四半期報告書-第21期第1四半期(平成31年1月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/05/13 9:24
【資料】
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【項目】
24項目
(1) 経営成績の分析
当社グループ(当社及び連結子会社2社)は当第1四半期連結累計期間において、HGF遺伝子治療用製品を中心とする遺伝子医薬品の研究開発を進めるとともに、戦略的提携先との共同開発を進めるなど、将来の成長を見据えた事業の深化を図ってまいりました。
当第1四半期連結累計期間の事業収益は75百万円(前年同期比1百万円(2.4%)の増収)となりました。当社グループでは、提携企業からの契約一時金、開発協力金を、研究開発事業収益に計上しております。また、ムコ多糖症Ⅵ型治療薬「ナグラザイム®」の販売収入につきまして、商品売上高に計上しております。
当第1四半期連結累計期間においては、商品売上高が73百万円(前年同期比0百万円(△1.0%)の減収)、研究開発事業収益が2百万円(前年同期比2百万円の増加)となっております。
当第1四半期連結累計期間における事業費用は、9億93百万円(前年同期比3億29百万円(+49.7%)の増加)となりました。売上原価は、35百万円(前年同期比0百万円(△0.5%)の減少)となりました。研究開発費は6億93百万円(前年同期比2億91百万円(+72.3%)の増加)となりました。主に前渡金で計上していた外注試験が終了したことにより、外注費が2億13百万円増加しております。また、原材料の評価替に伴い、研究用材料費が83百万円増加しております。一方で、主に研究所機能の移転に伴う人員の減少により、給料手当が16百万円減少しております。当社グループのような研究開発型バイオベンチャー企業にとって研究開発は生命線でありますので、提携戦略により財務リスクの低減を図りながら、今後も研究開発投資を行っていく予定です。研究開発の詳細については、本報告書「(4) 研究開発活動」をご参照ください。
当第1四半期連結累計期間における販売費及び一般管理費は2億64百万円(前年同期比39百万円(+17.3%)の増加)となりました。主にHGF遺伝子治療用製品の製造販売に向けた準備費用の発生及び新規事業へのコンサルタント契約に伴い、支払手数料が13百万円増加しております。法人事業税の資本割額が増加したことより、租税公課が14百万円増加しております。
この結果、当第1四半期連結累計期間の営業損失は9億18百万円(前年同期の営業損失は5億90百万円)となり、前年同期より3億28百万円損失が拡大しております。
当第1四半期連結累計期間の経常損失は、9億38百万円(前年同期の経常損失は5億87百万円)となりました。投資事業組合で保有する有価証券の時価評価に伴い、投資事業組合運用益が3百万円発生しております。新株予約権の行使に伴う株式交付費が23百万円発生し、前年同期に比べ19百万円増加しております。
当第1四半期連結累計期間の親会社株主に帰属する四半期純損失は、11億83百万円(前年同期の親会社株主に帰属する四半期純損失は5億37百万円)となりました。保有する有価証券の評価額の下落に伴い、投資有価証券評価損が2億43百万円発生しております。前年同期においては、有価証券の売却に伴う投資有価証券売却益31百万円、退職によるストック・オプションの権利失効に伴う新株予約権戻入益21百万円が発生しておりましたが、当期においては発生しておりません。
(2) 財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の総資産は119億35百万円(前連結会計年度末比38億84百万円の増加)となりました。 新株予約権の行使に伴う48億70百万円の入金はありましたが、当期事業費用への充当により、現金及び預金の増加は37億6百万円となっております。前年度の契約一時金が入金されたことにより、売掛金が1億14百万円減少しております。主に原材料の評価替に伴い、原材料及び貯蔵品が1億44百万円減少しております。外注試験が終了し費用に振り替えたことにより、前渡金が2億28百万円減少しております。これにより、流動資産は32億1百万円の増加となりました。
有形固定資産においては、建物が2百万円、工具、器具及び備品が1百万円増加いたしました。また、投資その他の資産においては、主に提携先への投資により、投資有価証券が6億76百万円増加しております
当第1四半期連結会計期間末の負債は2億56百万円(前連結会計年度末比59百万円の減少)となりました。主にHGF遺伝子治療用製品の製造に係る費用及び製造販売の準備に係る費用等の支払により、買掛金が42百万円減少しております。前年度の法人事業税等の支払により、未払法人税等が27百万円減少しております。
純資産は116億78百万円(前連結会計年度末比39億44百万円の増加)となりました。新株予約権の行使により、資本金及び資本剰余金がそれぞれ24億45百万円増加し、新株予約権が13百万円減少しております。保有する有価証券の評価差額を特別損失に計上したことに伴い、その他有価証券評価差額金が2億50百万円増加しております。親会社株主に帰属する四半期純損失11億83百万円の計上により、利益剰余金が減少しております。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更、及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は6億93百万円であります。
当社グループでは、以下のプロジェクトを中心に研究開発を進めました。
■HGF遺伝子治療用製品(一般名:ベペルミノゲンペルプラスミド、開発コード:AMG0001)(自社品)
⦅対象疾患:重症虚血肢⦆
重症虚血肢を対象疾患としたHGF遺伝子治療用製品の開発については、条件及び期限付承認制度(2014年11月に施行された「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」で導入された再生医療等製品の早期実用化を目指した新しい承認制度)を活用し、2018年1月に厚生労働省に対し再生医療等製品の製造販売承認申請を行っておりましたが、2019年3月26日に国内初の遺伝子治療用製品として、条件及び期限付製造販売承認を取得いたしました。
海外での開発については、2016年6月に決定した開発計画の変更に基づき、米国での新試験計画の策定を進めております。
なお、日本国内及び米国におけるHGF遺伝子治療用製品の末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権の許諾について、田辺三菱製薬株式会社と契約を締結しております。また、2019年2月にイスラエルにおけるHGF遺伝子治療用製品の独占的販売権の許諾について同国Kamada社と基本合意書を締結しております。
■NF-κBデコイオリゴDNA
⦅対象疾患:椎間板性腰痛症(開発コード:AMG0103) (自社品)⦆
NF-κBデコイオリゴDNAについては椎間板性腰痛症を含む腰痛疾患を適応症とした開発を進めています。当社は、2017年4月に米国FDAから新薬臨床試験開始届け(IND)の承認を受け、2018年2月より第Ⅰb相臨床試験を実施、現在当初計画より若干の遅れがあるものの特段の問題なく患者登録中です。
⦅その他⦆
デコイオリゴDNAのその他の開発については、これまでNF-κBデコイオリゴDNAの次世代型デコイの研究を行ってきましたが、NF-κBとSTAT6という2つの転写因子を同時に抑制する働きを持った「キメラデコイ」の開発を進めております。NF-κBのみをターゲットとした従来のデコイに比べ、炎症を抑える効果が格段に高いことが期待されます。
■高血圧DNAワクチン(開発コード:AGMG0201)(自社品)
当社は、遺伝子治療薬、核酸医薬につづく遺伝子医薬の第三の事業として、DNAワクチンの開発を手がけており、最初の開発品として高血圧DNAワクチンの開発を進めています。当社は、2017年7月にオーストラリア規制当局(TGA)に治験届け(CTN)を提出、2018年4月より第Ⅰ/Ⅱ相試験を実施、現在特段の問題なく計画通りに患者登録中です。
■バイカル社との戦略的な事業協力
当社は、2016年12月にバイカル社と戦略的事業提携を締結し、共同開発を進めていくことで合意しています。本戦略的提携に基づく最初の具体案件として、2017年4月に慢性B型肝炎の完治を目指した遺伝子治療薬を共同開発することで合意、契約締結したことを発表いたしました。同契約において当社は、日本における開発・販売権を対象とした優先交渉権を獲得しております。
■Vasomune社との提携
当社は、2018年7月にVasomune社と全世界を対象とした、急性呼吸不全など血管の不全を原因とする疾患を対象とした医薬品に関する共同開発に合意、契約締結したことを発表いたしました。現在、非臨床段階の共同開発を進めております。
医薬品・医療機器の開発の状況
(自社品)
区分製品名/プロジェクト適応症地域開発段階主な提携先


HGF遺伝子治療用製品重症虚血肢
(閉塞性動脈硬化症及びバージャー病)
日本条件及び期限付製造販売承認取得田辺三菱製薬株式会社
(販売権供与)
米国試験計画中田辺三菱製薬株式会社
(販売権供与)
NF-κBデコイオリゴDNA椎間板性腰痛症第Ⅰb相試験
(米国)
未定
高血圧DNAワクチン高血圧症第Ⅰ/Ⅱ相試験
(オーストラリア)
未定



(5) 事業のリスクに記載した重要事象等についての分析及び改善するための対応方法
医薬品事業は、製品化までに多額の資金と長い時間を要する等の特性があり、創薬ベンチャーである当社グループにおいては、継続的な営業損失の発生及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上している状況にあります。そのため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
当社グループは当該状況を解消すべく、以下の諸施策に取り組んでおります。
①自社既存プロジェクトの推進と事業基盤の拡大
当社グループは重症虚血肢を対象としたHGF遺伝子治療用製品、椎間板性腰痛症向けの核酸医薬(NF-κBデコイオリゴDNA)、高血圧DNAワクチンの3プロジェクトを推進しております。HGF遺伝子治療用製品は国内初の遺伝子治療用製品として、2019年3月26日に条件及び期限付製造販売承認を取得したことで、各種手続きの完了後販売を開始いたします。また椎間板性腰痛症向けの核酸医薬(NF-κBデコイオリゴDNA)、高血圧DNAワクチンにつきましては臨床試験を開始しており、良好な結果が得られましたら早期に製薬企業等に導出することで契約一時金等の収入や開発費の負担削減を目指してまいります。
これらの既存プロジェクトに加え、ライセンス導入や共同開発、創薬プラットフォーム技術の獲得を目指した事業提携に加え、他社に対する一部資本参加や他社の買収等により開発品パイプラインの拡充による事業基盤の拡大を図り、将来の成長を実現してまいります。
②資金の調達
2018年10月11日に発行した三田証券株式会社を割当先とする第33回新株予約権(第三者割当て)について当第1四半期連結会計期間において48億70百万円(発行日からの累計は77億18百万円)を調達いたしました。今後も財務基盤の安定化を図ってまいります。
これら諸施策の実施により、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。