有価証券報告書-第35期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループ(当社及び当社の連結子会社)が主に事業を展開しております医療業界におきましては、2018年4月の診療報酬改定で本体がプラス改定となり、大規模病院をはじめとする医療機関の投資意欲が回復傾向となる中で、「次世代医療基盤法」が施行され、最適治療の提供や異なる医療領域の情報統合など医療情報のさらなる利活用が期待されております。
また、医療やヘルステック領域にあっても多くのデバイスやシステムの進化で、今までになかったバイタルデータを取得利用する新しい取り組みが生まれてきております。
このような環境の中、当社では、医療用データマネジメントシステムClaio(クライオ)や文書作成システムDocuMaker(ドキュメーカー)から放射線部門システムまでを含めた統合ソリューションをワンストップに導入できることを強みに、大学病院をはじめとする大規模病院や地域中核病院等への販売・導入に注力するとともに、新たな代理店の開拓や既存代理店の取り扱い製品の拡大にも鋭意取り組み、病院案件130件及び診療所案件107件の新規導入、製品追加導入及びリプレイス導入を行いました。また、全国の大規模医療機関の診療データを匿名化し安全に収集することを高いレベルで実現する製品・サービスの提供も開始しました。
この結果、当連結会計年度の財政状態は、総資産3,464,967千円(前年同期比11.2%増)、純資産2,842,569千円(同11.7%増)となりました。また、経営成績は、売上高4,281,539千円(前年同期比18.8%増)、営業利益743,012千円(同25.3%増)、経常利益746,551千円(同25.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は499,249千円(同25.4%増)となりました。
当連結会計年度における売上の構成は下表のとおりであります。
当社はシステムメーカーとして、ソフトウエアの開発及び販売に主眼をおいております。したがって、ハードウエアの取り扱いはソフトウエアの販売に付随して行われるものであり、ハードウエアのみの販売は原則として行っておりません。なお、サポート等の販売額は、電子カルテREMORAのライセンス料を含んでおります。
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2.「調整額」はセグメント間取引消去によるものです。
セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。
<システム開発事業>システム開発事業の経営成績は、売上高4,232,306千円(前年同期比19.0%増)、セグメント利益(営業利益)856,267千円(同34.8%増)となりました。
当社製品は、高度な医療を提供する大学病院をはじめとした大規模病院において既に高い評価と安定したシェアを維持しており、病院の中核システムとして、診療に欠かすことのできない重要な役割を担っております。
加えて、病院間での診療情報提供書や検査結果、画像などの電子的な提供及び送受を実現する地域連携ソリューションと、院内の様々なシステムに分散する患者情報を統合管理しつつ、医師の診療プロトコルに沿った画面展開を可能とするポータルシステムを開発しました。これらは今後の主力システムの一つとして大きく成長するものと期待しております。
当社は一般社団法人SDMコンソーシアムの一員として、医療機関の情報システムに必要不可欠となりつつある標準化データウェアハウス(DWH)を目標としたデータベースモデル(SDM)を牽引し、当社製品への対応を行っております。当社のSDMは、日本医療研究開発機構(AMED)においても標準化DWHとして認められ、大学病院をはじめとする医療機関の認知度も高まっており、今後もさらに導入が加速するものと考えております。前連結会計年度においては、大学病院1先でSDMに則った医療データの集積と当社の統合ビューワによるデータ活用を開始しました。当連結会計年度においても引き続き多くの引き合いを受けており、現在4案件が進行中であります。
オフィスシステム領域においては、文書管理システムDocuMaker Officeを中心とした製品の販売に取り組み、当連結会計年度においては、新たに自治体パッケージが2案件、大学病院のバックオフィス部門で1案件、DocuMakerストレスチェックシステムが2案件、稼働しました。
自治体パッケージにおいては、販売店を通じて着実に案件を獲得しました。自治体案件においては商談期間が長く既に2021年以降の商談も複数進行しております。代理店販売の拡大にも取り組み、数社と協業に向けた協議を進めております。また、自治体と同様の運用を行う公的企業からの引き合いも増えており、複数の商談を進めております。
医療機関バックオフィス業務の利用においては、近年、公益財団法人日本医療機能評価機構やJCI(Joint Commission International)の行う病院機能評価の認証を取得するため組織的に文書を管理しなければならないことがあり、文書管理システムの導入を検討する施設が増加していることから、当社に対しても多くの引き合いがありました。診療版DocuMakerユーザーからの追加導入の相談も増えており、これまで院内にある多くの文書を取り扱ってきた当社の強みを活かして、複数の商談が進行中であります。
DocuMakerストレスチェックシステムにおいては、近年、大規模のストレスチェックサービス提供業者がサービス提供基盤として利用する案件が増えております。2019年は2案件へ導入を行い、2020年以降の案件も進行中であります。
当社のDigiWorkerは、当社が既に有する特許技術と画面上での操作や処理を自動化するオートパイロット機能を組み合わせたRPAツールであります。近年、「働き方改革」の一環として労働時間の削減や業務効率化に取り組む企業や医療機関が増えており、それとともに業務の自動化・効率化を実現するRPAツールの需要も高まっております。既に一般企業、医療機関で幅広く業務の効率化を支援しております。
<ヘルステック事業>ヘルステック事業の経営成績は、売上高65,234千円(前年同期比6.4%減)、セグメント損失(営業損失)113,254千円(前年同期のセグメント損失42,027千円)となりました。
視線分析型視野計GAP-screener(ゲイズアナライジングペリメーター、医療機器製造販売届出番号 38B2X10003000003)の販売を開始し、安定的に製品へのアドバイスを行っていただける医療機関への導入を行いました。また、京都大学での臨床研究や試験導入を行った医療機関から寄せられた意見も踏まえ、新デバイス、新プログラムを採用するscreenerの上位版である眼科医療機関向けGAP(同届出番号 38B2X10003000002)の機能強化も予定通り進めております。販売代理店についても、本書提出日現在において24社との契約を完了しており、今後の販売拡大に向けて十分な販路を獲得しております。
GAPはこれまでの視野検査装置よりも患者の負担が軽く、短時間で検査可能な上、コンパクトな装置で安価に準備が可能なことから、視野検査が劇的に受けやすくなり、医師や視能訓練士介在での健康診断や集団検診での利用、僻地や無医村、ひいては世界のあらゆる地域での利用が可能になると考えております。これにより、失明原因として最も多いと言われる緑内障の早期発見に有効に利用され世界中の人々の目の健康を保つことに加え、これまで集めることのできなかった“世界中の初期視野異常に関するデータの集積と分析”が可能となります。これらのデータは、製薬企業や生命保険会社、医療機関などの様々な業種で活用され、創薬や検査、自動画像診断などの新しい価値を創造することができることが期待されております。
映像解析AI領域においては、午睡(保育園における乳幼児のお昼寝)時の見守りと記録業務支援を目的とした、カメラ映像をAIで解析することで、同時に複数人の午睡を見守ることが可能なシステムを開発いたしました。保育園における安全対策強化や保育士不足・業務過多が課題とされる中、重大事故が発生しやすい午睡時間に焦点を当て、保育士の業務や精神的負担を軽減することで、SIDS(乳幼児突然死症候群)の予防策の一つとして活用していただくことを目指しております。当システムは2019年7月から販売を開始し複数の園へ導入を行いました。現在もユーザーからのフィードバックを踏まえた製品改善を継続して行い、今後のさらなる販売拡大を目指しております。
また、心電位計測機能付きウェアラブルデバイスCALM-Mの利用シーン拡大を目的として前連結会計年度に開発・発売を開始した研究機関向けパッケージを販売・導入いたしました。スポーツサイエンスや生体認証、ヘルスケアなどの研究現場では、小型で軽量なワイヤレスセンサーを用いることで被験者が自然な状態を保ったまま生体データのモニタリングと取得が行えるようになりました。また、睡眠分析及び睡眠障害スクリーニングの領域においては、前年度に引き続き医療機関での実証を行っており、今後もさらなる精度の向上を目指して継続的な開発に取り組んでまいります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、1,778,004千円(前連結会計年度末比160.3%増)となり、前連結会計年度末に比べて1,095,019千円増加しました。各キャッシュ・フローの状況と増減要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ1,072,486千円増加し、1,670,010千円となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益が743,930千円に対し、無形固定資産(市場販売目的のソフトウエア)の償却費320,320千円及び売上債権の減少による増加758,184千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ172,158千円減少し、367,665千円となりました。これは主として、無形固定資産(主に市場販売目的のソフトウエア)の取得による支出313,649千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ468,370千円減少し、207,325千円となりました。これは主として、配当金の支払による支出206,506千円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.システム開発事業の生産高は、当期総製造費用によっております。
2.ヘルステック事業の生産高は、当期製品製造原価によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります
(注)1.「調整額」は、セグメント間取引消去によるものであります。
2.最近2連結会計年度における主な販売先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4.当連結会計年度はの日本電気株式会社については、販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。
財政状態の分析
(資産の状況)
当連結会計年度末における資産の残高は3,464,967千円となり、前連結会計年度末より350,137千円増加しました。
イ.流動資産
流動資産は、現金及び預金の増加1,095,019千円及び受取手形及び売掛金の減少758,184千円を主たる要因とし、当連結会計年度末残高2,632,180千円(前連結会計年度末比400,759千円増)となりました。
ロ.固定資産
固定資産は、主にのれんの償却による減少57,603千円による無形固定資産の減少67,544千円を主たる要因とし、当連結会計年度末残高832,787千円(前連結会計年度末比50,622千円減)となりました。
(負債の状況)
当連結会計年度末における負債の残高は622,397千円となり、前連結会計年度末より53,017千円増加しました。
イ.流動負債
流動負債は、未払法人税等の増加48,297千円を主たる要因とし、当連結会計年度末残高487,516千円(前連結会計年度末比36,941千円増)となりました。
ロ.固定負債
固定負債は、株式給付引当金の増加22,939千円を主たる要因とし、当連結会計年度末残高134,881千円(前連結会計年度末比16,076千円増)となりました。
(純資産の状況)
当連結会計年度末における純資産の残高は、2,842,569千円となり、前連結会計年度末より297,119千円増加しました。これは主に利益剰余金の増加292,989千円によるものであります。
③経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、4,281,539千円となりました。ソフトウエア及びハードウェアの売上高は引き続き堅調に推移するとともにメンテナンス及びライセンスの売上高が前年同期と比較して9.4%増加したことにより今後のストック収益の基盤を拡大いたしました。
また、代理店販売も着実に実績を伸ばし代理店数も引き続き増加いたしました。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は、2,330,527千円となりました。また、売上総利益率は54.4%となりました。導入経費の増加により売上総利益率はわずかに低下しました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は、743,012千円となりました。販管費の支出は人員強化による人件費の増加はありましたが、売上高の増加に伴い営業利益率は向上し、17.4%となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は、746,551千円となりました。売上高の増加に伴い経常利益率は向上し、17.4%となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、499,249千円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益率は11.7%となりました。
④資本の財源及び資金の流動性
a.キャッシュ・フロー
「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
主な資金需要は、研究開発に係る人件費のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
運転資金は原則として営業活動によるキャッシュ・フローにより賄われておりますが、状況に応じて直接金融並びに間接金融を利用していく方針であります。
b.有利子負債
当連結会計年度末の有利子負債はありません。
c.コミットメントライン
当社は、取引銀行との間でコミットメントラインの設定はしておりません。
⑤経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、成長性・収益性については売上高経常利益率を、資本効率についてはROE(株主資本利益率)を経営の重点指標としており、これらの改善及び向上を行うことを目標としております。
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案し、企業価値を最大限に高めるべく努めております。
今後も当社グループでは、「価値ある技術創造で社会を豊かにする」という企業理念のもと、経営の効率性、健全性及び透明性を確保し、事業資本の最大化及び株主の皆様や顧客をはじめ社会から高い信頼と評価を得る会社の実現を目指してまいります。
(3)セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、システム開発事業及びヘルステック事業を中心に今後も製品力と販売面の強化に注力し、さらには医療・ヘルスケアデータの集積・AI分析を通じて事業の拡大に取り組んでまいります。
2020年においては、販売経路やソリューション幅の拡大、さらなる製品力の強化を目的に、業務提携やM&Aも視野に入れ中長期的に業績を最大化させるための様々な施策に取り組んでまいります。また、これまで以上に代理店販売の拡大に努め、利益率のさらなる向上を目指します。
2020年通期の業績予想は、第3四半期以降において、医療機関がシステム導入を希望する大型連休と東京2020オリンピックの開催時期が重なるため、システム導入の延期が予想されることと、本社の移転に伴う経費の増加により、売上高、各利益ともに前年を下回る想定であります。
通期業績予想は、売上高4,210,000千円(前年同期比1.7%減)、営業利益580,000千円(同21.9%減)、経常利益583,000千円(同21.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益378,000千円(同24.3%減)を予想しております。
上記の業績予想は本書の提出日現在において入手可能な情報に基づき作成したものであり、実際の業績は、今後様々な要因によって予想数値と異なる結果となる可能性があります。
<システム開発事業>システム開発事業の財政状態は、セグメント資産3,559,692千円(前年同期比11.4%増)となりました。また、経営成績は、売上高4,232,306千円(前年同期比19.0%増)、セグメント利益(営業利益)856,267千円(同34.8%増)となりました。
医療情報システム市場において当社製品ラインナップは、常に最先端にしてスタンダードであり続けています。特に当社の主力製品であるClaio及びDocuMakerは、院内の診療科を跨いで様々な医療機器・システムと繋がることで患者情報を一元管理し、診療の効率化と質の向上を実現する病院向けソリューションの中核となる製品であります。当社では、これらの製品で様々な患者情報を管理するだけでなく、新たに開発したポータルシステムで必要な情報のすべてを即座に一覧できることで、これまで以上の利便性を提供できるものと考えます。また、昨今注目が集まる画像検査の重要所見の見落とし防止に貢献する既読管理システムへのニーズも高まっており、当社製品がカバーする範囲も拡大しております。引き続き、幅広い製品群で多方面から診療を支援してまいります。
医療機関においては、ハードウエアの耐用年数に合わせたリプレイス需要が中心となっております。当社製品の大規模病院ユーザーの多くが画像管理システムを導入しており、既にリプレイス導入に加えて文書システムや部門システムを追加導入するユーザーも増加しております。今後も導入製品幅の拡大により販売拡大に努めてまいります。
当社が牽引するデータベースモデル(SDM)については、データの活用が進むこれからの医療業界には不可欠なものと考えます。既に大学病院や中規模病院から引き合いを受けており、2020年以降に4件の大規模病院案件が進行中であります。この先、カルテデータの利活用を見据えたインフラが必須となります。その核となる規格の一つであるSDM統合ソリューションの販売に取り組んでまいります。
オフィスシステムの主力製品である文書管理システムDocuMaker Officeは、2021年以降の案件も含め、自治体・公共サービス向けパッケージの商談が複数進行中であります。
自治体においては、2019年3月に内閣府から「行政文書の電子的管理についての基本的な方針」が示され、その要件はまさにDocuMaker Officeの機能そのものであることから、公文書管理に資する当社システムへのニーズも高まってくるものと考えられます。自治体だけでなく共済組合や公益法人等でのニーズもあり、的を絞ったマーケティングと新たな代理店獲得に向けて鋭意取り組んでまいります。
医療機関のバックオフィス向け販売は、事務部門のみならず医師や看護師など診療部門のスタッフの利用も多く、当社の強みである医療機関特有の運用についての理解を背景に幅広い提案が可能になると考えております。今後は病院の多様化するニーズに柔軟かつ的確に対応することで、販売拡大に取り組んでまいります。
DocuMakerを利用したストレスチェックシステムにおいては、同サービス提供企業に比較して、コスト面やサービス面で優位性を持つシステムのリプレイスを希望する引き合いが増加しております。引き続き、ストレスチェックを実施する医療機関や健診施設と、サービスとしてストレスチェック業務を請け負う企業の両者へ積極的にアプローチしてまいります。
<ヘルステック事業>ヘルステック事業の財政状態は、セグメント資産112,011千円(前年同期比52.6%増)となりました。また、経営成績は、売上高65,234千円(前年同期比6.4%減)、セグメント損失(営業損失)113,254千円(前年同期のセグメント損失42,027千円)となりました。
2020年春以降にGAPの販売を開始する予定であります。2019年に引き続きGAP-screenerの販売に鋭意取り組むとともに、既に複数の医療機関から引き合いを受けているGAPの販売にも注力してまいります。また、京都大学構内の研究拠点で行っている臨床研究も順調に進行しており、研究成果の発表も予定されています。今後は、さらなる製品機能の向上を図ると共に、国内外の医療機関への販売に鋭意取り組み、中長期的にはヘルステックビジネスの柱となる事業へと成長させてまいります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループ(当社及び当社の連結子会社)が主に事業を展開しております医療業界におきましては、2018年4月の診療報酬改定で本体がプラス改定となり、大規模病院をはじめとする医療機関の投資意欲が回復傾向となる中で、「次世代医療基盤法」が施行され、最適治療の提供や異なる医療領域の情報統合など医療情報のさらなる利活用が期待されております。
また、医療やヘルステック領域にあっても多くのデバイスやシステムの進化で、今までになかったバイタルデータを取得利用する新しい取り組みが生まれてきております。
このような環境の中、当社では、医療用データマネジメントシステムClaio(クライオ)や文書作成システムDocuMaker(ドキュメーカー)から放射線部門システムまでを含めた統合ソリューションをワンストップに導入できることを強みに、大学病院をはじめとする大規模病院や地域中核病院等への販売・導入に注力するとともに、新たな代理店の開拓や既存代理店の取り扱い製品の拡大にも鋭意取り組み、病院案件130件及び診療所案件107件の新規導入、製品追加導入及びリプレイス導入を行いました。また、全国の大規模医療機関の診療データを匿名化し安全に収集することを高いレベルで実現する製品・サービスの提供も開始しました。
この結果、当連結会計年度の財政状態は、総資産3,464,967千円(前年同期比11.2%増)、純資産2,842,569千円(同11.7%増)となりました。また、経営成績は、売上高4,281,539千円(前年同期比18.8%増)、営業利益743,012千円(同25.3%増)、経常利益746,551千円(同25.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は499,249千円(同25.4%増)となりました。
当連結会計年度における売上の構成は下表のとおりであります。
当社はシステムメーカーとして、ソフトウエアの開発及び販売に主眼をおいております。したがって、ハードウエアの取り扱いはソフトウエアの販売に付随して行われるものであり、ハードウエアのみの販売は原則として行っておりません。なお、サポート等の販売額は、電子カルテREMORAのライセンス料を含んでおります。
| 販売・サービス種類別 | 販売額(千円) | 構成比(%) | 前年同期比(%) |
| システム開発事業 | |||
| ソフトウエア (うち代理店販売額) | 2,469,250 (513,215) | 57.7 | 117.9 |
| ハードウエア (うち代理店販売額) | 444,049 (19,098) | 10.4 | 172.6 |
| サポート等 | 1,319,006 | 30.8 | 109.4 |
| ヘルステック事業 | 65,234 | 1.5 | 93.6 |
| 調整額(注)2 | △16,000 | △0.4 | - |
| 合計 | 4,281,539 | 100.0 | 118.8 |
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2.「調整額」はセグメント間取引消去によるものです。
セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。
<システム開発事業>システム開発事業の経営成績は、売上高4,232,306千円(前年同期比19.0%増)、セグメント利益(営業利益)856,267千円(同34.8%増)となりました。
当社製品は、高度な医療を提供する大学病院をはじめとした大規模病院において既に高い評価と安定したシェアを維持しており、病院の中核システムとして、診療に欠かすことのできない重要な役割を担っております。
加えて、病院間での診療情報提供書や検査結果、画像などの電子的な提供及び送受を実現する地域連携ソリューションと、院内の様々なシステムに分散する患者情報を統合管理しつつ、医師の診療プロトコルに沿った画面展開を可能とするポータルシステムを開発しました。これらは今後の主力システムの一つとして大きく成長するものと期待しております。
当社は一般社団法人SDMコンソーシアムの一員として、医療機関の情報システムに必要不可欠となりつつある標準化データウェアハウス(DWH)を目標としたデータベースモデル(SDM)を牽引し、当社製品への対応を行っております。当社のSDMは、日本医療研究開発機構(AMED)においても標準化DWHとして認められ、大学病院をはじめとする医療機関の認知度も高まっており、今後もさらに導入が加速するものと考えております。前連結会計年度においては、大学病院1先でSDMに則った医療データの集積と当社の統合ビューワによるデータ活用を開始しました。当連結会計年度においても引き続き多くの引き合いを受けており、現在4案件が進行中であります。
オフィスシステム領域においては、文書管理システムDocuMaker Officeを中心とした製品の販売に取り組み、当連結会計年度においては、新たに自治体パッケージが2案件、大学病院のバックオフィス部門で1案件、DocuMakerストレスチェックシステムが2案件、稼働しました。
自治体パッケージにおいては、販売店を通じて着実に案件を獲得しました。自治体案件においては商談期間が長く既に2021年以降の商談も複数進行しております。代理店販売の拡大にも取り組み、数社と協業に向けた協議を進めております。また、自治体と同様の運用を行う公的企業からの引き合いも増えており、複数の商談を進めております。
医療機関バックオフィス業務の利用においては、近年、公益財団法人日本医療機能評価機構やJCI(Joint Commission International)の行う病院機能評価の認証を取得するため組織的に文書を管理しなければならないことがあり、文書管理システムの導入を検討する施設が増加していることから、当社に対しても多くの引き合いがありました。診療版DocuMakerユーザーからの追加導入の相談も増えており、これまで院内にある多くの文書を取り扱ってきた当社の強みを活かして、複数の商談が進行中であります。
DocuMakerストレスチェックシステムにおいては、近年、大規模のストレスチェックサービス提供業者がサービス提供基盤として利用する案件が増えております。2019年は2案件へ導入を行い、2020年以降の案件も進行中であります。
当社のDigiWorkerは、当社が既に有する特許技術と画面上での操作や処理を自動化するオートパイロット機能を組み合わせたRPAツールであります。近年、「働き方改革」の一環として労働時間の削減や業務効率化に取り組む企業や医療機関が増えており、それとともに業務の自動化・効率化を実現するRPAツールの需要も高まっております。既に一般企業、医療機関で幅広く業務の効率化を支援しております。
<ヘルステック事業>ヘルステック事業の経営成績は、売上高65,234千円(前年同期比6.4%減)、セグメント損失(営業損失)113,254千円(前年同期のセグメント損失42,027千円)となりました。
視線分析型視野計GAP-screener(ゲイズアナライジングペリメーター、医療機器製造販売届出番号 38B2X10003000003)の販売を開始し、安定的に製品へのアドバイスを行っていただける医療機関への導入を行いました。また、京都大学での臨床研究や試験導入を行った医療機関から寄せられた意見も踏まえ、新デバイス、新プログラムを採用するscreenerの上位版である眼科医療機関向けGAP(同届出番号 38B2X10003000002)の機能強化も予定通り進めております。販売代理店についても、本書提出日現在において24社との契約を完了しており、今後の販売拡大に向けて十分な販路を獲得しております。
GAPはこれまでの視野検査装置よりも患者の負担が軽く、短時間で検査可能な上、コンパクトな装置で安価に準備が可能なことから、視野検査が劇的に受けやすくなり、医師や視能訓練士介在での健康診断や集団検診での利用、僻地や無医村、ひいては世界のあらゆる地域での利用が可能になると考えております。これにより、失明原因として最も多いと言われる緑内障の早期発見に有効に利用され世界中の人々の目の健康を保つことに加え、これまで集めることのできなかった“世界中の初期視野異常に関するデータの集積と分析”が可能となります。これらのデータは、製薬企業や生命保険会社、医療機関などの様々な業種で活用され、創薬や検査、自動画像診断などの新しい価値を創造することができることが期待されております。
映像解析AI領域においては、午睡(保育園における乳幼児のお昼寝)時の見守りと記録業務支援を目的とした、カメラ映像をAIで解析することで、同時に複数人の午睡を見守ることが可能なシステムを開発いたしました。保育園における安全対策強化や保育士不足・業務過多が課題とされる中、重大事故が発生しやすい午睡時間に焦点を当て、保育士の業務や精神的負担を軽減することで、SIDS(乳幼児突然死症候群)の予防策の一つとして活用していただくことを目指しております。当システムは2019年7月から販売を開始し複数の園へ導入を行いました。現在もユーザーからのフィードバックを踏まえた製品改善を継続して行い、今後のさらなる販売拡大を目指しております。
また、心電位計測機能付きウェアラブルデバイスCALM-Mの利用シーン拡大を目的として前連結会計年度に開発・発売を開始した研究機関向けパッケージを販売・導入いたしました。スポーツサイエンスや生体認証、ヘルスケアなどの研究現場では、小型で軽量なワイヤレスセンサーを用いることで被験者が自然な状態を保ったまま生体データのモニタリングと取得が行えるようになりました。また、睡眠分析及び睡眠障害スクリーニングの領域においては、前年度に引き続き医療機関での実証を行っており、今後もさらなる精度の向上を目指して継続的な開発に取り組んでまいります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、1,778,004千円(前連結会計年度末比160.3%増)となり、前連結会計年度末に比べて1,095,019千円増加しました。各キャッシュ・フローの状況と増減要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ1,072,486千円増加し、1,670,010千円となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益が743,930千円に対し、無形固定資産(市場販売目的のソフトウエア)の償却費320,320千円及び売上債権の減少による増加758,184千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ172,158千円減少し、367,665千円となりました。これは主として、無形固定資産(主に市場販売目的のソフトウエア)の取得による支出313,649千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ468,370千円減少し、207,325千円となりました。これは主として、配当金の支払による支出206,506千円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(千円) | 前年同期比(%) |
| システム開発事業 | 1,452,909 | 116.9 |
| ヘルステック事業 | 47,294 | 89.3 |
| 合計 | 1,500,204 | 115.7 |
(注)1.システム開発事業の生産高は、当期総製造費用によっております。
2.ヘルステック事業の生産高は、当期製品製造原価によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) |
| システム開発事業 | 3,604,958 | 119.0 | 1,164,454 | 160.5 |
| ヘルステック事業 | 65,839 | 94.3 | - | - |
| 合計 | 3,670,797 | 118.4 | 1,164,454 | 160.4 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります
| セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前年同期比(%) |
| システム開発事業 | 4,232,306 | 119.0 |
| ヘルステック事業 | 65,234 | 93.6 |
| 調整額(注)1 | △16,000 | - |
| 合計 | 4,281,539 | 118.8 |
(注)1.「調整額」は、セグメント間取引消去によるものであります。
2.最近2連結会計年度における主な販売先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| 日本電気株式会社 | 360,357 | 10.0 | - | - |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4.当連結会計年度はの日本電気株式会社については、販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。
財政状態の分析
(資産の状況)
当連結会計年度末における資産の残高は3,464,967千円となり、前連結会計年度末より350,137千円増加しました。
イ.流動資産
流動資産は、現金及び預金の増加1,095,019千円及び受取手形及び売掛金の減少758,184千円を主たる要因とし、当連結会計年度末残高2,632,180千円(前連結会計年度末比400,759千円増)となりました。
ロ.固定資産
固定資産は、主にのれんの償却による減少57,603千円による無形固定資産の減少67,544千円を主たる要因とし、当連結会計年度末残高832,787千円(前連結会計年度末比50,622千円減)となりました。
(負債の状況)
当連結会計年度末における負債の残高は622,397千円となり、前連結会計年度末より53,017千円増加しました。
イ.流動負債
流動負債は、未払法人税等の増加48,297千円を主たる要因とし、当連結会計年度末残高487,516千円(前連結会計年度末比36,941千円増)となりました。
ロ.固定負債
固定負債は、株式給付引当金の増加22,939千円を主たる要因とし、当連結会計年度末残高134,881千円(前連結会計年度末比16,076千円増)となりました。
(純資産の状況)
当連結会計年度末における純資産の残高は、2,842,569千円となり、前連結会計年度末より297,119千円増加しました。これは主に利益剰余金の増加292,989千円によるものであります。
③経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、4,281,539千円となりました。ソフトウエア及びハードウェアの売上高は引き続き堅調に推移するとともにメンテナンス及びライセンスの売上高が前年同期と比較して9.4%増加したことにより今後のストック収益の基盤を拡大いたしました。
また、代理店販売も着実に実績を伸ばし代理店数も引き続き増加いたしました。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は、2,330,527千円となりました。また、売上総利益率は54.4%となりました。導入経費の増加により売上総利益率はわずかに低下しました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は、743,012千円となりました。販管費の支出は人員強化による人件費の増加はありましたが、売上高の増加に伴い営業利益率は向上し、17.4%となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は、746,551千円となりました。売上高の増加に伴い経常利益率は向上し、17.4%となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、499,249千円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益率は11.7%となりました。
④資本の財源及び資金の流動性
a.キャッシュ・フロー
「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
主な資金需要は、研究開発に係る人件費のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
運転資金は原則として営業活動によるキャッシュ・フローにより賄われておりますが、状況に応じて直接金融並びに間接金融を利用していく方針であります。
b.有利子負債
当連結会計年度末の有利子負債はありません。
c.コミットメントライン
当社は、取引銀行との間でコミットメントラインの設定はしておりません。
⑤経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、成長性・収益性については売上高経常利益率を、資本効率についてはROE(株主資本利益率)を経営の重点指標としており、これらの改善及び向上を行うことを目標としております。
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案し、企業価値を最大限に高めるべく努めております。
今後も当社グループでは、「価値ある技術創造で社会を豊かにする」という企業理念のもと、経営の効率性、健全性及び透明性を確保し、事業資本の最大化及び株主の皆様や顧客をはじめ社会から高い信頼と評価を得る会社の実現を目指してまいります。
(3)セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、システム開発事業及びヘルステック事業を中心に今後も製品力と販売面の強化に注力し、さらには医療・ヘルスケアデータの集積・AI分析を通じて事業の拡大に取り組んでまいります。
2020年においては、販売経路やソリューション幅の拡大、さらなる製品力の強化を目的に、業務提携やM&Aも視野に入れ中長期的に業績を最大化させるための様々な施策に取り組んでまいります。また、これまで以上に代理店販売の拡大に努め、利益率のさらなる向上を目指します。
2020年通期の業績予想は、第3四半期以降において、医療機関がシステム導入を希望する大型連休と東京2020オリンピックの開催時期が重なるため、システム導入の延期が予想されることと、本社の移転に伴う経費の増加により、売上高、各利益ともに前年を下回る想定であります。
通期業績予想は、売上高4,210,000千円(前年同期比1.7%減)、営業利益580,000千円(同21.9%減)、経常利益583,000千円(同21.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益378,000千円(同24.3%減)を予想しております。
上記の業績予想は本書の提出日現在において入手可能な情報に基づき作成したものであり、実際の業績は、今後様々な要因によって予想数値と異なる結果となる可能性があります。
<システム開発事業>システム開発事業の財政状態は、セグメント資産3,559,692千円(前年同期比11.4%増)となりました。また、経営成績は、売上高4,232,306千円(前年同期比19.0%増)、セグメント利益(営業利益)856,267千円(同34.8%増)となりました。
医療情報システム市場において当社製品ラインナップは、常に最先端にしてスタンダードであり続けています。特に当社の主力製品であるClaio及びDocuMakerは、院内の診療科を跨いで様々な医療機器・システムと繋がることで患者情報を一元管理し、診療の効率化と質の向上を実現する病院向けソリューションの中核となる製品であります。当社では、これらの製品で様々な患者情報を管理するだけでなく、新たに開発したポータルシステムで必要な情報のすべてを即座に一覧できることで、これまで以上の利便性を提供できるものと考えます。また、昨今注目が集まる画像検査の重要所見の見落とし防止に貢献する既読管理システムへのニーズも高まっており、当社製品がカバーする範囲も拡大しております。引き続き、幅広い製品群で多方面から診療を支援してまいります。
医療機関においては、ハードウエアの耐用年数に合わせたリプレイス需要が中心となっております。当社製品の大規模病院ユーザーの多くが画像管理システムを導入しており、既にリプレイス導入に加えて文書システムや部門システムを追加導入するユーザーも増加しております。今後も導入製品幅の拡大により販売拡大に努めてまいります。
当社が牽引するデータベースモデル(SDM)については、データの活用が進むこれからの医療業界には不可欠なものと考えます。既に大学病院や中規模病院から引き合いを受けており、2020年以降に4件の大規模病院案件が進行中であります。この先、カルテデータの利活用を見据えたインフラが必須となります。その核となる規格の一つであるSDM統合ソリューションの販売に取り組んでまいります。
オフィスシステムの主力製品である文書管理システムDocuMaker Officeは、2021年以降の案件も含め、自治体・公共サービス向けパッケージの商談が複数進行中であります。
自治体においては、2019年3月に内閣府から「行政文書の電子的管理についての基本的な方針」が示され、その要件はまさにDocuMaker Officeの機能そのものであることから、公文書管理に資する当社システムへのニーズも高まってくるものと考えられます。自治体だけでなく共済組合や公益法人等でのニーズもあり、的を絞ったマーケティングと新たな代理店獲得に向けて鋭意取り組んでまいります。
医療機関のバックオフィス向け販売は、事務部門のみならず医師や看護師など診療部門のスタッフの利用も多く、当社の強みである医療機関特有の運用についての理解を背景に幅広い提案が可能になると考えております。今後は病院の多様化するニーズに柔軟かつ的確に対応することで、販売拡大に取り組んでまいります。
DocuMakerを利用したストレスチェックシステムにおいては、同サービス提供企業に比較して、コスト面やサービス面で優位性を持つシステムのリプレイスを希望する引き合いが増加しております。引き続き、ストレスチェックを実施する医療機関や健診施設と、サービスとしてストレスチェック業務を請け負う企業の両者へ積極的にアプローチしてまいります。
<ヘルステック事業>ヘルステック事業の財政状態は、セグメント資産112,011千円(前年同期比52.6%増)となりました。また、経営成績は、売上高65,234千円(前年同期比6.4%減)、セグメント損失(営業損失)113,254千円(前年同期のセグメント損失42,027千円)となりました。
2020年春以降にGAPの販売を開始する予定であります。2019年に引き続きGAP-screenerの販売に鋭意取り組むとともに、既に複数の医療機関から引き合いを受けているGAPの販売にも注力してまいります。また、京都大学構内の研究拠点で行っている臨床研究も順調に進行しており、研究成果の発表も予定されています。今後は、さらなる製品機能の向上を図ると共に、国内外の医療機関への販売に鋭意取り組み、中長期的にはヘルステックビジネスの柱となる事業へと成長させてまいります。