有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2018/11/19 15:00
【資料】
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【項目】
84項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
第15期事業年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
(資産)
当事業年度末における流動資産は3,560百万円となり、前事業年度末に比べ1,321百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が83百万円、顧客分別金信託が320百万円減少したものの、未収委託者報酬が1,743百万円、未収投資顧問報酬が16百万円増加したことによるものであります。固定資産は321百万円となり、前事業年度末に比べ272百万円増加いたしました。これは主に建物が85百万円、敷金が174百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、3,881百万円となり、前事業年度末に比べ1,594百万円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は2,164百万円となり、前事業年度末に比べ546百万円増加いたしました。これは主に短期借入金が170百万円減少したものの、未払費用が696百万円増加したことによるものであります。固定負債は117百万円となり、前事業年度末に比べ65百万円増加いたしました。これは主に繰延税金負債が14百万円、資産除去債務が48百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は、2,281百万円となり、前事業年度末に比べ611百万円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は1,599百万円となり、前事業年度末に比べ983百万円増加いたしました。これは当期純利益983百万円の計上による繰越利益剰余金の増加によるものであります。
第16期第2四半期累計期間(自 平成30年4月1日 至 平成30年9月30日)
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当第1四半期会計期間の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前事業年度との比較・分析を行なっております。
(資産)
当第2四半期会計期間末における流動資産は4,493百万円となり、前事業年度末に比べ964百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が82百万円、未収委託者報酬が820百万円増加したことによるものであります。固定資産は390百万円となり、前事業年度末に比べ59百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が16百万円、投資その他の資産が44百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、4,884百万円となり、前事業年度末に比べ1,023百万円増加いたしました。
(負債)
当第2四半期会計期間末における流動負債は2,525百万円となり、前事業年度末に比べ361百万円増加いたしました。これは主に短期借入金が380百万円減少したものの、未払費用が330百万円、未払法人税等が387百万円増加したことによるものであります。固定負債は131百万円となり、前事業年度末に比べ34百万円増加いたしました。これは退職給付引当金が38百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は、2,657百万円となり、前事業年度末に比べ395百万円増加いたしました。
(純資産)
当第2四半期会計期間末における純資産合計は2,227百万円となり、前事業年度末に比べ627百万円増加いたしました。これは、剰余金の配当による減少48百万円、四半期純利益675百万円の計上による繰越利益剰余金の増加によるものであります。
②経営成績の状況
第15期事業年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
当事業年度の国内株式市場は、シリア、北朝鮮など地政学リスクや仏大統領選など主要国の政治リスクなどから上値の重い展開となりました。日経平均は心理的な節目でもある20,000円前後で膠着する展開が続きました。その後国内では森友・加計学園問題が長引くなか、平成29年7月の東京都議会選挙で与党系候補が大量落選するなど政権基盤への懸念も生じましたが、平成29年9月の解散総選挙での与党勝利から内外の投資家心理が好転し、日経平均株価は20,000円を突破しました。米国では年末にトランプ政権の目玉政策のひとつであった法人減税案が成立したことが好感されてNYダウはじめ主要指数は最高値を更新し続けました。平成30年を迎えると年初は内外の主要株価指数は堅調を維持し一時日経平均株価は24,000円を突破したものの、米国では堅調を持続する景気指標の一方でFRB新議長にパウエル氏が内定したこともあり、いっそうの金融引き締め策への懸念が台頭し米国長期金利は上昇し、北朝鮮などの地政学リスクが高まったことなどもあり、投資家のリスク資産への投資意欲がそがれる格好となって内外の主要株価指数は平成30年1月下旬以降に調整しました。この過程で株式の株価変動率が大きくなったことで、一部の機関投資家が保有していた株式などを機械的に売却してリスク量を減少させる行動をとったことが株価下落の一因と考えられます。このような相場環境下で、海外投資家は平成29年9月の総選挙以降の累計買い越し額に相当する日本株を売却しました。年度末にかけては朝鮮半島情勢動向や米中貿易戦争の懸念が台頭するなど、引き続き不透明要因が漂うなか、日経平均株価は21,454円で期末を迎えました。
このような環境下、当社の経営理念と運用哲学に共感していただけるパートナー開拓を継続し、「ひふみプラス」販売網拡大に努めた結果、「ひふみプラス」を取り扱っているパートナー企業数は前年度末の39社から63社へと増えました。平成29年2月にテレビ東京系列「カンブリア宮殿」で当社が取り上げられた効果が持続しており、直接販売する「ひふみ投信」の顧客数も継続して増加しました。この結果「ひふみ投信」の顧客数は年度末には67,453名となり、前年度末の35,574名から31,879名の増加となりました。また、継続的な海外投資家へのアプローチにより、昨年度にローンチしたUCITSに基づく日本株ファンドなども堅調に運用資産残高を増大させることが出来ました。6名の運用部員のチームワーク、調査力、運用力、営業部門など間接部門とも連携した顧客対応、セミナーの積極開催などから「ひふみ投信」「ひふみプラス」は「R&Iファンド大賞2018」においてNISA/国内株式部門で優秀ファンド賞を受賞、また、「トムソン・ロイター リッパー・ファンド・アワード・ジャパン2018」において「ひふみプラス」が評価期間:3年、5年でそれぞれ最優秀ファンド賞を受賞しました。国内外の顧客に支持され、年度末の運用資産残高は前年から約5,688億円増加し8,452億円となりました。
この結果、営業収益は3,853百万円(前期比199.1%増)、利益につきましては経常利益1,126百万円(前期比2,476.1%増)、当期純利益983百万円(前期比751.5%増)となりました。
当社は、投信投資顧問事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
第16期第2四半期累計期間(自 平成30年4月1日 至 平成30年9月30日)
当第2四半期累計期間における国内株式市場は、米国による中国を筆頭とした諸外国への執拗な保護貿易圧力、また堅調な米経済を背景にした米国金利、米ドル上昇に伴う新興国の景気後退不安からリスク選好度が低下し、長らく上値の重い展開を余儀なくされました。しかし9月に入ると米国の関税交渉に軟化姿勢が見られ始めました。またトルコ中銀の積極的な利上げによるトルコリラ安一服が新興国の通貨安、景気悪化懸念を後退させ、世界的にリスク選好度が上昇しました。日本株を大きく売り越していた海外投資家の買いが断続的に観測され、日経平均株価は9月半ばからの12営業日で2,000円弱急騰し、9月末には27年ぶりの高値を更新しました。
一方で、投資信託協会が公表する「投資信託概況」によれば、当第2四半期会計期間末の株式投信の純資産総額は、前事業年度末から7.0%増の103兆8,247億円となりました。
このような市場環境において、当社の運用戦略である「守りながらふやす運用」を心がけつつ、数多くのセミナーなどによりお客様とのリレーションを深めていったことに加え、当社の経営理念と運用哲学に共感していただけるパートナー開拓を継続し、「ひふみプラス」販売網拡大に努めた結果、当第2四半期会計期間末における運用資産残高は、前事業年度末から14.1%増の9,644億円となりました。
この結果、当第2四半期累計期間の経営成績は、営業収益3,201百万円、営業利益1,053百万円、経常利益1,055百万円、四半期純利益675百万円となりました。
当社は、投信投資顧問事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
③キャッシュ・フローの状況
第15期事業年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税引前当期純利益が1,126百万円(前期比2,476.1%増)増加、有形固定資産の取得による支出等の要因により一部相殺されたものの、未収委託者報酬が1,743百万円増加したこと等により、前事業年度末に比べ83百万円減少し、当事業年度末には685百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は321百万円(前期比186.9%増)となりました。これは主に、税引前当期純利益が1,126百万円、減価償却費が12百万円、顧客分別金信託の減少額320百万円、未払費用の増加額696百万円および未収委託者報酬の増加額1,743百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は234百万円(前期比901.8%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出57百万円、敷金の差入による支出174百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は170百万円(前年同期は400百万円の獲得)となりました。これは、短期借入金の純減少額170百万円によるものであります。
第16期第2四半期累計期間(自 平成30年4月1日 至 平成30年9月30日)
当第2四半期累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ82百万円増加し、767百万円となりました。
当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は549百万円となりました。これは主に、税引前四半期純利益が1,046百万円、減価償却費が11百万円、未払費用の増加額330百万円および未収委託者報酬の増加額820百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は39百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出38百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は428百万円となりました。これは、短期借入金の純減額380百万円および配当金の支払額48百万円によるものであります。
④営業の実績
(ア)営業収益の実績
当社は投信投資顧問事業の単一セグメントであり、第15期事業年度および第16期第2四半期累計期間の営業収益の実績は次のとおりであります。
セグメントの名称第15期事業年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
第16期第2四半期累計期間
(自 平成30年4月1日
至 平成30年9月30日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
投信投資顧問事業3,853,134299.13,201,262

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(イ)運用資産残高の実績
当社の最近3事業年度および第16期第2四半期累計期間の運用資産残高実績は次のとおりであります。なお、日本円建て以外の運用資産残高を日本円に換算する際には、それぞれの時点における月末為替レートを用いております。
(単位:億円)
ファンドの名称平成28年
3月末
平成29年
3月末
平成30年
3月末
平成30年
9月末
ひふみ投信3084911,3551,488
ひふみプラス8031,3505,7286,626
ひふみ年金-15124203
レオス日本小型株ファンド394472104
投資信託計1,1511,9027,2828,422
その他投資顧問5348621,1701,221
投資顧問計5348621,1701,221
合計1,6852,7648,4529,644

(注)当該数字は、東陽監査法人による監査又は、四半期レビューを受けておりません。
当社が取り扱う投資信託の運用資産残高は、純流入額(設定額から解約額を控除した金額)および基準価額が堅調に推移したことから、増加傾向にあります。特に、平成30年3月期については、平成29年2月にテレビ東京系列「カンブリア宮殿」で当社が取り上げられた効果もあり、「ひふみプラス」「ひふみ年金」を取り扱っているパートナー企業数の増加や、直接販売する「ひふみ投信」の顧客数の増加により、当事業年度末の運用資産残高は前事業年度末から5,688億円増加し8,452億円となりました。
第16期第2四半期累計期間においても当社の運用戦略である「守りながらふやす運用」を心がけつつ、数多くのセミナーなどによりお客様とのリレーションを深めていったことに加え、当社の経営理念と運用哲学に共感していただけるパートナー開拓を継続し、「ひふみプラス」販売網拡大に努めた結果、第16期第2四半期会計期間末における運用資産残高は9,644億円となりました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針および見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成にあたっては、後述の「第5 経理の状況」の「重要な会計方針」をご参照ください。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
経営状態の分析については、「第2 事業の状況」の「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。
資本の財源および資金の流動性について、当社は、短期運転資金については自己資金を基本としています。また、顧客分別金信託については原則手元資金で賄いますが、追加設定に必要な資金が発生したときは金融機関からの借入で賄います。