有価証券報告書-第19期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/10 16:37
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【項目】
164項目
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態
当社及び当社グループの当連結会計年度における財政状態は、資産残高は24,705百万円(前連結会計年度末は19,368百万円)となり、前連結会計年度末と比べ5,337百万円増加しました。負債残高は10,850百万円(前連結会計年度末は7,722百万円)となり、前連結会計年度末と比べ3,128百万円増加しました。純資産残高は13,855百万円(前連結会計年度末は11,646百万円)となり、前連結会計年度末と比べ2,209百万円増加しました。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
b.経営成績
当社及び当社グループの当連結会計年度における経営成績は、売上高は20,705百万円と前年同期に比べ2,286百万円(12.4%)の増収、営業利益は124百万円と前年同期と比べ1,729百万円(93.2%)の減益、経常利益は277百万円と前年同期と比べ1,637百万円(85.5%)の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は378百万円と前年同期と比べ520百万円(57.9%)の減益となりました。
なお、当社は、当社の重要な子会社であるアイペット損害保険株式会社に関して、より損益実態を把握する上で有用な指標として、以下の調整を加味した利益を開示しております。 Ⅰ.普通責任準備金:当該金額の算定を初年度収支残方式から未経過保険料方式に変更
損害保険会社は、保険業法施行規則第70条第1項第1号に基づき、未経過保険料残高と初年度収支残高の大きい方を責任準備金として負債計上し、当事業年度の残高と前事業年度の残高の差分を繰入額として当事業年度に費用計上しますが、同社では初年度収支残高が未経過保険料残高を上回って推移しているため、現状、財務会計上は初年度収支残方式によっていますが、同社及び当社は社内管理用の指標として未経過保険料方式による損益を重要視しております。理由としまして、未経過保険料方式により算定された利益は、発生主義による利益と同額となるため、期間比較が可能となり同社の経営実態を適切に反映していると考えております。また、上場企業のうち、初年度収支残方式に基づく損害保険会社が存在しないため、競合他社との比較の観点からも、有用な情報と考えております。
Ⅱ.異常危険準備金:繰入額の影響を排除
異常危険準備金は、異常災害による損害の填補に備えるため、収入保険料の一定割合を毎期積み立てる責任準備金の一種であり、大蔵省告示第232号第2条の別表で記載されている損害率を超える場合に、その損害率を超える部分に相当する金額を取崩すこととされています。同社は損害率が基準よりも低いため、収入保険料に3.2%を乗じた金額を毎期積み立てておりますが、同社及び当社の調整計算は競合他社の同指標あるいは類似の指標と算定方法が近似するものであり、比較可能性を高めるものであります。
財務会計ベースの保険セグメント損益から調整後利益ベースの保険セグメント損益へ調整及び、調整後利益ベースでの連結業績は以下のとおりです。
なお、調整後利益は異常危険準備金の影響を除いて算定されるため、税効果会計における企業分類の変更による影響は小さくなり、調整後親会社株主に帰属する当期純利益は財務会計ベースと比べ減少しております。
また、調整額及び、調整後損益につきましては、監査法人の監査は受けておりません。
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自2017年4月1日
至2018年3月31日)
当連結会計年度
(自2018年4月1日
至2019年3月31日)
増減率
財務会計ベースの保険セグメント損益402134△66.7%
Ⅰに関する調整額△117155-
Ⅱに関する調整額(注)39147521.5%
調整後保険セグメント損益67676513.2%
調整後連結経常利益2,189908△58.5%
調整後親会社株主に帰属する当期純利益1,071358△66.5%

(注)戻入れの場合はマイナスとなります。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
当連結会計年度において、従来、「戦略コンサルティングセグメント」の一部を構成していた連結子会社であるDream Incubator (Vietnam) Joint Stock Companyと「その他セグメント」に含まれていた株式会社DI Asia(旧称「株式会社DIマーケティング」。当連結会計年度に商号変更)を、アジア地域におけるサービス拡充を目的として経営統合したことに伴い、業績管理区分の見直しを行い、「戦略コンサルティングセグメント」に含めた上で「プロフェショナルサービスセグメント」と区分いたしました。
この変更により、当社のセグメント構成は、「戦略コンサルティングセグメント」、「営業投資セグメント」、「保険セグメント」、「その他セグメント」から、「プロフェショナルサービスセグメント」、「営業投資セグメント」、「保険セグメント」、「その他セグメント」となります。
なお、前連結会計年度のセグメント情報は、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成したものを開示しております。
(プロフェショナルサービス事業)
プロフェショナルサービス事業は、大企業や政府向けの戦略コンサルティング(特に、将来の成長を牽引するビジネスプロデュース(事業創造)支援や成長戦略立案支援に強み)、M&Aファイナンシャル・アドバイザリー、経営幹部育成支援、アジア地域等における戦略コンサルティングや市場調査を提供しております。
当連結会計年度においては、特定大口顧客の発注方針変更により売上高が大幅に減少しました。その結果、当連結会計年度の売上高は2,556百万円(前年同期は3,454百万円)、セグメント利益(営業利益)は652百万円(前年同期は1,685百万円)となりました。
(インキュベーション事業)
インキュベーション事業は、営業投資セグメント、保険セグメント、その他セグメントにより構成されております。
営業投資セグメントは、新規投資活動として、提携先ベンチャーキャピタルと連携し、日本・アジア・米国を中心に投資を実行しております。また、当連結会計年度に子会社として設立し、営業を開始した「DIインドデジタル投資組合」においてもインドへの投資を進めております。
既存投資先ベンチャーに関しては、当社が深く支援することで成長加速が見込まれるステージにおいて資金と人材を投入し、それ以降は売却を進めており、当連結会計年度においては、複数件のトレードセールによる売却の他、投資先1社がIPOを果たした一方で、投資先4社の価値下落に伴い、営業投資有価証券の評価損及び投資損失引当金繰入額を計上しております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は2,867百万円(前年同期は2,752百万円)、セグメント利益(営業利益)は261百万円(前年同期は632百万円)となりました。
保険セグメントは、連結子会社であるアイペット損害保険株式会社が運営するペット向け医療保険を指します。同社は、2018年4月25日付で東京証券取引所マザーズに新規上場いたしました。当連結会計年度において、ペット向け医療保険の加入件数は順調に増加し、売上は順調に拡大しました。その結果、当連結会計年度の売上高は14,876百万円(前年同期は12,212百万円)、セグメント利益(営業利益)は134百万円(前年同期は402百万円)となりました。
なお、前連結会計年度において当時の基幹システム開発作業の遅延に伴い計上した特別損失(固定資産除却損)に対して、当該システム開発委託先から受領した和解金170百万円を特別利益として計上しております。また、当連結会計年度より税効果会計における企業分類の変更等により、法人税等調整額を利益項目として764百万円計上しております。
その他セグメントは、フリーコンサルタントのマッチング・プラットフォーム事業を運営する株式会社ワークスタイルラボが含まれております。当連結会計年度においては、売上高は堅調に推移した一方で、事業拡大に伴う先行費用及びのれん償却等が発生しております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は448百万円、セグメント損失(営業損失)は23百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、期首と比較して896百万円増加し5,512百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の収入は、1,292百万円(前連結会計年度は864百万円の収入)となりました。これは主に、税引等調整前当期純利益444百万円、投資損失引当金の減少397百万円及び営業投資有価証券の減少778百万円があった一方、責任準備金等の増加1,289百万円による収入が要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、3,285百万円(前連結会計年度は1,865百万円の支出)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入3,292百万円がある一方、定期預金の預入による支出2,650百万円、投資有価証券の増加による支出2,206百万円が要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の収入は、2,891百万円(前連結会計年度は100百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入による収入1,140百万円、アイペット損害保険株式会社の上場に伴う非支配株主からの払込みによる収入1,493百万円が要因であります。
なお、当社(当社グループ)のキャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。
2015年3月期2016年3月期2017年3月期2018年3月期2019年3月期
自己資本比率67.2%63.2%56.8%54.4%45.5%
時価ベースの自己資本比率159.0%151.5%130.0%157.5%70.4%
キャッシュ・フロー対有利子負債比率0.4%0.3%28.6%41.7%132.9%
インタレスト・カバレッジ・レシオ822.7倍268.3倍344.9倍360.5倍183.9倍

(注)1 各指標は以下の方法により算定しております。
自己資本比率 :自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
(株式時価総額は、期末株価終値に期末発行済株式数を乗じて算定しております)
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業活動によるキャッシュ・フロー/利払い
2 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社及び当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
なお、営業投資事業につきましては、受注という概念がございませんので記載しておりません。
区分前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前年同期比
(%)
金額(百万円)金額(百万円)
プロフェショナルサービス事業
(セグメント)
3,0702,553△16.8
インキュベーション事業12,21215,45226.5
(内訳)
保険セグメント12,21214,87621.8
その他セグメント-575-
合計15,28218,00617.8

(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 各セグメントの金額は、セグメント間の取引を含んでおります。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
区分当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
金額(百万円)前年同期比(%)
プロフェショナルサービス事業
(セグメント)
2,556△26.0
インキュベーション事業18,19121.6
(内訳)
営業投資セグメント2,8674.2
保険セグメント14,87621.8
その他セグメント448-
セグメント間の内部売上又は振替高△43-
合計20,70512.4

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
d.投資実績
証券種類前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
投資実行高期末投資残高投資実行高期末投資残高
金額
(百万円)
会社数
(社)
金額
(百万円)
会社数
(社)
金額
(百万円)
会社数
(社)
金額
(百万円)
会社数
(社)
株式・出資金等1,677266,350581,709226,08664
新株予約権等-3011-2-8
合計1,677296,350641,709246,08667

(注)1 新株予約権等は、当社コンサルティングサービスの対価として発行会社から無償で取得している場合がありますが、上表においては、その際の金額をゼロとし会社数のみを記載しております。
2 株式、新株予約権等を重複して投資を行っている会社があります。
3 時価のあるものについては、取得原価を記載しております。
4 上表には余剰資金の運用目的の有価証券及び投資有価証券は含まれておりません。
5 当社グループは、未公開時点では投資をしていなかったPost-IPO企業の株式をIPO後に取得する場合がありますが、上表には当該投資金額及び会社数は含まれておりません。
6 期末において保有している新株予約権等を全て行使した場合の株式取得価額の総額は、以下の通りであります。
前連結会計年度当連結会計年度
197百万円25百万円

e.新規上場(IPO)支援先一覧
前連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
企業名証券コード公開市場事業内容公開年月日
株式会社
エル・ティー・エス
6560東証マザーズロボティクス・AI・ビジネスプロセスマネジメントを活用した働き方改革促進支援2017年12月14日

当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
企業名証券コード公開市場事業内容公開年月日
アイペット損害保険
株式会社
7323東証マザーズペット向け医療保険事業2018年4月25日
アルー株式会社7043東証マザーズ人材育成データ・機械学習技術等を活用した社会人向け教育サービス2018年12月11日

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社及び当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、主な内容は「第5 経理の状況1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項4.会計方針に関する事項」に記載しております。また、連結財務諸表の作成にあたって、期末時点において連結貸借対照表及び連結損益計算書に影響を与える判断、見積りを行っております。貸倒引当金、投資損失引当金などの各種引当金、繰延税金資産の回収可能性など、見積りにあたっては、それぞれ合理的な方法によっております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における資産残高は24,705百万円(前連結会計年度末は19,368百万円)となり、前連結会計年度末と比較して5,337百万円増加しました。その内訳は流動資産690百万円の増加及び固定資産4,646百万円の増加に分類されます。
流動資産増加の主な要因は、現金及び預金が259百万円増加したこと及び、未収還付法人税等が275百万円増加したことが挙げられます。
固定資産増加の主な要因は、アイペット損害保険株式会社における事業規模拡大に向けた基幹システム等への投資によりソフトウエア仮勘定が960百万円増加したこと、投資信託等への投資により投資有価証券が2,210百万円増加したこと及び、税効果会計における企業分類の変更等により繰延税金資産が745百万円増加したことが挙げられます。
(負債)
当連結会計年度末における負債残高は10,850百万円(前連結会計年度末は7,722百万円)となり、前連結会計年度末と比較して3,128百万円増加しました。その内訳は流動負債2,254百万円の増加及び固定負債873百万円の増加に分類されます。
流動負債増加の主な要因は、アイペット損害保険株式会社における責任準備金が1,289百万円増加したこと及び、借入金が589百万円増加したことが挙げられます。
固定負債増加の主な要因は、借入金が773百万円増加したことが挙げられます。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産残高は13,855百万円(前連結会計年度末は11,646百万円)となり、前連結会計年度末と比較して2,209百万円増加しました。
純資産増加の主な要因は、アイペット損害保険株式会社の新規上場に伴う公募増資等により非支配株主持分が1,526百万円増加したこと及び、当社持分の変動等による資本剰余金が610百万円増加したことが挙げられます。
b.経営成績の分析
(売上高、売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べて、2,286百万円増加し、20,705百万円となりました。
また、売上原価は、前連結会計年度に比べて2,534百万円増加し、11,401百万円となりました。主な増加要因につきましては、保険料収入が増加したことにより責任準備金繰入額が増加したことなどが挙げられます。
この結果、売上総利益は、前連結会計年度に比べて247百万円減少し、9,303百万円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べて1,481百万円増加し、9,178百万円となりました。主な増加要因につきましては、保険料収入が増加したことにより販売手数料等が増加したことなどが挙げられます。
この結果、営業利益は前連結会計年度に比べて1,729百万円減少し、124百万円となりました。

(経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に比べて99百万円増加し、181百万円となりました。
また、営業外費用は、前連結会計年度に比べて7百万円増加し、28百万円となりました。
この結果、経常利益は前連結会計年度に比べて1,637百万円減少し、277百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の法人税等は、前連結会計年度に比べて988百万円減少し、△239百万円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べて520百万円減少し、378百万円となりました。
なお、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載の通りであります。
c.キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は、事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用や金利情勢等を勘案し、金融機関からの借入により資金調達を行っており、財務健全性を注視しながら最適な選択を実施しております。
当社の資金需要の主なものとして、戦略コンサルティング事業に係る運転資金及びインキュベーション事業に係る投資資金があります。戦略コンサルティングに係る運転資金及び、インキュベーション事業のうち、事業投資に係る投資資金については、自己資金の他、金利情勢等を勘案し一部金融機関からの借入により資金調達を行っております。当事業年度については、事業投資について借入を行ったこともあり、借入残高については、1,688百万円となりました。一方、インキュベーション事業のうち、ベンチャー投資に係る投資資金については、自己資金を用いる他、ファンドを組成し、外部投資家から資金を調達することにより投資資金を確保しております。
また、流動性を確保するため、取引金融機関と当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結しており、資金の流動性を十分に確保しております。当事業年度の当座貸越契約及びコミットメントライン契約による契約総額金額は2,300百万円となっており、借入未実行残高は1,900百万円となっております。
④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、セグメント別の売上高、セグメント利益及びその総和である連結売上高、連結営業利益に加え、当事業年度よりNAV(Net Asset Value)を重視する経営指標としております。なお、セグメント別の売上高、セグメント利益については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に、連結売上高及び連結営業利益は「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討の内容 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載しております。
当社は、当事業年度より重視する経営指標としてNAV(Net Asset Value)を加えております。当社は、事業区分として、大企業クライアントの事業創造支援を行う「戦略コンサルティング」、インキュベーションのうち、スタートアップ企業へのリスクマネー供給・成長加速支援を行う「ベンチャー投資」、そして成長事業へのマジョリティ出資・継続経営を行う「事業投資」の3事業に区分しております。NAVは、当社のように複数の事業・資産を有する会社を評価する際に用いられる評価尺度の一つであり、単年の期間損益では表せない保有資産(投資先等)の適正な価格を表すことが可能です。当社は、NAVの向上が株主価値の向上に直結すると考え、NAVを重視する経営指標として位置付けました。
なお、NAVにつきましては、監査法人の監査は受けておりません。
NAVで使用している事業区分と、会計上の報告セグメントの関係は次のとおりとなっております。
0102010_001.png
(NAVの算定方法)
全体のNAVは各事業において算定されたNAVを積み上げた金額から、Net Cashを控除して算定しております。各事業のNAVは各々の特性に即していると考えられる算定方法を個別に採用し算定しております。各事業及びNet Cashの算定方法は次のとおりであります。
・ベンチャー投資、事業投資
投資先が上場銘柄の場合、連結会計年度末の投資先の時価総額に当社の投資持分を乗じた金額を、連結会計年度末のNAVとしております。また、投資先が未上場銘柄の場合、当該投資先が直近で資金調達を行った価格(直近ファイナンス価格)や、第三者間で株式等の取引が行われた際の価格(第三者取引価格)がある場合、連結会計年度末時点の投資簿価残高に当該評価差額を加減しております。なお、未上場銘柄のうち、先述の直近ファイナンス価格や第三者取引価格が存在しない投資先については、再評価を実施せず、投資簿価残高を連結会計年度末のNAVとしております。
・戦略コンサルティング
戦略コンサルティングは、直近5期において事業から生み出された税引き後利益の平均値に、同業他社のPERを乗じた金額を連結会計年度末のNAVとしております。
・Net Cash
各連結会計年度末の、事業投資先を除く現金及び預金残高から有利子負債残高を控除しております。
当社及び当社グループの当連結会計年度末のNAVは、全体で301億円と前年同期と比べて58億円(23.8%)と大幅に増加しました。なお、NAVの増減の詳細については、次のとおりであります。
(事業投資)
当連結会計年度末のNAVは、135億円と前年同期と比べ98億円(264.8%)の増加となりました。主なNAVの増加要因は、アイペット損害保険株式会社のマザーズ上場に伴う価値の顕在化(94億円増)及び新規事業投資先として株式会社ワークスタイルラボを完全子会社化したこと(5億円増)によるものです。一方、DI Asiaは通期黒字には至らず、1.5億円の減損を実施いたしました。
(戦略コンサルティング)
当連結会計年度末のNAVは、101億円と前年同期に比べ26億円(20.4%)の減少となりました。主なNAVの減少要因は、特定大口顧客の発注方針による売上減少であります。なお、その他の案件は順調に推移しており、新規開拓等によるリカバーを目指しております。
(ベンチャー投資)
当連結会計年度末のNAVは、68億円と前年同期に比べ1.8億円(2.7%)の増加となりました。主なNAVの増加要因は、17社への投資実行及び保有株式等の時価評価に伴う価値の増加によるものであります。
(Net Cash)
当連結会計年度末のNet Cash残高は、△4億円と前年同期に比べ15億円の減少となりました。主なNet Cashの減少要因は、事業投資及びベンチャー投資における投資実行(21億円減)及び新規借入に伴う有利子負債残高の増加(13億円減)によるものであります。
(NAVの推移)
0102010_002.png
0102010_003.png
(来期の見通し)
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