四半期報告書-第14期第1四半期(令和3年1月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/05/13 15:01
【資料】
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【項目】
34項目
文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び関係会社)が判断したものです。
(1) 経営成績の状況
当社グループを取り巻く経営環境については、国内情報サービス業の売上高規模は2020年においては12兆9,102億円(前年比7%増加)と9年連続で成長を続けています(経済産業省「特定サービス産業動態統計調査(2021年2月公表)」)。その中で、SaaS(Software as a Serviceの略称。月額課金や年額課金の仕組みを取っているウェブサービス)の国内市場規模は、年平均成長率が約13%で拡大しており、2025年に向けてDX(デジタル・トランスフォーメーション)の取り組みが加速しており、カテゴリーを問わずパッケージソフトからSaaSへの移行ニーズがますます高まっています。加えて新型コロナウイルス感染症の影響でリモートワークが拡大し、IT投資に消極的であった中堅、中小企業においてもソフトウェア導入が進展しています。こうした流れもあり、SaaSの国内市場規模は2024年には約1兆1,178億円に拡大する見込みです(富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2020年版」)。また、スマートフォンの個人保有率は2019年において67.6%(前年比2.9ポイント増)と普及が進んでいます(総務省「令和元年通信利用動向調査(2020年5月29日公表)」)。更に、インターネット広告費の市場規模は、2019年に初めて2兆円を超え、2020年にはテレビメディア広告費を抜き2兆2,290億円と前年比で5.9%と拡大しています(株式会社電通「2020年 日本の広告費(2021年2月25日公表)」)。
一方で、2020年3月頃から拡大している新型コロナウイルス感染症は、様々な産業にその影響を及ぼしています。2020年4月には国内で初の緊急事態宣言が発令され、その後、2021年1月にも二度目の緊急事態宣言が発令されました。さらに、2021年4月には、東京都などにおいて、三度目の緊急事態宣言が発令されており、依然として新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が継続しています。
当社としては、withコロナ時代において、クラウドサービス導入や良質なメディアコンテンツなど、当社グループの提供サービスへのニーズは、今後もより一層高まっていくものと認識しています。
このような環境下において、当第1四半期連結会計期間における当社グループの事業は順調に拡大を続けています。
SPEEDA事業では新規獲得ID数が安定的に増加し、また、既存顧客からのアップセルも進んだことから、MRR(Monthly Recurring Revenueの略称。継続課金による月次収益で、初期費用等の一時的な売上は含まない)は前年同期比15.3%増と、前第4四半期連結会計期間(13.0%増)と比較して成長率が回復しています。
NewsPicks事業では、新型コロナウイルス関連の良質なコンテンツをスピーディーに、かつ多数配信したことで、前第2四半期連結会計期間において有料課金ユーザー数が大幅に増加し、MRRの拡大に寄与した影響が持続しています。また、2019年より注力している法人向け有料課金事業も堅調に推移しています。これらのことから、MRRは前年同期比38.4%増と大幅に拡大しました。また、前第4四半期連結会計期間において過去最高を更新した広告売上高は、当第1四半期連結会計期間においてもその勢いを継続しています。
その他B2B事業においても、FORCASとINITIALのMRRがともに順調に拡大しています。
なお、2020年11月に赤字であったQuartz事業から撤退したことによって、EBITDA並びに各段階利益が大幅に改善しました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間における売上高は3,965百万円(前年同期比25.0%増加)、EBITDAは837百万円(前年同期は△42百万円)、営業利益は739百万円(前年同期は営業損失263百万円)、経常利益は677百万円(前年同期は経常損失317百万円)となりました。なお、法人税等を235百万円計上したこと等により、親会社株主に帰属する四半期純利益は482百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失473百万円)となりました。
セグメントの業績は次の通りです。
なお、当社グループにおいては複数の事業を国内外で展開しており、コーポレート業務に係るコストが複雑化しています。そこで、報告セグメント別の経営成績を適切に反映させるため、グループ共通のコーポレート業務に係るコストを、各セグメントの事業実態に合った合理的な配賦基準に基づき配賦しています。
具体的には、当社グループのコーポレート業務に係るコストを以下の2つに分類し、Direct Costに関しては、費目ごとに事業実態に合った合理的な配賦基準に基づき配賦し、Indirect Costに関しては、各報告セグメントの売上高を基準として配賦しています。
・Direct Cost:提供サービスや事業に直接紐づくコスト
・Indirect Cost:提供サービスや事業に直接紐づかない連結グループ全体経営のために発生する全社費用(例:上場維持コスト、監査報酬、役員報酬など)
また、各報告セグメント別のEBITDAについては、適切に各報告セグメントの収益力を表示する観点から、経営上の業績評価となる指標であるDirect EBITDA及びセグメントEBITDAを表示しています。
セグメント利益又は損失、Direct EBITDA及びセグメントEBITDAは下記の通り算出しています。
・セグメント利益又は損失:Direct Costのみ配賦して算出した金額
・Direct EBITDA:セグメント利益又は損失に、減価償却費及びのれんの償却費を加えた金額(上記Indirect Costである全社費用配賦前の金額)
・セグメントEBITDA:Direct EBITDAに、Indirect Costである全社費用を配賦した金額
① SPEEDA事業
SPEEDA事業においては、国内では新規獲得ID数が安定的に増加し、また、既存顧客からのアップセルも進みました。中国を中心としたアジア地域においても、昨年の新型コロナウイルス感染症の影響は落ち着きをみせ、新規IDの獲得が進みました。一方で、解約率は前第4四半期連結会計期間と比較し横ばいとなり、下げ止まりを見せています。また、前第2四半期連結会計期間に株式会社ミーミルを100%子会社化し、SPEEDAとミーミルのエキスパートリサーチ事業の統合を進めてきました。当第1四半期連結会計期間においては、エキスパートリサーチ事業の立ち上げを重点投資領域に掲げ、マーケティングや営業職を中心とした人材採用を強化しています。
以上の結果、SPEEDA事業の当第1四半期連結会計期間末におけるMRRは485百万円となり、前年同期比15.3%増と前第4四半期連結会計期間(13.0%)と比較して成長率が回復しています。また、エキスパートリサーチ事業が順調に立ち上がっていることから、セグメント売上高は1,596百万円(前年同期比23.8%増加)と、売上高成長率も向上しています。一方で、エキスパートリサーチ事業への投資によって、セグメント利益は625百万円(前年同期比7.8%増加)、Direct EBITDAは645百万円(前年同期比10.2%増加)、セグメントEBITDAは547百万円(前年同期比6.7%増加)となりました。
② NewsPicks事業
NewsPicks事業においては、前第2四半期連結会計期間において、新型コロナウイルス関連の良質なコンテンツをスピーディーに、かつ多数配信したことで、有料課金ユーザー数が大幅に増加し、2019年より注力している法人向け有料課金事業も堅調に推移したことで、MRRは254百万円と前年同期比38.4%増と大幅に拡大しました。広告売上においても、2018年から注力してきた動画広告が売上を牽引し、過去最高の広告売上高を更新した前第4四半期連結会計期間の勢いを継続しています。また、新規事業である出版事業やNewSchool事業も売上高の拡大に大きく貢献しています。
以上の結果、NewsPicks事業の当第1四半期連結累計期間におけるセグメント売上高は1,945百万円(前年同期比53.5%増加)と大幅に増加し、利益率の高い事業の売上が増加したこともあり、セグメント利益は394百万円(前年同期比134.5%増加)、Direct EBITDAは444百万円(前年同期比130.7%増加)、セグメントEBITDAは324百万円(前年同期比167.7%増加)となりました。
③ その他B2B事業
その他B2B事業においては、スタートアップデータベースのINITIAL(イニシャル)、B2BマーケティングプラットフォームFORCAS(フォーカス)ともに新規の顧客獲得が進みました。また、前第4四半期連結会計期間より営業組織の生産性向上を実現するセールスリサーチプラットフォームFORCAS Sales(フォーカスセールス)の販売を開始し、FORCAS Salesは当連結会計年度における重点投資領域となっています。
FORCAS Salesへの投資を行いながらも、INITIALだけでなくFORCASも黒字化を達成したため、当第1四半期連結会計期間におけるEBITDAは黒字での着地となり、前年同期比でも拡大しました。
以上の結果、その他B2B事業の当第1四半期連結累計期間におけるセグメント売上高は438百万円(前年同期比32.9%増加)、セグメント利益は30百万円(前年同期比70.2%増加)、Direct EBITDAは39百万円(前年同期比62.5%増加)、セグメントEBITDAは12百万円(前年同期比116.9%増加)となりました。
(注)当第1四半期連結会計期間より、従来「その他事業」としていた報告セグメントの名称を「その他B2B事業」に変更しています。当該変更はセグメント名称の変更のみであり、セグメント情報に与える影響はありません。
(2) 財政状態の状況
(資産)
資産合計は、前連結会計年度末と比較して267百万円増加し、16,182百万円となりました。これは主に、流動資産において現金及び預金が141百万円減少した一方で、受取手形及び売掛金が488百万円増加したこと、投資その他の資産において、繰延税金資産が税務上の繰越欠損金の利用等により74百万円減少したこと等によるものです。
(負債)
負債合計は、前連結会計年度末と比較して225百万円減少し、8,570百万円となりました。これは主に、流動負債において前受収益が234百万円増加した一方、固定負債において長期借入金が359百万円減少したこと等によるものです。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末と比較して493百万円増加し、7,611百万円となりました。これは主に、当第1四半期連結累計期間に親会社株主に帰属する四半期純利益482百万円を計上したことに伴い利益剰余金が482百万円増加したこと等によるものです。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
該当事項はありません。