有価証券報告書-第25期(2023/04/01-2024/03/31)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析、検討内容は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 重要性がある会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下、「連結財務諸表規則」という。)第93条の規則によりIFRSに準拠して作成しています。連結財務諸表の作成にあたり、経営者の判断に基づく会計方針の選択と適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となりますが、その判断及び見積りに関しては連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しています。しかしながら、実際の結果は、見積り特有の不確実性を伴うことから、これら見積りと異なる可能性があります。
なお、再生可能エネルギー事業は多額の初期投資を必要とする事業であり、減価償却費等の償却費の費用に占める割合が大きくなる傾向にあります。一過性の償却負担に過度に左右されることなく、企業価値の増大を目指し、もって株式価値の向上に努めるべく、当社グループでは業績指標として金利・税金・償却前利益であるEBITDAを重視しています。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要性がある会計方針、会計上の見積り及び判断は、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針」、「2 作成の基礎 (5) 見積り及び判断の利用」に記載しています。
(2) 経営成績の分析
当連結会計年度における当社グループの「再生可能エネルギー発電事業」においては、運転開始済みの太陽光発電所、バイオマス発電所、陸上風力発電所及び地熱発電所(合計設備容量約830.7MW)はいずれも設備の大きなトラブル等なく、発電量が順調に推移しました。2023年6月に人吉ソーラー匿名組合事業(出力20.8MW。発電端出力ベースの発電容量)、2023年11月に合同会社杜の都バイオマスエナジー(出力74.95MW。発電端出力ベースの発電容量)、2023年12月に徳島津田バイオマス発電所(出力74.8MW。発電端出力ベースの発電容量)、2024年3月に合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジー(出力74.95MW。発電端出力ベースの発電容量)が営業運転を開始、さらにNon-FIT(法人間のPPA、FIP等)による小規模分散型の太陽光発電所も順次運転を開始したことで、発電量は順調に増加しました。また、人吉ソーラー匿名組合事業に関しては、2023年5月31日に「匿名組合出資持分等の譲渡に関する確認書」に基づき、共同スポンサーが保有する匿名組合出資持分を買い増す権利を行使したため、当社の出資比率は100%となりました。さらに、2023年12月には、当社の持分法適用会社であった合同会社杜の都バイオマスエナジーの出資持分を追加取得(出資比率60.0%)、2024年3月には同じく当社の持分法適用会社であった合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジーの出資持分を追加取得(出資比率51.0%)し、当社の連結子会社としました。なお、当社の連結子会社であるユナイテッドリニューアブルエナジー株式会社が保有・運営する秋田バイオマス発電所は、発電事業の収益性を向上させる観点から2023年9月1日よりFIP制度を活用し、小売電気事業者への長期価格固定契約に基づく売電を開始しました。また、2024年3月の運転開始に向けて試運転を進めていた合同会社御前崎港バイオマスエナジーは長期間の安定稼働に向けたボイラ・タービン設備の最終調整に時間を要しているため、営業運転開始時期を2024年7月中(予定)に変更しました。
なお、当連結会計年度において行われた出力抑制により、九重ソーラー匿名組合事業が43日(計292.5時間)、大津ソーラー匿名組合事業が41日(計301.5時間)、軽米西ソーラー匿名組合事業が1日(計6.0時間)、軽米東ソーラー匿名組合事業が1日(計6.0時間)、軽米尊坊ソーラー匿名組合事業が2日(計8.5時間)、株式会社菊川石山ソーラーが1日(計8.0時間)、株式会社菊川堀之内谷ソーラーが1日(計8.0時間)、四日市ソーラー匿名組合事業が1日(計8.0時間)、人吉ソーラー匿名組合事業が85日(計374.0時間)稼働を停止しました。また、ユナイテッドリニューアブルエナジー株式会社が11日(計78.0時間)の出力抑制(送電端において定格出力の75%に抑制)、苅田バイオマスエナジー株式会社が178日(計1,074.0時間)、合同会社杜の都バイオマスエナジーが3日(計14.0時間)、徳島津田バイオマス発電所合同会社が9日(計32.0時間)の出力抑制(送電端において定格出力の80%に抑制)に対応しましたが、これに伴う当社グループの逸失発電量は当社の計画の範囲内です。
「再生可能エネルギー開発・運営事業」においては、引き続き、国内外の新たな発電所・蓄電所の建設及び開発が進捗しています。
2023年6月に、当社グループとして初の系統用蓄電池事業となる姫路蓄電池匿名組合事業(持分法適用会社)の営業者である合同会社姫路蓄電所において、金融機関との間で融資関連契約を締結し、2023年8月に建設を開始しました。また、Non-FIT(法人間のPPA、FIP等)による再生可能エネルギー発電事業においては、RE100に取り組む企業や小売り電気事業者等との間でコーポレートPPAの締結が進捗しています。当社が新たに開発する太陽光発電所において発電した電力に付随する非FIT非化石価値証書に関し、2023年5月に株式会社村田製作所に対して最大約115MW、2023年8月及び2024年2月に株式会社大塚商会に対して最大計約22MWを固定価格で直接販売する環境価値売買契約をそれぞれ締結しました。さらに2023年6月に鈴与商事株式会社に対して最大約2MW、2023年12月には東邦ガス株式会社に対して最大10MW、いずれも期間20年の固定価格で直接販売する電力販売契約をそれぞれ締結しました。これらの契約により、当社のNon-FIT太陽光によるコーポレートPPAの契約設備容量は合計で171MWとなりました。加えて、建設着工済み又は運転開始済みの発電所SPCからの定常的な運営管理報酬及び配当・匿名組合分配益を享受しています。なお、当社子会社であるRENOVA RENEWABLES PHILIPPINES 1 PTE.LTD.を通じて、共同スポンサーと事業を推進し2021年4月より建設を進めてきたキアンガン水力発電事業は、設計変更に伴い事業規模を縮小し、設備容量を17.4MWから8.3MWに変更したため、当社子会社が出資する持分に関して全額の損失を計上しました。この他、2023年12月には、米国で太陽光発電や系統用蓄電池等の開発・運営を手掛けるPathway Power Holdings LLC(本社:米国カリフォルニア州サンディエゴ)の総額25百万米ドルの転換社債(Convertible Note)を引き受ける契約を締結しました。さらに、2024年4月1日の当社取締役会において、東京瓦斯株式会社(以下「東京ガス」といいます。)との間で資本業務提携契約を締結すること、及び東京ガスに対する第三者割当による新株式の発行を行うことについて決議し、2024年4月17日に払込手続きが完了いたしました。なお、ロシアによるウクライナ侵攻以降、資源価格・電力市場価格が高騰しました。足もとでは価格高騰に一定の落ち着きが見られる一方、バイオマス燃料は従前対比で高い水準で推移しており、当連結会計年度においてはバイオマス発電事業における燃料費の増加を通じて収益性への影響がありました。
これらの結果を受けた、当連結会計年度における経営成績は次のとおりです。
(単位:百万円)
(注)1.EBITDA=売上収益-燃料費-外注費-人件費+持分法による投資損益+その他の収益・費用
燃料費は、連結損益計算書における燃料費より、下記の影響額を調整しています。なお、当連結会計年度における調整額は△459百万円です。
・当社が企業結合したバイオマス発電事業SPCが保有する為替予約について、企業結合時点の包括利益
累計額が消去された影響
2.EBITDAマージン=EBITDA/売上収益
3.EBITDAはNon-GAAP指標です。
4.前第4四半期連結会計期間より、徳島津田バイオマス発電所合同会社が試運転を開始しました。
5.第1四半期連結会計期間より、人吉ソーラー匿名組合事業が運転を開始しました。
6.第3四半期連結会計期間より、徳島津田バイオマス発電所合同会社が運転を開始しました。
7.第3四半期連結会計期間より、合同会社杜の都バイオマスエナジーが運転を開始しました。
セグメント別の業績は以下のとおりとなりました。各セグメントの業績数値につきましては、セグメント間の内部取引高等を含めて表示しています。また、セグメント利益は、EBITDAにて表示しています。再生可能エネルギー事業は多額の初期投資を必要とする事業であり、全体の費用に占める減価償却費等の償却費の割合が大きい傾向にあります。当社グループでは、一過性の償却費負担に過度に左右されることなく、企業価値の増大を目指すべく、株式価値の向上に努めています。そのため、業績指標として金利・税金・償却前利益であるEBITDAを重視しています。
(報告セグメントごとの売上収益)
(単位:百万円)
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(報告セグメントごとの利益又は損失)
(単位:百万円)
(注)セグメント利益は、売上収益から燃料費、外注費、人件費を差し引き、持分法による投資損益、並びにその他の収益・費用を加算したEBITDA(Non-GAAP指標)にて表示しています。
燃料費は、連結損益計算書における燃料費より、下記の影響額を調整しています。なお、当連結会計年度における調整額は△459百万円です。
・当社が企業結合したバイオマス発電事業SPCが保有する為替予約について、企業結合時点の包括利益累計額
が消去された影響
(3) 財政状態の分析
当社グループでは、資本効率を向上させながら再生可能エネルギー発電所の開発投資を行うために、金融機関からの長期の借入れを活用しています。また、財務健全性を適切にモニタリングする観点から、保有する資産の実態的な価値を把握するほか、資本比率や親会社所有者帰属持分比率、純有利子負債とEBITDAの倍率(純有利子負債/EBITDA倍率)等の指標を重視しています。
当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益の計上による利益剰余金の増加及び当社子会社及び関連会社が保有する為替予約の公正価値変動によるその他の資本の構成要素の増加等により、当連結会計年度末の資本比率は22.7%(前連結会計年度末は21.3%)、親会社所有者帰属持分比率は14.6%(前連結会計年度末は14.2%)となりました。また、純有利子負債/EBITDA倍率(純有利子負債と直近の12ヶ月間に計上したEBITDAの倍率。なお、純有利子負債は、借入金及び社債、リース負債、並びにその他の金融負債に含まれる金融負債の合計から、現金及び現金同等物並びに引出制限付預金を差し引いた金額と定義)は、合同会社杜の都バイオマスエナジー及び合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジーの連結化による純有利子負債の増加等により、14.4倍(前連結会計年度末は8.7倍)となりました。
(資産の部)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ162,022百万円増加し、465,399百万円となりました。
主な増減要因は、合同会社杜の都バイオマスエナジーの運転開始及び連結化に伴う有形固定資産の増加(+41,424百万円)、徳島津田バイオマス発電所合同会社の運転開始に伴う有形固定資産の増加(+8,679百万円)、合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジーの運転開始及び連結化に伴う有形固定資産の増加(+30,673百万円)並びに連結子会社保有の金利スワップ及び為替予約の公正価値変動等によるその他の金融資産(非流動)の増加(+56,828百万円)です。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ121,055百万円増加し、359,701百万円となりました。
主な増減要因は、合同会社杜の都バイオマスエナジーの運転開始及び連結化に伴う長期借入金の増加(+54,064百万円)、合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジーの運転開始及び連結化に伴う長期借入金の増加(+38,775百万円)、主に合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジーにおける固定資産の検収に伴う営業債務及びその他の債務の増加(+4,157百万円)並びに連結子会社が保有する金利スワップ及び為替予約の公正価値変動等による繰延税金負債の増加(+9,798百万円)です。
(資本の部)
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ40,966百万円増加し、105,698百万円となりました。
主な増減要因は、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上による利益剰余金の増加(+8,857百万円)、連結子会社及び関連会社が保有する金利スワップ及び為替予約の公正価値変動を主要因とするその他の資本の構成要素の増加(+16,171百万円)、合同会社杜の都バイオマスエナジー及び合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジーの連結化等による非支配持分の増加(+15,915百万円)です。
(4)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比較して4,043百万円減少し、17,327百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、18,732百万円の収入(前年同期は10,132百万円の収入)となりました。主なキャッシュ・イン・フローは、「再生可能エネルギー発電事業」における売電先からの売電収入及びバイオマス発電事業における完工遅延損害金の受領、「再生可能エネルギー開発・運営事業」における前連結会計年度に計上した事業開発報酬の回収です。主なキャッシュ・アウト・フローは、「再生可能エネルギー発電事業」における発電設備の維持管理費用、事業用地の賃借料、各種税金、バイオマス燃料の仕入及び「再生可能エネルギー開発・運営事業」における開発支出(人件費等を含む)です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、24,354百万円の支出(前年同期は9,334百万円の支出)となりました。主なキャッシュ・アウト・フローは、主にバイオマス発電所における有形固定資産の取得による支出15,785百万円、子会社の取得による支出2,905百万円、投資有価証券の取得による支出2,835百万円及び持分法で会計処理されている投資の取得に係る支出2,434百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、1,384百万円の収入(前年同期は3,028百万円の収入)となりました。主なキャッシュ・イン・フローは、主に当社及びバイオマス発電所における長期借入れの実行による収入31,630百万円です。主なキャッシュ・アウト・フローは、長期借入金の返済による支出16,752百万円及び非支配株主への配当金の支払1,431百万円、及び引出制限付預金の増加11,534百万円です。
(1) 重要性がある会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下、「連結財務諸表規則」という。)第93条の規則によりIFRSに準拠して作成しています。連結財務諸表の作成にあたり、経営者の判断に基づく会計方針の選択と適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となりますが、その判断及び見積りに関しては連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しています。しかしながら、実際の結果は、見積り特有の不確実性を伴うことから、これら見積りと異なる可能性があります。
なお、再生可能エネルギー事業は多額の初期投資を必要とする事業であり、減価償却費等の償却費の費用に占める割合が大きくなる傾向にあります。一過性の償却負担に過度に左右されることなく、企業価値の増大を目指し、もって株式価値の向上に努めるべく、当社グループでは業績指標として金利・税金・償却前利益であるEBITDAを重視しています。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要性がある会計方針、会計上の見積り及び判断は、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針」、「2 作成の基礎 (5) 見積り及び判断の利用」に記載しています。
(2) 経営成績の分析
当連結会計年度における当社グループの「再生可能エネルギー発電事業」においては、運転開始済みの太陽光発電所、バイオマス発電所、陸上風力発電所及び地熱発電所(合計設備容量約830.7MW)はいずれも設備の大きなトラブル等なく、発電量が順調に推移しました。2023年6月に人吉ソーラー匿名組合事業(出力20.8MW。発電端出力ベースの発電容量)、2023年11月に合同会社杜の都バイオマスエナジー(出力74.95MW。発電端出力ベースの発電容量)、2023年12月に徳島津田バイオマス発電所(出力74.8MW。発電端出力ベースの発電容量)、2024年3月に合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジー(出力74.95MW。発電端出力ベースの発電容量)が営業運転を開始、さらにNon-FIT(法人間のPPA、FIP等)による小規模分散型の太陽光発電所も順次運転を開始したことで、発電量は順調に増加しました。また、人吉ソーラー匿名組合事業に関しては、2023年5月31日に「匿名組合出資持分等の譲渡に関する確認書」に基づき、共同スポンサーが保有する匿名組合出資持分を買い増す権利を行使したため、当社の出資比率は100%となりました。さらに、2023年12月には、当社の持分法適用会社であった合同会社杜の都バイオマスエナジーの出資持分を追加取得(出資比率60.0%)、2024年3月には同じく当社の持分法適用会社であった合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジーの出資持分を追加取得(出資比率51.0%)し、当社の連結子会社としました。なお、当社の連結子会社であるユナイテッドリニューアブルエナジー株式会社が保有・運営する秋田バイオマス発電所は、発電事業の収益性を向上させる観点から2023年9月1日よりFIP制度を活用し、小売電気事業者への長期価格固定契約に基づく売電を開始しました。また、2024年3月の運転開始に向けて試運転を進めていた合同会社御前崎港バイオマスエナジーは長期間の安定稼働に向けたボイラ・タービン設備の最終調整に時間を要しているため、営業運転開始時期を2024年7月中(予定)に変更しました。
なお、当連結会計年度において行われた出力抑制により、九重ソーラー匿名組合事業が43日(計292.5時間)、大津ソーラー匿名組合事業が41日(計301.5時間)、軽米西ソーラー匿名組合事業が1日(計6.0時間)、軽米東ソーラー匿名組合事業が1日(計6.0時間)、軽米尊坊ソーラー匿名組合事業が2日(計8.5時間)、株式会社菊川石山ソーラーが1日(計8.0時間)、株式会社菊川堀之内谷ソーラーが1日(計8.0時間)、四日市ソーラー匿名組合事業が1日(計8.0時間)、人吉ソーラー匿名組合事業が85日(計374.0時間)稼働を停止しました。また、ユナイテッドリニューアブルエナジー株式会社が11日(計78.0時間)の出力抑制(送電端において定格出力の75%に抑制)、苅田バイオマスエナジー株式会社が178日(計1,074.0時間)、合同会社杜の都バイオマスエナジーが3日(計14.0時間)、徳島津田バイオマス発電所合同会社が9日(計32.0時間)の出力抑制(送電端において定格出力の80%に抑制)に対応しましたが、これに伴う当社グループの逸失発電量は当社の計画の範囲内です。
「再生可能エネルギー開発・運営事業」においては、引き続き、国内外の新たな発電所・蓄電所の建設及び開発が進捗しています。
2023年6月に、当社グループとして初の系統用蓄電池事業となる姫路蓄電池匿名組合事業(持分法適用会社)の営業者である合同会社姫路蓄電所において、金融機関との間で融資関連契約を締結し、2023年8月に建設を開始しました。また、Non-FIT(法人間のPPA、FIP等)による再生可能エネルギー発電事業においては、RE100に取り組む企業や小売り電気事業者等との間でコーポレートPPAの締結が進捗しています。当社が新たに開発する太陽光発電所において発電した電力に付随する非FIT非化石価値証書に関し、2023年5月に株式会社村田製作所に対して最大約115MW、2023年8月及び2024年2月に株式会社大塚商会に対して最大計約22MWを固定価格で直接販売する環境価値売買契約をそれぞれ締結しました。さらに2023年6月に鈴与商事株式会社に対して最大約2MW、2023年12月には東邦ガス株式会社に対して最大10MW、いずれも期間20年の固定価格で直接販売する電力販売契約をそれぞれ締結しました。これらの契約により、当社のNon-FIT太陽光によるコーポレートPPAの契約設備容量は合計で171MWとなりました。加えて、建設着工済み又は運転開始済みの発電所SPCからの定常的な運営管理報酬及び配当・匿名組合分配益を享受しています。なお、当社子会社であるRENOVA RENEWABLES PHILIPPINES 1 PTE.LTD.を通じて、共同スポンサーと事業を推進し2021年4月より建設を進めてきたキアンガン水力発電事業は、設計変更に伴い事業規模を縮小し、設備容量を17.4MWから8.3MWに変更したため、当社子会社が出資する持分に関して全額の損失を計上しました。この他、2023年12月には、米国で太陽光発電や系統用蓄電池等の開発・運営を手掛けるPathway Power Holdings LLC(本社:米国カリフォルニア州サンディエゴ)の総額25百万米ドルの転換社債(Convertible Note)を引き受ける契約を締結しました。さらに、2024年4月1日の当社取締役会において、東京瓦斯株式会社(以下「東京ガス」といいます。)との間で資本業務提携契約を締結すること、及び東京ガスに対する第三者割当による新株式の発行を行うことについて決議し、2024年4月17日に払込手続きが完了いたしました。なお、ロシアによるウクライナ侵攻以降、資源価格・電力市場価格が高騰しました。足もとでは価格高騰に一定の落ち着きが見られる一方、バイオマス燃料は従前対比で高い水準で推移しており、当連結会計年度においてはバイオマス発電事業における燃料費の増加を通じて収益性への影響がありました。
これらの結果を受けた、当連結会計年度における経営成績は次のとおりです。
(単位:百万円)
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 増減 | 増減率 (%) | 増減の主要因 | |
売上収益 | 33,581 | 44,748 | 11,167 | 33.3 | ①徳島津田バイオマス発電所合同会社の試運転売電収入計上及び運転開始(+6,649)(注)4、6 ②合同会社杜の都バイオマスエナジーの連結化(+4,720)(注)7 ③人吉ソーラー匿名組合事業の運転開始(+666)(注)5 ④事業開発報酬の減少 (△1,138) |
EBITDA (注)1,3,4 | 18,101 | 16,712 | △1,389 | △7.7 | ①前期における四日市ソーラー匿名組合事業の匿名組合出資持分の売却に伴う売却益及び継続保有する匿名組合出資持分の公正価値評価益の計上(△3,854) ②バイオマス発電事業の完工遅延損害賠償金の計上(+2,200) ③バイオマス発電事業の完工遅延等による燃料キャンセル費の計上(△1,055) ④徳島津田バイオマス発電所合同会社の試運転及び運転開始による増加(+2,070)(注)4、6 ⑤合同会社杜の都バイオマスエナジーの連結化(+430)(注)7 ⑥上記②~⑤を除くバイオマス発電事業の売上高燃料費比率増加(△393) ⑦バイオマス発電事業における完工遅延損害賠償金の計上等による持分法投資損益の増加(+1,232) ⑧キアンガン水力発電事業における関連会社出資持分の損失計上(△1,223) ⑨人吉ソーラー匿名組合事業の運転開始(+531)(注)5 ⑩ベトナムクアンチ風力に関 する持分法による投資利益の減少(△250) ⑪事業開発報酬の減少 (△1,138) |
EBITDA マージン(%)(注)2,3,4 | 53.9 | 37.3 | △16.6 | - |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 増減 | 増減率 (%) | 増減の主要因 | |
営業利益 | 8,870 | 5,017 | △3,852 | △43.4 | ①EBITDAの増減の主要因と同じ理由による減少(△1,389) ②徳島津田バイオマス発電所合同会社の運転開始に伴う減価償却費及び償却費等の増加(△1,161)(注)6 ③合同会社杜の都バイオマスエナジーの連結化に伴う減価償却費及び償却費等の増加(△987)(注)7 |
親会社の 所有者に 帰属する 当期利益 | 2,678 | 8,857 | 6,180 | 230.8 | ①営業利益の増減の主要因と同じ理由による減少(△3,852) ②合同会社石巻ひばり野バイオマ スエナジーの企業結合に伴う再測 定による利益の計上(+5,236) ③合同会社杜の都バイオマスエナ ジーの企業結合に伴う再測定によ る利益の計上(+3,364) ④バイオマス発電事業の為替予約解約等に伴う為替差益の計上(+1,132) ⑤前期におけるバイオマス発電事業の将来キャッシュ・フロー予測の見直し等に伴うオプション公正価値評価損の計上(+1,418) ⑥バイオマス発電事業の利益増加を主要因とする法人所得税費用及び非支配株主持分帰属利益の増加 (△855) |
(注)1.EBITDA=売上収益-燃料費-外注費-人件費+持分法による投資損益+その他の収益・費用
燃料費は、連結損益計算書における燃料費より、下記の影響額を調整しています。なお、当連結会計年度における調整額は△459百万円です。
・当社が企業結合したバイオマス発電事業SPCが保有する為替予約について、企業結合時点の包括利益
累計額が消去された影響
2.EBITDAマージン=EBITDA/売上収益
3.EBITDAはNon-GAAP指標です。
4.前第4四半期連結会計期間より、徳島津田バイオマス発電所合同会社が試運転を開始しました。
5.第1四半期連結会計期間より、人吉ソーラー匿名組合事業が運転を開始しました。
6.第3四半期連結会計期間より、徳島津田バイオマス発電所合同会社が運転を開始しました。
7.第3四半期連結会計期間より、合同会社杜の都バイオマスエナジーが運転を開始しました。
セグメント別の業績は以下のとおりとなりました。各セグメントの業績数値につきましては、セグメント間の内部取引高等を含めて表示しています。また、セグメント利益は、EBITDAにて表示しています。再生可能エネルギー事業は多額の初期投資を必要とする事業であり、全体の費用に占める減価償却費等の償却費の割合が大きい傾向にあります。当社グループでは、一過性の償却費負担に過度に左右されることなく、企業価値の増大を目指すべく、株式価値の向上に努めています。そのため、業績指標として金利・税金・償却前利益であるEBITDAを重視しています。
(報告セグメントごとの売上収益)
(単位:百万円)
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 増減額 | 増減率(%) | 増減の主要因 | |
再生可能 エネルギー 発電事業 | 32,072 | 44,331 | 12,260 | 38.2 | ①徳島津田バイオマス発電所合同会社の試運転売電収入計上及び運転開始 (+6,649) ②合同会社杜の都バイオマスエナジーの連結化 (+4,720) ③人吉ソーラー匿名組合事業の運転開始(+666) |
再生可能 エネルギー 開発・運営 事業 | 4,143 | 2,994 | △1,148 | △27.7 | ①匿名組合分配益の増加(+301) ②事業開発報酬の減少 (△1,528) |
調整額 | △2,634 | △2,578 | 56 | - | |
連結 財務諸表 計上額 | 33,581 | 44,748 | 11,167 | 33.3 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
九州電力送配電株式会社 | 15,452 | 46.0 | 15,743 | 35.2 |
東北電力ネットワーク株式会社 | 10,587 | 31.5 | 12,652 | 28.3 |
四国電力送配電株式会社 | - | - | 7,303 | 16.3 |
東京電力パワーグリッド株式会社 | 4,491 | 13.4 | 4,674 | 10.4 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(報告セグメントごとの利益又は損失)
(単位:百万円)
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 増減額 | 増減率(%) | 増減の主要因 | |
再生可能 エネルギー 発電事業 | 17,714 | 22,228 | 4,514 | 25.5 | ①バイオマス発電事業の完工遅延損害賠償金の計上(+2,200) ②バイオマス発電事業の完工遅延等による燃料キャンセル費の計上(△1,055) ③徳島津田バイオマス発電所合同会社の試運転及び運転開始による増加 (+2,070) ④合同会社杜の都バイオマスエナジーの連結化 (+430) ⑤上記を除くバイオマス発電事業の売上高燃料費比率増加(△393) ⑥バイオマス発電事業における完工遅延損害賠償金の計上等による持分法投資損益の増加(+1,232) ⑦人吉ソーラー匿名組合事業の運転開始(+531) ⑧ベトナムクアンチ風力に関する持分法による投資利益の減少(△250) |
再生可能 エネルギー 開発・運営 事業 | 2,849 | △3,472 | △6,322 | - | ①前期における四日市ソーラー匿名組合事業の匿名組合出資持分の売却に伴う売却益及び継続保有する匿名組合出資持分の公正価値評価益の計上(△3,854) ②匿名組合分配益の増加(+301) ③キアンガン水力発電事業における関連会社出資持分の損失計上(△1,223) ④事業開発報酬の減少 (△1,528) |
セグメント間 取引消去 | △2,462 | △2,044 | 418 | - | |
EBITDA | 18,101 | 16,712 | △1,389 | △7.7 |
(注)セグメント利益は、売上収益から燃料費、外注費、人件費を差し引き、持分法による投資損益、並びにその他の収益・費用を加算したEBITDA(Non-GAAP指標)にて表示しています。
燃料費は、連結損益計算書における燃料費より、下記の影響額を調整しています。なお、当連結会計年度における調整額は△459百万円です。
・当社が企業結合したバイオマス発電事業SPCが保有する為替予約について、企業結合時点の包括利益累計額
が消去された影響
(3) 財政状態の分析
当社グループでは、資本効率を向上させながら再生可能エネルギー発電所の開発投資を行うために、金融機関からの長期の借入れを活用しています。また、財務健全性を適切にモニタリングする観点から、保有する資産の実態的な価値を把握するほか、資本比率や親会社所有者帰属持分比率、純有利子負債とEBITDAの倍率(純有利子負債/EBITDA倍率)等の指標を重視しています。
当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益の計上による利益剰余金の増加及び当社子会社及び関連会社が保有する為替予約の公正価値変動によるその他の資本の構成要素の増加等により、当連結会計年度末の資本比率は22.7%(前連結会計年度末は21.3%)、親会社所有者帰属持分比率は14.6%(前連結会計年度末は14.2%)となりました。また、純有利子負債/EBITDA倍率(純有利子負債と直近の12ヶ月間に計上したEBITDAの倍率。なお、純有利子負債は、借入金及び社債、リース負債、並びにその他の金融負債に含まれる金融負債の合計から、現金及び現金同等物並びに引出制限付預金を差し引いた金額と定義)は、合同会社杜の都バイオマスエナジー及び合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジーの連結化による純有利子負債の増加等により、14.4倍(前連結会計年度末は8.7倍)となりました。
(資産の部)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ162,022百万円増加し、465,399百万円となりました。
主な増減要因は、合同会社杜の都バイオマスエナジーの運転開始及び連結化に伴う有形固定資産の増加(+41,424百万円)、徳島津田バイオマス発電所合同会社の運転開始に伴う有形固定資産の増加(+8,679百万円)、合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジーの運転開始及び連結化に伴う有形固定資産の増加(+30,673百万円)並びに連結子会社保有の金利スワップ及び為替予約の公正価値変動等によるその他の金融資産(非流動)の増加(+56,828百万円)です。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ121,055百万円増加し、359,701百万円となりました。
主な増減要因は、合同会社杜の都バイオマスエナジーの運転開始及び連結化に伴う長期借入金の増加(+54,064百万円)、合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジーの運転開始及び連結化に伴う長期借入金の増加(+38,775百万円)、主に合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジーにおける固定資産の検収に伴う営業債務及びその他の債務の増加(+4,157百万円)並びに連結子会社が保有する金利スワップ及び為替予約の公正価値変動等による繰延税金負債の増加(+9,798百万円)です。
(資本の部)
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ40,966百万円増加し、105,698百万円となりました。
主な増減要因は、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上による利益剰余金の増加(+8,857百万円)、連結子会社及び関連会社が保有する金利スワップ及び為替予約の公正価値変動を主要因とするその他の資本の構成要素の増加(+16,171百万円)、合同会社杜の都バイオマスエナジー及び合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジーの連結化等による非支配持分の増加(+15,915百万円)です。
(4)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比較して4,043百万円減少し、17,327百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、18,732百万円の収入(前年同期は10,132百万円の収入)となりました。主なキャッシュ・イン・フローは、「再生可能エネルギー発電事業」における売電先からの売電収入及びバイオマス発電事業における完工遅延損害金の受領、「再生可能エネルギー開発・運営事業」における前連結会計年度に計上した事業開発報酬の回収です。主なキャッシュ・アウト・フローは、「再生可能エネルギー発電事業」における発電設備の維持管理費用、事業用地の賃借料、各種税金、バイオマス燃料の仕入及び「再生可能エネルギー開発・運営事業」における開発支出(人件費等を含む)です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、24,354百万円の支出(前年同期は9,334百万円の支出)となりました。主なキャッシュ・アウト・フローは、主にバイオマス発電所における有形固定資産の取得による支出15,785百万円、子会社の取得による支出2,905百万円、投資有価証券の取得による支出2,835百万円及び持分法で会計処理されている投資の取得に係る支出2,434百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、1,384百万円の収入(前年同期は3,028百万円の収入)となりました。主なキャッシュ・イン・フローは、主に当社及びバイオマス発電所における長期借入れの実行による収入31,630百万円です。主なキャッシュ・アウト・フローは、長期借入金の返済による支出16,752百万円及び非支配株主への配当金の支払1,431百万円、及び引出制限付預金の増加11,534百万円です。