有価証券報告書-第64期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/22 9:02
【資料】
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【項目】
116項目

(経営成績等の状況の概要)
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当期のわが国の経済は、長引く新型コロナ禍の影響下にありましたが、2021年9月末の緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の解除以降、厳しい状況は徐々に緩和され、持ち直しの動きが見られるようになりました。その一方で、変異株を含めた新型コロナウイルス感染症による国内外の経済への影響や、ウクライナ情勢の長期化などに伴う原材料価格の高騰といった、先行きに不透明さを感じさせる要因も出てきていました。放送業界では、新型コロナウイルス感染防止対策を講じた番組制作が前提となり、ウィズコロナ下での社会経済活動の再開へ向けた準備が進みました。また、メディア環境の変化を踏まえ、放送だけではなくネット配信を意識したコンテンツ制作への取り組みが加速しました。こうした経済や社会情勢のもと、当社グループでは、主力事業である放送事業部門において、安定した放送の継続を図りながら様々な取り組みにより収益の確保に努め、各事業部門においても新型コロナ禍に対処しながら、収益の確保に取り組みました。
以上の結果、放送事業部門、その他事業部門において増収、不動産事業部門、情報処理事業部門において減収となり、連結売上高は185億11百万円(前年同期比10.0%増)となりました。経常利益は20億95百万円(前年同期比38.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は10億78百万円(前年同期比10.6%増)となりました。
セグメントごとの業績は以下のとおりです。
① 放送事業
放送事業では、新型コロナ禍による大きな影響を受けていた広告市況が回復し、福岡地区へのスポットCM広告投下量も増加したことにより、放送事業収入の柱であるスポット収入が大きく増加しました。また、引き続く新型コロナ禍の影響で制作できない番組がありましたが、レギュラー番組や単発番組のセールスが好調に推移したことでローカルタイム収入が増加しました。催物収入は、新型コロナ禍の影響を大きく受けていたイベントが再開したことで増加しました。また、MD収入はグッズ販売促進イベントの開催見送りなどにより減少しました。一方、費用面では、プロ野球中継の放送回数が増えたことや外部の番組等の制作を受託したことによる番組制作費の増加などで売上原価が増加しました。また、スポット収入の増加に伴って代理店手数料が大きく増加したことで販売費及び一般管理費も増加しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は前年同期比15.0%増の132億27百万円、セグメント損益(営業損益)は前年同期比99.8%増の13億71百万円となりました。
② 不動産賃貸事業
不動産賃貸事業では、賃貸オフィスビルTNC放送会館で前期途中に空室となった区画の空室が継続した影響で賃料・共益費収入が減少したほか、各テナントが実施した新型コロナウイルス感染対策に伴う出社制限などにより電力・空調料収入も減少しました。費用面では、修繕案件の発生件数が減少したことにより修繕費が減少したほか、人員の減少に伴って人件費が減少しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は前年同期比4.3%減の9億99百万円、セグメント損益(営業損益)は前年同期比8.2%減の2億21百万円となりました。
③ 情報処理事業
情報処理事業では、主要分野の放送系ビジネスにおいて、かねてより継続して取り組んでいた大型プロジェクトのシステム更新作業が完了したことや、新規ユーザー、既存ユーザーへのテレビ営放システムの導入などがあり、また、公共、一般系ビジネス分野でも基幹システムの再構築作業などがありましたが、全体としては大型案件が前年度に比べて減少しました。費用面では、要員減少に伴う外注加工費の減少等で売上原価が減少しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は前年同期比4.8%減の27億76百万円、セグメント損益(営業損益)は前年同期比28.0%減の2億79百万円となりました。
④ その他の事業
その他の事業では、CM制作部門は新型コロナ禍の中での業務をリモート対応も交えて完遂し、大型案件の受注もあって売上が増加し、番組制作部門も番組制作受託の増加やスポーツ中継が予定どおりに実施できたことなどで増収となりました。また、CMやイベント等へのタレントのキャスティングに係る売上が大幅に増加しました。一方、メディア事業部門は、当期実施の催事が前期の催事に対して小規模だったことなどにより減収となり、連動して売上原価も減少しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は前年同期比10.7%増の15億7百万円、セグメント損益(営業損益)は前年同期比74.5%増の73百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、181億78百万円(前期末148億31百万円)となりました。前期に比べて、営業活動による収入が増加、投資活動による収入が増加、財務活動による支出が増加しました。その結果、資金は33億46百万円増加しました(+22.6%)。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動で得られた資金は、前期に比べて16億41百万円増加し(+146.1%)、27億64百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益19億11百万円、減価償却費8億59百万円、法人税等の支払額5億34百万円があったことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動で得られた資金は、前期に比べて13億34百万円増加し(前期は4億34百万円の支出)、8億99百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出6億22百万円、投資有価証券の取得による支出13億10百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入18億61百万円があったことなどによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動で使用した資金は、前期に比べて1億30百万円増加し(+69.3%)、3億17百万円となりました。これは主に、短期借入金の返済による支出2億60百万円、配当金の支払額41百万円があったことなどによります。
(3)生産、受注及び販売の実績
当社グループは受注生産形態をとらないものがほとんどで、販売品目は多岐にわたり、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。販売の実績については、「経営成績等の状況の概要」におけるセグメントの業績に関連付けて示しています。当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメント販売高(千円)前期比(%)
放送事業13,227,84215.0%
不動産賃貸事業999,874-4.3%
情報処理事業2,776,553-4.8%
その他の事業1,507,01110.7%
合 計18,511,28210.0%

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
㈱電 通2,662,71615.83,495,47018.9
㈱博報堂DYメディアパートナーズ2,045,81212.22,235,57212.1
㈱フジテレビジョン1,478,9158.81,567,6778.5


(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当連結会計年度における経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。
(1) 財政状態の分析
① 資産
当期の資産合計は、現金及び預金、受取手形、売掛金及び契約資産(前連結会計年度は「受取手形及び売掛金」)などが増加した一方で、有形固定資産、投資有価証券などが減少したことにより、前期末に比べて9億76百万円増加し(+2.3%)、438億83百万円となりました。
② 負債
当期の負債合計は、短期借入金、役員退職慰労引当金などが減少した一方で、支払手形及び買掛金、未払法人税等などが増加したことにより、前期末に比べて14百万円減少し(-0.3%)、57億39百万円となりました。
③ 純資産
当期の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益を10億78百万円計上したことに加え、収益認識に関する会計基準の適用により、利益剰余金が11億3百万円増加、その他有価証券評価差額金が2億46百万円減少、非支配株主持分が1億34百万円増加したことにより、前期末に比べて9億91百万円増加し(+2.7%)、381億44百万円となりました。
(2) 経営成績の分析
① 売上高
当期の売上高は、放送事業が主にスポット収入の大幅な増加で増収、その他の事業が主にCM制作・番組制作等の回復で増収となった一方で、不動産賃貸事業が主に賃貸オフィスの空室継続により減収、情報処理事業が主に大型案件の減少により減収となりましたが、放送事業が大幅な増収だったことにより、前期に比べて16億83百万円増加し(+10.0%)、185億11百万円となりました。
② 営業利益
当期の営業利益は、放送事業が主にスポット収入の大幅な増加で増益、その他の事業が主にCM制作・番組制作等の回復で増益となった一方で、不動産賃貸事業、及び情報処理事業が減益となりましたが、放送事業の増益幅が大きかったことにより、前期に比べて5億87百万円増加し(+43.6%)、19億37百万円となりました。
③ 経常利益
当期の経常利益は、営業利益の増加に対して、営業外収益、及び営業外費用の減少がいずれも僅かだったことにより、前期に比べて5億79百万円増加し(+38.2%)、20億95百万円となりました。
④ 親会社株主に帰属する当期純利益
当期の親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益が増加、特別利益が前期の投資有価証券売却益の反動などで1億82百万円減少、特別損失が当期の投資有価証券売却損などで1億78百万円増加、法人税等が1億52百万円増加したことなどにより、前期に比べて1億3百万円増加し(+10.6%)、10億78百万円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、181億78百万円(前期末148億31百万円)となりました。前期に比べて、営業活動による収入が16億41百万円増加、投資活動による収入が13億34百万円増加、財務活動による支出が1億30百万円増加したことにより、33億46百万円増加しました(+22.6%)。
詳細については、「第2事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりです。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況」の注記事項に記載のとおり
です。