有価証券報告書-第61期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/25 9:01
【資料】
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【項目】
129項目
(経営成績等の状況の概要)
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当期のわが国の経済は、緩やかな回復基調が続いてきましたが、国内外の経済情勢の変化や度重なる自然災害など、先行きの不透明さを感じさせる要因もありました。地上波テレビを取り巻く環境も大きく変化し、衛星放送による4K・8K放送の開始や、NHKテレビ番組のインターネット常時同時配信を認める改正放送法など、次世代の放送への対応に向けた具体的な取り組みが急務な状況となっています。
こうした経済や社会情勢のもと、当社グループでは主力事業である放送事業部門の収益拡大を第一に視聴率改善による放送事業収入の拡大と放送外収入の更なる獲得に注力しました。また、各事業部門においても収益力強化に邁進しました。その結果、放送事業が減収、不動産賃貸事業、情報処理事業、及びその他の事業が増収となり、連結売上高は、195億56百万円(前年同期比+2.1%)となりました。経常利益は、16億4百万円(前期比-20.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益は、9億49百万円(前期比-27.7%)となりました。
セグメントごとの業績は、以下のとおりです。
① 放送事業
放送事業では、スポット収入が視聴率の不振と福岡地区エリア投下量の前年割れにより減収、ローカルタイム収入が単発番組やレギュラー番組の順調なセールスに支えられて増収、ネットタイム収入が視聴率苦戦により減収となり、放送事業収入全体では、前期比-0.6%の減収となりました。その他事業収入については、開局60周年で開催した展覧会「王羲之と日本の書」「アンギアーリの戦い展」「ミラクルエッシャー展」や「TAO九州公演」などで売上を伸ばしたことにより催物収入が増収となりましたが、MD事業収入が番組関連のDVDやグッズの販売が減少したことにより減収となり、その他事業収入全体では、前期比+3.4%の増収となりました。一方、費用面では、番組制作費や開局60周年に伴う宣伝費、催物費が増加しました。
以上の結果、当事業全体での売上高は137億9百万円(前期比-0.4%)と減収となりました。営業費用は前期比+1.5%の増加となりました。セグメント利益(営業利益)は8億26百万円(前期比-16.0%)となりました。
地上波テレビを取り巻く経営環境は常に変化していますが、番組やイベントなどを通じてテレビ西日本ブランドを確立し、地域で最も信頼されるメディア企業グループとなることが当社の使命であり、かつ、さらなる発展の実現には欠かせないものとの考えのもと、平成から令和へと時代が変わる節目の中で、視聴者に選ばれる「地域ナンバー1局」を目指し、視聴者が求める番組作りを全社一丸となって推し進め、業績の向上に努めていきます。
② 不動産賃貸事業
㈱TNC放送会館では、賃貸オフィスビルTNC放送会館の入居率が高水準で推移したこともあり、当事業の売上高は11億2百万円(前期比+0.7%)で増収となり、営業費用は、ほぼ前期並みとなりました。セグメント利益(営業利益)は2億31百万円(前期比-19.0%)の減益となりました。
さらなる収益拡大のために、高い入居率の維持と、中長期的に適正な賃料の確保を図っていきます。また、百道浜地区の立地条件面でのハンデに打ち勝つためにも、当社グループとして、放送事業と連携したイベントの開催や話題を提供することによる集客の向上に取り組みます。
③ 情報処理事業
西日本コンピュータ㈱では、主要分野の放送系ビジネスにおいては、大規模開発のFNS系列での次期標準化マスター構築の3ヶ年計画が完了し、また、初の取り組みとなる4K放送対応の営放システムの立ち上げ等を行いました。事務システムにおいては、大型案件を含む多数の納品があり、過去最大の売上となりました。しかし、公共・一般、製造業系ビジネスにおいては、目立った新規案件がありませんでした。費用面では、販売管理費が減少したものの、過密なスケジュールに対応するため、残業代、外注加工費の増加が避けられませんでした。
以上の結果、当事業の売上高は30億32百万円(前期比+11.7%)と増収になり、営業費用は前期比+16.7%の増加となりました。セグメント利益(営業利益)は3億83百万円(前期比-16.0%)の減益となりました。
今後も複数年にわたる大型開発案件があり、過密なスケジュールによる人件費および外注加工費の増加が予想されますが、効率的に作業を進めていきます。
④ その他の事業
㈱VSQでは、映画「めんたいぴりり」の制作やタレントキャスティングビジネスが好調で、サッカーJリーグ中継の技術応援を追加受注したこともあり、売上高が前期比+3.9%の増収となりました。一方、費用面では、外注費が嵩んだことと、創立40周年の記念事業に伴うCM制作や社名変更、ホームページの大規模改修などにより、営業費用は前期比+6.6%の増加となりました。その結果、営業利益は、前期比-62.2%の減益となりました。当期の増収に貢献したタレントキャスティングは、福岡に競合社が無く、今後の拡大が見込めるビジネスですが、キャスティングに留まらず、運輸、ロケーション情報の提供など様々なサービスを組み合わせた包括的な事業化に取り組み、収益の拡大を目指します。
㈱TNCプロジェクトでは、メディア事業部門がシルク・ドゥ・ソレイユ「キュリオス」のチケット販売により増収、人材派遣部門が派遣スタッフの増加により増収となり、売上高は、前期比+7.8%の増収となりました。一方、「キュリオス」チケットの仕入額や労務費が増加したことにより、営業費用は、前期比+9.8%の増加となりました。その結果、営業利益は、前期比-38.6%の減益となりました。今後も収益拡大のため、イベントを軸とした企画販売や広告販売を行うメディア事業部門の体制整備・育成・強化を図っていきます。
以上により、その他の事業全体の売上高は17億10百万円(前期比+8.5%)で増収となり、営業費用は前期比7.8%の増加となりました。セグメント利益(営業利益)は49百万円(前期比-54.5%)で減益となりました。

(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、131億12百万円(前期末116億11百万円)となりました。前期に比べて営業活動による収入は減少しましたが、投資活動による支出も減少し、財務活動による収入の増加及び支出の減少がありました。その結果、資金は15億1百万円(+12.9%)増加しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は、17億78百万円と前期に比べて5億21百万円(-22.7%)減少しました。これは主に、税金等調整前当期純利益16億47百万円、減価償却費9億59百万円、法人税等の支払額6億45百万円があったことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、得られた資金は、20百万円(前期は2億71百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出3億90百万円、投資有価証券の取得による支出6億19百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入9億80百万円があったことなどによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は、2億97百万円と前期に比べて1億19百万円(-28.6%)減少しました。これは主に、短期借入による収入1億円、短期借入金の返済による支出2億50百万円、配当金の支払額51百万円があったことなどによります。
(3)生産、受注及び販売の実績
当社グループは受注生産形態をとらないものがほとんどで、販売品目は多岐にわたり、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。販売の実績については、「経営成績等の状況の概要」におけるセグメントの業績に関連付けて示しています。当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメント販売高(千円)前期比(%)
放送事業13,709,745-0.4%
不動産賃貸事業1,102,983+0.7%
情報処理事業3,032,986+11.7%
その他の事業1,710,715+8.5%
合 計19,556,431+2.1%

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 上記の金額に消費税等は含まれていません。
3 最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
㈱電 通2,790,31014.62,934,98215.0
㈱博報堂DYメディアパートナーズ2,497,67513.02,416,12112.4
㈱フジテレビジョン1,597,0118.31,569,0678.0


(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は以下のとおりです。
(1) 財政状態の分析
① 資産
当期の資産合計は、現金及び預金の増加が大きく、その他の流動資産も増加し、有価証券や有形固定資産、投資有価証券などは減少しましたが、前期末に比べ4億52百万円(+1.1%)増加し、423億47百万円となりました。
② 負債
当期の負債合計は、流動負債のその他とリース債務が増加した他は全ての負債が減少したことから、前期末に比べ2億97百万円(-4.1%)減少し、69億7百万円となりました。
③ 純資産
当期の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益を9億49百万円計上し、利益剰余金が8億96百万円増加、その他有価証券評価差額金は3億19百万円減少しましたが、非支配株主持分1億73百万円の増加で前期末に比べ7億50百万円(+2.2%)増加し、354億40百万円となりました。
(2) 経営成績の分析
① 売上高
当期の売上高は、放送事業がスポットの地区投下量の前年割れ等により減収となった一方で、不動産賃貸事業、情報処理事業とその他事業がいずれも増収となり、前期に比べて4億3百万円(+2.1%)増加し、195億56百万円となりました。
② 営業利益
当期の営業利益は、情報処理事業での売上原価の増加が大きく、他の3事業部門でも売上原価が増加したことに加えて、販売費及び一般管理費の減少がわずかだったことから、前期に比べ3億45百万円(-19.0%)減少し、14億79百万円となりました。
③ 経常利益
当期の経常利益は、営業利益が減少したことと、前期に大きかった事業費補助金収入の反動減で営業外収益が減少したこと、そして、営業外費用がわずかながら増加したことにより、前期に比べて4億3百万円(-20.1%)減少して16億4百万円となりました。
④ 親会社株主に帰属する当期純利益
当期の親会社株主に帰属する当期純利益は、前期は投資有価証券売却益が大きかったことから特別利益が減少し、投資有価証券評価損などで特別損失もあり、法人税等の負担は減少しましたが、前期に比べ3億63百万円(-27.7%)減少し、9億49百万円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は131億12百万円(前期末116億11百万円)となりました。前期に比べ営業活動による収入が5億21百万円減少し、投資活動による収入が20百万円(前期は2億71百万円の支出)あり、財務活動による支出が1億19百万円減少したため、15億1百万円(+12.9%)増加しました。
詳細については、「第2事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりです。