四半期報告書-第21期第3四半期(令和1年7月1日-令和1年9月30日)
(1) 経営成績の分析
当社グループ(当社及び連結子会社1社)は当第3四半期連結累計期間において、HGF遺伝子治療用製品を中心とする遺伝子医薬品の研究開発を進めるとともに、戦略的提携先との共同開発を進めるなど、将来の成長を見据えた事業の深化を図ってまいりました。
当第3四半期連結累計期間の事業収益は3億23百万円(前年同期比47百万円(+17.2%)の増収)となりました。当社グループでは、提携企業からの契約一時金及び開発協力金を、研究開発事業収益に計上しております。また、ムコ多糖症Ⅵ型治療薬「ナグラザイム®」の販売収入につきまして、商品売上高に計上しております。当第3四半期連結累計期間よりHGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®筋注用4mg(以下「コラテジェン®」といいます。)」の販売を開始し、製品売上高に計上しております。
当第3四半期連結累計期間においては、商品売上高が1億70百万円(前年同期比1億6百万円(△38.5%)の減収)、製品売上高が1百万円(前年同期比1百万円(-%)の増収)、研究開発事業収益が1億52百万円(前年同期比1億52百万円(-%)の増収)となっております。HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」の販売開始により、製品売上高及びマイルストーン収入が計上されております。なお、第2四半期連結累計期間をもって、ムコ多糖症Ⅵ型治療薬「ナグラザイム®」の販売は終了いたしました。
当第3四半期連結累計期間における事業費用は、26億82百万円(前年同期比1億64百万円(+6.5%)の増加)となりました。当第3四半期連結累計期間における売上原価は、84百万円(前年同期比50百万円(△37.5%)の減少)となりました。これは、ムコ多糖症Ⅵ型治療薬「ナグラザイム®」の販売が終了したことによるものです。研究開発費は15億87百万円(前年同期比62百万円(△3.8%)の減少)となりました。原材料の評価替及び臨床試験への使用に伴い、研究用材料費が75百万円増加しております。一方で、主に海外提携先との共同開発費用の減少等により、外注費が1億20百万円減少しております。当社グループのような研究開発型バイオベンチャー企業にとって研究開発は生命線でありますので、提携戦略により財務リスクの低減を図りながら、今後も研究開発投資を行っていく予定です。研究開発の詳細については、本報告書「(4) 研究開発活動」をご参照ください。
当第3四半期連結累計期間における販売費及び一般管理費は10億10百万円(前年同期比2億76百万円(+37.8%)の増加)となりました。主にHGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」の販売に向けた費用の発生及び新規事業へのコンサルタント契約に伴い、支払手数料が1億16百万円増加しております。ストック・オプションの付与により、株式報酬が61百万円増加しております。法人事業税の資本割額が増加したことより、租税公課が42百万円増加しております。
この結果、当第3四半期連結累計期間の営業損失は23億58百万円(前年同期の営業損失は22億42百万円)となり、前年同期より1億16百万円損失が拡大しております。
当第3四半期連結累計期間の経常損失は、23億85百万円(前年同期の経常損失は22億59百万円)となりました。主に外貨普通預金の評価替により、為替差益が8百万円発生しております。新株予約権の行使に伴う株式交付費が41百万円発生し、前年同期に比べ17百万円増加しております。
当第3四半期連結累計期間の親会社株主に帰属する四半期純損失は、27億70百万円(前年同期の親会社株主に帰属する四半期純損失は22億2百万円)となりました。保有する有価証券の評価額の下落に伴い、投資有価証券評価損が3億84百万円発生しております。前年同期においては、有価証券の売却に伴う投資有価証券売却益31百万円が発生しておりましたが、当期においては発生しておりません。また、退職によるストック・オプションの権利失効に伴う新株予約権戻入益8百万円が発生し、前年同期と比べて24百万円減少しております。
(2) 財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の総資産は133億60百万円(前連結会計年度末比53億9百万円の増加)となりました。
新株予約権の行使に伴う77億18百万円の入金はありましたが、当期事業費用への充当により、現金及び預金の増加は49億87百万円となっております。ムコ多糖症Ⅵ型治療薬「ナグラザイム®」の販売が終了し、商品売上高にかかる売掛金が入金されたことにより、売掛金が70百万円減少しております。主に原材料の評価替及び臨床試験への使用に伴い、原材料及び貯蔵品が3億2百万円減少しております。外注試験が終了し費用に振り替えたことにより、前渡金が2億33百万円減少しております。これにより、流動資産は43億60百万円の増加となりました。
固定資産においては、投資その他の資産が、今後の成長に向けた開発品パイプラインのさらなる拡充を目指して Emendo Biotherapeutics 社及び MyBiotics Pharma社への投資等により、投資有価証券が9億44百万円増加しております。
当第3四半期連結会計期間末の負債は3億67百万円(前連結会計年度末比51百万円の増加)となりました。主に海外提携先との研究開発費用等の計上により、買掛金が30百万円増加しております。HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」の販売に向けた費用の計上により、未払金が12百万円増加しております。
純資産は129億92百万円(前連結会計年度末比52億58百万円の増加)となりました。新株予約権の行使により、資本金及び資本剰余金がそれぞれ38億96百万円増加しております。保有する有価証券の評価差額を特別損失に計上したことに伴い、その他有価証券評価差額金が2億24百万円増加しております。親会社株主に帰属する四半期純損失27億70百万円の計上により、利益剰余金が減少しております。ストック・オプションの付与により、新株予約権が16百万円増加しております。
(3) 対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更、及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は15億87百万円であります。
当社グループでは、以下のプロジェクトを中心に研究開発を進めました。
■HGF遺伝子治療用製品(一般名:ベペルミノゲンペルプラスミド、開発コード:AMG0001)(自社品)
⦅対象疾患:重症虚血肢⦆
重症虚血肢を対象疾患としたHGF遺伝子治療用製品の開発については、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」により再生医療等製品の早期実用化を目的とした「条件及び期限付承認制度」(2014年11月施行)を活用し、2018年1月に厚生労働省に対し再生医療等製品の製造販売承認申請を行い、2019年3月に国内初の遺伝子治療用製品「コラテジェン®」として、慢性動脈閉塞症の潰瘍の改善の効能効果で条件及び期限付承認を取得し、9月10日より発売を開始いたしました。
田辺三菱製薬株式会社(以下「田辺三菱製薬})と当社は、HGF 遺伝子治療用製品「コラテジェン®」の販売に関し、日本国内及び米国における末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権許諾契約を締結しており、田辺三菱製薬が販売を担当いたします。今回の承認は、条件及び期限付であり、製造販売後承認条件評価を5年以内に行い、承認条件解除することを計画しております。
また、この「コラテジェン®」の適応拡大を目的として、慢性動脈閉塞症の安静時疼痛を有する患者を対象にした第Ⅲ相臨床試験を開始致します。試験期間は約2年間で、症例数は約40例を予定しています。
海外での開発については、2016年6月に決定した開発計画の変更に基づき、米国での新試験計画の策定を進めております。
また、2019年2月にイスラエルにおけるHGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」の独占的販売権の許諾について同国Kamada社と基本合意書を締結しております。
■NF-κBデコイオリゴDNA
⦅対象疾患:椎間板性腰痛症(開発コード:AMG0103) (自社品)⦆
NF-κBデコイオリゴDNAについては椎間板性腰痛症を含む腰痛疾患を適応症とした開発を進めています。当社は、2017年4月に米国FDAから新薬臨床試験開始届け(IND)の承認を受け、2018年2月より第Ⅰb相臨床試験を実施、現在当初計画より若干の遅れがあるものの特段の問題なく患者登録中です。
⦅その他⦆
デコイオリゴDNAのその他の開発については、これまでNF-κBデコイオリゴDNAの次世代型デコイの研究を行ってきましたが、NF-κBとSTAT6という2つの転写因子を同時に抑制する働きを持った「キメラデコイ」の開発を進めております。NF-κBのみをターゲットとした従来のデコイに比べ、炎症を抑える効果が格段に高いことが期待されます。
■高血圧DNAワクチン(開発コード:AGMG0201)(自社品)
当社は、遺伝子治療用製品、核酸医薬につづく遺伝子医薬の第三の事業として、DNAワクチンの開発を手がけており、最初の開発品として高血圧DNAワクチンの開発を進めています。当社は、2017年7月にオーストラリア規制当局(TGA)に治験届け(CTN)を提出、2018年4月より第Ⅰ/Ⅱ相試験を実施、現在特段の問題なく計画通りに患者登録中です。
■バイカル社との戦略的な事業協力
当社は、2016年12月にバイカル社と戦略的事業提携を締結し、共同開発を進めていくことで合意しています。本戦略的提携に基づく最初の具体案件として、2017年4月に慢性B型肝炎の完治を目指した遺伝子治療薬を共同開発することで合意、契約締結したことを発表いたしました。同契約において当社は、日本における開発・販売権を対象とした優先交渉権を獲得しております。
なお、バイカル社は2019年8月にBrickell Biotech社との合併契約を締結し、合併後の新社名はBrickell Biotech社となりました。現在当社への影響を精査中です。
■Vasomune社との提携
当社は、2018年7月にVasomune社と全世界を対象とした、急性呼吸不全など血管の不全を原因とする疾患を対象とした医薬品に関する共同開発に合意、契約締結したことを発表いたしました。現在、非臨床段階の共同開発を進めております。
医薬品・医療機器の開発の状況
(自社品)
(5) 事業のリスクに記載した重要事象等についての分析及び改善するための対応方法
医薬品事業は、製品化までに多額の資金と長い時間を要する等の特性があり、創薬ベンチャーである当社グループにおいては、継続的な営業損失の発生及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上している状況にあります。そのため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
当社グループは当該状況を解消すべく、以下の諸施策に取り組んでおります。
①自社既存プロジェクトの推進と事業基盤の拡大
当社グループは重症虚血肢を対象としたHGF遺伝子治療用製品、椎間板性腰痛症向けの核酸医薬(NF-κBデコイオリゴDNA)、高血圧DNAワクチンの3プロジェクトを推進しております。HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」は国内初の遺伝子治療用製品として、2019年3月に条件及び期限付製造販売承認を取得し、9月10日より販売を開始いたしました。また椎間板性腰痛症向けの核酸医薬(NF-κBデコイオリゴDNA)、高血圧DNAワクチンにつきましては臨床試験を開始しており、良好な結果が得られましたら早期に製薬企業等に導出することで契約一時金等の収入や開発費の負担削減を目指してまいります。
これらの既存プロジェクトに加え、ライセンス導入や共同開発、創薬プラットフォーム技術の獲得を目指した事業提携に加え、他社に対する一部資本参加や他社の買収等により開発品パイプラインの拡充による事業基盤の拡大を図り、将来の成長を実現してまいります。
②資金の調達
2018年10月11日に発行した三田証券株式会社を割当先とする第33回新株予約権(第三者割当て)について2019年5月までに全数が行使され、当第3四半期連結累計期間において77億18百万円(発行日からの累計で105億66百万円)を調達いたしました。今後も財務基盤の安定化を図ってまいります。
これら諸施策の実施により、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
当社グループ(当社及び連結子会社1社)は当第3四半期連結累計期間において、HGF遺伝子治療用製品を中心とする遺伝子医薬品の研究開発を進めるとともに、戦略的提携先との共同開発を進めるなど、将来の成長を見据えた事業の深化を図ってまいりました。
当第3四半期連結累計期間の事業収益は3億23百万円(前年同期比47百万円(+17.2%)の増収)となりました。当社グループでは、提携企業からの契約一時金及び開発協力金を、研究開発事業収益に計上しております。また、ムコ多糖症Ⅵ型治療薬「ナグラザイム®」の販売収入につきまして、商品売上高に計上しております。当第3四半期連結累計期間よりHGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®筋注用4mg(以下「コラテジェン®」といいます。)」の販売を開始し、製品売上高に計上しております。
当第3四半期連結累計期間においては、商品売上高が1億70百万円(前年同期比1億6百万円(△38.5%)の減収)、製品売上高が1百万円(前年同期比1百万円(-%)の増収)、研究開発事業収益が1億52百万円(前年同期比1億52百万円(-%)の増収)となっております。HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」の販売開始により、製品売上高及びマイルストーン収入が計上されております。なお、第2四半期連結累計期間をもって、ムコ多糖症Ⅵ型治療薬「ナグラザイム®」の販売は終了いたしました。
当第3四半期連結累計期間における事業費用は、26億82百万円(前年同期比1億64百万円(+6.5%)の増加)となりました。当第3四半期連結累計期間における売上原価は、84百万円(前年同期比50百万円(△37.5%)の減少)となりました。これは、ムコ多糖症Ⅵ型治療薬「ナグラザイム®」の販売が終了したことによるものです。研究開発費は15億87百万円(前年同期比62百万円(△3.8%)の減少)となりました。原材料の評価替及び臨床試験への使用に伴い、研究用材料費が75百万円増加しております。一方で、主に海外提携先との共同開発費用の減少等により、外注費が1億20百万円減少しております。当社グループのような研究開発型バイオベンチャー企業にとって研究開発は生命線でありますので、提携戦略により財務リスクの低減を図りながら、今後も研究開発投資を行っていく予定です。研究開発の詳細については、本報告書「(4) 研究開発活動」をご参照ください。
当第3四半期連結累計期間における販売費及び一般管理費は10億10百万円(前年同期比2億76百万円(+37.8%)の増加)となりました。主にHGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」の販売に向けた費用の発生及び新規事業へのコンサルタント契約に伴い、支払手数料が1億16百万円増加しております。ストック・オプションの付与により、株式報酬が61百万円増加しております。法人事業税の資本割額が増加したことより、租税公課が42百万円増加しております。
この結果、当第3四半期連結累計期間の営業損失は23億58百万円(前年同期の営業損失は22億42百万円)となり、前年同期より1億16百万円損失が拡大しております。
当第3四半期連結累計期間の経常損失は、23億85百万円(前年同期の経常損失は22億59百万円)となりました。主に外貨普通預金の評価替により、為替差益が8百万円発生しております。新株予約権の行使に伴う株式交付費が41百万円発生し、前年同期に比べ17百万円増加しております。
当第3四半期連結累計期間の親会社株主に帰属する四半期純損失は、27億70百万円(前年同期の親会社株主に帰属する四半期純損失は22億2百万円)となりました。保有する有価証券の評価額の下落に伴い、投資有価証券評価損が3億84百万円発生しております。前年同期においては、有価証券の売却に伴う投資有価証券売却益31百万円が発生しておりましたが、当期においては発生しておりません。また、退職によるストック・オプションの権利失効に伴う新株予約権戻入益8百万円が発生し、前年同期と比べて24百万円減少しております。
(2) 財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の総資産は133億60百万円(前連結会計年度末比53億9百万円の増加)となりました。
新株予約権の行使に伴う77億18百万円の入金はありましたが、当期事業費用への充当により、現金及び預金の増加は49億87百万円となっております。ムコ多糖症Ⅵ型治療薬「ナグラザイム®」の販売が終了し、商品売上高にかかる売掛金が入金されたことにより、売掛金が70百万円減少しております。主に原材料の評価替及び臨床試験への使用に伴い、原材料及び貯蔵品が3億2百万円減少しております。外注試験が終了し費用に振り替えたことにより、前渡金が2億33百万円減少しております。これにより、流動資産は43億60百万円の増加となりました。
固定資産においては、投資その他の資産が、今後の成長に向けた開発品パイプラインのさらなる拡充を目指して Emendo Biotherapeutics 社及び MyBiotics Pharma社への投資等により、投資有価証券が9億44百万円増加しております。
当第3四半期連結会計期間末の負債は3億67百万円(前連結会計年度末比51百万円の増加)となりました。主に海外提携先との研究開発費用等の計上により、買掛金が30百万円増加しております。HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」の販売に向けた費用の計上により、未払金が12百万円増加しております。
純資産は129億92百万円(前連結会計年度末比52億58百万円の増加)となりました。新株予約権の行使により、資本金及び資本剰余金がそれぞれ38億96百万円増加しております。保有する有価証券の評価差額を特別損失に計上したことに伴い、その他有価証券評価差額金が2億24百万円増加しております。親会社株主に帰属する四半期純損失27億70百万円の計上により、利益剰余金が減少しております。ストック・オプションの付与により、新株予約権が16百万円増加しております。
(3) 対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更、及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は15億87百万円であります。
当社グループでは、以下のプロジェクトを中心に研究開発を進めました。
■HGF遺伝子治療用製品(一般名:ベペルミノゲンペルプラスミド、開発コード:AMG0001)(自社品)
⦅対象疾患:重症虚血肢⦆
重症虚血肢を対象疾患としたHGF遺伝子治療用製品の開発については、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」により再生医療等製品の早期実用化を目的とした「条件及び期限付承認制度」(2014年11月施行)を活用し、2018年1月に厚生労働省に対し再生医療等製品の製造販売承認申請を行い、2019年3月に国内初の遺伝子治療用製品「コラテジェン®」として、慢性動脈閉塞症の潰瘍の改善の効能効果で条件及び期限付承認を取得し、9月10日より発売を開始いたしました。
田辺三菱製薬株式会社(以下「田辺三菱製薬})と当社は、HGF 遺伝子治療用製品「コラテジェン®」の販売に関し、日本国内及び米国における末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権許諾契約を締結しており、田辺三菱製薬が販売を担当いたします。今回の承認は、条件及び期限付であり、製造販売後承認条件評価を5年以内に行い、承認条件解除することを計画しております。
また、この「コラテジェン®」の適応拡大を目的として、慢性動脈閉塞症の安静時疼痛を有する患者を対象にした第Ⅲ相臨床試験を開始致します。試験期間は約2年間で、症例数は約40例を予定しています。
海外での開発については、2016年6月に決定した開発計画の変更に基づき、米国での新試験計画の策定を進めております。
また、2019年2月にイスラエルにおけるHGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」の独占的販売権の許諾について同国Kamada社と基本合意書を締結しております。
■NF-κBデコイオリゴDNA
⦅対象疾患:椎間板性腰痛症(開発コード:AMG0103) (自社品)⦆
NF-κBデコイオリゴDNAについては椎間板性腰痛症を含む腰痛疾患を適応症とした開発を進めています。当社は、2017年4月に米国FDAから新薬臨床試験開始届け(IND)の承認を受け、2018年2月より第Ⅰb相臨床試験を実施、現在当初計画より若干の遅れがあるものの特段の問題なく患者登録中です。
⦅その他⦆
デコイオリゴDNAのその他の開発については、これまでNF-κBデコイオリゴDNAの次世代型デコイの研究を行ってきましたが、NF-κBとSTAT6という2つの転写因子を同時に抑制する働きを持った「キメラデコイ」の開発を進めております。NF-κBのみをターゲットとした従来のデコイに比べ、炎症を抑える効果が格段に高いことが期待されます。
■高血圧DNAワクチン(開発コード:AGMG0201)(自社品)
当社は、遺伝子治療用製品、核酸医薬につづく遺伝子医薬の第三の事業として、DNAワクチンの開発を手がけており、最初の開発品として高血圧DNAワクチンの開発を進めています。当社は、2017年7月にオーストラリア規制当局(TGA)に治験届け(CTN)を提出、2018年4月より第Ⅰ/Ⅱ相試験を実施、現在特段の問題なく計画通りに患者登録中です。
■バイカル社との戦略的な事業協力
当社は、2016年12月にバイカル社と戦略的事業提携を締結し、共同開発を進めていくことで合意しています。本戦略的提携に基づく最初の具体案件として、2017年4月に慢性B型肝炎の完治を目指した遺伝子治療薬を共同開発することで合意、契約締結したことを発表いたしました。同契約において当社は、日本における開発・販売権を対象とした優先交渉権を獲得しております。
なお、バイカル社は2019年8月にBrickell Biotech社との合併契約を締結し、合併後の新社名はBrickell Biotech社となりました。現在当社への影響を精査中です。
■Vasomune社との提携
当社は、2018年7月にVasomune社と全世界を対象とした、急性呼吸不全など血管の不全を原因とする疾患を対象とした医薬品に関する共同開発に合意、契約締結したことを発表いたしました。現在、非臨床段階の共同開発を進めております。
医薬品・医療機器の開発の状況
(自社品)
区分 | 製品名/プロジェクト | 適応症 | 地域 | 開発段階 | 主な提携先 |
医 薬 品 | HGF遺伝子治療用製品 | 重症虚血肢 (閉塞性動脈硬化症及びバージャー病) | 日本 | 条件及び期限付製造販売承認を取得し販売開始 | 田辺三菱製薬株式会社 (販売権供与) |
米国 | 試験計画中 | 田辺三菱製薬株式会社 (販売権供与) | |||
NF-κBデコイオリゴDNA | 椎間板性腰痛症 | 第Ⅰb相試験 (米国) | 未定 | ||
高血圧DNAワクチン | 高血圧症 | 第Ⅰ/Ⅱ相試験 (オーストラリア) | 未定 |
(5) 事業のリスクに記載した重要事象等についての分析及び改善するための対応方法
医薬品事業は、製品化までに多額の資金と長い時間を要する等の特性があり、創薬ベンチャーである当社グループにおいては、継続的な営業損失の発生及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上している状況にあります。そのため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
当社グループは当該状況を解消すべく、以下の諸施策に取り組んでおります。
①自社既存プロジェクトの推進と事業基盤の拡大
当社グループは重症虚血肢を対象としたHGF遺伝子治療用製品、椎間板性腰痛症向けの核酸医薬(NF-κBデコイオリゴDNA)、高血圧DNAワクチンの3プロジェクトを推進しております。HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」は国内初の遺伝子治療用製品として、2019年3月に条件及び期限付製造販売承認を取得し、9月10日より販売を開始いたしました。また椎間板性腰痛症向けの核酸医薬(NF-κBデコイオリゴDNA)、高血圧DNAワクチンにつきましては臨床試験を開始しており、良好な結果が得られましたら早期に製薬企業等に導出することで契約一時金等の収入や開発費の負担削減を目指してまいります。
これらの既存プロジェクトに加え、ライセンス導入や共同開発、創薬プラットフォーム技術の獲得を目指した事業提携に加え、他社に対する一部資本参加や他社の買収等により開発品パイプラインの拡充による事業基盤の拡大を図り、将来の成長を実現してまいります。
②資金の調達
2018年10月11日に発行した三田証券株式会社を割当先とする第33回新株予約権(第三者割当て)について2019年5月までに全数が行使され、当第3四半期連結累計期間において77億18百万円(発行日からの累計で105億66百万円)を調達いたしました。今後も財務基盤の安定化を図ってまいります。
これら諸施策の実施により、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。