有価証券報告書-第20期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)

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2019/03/29 10:07
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98項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社2社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の概要
当社グループ(当社及び連結子会社2社)は当連結会計年度において、HGF遺伝子治療薬を中心とする遺伝子医薬品の研究開発を進めるとともに、戦略的提携先との共同開発を進めるなど、将来の成長を見据えた事業の深化を図ってまいりました。
当連結会計年度の事業収益は6億10百万円(前年同期比2億44百万円(+67.1%)の増収)となりました。商品売上高が3億82百万円(前年同期比17百万円(+4.9%)の増収)、研究開発事業収益が2億27百万円(前年同期比2億27百万円(+1796.2%)の増収)となっております。
当連結会計年度における事業費用は、36億75百万円(前年同期比21百万円(+0.6%)の増加)となりました。売上原価は、1億88百万円(前年同期比10百万円(+5.7%)の増加)となりました。研究開発費は25億39百万円(前年同期比60百万円(△2.3%)の減少)、販売費及び一般管理費は9億47百万円(前年同期比71百万円(+8.2%)の増加)となりました。
この結果、当連結会計年度の営業損失は30億65百万円(前年同期の営業損失は32億88百万円)となり、前年同期より2億23百万円損失が縮小しております。
当連結会計年度の経常損失は、営業外収益で14百万円を、また営業外費用で45百万円を計上し、30億96百万円(前年同期の経常損失は33億7百万円)となりました。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、特別利益93百万円および法人税額等を計上し、29億96百万円(前年同期の親会社株主に帰属する当期純損失は37億64百万円)となりました。
当連結会計年度末の総資産は80億50百万円(前連結会計年度末比40億87百万円の増加)となりました。新株予約権の発行及び行使に伴う73億23百万円の入金はありましたが、当期事業費用への充当により、現金及び預金の増加は46億37百万円となっております。一方、主に原材料の評価替及び廃棄に伴い、原材料及び貯蔵品が5億19百万円減少しております。これにより、流動資産は41億8百万円の増加となりました。
有形固定資産においては、東京支社の移転に伴い、建物が43百万円、工具、器具及び備品が4百万円増加しております。
投資その他の資産においては、保有する有価証券の売却及び評価額の下落に伴い、投資有価証券が69百万円減少しております。
当連結会計年度末の負債は3億16百万円(前連結会計年度末比25百万円の減少)となりました。主に「ナグラザイム®」の仕入額の支払により、買掛金が88百万円減少しております。法人事業税の資本割額の増加に伴い、未払法人税等が41百万円増加しております。
純資産は77億34百万円(前連結会計年度末比41億12百万円の増加)となりました。新株予約権の行使により、資本金及び資本剰余金がそれぞれ37億37百万円増加しております。保有する有価証券の評価額の下落に伴い、その他有価証券評価差額金が1億67百万円減少しております。親会社株主に帰属する当期純損失29億96百万円の計上により、利益剰余金が減少しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ46億37百万円増加し、57億84百万円となりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の減少は、25億22百万円(前年同期は29億91百万円の減少)となりました。たな卸資産が5億65百万円減少しましたが、税金等調整前当期純損失30億3百万円に加え、売上債権が1億14百万円増加、仕入債務が87百万円減少しております。その結果、前年同期と比べ、4億68百万円の支出減少となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、1億22百万円(前年同期は2億27百万円の増加)となりました。投資有価証券の取得による支出1億19百万円が発生しております。東京支社の移転により、有形固定資産の取得による支出50百万円、敷金及び保証金の差入による支出51百万円、敷金及び保証金の戻入による収入45百万円が発生しております。保有する株式を売却したことに伴い、投資有価証券の売却による収入53百万円が発生しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、72億83百万円(前年同期は29億16百万円の増加)となりました。新株予約権の発行による収入が64百万円、新株予約権の行使による株式の発行による収入が72億18百万円発生しております。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(千円)前年同期比(%)
医薬品142,5513.8
合計142,5513.8

(注) 1 金額は仕入価格によっております。
2 金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
医薬品382,8474.9
合計382,8474.9

(注) 金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
医薬品610,05067.1
合計610,05067.1

(注) 1 金額には、消費税等は含まれておりません。
2 当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、非臨床試験データを販売したことによるものです。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
A社227,20337.2
ティーエスアルフレッサ株式会社179,32649.1196,40432.2
アルフレッサ株式会社185,73050.9186,44230.6

(注)当社とA社との契約においては、 秘密保持条項が存在するため、社名の公表は控えさせて頂きます。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、本報告書「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。連結財務諸表及び注記事項等の作成上、必要な会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループ(当社及び連結子会社2社)は当連結会計年度において、HGF遺伝子治療薬を中心とする遺伝子医薬品の研究開発を進めるとともに、戦略的提携先との共同開発を進めるなど、将来の成長を見据えた事業の深化を図ってまいりました。
当連結会計年度の事業収益は6億10百万円(前年同期比2億44百万円(+67.1%)の増収)となりました。当社グループでは、提携企業からの契約一時金、開発協力金を、研究開発事業収益に計上しております。また、ムコ多糖症Ⅵ型治療薬「ナグラザイム®」の販売収入につきまして、商品売上高に計上しております。
当連結会計年度においては、商品売上高が3億82百万円(前年同期比17百万円(+4.9%)の増収)、研究開発事業収益が2億27百万円(前年同期比2億27百万円(+1796.2%)の増収)となっております。
当連結会計年度における事業費用は、36億75百万円(前年同期比21百万円(+0.6%)の増加)となりました。当連結会計年度における売上原価は、1億88百万円(前年同期比10百万円(+5.7%)の増加)となりました。これは、商品売上高の増加に伴うものです。
当連結会計年度における研究開発費は25億39百万円(前年同期比60百万円(△2.3%)の減少)となりました。主にHGF遺伝子治療薬の国際共同第Ⅲ相臨床試験にかかる費用が減少したことにより、外注費が1億96百万円減少しております。主に子会社の人員の減少により、給料及び手当が1億19百万円減少しております。前年同期においては従業員に対する株式報酬型ストック・オプション(新株予約権)の付与により株式報酬1億68百万円を計上しておりましたが、当期においては計上しておりません。一方、原材料の評価替及び廃棄に伴い、研究用材料費が4億3百万円増加いたしました。当社グループのような研究開発型バイオベンチャー企業にとって研究開発は生命線でありますので、提携戦略により財務リスクの低減を図りながら、今後も研究開発投資を行っていく予定です。研究開発の詳細については、本報告書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 5 研究開発活動」をご参照ください。
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は9億47百万円(前年同期比71百万円(+8.2%)の増加)となりました。コンサルティング費用の増加により支払手数料が53百万円、東京支社の移転による什器備品等の購入により消耗品費が26百万円、法人事業税の資本割額の増加により租税公課が50百万円増加しております。一方、前年同期においては従業員に対する株式報酬型ストック・オプションの付与により株式報酬98百万円を計上しておりましたが、当期においては取締役に対する株式報酬型ストック・オプションの付与による株式報酬18百万円を計上しております。
この結果、当連結会計年度の営業損失は30億65百万円(前年同期の営業損失は32億88百万円)となり、前年同期より2億23百万円損失が縮小しております。
当連結会計年度の経常損失は、30億96百万円(前年同期の経常損失は33億7百万円)となりました。公益財団法人大阪産業振興機構より助成金を受領したことに伴い、補助金収入3百万円が発生しております。前年同期においては新株予約権の行使による株式の発行に伴い、株式交付費が25百万円発生しておりましたが、当連結会計年度においては42百万円となっております。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、29億96百万円(前年同期の親会社株主に帰属する当期純損失は37億64百万円)となりました。保有する有価証券の売却に伴い、投資有価証券売却益が31百万円発生しております。退職及び権利行使期間満了によるストック・オプションの権利失効に伴い、新株予約権戻入益62百万円が発生しております。前年同期においては、減損損失1億12百万円、投資有価証券評価損4億76百万円が発生しておりましたが、当連結会計年度において特別損失は発生しておりません。米国子会社の試験研究促進税制による法人税等還付税額を11百万円計上いたしました。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの事業活動における資金需要は、プロジェクト推進のための研究開発費需要と会社運営のための運転資金需要があります。これらの資金需要に対して、主に新株予約権によるエクイティファイナンスによって資金調達を行っております。
(3) 事業等のリスクに記載した重要事象等についての分析・検討及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対応策
医薬品事業は、製品化までに多額の資金と長い時間を要する等の特性があり、創薬ベンチャーである当社グループにおいては、継続的な営業損失の発生及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上している状況にあります。そのため、一部のプロジェクトにおいては提携先を確保し、開発協力金等を得ることにより開発資金の低減に努めているほか、ムコ多糖症Ⅵ型治療薬「ナグラザイム®」の販売を行っておりますが、すべての開発投資を補うに足る収益は生じておりません。そのため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
当社グループは当該状況を解消すべく、以下の諸施策に取り組んでおります。
①自社既存プロジェクトの推進と事業基盤の拡大
当社グループは重症虚血肢を対象としたHGF遺伝子治療薬、椎間板性腰痛症向けの核酸医薬(NF-κBデコイオリゴDNA)、高血圧DNAワクチンの3プロジェクトを推進しております。重症虚血肢を対象としたHGF遺伝子治療薬につきましては、厚生労働省に対し製造販売承認申請を行っておりましたが、国内初の遺伝子治療薬として、2019年3月26日に条件及び期限付製造販売承認を取得したことで、販売を開始いたします。今後は本承認取得に向けて更に推進してまいります。また椎間板性腰痛症向けの核酸医薬(NF-κBデコイオリゴDNA)、高血圧DNAワクチンにつきましては臨床試験を開始しており、良好な結果が得られましたら早期に製薬企業等に導出することで契約一時金等の収入や開発費の負担削減を目指してまいります。
これらの既存プロジェクトに加え、ライセンス導入や共同開発、創薬プラットフォーム技術の獲得を目指した事業提携に加え、他社に対する一部資本参加や他社の買収等により開発品パイプラインの拡充による事業基盤の拡大を図り、将来の成長を実現してまいります。
②資金の調達
2018年8月までに、第31回新株予約権(第三者割当て)の全数が行使され50億50百万円の資金調達を行いました。また、三田証券株式会社を割当先とする第33回新株予約権(第三者割当て)の発行により当連結会計年度末までにその一部が行使され28億47百万円を調達いたしました。今後も財務基盤の安定化を図ってまいります。
これら諸施策の実施により、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。