四半期報告書-第14期第2四半期(令和3年4月1日-令和3年6月30日)

【提出】
2021/08/05 15:00
【資料】
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【項目】
38項目
文中の将来に関する事項は、当第2四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び当社の関係会社)が判断したものです。
(1) 経営成績の状況
当社グループを取り巻く経営環境については、国内情報サービス業の売上高規模は2020年においては12兆9,102億円(前年比7.0%増)と9年連続で成長を続けています(経済産業省「特定サービス産業動態統計調査(2021年2月公表)」)。その中で、SaaS(Software as a Serviceの略称。月額課金や年額課金の仕組みを取っているウェブサービス)の国内市場規模は、年平均成長率が約13%で拡大しており、2025年に向けてDX(デジタル・トランスフォーメーション)の取り組みが加速しており、カテゴリーを問わずパッケージソフトからSaaSへの移行ニーズがますます高まっています。加えて新型コロナウイルス感染症の影響でリモートワークが拡大し、IT投資に消極的であった中堅、中小企業においてもソフトウェア導入が進展しています。こうした流れから、SaaSの国内市場規模は2024年には約1兆1,178億円に拡大する見込みです(富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2020年版」)。また、スマートフォンの個人保有率は2020年において69.3%(前年比1.7ポイント増)と普及が進んでいます(総務省「令和2年通信利用動向調査(2021年6月18日公表)」)。更に、インターネット広告費の市場規模は、2019年に初めて2兆円を超えてテレビメディア広告費を抜き、2020年には2兆2,290億円(前年比5.9%増)と拡大しています(株式会社電通「2020年 日本の広告費(2021年2月25日公表)」)。
一方で、2020年3月ごろから拡大している新型コロナウイルス感染症は、様々な産業にその影響を及ぼしています。2020年4月には国内で初の緊急事態宣言が発令され、その後、2021年1月と2021年4月にも緊急事態宣言が発令されました。また、2021年7月より、東京都において、四度目の緊急事態宣言が発令されており、依然としてコロナウイルス感染症の影響により、厳しい経済状況が継続しています。
当社としては、withコロナ時代において、クラウドサービスの導入や良質なメディアコンテンツへの期待など、当社グループの提供サービスへのニーズは、今後もより一層高まっていくものと認識しています。
このような環境下において、当第2四半期連結会計期間における当社グループの事業は順調に拡大を続けています。
SPEEDA事業では、新規獲得ID数が安定的に積み上げられ、また、既存顧客からのアップセルも進み、MRR(Monthly Recurring Revenueの略称。継続課金による月次収益で、初期費用等の一時的な売上は含まない)は前年同期比17.8%増と、成長率が回復しています。
NewsPicks事業では、前第2四半期連結会計期間において新型コロナウイルス関連の良質なコンテンツをスピーディーに、かつ多数配信したことで、有料課金ユーザー数が大幅に増加し、MRRが拡大しました。しかし、その反動から、当第2四半期連結会計期間においては有料課金ユーザー数の伸び率が鈍化しています。一方、2019年より注力している法人向け有料課金事業は堅調に推移しています。これらのことから、MRRは前年同期比10.0%増と拡大しました。また、前第4四半期連結会計期間において過去最高を更新した広告売上高は、その勢いを継続し拡大しています。
その他B2B事業においても、FORCASとINITIALのMRRがともに順調に拡大しています。
なお、2020年11月に赤字であったQuartz事業から撤退したことによって、EBITDAと各段階利益が大幅に改善しました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間における売上高は7,863百万円(前年同期比23.8%増加)、EBITDAは1,434百万円(前年同期は△104百万円)、営業利益は1,231百万円(前年同期は営業損失551百万円)、経常利益は1,141百万円(前年同期は経常損失665百万円)となりました。なお、法人税等を439百万円計上したこと等により、親会社株主に帰属する四半期純利益は743百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失1,110百万円)となりました。
セグメントの業績は次の通りです。
なお、当社グループにおいては複数の事業を国内外で展開しており、コーポレート業務に係るコストが複雑化しています。そこで、報告セグメント別の経営成績を適切に反映させるため、グループ共通のコーポレート業務に係るコストを、各セグメントの事業実態に合った合理的な配賦基準に基づき配賦しています。
具体的には、当社グループのコーポレート業務に係るコストを以下の2つに分類し、Direct Costに関しては、費目ごとに事業実態に合った合理的な配賦基準に基づき配賦し、Indirect Costに関しては、各報告セグメントの売上高を基準として配賦しています。
・Direct Cost:提供サービスや事業に直接紐づくコスト
・Indirect Cost:提供サービスや事業に直接紐づかない連結グループ全体経営のために発生する全社費用(例:上場維持コスト、監査報酬、役員報酬など)
また、各報告セグメント別のEBITDAについては、適切に各報告セグメントの収益力を表示する観点から、経営上の業績評価となる指標であるDirect EBITDA及びセグメントEBITDAを表示しています。
セグメント利益又は損失、Direct EBITDA及びセグメントEBITDAは下記の通り算出しています。
・セグメント利益又は損失:Direct Costのみ配賦して算出した金額
・Direct EBITDA:セグメント利益又は損失に、減価償却費及びのれんの償却費を加えた金額(上記Indirect Costである全社費用配賦前の金額)
・セグメントEBITDA:Direct EBITDAに、Indirect Costである全社費用を配賦した金額
① SPEEDA事業
SPEEDA事業においては、国内では新規獲得ID数が安定的に積み上げられ、また、既存顧客からのアップセルも進みました。中国を中心としたアジア地域においても、昨年の新型コロナウイルス感染症の影響は落ち着きを見せ、新規IDの獲得が進みました。直近12ヶ月平均解約率については、横ばいで推移しています。また、前第2四半期連結会計期間に、株式会社ミーミルを100%子会社化し、SPEEDAとミーミルのエキスパートリサーチ事業の統合を進めてきました。当連結会計年度においては、エキスパートリサーチ事業の立ち上げを重点投資領域に掲げ、マーケティングや営業職を中心とした人材採用を強化しています。
こうした中で、SPEEDA事業の当第2四半期連結会計期間末におけるMRRは512百万円となり、前年同期比17.8%増と成長率が回復しています。また、エキスパートリサーチ事業が順調に立ち上がっていることから、当第2四半期連結累計期間におけるセグメント売上高は3,256百万円(前年同期比23.1%増加)と、売上高成長率も回復傾向にあります。各段階利益については、エキスパートリサーチ事業への投資や来期以降の売上拡大に向けた人材採用によって、セグメント利益は1,293百万円(前年同期比9.7%増加)、Direct EBITDAは1,337百万円(前年同期比11.6%増加)、セグメントEBITDAは1,137百万円(前年同期比8.4%増加)となりました。
② NewsPicks事業
NewsPicks事業においては、前第2四半期連結会計期間において、新型コロナウイルス関連の良質なコンテンツをスピーディーに、かつ多数配信したことにより、有料課金ユーザー数が大幅に増加しました。しかし、その反動で、当第2四半期連結会計期間においては有料課金ユーザー数の伸びは鈍化しています。一方、2019年より注力している法人向け有料課金事業は堅調に推移し、MRRは252百万円となり、前年同期比10.0%増と拡大しました。広告売上においても、2018年から注力してきた動画広告が売上を牽引し、過去最高の広告売上高を更新した前第4四半期連結会計期間の勢いを継続しています。また、2019年に開始した出版事業や2020年に開始したNewSchool事業も売上高の拡大に大きく貢献しています。
以上の結果、NewsPicks事業の当第2四半期連結累計期間におけるセグメント売上高は3,710百万円(前年同期比47.5%増加)と大幅に増加しました。また、広告事業が引き続き好調だったこと等により、セグメント利益は540百万円(前年同期比203.2%増加)、Direct EBITDAは642百万円(前年同期比185.5%増加)、セグメントEBITDAは414百万円(前年同期比400.5%増加)となりました。
③ その他B2B事業
その他B2B事業においては、スタートアップデータベースのINITIAL(イニシャル)、B2BマーケティングプラットフォームFORCAS(フォーカス)ともに顧客獲得が進みました。また、前第4四半期連結会計期間より営業組織の生産性向上を実現するセールスリサーチプラットフォームFORCAS Sales(フォーカスセールス)の販売を開始し、FORCAS Salesは当連結会計年度における重点投資領域となっています。
FORCAS Salesへの投資を行いながらも、INITIALだけでなくFORCASも黒字化を達成していることから、当第2四半期連結会計期間においてもその他B2B事業のセグメントEBITDAは黒字となっています。
以上の結果、その他B2B事業の当第2四半期連結累計期間におけるセグメント売上高は925百万円(前年同期比39.2%増加)、セグメント利益は41百万円(前年同期比12.7%増加)、Direct EBITDAは59百万円(前年同期比20.8%増加)、セグメントEBITDAは2百万円(前年同期比76.8%減少)となりました。
(注)第1四半期連結会計期間より、従来「その他事業」としていた報告セグメントの名称を「その他B2B事業」に変更しています。当該変更はセグメント名称の変更のみであり、セグメント情報に与える影響はありません。
(2) 財政状態の状況
(資産)
資産合計は、前連結会計年度末と比較して1,855百万円増加し、17,770百万円となりました。これは主に、流動資産において現金及び預金が1,694百万円増加したこと等によるものです。
(負債)
負債合計は、前連結会計年度末と比較して512百万円増加し、9,309百万円となりました。これは主に、流動負債において前受収益が934百万円、未払法人税等が269百万円増加した一方、固定負債において長期借入金が639百万円減少したこと等によるものです。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末と比較して1,342百万円増加し、8,460百万円となりました。これは主に、当第2四半期連結累計期間に親会社株主に帰属する四半期純利益743百万円を計上したことに伴い利益剰余金が743百万円増加したこと、連結子会社である株式会社UB Venturesの運営するファンドにおける外部投資家からの払込等により非支配株主持分が550百万円増加したこと等によるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比べ1,689百万円増加し、9,202百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、2,057百万円の収入(前年同期は265百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益1,141百万円を計上したこと及び前受収益が929百万円増加したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、571百万円の支出(前年同期は931百万円の支出)となりました。主に、当社による株式会社オンリーストーリーへのマイノリティ出資及び株式会社UB Venturesの運営するファンドによる投資有価証券の取得による支出352百万円、プロダクト開発に伴う無形固定資産の取得による支出139百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、171百万円の収入(前年同期は722百万円の収入)となりました。主に、株式会社UB Venturesの運営するファンドにおける組合員からの払込による収入585百万円、長期借入金の返済による支出380百万円によるものです。
(4) 経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動
該当事項はありません。