四半期報告書-第13期第3四半期(令和2年7月1日-令和2年9月30日)
文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び関係会社)が判断したものです。
(1) 経営成績の状況
当社グループを取り巻く経営環境につきましては、国内情報サービス業の売上高規模は2019年においては12兆642億円(前年比4.1%増加)と8年連続で成長を続けています(経済産業省「特定サービス産業動態統計調査(2020年2月公表)」)。その中で、SaaS(Software as a Serviceの略称。月額課金や年額課金の仕組みを取っているウェブサービス)の国内市場規模は、年平均成長率が約12%で拡大しており、2025年に向けてDX(デジタル・トランスフォーメーション)の取り組みが加速しており、カテゴリーを問わずパッケージソフトからSaaSへの移行ニーズがますます高まっています。加えて新型コロナウイルスの影響でリモートワークが拡大し、IT投資に消極的であった中堅、中小企業においてもソフトウェア導入が進展しており、それらの流れもあり、SaaSの国内市場規模は2023年には約1兆574億円に拡大する見込みです(富士キメラ総研「2020 クラウドコンピューティングの現状と将来展望」)。また、スマートフォンの個人保有率は2019年において67.6%(前年比2.9ポイント増)と普及が進んでいます(総務省「令和元年通信利用動向調査(2020年5月29日公表)」)。更に、インターネット広告費の国内の市場規模は、2019年に初めて2兆円を超え、テレビメディア広告費を抜き2兆1,048億円と前年比で22.9%と拡大しています(株式会社電通「2019年 日本の広告費(2020年3月公表)」)。また、米国における2019年のインターネット広告市場は、1,246億米ドル(1ドル110円換算で13兆7,060億円)と前年比で115.9%と拡大しています(PwC及びIABによる共同調査「IAB internet advertising revenue report(2020年5月公表)」)。
一方で、新型コロナウイルス感染拡大の影響により世界規模で経済活動の制限を受けることを余儀なくされ、米国では4~6月期のGDP(確定値)は、前期比年率換算で31.4%減少しており、日本国内においても、4~6月期のGDP(速報値)は年率換算で27.8%減となりました。ただし、足元では国内外の経済活動が徐々に再開されつつあり、7~9月期のGDPについては、前期に大幅な落ち込みとなった反動もあり、米国は前期比年率プラスに増加したとの発表がありましたが、まだ予断を許さない状況が続いています。
今後、withコロナ時代において、クラウドサービス導入や良質なメディアコンテンツなど、当社グループの提供サービスへのニーズは、より一層高まっているものと認識しています。
このような環境のもと、SPEEDA事業では新規獲得ID数の順調な積み上げによりMRR(Monthly Recurring Revenueの略称。継続課金による月次収益で、初期費用等の一時的な売上は含まない)が拡大しました。NewsPicks事業では第2四半期連結累計期間にかけて新型コロナウイルス関連の良質なコンテンツをスピーディーに、かつ多数配信したことで、有料課金ユーザー数が大幅に増加しMRRも大幅に拡大しました。その反動から当第3四半期連結会計期間においては、新規有料会員の獲得ペースは鈍化した一方で、コロナ下における良質なメディアコンテンツの発信により、媒体としてのプレゼンスをさらに高めたことから広告売上は前年同期比で28.8%増加しました。
Quartz事業においては、2020年5月14日に広告事業を中心としたリストラクチャリングの実行を決定し、当第3四半期連結会計期間において販売費及び一般管理費は前年同期比で圧縮されました。有料課金ビジネスは順調に推移しているものの、新型コロナウイルス感染症の影響による広告売上の大幅な減少から、EBITDAはマイナスとなっています。また、営業損失については、EBITDAのマイナス要因に加え、Quartz社の買収に伴い発生したのれんの償却費等が影響しています。
その結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は9,938百万円(前年同期比17.3%増加)、EBITDAは395百万円(前年同期は△832百万円)、営業損失は309百万円(前年同期は営業損失1,436百万円)、経常損失は488百万円(前年同期は経常損失1,558百万円)となりました。なお、株式会社ミーミルを連結子会社化したことに伴う段階取得に係る差益104百万円を計上した一方、Quartz社の構造改革に係る費用282百万円を計上したこと、Quartz事業ののれん等の減損損失7,827百万円を計上したこと及び法人税等を△2,367百万円計上したこと(注)等により、親会社株主に帰属する四半期純損失は6,063百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失1,571百万円)となりました。
(注)当社は2020年11月9日付の取締役会決議によって、Quartz事業から撤退することを決定しました。本決定に伴い、当第3四半期連結累計期間においてのれん等の減損損失7,827百万円を計上しています。また、これに伴い、当第3四半期連結会計期間において、子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の一時差異に関する繰延税金資産を、回収可能性を考慮したうえで計上しています。
詳細については、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」及び「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」をご参照ください。
セグメントの業績は次の通りです。
なお、当社グループにおいては複数の事業の国内外での展開を進めており、コーポレート業務に係るコストが複雑化しています。そこで、報告セグメント別の経営成績をより適切に反映させるため、第1四半期連結会計期間より、グループ共通のコーポレート業務に係るコストの配賦方法を、より各セグメントの事業実態に合った合理的な配賦基準に基づき配賦する方法に変更しています。
具体的には、当社グループのコーポレート業務に係るコストを以下の2つに分類し、Direct Costに関しては、費目ごとに事業実態に合った合理的な配賦基準に基づき配賦し、Indirect Costに関しては、各報告セグメントの売上高を基準として配賦しています。
・Direct Cost:提供サービスや事業に直接紐づくコスト
・Indirect Cost:提供サービスや事業に直接紐づかない連結グループ全体経営のために発生する全社費用(例:上場維持コスト、監査報酬、役員報酬など)
また、従来より報告セグメントごとに開示をしていたセグメント別のEBITDAの金額については、より適切に各報告セグメントの収益力を表示する観点から、経営上の業績評価となる指標であるDirect EBITDA及びセグメントEBITDAを表示しています。
セグメント利益又は損失、Direct EBITDA及びセグメントEBITDAは下記の通り算出しています。
・セグメント利益又は損失:Direct Costのみ配賦して算出した金額
・Direct EBITDA:セグメント利益又は損失に、減価償却費及びのれんの償却費を加えた金額(上記Indirect Costである全社費用配賦前の金額)
・セグメントEBITDA:Direct EBITDAに、Indirect Costである全社費用を配賦した金額
① SPEEDA事業
SPEEDA事業においては、第1四半期連結会計期間から引き続き、中国における新型コロナウイルス感染症の影響により、中国を中心としたアジア地域における契約IDの獲得が鈍化したものの、日本国内における契約IDの獲得は順調に進みました。また、第2四半期連結会計期間において、日本国内に約7,000名のエキスパート・ネットワークを有する株式会社ミーミルを100%子会社化し、当第3四半期連結会計期間において、ミーミルのエキスパートリサーチ事業をSPEEDAに統合し、多様な業界・分野の第一線で活躍する専門家の知見を含む、総合的な経済情報プラットフォームとしてSPEEDAを刷新しました。第一段のサービスとして、「今、専門家に聞く」機能、FLASH Opinionをリリースしました。これらにより、当第3四半期連結累計期間末におけるMRRは448百万円となりました。また、今後は、2020年5月に資本業務提携を実施した、世界180か国以上、約10,000名のエキスパート・ネットワークを保有する米国GlobalWonks, Inc.とのアライアンスも活かして世界中の専門家への知見へのアクセスを可能にし、意思決定に必要な質の高い情報を得ることができるグローバルな経済情報プラットフォームを目指していきます。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間におけるセグメント売上高は4,035百万円(前年同期比21.8%増加)、セグメント利益は1,747百万円(前年同期比29.0%増加)、Direct EBITDAは1,785百万円(前年同期比30.4%増加)、セグメントEBITDAは1,552百万円(前年同期比26.8%増加)となりました。
なお、前年同期との比較・分析は、上述の変更後のセグメント利益又は損失の測定方法より算出したものに基づいて記載しています(以下、他の事業についても同様です)。
② NewsPicks事業
NewsPicks事業においては、第2四半期連結累計期間にかけてwithコロナの世界を見据えた良質な特集記事や動画コンテンツをスピーディーに、かつ多数配信することで、有料会員数を大幅に増加させました。その反動から当第3四半期連結会計期間においては、新規有料会員の獲得ペースは鈍化した一方で、コロナ下における良質なメディアコンテンツの発信により、媒体としてのプレゼンスをさらに高めました。その影響により広告受注が順調に増加し、当第3四半期連結累計期間における広告売上は前年同期比で28.8%増加となりました。また、重視している指標であるMRRは、当第3四半期連結累計期間末において234百万円となりました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間におけるセグメント売上高は4,067百万円(前年同期比47.1%増加)、セグメント利益は509百万円(前年同期比177.0%増加)、Direct EBITDAは604百万円(前年同期比192.2%増加)、セグメントEBITDAは369百万円(前年同期比329.0%増加)となりました。
③ Quartz事業
Quartz事業においては、新規に注力している有料課金事業は拡大している一方で、既存事業である広告事業は新型コロナウイルスの広がりによる景気悪化影響を強く受け、売上高は前年同期比で大幅に減少しました。しかしながら昨年来の運営コストの削減と第2四半期連結会計期間に実施した広告事業を中心とした事業構造改革によって、当第3四半期連結会計期間において販売費及び一般管理費は前年同期比で圧縮されました。また、当第3四半期連結累計期間においても有料会員数は増加し、当第3四半期連結累計期間末におけるMRRは16百万円、ARR(Annual Recurring Revenueの略称で、年間定額収益。MRRを12倍して算出したもの)は約2億円へと拡大しましたが、現状は売上高に占める割合は軽微です。
これらの結果から、当第3四半期連結累計期間におけるセグメント売上高は841百万円(前年同期比53.6%減少)、セグメント損失は1,954百万円(前年同期はセグメント損失2,467百万円)、Direct EBITDAは△1,458百万円(前年同期は△1,965百万円)、セグメントEBITDAは△1,507百万円(前年同期は△2,044百万円)となりました。
なお、当社は2020年11月9日付の取締役会決議によって、Quartz事業から撤退することを決定しました。詳細につきましては、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」及び「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」をご参照ください。
④ その他事業
その他事業においては、B2BマーケティングプラットフォームFORCAS(フォーカス)が順調に顧客獲得を進め、当第3四半期連結累計期間末におけるFORCASのMRRは91百万円まで増加しました。第2四半期連結会計期間においてはMRRの増加ペースが鈍化していましたが、当第3四半期連結会計期間においては増加ペースが回復しており、MRR1億円の水準が見通せる事業に成長しています。加えて、昨年末の経営体制の変更に伴うSPEEDAとの連携強化により、スタートアップデータベースのINITIAL(イニシャル)が成長を加速させており、2017年1月に買収してから3年後である前連結会計年度において通期黒字化を達成し、当第3四半期連結累計期間においても継続してEBITDAは黒字となっております。またその他事業としても、セグメントEBITDAは1百万円となり引き続き黒字体質の安定化を目指しつつ投資回収を図ってまいります。
以上の結果、その他事業の当第3四半期連結累計期間におけるセグメント売上高は1,021百万円(前年同期比71.1%増加)、セグメント利益は39百万円(前年同期はセグメント損失79百万円)、Direct EBITDAは60百万円(前年同期は△66百万円)、セグメントEBITDAは1百万円(前年同期は△92百万円)となりました。
(2) 財政状態の状況
(資産)
資産合計は、前連結会計年度と比較して2,422百万円減少し、18,536百万円となりました。これは主に、流動資産において現金及び預金が公募増資等により2,380百万円増加した一方、受取手形及び売掛金が回収等により794百万円減少したこと、固定資産においては、のれんの償却及びQuartz事業に係るのれんの減損を行ったことからのれんが8,035百万円減少したこと等により、無形固定資産が7,816百万円減少したこと、Quartz事業からの撤退の意思決定に関連して繰延税金資産が2,958百万円増加したこと等から、投資その他の資産が3,435百万円増加したこと等によるものです。
(負債)
負債合計は、前連結会計年度と比較して2,554百万円減少し、11,271百万円となりました。これは主に、法人税等の支払等により未払法人税等が570百万円減少したこと、返済により長期借入金及び1年内返済予定の長期借入金が2,662百万円減少したこと等によるものです。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度と比較して132百万円増加し、7,264百万円となりました。これは主に、当第3四半期連結累計期間に親会社株主に帰属する四半期純損失6,063百万円を計上したことに伴い利益剰余金が6,063百万円減少した一方、公募増資等により資本金が3,058百万円増加、資本剰余金が3,059百万円増加したこと等によるものです。
(3) 経営方針・経営戦略等
「(1) 経営成績の状況」に記載の通り、当社は2020年11月9日付の取締役会決議によって、Quartz事業から撤退することを決定しました。当社グループのミッションである「経済情報で、世界を変える」を実現するための、SPEEDA事業、NewsPicks事業並びにその他事業における中長期的な経営戦略に変更はなく、今後はより高い成長と収益性が見込めるこれらの事業に経営資源を集中し、企業価値の更なる拡大を図っていきます。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、2020年3月27日に提出した第12期有価証券報告書の「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に対処すべき課題として「Quartz事業における有料課金事業の拡大」を記載しておりましたが、「(1) 経営成績の状況」において記載の通り、Quartz事業から撤退することを決定しています。今後は、SPEEDA事業、NewsPicks事業並びにその他事業に経営資源を集中し、収益基盤の強化及び加速を図っていきます。
(5) 研究開発活動
該当事項はありません。
(1) 経営成績の状況
当社グループを取り巻く経営環境につきましては、国内情報サービス業の売上高規模は2019年においては12兆642億円(前年比4.1%増加)と8年連続で成長を続けています(経済産業省「特定サービス産業動態統計調査(2020年2月公表)」)。その中で、SaaS(Software as a Serviceの略称。月額課金や年額課金の仕組みを取っているウェブサービス)の国内市場規模は、年平均成長率が約12%で拡大しており、2025年に向けてDX(デジタル・トランスフォーメーション)の取り組みが加速しており、カテゴリーを問わずパッケージソフトからSaaSへの移行ニーズがますます高まっています。加えて新型コロナウイルスの影響でリモートワークが拡大し、IT投資に消極的であった中堅、中小企業においてもソフトウェア導入が進展しており、それらの流れもあり、SaaSの国内市場規模は2023年には約1兆574億円に拡大する見込みです(富士キメラ総研「2020 クラウドコンピューティングの現状と将来展望」)。また、スマートフォンの個人保有率は2019年において67.6%(前年比2.9ポイント増)と普及が進んでいます(総務省「令和元年通信利用動向調査(2020年5月29日公表)」)。更に、インターネット広告費の国内の市場規模は、2019年に初めて2兆円を超え、テレビメディア広告費を抜き2兆1,048億円と前年比で22.9%と拡大しています(株式会社電通「2019年 日本の広告費(2020年3月公表)」)。また、米国における2019年のインターネット広告市場は、1,246億米ドル(1ドル110円換算で13兆7,060億円)と前年比で115.9%と拡大しています(PwC及びIABによる共同調査「IAB internet advertising revenue report(2020年5月公表)」)。
一方で、新型コロナウイルス感染拡大の影響により世界規模で経済活動の制限を受けることを余儀なくされ、米国では4~6月期のGDP(確定値)は、前期比年率換算で31.4%減少しており、日本国内においても、4~6月期のGDP(速報値)は年率換算で27.8%減となりました。ただし、足元では国内外の経済活動が徐々に再開されつつあり、7~9月期のGDPについては、前期に大幅な落ち込みとなった反動もあり、米国は前期比年率プラスに増加したとの発表がありましたが、まだ予断を許さない状況が続いています。
今後、withコロナ時代において、クラウドサービス導入や良質なメディアコンテンツなど、当社グループの提供サービスへのニーズは、より一層高まっているものと認識しています。
このような環境のもと、SPEEDA事業では新規獲得ID数の順調な積み上げによりMRR(Monthly Recurring Revenueの略称。継続課金による月次収益で、初期費用等の一時的な売上は含まない)が拡大しました。NewsPicks事業では第2四半期連結累計期間にかけて新型コロナウイルス関連の良質なコンテンツをスピーディーに、かつ多数配信したことで、有料課金ユーザー数が大幅に増加しMRRも大幅に拡大しました。その反動から当第3四半期連結会計期間においては、新規有料会員の獲得ペースは鈍化した一方で、コロナ下における良質なメディアコンテンツの発信により、媒体としてのプレゼンスをさらに高めたことから広告売上は前年同期比で28.8%増加しました。
Quartz事業においては、2020年5月14日に広告事業を中心としたリストラクチャリングの実行を決定し、当第3四半期連結会計期間において販売費及び一般管理費は前年同期比で圧縮されました。有料課金ビジネスは順調に推移しているものの、新型コロナウイルス感染症の影響による広告売上の大幅な減少から、EBITDAはマイナスとなっています。また、営業損失については、EBITDAのマイナス要因に加え、Quartz社の買収に伴い発生したのれんの償却費等が影響しています。
その結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は9,938百万円(前年同期比17.3%増加)、EBITDAは395百万円(前年同期は△832百万円)、営業損失は309百万円(前年同期は営業損失1,436百万円)、経常損失は488百万円(前年同期は経常損失1,558百万円)となりました。なお、株式会社ミーミルを連結子会社化したことに伴う段階取得に係る差益104百万円を計上した一方、Quartz社の構造改革に係る費用282百万円を計上したこと、Quartz事業ののれん等の減損損失7,827百万円を計上したこと及び法人税等を△2,367百万円計上したこと(注)等により、親会社株主に帰属する四半期純損失は6,063百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失1,571百万円)となりました。
(注)当社は2020年11月9日付の取締役会決議によって、Quartz事業から撤退することを決定しました。本決定に伴い、当第3四半期連結累計期間においてのれん等の減損損失7,827百万円を計上しています。また、これに伴い、当第3四半期連結会計期間において、子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の一時差異に関する繰延税金資産を、回収可能性を考慮したうえで計上しています。
詳細については、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」及び「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」をご参照ください。
セグメントの業績は次の通りです。
なお、当社グループにおいては複数の事業の国内外での展開を進めており、コーポレート業務に係るコストが複雑化しています。そこで、報告セグメント別の経営成績をより適切に反映させるため、第1四半期連結会計期間より、グループ共通のコーポレート業務に係るコストの配賦方法を、より各セグメントの事業実態に合った合理的な配賦基準に基づき配賦する方法に変更しています。
具体的には、当社グループのコーポレート業務に係るコストを以下の2つに分類し、Direct Costに関しては、費目ごとに事業実態に合った合理的な配賦基準に基づき配賦し、Indirect Costに関しては、各報告セグメントの売上高を基準として配賦しています。
・Direct Cost:提供サービスや事業に直接紐づくコスト
・Indirect Cost:提供サービスや事業に直接紐づかない連結グループ全体経営のために発生する全社費用(例:上場維持コスト、監査報酬、役員報酬など)
また、従来より報告セグメントごとに開示をしていたセグメント別のEBITDAの金額については、より適切に各報告セグメントの収益力を表示する観点から、経営上の業績評価となる指標であるDirect EBITDA及びセグメントEBITDAを表示しています。
セグメント利益又は損失、Direct EBITDA及びセグメントEBITDAは下記の通り算出しています。
・セグメント利益又は損失:Direct Costのみ配賦して算出した金額
・Direct EBITDA:セグメント利益又は損失に、減価償却費及びのれんの償却費を加えた金額(上記Indirect Costである全社費用配賦前の金額)
・セグメントEBITDA:Direct EBITDAに、Indirect Costである全社費用を配賦した金額
① SPEEDA事業
SPEEDA事業においては、第1四半期連結会計期間から引き続き、中国における新型コロナウイルス感染症の影響により、中国を中心としたアジア地域における契約IDの獲得が鈍化したものの、日本国内における契約IDの獲得は順調に進みました。また、第2四半期連結会計期間において、日本国内に約7,000名のエキスパート・ネットワークを有する株式会社ミーミルを100%子会社化し、当第3四半期連結会計期間において、ミーミルのエキスパートリサーチ事業をSPEEDAに統合し、多様な業界・分野の第一線で活躍する専門家の知見を含む、総合的な経済情報プラットフォームとしてSPEEDAを刷新しました。第一段のサービスとして、「今、専門家に聞く」機能、FLASH Opinionをリリースしました。これらにより、当第3四半期連結累計期間末におけるMRRは448百万円となりました。また、今後は、2020年5月に資本業務提携を実施した、世界180か国以上、約10,000名のエキスパート・ネットワークを保有する米国GlobalWonks, Inc.とのアライアンスも活かして世界中の専門家への知見へのアクセスを可能にし、意思決定に必要な質の高い情報を得ることができるグローバルな経済情報プラットフォームを目指していきます。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間におけるセグメント売上高は4,035百万円(前年同期比21.8%増加)、セグメント利益は1,747百万円(前年同期比29.0%増加)、Direct EBITDAは1,785百万円(前年同期比30.4%増加)、セグメントEBITDAは1,552百万円(前年同期比26.8%増加)となりました。
なお、前年同期との比較・分析は、上述の変更後のセグメント利益又は損失の測定方法より算出したものに基づいて記載しています(以下、他の事業についても同様です)。
② NewsPicks事業
NewsPicks事業においては、第2四半期連結累計期間にかけてwithコロナの世界を見据えた良質な特集記事や動画コンテンツをスピーディーに、かつ多数配信することで、有料会員数を大幅に増加させました。その反動から当第3四半期連結会計期間においては、新規有料会員の獲得ペースは鈍化した一方で、コロナ下における良質なメディアコンテンツの発信により、媒体としてのプレゼンスをさらに高めました。その影響により広告受注が順調に増加し、当第3四半期連結累計期間における広告売上は前年同期比で28.8%増加となりました。また、重視している指標であるMRRは、当第3四半期連結累計期間末において234百万円となりました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間におけるセグメント売上高は4,067百万円(前年同期比47.1%増加)、セグメント利益は509百万円(前年同期比177.0%増加)、Direct EBITDAは604百万円(前年同期比192.2%増加)、セグメントEBITDAは369百万円(前年同期比329.0%増加)となりました。
③ Quartz事業
Quartz事業においては、新規に注力している有料課金事業は拡大している一方で、既存事業である広告事業は新型コロナウイルスの広がりによる景気悪化影響を強く受け、売上高は前年同期比で大幅に減少しました。しかしながら昨年来の運営コストの削減と第2四半期連結会計期間に実施した広告事業を中心とした事業構造改革によって、当第3四半期連結会計期間において販売費及び一般管理費は前年同期比で圧縮されました。また、当第3四半期連結累計期間においても有料会員数は増加し、当第3四半期連結累計期間末におけるMRRは16百万円、ARR(Annual Recurring Revenueの略称で、年間定額収益。MRRを12倍して算出したもの)は約2億円へと拡大しましたが、現状は売上高に占める割合は軽微です。
これらの結果から、当第3四半期連結累計期間におけるセグメント売上高は841百万円(前年同期比53.6%減少)、セグメント損失は1,954百万円(前年同期はセグメント損失2,467百万円)、Direct EBITDAは△1,458百万円(前年同期は△1,965百万円)、セグメントEBITDAは△1,507百万円(前年同期は△2,044百万円)となりました。
なお、当社は2020年11月9日付の取締役会決議によって、Quartz事業から撤退することを決定しました。詳細につきましては、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」及び「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」をご参照ください。
④ その他事業
その他事業においては、B2BマーケティングプラットフォームFORCAS(フォーカス)が順調に顧客獲得を進め、当第3四半期連結累計期間末におけるFORCASのMRRは91百万円まで増加しました。第2四半期連結会計期間においてはMRRの増加ペースが鈍化していましたが、当第3四半期連結会計期間においては増加ペースが回復しており、MRR1億円の水準が見通せる事業に成長しています。加えて、昨年末の経営体制の変更に伴うSPEEDAとの連携強化により、スタートアップデータベースのINITIAL(イニシャル)が成長を加速させており、2017年1月に買収してから3年後である前連結会計年度において通期黒字化を達成し、当第3四半期連結累計期間においても継続してEBITDAは黒字となっております。またその他事業としても、セグメントEBITDAは1百万円となり引き続き黒字体質の安定化を目指しつつ投資回収を図ってまいります。
以上の結果、その他事業の当第3四半期連結累計期間におけるセグメント売上高は1,021百万円(前年同期比71.1%増加)、セグメント利益は39百万円(前年同期はセグメント損失79百万円)、Direct EBITDAは60百万円(前年同期は△66百万円)、セグメントEBITDAは1百万円(前年同期は△92百万円)となりました。
(2) 財政状態の状況
(資産)
資産合計は、前連結会計年度と比較して2,422百万円減少し、18,536百万円となりました。これは主に、流動資産において現金及び預金が公募増資等により2,380百万円増加した一方、受取手形及び売掛金が回収等により794百万円減少したこと、固定資産においては、のれんの償却及びQuartz事業に係るのれんの減損を行ったことからのれんが8,035百万円減少したこと等により、無形固定資産が7,816百万円減少したこと、Quartz事業からの撤退の意思決定に関連して繰延税金資産が2,958百万円増加したこと等から、投資その他の資産が3,435百万円増加したこと等によるものです。
(負債)
負債合計は、前連結会計年度と比較して2,554百万円減少し、11,271百万円となりました。これは主に、法人税等の支払等により未払法人税等が570百万円減少したこと、返済により長期借入金及び1年内返済予定の長期借入金が2,662百万円減少したこと等によるものです。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度と比較して132百万円増加し、7,264百万円となりました。これは主に、当第3四半期連結累計期間に親会社株主に帰属する四半期純損失6,063百万円を計上したことに伴い利益剰余金が6,063百万円減少した一方、公募増資等により資本金が3,058百万円増加、資本剰余金が3,059百万円増加したこと等によるものです。
(3) 経営方針・経営戦略等
「(1) 経営成績の状況」に記載の通り、当社は2020年11月9日付の取締役会決議によって、Quartz事業から撤退することを決定しました。当社グループのミッションである「経済情報で、世界を変える」を実現するための、SPEEDA事業、NewsPicks事業並びにその他事業における中長期的な経営戦略に変更はなく、今後はより高い成長と収益性が見込めるこれらの事業に経営資源を集中し、企業価値の更なる拡大を図っていきます。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、2020年3月27日に提出した第12期有価証券報告書の「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に対処すべき課題として「Quartz事業における有料課金事業の拡大」を記載しておりましたが、「(1) 経営成績の状況」において記載の通り、Quartz事業から撤退することを決定しています。今後は、SPEEDA事業、NewsPicks事業並びにその他事業に経営資源を集中し、収益基盤の強化及び加速を図っていきます。
(5) 研究開発活動
該当事項はありません。