有価証券報告書-第52期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/22 9:27
【資料】
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【項目】
113項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の残高及び当該期間における収益・費用の数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。
見積り及び仮定については、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき判断を行っております。また、実際の結果は、見積りの不確実性により異なる場合があります。
この見積りと判断が、当社グループの連結財務諸表の作成において大きな影響を及ぼすと考えられるのは、以下の重要な会計方針であります。
(退職給付費用)
退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率、年金資産の長期収益率などがあります。当社グループの退職給付においては、割引率は日本の長期金利の水準を基準として算出しております。期待収益運用率は、年金資産が投資されている資産の種類ごとの長期期待収益率に基づき計算されます。
(繰延税金資産)
当社グループは、流動資産及び固定資産に繰延税金資産を計上しておりますが、繰延税金資産の計上においては、将来の課税所得見込みと回収計画により行っております。
繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上しております。
(2) 財政状態の分析
当連結会計年度末における流動資産の残高は、12,291百万円となり、前連結会計年度末比1,074百万円の減少となりました。この主な要因は、現金及び預金が702百万円、受託現預金が158百万円減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末における固定資産の残高は、12,420百万円となり、前連結会計年度末比1,409百万円の増加となりました。この主な要因は、不動産取得等により有形固定資産が1,801百万円、無形固定資産が230百万円増加しましたが、投資有価証券の売却等により投資その他の資産が622百万円減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末における流動負債の残高は、3,588百万円となり、前連結会計年度末比91百万円の増加となりました。この主な要因は、1年内償還予定の社債が200百万円や買掛金が74百万円減少しましたが、預り金が112百万円、未払法人税等が157百万円それぞれ前連結会計年度末に比べ増加したこと等によるものです。
当連結会計年度末における固定負債の残高は、1,844百万円となり、前連結会計年度末比438百万円の増加となりました。この主な要因は、長期借入金が78百万円、繰延税金負債が409百万円減少しましたが、厚生年金基金解散損失引当金795百万円や訴訟損失引当金72百万円等が増加したこと等によるものです。
当連結会計年度末における純資産の残高は、19,279百万円となり、前連結会計年度末比194百万円の減少となりました。自己資本比率は、前連結会計年度末比2.0ポイント減少の77.9%となりました。
(3) 当連結会計年度の経営成績の分析
(売上高)
警備事業につきましては、輸送警備が僅かながら前連結会計年度比減収となりましたが、機械警備、施設警備、TEC-CDを含む受託管理、機器販売は堅調に推移しました。また、ビル管理事業との複合業務において警備事業部門も増収となりました。また、ビル管理事業との複合セールスを推進した結果、当事業の売上高は15,247百万円(前連結会計年度比423百万円、2.9%の増収)となりました。
ビル管理事業につきましては、関係会社との連携を強化し、ビル総合管理の受託を推進しました。また、株式会社大阪ビルサービスを連結子会社としました。その結果、当事業の売上高は、5,531百万円(前連結会計年度比513百万円、10.2%の増収)となりました。
不動産事業につきましては、当連結会計年度の平成27年10月に不動産仲介業務を主たる業務とするテック不動産㈱を設立し、また、平成28年3月には新規の賃貸用不動産(土地)を取得しました。その結果、当事業の売上高は、39百万円(前連結会計年度比4百万円、13.7%の増収)となりました。
売上高合計では20,818百万円(前連結会計年度比942百万円、4.7%の増収)となりました。
(営業利益)
当社グループは、引続き事業全般にわたる効率化を徹底しましたが、一方で、労務管理の厳正な運用に伴う人件費の増加や会社設立50周年記念事業等に係る一時的な物件費の増加等もあったことから営業利益は615百万円(前連結会計年度比△82百万円、11.9%の減益)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の営業外損益は150百万円の利益となりました。
この結果、経常利益は765百万円(前連結会計年度比△77百万円、9.2%の減益)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益は、投資有価証券売却益800百万円等合計809百万円であり、特別損失は、厚生年金基金解散損失引当金繰入額795百万円、労務問題に関する訴訟損失引当金繰入額72百万円、固定資産除却損43百万円等、合計で942百万円となりました。
これにより税金等調整前当期純利益は632百万円となり、法人税等を差引いた親会社株主に帰属する当期純利益は314百万円(前連結会計年度比△130百万円、29.3%の減益)となりました。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループを取り巻く経営環境は、警備事業並びにビル管理事業において、同業他社との激しい競合が続き、受注価額の低下や既存取引先からの値下げ等の要請も依然として根強く、価格競争が進んでおります。一方、商品・サービスの品質向上のため、人件費や各種経費の支出、情報端末の配備等によるコストアップ要因とも相俟って、収益面では厳しい状況が続いております。
このような状況下において、当社グループは一般事業法人向けの機械警備や個人向けのホームセキュリティ事業の取引先拡大及び監視カメラ、売上金回収サービス(TEC-CD)、入退室管理システム(TEC-IS)等の販売強化に軸足を置くとともに、ビル管理事業、不動産事業の拡充等により売上高の増加を図るとともに、グループ各社の特長を活かして商品・サービスの付加価値向上を進め、収益力の強化に努めてまいります。
(5) 戦略的現状と見通し
当社グループは、昨今の経営環境の変化に柔軟に適応していくために、全社一丸となって業務全般にわたる効率化の実施やローコスト・オペレーションを徹底するとともに、新規取引先の開拓やM&A案件の発掘に取り組んでまいりました。
お蔭様をもちまして、当社は平成28年1月に設立50周年を迎えることができました。この設立50周年を機に当社グループは、第10次中期経営計画≪2016年度(平成28年度)から2018年度(平成30年度)≫を策定し、「変革と挑戦」をスローガンに、高い収益性と成長力を目指し、「経営基盤の拡充」と「企業風土の改革」を推し進めております。
「経営基盤の拡充」につきましては、コア事業である警備事業とビル管理事業の安定的な拡大をベースとした経営基盤の強化を図ってまいります。
「企業風土の改革」につきましては、コンプライアンスとリスクマネジメントの定着と深化を伴う企業風土の改革を行ってまいります。
今後の見通しにつきましては、これらの目標を見据え、新規取引先の拡大や営業力、商品開発力の強化を図るとともに、M&Aによる事業基盤の強化、不動産業務を始めとした新規業務への取り組み等により売上高と収益の拡充を目指してまいります。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
警備業界におきましては「防犯」「防災」に限らず、「安全」「安心」に対するニーズの多様化への対応が求められ、機械警備業務はもとより、あらゆる業務において技術革新が進展し、新商品や新サービスの提供、品質向上の面での競争が更に激化してまいります。
今後、急速な高齢化社会を迎え、社会の安全、安心への関心が高まるにつれて、警備業界の果たす役割はますます重要度を増してまいります。
当社グループは、取引先からの更なる業務品質の向上やサービスメニューの拡充による付加価値サービスの向上への期待にお応えするとともに、グループ全体の業容の拡大と業務品質の向上を目指して上記の課題に取り組んでまいりたいと存じます。
当社グループは、これらの課題を達成するために、多様化するお客様のニーズに的確に対応し、より良い商品、サービスの提供に努めてまいる所存であります。