有価証券報告書-第53期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/28 16:00
【資料】
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【項目】
126項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1) 当連結会計年度の財政状態の分析
① 流動資産
当連結会計年度末における連結貸借対照表上の流動資産の残高は、201億9千7百万円(前連結会計年度末比28億6千6百万円増)となりました。これは、主に現預金及び売上債権(同30億1千6百万円増)の増加等によるものであります。
② 固定資産
当連結会計年度末における連結貸借対照表上の固定資産の残高は、87億9千8百万円(前連結会計年度末比5億4千5百万円増)となりました。これは、主に敷金及び保証金(同2億9千1百万円増)の増加等によるものであります。
③ 流動負債
当連結会計年度末における連結貸借対照表上の流動負債の残高は、92億1千2百万円(前連結会計年度末比8億9百万円減)となりました。これは、主に短期借入金(同14億5百万円減)の減少等によるものであります。
④ 固定負債
当連結会計年度末における連結貸借対照表上の固定負債の残高は、65億9千6百万円(前連結会計年度末比34億8千2百万円増)となりました。これは、主に長期預り金(同35億1百万円増)の増加等によるものであります。
⑤ 純資産
当連結会計年度末の連結貸借対照表上の純資産合計残高は、131億8千6百万円(前連結会計年度末比7億3千8百万円増)となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加等によるものであります。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度におけるわが国の経済は、一部に弱さはみられるものの緩やかな回復基調が続き、企業収益や雇用は概ね堅調で、個人所得は底堅く推移しました。一方で、中国の景気減速や国際情勢不安に起因した世界経済の下振れリスクが意識される状況が続きました。
こうしたわが国経済の動きや顧客企業の事業環境判断を反映して、広告需要は堅調に推移しました。こうした中、主力の映像制作事業を中心に着実に受注を重ねたことや、成長領域と位置づけるデジタル関連、海外拠点の売上も順調に増加したことから、当社グループの主力事業である広告制作事業の当連結会計年度の売上高は319億2千2百万円(前連結会計年度比113.0%)となりました。受注状況も、当連結会計年度の受注高が前期比30億4千1百万円増の319億3千8百万円、当連結会計年度末受注残高が前期末比1千5百万円増の33億2千4百万円と、好調に推移しました。セグメント利益についても、平成27年3月に策定した中期経営計画の初年度にあたり新規事業推進や人材育成・業務効率化(IT化)のための先行的支出が発生した中にあって、24億3千6百万円(前連結会計年度比115.2%)と、前連結会計年度比増加しました。
一方で、写真スタジオ事業につきましては、当連結会計年度の売上高は1億3千7百万円(前連結会計年度比130.2%)と増加しましたが、平成27年10月・12月のららぽーと海老名店・立川立飛店オープンに伴う人員採用などの先行的経費負担により、セグメント損失は1億2千9百万円(前連結会計年度は5千5百万円のセグメント損失)と拡大しました。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高320億6千万円(前連結会計年度比111.3%)、営業利益24億9千1百万円(前連結会計年度比127.6%)、経常利益23億2百万円(前連結会計年度比118.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益10億9千8百万円(前連結会計年度比88.6%)となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益の減少は主に、前連結会計年度において、メディア関連事業の連結子会社2社の事業譲渡・清算に伴う税額減少という一時的なプラス要因が含まれていたことによるものです。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
詳細は、「第2 事業の状況 1業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
② 資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、CM作品等の制作費用、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。制作費用の主なものは、外部技術人件費、編集費、スタジオ代ほか美術費等であります。営業費用の主なものは、人件費、賃借料、支払手数料等であります。
当社グループの設備資金需要のうち主なものは、撮影スタジオに係るもの、編集スタジオにおける設備等の増強もしくは更新によるものであります。
③ 財務政策
当社グループは、運転資金及び設備投資資金は内部資金又は借入れにより調達することとしております。
借入による調達のうち、当連結会計年度末の短期借入金残高は15億9千9百万円となります。なお、当社は銀行5行とリボルビング・クレジット・ファシリティ契約(融資枠40億円)を締結し機動的に利用しております。
また、当連結会計年度末の長期借入金残高は38億7千3百万円(1年内返済予定の長期借入金14億円含む)で、その大半は中核会社である当社の借入金であり、銀行5行及び生命保険会社3社からの固定金利での借入れであります。
当社グループは、その健全な財政状態、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力及びリボルビング・クレジット・ファシリティ契約に基づく融資枠等により、将来とも運転資金及び設備投資資金の調達は可能であると考えております。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因、経営者の問題認識と今後の方針について
経営成績に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項は、「第2 事業の状況 4事業等のリスク」に記載しております。
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するように努めております。
今後のわが国経済は、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待されており、顧客企業の事業環境判断を反映して広告需要も引き続き堅調に推移するものと考えられます。また、ネットを中心としたデジタルメディアなど媒体の多様化や、スマートフォン・タブレットなどに代表されるデバイスの多様化により、広告を取り巻く事業領域は、その手法や構造の変化を伴いながら徐々に拡大していく傾向が続くと見込まれます。
こうした環境の中、当社グループの経営陣は、中期経営計画に基づき、デジタル領域や海外拠点の増強への注力を継続する一方で、テレビCMを中心とする広告制作事業の売上も引き続き堅調に推移するものと考えております。利益面では、動画コンテンツマーケティング事業推進や、人材育成や業務効率化(IT化)への積極な投資を継続する上でコスト増を見込む一方で、制作原価の管理を強化すること等による利益確保を目指していきます。
当社グループが今後も着実に成長し、永続的に発展していく企業であり続けるために、「第2 事業の状況 3対処すべき課題」に記載した「経営課題」を意識し、「新たな強みの創造とそれを支える基本コンセプト」を指針として、グループ一丸となって積極的に取り組んでいく所存であります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。