有価証券報告書-第54期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2019年4月1日から2020年3月31日まで)におけるわが国経済は、米中貿易摩擦や中国の景気減速などにより輸出や生産が弱含むなか、個人消費の持ち直しや設備投資の増加を下支えに緩やかな回復が続きましたが、昨年10月の消費増税に加えて、年明け以降、新型コロナウイルス感染症の世界的規模での流行が発生し、年度末にかけて景気の後退が顕在化しました。
海運業界を取り巻く環境は、内航海運では、第3四半期までは総じて堅調な荷動きが続きましたが、新型コロナウイルス感染症の国内での流行拡大防止のため、都市部を中心に人の移動を自粛する動きが出てきたことから、第4四半期には徐々に荷動きにも影響が出始めました。一方、外航海運では、中国経済の減速等により市況が改善に至らず、加えて新型コロナウイルス感染症の世界的な流行拡大により、市況や荷動きの先行きが一層不透明な状況になりました。
こうした情勢下、当社グループの当連結会計年度の売上高は、近海部門での輸送量の減少や貸船を含めた稼働の減少、年明け以降の市況の下落に加え、内航部門での燃料油価格の下落による調整金収入の減少や返船による船腹の減少などにより、前期に比べて3.1%減収の443億37百万円となりました。営業利益は、内航部門で一部の船舶の耐用年数の変更等を行い減価償却費が減少し、また、入渠費用も減少したものの、近海部門の稼働の減少や市況低迷もあり、前期に比べて4.6%減益の19億13百万円となり、経常利益は前期に比べて6.8%減益の19億7百万円となりました。
また、船隊整備の一環として内航船1隻を売船し、固定資産売却益を計上するなどした結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期に比べて19.2%減益の13億70百万円となりました。
事業のセグメント別業績概況は次のとおりです。
<セグメント別 売上高/営業損益>(単位:百万円)
(※)OSVとは「Offshore Support Vessel(オフショア支援船)」の略称です。
「近海部門」
鋼材輸送では、米中貿易摩擦など世界情勢の先行き不安により日本出し鋼材の減少が懸念されましたが、スポット配船の獲得に注力したことで、当社の輸送量は、前期を上回りました。
木材輸送では、国産合板の台頭により輸入合板が減少したことで、当社の輸送量も前期を下回りましたが、効率配船に努め、収支改善を図りました。バイオマス発電用燃料(ウッドペレットやPKS)については、日本各地で発電所の新規稼働が続き、輸入量が増加しています。しかしながら、船社間の競争が激化していることから、顧客対象を絞った営業展開により、当社の輸送量は前期並みとなりました。
バルク輸送では、スラグや穀物などの輸送量が増加した一方で、当社の主要貨物であるロシア炭の輸送では航海数が減少したことなどで、前期をやや下回る輸送量となりました。
この結果、同部門全体では、前期をやや下回る輸送量となったことに加え、貸船を含めた稼働も減少したことなどから、売上高は、前期に比べて8.0%減収の119億35百万円となりました。営業損益は、市況の下落もあり前期に比べて3億91百万円減益の3億50百万円の損失となり、計画を下回り損失が拡大しました。
「内航部門」
定期船輸送では、製紙工場の生産停止による紙製品の減少やサンマ等の不漁による水産品の減少に加え、競合他社運航船の大型化などもあり、北海道航路では輸送量が減少した一方、清水/大分航路では、期初に運航船の入れ替えを実施したことなどで、輸送量が大幅に増加しました。
フェリー輸送では、春の大型連休により八戸/苫小牧と宮古/室蘭の両航路で旅客と乗用車の利用が増加しましたが、年明け以降、新型コロナウイルス感染症の流行拡大により、旅客需要が低迷し、通期では旅客は前期並みの利用に留まりました。一方トラックでは、消費増税や暖冬の影響はあったものの、宅配貨物などの乗船が安定して推移したことで、前期並みの輸送量となりました。また、宮古/室蘭航路では、宮古港発着におけるトラック輸送量に増加の兆しが見られないことから、収支の改善を図る為、2020年3月31日を以て宮古寄港を休止し、4月1日より八戸/室蘭航路で運航を開始しています。
不定期船輸送では、鉄鋼需要が世界的に低迷するなか、国内の鉄鋼向け石灰石専用船は概ね安定した稼働となり、電力向け石炭専用船も、一時的に台風の影響を受けたものの、概ね安定した稼働となりました。
この結果、同部門では、略前期並みの輸送量となったものの、燃料油価格の下落による調整金収入の減少や返船による船腹の減少等により売上高は、前期に比べて1.2%減収の303億39百万円となりました。営業利益は一部の船舶での耐用年数の変更等による減価償却費の減少や入渠費用の減少などにより、前期に比べて14.8%増益の20億85百万円となり、計画を上回りました。
「OSV部門」
オフショア支援船事業では、2019年2月に経済産業省策定の「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」が改定されるなど、海洋資源開発を促進する政策に進捗が見られました。こうしたなか、当社グループでは南海トラフの掘削支援業務において、地球深部探査船“ちきゅう”をサポートし、また日高沖基礎試錐の支援業務では、掘削リグに対するサプライ等の支援を実施しました。更に海底鉱物資源の探査業務やCCS(二酸化炭素の回収・貯留)関連の調査業務、漁船や貨物船のサルベージ等にも従事した結果、略前期並みの稼働率となりました。
同部門では、当期は上記の支援船事業や救難作業に従事したことなどにより各船とも高稼働を維持したことから売上高は、前期に比べて0.8%増収の20億59百万円となりました。営業利益は前期に比べて20.1%増益の1億77百万円となり、計画を上回りました。
また、財政状態の状況については「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容」に記載しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、営業活動及び投資活動による収入が、財務活動による支出を上回ったため、当連結会計年度期首に比べ22億84百万円増加し、101億66百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が前年同期に比べ5億80百万円減少の20億95百万円となりましたが、売上債権の減少と仕入債務の増加などにより、前年同期に比べ11億15百万円増加し、52億33百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度は自己資金を活用して建造中の船舶に係る設備投資などを行う一方で、船舶の売却や補助金の受取などにより、投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の69億28百万円の支出に対し、1百万円の収入となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当社グループは主要な事業資産である船舶の取得に際して、金融機関からの長期借入を行っておりますが、当期は新規の設備資金の借入がなく、25億19百万円の長期借入金を返済し、また3億52百万円の配当金を支払ったことなどにより、財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の41億13百万円の収入に対し、29億54百万円の支出となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、海運業を主たる事業としているため、生産及び受注の状況は記載しておりません。また、販
売の状況については、「(1)経営成績等の状況の概要」において記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容
経営成績の分析
「売上高」
当社グループの当連結会計年度における売上高は、前期に比べて13億97百万円(3.1%)減少し、443億37百万円と
なりました。
減収の主な要因は、近海部門において輸送量が減少したことや貸船を含めた稼働が減少したことに加え、年明
け以降に市況が下落し、その後、新型コロナウイルス感染症の中国での流行が拡大したことなどにより、市況が
回復に至らず、同部門の売上高は、前期に比べて10億31百万円(8.0%)減少し、119億35百万円となりました。
内航部門においては、燃料油価格の下落による調整金収入の減少や返船による船腹の減少に加え、フェリー輸
送での新型コロナウイルス感染症の影響による旅客需要の低迷などにより、同部門の売上高は、前期に比べて3
億82百万円(1.2%)減少し、303億39百万円となりました。
OSV部門においては、前年並みの稼働率を維持したことで、同部門の売上高は、前期に比べて16百万円(0.8%)
増加し、20億59百万円となりました。
各報告セグメントの連結売上高に占める割合は、近海部門が26.9%、内航部門が68.4%、OSV部門が4.6%、その他
が0.0%となりました。
「営業利益」
当社グループの当連結会計年度における営業利益は、前期に比べて92百万円(4.6%)減少し19億13百万円となり
ました。
売上原価は前期に比べて11億78百万円(3.0%)減少し、380億49百万円となり、販売費及び一般管理費も、前期に
比べ1億26百万円(2.8%)減少し、43億75百万円となりましたが、上記のとおり売上高が前期に比べて13億97百
万円(3.1%)減収になったことで営業減益となりました。
各部門における売上原価の主な減少要因は、近海部門では貨物量が減少したことにより借船料が減少したこと
などによるもので、内航部門では一部の船舶で耐用年数の変更等を行い減価償却費が減少したことや入渠費用が
減少したことなどによるものです。
「経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益」
当社グループの当連結会計年度における経常利益は、前期に比べて1億40百万円(6.8%)減少し、19億7百万円
となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、船隊整備の一環として内航船1隻を売船したことで4億33百万円の特別利
益を計上した一方で、保有する有価証券の価格が下落したことにより、投資有価証券評価損2億45百万円を特別
損失として計上し、法人税等を控除した結果、前期に比べて3億26百万円(19.2%)減少し、13億70百万円となり
ました。
財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ10億74百万円減少し472億96百万円となりました。
流動資産は、営業未収入金や未収消費税等の減少があったものの、現金及び預金や船舶の燃料を主とする貯蔵品
の増加により、18億15百万円増加し175億3百万円となりました。固定資産は近海部門やOSV部門にて建造予定
の船舶に係る建設仮勘定の増加があったものの、主に内航部門における船舶の売却および減価償却により、
28億90百万円減少し297億92百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べ19億89百万円減少し194億78百万円となりました。
流動負債は、燃料油購入に係る営業未払金や未払消費税等が増加したものの、設備未払金の支払いや短期借入
金の返済による減少により、11億65百万円減少し80億56百万円となりました。固定負債は、船舶の定期検査の
為の特別修繕引当金や退職給付に係る負債が増加したものの、長期未払金の支払いや長期借入金の返済による
減少により、8億23百万円減少し114億21百万円となりました。
純資産は、配当金の支払の一方、当期利益による利益剰余金の増加により、前連結会計年度末に比べ
9億14百万円増加し278億17百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
また、キャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下のとおりであります。
自己資本比率 : 自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額(期末株価終値×期末発行済株式数)/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 : 有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ : 営業キャッシュ・フロー/利払い
資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を図るため、資本コストを意識した経営と財務体質の安定を基本方針とし、経営資源の配分及び配当政策に基づいた株主還元を行っております。
当社グループにおける運転資金需要としては、運航費・船費・借船料等の海運業費用と一般管理費等がありますが、その資金は「営業活動によるキャッシュ・フロー」により確保しております。また、設備投資の需要としては、船舶等の建造・取得がありますが、投資額の一部資金を金融機関からの長期借入により確保しております。なお、グループ内の資金管理は、当社において一元化しており、自己資金と外部借入をバランス良く組み合わせることにより、資本効率の向上に努めております。
新型コロナウイルス感染症の流行拡大に対しては、事業を安全かつ安定的に行っていくための備えとして、当社は複数の金融機関との間で当座貸越契約を締結しており、資金の流動性に留意しつつ、機動的な資金調達を行うことで、経営の安定を図っております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項 追加情報」に記載のとおりであります。
(固定資産の減損処理)
減損損失を認識するか否かの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、経営環境等の外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の予算等を、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積もっております。当該見積りには、それまでの計画に基づく趨勢を踏まえた一定の仮定をおいて見積もっております。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2019年4月1日から2020年3月31日まで)におけるわが国経済は、米中貿易摩擦や中国の景気減速などにより輸出や生産が弱含むなか、個人消費の持ち直しや設備投資の増加を下支えに緩やかな回復が続きましたが、昨年10月の消費増税に加えて、年明け以降、新型コロナウイルス感染症の世界的規模での流行が発生し、年度末にかけて景気の後退が顕在化しました。
海運業界を取り巻く環境は、内航海運では、第3四半期までは総じて堅調な荷動きが続きましたが、新型コロナウイルス感染症の国内での流行拡大防止のため、都市部を中心に人の移動を自粛する動きが出てきたことから、第4四半期には徐々に荷動きにも影響が出始めました。一方、外航海運では、中国経済の減速等により市況が改善に至らず、加えて新型コロナウイルス感染症の世界的な流行拡大により、市況や荷動きの先行きが一層不透明な状況になりました。
こうした情勢下、当社グループの当連結会計年度の売上高は、近海部門での輸送量の減少や貸船を含めた稼働の減少、年明け以降の市況の下落に加え、内航部門での燃料油価格の下落による調整金収入の減少や返船による船腹の減少などにより、前期に比べて3.1%減収の443億37百万円となりました。営業利益は、内航部門で一部の船舶の耐用年数の変更等を行い減価償却費が減少し、また、入渠費用も減少したものの、近海部門の稼働の減少や市況低迷もあり、前期に比べて4.6%減益の19億13百万円となり、経常利益は前期に比べて6.8%減益の19億7百万円となりました。
また、船隊整備の一環として内航船1隻を売船し、固定資産売却益を計上するなどした結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期に比べて19.2%減益の13億70百万円となりました。
事業のセグメント別業績概況は次のとおりです。
<セグメント別 売上高/営業損益>(単位:百万円)
| 2020年3月期 | 2019年3月期 | 増減額 | 増減率 | ||||
| 上期 | 下期 | ||||||
| 近海部門 | 売上高 | 11,935 | 6,148 | 5,787 | 12,966 | △1,031 | △8.0% |
| 営業損益 | △350 | △6 | △344 | 41 | △391 | ― | |
| 内航部門 | 売上高 | 30,339 | 15,467 | 14,871 | 30,722 | △382 | △1.2% |
| 営業損益 | 2,085 | 1,372 | 712 | 1,816 | 269 | 14.8% | |
| OSV部門(※) | 売上高 | 2,059 | 887 | 1,171 | 2,042 | 16 | 0.8% |
| 営業損益 | 177 | 77 | 99 | 147 | 29 | 20.1% | |
| その他 | 売上高 | 3 | 1 | 1 | 3 | △0 | △8.6% |
| 営業損益 | 0 | 0 | 0 | 0 | △0 | △14.4% | |
| 合計 | 売上高 | 44,337 | 22,505 | 21,831 | 45,734 | △1,397 | △3.1% |
| 営業損益 | 1,913 | 1,444 | 468 | 2,005 | △92 | △4.6% | |
(※)OSVとは「Offshore Support Vessel(オフショア支援船)」の略称です。
「近海部門」
鋼材輸送では、米中貿易摩擦など世界情勢の先行き不安により日本出し鋼材の減少が懸念されましたが、スポット配船の獲得に注力したことで、当社の輸送量は、前期を上回りました。
木材輸送では、国産合板の台頭により輸入合板が減少したことで、当社の輸送量も前期を下回りましたが、効率配船に努め、収支改善を図りました。バイオマス発電用燃料(ウッドペレットやPKS)については、日本各地で発電所の新規稼働が続き、輸入量が増加しています。しかしながら、船社間の競争が激化していることから、顧客対象を絞った営業展開により、当社の輸送量は前期並みとなりました。
バルク輸送では、スラグや穀物などの輸送量が増加した一方で、当社の主要貨物であるロシア炭の輸送では航海数が減少したことなどで、前期をやや下回る輸送量となりました。
この結果、同部門全体では、前期をやや下回る輸送量となったことに加え、貸船を含めた稼働も減少したことなどから、売上高は、前期に比べて8.0%減収の119億35百万円となりました。営業損益は、市況の下落もあり前期に比べて3億91百万円減益の3億50百万円の損失となり、計画を下回り損失が拡大しました。
「内航部門」
定期船輸送では、製紙工場の生産停止による紙製品の減少やサンマ等の不漁による水産品の減少に加え、競合他社運航船の大型化などもあり、北海道航路では輸送量が減少した一方、清水/大分航路では、期初に運航船の入れ替えを実施したことなどで、輸送量が大幅に増加しました。
フェリー輸送では、春の大型連休により八戸/苫小牧と宮古/室蘭の両航路で旅客と乗用車の利用が増加しましたが、年明け以降、新型コロナウイルス感染症の流行拡大により、旅客需要が低迷し、通期では旅客は前期並みの利用に留まりました。一方トラックでは、消費増税や暖冬の影響はあったものの、宅配貨物などの乗船が安定して推移したことで、前期並みの輸送量となりました。また、宮古/室蘭航路では、宮古港発着におけるトラック輸送量に増加の兆しが見られないことから、収支の改善を図る為、2020年3月31日を以て宮古寄港を休止し、4月1日より八戸/室蘭航路で運航を開始しています。
不定期船輸送では、鉄鋼需要が世界的に低迷するなか、国内の鉄鋼向け石灰石専用船は概ね安定した稼働となり、電力向け石炭専用船も、一時的に台風の影響を受けたものの、概ね安定した稼働となりました。
この結果、同部門では、略前期並みの輸送量となったものの、燃料油価格の下落による調整金収入の減少や返船による船腹の減少等により売上高は、前期に比べて1.2%減収の303億39百万円となりました。営業利益は一部の船舶での耐用年数の変更等による減価償却費の減少や入渠費用の減少などにより、前期に比べて14.8%増益の20億85百万円となり、計画を上回りました。
「OSV部門」
オフショア支援船事業では、2019年2月に経済産業省策定の「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」が改定されるなど、海洋資源開発を促進する政策に進捗が見られました。こうしたなか、当社グループでは南海トラフの掘削支援業務において、地球深部探査船“ちきゅう”をサポートし、また日高沖基礎試錐の支援業務では、掘削リグに対するサプライ等の支援を実施しました。更に海底鉱物資源の探査業務やCCS(二酸化炭素の回収・貯留)関連の調査業務、漁船や貨物船のサルベージ等にも従事した結果、略前期並みの稼働率となりました。
同部門では、当期は上記の支援船事業や救難作業に従事したことなどにより各船とも高稼働を維持したことから売上高は、前期に比べて0.8%増収の20億59百万円となりました。営業利益は前期に比べて20.1%増益の1億77百万円となり、計画を上回りました。
また、財政状態の状況については「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容」に記載しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、営業活動及び投資活動による収入が、財務活動による支出を上回ったため、当連結会計年度期首に比べ22億84百万円増加し、101億66百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が前年同期に比べ5億80百万円減少の20億95百万円となりましたが、売上債権の減少と仕入債務の増加などにより、前年同期に比べ11億15百万円増加し、52億33百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度は自己資金を活用して建造中の船舶に係る設備投資などを行う一方で、船舶の売却や補助金の受取などにより、投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の69億28百万円の支出に対し、1百万円の収入となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当社グループは主要な事業資産である船舶の取得に際して、金融機関からの長期借入を行っておりますが、当期は新規の設備資金の借入がなく、25億19百万円の長期借入金を返済し、また3億52百万円の配当金を支払ったことなどにより、財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の41億13百万円の収入に対し、29億54百万円の支出となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、海運業を主たる事業としているため、生産及び受注の状況は記載しておりません。また、販
売の状況については、「(1)経営成績等の状況の概要」において記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容
経営成績の分析
「売上高」
当社グループの当連結会計年度における売上高は、前期に比べて13億97百万円(3.1%)減少し、443億37百万円と
なりました。
減収の主な要因は、近海部門において輸送量が減少したことや貸船を含めた稼働が減少したことに加え、年明
け以降に市況が下落し、その後、新型コロナウイルス感染症の中国での流行が拡大したことなどにより、市況が
回復に至らず、同部門の売上高は、前期に比べて10億31百万円(8.0%)減少し、119億35百万円となりました。
内航部門においては、燃料油価格の下落による調整金収入の減少や返船による船腹の減少に加え、フェリー輸
送での新型コロナウイルス感染症の影響による旅客需要の低迷などにより、同部門の売上高は、前期に比べて3
億82百万円(1.2%)減少し、303億39百万円となりました。
OSV部門においては、前年並みの稼働率を維持したことで、同部門の売上高は、前期に比べて16百万円(0.8%)
増加し、20億59百万円となりました。
各報告セグメントの連結売上高に占める割合は、近海部門が26.9%、内航部門が68.4%、OSV部門が4.6%、その他
が0.0%となりました。
「営業利益」
当社グループの当連結会計年度における営業利益は、前期に比べて92百万円(4.6%)減少し19億13百万円となり
ました。
売上原価は前期に比べて11億78百万円(3.0%)減少し、380億49百万円となり、販売費及び一般管理費も、前期に
比べ1億26百万円(2.8%)減少し、43億75百万円となりましたが、上記のとおり売上高が前期に比べて13億97百
万円(3.1%)減収になったことで営業減益となりました。
各部門における売上原価の主な減少要因は、近海部門では貨物量が減少したことにより借船料が減少したこと
などによるもので、内航部門では一部の船舶で耐用年数の変更等を行い減価償却費が減少したことや入渠費用が
減少したことなどによるものです。
「経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益」
当社グループの当連結会計年度における経常利益は、前期に比べて1億40百万円(6.8%)減少し、19億7百万円
となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、船隊整備の一環として内航船1隻を売船したことで4億33百万円の特別利
益を計上した一方で、保有する有価証券の価格が下落したことにより、投資有価証券評価損2億45百万円を特別
損失として計上し、法人税等を控除した結果、前期に比べて3億26百万円(19.2%)減少し、13億70百万円となり
ました。
財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ10億74百万円減少し472億96百万円となりました。
流動資産は、営業未収入金や未収消費税等の減少があったものの、現金及び預金や船舶の燃料を主とする貯蔵品
の増加により、18億15百万円増加し175億3百万円となりました。固定資産は近海部門やOSV部門にて建造予定
の船舶に係る建設仮勘定の増加があったものの、主に内航部門における船舶の売却および減価償却により、
28億90百万円減少し297億92百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べ19億89百万円減少し194億78百万円となりました。
流動負債は、燃料油購入に係る営業未払金や未払消費税等が増加したものの、設備未払金の支払いや短期借入
金の返済による減少により、11億65百万円減少し80億56百万円となりました。固定負債は、船舶の定期検査の
為の特別修繕引当金や退職給付に係る負債が増加したものの、長期未払金の支払いや長期借入金の返済による
減少により、8億23百万円減少し114億21百万円となりました。
純資産は、配当金の支払の一方、当期利益による利益剰余金の増加により、前連結会計年度末に比べ
9億14百万円増加し278億17百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
また、キャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下のとおりであります。
| 2018年3月期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | |
| 自己資本比率(%) | 57.8 | 53.2 | 56.2 |
| 時価ベースの自己資本比率(%) | 25.3 | 19.7 | 15.6 |
| キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) | 2.1 | 3.4 | 2.3 |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 43.3 | 32.7 | 56.8 |
自己資本比率 : 自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額(期末株価終値×期末発行済株式数)/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 : 有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ : 営業キャッシュ・フロー/利払い
資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を図るため、資本コストを意識した経営と財務体質の安定を基本方針とし、経営資源の配分及び配当政策に基づいた株主還元を行っております。
当社グループにおける運転資金需要としては、運航費・船費・借船料等の海運業費用と一般管理費等がありますが、その資金は「営業活動によるキャッシュ・フロー」により確保しております。また、設備投資の需要としては、船舶等の建造・取得がありますが、投資額の一部資金を金融機関からの長期借入により確保しております。なお、グループ内の資金管理は、当社において一元化しており、自己資金と外部借入をバランス良く組み合わせることにより、資本効率の向上に努めております。
新型コロナウイルス感染症の流行拡大に対しては、事業を安全かつ安定的に行っていくための備えとして、当社は複数の金融機関との間で当座貸越契約を締結しており、資金の流動性に留意しつつ、機動的な資金調達を行うことで、経営の安定を図っております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項 追加情報」に記載のとおりであります。
(固定資産の減損処理)
減損損失を認識するか否かの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、経営環境等の外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の予算等を、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積もっております。当該見積りには、それまでの計画に基づく趨勢を踏まえた一定の仮定をおいて見積もっております。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。