訂正有価証券報告書-第13期(平成25年1月1日-平成25年12月31日)

【提出】
2015/02/25 16:16
【資料】
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【項目】
109項目

対処すべき課題

(1)事業環境の現状について
当社グループが主要な顧客としている健康保険組合の財政は、平成20年の高齢者医療制度創設により拠出金の仕組みが変更され負担が増加しました。これは、医療保険制度改革で老人保健拠出金が廃止され、後期高齢者支援金・前期高齢者納付金が導入されたことによります。
このような環境の中で、健康保険組合には、医療保険制度の持続性確保の観点から医療費全体の伸びの抑制に向けた、医療費適正化を柱とした支出抑制の具体的計画の策定と実行が求められています。多くの健康保険組合では効率的な組合運営への転換努力を行っていますが、特に大企業を母体としている健康保険組合では、その財政的な特色を生かし、保険料率の改定と合わせて被保険者・被扶養者への疾病予防施策の強化を図り、医療費削減を強く推進しようとしています。
また、「日本再興戦略」のアクションプランの一つである「戦略市場創造プラン」では、国民の「健康寿命」の延伸がテーマの一つとして掲げられ、「効果的な予防サービスや健康管理の充実により、健やかに生活し、老いることができる社会」の実現を推進することが表明されております。これを実現するために、全ての健康保険組合と民間サービスとしての健康寿命延伸産業の活用による健康増進、健康管理、疾病予防サービスによる実績づくりが掲げられました。そして、平成26年度からすべての健康保険組合に対して「データヘルス計画」の作成、実施の取り組みを求めています。こうしたことから、今後も健康保険組合が担う役割はますます重要となっております。
このような動きと共に、産業構造の変化に伴う新勢力企業や外資系の好調な企業等に生まれている、独自に健保を設立したいというニーズは当社が行う健康保険組合設立支援コンサルティングの継続的な受託につながっており、また新たに設立された健康保険組合の保健事業支援業務を確実に受注していくことで安定的な顧客基盤を構築してまいります。
(2)対処すべき当面の課題と具体的な取組状況
① 健康保険組合の保健事業へのアプローチについて
健康保険組合は被保険者や被扶養者のための健康診査、疾病予防や疾病の早期発見、健康保持増進のための事業を任意で行うことができ、これらを保健事業といいます。
健康保険組合の多くは、財政的な課題を背景として、保健事業を一定規模で確保する中、特に疾病予防を目的とする健診事業に資源を集約しています。当社のバリューカフェテリア事業では、従来の保健事業全体を対象としたものから健康管理、健診事業の効率的、効果的な実施を支援するサービスの充実を図り、そのニーズに対応していく必要があります。また、健康保険組合の保健事業支援の領域では、新たに設立された健康保険組合へのバリューカフェテリア®システム提供に加えて、既存の健康保険組合への健康管理や健診事業に対するサービス提供の機会を広げていくことが不可欠であります。特に、特定健康診査・特定保健指導の義務化をきっかけに、健診結果のデータ管理や健診事業における健康保険組合の事務の省力化のために健診予約システムや健診結果管理システムの導入をさらに推し進めてまいります。
② 企業の産業保健領域におけるアプローチについて
当社のバリューカフェテリア事業はこれまで健康保険組合の保健事業支援を中心に拡大を図ってまいりましたが、健康保険組合の主体である企業では、労働安全衛生法第66条に基づき、労働者に対して、医師による健康診断を実施し労働者の健康状態を管理する義務があります。職域での定期健康診断の実施率は年々高まり、労働安全衛生法の観点から企業にも健康確保の対策として、定期健康診断、メンタルヘルス対策や過重労働対策の推進、健康診断結果等に基づく措置の実施を含む健康管理(産業保健)活動の推進が求められております。
このような状況の下、企業の健康管理や健診事業では健康診断や保健指導の実施を健康保険組合に委託し、健康管理データベースを共有して、健康管理業務の効率化を図る動きが進んでおります。当社の健診結果管理システムは、これまで健康保険組合や企業の共同利用に利用されてきた実績を生かし、より一層のニーズに応えた機能拡充を図ることで、産業保健領域でのサービス提供の機会を増やしていくことが不可欠であります。
③ 健診機関へのサービス提供の推進について
当社は、健康保険組合や企業の健診事業や健康管理に対してバリューカフェテリア®システム及び健診予約システムや健診結果管理システムを提供しておりますが、これらのツールは健診機関においても予約受付の事務の効率化や省力化にも貢献できるものであります。また、健康診断結果の管理や受診者への結果の提供に際しても、インターネット上で受診者へ情報を提供できるため、管理業務の効率化や受診者への利便性にもつながります。
当社は、健診機関の事務支援サービスの一環として、予約受付や健康診断結果管理等の業務の効率化と顧客の満足度向上のためのサービスとしても役立ててもらえるようバリューカフェテリア®システムの提供を推進してまいります。