有価証券報告書-第220期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/26 15:23
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① 経営成績等の状況の概要
(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況)
(1) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 経営環境
当連結会計年度における我が国の経済は、輸出や生産の一部に弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善など緩やかな回復基調にあったが、相次ぐ自然災害や消費増税等により個人消費に力強さを欠く状況となった。加えて新型コロナウイルスの感染拡大により我が国並びに世界経済の先行きが見通せない極めて不透明な状況となっている。
そのような経済環境の中、2016年4月の電力小売全面自由化に続く2017年4月のガス小売全面自由化により、エネルギー業界ではエネルギー事業者間の競争、さらには業種の垣根を超えた競争が激しさを増している。また脱炭素化が世界的な潮流となる等、エネルギー事業を取り巻く環境は大きく変化した。そうした中、当社グループは、総合エネルギー事業化とグローバル化によって、国内外のお客さまにお届けする付加価値を増大し、引き続き当社グループを選んでいただけるよう、さまざまな施策に積極的に取り組んできた。
② 売上高
売上高は、前連結会計年度比1.9%減の1,925,235百万円となった。電力売上高が電力販売量増等により前連結会計年度比27.9%増加したものの、ガス売上高が都市ガス販売量減及び原油価格下落影響に伴う原料費調整による売上単価減等により前連結会計年度比4.1%減少した。
③ 営業費用及び営業利益
売上原価、供給販売費及び一般管理費を合計した営業費用は、前連結会計年度比2.4%減の1,823,727百万円となった。
都市ガス販売量減及び原油価格下落影響等による都市ガス原材料費が減少したこと等により、売上原価は前連結会計年度比4.5%減の1,343,965百万円となった。経営効率化の一層の推進を図り、費用の抑制に最大限の努力を重ねてきたものの、システム稼働に伴う費用増や退職給付に係る数理計算上の差異の費用処理額の増加等により、供給販売費及び一般管理費は前連結会計年度比4.0%増の479,761百万円となった。
この結果、営業利益は前連結会計年度比8.3%増の101,508百万円となった。
④ 営業外損益及び経常利益
営業外損益純額は、前連結会計年度の△4,317百万円から、1,227百万円となった。
営業外収益の合計は、前連結会計年度の13,771百万円から、20,429百万円となった。これは、受取配当金が前連結会計年度比2,621百万円増の5,433百万円となったこと、及び持分法による投資利益が前連結会計年度比2,417百万円増の5,211百万円になったことが主な要因である。
営業外費用の合計は、前連結会計年度の18,089百万円から、19,202百万円となった。
この結果、経常利益は前連結会計年度比14.9%増の102,735百万円となった。
⑤ 特別損益
特別損益純額は、前連結会計年度の27,861百万円から、△35,168百万円となった。
特別利益の合計は、前連結会計年度の35,727百万円から、11,627百万円となった。これは、前連結会計年度に29,306百万円計上した固定資産売却益と6,420百万円計上した投資有価証券売却益が当連結会計年度はなかったこと、及び契約精算益を11,627百万円計上したことが要因である。
特別損失の合計は、前連結会計年度の7,865百万円から、46,796百万円となった。これは、海外上流事業等の減損損失28,152百万円及び投資有価証券評価損18,643百万円を計上したことが要因である。
⑥ 税金等調整前当期純利益、法人税等(法人税、住民税及び事業税・法人税等調整額)並びに親会社株主に帰属する当期純利益
税金等調整前当期純利益は、経常利益の増加があったものの、特別損失の増加により、前連結会計年度比42.4%減の67,566百万円となった。法人税等は、同27.1%減の23,999百万円となった。
以上の結果から、親会社株主に帰属する当期純利益は同48.7%減の43,382百万円となった。
売上高に対する当期純利益率は、前連結会計年度の4.3%から2.0ポイント減少し、2.3%となった。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の187円60銭から、98円07銭となった。
⑦ セグメント情報
イ ガス
都市ガス販売量は、前連結会計年度比8.8%減の13,855百万m3となった。家庭用需要は、前連結会計年度と比較してお客さま件数が減少したこと等により、前連結会計年度比3.6%減の3,124百万m3となった。業務用需要は、前連結会計年度と比較して需要家件数が減少したこと等により、同4.3%減の2,497百万m3となった。工業用需要は、発電用需要の減少等により、同13.7%減の6,397百万m3となった。また、他事業者向け供給は、供給先の需要減少等により、同5.1%減の1,837百万m3となった。
[2019年度連結都市ガス販売量]
2019年度2018年度増減増減率
(%)
小売お客さま件数千件9,1299,821△691△7.0
取付メーター数千件11,95411,8181361.1
都市ガス
販売量
家庭用百万m33,1243,240△116△3.6
業務用百万m32,4972,609△112△4.3
工業用百万m36,3977,413△1,016△13.7
百万m38,89410,022△1,128△11.3
他事業者向け供給百万m31,8371,936△99△5.1
合計百万m313,85515,198△1,343△8.8
平均気温16.717.0△0.3-

(注) 1 小売お客さま件数は、ガス小売事業者としてのガス料金請求対象件数
2 取付メーター数は、休止中・閉栓中・他社小売分を含む導管事業者としてのメーター取付数
3 業務用は、商業用、公用及び医療用
4 都市ガス販売量は45MJ(メガジュール)/m3
5 平均気温は、お客さまそれぞれの、ご使用期間(前月の検針日から当月の検針日まで)における気温を平均したもの
ガス売上高は、都市ガス販売量が前連結会計年度を下回ったことに加え、原料費調整による売上単価減等により、前連結会計年度から58,284百万円(4.1%)減の1,355,425百万円となった。都市ガス販売量の減少や原油価格が前期より下落傾向にあったこと等により都市ガスの原材料費が減少した結果、営業費用は前連結会計年度から68,491百万円(5.2%)減少し、1,252,991百万円となった。この結果、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ10,206百万円(11.1%)増加し、102,433百万円となった。
ロ 電力
電力販売量は、前連結会計年度比33.1%増の20,604百万kWhとなった。
[2019年度連結電力販売量]
2019年度2018年度増減増減率(%)
小売お客さま件数千件2,3501,74260834.9
電力販売量小売百万kWh8,5226,5551,96730.0
卸他百万kWh12,0828,9263,15635.4
合計百万kWh20,60415,4825,12233.1

(注) 小売お客さま件数は、電力小売事業者としての電気料金請求対象件数
電力売上高は、前連結会計年度から78,322百万円(27.9%)増加し、358,630百万円となった。営業費用は前連結会計年度から78,345百万円(29.0%)増加し、348,489百万円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ23百万円(0.2%)減少し、10,141百万円となった。
ハ 海外
海外売上高は、前連結会計年度から6,930百万円(13.6%)減少し、43,983百万円となった。営業費用は前連結会計年度から2,401百万円(6.4%)減少し、35,377百万円となった。持分法による投資利益は、4,649百万円と前連結会計年度比2,475百万円(113.8%)増加した。この結果、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ2,054百万円(13.4%)減少の、13,255百万円となった。
なお、海外上流事業にかかる特別損失として減損損失22,481百万円及び投資有価証券評価損15,961百万円を計上している。
ニ エネルギー関連
エンジニアリングソリューション、ガス器具、ガス工事、建設及びクレジット等の売上で構成されるエネルギー関連売上高は、エンジニアリング売上高及びガス器具売上高の減少等により、前連結会計年度から11,688百万円(3.2%)減少し、351,910百万円となった。営業費用は前連結会計年度から17,495百万円(5.0%)減少し、334,914百万円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ5,807百万円(51.9%)増加し、16,995百万円となった。
ホ 不動産
不動産売上高は、前連結会計年度から72百万円(0.2%)減少し、44,529百万円となった。営業費用は前連結会計年度から688百万円(1.9%)減少し、35,377百万円となった。持分法による投資利益は、547百万円と前連結会計年度比52百万円(8.8%)減少した。この結果、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ563百万円(6.2%)増加し、9,698百万円となった。
ヘ その他
情報処理サービス及び船舶等の売上で構成されるその他売上高は、前連結会計年度から15,345百万円(14.2%)増加し、123,207百万円となった。営業費用は前連結会計年度から15,866百万円(15.6%)増加し、117,456百万円となった。持分法による投資利益は、15百万円と前連結会計年度比4百万円(22.1%)減少した。この結果、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ526百万円(8.4%)減少し、5,766百万円となった。
なお、参考のため、セグメント別の売上高及び構成比を示す。
区分前連結会計年度当連結会計年度
金額(百万円)構成比(%)金額(百万円)構成比(%)
ガス1,413,70962.41,355,42559.5
電力280,30812.4358,63015.7
海外50,9132.343,9831.9
エネルギー関連363,59816.1351,91015.5
不動産44,6012.044,5292.0
その他107,8624.8123,2075.4
合計2,260,994100.02,277,686100.0
調整額△298,685△352,450
連結1,962,3081,925,235

(注) 各セグメントの売上高には、事業間の内部取引を含んでいる。
(2) 経営成績に重要な影響を与える経済フレームについて
① 原料購入価格の変動
当社が供給する都市ガスの主要原料であるLNGは海外から輸入しており、ドル建ての売買契約になっているため、円/ドル為替の変動リスクを受ける。また、ドル建てのLNG価格は原油価格に連動して決定されるため、国際原油価格市場の変動リスクも受ける。
ただし、原料購入価格が変動しても変動分について最大5ヶ月遅れ(注1)で都市ガス料金に反映する「原料費調整制度(注2)」が適用されるため、年度を区切ると回収超過や回収不足が発生する(スライドタイムラグ)が、中長期的には収支への影響は軽微である。
(注) 1 都市ガス料金への反映は、契約により5ヶ月遅れではない場合もある。
2 調整の上限がある。
② 気温の変動
当社グループの年度売上高の過半が都市ガスの販売によるもので、その販売量は気温の影響を受ける。家庭用においては、主な都市ガスの利用目的は給湯・暖房であるため、暖冬の場合には都市ガス販売量が減少し減収・減益要因となる。業務用においては、主な利用目的が空調であるため、夏場においては気温が低い場合、冬場においては気温が高い場合に、それぞれ都市ガス販売量が減少し減収・減益要因となる。
③ 金利の変動
当社の有利子負債は、長期・短期ともに概ね固定金利であるため、借入れ期間中の金利変動リスクは軽微である。しかし、借換え時等においては金利変動のリスクを受ける可能性がある。
④ 株価の変動
当社の保有する株式のうち、上場株式の株価はマーケットリスクにさらされている。保有株式の取扱いについては、管理規則を設けている。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 連結キャッシュ・フロー
営業活動による
キャッシュ・フロー
(百万円)
投資活動による
キャッシュ・フロー
(百万円)
財務活動による
キャッシュ・フロー
(百万円)
当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
306,296△270,79823,171
前連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
141,306△203,46227,628

当連結会計年度においては、税金等調整前当期純利益の計上に対し、有形固定資産の取得及び無形固定資産の取得等があったものの、減価償却費の計上及び新たな社債の発行による収入等により、現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ58,186百万円増加し、当連結会計年度末には151,218百万円となった(前期末比62.5%増)。
イ 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果増加した資金は、当連結会計年度において306,296百万円となった。
これは、税金等調整前当期純利益の計上(67,566百万円)に対し、法人税等の支払(31,676百万円)及び利息の支払(11,087百万円)等があったものの、減価償却費が計上(165,410百万円)されたこと及び売上債権が減少(52,646百万円)したこと等によるものである。
また、これは、前連結会計年度に比べて164,990百万円の収入の増加となる(前期比116.8%増)。
ロ 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果減少した資金は、当連結会計年度において270,798百万円となった。
これは、長期貸付金の回収による収入(4,853百万円)等があったものの、製造・供給体制整備のための設備投資等に伴う有形固定資産の取得による支出(177,664百万円)及び無形固定資産の取得による支出(41,908百万円)等により資金が減少したことによるものである。
また、これは、前連結会計年度に比べて67,336百万円の支出の増加となる(前期比33.1%増)。
ハ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果増加した資金は、当連結会計年度において23,171百万円となった。
これは、長期借入金の返済による支出(43,390百万円)、社債の償還による支出(30,000百万円)及び配当金の支払(27,839百万円)等があったものの、新たな社債の発行による収入(90,000百万円)及び長期借入れによる収入(71,542百万円)があったこと等によるものである。
また、これは、前連結会計年度に比べて4,457百万円の収入の減少となる(前期比16.1%減)。
② 資産、負債及び純資産
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末から109,575百万円(4.5%)増加し、2,537,724百万円となった。総資産利益率(ROA)は、前連結会計年度末の3.6%から1.7%に下落した。
③ 固定資産
有形固定資産は、太陽光発電設備の取得や茨城幹線の建設が進んだこと等により、前連結会計年度末から33,743百万円(2.4%)増加し、1,459,377百万円となった。製造設備はLNG基地の増強があったものの、既存設備の減価償却が進んだことにより、前連結会計年度末から9,918百万円減少し、224,515百万円となった。供給設備は導管網の増強があったものの、既存設備の減価償却が進んだことにより、前連結会計年度末から434百万円減少し、548,095百万円となった。その他の設備は既存資産の減価償却が進んだものの、太陽光発電設備やLNG船の取得による増加等があったことにより、前連結会計年度末から27,485百万円増加し475,093百万円となった。建設仮勘定は、LNG船の事業供用に伴うその他の設備への振替等があったものの、田町プロジェクトや茨城幹線等への設備投資が増加したこと等により、前連結会計年度末から17,702百万円増加し、162,862百万円となった。
無形固定資産は、既存設備の減価償却が進んだものの、新たに構築した大規模な基幹システムへの投資や新規投資に伴うのれんの計上等があったことにより、前連結会計年度末から33,725百万円(28.0%)増加し、154,084百万円となった。
また、投資その他の資産は、海外上流事業等への投融資が増加したこと等により、前連結会計年度末から6,422百万円(1.8%)増加し、361,831百万円となった。
④ 流動資産
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末から35,686百万円(6.8%)増加し、562,431百万円となった。受取手形及び売掛金は、前連結会計年度末と比べ44,102百万円減少し、221,123百万円となった。
⑤ 固定負債
当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末から89,554百万円(9.7%)増加し、1,008,730百万円となった。社債は、前連結会計年度末から70,000百万円増加し、404,998百万円となった。また、長期借入金は、前連結会計年度末から34,999百万円増加し、429,541百万円となった。
⑥ 流動負債
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末から32,139百万円(9.5%)増加し、369,765百万円となった。支払手形及び買掛金は、前連結会計年度末から8,988百万円増加し、78,593百万円となった。また、1年以内固定負債は、前連結会計年度末から2,862百万円増加し、54,428百万円となった。一方、流動比率(流動資産÷流動負債)は、前連結会計年度末の156.0%から152.1%に下落した。
⑦ 有利子負債
社債の増加等に伴い、当連結会計年度末の有利子負債残高は、前連結会計年度末に比べ101,850百万円(12.7%)増加し、905,066百万円となった。有利子負債比率(有利子負債÷総資産)は、前連結会計年度末の33.1%から35.7%に上昇した。
⑧ 純資産
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ12,117百万円(1.0%)減少し、1,159,228百万円となった。これは、その他有価証券評価差額金の減少等によりその他の包括利益累計額が3,144百万円減少したこと、株主資本については、親会社株主に帰属する当期純利益の計上43,382百万円等による増加に対し、剰余金の配当27,853百万円、自己株式の市場買付23,999百万円等による減少が大きく、8,074百万円減少したこと等によるものである。自己資本比率は、前連結会計年度末の47.7%から45.2%に下落し、自己資本利益率(ROE)は、前連結会計年度末の7.4%から3.8%に下落した。負債資本倍率(D/Eレシオ)は、前連結会計年度末の0.69から0.79へと上昇した。
(生産、受注及び販売の実績)
当社グループの製品・サービスは広範囲かつ多種多様であり、また、受注生産形態をとらない製品も少なくない。また、都市ガス事業が外部顧客に対する売上高及び営業費用の大半を占めており、当該セグメントが当社グループの生産及び販売活動の中心となっている。
このため、以下は都市ガス事業について記載している。
(1) 生産実績
最近2連結会計年度の都市ガスの生産実績は次のとおりである。
区分前連結会計年度当連結会計年度
都市ガス(千m3)15,116,36513,765,933

(2) 受注実績
都市ガスについては、その性質上受注生産は行わない。
(3) 販売実績
都市ガス販売実績
都市ガスは、導管を通じて直接需要家に販売しているが、一部については他事業者向け供給を行っている。
最近2連結会計年度の都市ガスの販売実績は次のとおりである。
区分前連結会計年度当連結会計年度
数量(千m3)金額(百万円)数量(千m3)金額(百万円)
家庭用3,240,026473,2393,123,799449,756
その他11,957,984769,42410,731,273693,137
15,198,0101,242,66313,855,0731,142,893

② 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いているが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性がある。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりである。
① 減損会計における将来キャッシュ・フロー
海外事業における減損損失及び投資有価証券評価損を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、各プロジェクトの経営環境などの外部要因に関する情報や各プロジェクトが用いている内部の情報(事業計画・予算など)を使用し、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積っている。
当該見積りには、売上高に影響する油価・ガス価・為替等の将来見通し、需給予測を踏まえた市場の動向など、また、直近実績を反映した各種コストの見通し(上流資源の開発・生産計画や各種設備投資等含む)を用いている。
各プロジェクトの適用割引率については、それぞれの国・地域のリスクフリーレート(主に国債金利)や類似企業の株式のリスク倍率(β)、マーケットリスク等を踏まえ、各国会計監査法人とで合意した割引率を個別に設定し、将来価値を評価している。長期の将来キャッシュ・フローは、上記数値を基礎に、各国のインフレ率の見込み等の仮定をおいて見積っている。
② 退職給付債務の算定
当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在する。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定している。数理計算上の仮定には、割引率等の様々な計算基礎がある。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性がある。
退職給付債務の算定において、主要な仮定の変化が当連結会計年度末の退職給付債務に与える感応度は以下のとおりである。マイナス(△)は退職給付債務の減少を、プラスは退職給付債務の増加を表している。感応度分析は分析の対象となる数理計算上の仮定以外のすべての数理計算上の仮定が一定であることを前提としている。
当連結会計年度末 (2020年3月31日)
数理計算上の仮定の変化退職給付債務への影響額
割引率0.1%の減少+3,852百万円
0.1%の増加△3,763百万円

なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(退職給付関係)(8)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりである。
③ 新型コロナウイルス感染症
新型コロナウイルス感染症の広がりは、日本のみならず世界の社会・経済全体に甚大な影響を及ぼしており、被害の規模・範囲や収束までの期間が予測不可能な点において、これまで当社グループが経験してきた非常事態とは質的に異なると認識している。
事業領域・エリアが拡大する中、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う想定される影響については、現時点では具体的・定量的な見通しは困難であるが、当社グループへの影響として以下のものが考えられると想定している。但し、現時点で想定しうる主要な影響を記述したものであり、将来起こりうる影響はこれらに限定されるものではない。
ガスセグメントにおいては、原油価格の変動幅の大きさやその発生時期により、単年度収支に大きな影響が発生する可能性がある他、安定供給の維持・サービス維持のために、追加的なコストが発生する可能性がある。また、工業用・業務用においては、施設稼働減により、ガス販売量が減少する可能性がある他、家庭用においても、経済活動・営業活動の縮減等による新設件数・スイッチバック件数の減少や、受注工事の減少といった影響が想定される。一方で、在宅時間増等による需要増の可能性もある。
電力セグメントにおいては、ガスセグメントと同様に、経済活動・営業活動の縮減による需要減・顧客獲得件数減が想定されるほか、市場調達価格の変化による収支への影響が想定される。
海外セグメントにおいては、資源価格の下落及び生産量の減少等により、出資先プロジェクトや投資先事業会社が影響を受ける可能性がある。
エネルギー関連セグメントにおいては、ガスセグメントと同様に、経済活動・営業活動の縮減による器具工事・器具販売の減少や、基地建設等における部材調達支障等に伴う工事の遅延、代替部材確保等によるコスト増の可能性がある。
不動産セグメントにおいては、ホテル事業における稼働減の影響、資産活用物件である集客型施設における休業・時短・縮小営業等による賃料収入減等の可能性がある。
また、新型コロナウイルスの感染拡大に端を発した原油価格の下落影響について、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載している。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 事業全体及びセグメントごとの経営成績等
<事業全体>当期の連結決算は、3期ぶりの減収、当期純利益ベースでは3期ぶりの減益であった。しかし、営業利益、経常利益ベースではいずれも増益であった。当期純利益ベースで減益であったのは、主に特別損益の部で多額の減損損失の計上があったためである。以下では、経常利益ベースで増益となった理由について説明する。
増益となった主な要因は、①ガス事業において都市ガス販売量が減少したものの、スライドタイムラグ(*)が改善したことにより粗利が改善したこと、②器具保証引当金の繰入が減少したこと等によってガス器具事業の利益が増加したこと、である。
(*)原油価格や為替レートの変動に伴う原材料費の変動が、原料費調整制度によりガス売上高に
反映されるまでの時期ずれにより発生する年度毎の利益変動
<セグメント別>ガスセグメントは、都市ガス販売量の減少に加え、原油価格下落に伴う原料費調整制度による販売単価減等により、売上高が前期比△583億円(△4.1%)の1兆3,554億円となった。一方、システムの稼働及び退職給付に係る数理計算上の差異の費用処理増等により固定費が増加したものの、スライドタイムラグが改善したこと等により、セグメント利益は増加し、前期比+102億円(+11.1%)の1,024億円となった。
電力セグメントは、電気獲得のキャンペーン効果もあり、小売お客さま件数の増加に伴う販売量の増加等により、売上高が前期比+783億円(+27.9%)の3,586億円となった。その結果、粗利は増加したものの、委託作業費や需要開発費等の固定費も増加したため、セグメント利益は前年並みの101億円にとどまった。
海外セグメントは、豪州プルートプロジェクトにおける大規模修繕による販売数量減及び豪州ゴーゴンプロジェクトのLNG販売が減少したこと等により、売上高が前期比△70億円(△13.6%)の439億円となった。持分法適用関連会社の利益増加はあったものの、豪州プルート・ゴーゴン両プロジェクトの利益減少等により、セグメント利益は前期比△21億円(△13.4%)の132億円となった。
エネルギー関連セグメントは、エネルギーサービス分野での受注減等により、売上高は前期比△116億円(△3.2%)の3,519億円となった。一方、セグメント利益はガス器具販売にて器具保証引当金の繰入が減少したことにより、前期比+58億円(+51.9%)の169億円となった。
不動産セグメントは、コロナウイルス感染拡大によるホテルの稼働減等により売上高は前期比△1億円(△0.2%)の445億円となった。一方、セグメント利益は土地賃貸料収入の増加等により前期比+5億円(+6.2%)の96億円となった。
その他セグメントは、情報処理サービス事業のシステム開発受注増等により、売上高が前期比+154億円(+14.2%)の1,232億円となった。一方、セグメント利益は船舶事業における価格改定の影響等により△5億円(△8.4%)の57億円となった。
売上高
(億円)
セグメント利益
(億円)
2019年度2018年度増減増減率(%)2019年度2018年度増減増減率(%)
ガス13,55414,137△583△4.11,02492210211.1
電力3,5862,80378327.9101101△0△0.2
海外439509△70△13.6132153△21△13.4
エネルギー関連3,5193,635△116△3.21691115851.9
不動産445446△1△0.2969156.2
その他1,2321,07815414.25762△5△8.4
調整額△3,524△2,986△538-△515△478△37-
連結19,25219,623△371△1.91,06796410310.6

<認識>当社は「東京ガスグループ 2020-2022年度 中期経営計画」において、自由化後の厳しい競争環境のもとでも、国内におけるお客さまアカウント数(ガス・電気・サービスの延べ契約数)の拡大、ガス事業を中心としたコスト改革による収益性の向上と、将来に向けての海外・不動産・エネルギーサービス等への成長投資を両立させることにより、2022年度にセグメント利益1,400億円の実現を目指すとしている。
2019年度においては、セグメント利益の実績は1,067億円であるが、気温影響、スライドタイムラグ影響、退職給付に係る数理計算上の差異の費用処理といった一過性の要因を除けば、セグメント利益で1,200億円レベルは確保できていると認識している。
また、当期末の海外上流事業における減損損失等は、各プロジェクトの事業価値算定のベースとなる将来の原油・ガス価格見通しが、足元の急激な価格下落に連動して大幅に下方修正されたことにより、事業価値の再評価を行ったものである。海外事業については、資源価格の変動リスクを見極めながらシェールガス等の資源開発を進めつつ、Compass2030、中期経営計画で掲げている再生可能エネルギー事業やLNGインフラ事業等の資源価格の変動リスクを受けづらい事業の開発・拡大に取り組んでいく。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、中長期的な成長に必要な設備投資及び投融資向けの資金である。
2019年度は、営業活動によるキャッシュ・フロー3,062億円に対して、投資活動によるキャッシュ・フローは△2,707億円であり、投資活動に必要な資金は、営業活動によるキャッシュ・フローで賄えている。
「東京ガスグループ 2020-2022年度 中期経営計画」の初年度である2020年度は、将来に向けた成長投資を実行するにあたり、その原資確保のために資金が不足する場合には、主に社債・長期借入金で対応する方針である。なお、短期運転資金は主に短期借入金、コマーシャル・ペーパーで賄っていく方針である。
③ 経営計画上の客観的な指標等
2020年3月25日発表の「東京ガスグループ 2020-2022年度 中期経営計画」に基づき、持続的成長に向け積極的な原資投入を行うとともに、投資・資本効率性、財務体質、株主還元にも留意し、長期的な企業価値向上に資するバランスのとれた財務戦略を実現していく。
イ 投資・資本効率性
投資に伴うリスク及び採算性に留意し個別の投資判断を行うとともに、投資効率の維持・向上及び株主資本の有効活用に努める。
具体的には、ROA(総資産利益率)・ROE(自己資本利益率)を主要経営指標と位置付け、2022年度における目標を、ROAは4%程度、ROEは8%程度と定め上記の実現を図る。
ロ 財務体質
現在の資金調達力を維持し財務健全性を確保するとともに、資本コストを意識した最適な資本構成の実現に努める。
具体的には、D/Eレシオ(負債資本倍率)を主要経営指標と位置付け、2022年度に至るまで各年度0.9倍程度を目標と定め上記の実現を図る。
ハ 株主還元
経営の成果を、お客さまサービス向上と持続可能な社会の実現に振り向けるとともに、株主のみなさまに
適切・タイムリーに配分する 。
株主のみなさまには、配当に加え、消却を前提とした自社株取得を株主還元の一つとして位置付け、総分配性向(連結当期純利益に対する配当と自社株取得の割合)の目標を、2022年度に至るまで各年度6割程度とする。
また、配当については、安定配当を維持しつつ、中長期の利益水準を総合的に勘案し、成長に合わせて緩やかな増配を実現していく。
n年度総分配性向=((n年度の年間配当金総額)+(n+1年度の自社株取得額))÷n年度連結当期純利益
2019年度実績2022年度
(中期経営計画)
ROA1.7%4%程度
ROE3.8%8%程度
D/Eレシオ0.790.9程度
総分配性向61.0%60%程度

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