費、経費の削減をしました。また、従業員の雇用を確保しつつ設備投資の先送りなど、当社グループでは徹底したコスト削減と運営の効率化に努めた一方で、営業収益の急減に伴う厳しい資金繰りに対処すべく、運転資金として金融機関よりこれまでにない多額の支援融資を受けたほか、雇用調整助成金など国や富山県並びに沿線自治体の補助金を最大限に活用しながら、地域住民の生活を支える公共交通機関としての社会的使命を果たすため、事業継続に向け全力をあげて取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は営業収益7,153,866千円(前年同期比40.3%減)、営業損失2,907,809千円(前年同期は営業損失106,465千円)、経常損失3,819,438千円(前年同期は経常損失491,939千円)、親会社株主に帰属する当期純損失2,996,238千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失391,394千円)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
a.運輸事業
鉄道事業では、鉄道オリジナルグッズの通信販売を開始し販売促進に努めたほか、参加人数を制限した事前申し込み制のイベントを2日間にわたり開催し、車庫見学や写真撮影会、鉄道物品の販売など多彩な企画で、鉄道ファンのニーズを捉えた営業活動を展開しました。施設面においては、富山駅付近連続立体交差事業における本線の高架化に向けた仮線建設工事に着手しました。
軌道事業では、本年3月21日に富山市の整備事業により富山港線に「オークスカナルパークホテル富山前」と「龍谷富山高校前(永楽町)」の2カ所の停留場を新たに開業し、市内電車の更なる利便性の向上と沿線地域の新規需要の開拓に取り組みました。また同日には、市内電車の南北直通運転開始1周年を記念して、市内電車の運賃を終日無料とし、南北直通運転による利便性向上と市内電車の優れた交通機能としての役割と存在価値をアピールしました。
乗合バス事業では、地域住民の生活を支える公共交通機関として、運行確保とダイヤの維持に努めるとともに、富山高専射水キャンパス線の運行を開始し、「富山市堀川南地域コミュニティバス」のバス停増設や運行ルートの見直しなど、利用者のニーズに即した運行経路の整備と生活路線の活性化に努めました。
貸切バス事業では、2階建てオープントップバス「スカイバス」を使用し、富山市内周遊コースなどを企画運行しました。富山県による県在住者を対象として運賃を半額とする割引キャンペーンの効果もあり好評を博し、コロナ禍で大打撃を受け停滞する観光需要の回復と富山県観光の新しい魅力の発見、発信に繋げました。
以上の結果、当連結会計年度の営業収益は、4,310,253千円と前連結会計年度に比べ3,097,597千円(前年同期比41.8%減)の減収となりました。
(提出会社の運輸成績表)
(イ)鉄道事業
項目 | 単位 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
営業日数 | 日 | 365 | △0.2 |
営業粁 | 粁 | 93.2 | 0.0 |
客車走行粁 | 千粁 | 4,442 | △4.3 |
乗車人員 | 千人 | 4,716 | △20.7 |
定期 | 〃 | 3,609 | △12.8 |
定期外 | 〃 | 1,106 | △38.7 |
旅客収入 | 千円 | 987,667 | △31.3 |
定期 | 〃 | 562,999 | △12.9 |
定期外 | 〃 | 424,548 | △46.4 |
手小荷物収入 | 〃 | 119 | 23.2 |
運輸雑収 | 〃 | 119,993 | △48.0 |
収入合計 | 〃 | 1,107,660 | △33.6 |
乗車効率 | % | 9.34 | △18.3 |
1日平均収入 | 千円 | 3,034 | △33.5 |
1日1粁平均収入 | 〃 | 32.56 | △33.5 |
(注)乗車効率の算出は延人粁/(客車走行粁×1車平均定員)によるものです。
(ロ)軌道事業
項目 | 単位 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
営業日数 | 日 | 365 | △0.2 |
営業粁 | 粁 | 15.2 | 0.0 |
客車走行粁 | 千粁 | 1,194 | 36.0 |
乗車人員 | 千人 | 5,548 | 2.2 |
定期 | 〃 | 3,289 | 12.6 |
定期外 | 〃 | 2,258 | △9.8 |
旅客収入 | 千円 | 662,887 | △1.6 |
定期 | 〃 | 282,984 | 13.1 |
定期外 | 〃 | 379,902 | △10.3 |
運輸雑収 | 〃 | 188,099 | 70.0 |
収入合計 | 〃 | 850,986 | 8.4 |
乗車効率 | % | 16.30 | △23.2 |
1日平均収入 | 千円 | 2,331 | 8.7 |
1日1粁平均収入 | 〃 | 153.38 | △39.8 |
(注)乗車効率の算出は延人粁/(客車走行粁×1車平均定員)によるものです。
(ハ)自動車事業
乗合自動車
項目 | 単位 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
営業日数 | 日 | 365 | △0.2 |
営業粁 | 粁 | 2,524.8 | 0.8 |
車両走行粁 | 千粁 | 7,786 | △22.2 |
乗車人員 | 千人 | 4,606 | △24.9 |
定期 | 〃 | 2,398 | △9.6 |
定期外 | 〃 | 2,208 | △36.6 |
旅客収入 | 千円 | 1,152,285 | △46.8 |
定期 | 〃 | 397,196 | △10.5 |
定期外 | 〃 | 755,089 | △56.2 |
運輸雑収 | 〃 | 364,493 | △0.7 |
収入合計 | 〃 | 1,516,779 | △40.2 |
乗車効率 | % | 10.14 | △43.3 |
1日平均収入 | 千円 | 4,155 | △40.0 |
走行1粁当たり収入 | 円 | 194.78 | △23.1 |
(注) 乗車効率の算出は延人粁/(車両走行粁×1車平均定員)によります。
貸切自動車
項目 | 単位 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
営業日数 | 日 | 365 | △0.2 |
車両走行粁 | 千粁 | 289 | △75.8 |
乗車人員 | 千人 | 53 | △76.2 |
旅客収入 | 千円 | 146,050 | △71.0 |
運輸雑収 | 〃 | 21,668 | △71.9 |
収入合計 | 〃 | 167,719 | △71.1 |
1日平均収入 | 〃 | 459 | △71.0 |
走行1粁当たり収入 | 円 | 580.16 | 19.6 |
(業種別営業収益)
業種別 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
鉄道事業(千円) | 1,107,660 | △33.6 |
軌道事業(千円) | 850,986 | 8.4 |
自動車事業(千円) | 2,483,402 | △51.4 |
調整額(千円) | △131,796 | - |
報告セグメント計(千円) | 4,310,253 | △41.8 |
b.不動産事業
不動産事業においては、分譲土地の販売が1区画あったものの、不動産賃貸業においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴い飲食店の4店舗が退店したことにより当連結会計年度の営業収益は、470,804千円と前連結会計年度に比べ27,648千円(前年同期比5.5%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
業種別 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
不動産分譲業(千円) | 5,216 | 1,379.0 |
不動産賃貸業(千円) | 465,588 | △6.5 |
報告セグメント計(千円) | 470,804 | △5.5 |
c.建設事業
建設事業においては、大型工事の受注減少により当連結会計年度の営業収益は、902,440千円と前連結会計年度に比べ953,946千円(前年同期比51.3%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
業種別 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
建設業(千円) | 902,440 | △51.3 |
報告セグメント計(千円) | 902,440 | △51.3 |
d.保険代理事業
保険代理事業においては、依然として厳しい状況が続いており、更に新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛の影響で旅行保険等の減少により当連結会計年度の営業収益は、398,326千円と前連結会計年度に比べ16,333千円(前年同期比3.9%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
業種別 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
保険代理業(千円) | 398,326 | △3.9 |
報告セグメント計(千円) | 398,326 | △3.9 |
e.航空輸送事業代理業
航空輸送事業代理業においては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い国際線の全便運休や国内線の減便により当連結会計年度の営業収益は、411,198千円と前連結会計年度に比べ397,331千円(前年同期比49.1%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
業種別 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
航空輸送事業代理業(千円) | 411,198 | △49.1 |
報告セグメント計(千円) | 411,198 | △49.1 |
f.ホテル業
ホテル業においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で営業を休止したことや、営業再開後も訪日外国人観光客、国内観光客ともに大幅に減少し、当連結会計年度の営業収益は、254,655千円と前連結会計年度に比べ281,040千円(前年同期比52.4%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
業種別 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
ホテル業(千円) | 254,655 | △52.4 |
報告セグメント計(千円) | 254,655 | △52.4 |
g.自動車整備業
自動車整備業においては、自動車販売は好調に推移したものの、修理受注工事が減少し当連結会計年度の営業収益は、701,437千円と前連結会計年度に比べ80,764千円(前年同期比10.3%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
業種別 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
自動車整備業(千円) | 701,437 | △10.3 |
報告セグメント計(千円) | 701,437 | △10.3 |
h.その他
その他においては、娯楽・スポーツ業では新型コロナウイルス感染症拡大に伴い臨時休業等の影響を大きく受けたことや、広告代理業においては、企業の広告費削減により、その他事業に含まれる旅行代理店業においても団体旅行の取扱いの激減により当連結会計年度の営業収益は、943,404千円と前連結会計年度に比べ828,464千円(前年同期比46.7%減)の減収となりました。
(業種別営業収益)
業種別 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
娯楽・スポーツ業(千円) | 243,888 | △38.4 |
広告代理業(千円) | 491,698 | △27.6 |
その他事業(千円) | 207,817 | △70.1 |
その他計(千円) | 943,404 | △46.7 |
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度に比べ1,958,378千円増加し、当連結会計年度末に4,074,572千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は745,166千円(前連結会計年度は827,065千円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純損失が2,431,257千円(前連結会計年度は3,367千円の税金等調整前当期純損失)、仕入債務の減少額が185,102千円(前連結会計年度は157,989千円の増加額)、固定資産圧縮損が252,104千円(前連結会計年度は1,190,130千円)、賞与引当金の減少額が92,826千円(前連結会計年度は8,414千円の増加額)であった一方で、工事負担金等受入額が317,364千円(前連結会計年度は1,360,411千円)、減損損失が186,552千円(前連結会計年度は118,632千円)、売上債権の減少額が256,106千円(前連結会計年度は158,723千円の増加額)、持分法による投資損失が1,307,935千円(前連結会計年度は370,266千円の投資損失)等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は239,074千円(前連結会計年度は358,811千円の使用)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入が286,811千円と前連結会計年度に比べ255,806千円増加したことや、工事負担金等受入による収入が1,115,026千円と前連結会計年度に比べ244,929千円増加したこと、有形固定資産の取得による支出が1,294,237千円と前連結会計年度に比べ124,587千円減少したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は2,464,470千円(前連結会計年度は832,464千円の使用)となりました。これは主に借入金の純増額が前連結会計年度に比べ3,207,164千円増加したこと等が主な要因であります。
③ 生産・受注及び販売の状況
当社グループの販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また受注販売形態をとらない品目も多く、セグメントに関連付けて記載することが困難であるので記載しておりません。そのため生産、受注及び販売の状況については、「①財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントごとに経営成績に関連付けて示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、各事業部門において新型コロナウイルス感染症の長期化に伴い、経済活動や個人消費が低迷し、GoToキャンペーンや助成金等の施策は行われたものの、本格的な回復には至らず、極めて厳しい状況となった結果、営業収益は7,153,866千円(前年同期比40.3%減)となりました。一方、営業費は設備投資の縮小や徹底的なコスト削減に努めたものの、運輸事業では記録的な大雪による除雪費の増加や鉄道線において落石による運行障害の復旧費等、自然災害にも見舞われ、10,061,676千円(前年同期比16.7%減)となった結果、2,907,809千円の営業損失となり、雇用調整助成金410,049千円を含む営業外収益の535,389千円と持分法による投資損失1,307,935千円を含む営業外費用1,447,018千円を加減した経常損失は3,819,438千円(前連結会計年度は491,939千円の経常損失)となりました。これに補助金549,642千円と工事負担金等受入額317,364千円、新型コロナウイルス感染症に係る助成金1,050,384千円を含む特別利益1,921,460千円と固定資産圧縮損252,104千円と減損損失186,552千円を含む特別損失533,280千円を加減した結果、2,431,257千円の税金等調整前当期純損失となり、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額ならびに非支配株主に帰属する当期純損失を加減した2,996,238千円の親会社株主に帰属する当期純損失(前連結会計年度は391,394千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、感染防止対策をきっかけとした人々の暮らし、働き方、価値観が大きく変化し、消費低迷が長引くことは避けられない見通しであり、今後も収益に悪影響を及ぼすと予想しています。
財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は6,368,126千円となり、前連結会計年度末に比べ1,672,222千円増加しました。この主な要因は、運転資金の確保として投資有価証券の一部売却や借入金増加による現金及び預金が増加したことであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は14,846,377千円となり、前連結会計年度末に比べ2,449,796千円減少しました。この主な要因は、コロナ禍の中、先行き不透明なことから設備投資を極力抑えた一方で減価償却費が進んだことと、運転資金の確保として投資有価証券を売却したことや、収益の回復には時間を要すると判断し、税効果が見込めないことから繰延税金資産の取崩しによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債の残高は14,524,639千円となり、前連結会計年度末に比べ2,132,701千円増加しました。この主な要因は、コロナ禍の中、急激に収益が悪化したため、運転資金としての借入金が多額となったものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は6,689,864千円となり、前連結会計年度末に比べ2,910,275千円減少しました。この主な要因は、新型コロナウイルス感染症の長期化により、収益がこれまでになく悪化し、利益剰余金が大きく減少したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」の記載のとおりであります。
(契約債務)
2021年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
年度別要支払額(千円) | |||||
契約債務 | 合計 | 1年以内 | 1年超3年以内 | 3年超5年以内 | 5年超 |
長期借入金 | 7,075,460 | 1,637,577 | 1,860,952 | 1,295,978 | 2,280,952 |
リース債務 | 575,700 | 299,193 | 227,839 | 45,784 | 2,883 |
割賦未払金 | 85,771 | 23,142 | 47,161 | 15,468 | - |
上記の表において、連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年以内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。
(財務政策)
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、運輸事業の設備修繕費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、運輸事業の設備の新設と改修等であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金、当社グループ間短期借入及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金は自己資金、金融機関からの長期借入、リース及び補助金を活用し調達しております。
なお、当連結会計年度末における借入金、リース債務、割賦未払金を含む有利子負債の残高は7,736,932千円となっております。また、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は4,074,572千円となっております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、富山地方鉄道は年度計画に基づき、社長を議長に毎週経営幹部会議を開催し、月次業績や経営計画、個別施策の進捗状況等について報告し、情報の共有化を図るとともに、多面的な対策検討を実施し、経営目標の適切な達成管理を行っております。また、連結子会社の経営管理については、年度計画に基づく業務執行状況等の報告を受け、その都度指導を行うとともに重要案件は合議稟議制により決裁を行い、地鉄グループ全体として経営基盤を固め、中長期的に発展・存続できる体制づくりを行っております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の長期化により経済活動が停滞する中、当社グループへの影響は計り知れず、今後の展望は不透明であります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としています。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し、合理的に判断していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、新型コロナウイルス感染症による影響は不確定要素が多く、将来事業計画の見込数値に反映させることが難しいところではありますが、期末時点で入手可能な情報をもとに検証等をしております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
運輸事業
鉄道事業は、地方私鉄において93.2㎞の長い営業粁を有し、またトンネル、鉄橋も多数所有する中、維持管理費用は莫大であり、国、自治体から老朽化する設備投資への補助金がなくては事業の存続が厳しい状態が続いております。今後の展望も、鉄道沿線人口の減少に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛やテレワークの普及、公共交通に対する不安感による利用者減、加えて、インバウンド効果に左右される観光収入源に大きな影響を与えている中、昨年7月には脱線事故という、あってはならない事故を起こしており、安全確立と信頼回復が急務となっております。又、本年発生した大雪や落石による各種自然災害に対し、防災対策の更なる充実を図る必要があると認識し、車両管理、施設管理体制の見直しを早急に図ります。今後の収支改善については、運賃改定、運行形態について、抜本的な対策案を検討する段階に入ったと認識し、関係各所と更なる連携を密にし、推し進める所存であります。
軌道事業は、2020年3月21日に市内軌道線と富山港線の南北接続という100年に1度の事業を開始し、新たな需要を生み出すと期待していたものの、新型コロナウイルス感染症の長期化により、未だ効果が見受けられない状況が続いております。新型コロナウイルスの特徴と対策が分かってきた現在、車内消毒・車内換気・南北接続による利便性のアピールに努め、事業運営に努めるところであります。
自動車事業は、乗合自動車の路線バス部門では新型コロナウイルス感染症の影響から、ある程度は回復してきている状況ではありますが、路線別収支状況によっては、路線の再編も含め改革を進めてまいります。高速バス部門においては繰り返される緊急事態宣言により、出張・レジャー等の県をまたぐ移動自粛の為、未だ回復の糸口が見えない状況であり、事業縮小や一部撤退も視野に入れ、早急に建て直しを図ります。貸切バス部門においては、インバウンド需要の消失や団体旅行から個人旅行への変換により貸切バスの需要が伸び悩んでいる状況であり、事業縮小や撤退も視野に入れ、今後状況に応じた体制を図ってまいります。当社グループとしては、今後も車内の3密対策、車内消毒、車内換気等の万全な体制を維持し、お客様の信頼を得る所存であります。
不動産事業
不動産宅造事業は、コロナ禍の中、宅地開発への投資は慎重に検討していく必要があると判断しております。不動産賃貸業においては、コロナウイルスの影響で、電鉄富山駅ビルにて飲食店の退店が4店舗ありました。入店が1店舗あったものの、今後の予断を許さない状況となっております。
建設事業
建設事業は、新型コロナウイルスの影響で民間工事の発注が激減しているなか、公共工事の受注に尽力し、収益の確保をしてまいります。
保険代理事業
保険代理事業は、コロナ禍での厳しい営業活動環境のなかで減収減益となりました。マスク着用、アルコール消毒、3密の回避を徹底し、場合によっては非対面営業により顧客の獲得を図ってまいります。
航空輸送事業代理業
航空輸送事業代理業は、航空業界全体が新型コロナウイルスの影響で甚大な影響を受けており、先行きが見通せない状況です。富山空港においても国際線は全便運休、国内便は一部のみ運行という状況が続いており、今後も予断を許さない状況であり、今後の運営については、事業の撤退も含めて関係各所と検討に入る段階であると考えております。
ホテル業
ホテル業は、度重なる緊急事態宣言発令により国内旅行者や出張者の大幅減少に加え、インバウンドの消失により、極めて厳しい状況であります。今後の運営については、コロナ禍から脱しても低稼働が長引くようであれば自社ブランドでの事業継続可否についても判断を下す必要があると考えております。
自動車整備業
自動車整備業は、新型コロナウイルスの影響で県内の高速バスや貸切バスの稼働が減少したことにより、修理受注工事が大幅に減少しました。コロナ禍の収束がしばらく見込めない事から新規顧客の開拓を図っております。
その他
娯楽・スポーツ業は、富山地鉄ゴールデンボウルとスポーツドームエアーズが万全な感染症対策を実施しておりますが、収入の回復には至っておらず、今後の見通しも予測できない状況であります。スポーツドームエアーズについては、事業の継続可否について早急に検討に入るところであります。
広告代理業は、インターネットやスマホの普及でテレビCMが減少傾向で進んでいたところ、新型コロナウイルスの影響で各企業が広告費の削減が続いており、今後の展望が予測できません。
物品販売業は、新型コロナウイルス感染症の長期化の影響により、飲食店3店舗が閉店しております。現在、新型コロナウイルスワクチンの接種が始まったとはいえ、依然、収束が見通せない中、消毒・清掃対策、3密対策、飛沫感染対策に万全を尽くし、お客様が安心できる環境を提供してまいりますが、更なる事業縮小や撤退を視野に検討に入ります。
旅行代理店業は、旅行会社を通さず、インターネットやアプリで旅行を手配する若い世代が増加しているなか、新型コロナウイルスの影響で旅行の需要そのものが縮小している状況下で、一部営業所の撤退を実施しました。緊急事態宣言が繰り返される中、今後の状況次第では、更なる縮小や撤退も検討し始めております。
総括として、当社グループは運輸事業を核とする企業体であり、ウィズコロナ、アフターコロナに対し、安定的な事業運営を図るため早急な抜本的改革と中・長期的な改革を推し進めるべく中期計画を策定しました。今後、この計画を円滑に推し進めるため、関係各所と更なる連携を密にし、交通インフラ事業者として使命を果たし、経営難を乗り越える所存であります。