四半期報告書-第8期第1四半期(平成27年4月1日-平成27年6月30日)

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2015/08/07 15:30
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
なお、当第1四半期連結累計期間より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「四半期純利益」を「親会社株主に帰属する四半期純利益」としています。
(1)経営成績の分析
(当第1四半期連結累計期間の概況)
当第1四半期連結累計期間の世界経済は、米国は個人消費を中心に緩やかに景気拡大を続け、雇用、賃金も上昇基調を維持しました。欧州はギリシャ問題を懸念材料としながらも、景況感には持ち直しの兆しが見られましたが、中国では製造業を中心に弱さが見られ、成長が鈍化しました。国内については、円安を背景に企業収益が改善する一方、輸入コストの上昇などがあったものの、大手企業を中心とした賃金上昇機運の高まりから、個人消費には緩やかながら回復傾向が見られました。
こうした状況の下、当社グループにおける当第1四半期連結累計期間の全社売上高は、事業買収効果などもあり、前年同期比で増収となりました。一方、全社損益は、事業売却や為替変動の影響を受けたことなどもあり、光学&オーディオセグメントを除いた全セグメントで減益となり、営業利益は赤字となりました。
なお、当第1四半期連結累計期間の決算に使用した損益為替レートは以下のとおりです。
第1四半期
損益為替レート米ドル
ユーロ
約121円
約134円
前期(参考)米ドル
ユーロ
約102円
約140円

*売上高
当第1四半期連結累計期間における売上高は、事業買収効果などもあり、前年同期比で約8億円増(1.2%増収)となる672億83百万円となりました。
平成27年4月1日付でASKを連結子会社化したことなどから、カーエレクトロニクスセグメントが増収となり、最大市場である北米の業務用無線端末の販売が好調に推移したことなどから、プロフェッショナルシステムセグメントも増収となりました。一方、ディスプレイのブランドライセンスビジネスへのシフトなどにともなって、光学&オーディオセグメントは減収となり、平成27年4月28日付でテイチクの全株式を譲渡した影響から、ソフト&エンターテインメントセグメントも減収となりました。
*営業利益
当第1四半期連結累計期間における営業利益は、事業売却や為替変動の影響を受けたことなどもあり、前年同期比で約14億円減となる10億67百万円の損失となりました。
市販事業が海外販売減の影響を受けたことや、OEM事業で新規受注にともない開発費負担が増加したことなどから、カーエレクトロニクスセグメントは減益となりました。
米国無線子会社の損益が、買収後の新規受注の獲得の遅れやのれん償却費の増加などにより悪化したことなどから、プロフェッショナルシステムセグメントは減益となりました。また、クリエーション(旧ビデオカメラ)事業の損益が、前期に引き続き改善し、黒字化したことなどから、光学&オーディオセグメントは黒字となる一方、事業譲渡による減収の影響からソフト&エンターテインメントセグメントは減益となりました。
*経常利益
当第1四半期連結累計期間における経常利益は、営業利益の減少に加えて、受取配当金が減少したことなどにより営業外損益が悪化したことから、前年同期比で約16億円減となる16億6百万円の損失となりました。
*親会社株主に帰属する四半期純利益
当第1四半期連結累計期間における親会社株主に帰属する四半期純利益は、経常損失は拡大したものの、前期は米国子会社の株式譲渡にともなう関係会社売却損を計上したため、当期は特別損益が改善したことに加え、テイチクの全株式譲渡により税金が減少したことなどから、前年同期比で約3億円の改善となる23億15百万円の損失となりました。
(当第1四半期連結累計期間のセグメントごとの売上高及び損益)
セグメントごとの売上高及び営業利益(△は損失)は以下のとおりです。
なお、セグメントごとの営業利益(△は損失)の合計額は、四半期連結損益計算書の営業利益(△は損失)と一致しています。
セグメントごとの売上高は、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しています。
(単位:百万円)

セグメントの名称当第1四半期
連結累計期間
(参考)
前第1四半期
連結累計期間
前年同期比
カーエレクトロニクスセグメント売上高32,89528,973+3,922
営業利益△808637△1,445
プロフェッショナルシステムセグメント売上高17,57417,201+373
営業利益△741△544△197
光学&オーディオセグメント売上高9,47810,774△1,296
営業利益64△222+286
ソフト&エンターテインメントセグメント売上高5,8217,490△1,669
営業利益251600△349
その他売上高1,5182,064△546
営業利益165△130+295
セグメント間消去売上高△5△2△3
合計売上高67,28366,502+781
営業利益△1,067339△1,406
経常利益△1,606△43△1,563
親会社株主に帰属する四半期純利益△2,315△2,654+339

*カーエレクトロニクスセグメント
当第1四半期連結累計期間におけるカーエレクトロニクスセグメントの売上高は、前年同期比で約39億円増(13.5%増収)の328億95百万円、営業利益は同約14億円減となる8億8百万円の損失となりました。
(売上高)
市販事業は、海外市場が中近東地域の景気悪化、欧州の市況低迷の影響などを受けましたが、国内市場はAV一体型カーナビゲーションシステム「彩速ナビ」の販売が好調に推移したことなどから、市販事業全体ではほぼ前年同期並みの実績となりました。
OEM事業は、自動車メーカー向けAV一体型カーナビゲーションシステムの販売が減少したものの、平成27年4月1日付で連結子会社化したASKの売上高が加算されたことなどから、増収となりました。
(営業利益)
市販事業は、国内はAV一体型カーナビゲーションシステム「彩速ナビ」の販売が好調に推移しましたが、海外はアジア、欧州で市況低迷の影響を受けたことから、市販事業全体では減益となりました。
OEM事業は、用品(ディーラーオプション)の新規受注にともなう開発費の増加、次世代事業の開発費の増加の影響などから、減益となりました。
*プロフェッショナルシステムセグメント
当第1四半期連結累計期間におけるプロフェッショナルシステムセグメントの売上高は、前年同期比で約4億円増(2.2%増収)の175億74百万円、営業利益は同約2億円減となる7億41百万円の損失となりました。
(売上高)
コミュニケーションズ事業は、最大市場である北米で業務用無線の販売が好調に推移したことや、為替変動の影響などにより増収となりました。
プロシステム事業は、海外市場で商品ラインアップの絞り込みを進めた影響などから減収となり、ヘルスケア事業は海外市場での販売が減少したことなどから、減収となりました。
(営業利益)
コミュニケーションズ事業は、米国無線子会社のEF Johnson Technologies, Inc.の損益が、新規受注の獲得の遅れやのれん償却費の増加などの影響により悪化したことなどから、コミュニケーションズ事業全体では減益となりました。同社では新CEOを迎えて営業活動の強化を進めています。
プロシステム事業は、減収の影響を固定費削減などでカバーしたことから損失が減少し、ヘルスケア事業は、減収の影響から減益となりました。
*光学&オーディオセグメント
当第1四半期連結累計期間における光学&オーディオセグメントの売上高は、前年同期比で約13億円減(12.0%減収)の94億78百万円、営業利益は同約3億円増となる64百万円となり、前年同期の赤字から黒字に転換しました。
(売上高)
クリエーション(旧ビデオカメラ)事業は、事業改革にともなう民生用ビデオカメラの商品絞り込みが一巡し、プロ用ビデオカメラの販売が増加したことから、増収となりました。
映像事業は、ディスプレイのブランドライセンスビジネスへのシフトなどにともなって、減収となりました。
AVアクセサリー事業は、国内外ともに販売が堅調に推移したことから、増収となりました。
(営業利益)
クリエーション(旧ビデオカメラ)事業、AVアクセサリー事業は増収にともない増益となりましたが、映像光学事業は減収の影響から減益となりました。
*ソフト&エンターテインメントセグメント
当第1四半期連結累計期間におけるソフト&エンターテインメントセグメントの売上高は、前年同期比で約17億円減(22.3%減収)の58億21百万円、営業利益は同約3億円減(58.2%減益)となる2億51百万円となりました。
(売上高)
コンテンツビジネスは、平成27年4月28日付でテイチクの全株式を譲渡した影響から減収となりました。
受託ビジネスは、受託商品の増加や新規製品の導入が奏功したことなどから、増収となりました。
(営業利益)
コンテンツビジネスは、テイチクの全株式を譲渡した影響から減益となりましたが、受託ビジネスは増収にともない増益となりました。
なお、当第1四半期連結累計期間における主なヒット作品は、以下のとおりです。
(ビクターエンタテインメントの主なヒット作品)
・星野源 シングル「SUN」
・高橋真梨子 アルバム「ClaChic-クラシック-」、BD&DVD「SONGS 高橋真梨子 2007-2014」、BD&DVD「LIVE Adultica」
・KEYTALK アルバム「HOT!」、シングル「桜花爛漫」
・降谷建志 アルバム「Everything Becomes The Music」
(2)財政状態の分析
(当第1四半期連結会計期間末の資産、負債及び純資産に関する分析)
*資産
総資産は、平成27年4月1日付けでASKを連結子会社化したことにより商品及び製品や有形固定資産などが増加したものの、季節要因による受取手形及び売掛金の減少に加え、銀行借入れの返済やASK株式の取得およびShinwa International Holdings Limited(以下「シンワ」)株式の追加取得を実施したことにより現金及び預金が減少したことから、前連結会計年度末比で約20億円減少の2,766億58百万円となりました。
*負債
負債は、季節要因による未払費用の減少はあったものの、ASKの子会社化により支払手形及び買掛金など流動負債が増加したことから、前連結会計年度末比で約5億円増加の1,999億42百万円となりました。
一方、有利子負債(借入金と社債の合計)は、同約15億円減少の721億30百万円となりました。
ネットデット(有利子負債から現金及び預金を控除した額)は同約86億円増加の271億2百万円となりました。
*純資産
当第1四半期連結累計期間において、親会社株主に帰属する四半期純損失を計上したことなどから、利益剰余金が前連結会計年度末比で約31億円減少の190億94百万円となり、株主資本合計も同約31億円減少の741億25百万円となりました。
純資産合計は、同約25億円減少の767億15百万円となりました。これは、株主資本の減少に加え、シンワ株式を追加取得したことにより非支配株主持分が減少したこと、為替換算調整勘定の借方残高が減少したことなどによるものです。また、自己資本比率も純資産が減少したことなどから、前連結会計年度末比で0.3%ポイント減少し、25.5%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
(当第1四半期連結累計期間におけるキャッシュ・フローの分析)
*営業活動によるキャッシュ・フロー
当第1四半期連結累計期間において営業活動により増加した資金は35億9百万円となり、前年同期比で約36億円増加しました。主な要因は、税金等調整前四半期損失を計上したものの、雇用構造改革費用の支出による未払金の減少額が大きく減少したことによるものです。
*投資活動によるキャッシュ・フロー
当第1四半期連結累計期間において投資活動により減少した資金は46億22百万円となり、前年同期比で約25億円支出が増加しました。主な要因は、ASK子会社化による連結範囲の変更をともなう子会社株式の取得をしたことに加え、有形固定資産および無形固定資産の取得による支出が増加したことによるものです。
*財務活動によるキャッシュ・フロー
当第1四半期連結累計期間において財務活動により減少した資金は96億76百万円となり、前年同期比で約53億円支出が増加しました。主な要因は、銀行借入金の返済を進めたことによる短期借入金の純増減額の減少や、シンワ株式の追加取得による支出によるものです。
なお、当第1四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は、前年同期末比で約34億円減少し、443億88百万円となりました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは、これまで対米ドルの急激な円安による円換算原価の大幅な上昇や、対ユーロの急激な円高による欧州地域販売における収益悪化など、為替変動による影響を受けてきました。よって今後さらなる為替変動に起因するリスク軽減や、収益力向上のためのさらなる原価低減が重要となります。また取得した企業とのシナジーを如何に発現させ、事業競争力を高めること、さらに次世代事業への取り組みを含めた成長戦略を着実に実行していくことが当社の課題と認識しています。当連結会計年度における取組の詳細につきましては、第7期有価証券報告書の「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 対処すべき課題 」をご参照ください。
また当社は、急速な円安の進行やスマートフォンの台頭による民生エレクトロニクス市場の縮小、更には、クラウドやビッグデータといったデジタル技術や光学技術の革新など、外部環境の構造変化に鑑み、2012年11月30日に発表しました2015年度を最終年度とする中期経営計画の見直しを行い、2020年度を見据えた中長期経営計画「2020年ビジョン」を策定し、2015年5月18日付で発表しました。
今後は自己資本利益率(以下「ROE」)を主たる経営指標とするとともに、投下資本利益率(以下「ROIC」)を社内管理指標とした業績評価や事業ポートフォリオ管理を実施することで、「強み」を活かせる分野に注力する経営を推進していきます。
そして、高ROE達成に向けて、「成長牽引事業」に対する投資を、高ROICの「収益基盤事業」が下支えする構図を確立するとともに、顧客業界分野別組織へ移行し、保有する技術資産の融合を促進していきます。
*2020年度に向けた長期ビジョン ~顧客価値創造企業への進化~
当社は、市場縮小が続く民生事業から今後の成長が期待されるカーエレクトロニクス事業や業務用(B to B)事業へ、また既存事業から次世代事業へと社内リソースのシフトを進めていますが、以下の取り組みに注力することで、製品を製造し販売するという従来型の「製造販売業」から、顧客の課題を解決するためのソリューションを提供する「顧客価値創造企業」への進化をはかります。
(製品販売からソリューションの提供へ)
過去の事業部制による商品開発主導(プロダクトアウト)型の事業運営を見直し、業務用事業の増大にも対応する市場・顧客(マーケット)主導の事業運営に変えることにより、顧客の課題を深く理解し、個別具体的な解決策を提示するパートナーとなることをめざします。
(販売会社から運営会社へ)
オートモーティブ分野(旧カーエレクトロニクスセグメント)の純正事業や業務用無線のシステム事業などの成長分野は、本社事業部門と顧客との直接対話に基づいた直販型事業が増大しています。これに対応するため、本社事業部門を顧客業界分野別に再編するとともに、地域CEO・販売会社の役割を拡げ、直販型事業についても商品企画やマーケティング、顧客対応支援機能を提供する地域運営会社として位置付けます。
(自前主義からオープン化へ)
現在取り組んでいる次世代事業の早期事業化に向けて、自社のリソースはデジタルコックピットやブロードバンド業務用無線機などの分野に集中的に投資すると同時に、ベンチャー企業を含む社外との協業・連携を深め、ソリューション開発を加速します。
*経営方針と利益配分について
(経営方針 ~高ROE達成に向けて新しい「会社のかたち」を構築~)
当社は、売上成長やシェア拡大など「経営規模」に注力する経営ではなく、「強み」を活かせる分野に注力する経営へと変革を促進していきます。具体的には、公表指標としてのROEに加えて、社内管理指標としてROICに基づき、業績の評価や事業ポートフォリオ管理を実施します。
事業ポートフォリオの管理にあたっては、長期ビジョンとの整合性や資本収益性などを踏まえて、各事業を「成長牽引事業」と「収益基盤事業」、「その他」に区分けし、それぞれの事業特性に合わせた経営資源の配分や戦略的M&Aなどを行います。
また、現在の「カーエレクトロニクス」「プロフェッショナルシステム」「光学&オーディオ」「ソフト&エンターテインメント」の4つの事業セグメントを、「成長牽引事業」である「オートモーティブ分野」と「収益基盤事業」である「パブリックサービス分野」「メディアサービス分野」の3つの顧客業界分野別組織へ平成27年7月1日付で再編し、新しい「会社のかたち」を構築していきます。これにより、保有する技術資産を融合し、「顧客価値創造企業」への転換を加速すると同時に、「収益基盤事業」である「パブリックサービス分野」と「メディアサービス分野」が生み出すキャッシュ・フローが、「成長牽引事業」である「オートモーティブ分野」の成長に対する投資を支えていきます。
(5)研究開発活動
当社グループの当第1四半期連結累計期間の研究開発活動の金額は59億78百万円です。
なお、当第1四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)従業員数
①連結会社の状況
当第1四半期連結会計期間中において、主に欧州の主要自動車メーカーに車載用スピーカーやアンプ、アンテナなどの車載部品を納めるASKの発行済株式数の100%を取得して連結子会社化したことや生産拠点の人員変動などにより、前連結会計年度末に比べて、カーエレクトロニクスセグメントにおいて1,781人が増加しています。
また、当第1四半期連結会計期間中において、音楽・映像ソフトの企画・制作・販売などを手掛けるテイチクの株式のうち当社が保有するすべての株式について、株式会社エクシング(以下「エクシング」)への譲渡を実施したことにより、ソフト&エンターテインメントセグメントにおいて120人が減少しています。
これらの増減により、当第1四半期連結会計期間末における連結会社の従業員数は前連結会計年度末の17,668人から1,534人増加した19,202人となっています。
なお、従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員数です。
②提出会社の状況
該当事項はありません。