有価証券報告書-第221期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
① 経営成績等の状況の概要
(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況)
(1) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 経営環境
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大による経済活動の停滞により、企業収益が減少し設備投資や個人消費が落ち込むとともに、雇用情勢が悪化するなど、厳しい状況が続いた。緩やかな回復の兆しも見られるが、新型コロナウイルス感染症拡大の波が断続的に訪れており、経済の先行きは依然として不透明な状況にある。
そのような経済環境の中、2016年4月の電力小売全面自由化に続く2017年4月のガス小売全面自由化により、エネルギー業界ではエネルギー事業者間の競争、さらには業種の垣根を超えた競争が激しさを増している。また脱炭素化が世界的な潮流となる等、エネルギー事業を取り巻く環境は大きく変化している。そうした中、当社グループは、総合エネルギー事業化とグローバル化によって、国内外のお客さまにお届けする付加価値を増大し、引き続き当社グループを選んでいただけるよう、さまざまな施策に積極的に取り組んできた。
② 売上高
売上高は、前連結会計年度比8.3%減の1,765,146百万円となった。電力売上高が電力販売量増等により前連結会計年度比10.4%増加したものの、ガス売上高が都市ガス販売量減及び原油価格下落影響に伴う原料費調整による売上単価減等により前連結会計年度比15.4%減少した。
③ 営業費用及び営業利益
売上原価、供給販売費及び一般管理費を合計した営業費用は、前連結会計年度比7.5%減の1,687,471百万円となった。
都市ガス販売量減及び原油価格下落影響等による都市ガス原材料費が減少したこと等により、売上原価は前連結会計年度比9.8%減の1,212,624百万円となった。経営効率化の一層の推進を図り、費用の抑制に最大限の努力を重ねたことによる委託作業費の減少、及び退職給付に係る数理計算上の差異の費用処理額の減少等により、供給販売費及び一般管理費は前連結会計年度比1.0%減の474,846百万円となった。
売上高の減少が営業費用の減少を上回ったことから、営業利益は前連結会計年度比23.4%減の77,675百万円となった。
④ 営業外損益及び経常利益
営業外損益純額は、前連結会計年度の1,227百万円から、△7,175百万円となった。
営業外収益の合計は、前連結会計年度の20,429百万円から、21,204百万円となった。これは、デリバティブ利益が前連結会計年度比7,879百万円増の7,979百万円となったこと、及び持分法による投資利益が前連結会計年度比3,729百万円減の1,482百万円となったこと、並びに受取配当金が前連結会計年度比3,035百万円減の2,398百万円となったことが主な要因である。
営業外費用の合計は、前連結会計年度の19,202百万円から、28,379百万円となった。これは、デリバティブ損失が前連結会計年度比8,199百万円増の9,373百万円となったことが主な要因である。
この結果、経常利益は前連結会計年度比31.3%減の70,500百万円となった。
⑤ 特別損益
特別損益純額は、前連結会計年度の△35,168百万円から、△4,316百万円となった。
特別利益の合計は、前連結会計年度の11,627百万円から、10,406百万円となった。これは、前連結会計年度に11,627百万円計上した契約精算益が当連結会計年度はなかったこと、及び投資有価証券売却益5,283百万円、固定資産売却益3,114百万円、負ののれん発生益2,008百万円を計上したことが要因である。
特別損失の合計は、前連結会計年度の46,796百万円から、14,722百万円となった。これは、海外上流事業等の減損損失10,255百万円及び投資有価証券評価損4,466百万円を計上したことが要因である。
⑥ 税金等調整前当期純利益、法人税等、並びに親会社株主に帰属する当期純利益
税金等調整前当期純利益は、特別損失の減少があったものの、経常利益の減少により、前連結会計年度比1.9%減の66,184百万円となった。法人税等は、同34.5%減の15,712百万円となった。
以上の結果から、親会社株主に帰属する当期純利益は同14.3%増の49,505百万円となった。
売上高に対する親会社株主に帰属する当期純利益率は、前連結会計年度の2.2%から0.6ポイント増加し、2.8%となった。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の97円86銭から、112円26銭となった。
⑦ セグメント情報
イ ガス
都市ガス販売量は、前連結会計年度比6.2%減の12,990百万m3となった。家庭用需要は、前連結会計年度と比較して件数減等があったものの、在宅時間増加による需要増等により、前連結会計年度比2.7%増の3,207百万m3となった。業務用需要は、前連結会計年度と比較して新型コロナウィルス感染症拡大による飲食、ホテル等の業種での営業時間短縮や営業自粛等により、同9.4%減の2,261百万m3となった。工業用需要は、発電用需要の減少等により、同9.5%減の5,787百万m3となった。また、他事業者向け供給は、供給先の需要減少等により、同5.6%減の1,735百万m3となった。
[2020年度連結都市ガス販売量]
(注) 1 小売お客さま件数は、ガス小売事業者としてのガス料金請求対象件数
2 取付メーター数は、休止中・閉栓中・他社小売分を含む導管事業者としてのメーター取付数
3 業務用は、商業用、公用及び医療用
4 都市ガス販売量は45MJ(メガジュール)/m3
5 平均気温は、お客さまそれぞれの、ご使用期間(前月の検針日から当月の検針日まで)における気温を平均したもの
ガス売上高は、都市ガス販売量が前連結会計年度を下回ったことに加え、原料費調整による売上単価減等により、前連結会計年度から208,634百万円(15.4%)減の1,146,791百万円となった。都市ガス販売量の減少や原油価格が前期より下落傾向にあったこと等により都市ガスの原材料費が減少した結果、営業費用は前連結会計年度から194,661百万円(15.5%)減少し、1,058,330百万円となった。この結果、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ13,972百万円(13.6%)減少し、88,461百万円となった。
ロ 電力
電力販売量は、小売件数増等により前連結会計年度比20.2%増の24,761百万kWhとなった。
[2020年度連結電力販売量]
(注) 小売お客さま件数は、電力小売事業者としての電気料金請求対象件数
電力売上高は、電力販売量増等により前連結会計年度から37,290百万円(10.4%)増加し、395,920百万円となった。営業費用は卸電力市場価格の高騰影響等により前連結会計年度から38,645百万円(11.1%)増加し、387,224百万円となった。この結果、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ1,355百万円(13.5%)減少し、8,696百万円となった。
ハ 海外
海外売上高は、前連結会計年度から1,951百万円(4.4%)増加し、45,934百万円となった。営業費用は前連結会計年度から7,157百万円(20.2%)増加し、42,534百万円となった。持分法による投資利益は、496百万円と前連結会計年度比4,153百万円(89.3%)減少した。この結果、セグメント利益は、北米上流事業会社の連結子会社化による利益増があったものの、前連結会計年度に比べ9,360百万円(70.6%)減少の、3,895百万円となった。
なお、海外上流事業にかかる特別損失として減損損失9,427百万円及び投資有価証券評価損4,454百万円を計上している。
ニ エネルギー関連
エンジニアリングソリューション、ガス器具、ガス工事、建設及びクレジット等の売上で構成されるエネルギー関連売上高は、エンジニアリング売上高及びガス器具売上高の減少等により、前連結会計年度から12,455百万円(3.5%)減少し、339,455百万円となった。営業費用は前連結会計年度から12,504百万円(3.7%)減少し、322,410百万円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ50百万円(0.3%)増加し、17,045百万円となった。
ホ 不動産
不動産売上高は、前連結会計年度から3,893百万円(8.7%)増加し、48,422百万円となった。営業費用は前連結会計年度から6,480百万円(18.3%)増加し、41,857百万円となった。持分法による投資利益は、980百万円と前連結会計年度比433百万円(79.1%)増加した。この結果、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ2,153百万円(22.2%)減少し、7,545百万円となった。
ヘ その他
情報処理サービス及び船舶等の売上で構成されるその他売上高は、前連結会計年度から12,783百万円(10.4%)減少し、110,424百万円となった。営業費用は前連結会計年度から10,833百万円(9.2%)減少し、106,623百万円となった。持分法による投資利益は、5百万円と前連結会計年度比10百万円(61.7%)減少した。この結果、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ1,959百万円(34.0%)減少し、3,807百万円となった。
なお、参考のため、セグメント別の売上高及び構成比を示す。
(注) 各セグメントの売上高には、事業間の内部取引を含んでいる。
(2) 経営成績に重要な影響を与える経済フレームについて
① 原料購入価格の変動
当社が供給する都市ガスの主要原料であるLNGは海外から輸入しており、ドル建ての売買契約になっているため、円/ドル為替の変動リスクを受ける。また、ドル建てのLNG価格は原油価格に連動して決定されるため、国際原油価格市場の変動リスクも受ける。
ただし、原料購入価格が変動しても変動分について最大5ヶ月遅れ(注1)で都市ガス料金に反映する「原料費調整制度(注2)」が適用されるため、年度を区切ると回収超過や回収不足が発生する(スライドタイムラグ)が、中長期的には収支への影響は軽微である。
為替及び原油価格の変動が翌連結会計年度の売上総利益に与える影響額は、以下のとおりである。
為替:1円/ドルの円安により、約500百万円減
原油価格:1ドル/バレルの価格上昇により、約1,400百万円減
翌連結会計年度見通しにおける年平均為替相場と原油価格は、当連結会計年度が106.10円/ドル、43.35ドル/バレルであったのに対し、それぞれ105.00円/ドル、55.00ドル/バレルを想定している。
(注) 1 都市ガス料金への反映は、契約により5ヶ月遅れではない場合もある。
2 調整の上限がある。
② 気温の変動
当社グループの年度売上高の過半が都市ガスの販売によるもので、その販売量は気温の影響を受ける。家庭用においては、主な都市ガスの利用目的は給湯・暖房であるため、暖冬の場合には都市ガス販売量が減少し減収・減益要因となる。業務用においては、主な利用目的が空調であるため、夏場においては気温が低い場合、冬場においては気温が高い場合に、それぞれ都市ガス販売量が減少し減収・減益要因となる。
当連結会計年度の平均気温(※)は上期で21.3℃、下期で11.7℃(通期で16.5℃)だったが、翌連結会計年度の平均気温は通期で16.1℃を想定している。
(※)平均気温は、お客さまそれぞれの、ご使用期間(前月の検針日から当月の検針日まで)における気温を平均したもの。
③ 金利の変動
当社の有利子負債は、長期・短期ともに概ね固定金利であるため、借入れ期間中の金利変動リスクは軽微である。しかし、借換え時等においては金利変動のリスクを受ける可能性がある。
④ 株価の変動
当社の保有する株式のうち、上場株式の株価はマーケットリスクにさらされている。保有株式の取扱いについては、管理規則を設けている。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 連結キャッシュ・フロー
当連結会計年度においては、税金等調整前当期純利益の計上に対し、有形固定資産の取得、投資有価証券の取得による支出及び無形固定資産の取得等があったものの、減価償却費の計上及び新たな社債の発行による収入等により、現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ6,593百万円増加し、当連結会計年度末には157,811百万円となった(前期末比4.4%増)。
イ 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果増加した資金は、当連結会計年度において255,574百万円となった。
これは、税金等調整前当期純利益の計上(66,184百万円)に対し、法人税等の支払(32,482百万円)及び利息の支払(12,630百万円)等があったものの、減価償却費が計上(176,087百万円)されたこと及びたな卸資産が減少(18,643百万円)したこと等によるものである。
また、これは、前連結会計年度に比べて50,722百万円の収入の減少となる(前期比16.6%減)。
ロ 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果減少した資金は、当連結会計年度において295,911百万円となった。
これは、投資有価証券の売却及び償還による収入(16,573百万円)等があったものの、製造・供給体制整備のための設備投資等に伴う有形固定資産の取得による支出(172,652百万円)、投資有価証券の取得による支出(37,467百万円)、無形固定資産の取得による支出(35,725百万円)、市原八幡埠頭バイオマス発電(同)や伏木万葉埠頭バイオマス発電(同)を連結子会社化したこと等による連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出(32,579百万円)及び事業譲受による支出(25,208百万円)等により資金が減少したことによるものである。
また、これは、前連結会計年度に比べて25,113百万円の支出の増加となる(前期比9.3%増)。
ハ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果増加した資金は、当連結会計年度において52,009百万円となった。
これは、長期借入金の返済による支出(35,981百万円)、配当金の支払(26,449百万円)及び社債の償還による支出(20,000百万円)等があったものの、新たな社債の発行による収入(90,000百万円)及び長期借入れによる収入(51,035百万円)があったこと等によるものである。
また、これは、前連結会計年度に比べて28,838百万円の収入の増加となる(前期比124.5%増)。
② 資産
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末から198,429百万円(7.8%)増加し、2,738,348百万円となった。これは、既存設備の減価償却が進んだものの、TG Natural Resources LLC、TG Aktina Holdings LLC、伏木万葉埠頭バイオマス発電(同)、市原八幡埠頭バイオマス発電(同)等を連結子会社化したことや新たに構築した大規模な基幹システムへの投資があったこと等により、固定資産が前連結会計年度末から210,136百万円増加し、2,187,623百万円となったこと等によるものである。また、総資産利益率(ROA)は、前連結会計年度末の1.7%から1.9%に上昇した。
③ 負債
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末から179,297百万円(13.0%)増加し、1,560,077百万円となった。これは、社債の新規発行やTG Natural Resources LLC等を連結子会社化したこと等による長期借入金の増加等によるものである。
④ 有利子負債
社債の増加等に伴い、当連結会計年度末の有利子負債残高は、前連結会計年度末に比べ160,922百万円(17.8%)増加し、1,065,988百万円となった。有利子負債比率(有利子負債÷総資産)は、前連結会計年度末の35.6%から38.9%に上昇した。
⑤ 純資産
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ19,133百万円(1.7%)増加し、1,178,271百万円となった。これは、為替換算調整勘定の減少等によりその他の包括利益累計額が16,024百万円減少したものの、株主資本については、剰余金の配当26,460百万円等による減少に対し、親会社株主に帰属する当期純利益の計上49,505百万円等による増加が大きく22,091百万円増加したことや、TG Natural Resources LLCを連結子会社化したこと等により非支配株株主持分が13,066百万円増加したことによるものである。
自己資本比率は、前連結会計年度末の45.2%から42.1%に下落し、自己資本利益率(ROE)は、前連結会計年度末の3.8%から4.3%に上昇した。負債資本倍率(D/Eレシオ)は、前連結会計年度末の0.79から0.92へと上昇した。
(生産、受注及び販売の実績)
当社グループの製品・サービスは広範囲かつ多種多様であり、また、受注生産形態をとらない製品も少なくない。また、都市ガス事業が外部顧客に対する売上高及び営業費用の大半を占めており、当該セグメントが当社グループの生産及び販売活動の中心となっている。
このため、以下は都市ガス事業について記載している。
(1) 生産実績
最近2連結会計年度の都市ガスの生産実績は次のとおりである。
(2) 受注実績
都市ガスについては、その性質上受注生産は行わない。
(3) 販売実績
都市ガス販売実績
都市ガスは、導管を通じて直接需要家に販売しているが、一部については他事業者向け供給を行っている。
最近2連結会計年度の都市ガスの販売実績は次のとおりである。
② 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いているが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性がある。
新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に、それ以外の重要な会計上の見積りについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載している。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 事業全体及びセグメントごとの経営成績等
<事業全体>当連結会計年度の連結決算は、2期連続の減収、当期純利益ベースでは2期ぶりの増益であった。しかし、営業利益、経常利益ベースではいずれも減益であった。当期純利益ベースで増益であったのは、特別損益の部において、前連結会計年度と比べて特別損失が縮小したこと、及び投資有価証券売却益や固定資産売却益等の計上があったこと等によるものである。以下では、経常利益ベースで減益となった理由について説明する。
減益となった主な要因は、①ガス事業において都市ガス販売量が減少したこと、及びスライドタイムラグ(*)が悪化したことにより粗利が悪化したこと、②海外事業において原油価格が下落したことにより上流プロジェクトの利益が減少したこと、である。
(*)原油価格や為替レートの変動に伴う原材料費の変動が、原料費調整制度によりガス売上高に反映されるまでの時期ずれにより発生する年度毎の利益変動
<セグメント別>ガスセグメントは、都市ガス販売量の減少に加え、原油価格下落に伴う原料費調整制度による販売単価減等により、売上高が前期比△2,087億円(△15.4%)の1兆1,467億円となった。新型コロナ影響による急激な需要の減少に伴う需給調整費用の増加に加え、スライドタイムラグの悪化等により、セグメント利益は減少し、前期比△140億円(△13.6%)の884億円となった。
電力セグメントは、小売お客さま件数の増加に伴う販売量の増加等により、売上高が前期比+373億円(+10.4%)の3,959億円となった。一方、電力卸取引所の価格高騰影響に伴う電力調達コスト増等により、セグメント利益は前期比△14億円(△13.5%)の86億円となった。
海外セグメントは、北米上流事業会社の連結子会社化等により、売上高が前期比+20億円(+4.4%)の459億円となった。一方、原油価格下落に伴う豪州上流事業の利益減少に加え、持分法適用関連会社の利益減等により、セグメント利益は前期比△94億円(△70.6%)の38億円となった。
エネルギー関連セグメントは、ガス器具販売における販売台数減及びガス工事における新規件数減等により、売上高は前期比△125億円(△3.5%)の3,394億円となった。一方、セグメント利益は費用の効率化やエネルギーソリューションの増益により前年並みの170億円となった。
不動産セグメントは、グループ内の不動産事業の一元化等により、売上高は前期比+39億円(+8.7%)の484億円となった。一方、セグメント利益はムスブ田町竣工に伴う租税課金等の増加等により、前期比△21億円(△22.2%)の75億円となった。
その他セグメントは、情報処理サービス事業のシステム開発受注減等により、売上高が前期比△128億円(△10.4%)の1,104億円となり、セグメント利益は△19億円(△34.0%)の38億円となった。
<認識>当連結会計年度の経常利益は前期比△321億円の705億円、一過性の要因である気温影響、スライドタイムラグ、年金数理差異償却額を除いた補正経常利益は△309億円の878億円となった。
(億円)
補正経常利益の減益は、新型コロナ影響による急激な需要減少に伴う需給調整費用の増加、及び冬季の電力卸取引所の異常な価格高騰による電力調達コストの増加が主な要因である。仮に新型コロナ影響及び電力市場価格高騰による減益分を特殊要因として除いた場合には、前連結会計年度並みの利益水準を確保できている。
特殊要因があったとはいえ、当連結会計年度の決算は大変厳しい結果となり、今後も新型コロナ影響は一定レベルで続いていくものと認識している。ウィズコロナの環境下においてもお客さま・社会情勢・競合の変化に合わせてWeb・デジタルといった非対面でのアプローチを強化する等、最大限工夫しながら、自由化後の厳しい競争環境のもとでも、国内におけるお客さまアカウント数(ガス・電気・サービスの延べ契約数)の拡大、ガス事業を中心としたコスト改革による収益性の向上と、将来に向けての海外・不動産・エネルギーサービス等への成長投資を両立させることにより、「東京ガスグループ 2020-2022年度 中期経営計画」において掲げたセグメント利益1,400億円の実現を目指す。
また、LNGの需給逼迫や電力卸取引所の価格高騰により顕在化したLNGや電力市場のボラティリティについては、今後も大きな影響を与えるものと認識しており、ガス・電力事業の安定化に向けての対応策を検討していく。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、中長期的な成長に必要な設備投資及び投融資向けの資金である。
当連結会計年度は、営業活動によるキャッシュ・フロー2,555億円に対して、投資活動によるキャッシュ・フローは海外事業を中心とする投資拡大に伴い△2,959億円となり、不足資金を社債や長期借入金により調達した。
「東京ガスグループ 2020-2022年度 中期経営計画」の2年目である2021年度は、引き続き将来に向けた成長投資を実行していくが、その原資確保のために資金が不足する場合には、主に社債・長期借入金で対応する方針である。なお、短期運転資金は主にコマーシャル・ペーパーで賄っていく方針である。
③ 経営計画上の客観的な指標等
2020年3月25日発表の「東京ガスグループ 2020-2022年度 中期経営計画」に基づき、持続的成長に向け積極的な原資投入を行うとともに、投資・資本効率性、財務体質、株主還元にも留意し、長期的な企業価値向上に資するバランスのとれた財務戦略を実現していく。
イ 投資・資本効率性
投資に伴うリスク及び採算性に留意し個別の投資判断を行うとともに、投資効率の維持・向上及び株主資本の有効活用に努める。
具体的には、ROA(総資産利益率)・ROE(自己資本利益率)を主要経営指標と位置付け、2022年度における目標を、ROAは4%程度、ROEは8%程度と定め上記の実現を図る。
ロ 財務体質
現在の資金調達力を維持し財務健全性を確保するとともに、資本コストを意識した最適な資本構成の実現に努める。
具体的には、D/Eレシオ(負債資本倍率)を主要経営指標と位置付け、2022年度に至るまで各年度0.9倍程度を目標と定め上記の実現を図る。
ハ 株主還元
経営の成果を、お客さまサービス向上と持続可能な社会の実現に振り向けるとともに、株主のみなさまに
適切・タイムリーに配分する。
株主のみなさまには、配当に加え、消却を前提とした自社株取得を株主還元の一つとして位置付け、総分配性向(連結当期純利益に対する配当と自社株取得の割合)の目標を、2022年度に至るまで各年度6割程度とする。
また、配当については、安定配当を維持しつつ、中長期の利益水準を総合的に勘案し、成長に合わせて緩やかな増配を実現していく。
n年度総分配性向=((n年度の年間配当金総額)+(n+1年度の自社株取得額))÷n年度連結当期純利益
なお、上記の株主還元政策に関しては現在見直しを検討中であり、方針が確定した時点で速やかに公表する。(2020年11月30日プレスリリース「コロナ禍を踏まえた東京ガスグループ経営改革の取り組みについて」参照)
(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況)
(1) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 経営環境
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大による経済活動の停滞により、企業収益が減少し設備投資や個人消費が落ち込むとともに、雇用情勢が悪化するなど、厳しい状況が続いた。緩やかな回復の兆しも見られるが、新型コロナウイルス感染症拡大の波が断続的に訪れており、経済の先行きは依然として不透明な状況にある。
そのような経済環境の中、2016年4月の電力小売全面自由化に続く2017年4月のガス小売全面自由化により、エネルギー業界ではエネルギー事業者間の競争、さらには業種の垣根を超えた競争が激しさを増している。また脱炭素化が世界的な潮流となる等、エネルギー事業を取り巻く環境は大きく変化している。そうした中、当社グループは、総合エネルギー事業化とグローバル化によって、国内外のお客さまにお届けする付加価値を増大し、引き続き当社グループを選んでいただけるよう、さまざまな施策に積極的に取り組んできた。
② 売上高
売上高は、前連結会計年度比8.3%減の1,765,146百万円となった。電力売上高が電力販売量増等により前連結会計年度比10.4%増加したものの、ガス売上高が都市ガス販売量減及び原油価格下落影響に伴う原料費調整による売上単価減等により前連結会計年度比15.4%減少した。
③ 営業費用及び営業利益
売上原価、供給販売費及び一般管理費を合計した営業費用は、前連結会計年度比7.5%減の1,687,471百万円となった。
都市ガス販売量減及び原油価格下落影響等による都市ガス原材料費が減少したこと等により、売上原価は前連結会計年度比9.8%減の1,212,624百万円となった。経営効率化の一層の推進を図り、費用の抑制に最大限の努力を重ねたことによる委託作業費の減少、及び退職給付に係る数理計算上の差異の費用処理額の減少等により、供給販売費及び一般管理費は前連結会計年度比1.0%減の474,846百万円となった。
売上高の減少が営業費用の減少を上回ったことから、営業利益は前連結会計年度比23.4%減の77,675百万円となった。
④ 営業外損益及び経常利益
営業外損益純額は、前連結会計年度の1,227百万円から、△7,175百万円となった。
営業外収益の合計は、前連結会計年度の20,429百万円から、21,204百万円となった。これは、デリバティブ利益が前連結会計年度比7,879百万円増の7,979百万円となったこと、及び持分法による投資利益が前連結会計年度比3,729百万円減の1,482百万円となったこと、並びに受取配当金が前連結会計年度比3,035百万円減の2,398百万円となったことが主な要因である。
営業外費用の合計は、前連結会計年度の19,202百万円から、28,379百万円となった。これは、デリバティブ損失が前連結会計年度比8,199百万円増の9,373百万円となったことが主な要因である。
この結果、経常利益は前連結会計年度比31.3%減の70,500百万円となった。
⑤ 特別損益
特別損益純額は、前連結会計年度の△35,168百万円から、△4,316百万円となった。
特別利益の合計は、前連結会計年度の11,627百万円から、10,406百万円となった。これは、前連結会計年度に11,627百万円計上した契約精算益が当連結会計年度はなかったこと、及び投資有価証券売却益5,283百万円、固定資産売却益3,114百万円、負ののれん発生益2,008百万円を計上したことが要因である。
特別損失の合計は、前連結会計年度の46,796百万円から、14,722百万円となった。これは、海外上流事業等の減損損失10,255百万円及び投資有価証券評価損4,466百万円を計上したことが要因である。
⑥ 税金等調整前当期純利益、法人税等、並びに親会社株主に帰属する当期純利益
税金等調整前当期純利益は、特別損失の減少があったものの、経常利益の減少により、前連結会計年度比1.9%減の66,184百万円となった。法人税等は、同34.5%減の15,712百万円となった。
以上の結果から、親会社株主に帰属する当期純利益は同14.3%増の49,505百万円となった。
売上高に対する親会社株主に帰属する当期純利益率は、前連結会計年度の2.2%から0.6ポイント増加し、2.8%となった。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の97円86銭から、112円26銭となった。
⑦ セグメント情報
イ ガス
都市ガス販売量は、前連結会計年度比6.2%減の12,990百万m3となった。家庭用需要は、前連結会計年度と比較して件数減等があったものの、在宅時間増加による需要増等により、前連結会計年度比2.7%増の3,207百万m3となった。業務用需要は、前連結会計年度と比較して新型コロナウィルス感染症拡大による飲食、ホテル等の業種での営業時間短縮や営業自粛等により、同9.4%減の2,261百万m3となった。工業用需要は、発電用需要の減少等により、同9.5%減の5,787百万m3となった。また、他事業者向け供給は、供給先の需要減少等により、同5.6%減の1,735百万m3となった。
[2020年度連結都市ガス販売量]
| 2020年度 | 2019年度 | 増減 | 増減率 (%) | ||||
| 小売お客さま件数 | 千件 | 8,863 | 9,129 | △266 | △2.9 | ||
| 取付メーター数 | 千件 | 12,083 | 11,954 | 129 | 1.1 | ||
| 都市ガス 販売量 | 家庭用 | 百万m3 | 3,207 | 3,124 | 83 | 2.7 | |
| 業務用 | 百万m3 | 2,261 | 2,497 | △236 | △9.4 | ||
| 工業用 | 百万m3 | 5,787 | 6,397 | △610 | △9.5 | ||
| 計 | 百万m3 | 8,049 | 8,894 | △845 | △9.5 | ||
| 他事業者向け供給 | 百万m3 | 1,735 | 1,837 | △102 | △5.6 | ||
| 合計 | 百万m3 | 12,990 | 13,855 | △865 | △6.2 | ||
| 平均気温 | ℃ | 16.5 | 16.7 | △0.2 | - | ||
(注) 1 小売お客さま件数は、ガス小売事業者としてのガス料金請求対象件数
2 取付メーター数は、休止中・閉栓中・他社小売分を含む導管事業者としてのメーター取付数
3 業務用は、商業用、公用及び医療用
4 都市ガス販売量は45MJ(メガジュール)/m3
5 平均気温は、お客さまそれぞれの、ご使用期間(前月の検針日から当月の検針日まで)における気温を平均したもの
ガス売上高は、都市ガス販売量が前連結会計年度を下回ったことに加え、原料費調整による売上単価減等により、前連結会計年度から208,634百万円(15.4%)減の1,146,791百万円となった。都市ガス販売量の減少や原油価格が前期より下落傾向にあったこと等により都市ガスの原材料費が減少した結果、営業費用は前連結会計年度から194,661百万円(15.5%)減少し、1,058,330百万円となった。この結果、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ13,972百万円(13.6%)減少し、88,461百万円となった。
ロ 電力
電力販売量は、小売件数増等により前連結会計年度比20.2%増の24,761百万kWhとなった。
[2020年度連結電力販売量]
| 2020年度 | 2019年度 | 増減 | 増減率(%) | |||
| 小売お客さま件数 | 千件 | 2,717 | 2,350 | 367 | 15.6 | |
| 電力販売量 | 小売 | 百万kWh | 10,482 | 8,522 | 1,960 | 23.0 |
| 卸他 | 百万kWh | 14,279 | 12,082 | 2,197 | 18.2 | |
| 合計 | 百万kWh | 24,761 | 20,604 | 4,157 | 20.2 | |
(注) 小売お客さま件数は、電力小売事業者としての電気料金請求対象件数
電力売上高は、電力販売量増等により前連結会計年度から37,290百万円(10.4%)増加し、395,920百万円となった。営業費用は卸電力市場価格の高騰影響等により前連結会計年度から38,645百万円(11.1%)増加し、387,224百万円となった。この結果、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ1,355百万円(13.5%)減少し、8,696百万円となった。
ハ 海外
海外売上高は、前連結会計年度から1,951百万円(4.4%)増加し、45,934百万円となった。営業費用は前連結会計年度から7,157百万円(20.2%)増加し、42,534百万円となった。持分法による投資利益は、496百万円と前連結会計年度比4,153百万円(89.3%)減少した。この結果、セグメント利益は、北米上流事業会社の連結子会社化による利益増があったものの、前連結会計年度に比べ9,360百万円(70.6%)減少の、3,895百万円となった。
なお、海外上流事業にかかる特別損失として減損損失9,427百万円及び投資有価証券評価損4,454百万円を計上している。
ニ エネルギー関連
エンジニアリングソリューション、ガス器具、ガス工事、建設及びクレジット等の売上で構成されるエネルギー関連売上高は、エンジニアリング売上高及びガス器具売上高の減少等により、前連結会計年度から12,455百万円(3.5%)減少し、339,455百万円となった。営業費用は前連結会計年度から12,504百万円(3.7%)減少し、322,410百万円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ50百万円(0.3%)増加し、17,045百万円となった。
ホ 不動産
不動産売上高は、前連結会計年度から3,893百万円(8.7%)増加し、48,422百万円となった。営業費用は前連結会計年度から6,480百万円(18.3%)増加し、41,857百万円となった。持分法による投資利益は、980百万円と前連結会計年度比433百万円(79.1%)増加した。この結果、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ2,153百万円(22.2%)減少し、7,545百万円となった。
ヘ その他
情報処理サービス及び船舶等の売上で構成されるその他売上高は、前連結会計年度から12,783百万円(10.4%)減少し、110,424百万円となった。営業費用は前連結会計年度から10,833百万円(9.2%)減少し、106,623百万円となった。持分法による投資利益は、5百万円と前連結会計年度比10百万円(61.7%)減少した。この結果、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ1,959百万円(34.0%)減少し、3,807百万円となった。
なお、参考のため、セグメント別の売上高及び構成比を示す。
| 区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 金額(百万円) | 構成比(%) | 金額(百万円) | 構成比(%) | |
| ガス | 1,355,425 | 59.5 | 1,146,791 | 54.9 |
| 電力 | 358,630 | 15.7 | 395,920 | 19.0 |
| 海外 | 43,983 | 1.9 | 45,934 | 2.2 |
| エネルギー関連 | 351,910 | 15.5 | 339,455 | 16.3 |
| 不動産 | 44,529 | 2.0 | 48,422 | 2.3 |
| その他 | 123,207 | 5.4 | 110,424 | 5.3 |
| 合計 | 2,277,686 | 100.0 | 2,086,950 | 100.0 |
| 調整額 | △352,450 | ― | △321,803 | ― |
| 連結 | 1,925,235 | ― | 1,765,146 | ― |
(注) 各セグメントの売上高には、事業間の内部取引を含んでいる。
(2) 経営成績に重要な影響を与える経済フレームについて
① 原料購入価格の変動
当社が供給する都市ガスの主要原料であるLNGは海外から輸入しており、ドル建ての売買契約になっているため、円/ドル為替の変動リスクを受ける。また、ドル建てのLNG価格は原油価格に連動して決定されるため、国際原油価格市場の変動リスクも受ける。
ただし、原料購入価格が変動しても変動分について最大5ヶ月遅れ(注1)で都市ガス料金に反映する「原料費調整制度(注2)」が適用されるため、年度を区切ると回収超過や回収不足が発生する(スライドタイムラグ)が、中長期的には収支への影響は軽微である。
為替及び原油価格の変動が翌連結会計年度の売上総利益に与える影響額は、以下のとおりである。
為替:1円/ドルの円安により、約500百万円減
原油価格:1ドル/バレルの価格上昇により、約1,400百万円減
翌連結会計年度見通しにおける年平均為替相場と原油価格は、当連結会計年度が106.10円/ドル、43.35ドル/バレルであったのに対し、それぞれ105.00円/ドル、55.00ドル/バレルを想定している。
(注) 1 都市ガス料金への反映は、契約により5ヶ月遅れではない場合もある。
2 調整の上限がある。
② 気温の変動
当社グループの年度売上高の過半が都市ガスの販売によるもので、その販売量は気温の影響を受ける。家庭用においては、主な都市ガスの利用目的は給湯・暖房であるため、暖冬の場合には都市ガス販売量が減少し減収・減益要因となる。業務用においては、主な利用目的が空調であるため、夏場においては気温が低い場合、冬場においては気温が高い場合に、それぞれ都市ガス販売量が減少し減収・減益要因となる。
当連結会計年度の平均気温(※)は上期で21.3℃、下期で11.7℃(通期で16.5℃)だったが、翌連結会計年度の平均気温は通期で16.1℃を想定している。
(※)平均気温は、お客さまそれぞれの、ご使用期間(前月の検針日から当月の検針日まで)における気温を平均したもの。
③ 金利の変動
当社の有利子負債は、長期・短期ともに概ね固定金利であるため、借入れ期間中の金利変動リスクは軽微である。しかし、借換え時等においては金利変動のリスクを受ける可能性がある。
④ 株価の変動
当社の保有する株式のうち、上場株式の株価はマーケットリスクにさらされている。保有株式の取扱いについては、管理規則を設けている。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 連結キャッシュ・フロー
| 営業活動による キャッシュ・フロー (百万円) | 投資活動による キャッシュ・フロー (百万円) | 財務活動による キャッシュ・フロー (百万円) | |
| 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 255,574 | △295,911 | 52,009 |
| 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 306,296 | △270,798 | 23,171 |
当連結会計年度においては、税金等調整前当期純利益の計上に対し、有形固定資産の取得、投資有価証券の取得による支出及び無形固定資産の取得等があったものの、減価償却費の計上及び新たな社債の発行による収入等により、現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ6,593百万円増加し、当連結会計年度末には157,811百万円となった(前期末比4.4%増)。
イ 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果増加した資金は、当連結会計年度において255,574百万円となった。
これは、税金等調整前当期純利益の計上(66,184百万円)に対し、法人税等の支払(32,482百万円)及び利息の支払(12,630百万円)等があったものの、減価償却費が計上(176,087百万円)されたこと及びたな卸資産が減少(18,643百万円)したこと等によるものである。
また、これは、前連結会計年度に比べて50,722百万円の収入の減少となる(前期比16.6%減)。
ロ 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果減少した資金は、当連結会計年度において295,911百万円となった。
これは、投資有価証券の売却及び償還による収入(16,573百万円)等があったものの、製造・供給体制整備のための設備投資等に伴う有形固定資産の取得による支出(172,652百万円)、投資有価証券の取得による支出(37,467百万円)、無形固定資産の取得による支出(35,725百万円)、市原八幡埠頭バイオマス発電(同)や伏木万葉埠頭バイオマス発電(同)を連結子会社化したこと等による連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出(32,579百万円)及び事業譲受による支出(25,208百万円)等により資金が減少したことによるものである。
また、これは、前連結会計年度に比べて25,113百万円の支出の増加となる(前期比9.3%増)。
ハ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果増加した資金は、当連結会計年度において52,009百万円となった。
これは、長期借入金の返済による支出(35,981百万円)、配当金の支払(26,449百万円)及び社債の償還による支出(20,000百万円)等があったものの、新たな社債の発行による収入(90,000百万円)及び長期借入れによる収入(51,035百万円)があったこと等によるものである。
また、これは、前連結会計年度に比べて28,838百万円の収入の増加となる(前期比124.5%増)。
② 資産
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末から198,429百万円(7.8%)増加し、2,738,348百万円となった。これは、既存設備の減価償却が進んだものの、TG Natural Resources LLC、TG Aktina Holdings LLC、伏木万葉埠頭バイオマス発電(同)、市原八幡埠頭バイオマス発電(同)等を連結子会社化したことや新たに構築した大規模な基幹システムへの投資があったこと等により、固定資産が前連結会計年度末から210,136百万円増加し、2,187,623百万円となったこと等によるものである。また、総資産利益率(ROA)は、前連結会計年度末の1.7%から1.9%に上昇した。
③ 負債
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末から179,297百万円(13.0%)増加し、1,560,077百万円となった。これは、社債の新規発行やTG Natural Resources LLC等を連結子会社化したこと等による長期借入金の増加等によるものである。
④ 有利子負債
社債の増加等に伴い、当連結会計年度末の有利子負債残高は、前連結会計年度末に比べ160,922百万円(17.8%)増加し、1,065,988百万円となった。有利子負債比率(有利子負債÷総資産)は、前連結会計年度末の35.6%から38.9%に上昇した。
⑤ 純資産
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ19,133百万円(1.7%)増加し、1,178,271百万円となった。これは、為替換算調整勘定の減少等によりその他の包括利益累計額が16,024百万円減少したものの、株主資本については、剰余金の配当26,460百万円等による減少に対し、親会社株主に帰属する当期純利益の計上49,505百万円等による増加が大きく22,091百万円増加したことや、TG Natural Resources LLCを連結子会社化したこと等により非支配株株主持分が13,066百万円増加したことによるものである。
自己資本比率は、前連結会計年度末の45.2%から42.1%に下落し、自己資本利益率(ROE)は、前連結会計年度末の3.8%から4.3%に上昇した。負債資本倍率(D/Eレシオ)は、前連結会計年度末の0.79から0.92へと上昇した。
(生産、受注及び販売の実績)
当社グループの製品・サービスは広範囲かつ多種多様であり、また、受注生産形態をとらない製品も少なくない。また、都市ガス事業が外部顧客に対する売上高及び営業費用の大半を占めており、当該セグメントが当社グループの生産及び販売活動の中心となっている。
このため、以下は都市ガス事業について記載している。
(1) 生産実績
最近2連結会計年度の都市ガスの生産実績は次のとおりである。
| 区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 |
| 都市ガス(千m3) | 13,765,933 | 12,974,979 |
(2) 受注実績
都市ガスについては、その性質上受注生産は行わない。
(3) 販売実績
都市ガス販売実績
都市ガスは、導管を通じて直接需要家に販売しているが、一部については他事業者向け供給を行っている。
最近2連結会計年度の都市ガスの販売実績は次のとおりである。
| 区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 数量(千m3) | 金額(百万円) | 数量(千m3) | 金額(百万円) | |
| 家庭用 | 3,123,799 | 449,756 | 3,206,793 | 417,827 |
| その他 | 10,731,273 | 693,137 | 9,783,128 | 549,887 |
| 計 | 13,855,073 | 1,142,893 | 12,989,921 | 967,715 |
② 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いているが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性がある。
新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に、それ以外の重要な会計上の見積りについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載している。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 事業全体及びセグメントごとの経営成績等
<事業全体>当連結会計年度の連結決算は、2期連続の減収、当期純利益ベースでは2期ぶりの増益であった。しかし、営業利益、経常利益ベースではいずれも減益であった。当期純利益ベースで増益であったのは、特別損益の部において、前連結会計年度と比べて特別損失が縮小したこと、及び投資有価証券売却益や固定資産売却益等の計上があったこと等によるものである。以下では、経常利益ベースで減益となった理由について説明する。
減益となった主な要因は、①ガス事業において都市ガス販売量が減少したこと、及びスライドタイムラグ(*)が悪化したことにより粗利が悪化したこと、②海外事業において原油価格が下落したことにより上流プロジェクトの利益が減少したこと、である。
(*)原油価格や為替レートの変動に伴う原材料費の変動が、原料費調整制度によりガス売上高に反映されるまでの時期ずれにより発生する年度毎の利益変動
<セグメント別>ガスセグメントは、都市ガス販売量の減少に加え、原油価格下落に伴う原料費調整制度による販売単価減等により、売上高が前期比△2,087億円(△15.4%)の1兆1,467億円となった。新型コロナ影響による急激な需要の減少に伴う需給調整費用の増加に加え、スライドタイムラグの悪化等により、セグメント利益は減少し、前期比△140億円(△13.6%)の884億円となった。
電力セグメントは、小売お客さま件数の増加に伴う販売量の増加等により、売上高が前期比+373億円(+10.4%)の3,959億円となった。一方、電力卸取引所の価格高騰影響に伴う電力調達コスト増等により、セグメント利益は前期比△14億円(△13.5%)の86億円となった。
海外セグメントは、北米上流事業会社の連結子会社化等により、売上高が前期比+20億円(+4.4%)の459億円となった。一方、原油価格下落に伴う豪州上流事業の利益減少に加え、持分法適用関連会社の利益減等により、セグメント利益は前期比△94億円(△70.6%)の38億円となった。
エネルギー関連セグメントは、ガス器具販売における販売台数減及びガス工事における新規件数減等により、売上高は前期比△125億円(△3.5%)の3,394億円となった。一方、セグメント利益は費用の効率化やエネルギーソリューションの増益により前年並みの170億円となった。
不動産セグメントは、グループ内の不動産事業の一元化等により、売上高は前期比+39億円(+8.7%)の484億円となった。一方、セグメント利益はムスブ田町竣工に伴う租税課金等の増加等により、前期比△21億円(△22.2%)の75億円となった。
その他セグメントは、情報処理サービス事業のシステム開発受注減等により、売上高が前期比△128億円(△10.4%)の1,104億円となり、セグメント利益は△19億円(△34.0%)の38億円となった。
| 売上高 (億円) | セグメント利益 (億円) | |||||||
| 2020年度 | 2019年度 | 増減 | 増減率(%) | 2020年度 | 2019年度 | 増減 | 増減率(%) | |
| ガス | 11,467 | 13,554 | △2,087 | △15.4 | 884 | 1,024 | △140 | △13.6 |
| 電力 | 3,959 | 3,586 | 373 | 10.4 | 86 | 100 | △14 | △13.5 |
| 海外 | 459 | 439 | 20 | 4.4 | 38 | 132 | △94 | △70.6 |
| エネルギー関連 | 3,394 | 3,519 | △125 | △3.5 | 170 | 169 | 1 | 0.3 |
| 不動産 | 484 | 445 | 39 | 8.7 | 75 | 96 | △21 | △22.2 |
| その他 | 1,104 | 1,232 | △128 | △10.4 | 38 | 57 | △19 | △34.0 |
| 調整額 | △3,218 | △3,524 | 306 | ― | △502 | △515 | 13 | ― |
| 連結 | 17,651 | 19,252 | △1,601 | △8.3 | 791 | 1,066 | △275 | △25.8 |
<認識>当連結会計年度の経常利益は前期比△321億円の705億円、一過性の要因である気温影響、スライドタイムラグ、年金数理差異償却額を除いた補正経常利益は△309億円の878億円となった。
(億円)
| 2020年度 | 2019年度 | 増減 | ||
| 経常利益① | 705 | 1,026 | △321 | |
| 補正項目 | 気温影響② | △60 | △98 | 38 |
| スライドタイムラグ③ (都市ガス+LNG販売) | △121 | 13 | △134 | |
| 年金数理差異償却額④ | 8 | △76 | 84 | |
| 補正経常利益①-(②+③+④) | 878 | 1,187 | △309 | |
補正経常利益の減益は、新型コロナ影響による急激な需要減少に伴う需給調整費用の増加、及び冬季の電力卸取引所の異常な価格高騰による電力調達コストの増加が主な要因である。仮に新型コロナ影響及び電力市場価格高騰による減益分を特殊要因として除いた場合には、前連結会計年度並みの利益水準を確保できている。
特殊要因があったとはいえ、当連結会計年度の決算は大変厳しい結果となり、今後も新型コロナ影響は一定レベルで続いていくものと認識している。ウィズコロナの環境下においてもお客さま・社会情勢・競合の変化に合わせてWeb・デジタルといった非対面でのアプローチを強化する等、最大限工夫しながら、自由化後の厳しい競争環境のもとでも、国内におけるお客さまアカウント数(ガス・電気・サービスの延べ契約数)の拡大、ガス事業を中心としたコスト改革による収益性の向上と、将来に向けての海外・不動産・エネルギーサービス等への成長投資を両立させることにより、「東京ガスグループ 2020-2022年度 中期経営計画」において掲げたセグメント利益1,400億円の実現を目指す。
また、LNGの需給逼迫や電力卸取引所の価格高騰により顕在化したLNGや電力市場のボラティリティについては、今後も大きな影響を与えるものと認識しており、ガス・電力事業の安定化に向けての対応策を検討していく。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、中長期的な成長に必要な設備投資及び投融資向けの資金である。
当連結会計年度は、営業活動によるキャッシュ・フロー2,555億円に対して、投資活動によるキャッシュ・フローは海外事業を中心とする投資拡大に伴い△2,959億円となり、不足資金を社債や長期借入金により調達した。
「東京ガスグループ 2020-2022年度 中期経営計画」の2年目である2021年度は、引き続き将来に向けた成長投資を実行していくが、その原資確保のために資金が不足する場合には、主に社債・長期借入金で対応する方針である。なお、短期運転資金は主にコマーシャル・ペーパーで賄っていく方針である。
③ 経営計画上の客観的な指標等
2020年3月25日発表の「東京ガスグループ 2020-2022年度 中期経営計画」に基づき、持続的成長に向け積極的な原資投入を行うとともに、投資・資本効率性、財務体質、株主還元にも留意し、長期的な企業価値向上に資するバランスのとれた財務戦略を実現していく。
イ 投資・資本効率性
投資に伴うリスク及び採算性に留意し個別の投資判断を行うとともに、投資効率の維持・向上及び株主資本の有効活用に努める。
具体的には、ROA(総資産利益率)・ROE(自己資本利益率)を主要経営指標と位置付け、2022年度における目標を、ROAは4%程度、ROEは8%程度と定め上記の実現を図る。
ロ 財務体質
現在の資金調達力を維持し財務健全性を確保するとともに、資本コストを意識した最適な資本構成の実現に努める。
具体的には、D/Eレシオ(負債資本倍率)を主要経営指標と位置付け、2022年度に至るまで各年度0.9倍程度を目標と定め上記の実現を図る。
ハ 株主還元
経営の成果を、お客さまサービス向上と持続可能な社会の実現に振り向けるとともに、株主のみなさまに
適切・タイムリーに配分する。
株主のみなさまには、配当に加え、消却を前提とした自社株取得を株主還元の一つとして位置付け、総分配性向(連結当期純利益に対する配当と自社株取得の割合)の目標を、2022年度に至るまで各年度6割程度とする。
また、配当については、安定配当を維持しつつ、中長期の利益水準を総合的に勘案し、成長に合わせて緩やかな増配を実現していく。
n年度総分配性向=((n年度の年間配当金総額)+(n+1年度の自社株取得額))÷n年度連結当期純利益
なお、上記の株主還元政策に関しては現在見直しを検討中であり、方針が確定した時点で速やかに公表する。(2020年11月30日プレスリリース「コロナ禍を踏まえた東京ガスグループ経営改革の取り組みについて」参照)
| 2020年度実績 | 2022年度 (中期経営計画) | |
| ROA | 1.9% | 4%程度 |
| ROE | 4.3% | 8%程度 |
| D/Eレシオ | 0.92 | 0.9程度 |
| 総分配性向 | 60.1% | 60%程度 |