四半期報告書-第13期第1四半期(令和2年1月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/05/14 15:12
【資料】
PDFをみる
【項目】
34項目
文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び関係会社)が判断したものです。
(1) 経営成績の状況
当社グループを取り巻く経営環境につきましては、国内情報サービス業の売上高規模は2019年においては12兆642億円(前年比4.1%増加)と8年連続で成長を続けています(経済産業省「特定サービス産業動態統計調査(2020年2月公表)」)。その中で、SaaS(Software as a Serviceの略称。月額課金や年額課金の仕組みを取っているウェブサービス)の国内市場規模は、年平均成長率が約12%で拡大しており、2023年には約8,200億円に拡大する見込みです(富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2019年版」)。また、スマートフォンの個人保有率は2018年において64.7%(前年比3.8ポイント増)と普及が進んでいます(総務省「平成30年通信利用動向調査(2019年5月31日公表)」)。更に、インターネット広告費の市場規模は、2019年に初めて2兆円を超え、テレビメディア広告費を抜き2兆1,048億円と前年比で22.9%と拡大しています(株式会社電通「2019年 日本の広告費(2020年3月公表)」)。また、米国においては米国内のインターネット広告市場は1,075億米ドル(1ドル113円換算で12兆1,475億円)と前年比で121.8%と拡大しています(PwC及びIABによる共同調査「IAB internet advertising revenue report(2019年5月公表)」)。
このような環境の下、当第1四半期連結会計期間においては、当社グループの売上高は拡大を続けています。
SPEEDA事業では新規獲得ID数の順調な積み上げによりMRR(Monthly Recurring Revenueの略称。継続課金による月次収益で、初期費用等の一時的な売上は含まない)が拡大し、NewsPicks事業では有料課金ユーザー数の増加と、広告売上が堅調に推移したことで売上高が拡大しました。
なお、既存事業であるSPEEDA事業とNewsPicks事業のEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却費(以下同様))は拡大し、その他事業においてもEBITDAは黒字となりました。一方、Quartz事業においては、有料課金ビジネスへの転換期であることからEBITDAはマイナスであるものの、2019年に実施した広告事業のコスト構造改革により、赤字幅は前年同期比で縮小しました。また、営業損失については既存事業は営業利益となっているものの、Quartz社の買収に伴い発生したのれんの償却費等が影響しています。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間における売上高は3,171百万円(前年同期比11.4%増加)、EBITDAは△42百万円(前年同期は△179百万円)、営業損失は263百万円(前年同期は営業損失380百万円)、経常損失は317百万円(前年同期は経常損失395百万円)となりました。なお、法人税等を185百万円計上したこと等により、親会社株主に帰属する四半期純損失は473百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失296百万円)となりました。
セグメントの業績は次の通りです。
なお、当社グループにおいては複数の事業の国内外での展開を進めており、コーポレート業務に係るコストが複雑化しています。そこで、報告セグメント別の経営成績をより適切に反映させるため、当第1四半期連結会計期間より、グループ共通のコーポレート業務に係るコストの配賦方法を、より各セグメントの事業実態に合った合理的な配賦基準に基づき配賦する方法に変更しています。
具体的には、セグメント利益又は損失の算定に当たり、当社グループのコーポレート業務に係るコストを以下の2つに分類し、各報告セグメントに帰属しないグループ共通のコーポレート業務に係る全社費用(Indirect Cost)については、報告セグメントに配分していません。
・Direct Cost:提供サービスや事業に直接紐づくコスト
・Indirect Cost:提供サービスや事業に直接紐づかない連結グループ全体経営のために発生する全社費用(例:上場維持コスト、監査報酬、役員報酬など)
また、従来より各報告セグメントごとに開示をしているセグメント別のEBITDAについては、より適切に各報告セグメントの収益力を表示する観点から、経営上の業績評価となる指標であるDirect EBITDA及びセグメントEBITDAを表示しており、下記の通り算出しています。
・Direct EBITDA:セグメント利益又は損失に、減価償却費及びのれんの償却費を加えた金額(上記Indirect Costである全社費用配賦前の金額)
・セグメントEBITDA:Direct EBITDAに、Indirect Costである全社費用を配賦した金額(全社費用は、各報告セグメントの売上高を基準として配賦)
① SPEEDA事業
SPEEDA事業においては、中国における新型コロナウイルス感染症における影響により、中国を中心としたアジア地域における契約IDの獲得が鈍化したものの、日本国内における契約IDの獲得は順調に進みました。また、当社の持分法適用関連会社である株式会社ミーミル(以下、「ミーミル」という。なお、2020年4月に同社株式の追加取得により連結子会社化しました。)との連携により、自社アナリストによる独自コンテンツ「SPEEDAトレンド」に、各領域の有識者コメントを集約させた「専門家の見解」機能を拡充しました。これにより、ミーミルが選び抜いた各領域の第一人者にサーベイを実施し、各トレンドの今後の行き先に関する見解の把握と、事業戦略の立案や新規事業の立ち上げを行う上で押さえるべきポイントを、多面的に把握することが可能となりました。
以上の結果、SPEEDA事業の当第1四半期連結会計期間におけるMRRは420百万円となりました。セグメント売上高は1,289百万円(前年同期比23.8%増加)、セグメント利益は580百万円(前年同期比26.3%増加)、Direct EBITDAは585百万円(前年同期比26.3%増加)、セグメントEBITDAは513百万円(前年同期比23.1%増加)となりました。
なお、前年同期との比較・分析は、上述の変更後のセグメント利益又は損失の測定方法より算出したものに基づいて記載しています(以下、他の事業についても同様です)。
② NewsPicks事業
NewsPicks事業においては、従来通りの取り組みだけでなく、新型コロナウイルスに関する情報や、アフターコロナ情報を特集記事や動画コンテンツで多数配信しました。また、NewsPicksの大きな特徴であるプロピッカーのコメントが、記事や動画コンテンツをより深く多角的に解説することで、メディアとしての信頼度が向上し他メディアとの差別化につながりました。こうした取り組みと、コロナ禍においては信頼できる情報への需要が高まったことが重なり、3月後半から無料トライアル登録者数が大きく増加しており、有料会員数も3倍以上のペースで増加しています。
以上の結果、NewsPicks事業の当第1四半期連結会計期間におけるMRRは184百万円となりました。広告売上も順調に増加したことにより、当第1四半期連結累計期間におけるセグメント売上高は1,267百万円(前年同期比24.3%増加)、セグメント利益は168百万円(前年同期比23.1%減少)、Direct EBITDAは192百万円(前年同期比14.5%減少)、セグメントEBITDAは121百万円(前年同期比32.4%減少)となりました。
(注)1 会員ユーザー数は、NewsPicksサービスに会員登録(簡易登録含む)しているユーザーの総数(延べ人数ではありません。)を指します。
2 有料課金ユーザー数は、NewsPicksサービスに会員登録しているユーザーのうち、月額有料サービスを利用しているユーザー数(延べ人数ではありません。)及び法人契約を通じてプレミアム会員と同等のサービスを利用するユーザー数を指します。有料課金ユーザーは、プレミアム会員及びアカデミア会員によって構成されます。プレミアム会員はNewsPicksオリジナル記事や海外の有料媒体の記事等が閲覧でき、アカデミア会員はプレミアム会員のサービス内容に加え、各界著名人による特別講義の受講、NewsPicks選定のアカデミア書籍(毎月1冊)の提供、オンラインでの動画講義(MOOC)等を受けることができます。なお、プレミアム会員は月額1,600円(年割プランは月額1,250円、学割プランは月額500円)、アカデミア会員は月額5,000円(半年割プランは月額4,000円)です。
※2019年11月1日よりプレミアムプランの料金改定を行っており、料金改定前に新規にお申込みされた方は月額1,500円となります。
③ Quartz事業
Quartz事業においては、昨年同様に有料課金ビジネスへのシフトを進めていることにより、既存事業である広告事業の売上高に関しては前年比で減少しましたが、コスト構造改革を実施したことにより、EBITDAの赤字幅は縮小しました。また、当第1四半期連結会計期間におけるMRRは12百万円となりました。有料課金ユーザー数とMRRが順調に拡大していますが、現状は売上高に占める割合は軽微です。
以上の結果、Quartz事業の当第1四半期連結累計期間におけるセグメント売上高は289百万円(前年同期比54.1%減少)、セグメント損失は833百万円(前年同期はセグメント損失892百万円)、Direct EBITDAは△666百万円(前年同期は△723百万円)、セグメントEBITDAは△682百万円(前年同期は△752百万円)となりました。
④ その他事業
その他事業においては、スタートアップデータベースのINITIAL(イニシャル)、B2BマーケティングプラットフォームFORCAS(フォーカス)ともに順調に顧客獲得が進みました。特に、当第1四半期連結会計期間においてFORCASのMRRは80百万円まで増加し、売上高の拡大に大きく寄与しました。また、INITIALは2017年1月に買収してから3年後である前連結会計年度において通期黒字化を達成し、当第1四半期連結会計期間においても黒字になりました。
以上の結果、その他事業の当第1四半期連結累計期間におけるセグメント売上高は330百万円(前年同期比101.8%増加)、セグメント利益は18百万円(前年同期はセグメント損失19百万円)、Direct EBITDAは24百万円(前年同期は△15百万円)、セグメントEBITDAは5百万円(前年同期は△22百万円)となりました。
(2) 財政状態の状況
(資産)
資産合計は、前連結会計年度と比較して1,018百万円減少し、19,940百万円となりました。これは主に、流動資産において現金及び預金が622百万円減少したこと、受取手形及び売掛金が回収等により398百万円減少したこと、固定資産において、のれんが償却及び為替換算により221百万円減少したこと等によるものです。
(負債)
負債合計は、前連結会計年度と比較して675百万円減少し、13,151百万円となりました。これは主に、流動負債において法人税等の支払等により未払法人税等が616百万円減少したこと、固定負債において長期借入金が448百万円減少したこと等によるものです。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度と比較して342百万円減少し、6,788百万円となりました。これは主に、当第1四半期連結累計期間に親会社株主に帰属する四半期純損失473百万円を計上したことに伴い利益剰余金が473百万円減少したこと、連結子会社である株式会社UB Venturesの運営するファンドにおける外部投資家からの払込等により非支配株主持分が178百万円増加したこと等によるものです。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
該当事項はありません。