有価証券報告書-第99期(2022/04/01-2023/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大や物価上昇のなか、感染拡大防止と経済活動の両立等による個人消費の回復などにより、緩やかに持ち直している。九州経済も、同様に個人消費が回復するとともに、輸出・生産について自動車生産が回復するなど、総じて持ち直している。
当社グループにおいては、「九電グループ経営ビジョン2030」の実現に向けて、グループ全体が更に一体感を増し、国内電気事業をはじめ、海外事業・ICTサービス事業・都市開発事業など、様々な分野において挑戦を加速してきた。また、安全性の確保を前提とした原子力の最大限の活用などによる「電源の低・脱炭素化」や「電化の推進」など、カーボンニュートラルの実現に向けた取組みを着実に進めるとともに、事業活動全般にわたる徹底した効率化に、グループ一体となって取り組んできた。
当連結会計年度の業績については、燃料価格の上昇により燃料費調整の期ずれ影響の差損が発生したことに加え、原子力発電所の稼働減により燃料費が増加したことや、卸電力市場価格の上昇により購入電力料が増加したことなどから、赤字となった。
当連結会計年度の小売販売電力量については、域内の契約電力は増加しているものの、域外の契約電力が減少していることなどにより、前連結会計年度に比べ3.6%減の765億kWhとなった。また、卸売販売電力量については、8.9%増の194億kWhとなった。この結果、総販売電力量は1.3%減の960億kWhとなった。
小売・卸売に対する供給面については、原子力をはじめ、火力・揚水等発電設備の総合的な運用等により、また、エリア需給については、調整力電源の運用及び国のルールに基づく再エネ出力制御の実施等により、安定して電力を供給することができた。
当連結会計年度の連結収支については、収入面では、国内電気事業において、燃料価格の上昇に伴う燃料費調整の影響などにより小売販売収入が増加したことに加え、卸売販売収入が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度に比べ4,779億円増(+27.4%)の2兆2,213億円、経常収益は4,834億円増(+27.4%)の2兆2,461億円となった。
支出面では、国内電気事業において、燃料価格の上昇や原子力発電所の稼働減などにより燃料費が増加したことに加え、卸電力市場価格の上昇などにより購入電力料が増加したことなどから、経常費用は6,024億円増(+34.8%)の2兆3,327億円となった。
以上により、経常損益は866億円の損失、親会社株主に帰属する当期純損益は渇水準備引当金の取崩しや、有価証券売却益及び独禁法関連損失引当金繰入額をそれぞれ特別利益及び特別損失に計上したことなどから564億円の損失となった。
報告セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりである。
(注) 1 当連結会計年度より報告セグメントを変更している。
2 対前年度増減率の数値は、セグメント変更後の区分により作成している。
[参考]国内電気事業再掲
(注) 「発電・販売事業」と「送配電事業」との内部取引消去後の数値を記載している。
② 資産、負債及び純資産の状況
資産は、原子力安全性向上対策工事等に伴う固定資産の増加に加え、棚卸資産などの流動資産が増加したことから、前連結会計年度末に比べ2,613億円増(+4.9%)の5兆6,036億円となった。
負債は、有利子負債が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ3,204億円増(+6.9%)の4兆9,864億円となった。有利子負債残高は、前連結会計年度末に比べ3,534億円増(+9.7%)の3兆9,915億円となった。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上や配当金の支払いによる減少などにより、前連結会計年度末に比べ591億円減(△8.7%)の6,172億円となった。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ1.7ポイント低下し10.4%となった。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、国内電気事業において、小売販売収入や卸売販売収入の増加はあったが、燃料代支出や購入電力料支出の増加などにより、前連結会計年度に比べ2,273億円収入減(△88.2%)の305億円の収入となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投融資の回収による収入の増加はあったが、設備投資による支出の増加などにより、前連結会計年度に比べ79億円支出増(+2.5%)の3,288億円の支出となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れやコマーシャル・ペーパーの発行・償還による収入の増加などにより、前連結会計年度に比べ2,453億円収入増(+308.9%)の3,247億円の収入となった。
以上により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ288億円増加し、2,706億円となった。
(2)生産、受注及び販売の実績
当社グループの事業内容は、国内電気事業(発電・販売事業及び送配電事業)が大部分を占め、国内電気事業以外の事業の生産、受注及び販売の状況は、グループ全体からみて重要性が小さい。また、国内電気事業以外の事業については、受注生産形態をとらない業種が多いため、生産及び受注の状況を金額あるいは数量で示すことはしていない。このため、以下では、生産及び販売の状況を、国内電気事業における実績によって示している。
① 発受電実績
(注) 1 百万kWh未満は四捨五入のため、合計の数値が一致しない場合がある。
2 当社及び連結子会社(九州電力送配電株式会社、九電みらいエナジー株式会社)の合計値(内部取引消去後)を記載している。
3 発電電力量は、送電端の数値を記載している。
4 「新エネルギー等」は、太陽光、風力、バイオマス、廃棄物及び地熱の総称である。
5 揚水発電所の揚水用電力量等は、貯水池運営のための揚水用に使用する電力量及び自己託送の電力量である。
6 出水率は、当社の自流式水力発電電力量の1991年度から2020年度までの30か年平均に対する比である。
② 販売実績
(注) 1 販売電力量の百万kWh未満は四捨五入のため、合計の数値が一致しない場合がある。
2 当社及び連結子会社(九州電力送配電株式会社、九電みらいエナジー株式会社)の合計値(内部取引消去後)を記載している。
3 小売販売収入は小売販売電力量、卸売販売収入は卸売販売電力量に対応する料金収入である。
4 卸売販売電力量には間接オークションに伴う自己約定を含んでいる。
5 電灯料及び電力料には「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」により国が定める値引きの原資として受領する補助金収入は含んでいない。
③ 資材の状況
石炭、重油、原油、LNGの受払状況
(注) 当社及び連結子会社(九州電力送配電株式会社)の合計値を記載している。
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
ア 売上高(営業収益)及び経常損益
売上高(営業収益)は、前連結会計年度に比べ4,779億円増(+27.4%)の2兆2,213億円、経常収益は4,834億円増(+27.4%)の2兆2,461億円となった。一方、経常費用は6,024億円増(+34.8%)の2兆3,327億円となった。以上により、経常損益は1,190億円減の866億円の損失となった。
報告セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりである。
[発電・販売事業]
発電・販売事業は、国内における発電・小売電気事業等を展開している。
売上高は、燃料価格の上昇に伴う燃料費調整の影響などによる小売販売収入の増加に加え、卸売販売収入が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ4,133億円増(+27.2%)の1兆9,309億円となった。
経常損益は、燃料価格の上昇により燃料費調整の期ずれ影響の差損が発生したことに加え、原子力発電所の稼働減により燃料費が増加したことや、卸電力市場価格の上昇などにより購入電力料が増加したことなどから、赤字幅が1,405億円拡大し1,435億円の損失となった。
[送配電事業]
送配電事業は、九州域内における一般送配電事業等を展開している。
売上高は、卸売販売収入が再生可能エネルギー電源からの買取増に伴う卸売販売電力量の増等により増加したことや、託送収益がインバランスに係る収益の増加及び需給調整市場に係る調整交付金の単価増等により増加したことなどから、前連結会計年度に比べ1,106億円増(+18.5%)の7,089億円となった。
経常利益は、購入電力料がインバランスに係る費用の増加及び再生可能エネルギー電源からの買取額の増加等により増加したが、売上高が増加したことなどから、69億円増(+96.6%)の141億円となった。
[海外事業]
海外事業は、海外における発電・送配電事業等を展開している。
売上高は、送電事業に係る収入の増加などにより、前連結会計年度に比べ19億円増(+44.2%増)の62億円、経常利益は、持分法による投資利益の増加などもあり、20億円増(+82.1%)の44億円となった。
[その他エネルギーサービス事業]
その他エネルギーサービス事業は、電気設備の建設・保守など電力の安定供給に資する事業、お客さまのエネルギーに関する様々な思いにお応えするため、ガス・LNG販売、石炭販売、再生可能エネルギー事業等を展開している。
売上高は、ガス・LNG販売価格の上昇や連結子会社において2022年11月に石炭販売事業を開始したことなどにより、前連結会計年度に比べ668億円増(+34.4%)の2,611億円、経常利益は103億円増(+54.7%)の292億円となった。
[ICTサービス事業]
ICTサービス事業は、保有する光ファイバ網やデータセンターなどの情報通信事業基盤や事業ノウハウを活用し、データ通信、光ブロードバンド、電気通信工事・保守、情報システム開発、データセンター事業等を展開している。
売上高は、情報システム開発受託の増加などにより、前連結会計年度に比べ69億円増(+6.2%)の1,193億円、経常利益は4億円増(+6.9%)の65億円となった。
[都市開発事業]
都市開発事業は、都市開発・不動産・社会インフラ事業等を展開している。
売上高は、オール電化マンション販売の減少はあるものの、不動産賃貸収入の増加などにより、前連結会計年度並みの249億円、経常利益は前連結会計年度並みの32億円となった。
イ 渇水準備金引当又は取崩し
当連結会計年度は、電気事業法の規定に基づき、特例許可による渇水準備引当金の一部取崩しについて、経済産業大臣から許可を得たことや出水率が88.2%と平水(100%)を下回ったことから、渇水準備引当金を50億円取り崩した。特例許可の詳細については、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結損益計算書関係)」に記載している。
ウ 特別利益
当連結会計年度は、有価証券売却益により112億円を特別利益に計上した。
エ 特別損失
当連結会計年度は、独禁法関連損失引当金繰入額により27億円を特別損失に計上した。
オ 法人税等
法人税等は、当連結会計年度に発生した繰越欠損金に係る繰延税金資産を計上したことなどによる影響で、法人税等調整額が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ353億円減の△185億円となった。
カ 親会社株主に帰属する当期純損益
親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べ633億円減の564億円の損失となった。1株当たり当期純損益は133.90円減の123.81円の損失となった。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
ア キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当社グループのキャッシュ・フローの状況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載している。
イ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、燃料代などの支払いや設備投資及び投融資、並びに借入金の返済及び社債の償還などに資金を充当している。
これらの資金需要に対して、自己資金に加え、社債や借入金により資金調達を行うとともに、一時的な資金需要の変動に対しては、コマーシャル・ペーパーなどにより機動的な対応を行っている。
また、流動性リスクについては、月次での資金繰により資金需要を的確に把握するよう努めるとともに、コミットメントラインや当座貸越、及びキャッシュ・マネジメント・サービスなどを活用することとしている。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。重要な会計方針については、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載している。
当社グループは、連結財務諸表を作成するにあたり、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性、海外発電事業への投資及び海外における発電所建設等のサービスに係る金融資産の評価、貸倒引当金、退職給付に係る負債及び資産、資産除去債務などに関して、過去の実績等を勘案し、合理的と考えられる見積り、判断を行っているが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。このうち、特に重要なものは繰延税金資産の回収可能性と海外発電事業への投資及び海外における発電所建設等のサービスに係る金融資産の評価であり、詳細については、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載している。
④ 目標とする経営指標の達成状況等
当社グループは、「九電グループ経営ビジョン2030」に向けた中間目標として、「連結経常利益1,250億円以上(2025年度)」「自己資本比率20%程度(2025年度末)」の財務目標を設定しており、当連結会計年度においては、原子力発電所の稼働減による燃料費の増加や、燃料価格上昇に伴う燃料費調整制度の期ずれ影響等により、経常損益は866億円の損失、自己資本比率10.4%となった。
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した財務目標及び経営目標の実現に向けて、カーボンニュートラルに貢献する電化の推進などによる国内電気事業の収益拡大に加え、再生可能エネルギー事業や海外事業をはじめとする成長事業への投資による収益拡大などの取組みを引き続き推進していく。
① 経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大や物価上昇のなか、感染拡大防止と経済活動の両立等による個人消費の回復などにより、緩やかに持ち直している。九州経済も、同様に個人消費が回復するとともに、輸出・生産について自動車生産が回復するなど、総じて持ち直している。
当社グループにおいては、「九電グループ経営ビジョン2030」の実現に向けて、グループ全体が更に一体感を増し、国内電気事業をはじめ、海外事業・ICTサービス事業・都市開発事業など、様々な分野において挑戦を加速してきた。また、安全性の確保を前提とした原子力の最大限の活用などによる「電源の低・脱炭素化」や「電化の推進」など、カーボンニュートラルの実現に向けた取組みを着実に進めるとともに、事業活動全般にわたる徹底した効率化に、グループ一体となって取り組んできた。
当連結会計年度の業績については、燃料価格の上昇により燃料費調整の期ずれ影響の差損が発生したことに加え、原子力発電所の稼働減により燃料費が増加したことや、卸電力市場価格の上昇により購入電力料が増加したことなどから、赤字となった。
当連結会計年度の小売販売電力量については、域内の契約電力は増加しているものの、域外の契約電力が減少していることなどにより、前連結会計年度に比べ3.6%減の765億kWhとなった。また、卸売販売電力量については、8.9%増の194億kWhとなった。この結果、総販売電力量は1.3%減の960億kWhとなった。
小売・卸売に対する供給面については、原子力をはじめ、火力・揚水等発電設備の総合的な運用等により、また、エリア需給については、調整力電源の運用及び国のルールに基づく再エネ出力制御の実施等により、安定して電力を供給することができた。
当連結会計年度の連結収支については、収入面では、国内電気事業において、燃料価格の上昇に伴う燃料費調整の影響などにより小売販売収入が増加したことに加え、卸売販売収入が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度に比べ4,779億円増(+27.4%)の2兆2,213億円、経常収益は4,834億円増(+27.4%)の2兆2,461億円となった。
支出面では、国内電気事業において、燃料価格の上昇や原子力発電所の稼働減などにより燃料費が増加したことに加え、卸電力市場価格の上昇などにより購入電力料が増加したことなどから、経常費用は6,024億円増(+34.8%)の2兆3,327億円となった。
以上により、経常損益は866億円の損失、親会社株主に帰属する当期純損益は渇水準備引当金の取崩しや、有価証券売却益及び独禁法関連損失引当金繰入額をそれぞれ特別利益及び特別損失に計上したことなどから564億円の損失となった。
報告セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりである。
| 当連結会計年度 (2022年4月1日から 2023年3月31日まで) | 対前年度増減率 (%) | ||
| 金額(百万円) | |||
| 発電・販売事業 | 売 上 高 | 1,930,937 | 27.2 |
| 経常損失(△) | △143,558 | - | |
| 送配電事業 | 売 上 高 | 708,980 | 18.5 |
| 経常利益 | 14,120 | 96.6 | |
| 海外事業 | 売 上 高 | 6,245 | 44.2 |
| 経常利益 | 4,459 | 82.1 | |
| その他エネルギーサービス事業 | 売 上 高 | 261,140 | 34.4 |
| 経常利益 | 29,240 | 54.7 | |
| ICTサービス事業 | 売 上 高 | 119,389 | 6.2 |
| 経常利益 | 6,526 | 6.9 | |
| 都市開発事業 | 売 上 高 | 24,957 | 0.2 |
| 経常利益 | 3,218 | △1.7 | |
(注) 1 当連結会計年度より報告セグメントを変更している。
2 対前年度増減率の数値は、セグメント変更後の区分により作成している。
[参考]国内電気事業再掲
| 当連結会計年度 (2022年4月1日から 2023年3月31日まで) | 対前年度増減率 (%) | ||
| 金額(百万円) | |||
| 国内電気事業 | 売 上 高 | 2,008,619 | 28.0 |
| 経常損失(△) | △129,871 | - | |
(注) 「発電・販売事業」と「送配電事業」との内部取引消去後の数値を記載している。
② 資産、負債及び純資産の状況
資産は、原子力安全性向上対策工事等に伴う固定資産の増加に加え、棚卸資産などの流動資産が増加したことから、前連結会計年度末に比べ2,613億円増(+4.9%)の5兆6,036億円となった。
負債は、有利子負債が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ3,204億円増(+6.9%)の4兆9,864億円となった。有利子負債残高は、前連結会計年度末に比べ3,534億円増(+9.7%)の3兆9,915億円となった。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上や配当金の支払いによる減少などにより、前連結会計年度末に比べ591億円減(△8.7%)の6,172億円となった。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ1.7ポイント低下し10.4%となった。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、国内電気事業において、小売販売収入や卸売販売収入の増加はあったが、燃料代支出や購入電力料支出の増加などにより、前連結会計年度に比べ2,273億円収入減(△88.2%)の305億円の収入となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投融資の回収による収入の増加はあったが、設備投資による支出の増加などにより、前連結会計年度に比べ79億円支出増(+2.5%)の3,288億円の支出となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れやコマーシャル・ペーパーの発行・償還による収入の増加などにより、前連結会計年度に比べ2,453億円収入増(+308.9%)の3,247億円の収入となった。
以上により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ288億円増加し、2,706億円となった。
(2)生産、受注及び販売の実績
当社グループの事業内容は、国内電気事業(発電・販売事業及び送配電事業)が大部分を占め、国内電気事業以外の事業の生産、受注及び販売の状況は、グループ全体からみて重要性が小さい。また、国内電気事業以外の事業については、受注生産形態をとらない業種が多いため、生産及び受注の状況を金額あるいは数量で示すことはしていない。このため、以下では、生産及び販売の状況を、国内電気事業における実績によって示している。
① 発受電実績
| 種 別 | 当連結会計年度 (2022年4月1日から 2023年3月31日まで) | 対前年度増減率 (%) | |||
| 電力量(百万kWh) | |||||
| 発 受 電 電 力 量 | 発 電 電 力 量 | 水力発電電力量 | 4,417 | △2.7 | |
| 火力発電電力量 | 35,506 | 36.9 | |||
| 原子力発電電力量 | 20,077 | △37.0 | |||
| 新エネルギー等発電電力量 | 1,330 | 0.5 | |||
| 融通・他社受電電力量 | 41,779 | 0.1 | |||
| (水力再掲) | (1,536) | (19.8) | |||
| (新エネルギー等再掲) | (19,473) | (9.3) | |||
| 揚水発電所の揚水用電力量等 | △2,309 | 0.2 | |||
| 合 計 | 100,801 | △2.2 | |||
| 損失電力量等 | 4,834 | △16.7 | |||
| 総販売電力量 | 95,967 | △1.3 | |||
| 出水率 | 88.2% | - | |||
(注) 1 百万kWh未満は四捨五入のため、合計の数値が一致しない場合がある。
2 当社及び連結子会社(九州電力送配電株式会社、九電みらいエナジー株式会社)の合計値(内部取引消去後)を記載している。
3 発電電力量は、送電端の数値を記載している。
4 「新エネルギー等」は、太陽光、風力、バイオマス、廃棄物及び地熱の総称である。
5 揚水発電所の揚水用電力量等は、貯水池運営のための揚水用に使用する電力量及び自己託送の電力量である。
6 出水率は、当社の自流式水力発電電力量の1991年度から2020年度までの30か年平均に対する比である。
② 販売実績
| 種 別 | 当連結会計年度 (2022年4月1日から 2023年3月31日まで) | 対前年度増減率 (%) | |||
| 販売電力量 (百万kWh) | 小売販売電力量 | 76,546 | △3.6 | ||
| 電灯 | 24,172 | △3.3 | |||
| 電力 | 52,374 | △3.8 | |||
| 卸売販売電力量 | 19,420 | 8.9 | |||
| 総販売電力量 | 95,967 | △1.3 | |||
| 料金収入 (百万円) | 小売販売収入 | 1,519,895 | 23.8 | ||
| 電灯料 | 571,772 | 10.3 | |||
| 電力料 | 948,123 | 33.5 | |||
| 卸売販売収入 | 273,022 | 42.8 | |||
| 合 計 | 1,792,918 | 26.3 | |||
(注) 1 販売電力量の百万kWh未満は四捨五入のため、合計の数値が一致しない場合がある。
2 当社及び連結子会社(九州電力送配電株式会社、九電みらいエナジー株式会社)の合計値(内部取引消去後)を記載している。
3 小売販売収入は小売販売電力量、卸売販売収入は卸売販売電力量に対応する料金収入である。
4 卸売販売電力量には間接オークションに伴う自己約定を含んでいる。
5 電灯料及び電力料には「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」により国が定める値引きの原資として受領する補助金収入は含んでいない。
③ 資材の状況
石炭、重油、原油、LNGの受払状況
| 区分 | 当連結会計年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで) | |||||||||
| 期首残高 | 対前年度 増減率 (%) | 受入 | 対前年度 増減率 (%) | 消費 | 期末残高 | 対前年度 増減率 (%) | ||||
| 発電用 | 対前年度 増減率 (%) | その他 | 対前年度 増減率 (%) | |||||||
| 石炭(t) | 407,325 | △10.7 | 7,577,001 | 43.9 | 7,379,733 | 38.6 | 7,604 | - | 596,989 | 46.6 |
| 重油(kl) | 84,559 | △23.3 | 215,115 | 0.9 | 214,519 | △0.9 | 24,134 | 8.8 | 61,021 | △27.8 |
| 原油(kl) | 917 | △95.5 | - | - | - | - | △3 | - | 920 | 0.3 |
| LNG(t) | 184,810 | 3.7 | 2,247,023 | 26.1 | 2,131,417 | 33.2 | 117,477 | △32.6 | 182,939 | △1.0 |
(注) 当社及び連結子会社(九州電力送配電株式会社)の合計値を記載している。
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
ア 売上高(営業収益)及び経常損益
売上高(営業収益)は、前連結会計年度に比べ4,779億円増(+27.4%)の2兆2,213億円、経常収益は4,834億円増(+27.4%)の2兆2,461億円となった。一方、経常費用は6,024億円増(+34.8%)の2兆3,327億円となった。以上により、経常損益は1,190億円減の866億円の損失となった。
報告セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりである。
[発電・販売事業]
発電・販売事業は、国内における発電・小売電気事業等を展開している。
売上高は、燃料価格の上昇に伴う燃料費調整の影響などによる小売販売収入の増加に加え、卸売販売収入が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ4,133億円増(+27.2%)の1兆9,309億円となった。
経常損益は、燃料価格の上昇により燃料費調整の期ずれ影響の差損が発生したことに加え、原子力発電所の稼働減により燃料費が増加したことや、卸電力市場価格の上昇などにより購入電力料が増加したことなどから、赤字幅が1,405億円拡大し1,435億円の損失となった。
[送配電事業]
送配電事業は、九州域内における一般送配電事業等を展開している。
売上高は、卸売販売収入が再生可能エネルギー電源からの買取増に伴う卸売販売電力量の増等により増加したことや、託送収益がインバランスに係る収益の増加及び需給調整市場に係る調整交付金の単価増等により増加したことなどから、前連結会計年度に比べ1,106億円増(+18.5%)の7,089億円となった。
経常利益は、購入電力料がインバランスに係る費用の増加及び再生可能エネルギー電源からの買取額の増加等により増加したが、売上高が増加したことなどから、69億円増(+96.6%)の141億円となった。
[海外事業]
海外事業は、海外における発電・送配電事業等を展開している。
売上高は、送電事業に係る収入の増加などにより、前連結会計年度に比べ19億円増(+44.2%増)の62億円、経常利益は、持分法による投資利益の増加などもあり、20億円増(+82.1%)の44億円となった。
[その他エネルギーサービス事業]
その他エネルギーサービス事業は、電気設備の建設・保守など電力の安定供給に資する事業、お客さまのエネルギーに関する様々な思いにお応えするため、ガス・LNG販売、石炭販売、再生可能エネルギー事業等を展開している。
売上高は、ガス・LNG販売価格の上昇や連結子会社において2022年11月に石炭販売事業を開始したことなどにより、前連結会計年度に比べ668億円増(+34.4%)の2,611億円、経常利益は103億円増(+54.7%)の292億円となった。
[ICTサービス事業]
ICTサービス事業は、保有する光ファイバ網やデータセンターなどの情報通信事業基盤や事業ノウハウを活用し、データ通信、光ブロードバンド、電気通信工事・保守、情報システム開発、データセンター事業等を展開している。
売上高は、情報システム開発受託の増加などにより、前連結会計年度に比べ69億円増(+6.2%)の1,193億円、経常利益は4億円増(+6.9%)の65億円となった。
[都市開発事業]
都市開発事業は、都市開発・不動産・社会インフラ事業等を展開している。
売上高は、オール電化マンション販売の減少はあるものの、不動産賃貸収入の増加などにより、前連結会計年度並みの249億円、経常利益は前連結会計年度並みの32億円となった。
イ 渇水準備金引当又は取崩し
当連結会計年度は、電気事業法の規定に基づき、特例許可による渇水準備引当金の一部取崩しについて、経済産業大臣から許可を得たことや出水率が88.2%と平水(100%)を下回ったことから、渇水準備引当金を50億円取り崩した。特例許可の詳細については、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結損益計算書関係)」に記載している。
ウ 特別利益
当連結会計年度は、有価証券売却益により112億円を特別利益に計上した。
エ 特別損失
当連結会計年度は、独禁法関連損失引当金繰入額により27億円を特別損失に計上した。
オ 法人税等
法人税等は、当連結会計年度に発生した繰越欠損金に係る繰延税金資産を計上したことなどによる影響で、法人税等調整額が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ353億円減の△185億円となった。
カ 親会社株主に帰属する当期純損益
親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べ633億円減の564億円の損失となった。1株当たり当期純損益は133.90円減の123.81円の損失となった。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
ア キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当社グループのキャッシュ・フローの状況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載している。
イ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、燃料代などの支払いや設備投資及び投融資、並びに借入金の返済及び社債の償還などに資金を充当している。
これらの資金需要に対して、自己資金に加え、社債や借入金により資金調達を行うとともに、一時的な資金需要の変動に対しては、コマーシャル・ペーパーなどにより機動的な対応を行っている。
また、流動性リスクについては、月次での資金繰により資金需要を的確に把握するよう努めるとともに、コミットメントラインや当座貸越、及びキャッシュ・マネジメント・サービスなどを活用することとしている。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。重要な会計方針については、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載している。
当社グループは、連結財務諸表を作成するにあたり、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性、海外発電事業への投資及び海外における発電所建設等のサービスに係る金融資産の評価、貸倒引当金、退職給付に係る負債及び資産、資産除去債務などに関して、過去の実績等を勘案し、合理的と考えられる見積り、判断を行っているが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。このうち、特に重要なものは繰延税金資産の回収可能性と海外発電事業への投資及び海外における発電所建設等のサービスに係る金融資産の評価であり、詳細については、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載している。
④ 目標とする経営指標の達成状況等
当社グループは、「九電グループ経営ビジョン2030」に向けた中間目標として、「連結経常利益1,250億円以上(2025年度)」「自己資本比率20%程度(2025年度末)」の財務目標を設定しており、当連結会計年度においては、原子力発電所の稼働減による燃料費の増加や、燃料価格上昇に伴う燃料費調整制度の期ずれ影響等により、経常損益は866億円の損失、自己資本比率10.4%となった。
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した財務目標及び経営目標の実現に向けて、カーボンニュートラルに貢献する電化の推進などによる国内電気事業の収益拡大に加え、再生可能エネルギー事業や海外事業をはじめとする成長事業への投資による収益拡大などの取組みを引き続き推進していく。