有価証券報告書-第73期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/23 14:35
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経営成績等の状況の概要
(1)財政状態および経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、中東情勢の緊迫化や米国をはじめとする政治・経済の不確実性の高まりなど、国際情勢の変動が顕著な一年となりました。これらはエネルギー価格や為替を通じて国内経済にも影響を及ぼし、企業活動や個人消費の抑制要因となっております。また、近年の気候変動は猛暑や激甚災害の増加にとどまらず、秋田県内においては過去最悪水準のクマ被害の発生にもつながるなど、地域社会においても新たなリスクを顕在化させています。
このような状況のもと、秋田県内経済は緩やかな持ち直しの動きが見られたものの、人口減少・高齢化といった構造的要因を背景に、個人消費の伸び悩みや企業の慎重な姿勢が続き、総じて力強さを欠く状況で推移しました。加えて、物価やエネルギー・資材価格の高騰、人出不足に伴う人件費上昇が企業収益を圧迫しており、広告出稿についても費用対効果を重視した選別的な姿勢が継続しています。
これらの状況を背景に、わが国の総広告費は、電通の「2025年日本の広告費」によれば、8兆623億円(前年比105.1%)と4年連続で過去最高を更新しました。とりわけインターネット広告費は4兆459億円(同110.8%)と初めて4兆円を突破し、構成比も50.2%と半数越えとなり、広告市場のデジタルシフトが一層鮮明となりました。
一方で、地上波テレビ広告費は1兆6,333億円(同99.9%)と横ばい圏にとどまり、ラジオ広告費も1,153億円(同99.2%)と前年を下回るなど、従来型メディアを取り巻く環境は引き続き厳しい状況が続いています。全国ベースでは放送広告に一定の回復が見られるものの、ローカルにおいてはその効果は限定的であり、地域間の格差も顕在化しています。
このような市場環境のもと、当社におきましては、テレビ放送収入はスポット広告が低調に推移し、タイム広告が
一定の下支えとなったものの、前年度を下回る結果となりました。一方、ラジオ放送収入は東京エリアが好調に推移し前年度を上回りましたが、全体としてテレビの減収分を補うには至りませんでした。
以上のような状況を踏まえ、当社は地域に根差した基幹放送局として、放送収入を基盤としつつ収益源の多様化を図り、コンテンツ制作力の強化と事業領域の拡張に取り組んでまいりました。
まず、コンテンツ制作・報道分野においては、札幌テレビ放送との共同制作による「クマージェンシー2~ヒトとクマ 境界線崩壊~」を全国ネット番組として放送したことに加えて、「堕ちるB29墜落~生存兵の足跡~」を制作・放送しました。これらの番組制作を通じて、地域課題を全国に発信し、報道機関としての存在を印象付けることにつながりました。
次に、事業領域の拡張への取り組みとしては、デジタル分野において「ABSあきたアプリ」の展開強化、事業分野において、「古代エジプト美術館展」、「ABS全国グルメフェスタ」、「辻井伸行×清水和音 究極の協奏曲コンサート」など多様なジャンルの地域に密着した企画を展開し、いずれも堅調な成果を収めました。
さらに、当社の番組IP(Intellectual Property 知的財産)を活用し、リアルイベントと連動させることで、視聴率の向上と収益性の改善を同時に達成することにも取り組みました。事前イベント「乾杯!秋田ナイト」からの『ぶらり雪中、秋田夫婦酒。VOL3』では視聴率向上に一定の成果を挙げることができました。
なお、2026ワールド・ベースボール・クラシックにおいては、地上波テレビでの試合中継は実施できませんでしたが、当社のABSラジオにおいて全試合を放送しました。これにより、音声メディアの即時性と網羅性を活かし、リスナーとの接点拡大および媒体価値の向上につなげています。
こうした結果、当事業年度の売上高は、4,013,109千円で前事業年度比197,257千円(△4.7%)の減収となりました。事業部門別の内訳は、テレビ放送収入は、スポット収入がタイム収入の微増分を上回る減少をしたことから、前事業年度比26,703千円(△0.7%)減収の3,557,879千円となり、ラジオ放送収入は、東京支社のタイム・スポット収入の復調や本社のその他イベント収入により、前事業年度比6,586千円(+2.4%)増収の277,625千円となりました。その他の事業収入は、昨年開催したような大型イベントがなく、前事業年度比177,139千円(△49.9%)と大きく減収の177,605千円となりました。
営業費用においては、事業費が減少したことなどにより、前事業年度比132,796千円(△3.2%)減少の4,058,366千円となりました。内訳は、売上原価は、事業費および減価償却費が減少した一方、戦後80年特別番組や「ぶらり途中下車の旅」特番放送等に伴い、番組制作費や番組購入費が増加したものの、前事業年度比136,058千円(△5.7%)減少の2,235,949千円となり、販売費及び一般管理費は、代理店手数料が減少しましたが、委託管理費が増加したため、前事業年度比3,262千円(+0.2%)増加の1,822,417千円となりました。これにより、45,257千円の営業損失となり、営業外収益に75,764千円、営業外費用に39,676千円を計上したことから、9,169千円の経常損失となりました。その他、特別利益には金利上昇に伴い前期同様に退職給付引当金戻入額39,009千円を計上したことなどにより、当期純利益は前事業年度比30,876千円(△53.2%)減少の27,169千円となり、二期連続で純利益を確保しました。
当社は放送事業の単一セグメントであるため、事業部門別の経営成績は次のとおりです。
①テレビ放送部門
テレビ放送部門は、タイム収入が微増したものの、スポット収入が減少したことから、売上高は前事業年度比26,703千円(△0.7%)減収の3,557,879千円となりました。また、人件費が減少したものの番組購入費および番組制作費が増加したことなどにより、売上原価は、前年同期比5,788千円(+0.3%)増加の1,830,475千円となり、販売費及び一般管理費は、役員報酬や人件費が増加したものの、売上減収に伴って代理店手数料が減少したことなどにより、前年同期比6,545千円(△0.4%)減少の1,710,434千円となったため、テレビ放送の営業利益は16,970千円(前年同期比25,946千円の減少)となりました。
②ラジオ放送部門
ラジオ放送部門は、タイム収入が減少したものの、スポット収入が増加したことから、売上高は前事業年度比6,586千円(+2.4%)増収の277,625千円となりました。売上原価は、番組制作費やニュース費に加え、減価償却費が減少したことなどにより、前年同期比26,412千円(△10.0%)減少の238,532千円となり、販売費及び一般管理費は、前年同期比9,807千円(+9.6%)増加の111,983千円となったため、ラジオ放送の営業損失は前年同期比で23,191千円損失が減り72,890千円となりました。
③その他部門
その他部門は、昨年開催したような大型イベントがなかったことから、売上高は前事業年度比177,139千円(△49.9%)減収の177,605千円となりましたが、事業費用および人件費に166,943千円を計上したため、営業利益は10,662千円(前年同期比61,705千円の減少)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、税引前当期純利益が29,187千円(前年同期比29,040千円減)となったものの、売上債権の増減額が32,170千円の減少(前年同期は32,565千円の増加)だったことや、その他の負債の減少額が132千円(前年同期比83,171千円減)となった一方、前事業年度にはなかった投資有価証券の取得による支出480,000千円があったこと、現金及び現金同等物の増減額が416,522千円の減少(前年同期は79,047千円の増加)だったことなどにより、当事業年度末は、1,646,183千円(前年同期比416,522千円減)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動によって得られた資金は414,514千円(前年同期比34,139千円減)となりました。これは、税引前当期純利益29,187千円(前年同期比29,040千円減)を計上したものの、減価償却費が514,747千円(前年同期比40,453千円減)となったこと、金利上昇に伴って退職給付引当金の割引率を見直したことにより退職給付引当金の減少額が97,875千円(前年同期は47,631千円の減少)となったこと、売掛金が減少したことにより、売上債権の増減額が32,170千円の減少(前年同期は32,565千円の増加)となったこと、当事業年度における消費税中間納付額が増加したことにより、未払消費税等の増減額が31,670千円の減少(前年同期は19,717千円の増加)となったこと、未払金や未払代理店手数料が減少したことなどによりその他の負債の減少額が132千円(前年同期は83,303千円の減少)となったことが主な要因です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動によって支出した資金は、596,516千円(前年同期比509,765千円増)となりました。これは前事業年度にはなかった投資有価証券の取得による支出が480,000千円あったこと、有形固定資産の取得による支出が111,283千円(前年同期比30,773千円増)だったことが主な要因です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動によって使用した資金は、234,520千円(前年同期比48,334千円減)となりました。これは、前事業年度にあった短期借入金の純増減額△30,000千円が当事業年度にはなかったこと、長期借入金の返済による支出が196,008千円(前年同期比18,334千円減)だったことが主な要因です。
(3)生産、受注及び販売の実績
(1)販売実績
当事業年度の販売実績を事業部門別に示すと次のとおりです。
事業部門別金額(千円)前期比(%)
テレビ放送3,557,87999.3
ラジオ放送277,625102.4
その他177,60550.1
合計4,013,10995.3

(注)1.主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先前事業年度当事業年度
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
日本テレビ放送網㈱1,055,90825.11,050,11726.2
㈱電通574,23513.6578,52114.4

経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものです。
1.当事業年度の経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容
当事業年度におけるわが国経済は、中東情勢の緊迫化や米国をはじめとする政治・経済の不確実性の高まりなど、国際情勢の変動が顕著な一年となりました。これらはエネルギー価格や為替を通じて国内経済にも影響を及ぼし、企業活動や個人消費の抑制要因となっております。また、近年の気候変動は猛暑や激甚災害の増加にとどまらず、秋田県内においては過去最悪水準のクマ被害の発生にもつながるなど、地域社会においても新たなリスクを顕在化させています。
このような状況のもと、秋田県内経済は緩やかな持ち直しの動きが見られたものの、人口減少・高齢化といった構造的要因を背景に、個人消費の伸び悩みや企業の慎重な姿勢が続き、総じて力強さを欠く状況で推移しました。加えて、物価やエネルギー・資材価格の高騰、人出不足に伴う人件費上昇が企業収益を圧迫しており、広告出稿についても費用対効果を重視した選別的な姿勢が継続しています。
これらの状況を背景に、わが国の総広告費は、電通の「2025年日本の広告費」によれば、8兆623億円(前年比105.1%)と4年連続で過去最高を更新しました。とりわけインターネット広告費は4兆459億円(同110.8%)と初めて4兆円を突破し、構成比も50.2%と半数越えとなり、広告市場のデジタルシフトが一層鮮明となりました。
一方で、地上波テレビ広告費は1兆6,333億円(同99.9%)と横ばい圏にとどまり、ラジオ広告費も1,153億円(同99.2%)と前年を下回るなど、従来型メディアを取り巻く環境は引き続き厳しい状況が続いています。全国ベースでは放送広告に一定の回復が見られるものの、ローカルにおいてはその効果は限定的であり、地域間の格差も顕在化しています。
このような市場環境のもと、当社におきましては、テレビ放送収入はスポット広告が低調に推移し、タイム広告が一定の下支えとなったものの、前年度を下回る結果となりました。一方、ラジオ放送収入は東京エリアが好調に推移し前年度を上回りましたが、全体としてテレビの減収分を補うには至りませんでした。
売上高は、4,013,109千円で前事業年度比197,257千円(△4.7%)の減収となりました。テレビ放送部門については、タイム放送収入は前事業年度に比べ36,700千円(2.1%)増収の1,769,861千円となり、スポット放送収入は前事業年度に比べ63,076千円(△3.6%)減収の1,691,799千円となりました。ラジオ放送部門については、タイム放送収入は前事業年度に比べ4,935千円(△3.0%)減収の158,021千円に、スポット放送収入は前事業年度に比べ3,931千円(5.0%)増収の83,320千円となりました。その他の収入は前事業年度に比べ177,139千円(△49.9%)減収の177,605千円となりました。
2.財政状態に関する認識および分析・検討内容
(1)資産・負債・資本の状況
前事業年度
(令和7年3月31日)
当事業年度
(令和8年3月31日)
増減
流動資産(千円)3,416,4722,995,336△421,136
固定資産(千円)4,061,6444,146,88685,242
資産合計(千円)7,478,1167,142,222△335,894
流動負債(千円)865,979798,472△67,506
固定負債(千円)4,942,4584,644,484△297,975
負債合計(千円)5,808,4375,442,956△365,481
純資産(千円)1,669,6791,699,26629,587
負債純資産合計(千円)7,478,1167,142,222△335,894

①資産
当事業年度末の総資産残高は、前事業年度に比べ335,894千円(△4.5%)減少し、7,142,222千円となりました。内訳は流動資産の減少が前事業年度に比べ421,136千円(△12.3%)、有形固定資産の減少が前事業年度に比べ403,730千円(△11.6%)、投資その他の資産の増加が前事業年度に比べ488,627千円(86.2%)です。流動資産の減少については、余資運用のため債券を購入し現金及び預金が減少したこと、有形固定資産の減少については、新社屋関連設備の減価償却が進んだこと、投資その他の資産の増加については、新たに債券を取得したことがそれぞれ主たる要因です。
②負債
当事業年度末の負債残高は、前事業年度に比べ365,481千円(△6.3%)減少し、5,442,956千円となりました。流動負債の減少は、リース債務および未払消費税等が減少したこと、固定負債の減少については、長期借入金の返済が進んだことが主たる要因です。
③純資産
当事業年度末の純資産残額は、前事業年度に比べ29,587千円(1.8%)増加し、1,699,266千円となりました。当事業年度において当期純利益27,169千円を計上したことが主たる要因です。
(2)キャッシュ・フローの状況・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報
詳細については経営成績等の状況の概要(2)キャッシュ・フローの状況の項の記載内容を参照してください。
当社の運転資金需要の主なものは、放送費、技術費、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものです。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。
短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入により、設備投資や長期運転資金の調達については、主に金融機関からの長期借入ないしリース契約によることとしています。
なお、当事業年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は4,032,251千円、現金及び現金同等物の残高は1,646,183千円となっています。
(3)重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。詳細については、第5 経理の状況の項の記載内容を参照してください。

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