有価証券報告書-第53期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/22 9:37
【資料】
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【項目】
113項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の残高及び当該期間における収益・費用の数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。
見積り及び仮定については、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき判断を行っております。また、実際の結果は、見積りの不確実性により異なる場合があります。
この見積りと判断が、当社グループの連結財務諸表の作成において大きな影響を及ぼすと考えられるのは、以下の重要な会計方針であります。
(退職給付費用)
退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率、年金資産の長期収益率などがあります。当社グループの退職給付においては、割引率は日本の長期金利の水準を基準として算出しております。期待収益運用率は、年金資産が投資されている資産の種類ごとの長期期待収益率に基づき計算されます。
(繰延税金資産)
当社グループは、流動資産及び固定資産に繰延税金資産を計上しておりますが、繰延税金資産の計上においては、将来の課税所得見込みと回収計画により行っております。
繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上しております。
(2) 財政状態の分析
当連結会計年度末における流動資産の残高は、13,484百万円となり、前連結会計年度末比1,193百万円の増加となりました。この主な要因は、現金及び預金が366百万円、受託現預金が777百万円増加したこと等によるものです。
当連結会計年度末における固定資産の残高は、12,870百万円となり、前連結会計年度末比449百万円の増加となりました。この主な要因は、企業結合によるのれんが327百万円増加したこと等によるものです。
当連結会計年度末における流動負債の残高は、3,168百万円となり、前連結会計年度末比419百万円の減少となりました。この主な要因は、1年内返済予定の長期借入金が30百万円、未払法人税等が175百万円、未払金が294百万円減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末における固定負債の残高は、3,641百万円となり、前連結会計年度末比1,796百万円の増加となりました。この主な要因は、TEC-CD販売拡大に伴う長期借入金が1,950百万円増加したこと等によるものです。
当連結会計年度末における純資産の残高は、19,544百万円となり、前連結会計年度末比265百万円の増加となりました。自己資本比率は、前連結会計年度末比3.8ポイント減少の74.2%となりました。
(3) 当連結会計年度の経営成績の分析
(売上高)
警備事業につきましては、機械警備業務、施設警備業務が前連結会計年度比減収となりましたが、一方、輸送警備業務、TEC-CDが好調であったATM管理業務は堅調に推移しました。
その結果、当事業の売上高は15,396百万円(前連結会計年度比149百万円、1.0%の増収)となりました。
ビル管理事業につきましては、グループ会社との連携を強化し、ビル総合管理の受託を推進しました。また、株式会社大阪ビルサービスの株式30%を追加取得し、100%連結子会社としました。グループ会社の営業人員を一部親会社に集約し、グループ一体となったファシリティマネジメント営業に注力をしましたが、最低賃金の上昇、人手不足等、労働環境の悪化による人件費や外注費のコスト増を吸収することができませんでした。その結果、ビル管理事業の売上高は、5,368百万円(前連結会計年度比△162百万円、2.9%の減収)となりました。
不動産事業につきましては、前連結会計年度に購入した草加市における賃貸物件の賃貸収入が、当連結会計年度で売上に寄与したことに加え、子会社における不動産販売並びに不動産売却仲介手数料、販売代理手数料が堅調に推移したことから、不動産事業の売上高は、509百万円(前連結会計年度比469百万円、1,187.1%の増収)となりました。
売上高合計では21,274百万円(前連結会計年度比456百万円、2.2%の増収)となりました。
(営業利益)
当社グループにおいて、引続き事業全般にわたる効率化を徹底した結果、営業利益は658百万円(前連結会計年度比43百万円、7.1%の増益)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の営業外損益は119百万円の利益となりました。
この結果、経常利益は778百万円(前連結会計年度比12百万円、1.6%の増益)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益は、労務問題に関する訴訟損失引当金戻入額31百万円等、合計で32百万円、特別損失は、固定資産除却損38百万円等、合計で39百万円となりました。
これにより税金等調整前当期純利益は771百万円となり、法人税等を差引いた親会社株主に帰属する当期純利益は471百万円(前連結会計年度比157百万円、50.0%の増益)となりました。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループを取り巻く経営環境は、警備事業並びにビル管理事業において、同業他社との激しい競合が続き、受注価額の低下や既存取引先からの値下げ等の要請も依然として根強く、価格競争が激化しております。一方、最低賃金の上昇等に伴う人件費や各種経費、外注費のコストアップとも相俟って、収益面では厳しい状況が続いております。
このような状況下において、新事務系システム(T-LINK)の本格稼働に伴う更なる業務の効率化による事務人員の営業へのシフト、また「新規営業」、「グループ一体となったファシリティマネジメント営業」、「TEC-CD等の独自商品の販売拡大」を行うための専担部署「営業開発部」の新設、グループ会社の営業人員の親会社への一部集約等によるグループ一体となった営業体制の構築により、営業力の強化を行いました。
(5) 戦略的現状と見通し
当社グループは、昨今の経営環境の変化に柔軟に適応していくために、全社一丸となって業務全般にわたる効率化の実施やローコスト・オペレーションを徹底するとともに、新規取引先の開拓やM&A案件の発掘に取り組んでまいりました。
平成28年4月にスタートした第10次中期経営計画≪2016年度(平成28年度)から2018年度(平成30年度)≫におきまして、「変革と挑戦」をスローガンに、高い収益性と成長力を目指し、「経営基盤の拡充」と「企業風土の改革」を推し進めております。
「経営基盤の拡充」につきましては、コア事業である警備事業とビル管理事業の安定的な拡大をベースとした経営基盤の強化を図るべく、平成29年3月にM&Aにて機械警備事業の事業譲渡を受けました。また新規営業の成果として大型施設における施設警備・ビルメンテナンス案件の受注に成功いたしました。
「企業風土の改革」につきましては、コンプライアンスとリスクマネジメントの定着と深化を伴う企業風土の改革を行うべく、平成28年10月よりリスクマネジメントシステムを導入し、経営に顕在化・潜在化するリスクを組織的に管理する体制を構築いたしました。
今後の見通しにつきましては、これらの目標を見据え、更なる新規取引先の拡大や営業力、商品開発力の強化を図るとともに、M&Aによる事業基盤の強化、不動産業務を始めとした新規業務への取り組み等により売上高と収益の拡充を目指してまいります。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
警備業界におきましては「防犯」「防災」に限らず、「安全」「安心」に対するニーズの多様化への対応が求められ、機械警備業務はもとより、あらゆる業務において技術革新が進展し、新商品や新サービスの提供、品質向上の面での競争が更に激化してまいります。
今後、急速な高齢化社会を迎え、社会の安全、安心への関心が高まるにつれて、警備業界の果たす役割はますます重要度を増してまいります。
当社グループは、これらの課題に対応すべく従来のサービスに加え、「緊急駆付業務(みまもり安心コール)」による高齢者へのサービスを拡充します。また音声認識システムによるコールセンター業務の進化、ウエアラブル端末の導入による業務の高度化等、AI、IoTを積極的に活用してまいります。
当社グループは、今後とも多様化するお客様のニーズに的確に対応し、より良い商品、サービスの提供に努めてまいる所存であります。