有価証券報告書-第16期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/30 12:51
【資料】
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【項目】
100項目

研究開発活動

(1) 研究開発戦略
当社グループの研究開発戦略は、「海洋深層水を用いた環境安全型ウィルスフリー牡蠣の陸上養殖」及び「牡蠣の栄養価の商品化」を軸としております。
① 海洋深層水を用いた環境安全型ウィルスフリー牡蠣の陸上養殖
ウィルスフリー牡蠣の陸上養殖とは、ノロウィルスに代表される食中毒の原因となるウィルスに汚染されていない牡蠣を陸上養殖することです。牡蠣に代表される二枚貝がウィルスに感染する経路は、ウィルスが残留している生活排水が海の表層海域に流入した際に、養殖されている牡蠣がウィルスを取り込むケースや、牡蠣の餌となるプランクトンがウィルスを取り込み牡蠣体内に入るケースといわれております。特に、ノロウィルスは、牡蠣の消化器官の中腸線細胞に特異結合した場合には、無菌海水を体内に循環させて浄化しても排出除去できないことが分かっております。当社グループは、この感染経路中の表層海域という点に注目し、ウィルスが存在せず清浄な海水である深度200m以深の海洋深層水を利用して陸上において取水した海洋深層水で牡蠣を養殖することを目指しております。牡蠣の餌となるプランクトンが海洋深層水には存在しておりませんが、牡蠣の餌となる微細藻類の連続大量培養の方法には目途がついたため、商業ベースにのせるべくプラント建設に着手し、早期の量産化体制実現を目指します。
なお、牡蠣の餌となる微細藻類は複数種類培養する必要がありますが、その中のひとつであるデュナリエラは、油脂、βカロチン、グリセリンなどを有しております。牡蠣の良質な餌となることに加え、再生可能エネルギーや化合物の生産にも有用であると考えられ、当社では当該方向での研究も進めてまいります。
さらに、陸上養殖の特性を活かした高栄養価の微細藻類を与えることによる自然界には存在しない高栄養価な牡蠣の生産についても研究を進めてまいります。
② 牡蠣の栄養価の商品化
牡蠣の栄養価の商品化とは、牡蠣が潜在的に持つ高い栄養価を多機能に亘り顕在化させた商品を開発することにあります。牡蠣が養殖される表層海域は年々水質状況が悪化する一途にある一方で、オイスターバーなどで消費される牡蠣は主に生食用であります。このことから、オイスターバーなどで消費される牡蠣の消費量は全体生産量のごく一部に止まり、海域環境悪化と相俟って、規格外の牡蠣は廃棄処分されるなど市場に流通しない牡蠣が数多く存在しております。したがいまして、従来の流通及び消費スタイルには無い、牡蠣の新しい消費の形が模索されるところです。当社グループは、牡蠣の消費の形として、その栄養価に着目しました。牡蠣は亜鉛含有量が多い食物であります。亜鉛は新陳代謝を促し、人間が生活するのに重要なミネラルの1つであります。しかしながら、この亜鉛は体内に貯蔵することが出来ないことから、食物から補給するほかありませんが、その吸収率が悪く、ほとんどが体外に排出される難点があります。当社グループの研究主課題は、亜鉛成分を吸収率のよい高品質・高付加価値のサプリメントとして商品化することであります。しかしながら、それだけに止まらず、亜鉛などが奏功したときの食欲調整機能、血圧コントロールとしての循環器系調整機能や免疫増強作用、抗炎症作用、性機能増強作用、タウリンなどによる抗疲労効果など、これら全ての機能を満たした高機能成分のサプリメントなどの商品化に向け研究に取り組んでおります。そして、牡蠣の高機能成分の商品化は、廃棄牡蠣の有効活用だけでなく、健康志向社会及び水産業への貢献に寄与するものと考えております。
(2) 研究体制
当社グループでは、外部との共同研究により、海洋深層水を用いた環境安全型ウィルスフリー牡蠣の陸上養殖、及び牡蠣の栄養価の商品化等を研究する体制を構築しております。
平成28年4月1日以降は、海洋深層水を用いた環境安全型ウィルスフリー牡蠣の陸上養殖は、連結子会社の株式会社ジーオー・ファームにおいて、また牡蠣の栄養価の商品化は連結子会社の株式会社ゼネラル・オイスター・ヴィレッジにおいて研究を行っております。それぞれ外部の知見を活かした共同研究も進め、単独では実現できない技術開発を目指しております。
(3) 連結会計年度における研究開発費
当連結会計年度における研究主要課題及び研究成果は次のとおりであります。なお、研究開発費の総額は36,720千円であります。
(4) 研究開発成果の特許化
当社グループでは、研究開発活動における成果については、積極的に特許化を図る方針であります。本書提出日現在、国内において3件の特許を出願中です。