有価証券報告書-第63期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/28 9:00
【資料】
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【項目】
121項目

(経営成績等の状況の概要)
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当期のわが国の経済は、新型コロナ禍の影響により、厳しい状況に追い込まれました。政府の緊急経済対策等で持ち直しの動きがみられたものの、経済水準は新型コロナ禍前を下回った状態に留まっています。放送業界でも新型コロナウイルス感染拡大防止を考慮した番組制作やリモートワークが急速に浸透する中、本年3月には、インターネット同時配信について放送と同様の円滑な権利処理を実現するための著作権法改正案が閣議決定され、民放キー局による本格実施に向けた動きが加速するなど、環境が大きく変化しつつあります。こうした経済や社会情勢のもと、当社グループでは、主力事業である放送事業部門において、安定した放送の継続を図りながら収益の確保に注力し、各事業部門においても新型コロナ禍による影響への対処、収益の確保に取り組みました。
以上の結果、すべての事業部門で減収となり、連結売上高は168億27百万円(前年同期比-12.4%)となりました。経常利益は15億16百万円(前年同期比+12.3%)、親会社株主に帰属する当期純利益は9億75百万円(前年同期比+19.0%)となりました。
セグメントごとの業績は以下のとおりです。
① 放送事業
放送事業では、新型コロナ禍が広告市況に大きく影響し、福岡地区へのスポットCM広告投下量も減少したことにより、放送事業収入の柱であるスポット収入が大きく減少しました。また、単発番組・イベント関連番組の中止やレギュラー番組の終了に伴ってローカルタイム収入も減少したほか、ネットタイム収入も減少しました。催物収入は新型コロナ禍の影響によるイベント中止で大幅に減少し、MD収入は番組DVDの売上が伸びて増加しました。一方、費用面では、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、番組制作に制約が生じたことや、イベントの中止などにより売上原価が減少しました。また、スポット収入などの減少に伴って代理店手数料が大きく減少したほか、売上の減少に対処するために宣伝費を抑制したことや幅広く費用削減に努めたことなどにより、販売費及び一般管理費も減少しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は前年同期比14.1%減の115億4百万円、営業費用は前年同期比15.4%減の109億41百万円となり、セグメント損益(営業損益)は前年同期比20.7%増の6億86百万円となりました。
② 不動産賃貸事業
不動産賃貸事業では、賃貸オフィスビルTNC放送会館の一部テナント退去に伴って家賃共益費収入が減少したほか、新型コロナ禍の影響を受けてテナント就業者や来館者が減少したことに伴って電気水道光熱費収入や駐車場収入が減少しました。費用面では、電力料をはじめとした水道光熱費が減少したほか、人員減少に伴って人件費が減少しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は前年同期比7.4%減の10億44百万円、営業費用は前年同期比3.5%減の11億20百万円、セグメント損益(営業損益)は前年同期比15.1%減の2億40百万円となりました。
③ 情報処理事業
情報処理事業では、公共、一般向けのビジネスで大型案件の本番稼働があった一方で、主要分野の放送系ビジネスにおいては、新規ユーザーへのラジオ営放システム納入や、テレビ営放システムリプレイスなどがあったものの、前年度のような大型案件の納品がありませんでした。費用面では、新型コロナ禍で出張旅費などが大きく減少しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は前年同期比8.3%減の29億17百万円、営業費用は前年同期比12.8%減の25億77百万円、セグメント損益(営業損益)は前年同期比27.6%増の3億88百万円となりました。
④ その他の事業
その他の事業では、各部門が新型コロナ禍による影響を大きく受けました。番組制作部門がイベント関連番組の中止やレギュラー番組の終了に伴って減収、CM制作部門が広告市況の悪化に伴って減収、前年度まで好調だったタレントキャスティングビジネスもCM制作の減少に伴って減収となりました。また、メディア事業部門は、巡回展が一部の会場で期間短縮・開催中止となり、計画していたその他のイベントも延期・中止となりました。人材派遣業務部門では、派遣社員の自宅待機、出勤停止などで稼働が減少しました。一方、費用面では、番組制作・CM制作部門などで受注減少に伴って売上原価が減少、メディア事業部門で巡回展に係る運搬費・外注費などが増加、受託業務部門で放送準備業務の労務費が減少などとなりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は前年同期比10.6%減の13億60百万円、営業費用は前年同期比8.7%減の24億44百万円となり、セグメント損益(営業損益)は前年同期比4.9%増の42百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、148億31百万円(前期末143億29百万円)となりました。前期に比べて、営業活動による収入が減少、投資活動による支出が減少、財務活動による支出が減少しました。その結果、資金は5億2百万円増加しました(+3.5%)。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動で得られた資金は、前期に比べて15億10百万円減少し(-57.3%)、11億23百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益16億93百万円、減価償却費9億円、法人税等の支払額4億71百万円があったことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動で使用した資金は、前期に比べて5億23百万円減少し(-54.6%)、4億34百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出2億28百万円、投資有価証券の取得による支出7億75百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入15億68百万円があったことなどによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動で使用した資金は、前期に比べて2億68百万円減少し(-58.8%)、1億87百万円となりました。これは主に、短期借入金の返済による支出90百万円、長期借入金の返済による支出24百万円、配当金の支払額41百万円があったことなどによります。
(3)生産、受注及び販売の実績
当社グループは受注生産形態をとらないものがほとんどで、販売品目は多岐にわたり、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。販売の実績については、「経営成績等の状況の概要」におけるセグメントの業績に関連付けて示しています。当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメント販売高(千円)前期比(%)
放送事業11,504,718-14.1%
不動産賃貸事業1,044,492-7.4%
情報処理事業2,917,664-8.3%
その他の事業1,360,961-10.6%
合 計16,827,836-12.4%

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 上記の金額に消費税等は含まれていません。
3 最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
㈱電 通2,814,80714.62,662,71615.8
㈱博報堂DYメディアパートナーズ2,344,02312.22,045,81212.2
㈱フジテレビジョン1,580,2028.21,478,9158.8


(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当連結会計年度における経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。
(1) 財政状態の分析
① 資産
当期の資産合計は、現金及び預金、有価証券などが増加した一方で、有形固定資産、投資有価証券などが減少したことにより、前期末に比べて8億19百万円増加し(+1.9%)、429億6百万円となりました。
② 負債
当期の負債合計は、支払手形及び買掛金、短期借入金、退職給付に係る負債などが減少した一方で、繰延税金負債などが増加したことにより、前期末に比べて7億38百万円減少し(-11.4%)、57億53百万円となりました。
③ 純資産
当期の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益を9億75百万円計上し、利益剰余金が9億32百万円増加、その他有価証券評価差額金が4億42百万円増加、非支配株主持分が1億83百万円増加したことにより、前期末に比べて15億58百万円増加し(+4.4%)、371億52百万円となりました。
(2) 経営成績の分析
① 売上高
当期の売上高は、放送事業がスポット収入などの減少により減収、不動産賃貸事業が賃貸オフィスの一部テナント退去などにより減収、情報処理事業が前期の大型案件の反動減などにより減収、その他の事業が番組制作・CM制作等の受注減少、イベント中止、人材派遣業務の稼働減少などにより減収となるなど、すべての事業部門で減収となったことにより、前期に比べて23億92百万円減少し(-12.4%)、168億27百万円となりました。
② 営業利益
当期の営業利益は、売上高が減少しましたが、すべての事業部門で売上原価、販売費及び一般管理費ともに減少したことなどにより、前期に比べて1億61百万円増加し(+13.6%)、13億49百万円となりました。
③ 経常利益
当期の経常利益は、営業利益が増加し、営業外収益が受取保険金の減少などにより減少、営業外費用も減少したことなどにより、前期に比べて1億65百万円増加し(+12.3%)、15億16百万円となりました。
④ 親会社株主に帰属する当期純利益
当期の親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益が増加し、特別利益が投資有価証券売却益、関係会社清算益などで25百万円増加、特別損失が災害による損失などで25百万円減少、法人税等が66百万円増加したことなどにより、前期に比べて1億55百万円増加し(+19.0%)、9億75百万円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、148億31百万円(前期末143億29百万円)となりました。前期に比べて、営業活動による収入が15億10百万円減少、投資活動による支出が5億23百万円減少、財務活動による支出が2億68百万円減少したことにより、5億2百万円増加しました(+3.5%)。
詳細については、「第2事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりです。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況」の注記事項に記載のとおり
です。