有価証券報告書-第49期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
対処すべき課題
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは経営理念を以下のとおり定めており、あらゆるステイクホルダー並びに社会に対する企業責任を明確に自覚し、健全で多様な金融・サービス提供機能を発揮してまいります。
◎ 経営理念
当社グループは、様々な経営資源の価値(Value)を、金融と事業の融合を通じて統合(Integrate)し、社会にとって新たな価値を創造していく、Value Integratorを目指してまいります。
(2)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
2017年4月にスタートした前中期経営計画では、全体方針を「金融と事業の融合」並びに「“トップライン経営”と“効率経営”の両立」と定め、成長戦略と経営基盤強化戦略を着実に進めてまいりました。引き続き、持続的で力強い成長を実現するべく、2020年4月から始まる中期経営計画を新たに策定いたしました。
新中期経営計画“Sustainable Growth 2030”では、2030年まで、今後10年タームの外部環境の変化を見据えた中長期戦略における最初の3年間と位置付け、「10年後を見据えて当社グループが目指す姿」を定め、経営戦略を「アセットビジネスのプラットフォームカンパニー」、「注力分野」、「競争力の源泉」、「支える仕組み」に区分した上で具体的な施策を策定しております。
Ⅰ)10年後を見据えて当社グループが目指す姿
10年タームでの世界の構造変化、メガトレンドとして「急激な都市化の進行」、「気候変動と資源不足」、「人口構造の変化」、「世界の経済力のシフト」、「テクノロジーの進歩」、「多極化する世界」の6つを認識しております。
これら中長期的な外部環境の変化を踏まえて、「国際社会共通の課題」や「お客さまが抱える経営課題」が数多く生じており、その解決に向け、財務資本と非財務資本(知的資本、製造資本、社会資本、自然資本、人的資本)の価値創造に注力していくことで、「企業価値向上」、「持続可能な成長」、「社会的課題の解決」を実現してまいります。こうした10年後を見据えて、当社グループの目指す姿を以下のとおり定めております。
(ⅰ)アセット価値創出力(※)を活かしたビジネスを展開、リースの枠を超えた新たな価値を提供し続けることで企業価値の向上を図る。
(ⅱ)新たな領域にも裾野を拡げ、アセットビジネスの質と収益力を不断に高め投資余力を拡大し持続可能な成長を目指す。
(ⅲ)社員一人ひとりが、環境や社会に対する強い使命感と責任感を持って行動し、アセットを軸に社会的課題の解決に貢献する。
※「アセット価値創出力」とは、価値創造に資する業務を次々と創出し提供することで、直面する課題の阻害要因を解決するイニシアティブを発揮、お客さまやパートナーの競争力向上を実現する力。ここで言う「アセット」とは、情報化資産(ソフトウェア・データベース)、革新的資産(研究開発・ライセンス)、経済的競争力(人材・組織)等の無形資産も含む。
Ⅱ)経営戦略
新中期経営計画は、10年タームの外部環境の変化を見据えた中長期戦略における最初の3年間と位置付けております。「10年スパンの戦略・環境予測」⇔「3年の中期戦略」⇔「年度計画」、を定期的に検証し、戦略を機動的に進化させてまいります。
アセット価値創出力を発揮する「アセットビジネスのプラットフォームカンパニー」として、グローバルアセット分野、社会資本分野、再生可能エネルギー分野の3つを注力分野と定め、社会的課題の解決に取り組んでまいります。これらの経営戦略の実現に必要な「競争力の源泉」を強化するとともに、上記10年⇔3年⇔単年度の戦略進化を「支える仕組み」を整備してまいります。
(ⅰ)アセットビジネスのプラットフォームカンパニー
大企業から中小企業までの幅広い「顧客基盤」、高い格付に裏付けされた「財務基盤」を背景とし、リース事業によって蓄積した「アセットに対する知見」が当社グループの強みと認識しております。
この強みをベースに、アセットホルダーとして「アセット価値創出力」を活かしたビジネスを積み重ねていくことで、アセット価値を収益化していく「アセットビジネスのプラットフォームカンパニー」を目指してまいります。
(ⅱ)注力分野
「急激な都市化の進行」、「気候変動と資源不足」、「人口構造の変化」、「世界の経済力のシフト」、「テクノロジーの進歩」、「多極化する世界」等のメガトレンドを受けて、SDGsをはじめとした地球規模の社会ニーズが存在しております。
当社グループの強みである陸海空輸送分野の「グローバルアセット」に加えて、先進国の更新需要や新興国の新規需要に対する「社会資本」への投資、気候変動と資源不足への対策である「再生可能エネルギー」の3分野を注力分野とし、中長期的な社会的課題の解決に貢献してまいります。
(ⅲ)競争力の源泉
経営戦略を実現する競争力の源泉である「人材の活用・強化力」、「グローバルな連結経営力」、「パートナーとの協働促進力」をそれぞれ強化してまいります。
(ⅳ)支える仕組み
全社としての経営戦略・経営計画を、部門単位の部門別事業戦略や資源配分・経営基盤等に関するコーポレートセンターのテーマ(財務運営、リスクマネジメント等)に加えて、「投資戦略」、「ポートフォリオマネジメント」、「デジタル戦略」等の全社横断的テーマの軸と連動させて、PDCAサイクルを回してまいります。
新型コロナウイルス感染拡大とそれを受けた内外経済の大幅後退がどの程度続くかを見通すことは難しいものの、いずれ落ち着くものと想定しております。その場合、当社が新中期経営計画策定の前提とした10年タームのメガトレンド自体に大きな変化は無いと考えており、当社の経営方針・経営戦略に影響を及ぼすものではないと考えております。
Ⅲ)優先して対処すべき事業上の課題
Ⅱ-ⅱに掲げた3つの注力分野を主体に、国際社会共通の課題やお客様が抱える経営課題の解決に取り組んでまいります。また、経営戦略の実現に必要な「競争力の源泉」を強化してまいります。
◎注力分野
◎競争力の源泉
Ⅳ)営業体制
それぞれの分野で専門性を深め、高度なサービスを提供するために事業部門制を導入しております。カスタマービジネス部門と事業部門が両輪となり、お客様の抱える課題解決のためのソリューションを提供しております。
Ⅴ)目標とする経営指標
新中期経営計画における経営方針は以下のとおりであります。
(ⅰ)戦略投資や資産回転型ビジネスを促進しつつ、優良資産を積上げ、低収益資産の入替を加速します。
(ⅱ)自己資本の充実と配当による株主還元とのバランスを確保し、当期までの21期連続増配の実績も踏まえて、配当性向30%台を継続します。
(ⅲ)財務健全性を維持しつつ資産効率を高め、ROEを中長期的に向上させます。
詳細については以下のとおりであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは経営理念を以下のとおり定めており、あらゆるステイクホルダー並びに社会に対する企業責任を明確に自覚し、健全で多様な金融・サービス提供機能を発揮してまいります。
◎ 経営理念
お客様、株主様、社員からの信頼に応え、豊かな社会の実現に貢献します。 ① お客様にベストソリューションを提供し、企業価値の持続的向上に努めます。 ② 法令を遵守し、環境に配慮した企業活動を通じ、地域・社会の発展に貢献します。 ③ 社員一人ひとりが意欲と誇りを持って活躍できる環境を提供します。 |
当社グループは、様々な経営資源の価値(Value)を、金融と事業の融合を通じて統合(Integrate)し、社会にとって新たな価値を創造していく、Value Integratorを目指してまいります。
(2)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
2017年4月にスタートした前中期経営計画では、全体方針を「金融と事業の融合」並びに「“トップライン経営”と“効率経営”の両立」と定め、成長戦略と経営基盤強化戦略を着実に進めてまいりました。引き続き、持続的で力強い成長を実現するべく、2020年4月から始まる中期経営計画を新たに策定いたしました。
新中期経営計画“Sustainable Growth 2030”では、2030年まで、今後10年タームの外部環境の変化を見据えた中長期戦略における最初の3年間と位置付け、「10年後を見据えて当社グループが目指す姿」を定め、経営戦略を「アセットビジネスのプラットフォームカンパニー」、「注力分野」、「競争力の源泉」、「支える仕組み」に区分した上で具体的な施策を策定しております。
Ⅰ)10年後を見据えて当社グループが目指す姿
10年タームでの世界の構造変化、メガトレンドとして「急激な都市化の進行」、「気候変動と資源不足」、「人口構造の変化」、「世界の経済力のシフト」、「テクノロジーの進歩」、「多極化する世界」の6つを認識しております。
これら中長期的な外部環境の変化を踏まえて、「国際社会共通の課題」や「お客さまが抱える経営課題」が数多く生じており、その解決に向け、財務資本と非財務資本(知的資本、製造資本、社会資本、自然資本、人的資本)の価値創造に注力していくことで、「企業価値向上」、「持続可能な成長」、「社会的課題の解決」を実現してまいります。こうした10年後を見据えて、当社グループの目指す姿を以下のとおり定めております。
(ⅰ)アセット価値創出力(※)を活かしたビジネスを展開、リースの枠を超えた新たな価値を提供し続けることで企業価値の向上を図る。
(ⅱ)新たな領域にも裾野を拡げ、アセットビジネスの質と収益力を不断に高め投資余力を拡大し持続可能な成長を目指す。
(ⅲ)社員一人ひとりが、環境や社会に対する強い使命感と責任感を持って行動し、アセットを軸に社会的課題の解決に貢献する。
※「アセット価値創出力」とは、価値創造に資する業務を次々と創出し提供することで、直面する課題の阻害要因を解決するイニシアティブを発揮、お客さまやパートナーの競争力向上を実現する力。ここで言う「アセット」とは、情報化資産(ソフトウェア・データベース)、革新的資産(研究開発・ライセンス)、経済的競争力(人材・組織)等の無形資産も含む。
Ⅱ)経営戦略
新中期経営計画は、10年タームの外部環境の変化を見据えた中長期戦略における最初の3年間と位置付けております。「10年スパンの戦略・環境予測」⇔「3年の中期戦略」⇔「年度計画」、を定期的に検証し、戦略を機動的に進化させてまいります。
アセット価値創出力を発揮する「アセットビジネスのプラットフォームカンパニー」として、グローバルアセット分野、社会資本分野、再生可能エネルギー分野の3つを注力分野と定め、社会的課題の解決に取り組んでまいります。これらの経営戦略の実現に必要な「競争力の源泉」を強化するとともに、上記10年⇔3年⇔単年度の戦略進化を「支える仕組み」を整備してまいります。
(ⅰ)アセットビジネスのプラットフォームカンパニー
大企業から中小企業までの幅広い「顧客基盤」、高い格付に裏付けされた「財務基盤」を背景とし、リース事業によって蓄積した「アセットに対する知見」が当社グループの強みと認識しております。
この強みをベースに、アセットホルダーとして「アセット価値創出力」を活かしたビジネスを積み重ねていくことで、アセット価値を収益化していく「アセットビジネスのプラットフォームカンパニー」を目指してまいります。
(ⅱ)注力分野
「急激な都市化の進行」、「気候変動と資源不足」、「人口構造の変化」、「世界の経済力のシフト」、「テクノロジーの進歩」、「多極化する世界」等のメガトレンドを受けて、SDGsをはじめとした地球規模の社会ニーズが存在しております。
当社グループの強みである陸海空輸送分野の「グローバルアセット」に加えて、先進国の更新需要や新興国の新規需要に対する「社会資本」への投資、気候変動と資源不足への対策である「再生可能エネルギー」の3分野を注力分野とし、中長期的な社会的課題の解決に貢献してまいります。
(ⅲ)競争力の源泉
経営戦略を実現する競争力の源泉である「人材の活用・強化力」、「グローバルな連結経営力」、「パートナーとの協働促進力」をそれぞれ強化してまいります。
(ⅳ)支える仕組み
全社としての経営戦略・経営計画を、部門単位の部門別事業戦略や資源配分・経営基盤等に関するコーポレートセンターのテーマ(財務運営、リスクマネジメント等)に加えて、「投資戦略」、「ポートフォリオマネジメント」、「デジタル戦略」等の全社横断的テーマの軸と連動させて、PDCAサイクルを回してまいります。
新型コロナウイルス感染拡大とそれを受けた内外経済の大幅後退がどの程度続くかを見通すことは難しいものの、いずれ落ち着くものと想定しております。その場合、当社が新中期経営計画策定の前提とした10年タームのメガトレンド自体に大きな変化は無いと考えており、当社の経営方針・経営戦略に影響を及ぼすものではないと考えております。
Ⅲ)優先して対処すべき事業上の課題
Ⅱ-ⅱに掲げた3つの注力分野を主体に、国際社会共通の課題やお客様が抱える経営課題の解決に取り組んでまいります。また、経営戦略の実現に必要な「競争力の源泉」を強化してまいります。
◎注力分野
◎競争力の源泉
人材の活用・強化力 |
■人材強化(人材獲得、開発、登用の諸施策展開) ■人材活用(コース体系・役割の見直し) ■連結人事マネジメント(人材共通プラットフォームの構築、連結人事による人的資源活用) |
グローバルな連結経営力 |
■連結経営フィロソフィーの共有化 当社グループ全体で経営ビジョンを共有し、経営基盤を一体化、経営資源を有効活用することで、国内外グループ会社が各部門の事業戦略の下、業務推進に力を注げる態勢を構築し、最大限のパフォーマンスを発揮していく。 ■国内外グループ会社へのコーポレート横串機能の発揮 |
パートナーとの協働促進力 |
■様々なパートナー企業との協働ビジネス進化 |
Ⅳ)営業体制
それぞれの分野で専門性を深め、高度なサービスを提供するために事業部門制を導入しております。カスタマービジネス部門と事業部門が両輪となり、お客様の抱える課題解決のためのソリューションを提供しております。
部門 | 主なサービス・事業分野 |
カスタマービジネス(国内・海外) | 設備機器リース・ファイナンス 中古機器の販売・買取 |
航空事業部門 | 航空機リース 航空機エンジンリース |
不動産事業部門 | 不動産リース・ファイナンス 不動産流動化 不動産再生投資 |
ロジスティクス事業部門 | 海上コンテナリース 鉄道貨車リース 船舶ファイナンス オートリース |
環境・エネルギー事業部門 | 再生可能エネルギー発電事業 環境関連機器リース・ファイナンス ESCO(Energy Service Company)事業 |
ヘルスケア事業部門 | 医療機器リース・ファイナンス 中古医療機器の販売・買取 医療機器導入・経営支援コンサルティング |
インフラ・企業投資事業部門 | 社会インフラへの投資・ファイナンス PFI事業 企業投資事業 |
Ⅴ)目標とする経営指標
新中期経営計画における経営方針は以下のとおりであります。
(ⅰ)戦略投資や資産回転型ビジネスを促進しつつ、優良資産を積上げ、低収益資産の入替を加速します。
(ⅱ)自己資本の充実と配当による株主還元とのバランスを確保し、当期までの21期連続増配の実績も踏まえて、配当性向30%台を継続します。
(ⅲ)財務健全性を維持しつつ資産効率を高め、ROEを中長期的に向上させます。
詳細については以下のとおりであります。
目的 | 項目 | 目標値 | 2020年3月期(実績) | ||
中期経営計画 計数目標 (2023年3月期) | 利益成長 | 純利益 | 850億円以上 | 707億円 | |
資産効率 | ROA | 1.3%程度 | 1.2% | ||
株主還元 | 配当性向 | 30%台を継続 | 31.5% | ||
中長期的な方向性 (3~5年) | 資本効率 | ROE | 10~12% | 9.2% |