有価証券報告書-第97期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルスの世界的感染拡大により厳しい状況となり、各種政策の効果等により一時持ち直しの動きも見られたが、感染の終息は見通せず不透明な状況が続いている。九州経済も、同様に厳しい状況にあるが、輸出・生産を中心に持ち直しつつある。
当社グループにおいては、「九電グループ経営ビジョン2030」の実現に向け、国内電気事業の収益力向上や、国内電気事業以外の事業・サービスの拡大、種まきを着実に進めるとともに、事業活動全般にわたる徹底した効率化に、グループ一体となって取り組んできた。
当連結会計年度の業績については、今冬の需給ひっ迫に伴う卸電力取引市場の価格高騰や、新型コロナウイルス感染症、特定重大事故等対処施設の設置工事に伴う川内原子力発電所の運転停止等の影響はあったが、減価償却方法の変更により減価償却費が減少したことや、九州外での小売販売電力量等が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ増益となった。
当連結会計年度の小売販売電力量については、新型コロナウイルス感染症による減少影響はあるものの、グループ会社である九電みらいエナジー株式会社の九州外での販売電力量が増加したことや前連結会計年度が冷夏暖冬であったことによる反動増などにより、前連結会計年度に比べ2.7%増の752億kWhとなった。また、卸売販売電力量は41.9%増の107億kWhとなった。この結果、総販売電力量は6.3%増の858億kWhとなった。
小売・卸売に対する供給面については、原子力をはじめ、火力・揚水等発電設備の総合的な運用等により、また、エリア需給については、調整力電源の運用及び国のルールに基づく再エネ出力制御の実施等により、安定して電力を供給することができた。
なお、今冬において、断続的な寒波による電力需要の大幅な増加と全国的なLNG在庫の低下などにより電力需給がひっ迫したが、火力発電や融通・他社受電の増加など最大限の対策を講じたことにより、安定供給を確保することができた。
当連結会計年度の連結収支については、収入面では、国内電気事業において、小売販売電力量は増加したが、燃料価格下落に伴う燃料費調整の影響などにより小売販売収入は減少した。一方で、卸売販売収入や再エネ特措法交付金が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度に比べ1,187億円増(+5.9%)の2兆1,317億円、経常収益は1,184億円増(+5.8%)の2兆1,484億円となった。
支出面では、国内電気事業において、減価償却費の減少はあったが、再エネ発電事業者からの買取額の増加や今冬の卸電力取引市場の価格高騰の影響などにより他社購入電力料が増加したことなどから、経常費用は1,027億円増(+5.2%)の2兆927億円となった。
この結果、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに前連結会計年度に比べ増益となり、経常利益は156億円増(+39.0%)の556億円、親会社株主に帰属する当期純利益は321億円(前連結会計年度は4億円の損失)となった。
報告セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりである。
(注) 1 上記の記載金額には消費税等を含んでいない。
2 当連結会計年度より報告セグメント及びセグメント利益を変更している。
3 「発電・販売事業」及び「送配電事業」については、前連結会計年度のセグメント業績を作成することが困難であるため、当連結会計年度の業績のみ記載している。
[参考]国内電気事業再掲
(注) 「発電・販売事業」と「送配電事業」との内部取引消去後の数値を記載している。
② 資産、負債及び純資産の状況
資産は、設備投資による固定資産の増加に加え、現金及び預金や売掛金などの流動資産が増加したことから、前連結会計年度末に比べ1,787億円増(+3.6%)の5兆1,268億円となった。
負債は、有利子負債が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ1,339億円増(+3.1%)の4兆4,440億円となった。有利子負債残高は、前連結会計年度末に比べ1,163億円増(+3.4%)の3兆5,226億円となった。
純資産は、配当金の支払による減少はあったが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上や退職給付に係る調整累計額の増加などにより、前連結会計年度末に比べ447億円増(+7.0%)の6,827億円となり、自己資本比率は12.7%となった。なお、退職給付に係る調整累計額の増加については、確定給付企業年金資産の運用収益が期待運用収益を上回ったことなどに伴い、数理計算上の差異が発生したことなどによるものである。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、国内電気事業において他社購入電力料支出の増加はあったが、再エネ特措法交付金や卸売販売電力料収入の増加に加え、燃料代支出の減少などにより、前連結会計年度に比べ266億円収入増(+11.7%)の2,534億円の収入となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資による支出の減少などにより、前連結会計年度に比べ940億円支出減(△22.1%)の3,305億円の支出となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出の減少はあったが、コマーシャル・ペーパーの発行・償還による支出の増加などにより、前連結会計年度に比べ624億円収入減(△39.5%)の955億円の収入となった。
以上により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ184億円増加し、2,239億円となった。
(2)生産、受注及び販売の実績
当社グループの事業内容は、国内電気事業(発電・販売事業及び送配電事業)が大部分を占め、国内電気事業以外の事業の生産、受注及び販売の状況は、グループ全体からみて重要性が小さい。また、国内電気事業以外の事業については、受注生産形態をとらない業種が多いため、生産及び受注の状況を金額あるいは数量で示すことはしていない。このため、以下では、生産及び販売の状況を、国内電気事業における実績によって示している。
① 発受電実績
(注) 1 百万kWh未満は四捨五入のため、合計の数値が一致しない場合がある。
2 当社及び連結子会社(九州電力送配電株式会社、九電みらいエナジー株式会社)の合計値(内部取引消去後)を記載している。
3 発電電力量は、送電端の数値を記載している。
4 「新エネルギー等」は、太陽光、風力、バイオマス、廃棄物及び地熱の総称である。
5 第2四半期連結会計期間より発受電電力量合計値を、従来の小売販売電力量から総販売電力量に対応するよう見直したことから、送電電力量は控除していない。
6 揚水発電所の揚水用電力量等は、貯水池運営のための揚水用に使用する電力量及び自己託送の電力量である。
7 出水率は、当社の自流式水力発電電力量の1989年度から2018年度までの30か年平均に対する比である。
② 販売実績
(注) 1 販売電力量の百万kWh未満は四捨五入のため、合計の数値が一致しない場合がある。
2 当社及び連結子会社(九州電力送配電株式会社、九電みらいエナジー株式会社)の合計値(内部取引消去後)を記載している。
3 小売販売収入は小売販売電力量、卸売販売収入は卸売販売電力量に対応する料金収入である。
4 上記の記載金額には、消費税等を含んでいない。
5 小売販売電力量における新型コロナウイルス影響は△20億kWh程度である。
③ 資材の状況
石炭、重油、原油、LNGの受払状況
(注) 当社及び連結子会社(九州電力送配電株式会社)の合計値を記載している。
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
ア 売上高(営業収益)及び経常損益
売上高(営業収益)は、前連結会計年度に比べ1,187億円増(+5.9%)の2兆1,317億円、経常収益は1,184億円増(+5.8%)の2兆1,484億円となった。一方、経常費用は1,027億円増(+5.2%)の2兆927億円となった。以上により、経常利益は156億円増(+39.0%)の556億円となった。
報告セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりである。
[発電・販売事業]
発電・販売事業は、国内における発電・小売電気事業等を展開している。
売上高は、小売販売収入や再エネ特措法交付金の計上などにより、1兆8,908億円、経常損益は、購入電力料や託送料、燃料費、再エネ特措法納付金の計上などにより、5億円の損失となった。
[送配電事業]
送配電事業は、九州域内における一般送配電事業等を展開している。
売上高は、託送収益の計上などにより、5,992億円、経常利益は、購入電力料や修繕費、委託費、減価償却費の計上などにより、291億円となった。
[その他エネルギーサービス事業]
その他エネルギーサービス事業は、電気設備の建設・保守など電力の安定供給に資する事業、お客さまのエネルギーに関する様々な思いにお応えするため、ガス・LNG販売、再生可能エネルギー事業等を展開している。また、九電グループが培ってきた技術・ノウハウを活かし、海外事業の強化などにも取り組んでいる。
売上高は、電気計測機器の取替工事の減少や海外LNGプロジェクトにおけるLNG販売価格の低下などにより、前連結会計年度に比べ86億円減(△4.5%)の1,853億円、経常利益は、持分法による投資利益の増加などにより5億円増(+3.3%)の176億円となった。
[ICTサービス事業]
ICTサービス事業は、保有する光ファイバ網やデータセンターなどの情報通信事業基盤や事業ノウハウを活用し、データ通信、光ブロードバンド、電気通信工事・保守、情報システム開発、データセンター事業等を展開している。
売上高は、光ブロードバンド及びスマートフォンサービスの販売拡大などにより、前連結会計年度に比べ23億円増(+2.1%)の1,150億円、経常利益は、音声端末を活用したIoTサービスの終了に伴う費用の減少などもあり、28億円増(+72.5%)の68億円となった。
[その他の事業]
その他の事業は、不動産、有料老人ホーム、事務業務受託、人材派遣事業等を展開している。
売上高は、事務業務受託の増加などにより、前連結会計年度に比べ6億円増(+2.2%)の294億円、経常利益は、不動産販売及び賃貸に係る費用の増加などにより、3億円減(△7.5%)の42億円となった。
イ 渇水準備金引当又は取崩し
当連結会計年度は、出水率が95.8%と平水(100%)を下回ったことから、渇水準備引当金を5億円取り崩した。
ウ 法人税等
法人税等は、前連結会計年度に繰延税金資産を一部取り崩したことによる影響で、法人税等調整額が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ164億円減(△42.5%)の221億円となった。
エ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は321億円(前連結会計年度は4億円の損失)となった。1株当たり当期純利益は63.57円(前連結会計年度は6.05円の損失)となった。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
ア キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当社グループのキャッシュ・フローの状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載している。
イ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、燃料代などの支払いや設備投資及び投融資、並びに借入金の返済及び社債の償還などに資金を充当している。
これらの資金需要に対して、自己資金に加え、社債や借入金により資金調達を行うとともに、一時的な資金需要の変動に対しては、コマーシャル・ペーパーなどにより機動的な対応を行っている。
また、流動性リスクについては、月次での資金繰により資金需要を的確に把握するよう努めるとともに、コミットメントラインや当座貸越、及びキャッシュ・マネジメント・サービスなどを活用することとしている。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。重要な会計方針については、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載している。
当社グループは、連結財務諸表を作成するにあたり、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性、貸倒引当金、退職給付に係る負債及び資産、資産除去債務などに関して、過去の実績等を勘案し、合理的と考えられる見積り、判断を行っているが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。このうち、特に重要なものは繰延税金資産の回収可能性であり、詳細については、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載している。
④ 目標とする経営指標の達成状況等
当社グループは、2017年6月に「九州電力グループ中期経営方針における財務目標」として、「自己資本比率(2021年度)20%程度」「経常利益(2017~2021年度平均)1,100億円以上」などの財務目標を設定していたが、当連結会計年度においては、自己資本比率12.7%、連結経常利益556億円、2017~2020年度平均連結経常利益554億円となった。
上記の財務目標については、原子力発電所の稼働状況や競争進展・天候不順・新型コロナウイルス感染拡大等による販売電力量の減少などにより、達成は困難な状況となった。
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した財務目標(2021年4月公表)及び経営目標(2019年6月公表)の実現に向けて、カーボンニュートラルに貢献する電化の推進などによる国内電気事業の収益拡大に加え、再生可能エネルギー事業や海外事業をはじめとする成長事業への投資による収益拡大などの取組みを推進していく。
① 経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルスの世界的感染拡大により厳しい状況となり、各種政策の効果等により一時持ち直しの動きも見られたが、感染の終息は見通せず不透明な状況が続いている。九州経済も、同様に厳しい状況にあるが、輸出・生産を中心に持ち直しつつある。
当社グループにおいては、「九電グループ経営ビジョン2030」の実現に向け、国内電気事業の収益力向上や、国内電気事業以外の事業・サービスの拡大、種まきを着実に進めるとともに、事業活動全般にわたる徹底した効率化に、グループ一体となって取り組んできた。
当連結会計年度の業績については、今冬の需給ひっ迫に伴う卸電力取引市場の価格高騰や、新型コロナウイルス感染症、特定重大事故等対処施設の設置工事に伴う川内原子力発電所の運転停止等の影響はあったが、減価償却方法の変更により減価償却費が減少したことや、九州外での小売販売電力量等が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ増益となった。
当連結会計年度の小売販売電力量については、新型コロナウイルス感染症による減少影響はあるものの、グループ会社である九電みらいエナジー株式会社の九州外での販売電力量が増加したことや前連結会計年度が冷夏暖冬であったことによる反動増などにより、前連結会計年度に比べ2.7%増の752億kWhとなった。また、卸売販売電力量は41.9%増の107億kWhとなった。この結果、総販売電力量は6.3%増の858億kWhとなった。
小売・卸売に対する供給面については、原子力をはじめ、火力・揚水等発電設備の総合的な運用等により、また、エリア需給については、調整力電源の運用及び国のルールに基づく再エネ出力制御の実施等により、安定して電力を供給することができた。
なお、今冬において、断続的な寒波による電力需要の大幅な増加と全国的なLNG在庫の低下などにより電力需給がひっ迫したが、火力発電や融通・他社受電の増加など最大限の対策を講じたことにより、安定供給を確保することができた。
当連結会計年度の連結収支については、収入面では、国内電気事業において、小売販売電力量は増加したが、燃料価格下落に伴う燃料費調整の影響などにより小売販売収入は減少した。一方で、卸売販売収入や再エネ特措法交付金が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度に比べ1,187億円増(+5.9%)の2兆1,317億円、経常収益は1,184億円増(+5.8%)の2兆1,484億円となった。
支出面では、国内電気事業において、減価償却費の減少はあったが、再エネ発電事業者からの買取額の増加や今冬の卸電力取引市場の価格高騰の影響などにより他社購入電力料が増加したことなどから、経常費用は1,027億円増(+5.2%)の2兆927億円となった。
この結果、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに前連結会計年度に比べ増益となり、経常利益は156億円増(+39.0%)の556億円、親会社株主に帰属する当期純利益は321億円(前連結会計年度は4億円の損失)となった。
報告セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりである。
| 当連結会計年度 (2020年4月1日から 2021年3月31日まで) | 対前年度増減率 (%) | ||
| 金額(百万円) | |||
| 発電・販売事業 | 売 上 高 | 1,890,815 | - |
| 経常損失(△) | △564 | - | |
| 送配電事業 | 売 上 高 | 599,290 | - |
| 経常利益 | 29,101 | - | |
| その他エネルギーサービス事業 | 売 上 高 | 185,328 | △4.5 |
| 経常利益 | 17,632 | 3.3 | |
| ICTサービス事業 | 売 上 高 | 115,016 | 2.1 |
| 経常利益 | 6,891 | 72.5 | |
| その他の事業 | 売 上 高 | 29,486 | 2.2 |
| 経常利益 | 4,263 | △7.5 | |
(注) 1 上記の記載金額には消費税等を含んでいない。
2 当連結会計年度より報告セグメント及びセグメント利益を変更している。
3 「発電・販売事業」及び「送配電事業」については、前連結会計年度のセグメント業績を作成することが困難であるため、当連結会計年度の業績のみ記載している。
[参考]国内電気事業再掲
| 当連結会計年度 (2020年4月1日から 2021年3月31日まで) | 対前年度増減率 (%) | ||
| 金額(百万円) | |||
| 国内電気事業 | 売 上 高 | 1,972,542 | 6.7 |
| 経常利益 | 28,522 | 72.0 | |
(注) 「発電・販売事業」と「送配電事業」との内部取引消去後の数値を記載している。
② 資産、負債及び純資産の状況
資産は、設備投資による固定資産の増加に加え、現金及び預金や売掛金などの流動資産が増加したことから、前連結会計年度末に比べ1,787億円増(+3.6%)の5兆1,268億円となった。
負債は、有利子負債が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ1,339億円増(+3.1%)の4兆4,440億円となった。有利子負債残高は、前連結会計年度末に比べ1,163億円増(+3.4%)の3兆5,226億円となった。
純資産は、配当金の支払による減少はあったが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上や退職給付に係る調整累計額の増加などにより、前連結会計年度末に比べ447億円増(+7.0%)の6,827億円となり、自己資本比率は12.7%となった。なお、退職給付に係る調整累計額の増加については、確定給付企業年金資産の運用収益が期待運用収益を上回ったことなどに伴い、数理計算上の差異が発生したことなどによるものである。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、国内電気事業において他社購入電力料支出の増加はあったが、再エネ特措法交付金や卸売販売電力料収入の増加に加え、燃料代支出の減少などにより、前連結会計年度に比べ266億円収入増(+11.7%)の2,534億円の収入となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資による支出の減少などにより、前連結会計年度に比べ940億円支出減(△22.1%)の3,305億円の支出となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出の減少はあったが、コマーシャル・ペーパーの発行・償還による支出の増加などにより、前連結会計年度に比べ624億円収入減(△39.5%)の955億円の収入となった。
以上により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ184億円増加し、2,239億円となった。
(2)生産、受注及び販売の実績
当社グループの事業内容は、国内電気事業(発電・販売事業及び送配電事業)が大部分を占め、国内電気事業以外の事業の生産、受注及び販売の状況は、グループ全体からみて重要性が小さい。また、国内電気事業以外の事業については、受注生産形態をとらない業種が多いため、生産及び受注の状況を金額あるいは数量で示すことはしていない。このため、以下では、生産及び販売の状況を、国内電気事業における実績によって示している。
① 発受電実績
| 種 別 | 当連結会計年度 (2020年4月1日から 2021年3月31日まで) | 対前年度増減率 (%) | |||
| 電力量(百万kWh) | |||||
| 発 受 電 電 力 量 | 発 電 電 力 量 | 水力発電電力量 | 4,730 | △1.7 | |
| 火力発電電力量 | 32,597 | 25.9 | |||
| 原子力発電電力量 | 21,676 | △24.4 | |||
| 新エネルギー等発電電力量 | 1,189 | 1.6 | |||
| 融通・他社受電電力量 | 33,147 | 22.1 | |||
| (水力再掲) | (1,354) | (△6.8) | |||
| (新エネルギー等再掲) | (15,093) | (20.8) | |||
| 揚水発電所の揚水用電力量等 | △2,374 | 6.5 | |||
| 合 計 | 90,966 | 6.4 | |||
| 損失電力量等 | 5,143 | 8.4 | |||
| 総販売電力量 | 85,823 | 6.3 | |||
| 出水率 | 95.8% | - | |||
(注) 1 百万kWh未満は四捨五入のため、合計の数値が一致しない場合がある。
2 当社及び連結子会社(九州電力送配電株式会社、九電みらいエナジー株式会社)の合計値(内部取引消去後)を記載している。
3 発電電力量は、送電端の数値を記載している。
4 「新エネルギー等」は、太陽光、風力、バイオマス、廃棄物及び地熱の総称である。
5 第2四半期連結会計期間より発受電電力量合計値を、従来の小売販売電力量から総販売電力量に対応するよう見直したことから、送電電力量は控除していない。
6 揚水発電所の揚水用電力量等は、貯水池運営のための揚水用に使用する電力量及び自己託送の電力量である。
7 出水率は、当社の自流式水力発電電力量の1989年度から2018年度までの30か年平均に対する比である。
② 販売実績
| 種 別 | 当連結会計年度 (2020年4月1日から 2021年3月31日まで) | 対前年度増減率 (%) | |||
| 販売電力量 (百万kWh) | 小売販売電力量 | 75,171 | 2.7 | ||
| 電灯 | 25,330 | 0.9 | |||
| 電力 | 49,841 | 3.6 | |||
| 卸売販売電力量 | 10,652 | 41.9 | |||
| 総販売電力量 | 85,823 | 6.3 | |||
| 料金収入 (百万円) | 小売販売収入 | 1,333,146 | △1.5 | ||
| 電灯料 | 568,795 | △1.3 | |||
| 電力料 | 764,350 | △1.6 | |||
| 卸売販売収入 | 107,200 | 79.7 | |||
| 合 計 | 1,440,346 | 2.0 | |||
(注) 1 販売電力量の百万kWh未満は四捨五入のため、合計の数値が一致しない場合がある。
2 当社及び連結子会社(九州電力送配電株式会社、九電みらいエナジー株式会社)の合計値(内部取引消去後)を記載している。
3 小売販売収入は小売販売電力量、卸売販売収入は卸売販売電力量に対応する料金収入である。
4 上記の記載金額には、消費税等を含んでいない。
5 小売販売電力量における新型コロナウイルス影響は△20億kWh程度である。
③ 資材の状況
石炭、重油、原油、LNGの受払状況
| 区分 | 当連結会計年度(2020年4月1日から2021年3月31日まで) | |||||||||
| 期首残高 | 対前年度 増減率 (%) | 受入 | 対前年度 増減率 (%) | 消費 | 期末残高 | 対前年度 増減率 (%) | ||||
| 発電用 | 対前年度 増減率 (%) | その他 | 対前年度 増減率 (%) | |||||||
| 石炭(t) | 498,304 | △3.3 | 6,846,517 | 3.9 | 6,879,223 | 4.4 | 9,661 | △39.8 | 455,937 | △8.5 |
| 重油(kl) | 112,220 | △2.9 | 215,850 | 0.4 | 216,786 | △0.8 | 1,100 | - | 110,184 | △1.8 |
| 原油(kl) | 26,668 | 0.2 | - | - | - | - | 6,335 | - | 20,333 | △23.8 |
| LNG(t) | 167,406 | △43.5 | 2,124,872 | 93.9 | 1,981,524 | 85.5 | 132,540 | △15.6 | 178,214 | 6.5 |
(注) 当社及び連結子会社(九州電力送配電株式会社)の合計値を記載している。
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
ア 売上高(営業収益)及び経常損益
売上高(営業収益)は、前連結会計年度に比べ1,187億円増(+5.9%)の2兆1,317億円、経常収益は1,184億円増(+5.8%)の2兆1,484億円となった。一方、経常費用は1,027億円増(+5.2%)の2兆927億円となった。以上により、経常利益は156億円増(+39.0%)の556億円となった。
報告セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりである。
[発電・販売事業]
発電・販売事業は、国内における発電・小売電気事業等を展開している。
売上高は、小売販売収入や再エネ特措法交付金の計上などにより、1兆8,908億円、経常損益は、購入電力料や託送料、燃料費、再エネ特措法納付金の計上などにより、5億円の損失となった。
[送配電事業]
送配電事業は、九州域内における一般送配電事業等を展開している。
売上高は、託送収益の計上などにより、5,992億円、経常利益は、購入電力料や修繕費、委託費、減価償却費の計上などにより、291億円となった。
[その他エネルギーサービス事業]
その他エネルギーサービス事業は、電気設備の建設・保守など電力の安定供給に資する事業、お客さまのエネルギーに関する様々な思いにお応えするため、ガス・LNG販売、再生可能エネルギー事業等を展開している。また、九電グループが培ってきた技術・ノウハウを活かし、海外事業の強化などにも取り組んでいる。
売上高は、電気計測機器の取替工事の減少や海外LNGプロジェクトにおけるLNG販売価格の低下などにより、前連結会計年度に比べ86億円減(△4.5%)の1,853億円、経常利益は、持分法による投資利益の増加などにより5億円増(+3.3%)の176億円となった。
[ICTサービス事業]
ICTサービス事業は、保有する光ファイバ網やデータセンターなどの情報通信事業基盤や事業ノウハウを活用し、データ通信、光ブロードバンド、電気通信工事・保守、情報システム開発、データセンター事業等を展開している。
売上高は、光ブロードバンド及びスマートフォンサービスの販売拡大などにより、前連結会計年度に比べ23億円増(+2.1%)の1,150億円、経常利益は、音声端末を活用したIoTサービスの終了に伴う費用の減少などもあり、28億円増(+72.5%)の68億円となった。
[その他の事業]
その他の事業は、不動産、有料老人ホーム、事務業務受託、人材派遣事業等を展開している。
売上高は、事務業務受託の増加などにより、前連結会計年度に比べ6億円増(+2.2%)の294億円、経常利益は、不動産販売及び賃貸に係る費用の増加などにより、3億円減(△7.5%)の42億円となった。
イ 渇水準備金引当又は取崩し
当連結会計年度は、出水率が95.8%と平水(100%)を下回ったことから、渇水準備引当金を5億円取り崩した。
ウ 法人税等
法人税等は、前連結会計年度に繰延税金資産を一部取り崩したことによる影響で、法人税等調整額が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ164億円減(△42.5%)の221億円となった。
エ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は321億円(前連結会計年度は4億円の損失)となった。1株当たり当期純利益は63.57円(前連結会計年度は6.05円の損失)となった。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
ア キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当社グループのキャッシュ・フローの状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載している。
イ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、燃料代などの支払いや設備投資及び投融資、並びに借入金の返済及び社債の償還などに資金を充当している。
これらの資金需要に対して、自己資金に加え、社債や借入金により資金調達を行うとともに、一時的な資金需要の変動に対しては、コマーシャル・ペーパーなどにより機動的な対応を行っている。
また、流動性リスクについては、月次での資金繰により資金需要を的確に把握するよう努めるとともに、コミットメントラインや当座貸越、及びキャッシュ・マネジメント・サービスなどを活用することとしている。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。重要な会計方針については、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載している。
当社グループは、連結財務諸表を作成するにあたり、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性、貸倒引当金、退職給付に係る負債及び資産、資産除去債務などに関して、過去の実績等を勘案し、合理的と考えられる見積り、判断を行っているが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。このうち、特に重要なものは繰延税金資産の回収可能性であり、詳細については、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載している。
④ 目標とする経営指標の達成状況等
当社グループは、2017年6月に「九州電力グループ中期経営方針における財務目標」として、「自己資本比率(2021年度)20%程度」「経常利益(2017~2021年度平均)1,100億円以上」などの財務目標を設定していたが、当連結会計年度においては、自己資本比率12.7%、連結経常利益556億円、2017~2020年度平均連結経常利益554億円となった。
上記の財務目標については、原子力発電所の稼働状況や競争進展・天候不順・新型コロナウイルス感染拡大等による販売電力量の減少などにより、達成は困難な状況となった。
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した財務目標(2021年4月公表)及び経営目標(2019年6月公表)の実現に向けて、カーボンニュートラルに貢献する電化の推進などによる国内電気事業の収益拡大に加え、再生可能エネルギー事業や海外事業をはじめとする成長事業への投資による収益拡大などの取組みを推進していく。