有価証券報告書-第21期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析、検討内容は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、経営者の判断に基づく会計方針の選択と適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となりますが、その判断及び見積りに関しては連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しています。しかしながら、実際の結果は、見積り特有の不確実性を伴うことから、これら見積りと異なる可能性があります。
なお、再生可能エネルギー事業は多額の初期投資を必要とする事業であり、減価償却費等の償却費の費用に占める割合が大きくなる傾向にあります。一過性の償却負担に過度に左右されることなく、企業価値の増大を目指し、もって株式価値の向上に努めるべく、当社グループでは業績指標として金利・税金・償却前利益であるEBITDAを重視しています。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しています。
(2) 経営成績の分析
①事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
a.事業全体の状況
世界のエネルギー市場は、2015年末のCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)における、2020年以降の温暖化対策の国際枠組みについての合意を契機とし、各国政府や金融業界の脱炭素化に向けたグローバルでの取り組みが加速し、化石燃料から再生可能エネルギーへのエネルギーシフトが進展しています。
このような状況の中、国内再生可能エネルギー市場においては、固定価格買取制度(FIT)(*1)下の買取実績が引き続き増加しています。これを受けて、経済産業省において「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」が設置される等、再生可能エネルギーの大量導入に伴い顕在化し始めた系統制約や調整力確保、国民負担の軽減等の新たな課題の解決に向けた議論も本格化しています。また、2019年4月に、洋上風力発電事業が一般海域において長期的、安定的かつ効率的に実施されることを企図した「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」が施行されました。これにより、一般海域における洋上風力発電事業の導入が促進されていくことが期待されています。2030年のエネルギーミックス目標(2018年7月に閣議決定された「第5次エネルギー基本計画」において掲げられた2030年度の電源構成の目標。国内総発電量に占める再生可能エネルギー発電の割合は22~24%とする目標が掲げられている。)の実現に向けて、再生可能エネルギーの最大限の導入と国民負担の抑制との両立を目標に政府の支援姿勢は継続しています。今後も、国内再生可能エネルギー市場は、洋上風力事業の導入を中心により一層拡大していく見通しです。
(*1)固定価格買取制度(FIT):
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(FIT法)に基づき、電気事業者(電気事業法上に定義された、小売電気事業者、一般送配電事業者及び登録特定送配電事業者の総称)が再生可能エネルギーで発電された電力を固定価格で買い取る制度です。太陽光、バイオマス、風力、地熱及び水力等により発電された電力が当該制度に基づいて電気事業者に販売され、その販売単価は年度毎に経済産業省・資源エネルギー庁の調達価格等算定委員会において定められます。電気事業者との受給契約(売電契約)・系統連系契約(電力系統への接続契約)が締結された場合、一定期間(10kW以上太陽光・バイオマス・風力・水力:20年間、地熱:15年間)に亘り設備認定(2017年4月以降は事業計画認定(事業認定))手続き等に基づき適用される固定価格での電力売買が行われます。
また、2015年1月に、太陽光発電所や風力発電所等の自然変動電源による発電量が大幅に増加した場合でも電力需給バランスを保ち、電力供給の安定化を図ることを目的とし、設備容量抑制ルールを拡充する制度改定が行われています。設備容量抑制ルールに基づき、旧一般電気事業者(北海道電力・東北電力・北陸電力・東京電力・中部電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力の総称)は、一定条件のもとで再生可能エネルギーを電源とする発電所による系統への送電電力の数量や質に制限を加えることができます。
当連結会計年度における当社グループの事業については、「再生可能エネルギー発電事業」においては、運転開始済みの大規模太陽光発電所及びバイオマス発電所の発電量が順調に推移しました。また、新たに3ヶ所の大規模太陽光発電所が運転を開始し、それぞれ当社の連結業績に貢献しました。なお、当社は、新たに運転開始した3ヶ所の大規模太陽光発電事業につき、いずれも運転開始後に各事業の出資持分を追加取得し、以下の通り持分法適用関連会社から当社の連結子会社としています。
新たに運転開始した発電所の概要
これらの結果、当社グループの運転中の再生可能エネルギー発電所の設備容量は合計設備容量333.3MWとなりました。
2019年4月以降、2020年3月までの期間に、九州電力管内において、再生可能エネルギー設備容量制御(設備容量抑制)が延べ74日間(九州本土合計)行われました。これにより、当社グループの九重ソーラー匿名組合事業が16日、大津ソーラー匿名組合事業が15日(いずれも午前8時から午後4時まで)稼働を停止しました。また、2019年9月5日に発生した台風第15号の影響により、東京電力パワーグリッド株式会社の送電網にトラブルが生じたため、富津ソーラー発電所(千葉県富津市・設備容量40.4MW)は、2019年9月9日及び9月10日の2日間は、送電を行っていませんが、送電の停止により生じた一部の逸失利益は、株式会社富津ソーラーが加入する損害保険により補償される見込みです。当社は連結売上高計画の策定に際して、太陽光発電所における一定の設備容量制御リスク及び長雨等の気象影響リスクを織り込んでいます。前述の逸失発電量は、当社の計画における想定の範囲内です。
「再生可能エネルギー開発・運営事業」においては、新たに3件の発電事業に関し、融資関連契約を締結しました。2019年11月に、熊本県人吉市における大規模太陽光発電事業(設備容量20.8MW)及び静岡県御前崎市及び牧之原市における大規模バイオマス発電事業(設備容量75.0MW)の2件、2020年3月に、宮城県石巻市における大規模バイオマス発電事業(設備容量75.0MW)に関し、融資関連契約を締結しました。これにより、当社は、それぞれの発電事業に関する事業開発報酬(*2)を計上しています。加えて、2019年3月期に着工した、徳島県徳島市における設備容量74.8MWの大型バイオマス発電所に関し、着工後の一定のマイルストーンを達成したことから、2019年8月に第2回目(最終回)の共同スポンサーからの事業開発報酬を計上しています。なお、建設着工済み又は運転開始済みの発電所SPC(*3)からの定常的な運営管理報酬(*4)及び配当・匿名組合分配益(*5)を享受しています。
この他、洋上風力発電事業においては、当社が開発中の秋田県由利本荘市沖が、2019年7月に、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」に基づく「有望な区域」として指定されました。今後、当該区域が促進区域として指定された場合、公募を経て事業者が選定されることとなります。秋田県は、経済産業省資源エネルギー庁及び国土交通省港湾局と共同で、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」に基づく「促進区域」の指定に向けて、秋田県由利本荘市沖における協議会を組織し、2019年10月に第1回協議会、2019年12月に第2回協議会、2020年3月に第3回協議会を開催しました。当社は当該区域において環境影響評価(環境アセスメント)を行っており、2019年10月に準備書を公告・縦覧し、秋田県秋田市・にかほ市・由利本荘市の3市にて法定の説明会を開催するなど手続きを進めています。
なお、2019年10月12日から全国的に被害を及ぼした台風第19号による、当社グループの運転開始済み及び建設着工中の大規模太陽光発電及びバイオマス発電の発電設備への影響はありませんでした。2020年3月11日に、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が「パンデミックとみなせる」と表明した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による、当社グループの運転開始済みの大規模太陽光発電及びバイオマス発電の発電への影響は、当連結会計年度においてはありませんでした。今後の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、物流、金融及び経済環境に影響が生じた場合に想定される当社グループの事業への主な影響については、「2 事業等のリスク(1) 再生可能エネルギー事業のリスク③各種電源のリスクb. バイオマス発電 2.建設中のバイオマス発電所」「2 事業等のリスク(1) 再生可能エネルギー事業のリスク③各種電源のリスクb. バイオマス発電 4.燃料の調達と市況動向」「2 事業等のリスク(4) その他のリスク① 自然災害・火災・事故」に記載しています。なお、提出日現在において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う、電力市場の急激な悪化、当社グループの発電所の運転、建設及び開示済み事業の開発が困難となる事象は発生していません。
(*2)事業開発報酬:
各再生可能エネルギー発電所に係る土地確保、主要な融資関連契約の締結及び主要なプロジェクト関連契約の締結等をもって開発支援に係る役務の提供を完了とみなし、役務提供の完了をもって概ね開発規模や当社による当該プロジェクトの開発に対する貢献度に応じて支払われる報酬です。なお、SPCから受領する事業開発報酬のうち、子会社や関連会社に対する当社の持分に相当する金額については、連結決算上は連結グループ内取引として連結消去されます。
(*3)SPC:
特別目的会社(Special Purpose Company)のことを指しています。当社グループでは基本的に発電所毎に共同事業者が異なること、またプロジェクトファイナンスを行う上でリスク分散を図ることを理由として、発電所を立ち上げる毎にSPCを設立し、当該SPCに発電所を所有させています。なお、当社グループにおいてはSPCを株式会社として設立して株式による出資を行う場合、合同会社(GK)として設立して持分による出資を行う場合に加え、SPCを会社法上の合同会社(GK)として設立して商法上の匿名組合(TK)として営業者に出資を行う場合(TK-GKスキーム)があります。TK-GKスキームの主な特徴としては匿名組合員が有限責任であること及び営業者であるSPCの段階で法人税課税が発生せず、匿名組合員に直接課税されることが挙げられます。
(*4)運営管理報酬:
発電所建設の工程管理、決算及び金融機関へのレポーティング等の業務に代表され、発電所の建設期間及び売電期間に亘り支払われる報酬です。なお子会社や関連会社に対する当社の持分に相当する運営管理報酬については、連結決算上は連結グループ内取引として連結消去されています。
(*5)配当・匿名組合分配益:
「再生可能エネルギー発電事業」に属するSPCが株式会社ないし合同会社として運営されている場合は、当該SPCから当社へ支払われた配当金については当社単体の営業外収益に計上され、またこれはセグメント間取引として「再生可能エネルギー開発・運営事業」のセグメント利益に反映されます。
また「再生可能エネルギー発電事業」に属するSPCが匿名組合として運営されている場合は、当該SPCで計上された利益のうちの当社出資割合分相当額についてその発生年度に匿名組合分配益として当社単体の売上高に計上し、一方損失が発生した場合は、その損失のうちの当社出資割合分相当額を匿名組合分配損として当社単体の販売費及び一般管理費へ計上しています。これらもセグメント間取引として「再生可能エネルギー開発・運営事業」のセグメント利益に反映されます。
なお、これらセグメント利益に反映されたSPCからの配当金及び分配損益については、連結決算上は連結グループ内取引として連結消去されます。
これらの結果を受けた、当連結会計年度における経営成績は次のとおりです。
(注)1.EBITDA=経常利益+純支払利息+減価償却費+長期前払費用償却(電力負担金償却及び繰延消費税償却)+のれん償却額+繰延資産償却額(開業費償却及び創立費償却)
2.EBITDAマージン=EBITDA/売上高
3.前連結会計年度は、苅田バイオマスエナジー株式会社からの事業開発報酬450百万円のうち、当社持分(43.1%)相当の未実現利益を消去した256百万円、徳島津田バイオマス発電所合同会社からの事業開発報酬2,000百万円のうち、当社持分(配当比率41.8%)相当の未実現利益を消去した1,164百万円、及び徳島津田バイオマス事業に出資参画をする共同スポンサーの一部からの追加的な事業開発報酬等を売上高に含みます。
4.当連結会計年度は、人吉ソーラー匿名組合事業からの事業開発報酬500百万円のうち、当社持分(38.0%)相当の未実現利益を消去した310百万円、合同会社御前崎港バイオマスエナジーからの事業開発報酬3,000百万円のうち、当社持分(配当比率57.0%)相当の未実現利益を消去した1,290百万円、合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジーからの事業開発報酬3,500百万円のうち、当社持分(配当比率49.9%)相当の未実現利益を消去した1,752百万円、及び徳島津田バイオマス事業に出資参画をする共同スポンサーの一部からの第2回目の追加的な事業開発報酬を売上高に含みます。
5.発電事業における売上高は、前連結会計年度、当連結会計年度のいずれも12ヶ月分ずつの比較です。
6.前連結会計年度は当社単体の決算月を5月から3月に変更したこと(前期:10ヶ月決算、当期:12ヶ月決算)、及び事業拡大の影響で、当連結会計年度の人件費、経費は増加となりました。
7.2019年3月期における企業結合:四日市ソーラー
2020年3月期における企業結合:那須烏山・軽米西・軽米東ソーラー
なお、前連結会計年度より、当社単体及び当社グループの連結上の決算月を5月から3月に変更しました。下図のとおり、従前より単体決算月が3月である当社連結子会社及び関連会社の場合、前連結会計年度にその4~3月の業績が、前連結会計年度(6~3月)の業績に反映されています。

b.セグメント情報に記載された区分ごとの状況
セグメント別の業績は以下の通りとなりました。各セグメントの業績数値につきましては、セグメント間の内部取引高等を含めて表示しています。また、セグメント利益は、EBITDAにて表示しています。再生可能エネルギー事業は多額の初期投資を必要とする事業であり、全体の費用に占める減価償却費等の償却費の割合が大きい傾向にあります。当社グループでは、一過性の償却費負担に過度に左右されることなく、企業価値の増大を目指すべく、株式価値の向上に努めています。そのため、業績指標として金利・税金・償却前利益であるEBITDAを重視しています。
(報告セグメントごとの売上高)
(単位:百万円)
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。なお、下記の主な相手先の販売実績はいずれも12ヶ月分の販売実績となります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
3.発電事業における売上高は、前連結会計年度、当連結会計年度のいずれも12ヶ月分ずつの比較です。
4.前連結会計年度は、苅田バイオマスエナジー株式会社からの事業開発報酬450百万円、徳島津田バイオマス発電所合同会社からの事業開発報酬2,000百万円、及び徳島津田バイオマス発電事業に出資参画をする共同スポンサーの一部からの追加的な事業開発報酬等を「再生可能エネルギー開発・運営事業」の売上高に含みます。(セグメント間の内部取引に関する未実現利益は消去していません。)
5.当連結会計年度は、人吉ソーラー匿名組合事業からの事業開発報酬500百万円、合同会社御前崎港バイオマスエナジーからの事業開発報酬3,000百万円、合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジーからの事業開発報酬3,500百万円、及び徳島津田バイオマス事業に出資参画をする共同スポンサーの一部からの第2回目の追加的な事業開発報酬を売上高に含みます。(セグメント間の内部取引に関する未実現利益は消去していません。)
(報告セグメントごとの利益又は損失)
(単位:百万円)
(注)1.セグメント利益は、経常利益に純支払利息及び各種償却費(減価償却費、長期前払費用償却(電力負担金償却及び繰延消費税償却)、のれん償却額及び繰延資産償却額(開業費償却及び創立費償却))を加えたEBITDAにて表示しています。なお、連結財務諸表計上額は、連結損益計算書における経常利益です。
2.前連結会計年度は当社単体の決算月を5月から3月に変更したこと(前期:10ヶ月決算、当期:12ヶ月決算)、及び事業拡大の影響で、当連結会計年度の人件費、経費は増加となりました。
(参考)再生可能エネルギー発電事業に属する連結子会社の単体決算の状況
(単位:百万円)
(注)1.いずれの連結子会社とも決算日は3月31日です。
2.EBITDAマージン=EBITDA/売上高
3.当社持分比率は各連結子会社単体の損益を、当社グループ連結決算における親会社株主に帰属する当期純利益として取り込む際の比率です。なお、上記の当期純利益は、連結上の当社持分比率を考量する前の各社単体の当期純利益です。
4.匿名組合事業に関してその課税所得は、出資割合に応じて匿名組合出資者に帰属されるため、匿名組合事業としての税金費用は発生しません。
5.当連結会計年度は、主に天候不順により発電量が減少したため、既存太陽光発電所において、前連結会計年度に比べ、売上高、EBITDA、経常利益、当期純利益は全体的に減少しました。
6.四日市ソーラー匿名組合事業は、前連結会計年度(2019年3月期)までの損益については持分法を適用しており、当連結会計年度以降(2019年4月以降)の損益について連結子会社として当社グループの連結決算に取り込んでいます。そのため、上記において前連結会計年度(2019年3月期)の各数値を記載していません。
7.那須烏山ソーラー匿名組合事業は、第1四半期連結累計期間(2019年6月)までの損益については持分法を適用しており、第2四半期連結会計期間の期首以降(2019年7月以降)の損益について連結子会社として当社グループの連結決算に取り込んでいます。そのため、上記において当連結会計年度のうち2019年7月以降の9ヶ月分の損益のみを記載しています。
8.軽米西ソーラー匿名組合事業は、第1四半期連結累計期間(2019年6月)までの損益については持分法を適用しており、第2四半期連結会計期間の期首以降(2019年7月以降)の損益について連結子会社として当社グループの連結決算に取り込んでいます。そのため、上記において当第連結会計年度のうち2019年7月以降の9ヶ月分の損益のみを記載しています。
9.軽米東ソーラー匿名組合事業は、第3四半期連結累計期間(2019年12月)までの損益については持分法を適用しており、第4四半期連結会計期間の期首以降(2020年1月以降)の損益について連結子会社として当社グループの連結決算に取り込んでいます。そのため、上記において当第連結会計年度のうち2020年1月以降の3ヶ月分の損益のみを記載しています。
(3) 財政状態の分析
当社グループでは、資本効率を向上させながら大型の再生可能エネルギー発電所の開発投資を行うために、金融機関からの長期の借入れを活用しています。また、財務健全性を適切にモニタリングする観点から、保有する資産の実態的な価値を把握するほか、純資産比率や自己資本比率、純有利子負債とEBITDAの倍率(純有利子負債/EBITDA倍率)等の指標を重視しています。
当連結会計年度末の純資産比率は16.4%(前連結会計年度末は15.8%)、自己資本比率は12.5%(前連結会計年度末は11.5%)となりました。また、純有利子負債/EBITDA倍率(純有利子負債と直近の12ヶ月間に計上したEBITDAの倍率)は当連結会計年度末において7.6倍(前連結会計年度末は5.1倍)となりました。
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ66,651百万円増加し、148,151百万円となりました。各セグメントにおけるセグメント資産の増減要因は以下の通りです。
「再生可能エネルギー発電事業」
当連結会計年度末のセグメント資産は、54,233百万円増加し、112,131百万円となりました。これは、第1四半期連結会計期間に那須烏山ソーラー匿名組合事業、第2四半期連結会計期間に軽米西ソーラー匿名組合事業及び第3連結会計期間に軽米東ソーラー匿名組合事業の連結に伴う現金及び預金の増加(4,612百万円)及び有形固定資産の増加(45,229百万円)が主要因です。
「再生可能エネルギー開発・運営事業」
当連結会計年度末のセグメント資産は、16,858百万円増加し、44,275百万円となりました。主な増加の理由は、当社において再生可能エネルギー発電事業の開発支援に係る役務の提供完了により売上を計上したことに伴い、「再生可能エネルギー開発・運営事業」における売掛金が4,388百万円増加したこと、及び当社からの関連会社に対する出資による開発投資に加えて、持分法適用関係会社における為替予約、金利スワップに係る繰延ヘッジ損益の取込により関係会社株式が11,997百万円増加したこと等です。
人吉ソーラー匿名組合事業(当社の持分法適用関連会社)の営業者である合同会社人吉ソーラーは2019年11月に金融機関との間で融資関連契約を締結し、ソーラー発電所の建設、運転へ向けてのプロジェクトファイナンスを組成するとともに、2019年11月に着工しました。なお当社は人吉ソーラー発電所の完成日以降に、共同スポンサーが保有する匿名組合出資持分(62.0%)の全てを買い増す権利を有しています。
合同会社御前崎港バイオマスエナジー(当社の持分法適用関連会社)は2019年11月に金融機関との間で融資関連契約を締結し、木質バイオマス専焼発電所の建設、運転へ向けてのプロジェクトファイナンスを組成しました。同社に対する当社持分は出資比率で38.0%、配当比率で57.0%です。なお当社は御前崎港バイオマス発電所の完成日以降に、共同スポンサーの1社が保有する特別目的会社出資持分(18.0%)を買い増す権利を有しています。当該権利を行使した場合には、当社の同社に対する出資比率は56.0%、配当比率は75.0%となります。
合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジー(当社の持分法適用関連会社)は2020年3月に金融機関との間で融資関連契約を締結し、宮城県石巻市における木質バイオマス専焼発電所の建設、運転へ向けてのプロジェクトファイナンスを組成しました。同社に対する当社持分は出資比率で38.0%、配当比率で49.9%です。なお当社は石巻ひばり野バイオマス発電所の完成日以降に、共同スポンサーの1社が保有する特別目的会社出資分(13.0%)を買い増す権利を有しています。当該権利を全て行使した場合には、当社の同社に対する出資比率は51.0%、配当比率は62.9%となります。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ55,223百万円増加し、123,837百万円となりました。
これは、那須烏山ソーラー匿名組合事業、軽米西ソーラー匿名組合事業及び軽米東ソーラー匿名組合事業の新規連結化に伴う長期借入金の増加47,245百万円及び資産除去債務4,062百万円、当社における再生可能エネルギー発電事業の開発に備えての長期借入れの実行による借入金の増加6,980百万円、一方での当社における約定に従った返済による借入金の減少2,523百万円、及び運転開始済みの再生可能エネルギー発電所SPCの長期借入金の返済進捗による借入金の減少3,395百万円が主な増減の内容です。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ11,427百万円増加し、24,313百万円となりました。
主な増減内容は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加3,674百万円、当連結会計年度中の太陽光発電事業の連結化等による非支配株主持分の増加2,258百万円、新株予約権の行使による資本金及び資本剰余金の増加189百万円、持分法適用関連会社である徳島津田バイオマス発電所合同会社、合同会社御前崎港バイオマスエナジーにおける将来の長期に亘る海外からのバイオマス燃料調達に伴う為替予約に係る繰延ヘッジ利益の計上(配当比率徳島バイオマス41.8%、御前崎バイオマス57.0%見合い)7,004百万円、一方での石巻ひばり野バイオマスエナジーにおける為替予約及び金利スワップに係る繰延ヘッジ損失の計上(配当比率49.9%見合い)△1,778百万円です。
(4) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比較して2,082百万円減少し、10,344百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、7,103百万円の収入(前年同期は6,435百万円の収入)となりました。主なキャッシュ・イン・フローは、「再生可能エネルギー発電事業」における売電先からの売電収入及び「再生可能エネルギー開発・運営事業」における再生可能エネルギー発電事業SPCからの事業開発報酬収入です。主なキャッシュ・アウト・フローは、「再生可能エネルギー発電事業」における発電設備の維持管理費用、事業用地の賃借料、各種税金、バイオマス燃料の仕入及び「再生可能エネルギー開発・運営事業」における開発支出(人件費等を含む)です。
当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ「再生可能エネルギー発電事業」において新規に運転開始した複数の太陽光発電事業が新たに連結の範囲に含まれたことにより売電収入が増加したこと、及び「再生可能エネルギー開発・運営事業」における事業開発報酬が増加したこと等により、税金等調整前当期純利益が増加しました。一方で、一部の事業開発報酬の回収が来期以降に実現すること等の理由から、営業活動によるキャッシュ・フローは前年同期に比べ667百万円増加しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、11,915百万円の支出(前年同期は4,007百万円の支出)となりました。主なキャッシュ・イン・フローは、発電所建設のために先行支出していた立替金についての、当該案件でのプロジェクト・ファイナンス組成等による回収2,492百万円です。主なキャッシュ・アウト・フローは、SPCへの出資のための投資有価証券の取得による支出5,946百万円、将来の発電所建設のためのSPCに対する立替金としての支出1,615百万円、主に当連結会計年度に新規竣工した大規模太陽光発電所における固定資産の取得による支出5,100百万円、及び那須烏山・軽米西・軽米東ソーラー匿名組合事業の持分を追加取得したことによる連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,705百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、2,730百万円の収入(前年同期は3,988百万円の収入)となりました。主なキャッシュ・イン・フローは、「再生可能エネルギー発電事業」における新規の長期借入れ5,443百万円、「再生可能エネルギー開発・運営事業」における新規の長期借入れ6,980百万円、及びストックオプションの権利行使に伴う株式の発行による収入178百万円です。主なキャッシュ・アウト・フローは、「再生可能エネルギー発電事業」における長期借入金の返済4,211百万円、「再生可能エネルギー開発・運営事業」における長期借入金の返済2,523百万円、「再生可能エネルギー発電事業」における引出制限付預金の増加2,460百万円、非支配株主への配当金の支払663百万円です。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、経営者の判断に基づく会計方針の選択と適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となりますが、その判断及び見積りに関しては連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しています。しかしながら、実際の結果は、見積り特有の不確実性を伴うことから、これら見積りと異なる可能性があります。
なお、再生可能エネルギー事業は多額の初期投資を必要とする事業であり、減価償却費等の償却費の費用に占める割合が大きくなる傾向にあります。一過性の償却負担に過度に左右されることなく、企業価値の増大を目指し、もって株式価値の向上に努めるべく、当社グループでは業績指標として金利・税金・償却前利益であるEBITDAを重視しています。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しています。
(2) 経営成績の分析
①事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
a.事業全体の状況
世界のエネルギー市場は、2015年末のCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)における、2020年以降の温暖化対策の国際枠組みについての合意を契機とし、各国政府や金融業界の脱炭素化に向けたグローバルでの取り組みが加速し、化石燃料から再生可能エネルギーへのエネルギーシフトが進展しています。
このような状況の中、国内再生可能エネルギー市場においては、固定価格買取制度(FIT)(*1)下の買取実績が引き続き増加しています。これを受けて、経済産業省において「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」が設置される等、再生可能エネルギーの大量導入に伴い顕在化し始めた系統制約や調整力確保、国民負担の軽減等の新たな課題の解決に向けた議論も本格化しています。また、2019年4月に、洋上風力発電事業が一般海域において長期的、安定的かつ効率的に実施されることを企図した「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」が施行されました。これにより、一般海域における洋上風力発電事業の導入が促進されていくことが期待されています。2030年のエネルギーミックス目標(2018年7月に閣議決定された「第5次エネルギー基本計画」において掲げられた2030年度の電源構成の目標。国内総発電量に占める再生可能エネルギー発電の割合は22~24%とする目標が掲げられている。)の実現に向けて、再生可能エネルギーの最大限の導入と国民負担の抑制との両立を目標に政府の支援姿勢は継続しています。今後も、国内再生可能エネルギー市場は、洋上風力事業の導入を中心により一層拡大していく見通しです。
(*1)固定価格買取制度(FIT):
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(FIT法)に基づき、電気事業者(電気事業法上に定義された、小売電気事業者、一般送配電事業者及び登録特定送配電事業者の総称)が再生可能エネルギーで発電された電力を固定価格で買い取る制度です。太陽光、バイオマス、風力、地熱及び水力等により発電された電力が当該制度に基づいて電気事業者に販売され、その販売単価は年度毎に経済産業省・資源エネルギー庁の調達価格等算定委員会において定められます。電気事業者との受給契約(売電契約)・系統連系契約(電力系統への接続契約)が締結された場合、一定期間(10kW以上太陽光・バイオマス・風力・水力:20年間、地熱:15年間)に亘り設備認定(2017年4月以降は事業計画認定(事業認定))手続き等に基づき適用される固定価格での電力売買が行われます。
また、2015年1月に、太陽光発電所や風力発電所等の自然変動電源による発電量が大幅に増加した場合でも電力需給バランスを保ち、電力供給の安定化を図ることを目的とし、設備容量抑制ルールを拡充する制度改定が行われています。設備容量抑制ルールに基づき、旧一般電気事業者(北海道電力・東北電力・北陸電力・東京電力・中部電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力の総称)は、一定条件のもとで再生可能エネルギーを電源とする発電所による系統への送電電力の数量や質に制限を加えることができます。
当連結会計年度における当社グループの事業については、「再生可能エネルギー発電事業」においては、運転開始済みの大規模太陽光発電所及びバイオマス発電所の発電量が順調に推移しました。また、新たに3ヶ所の大規模太陽光発電所が運転を開始し、それぞれ当社の連結業績に貢献しました。なお、当社は、新たに運転開始した3ヶ所の大規模太陽光発電事業につき、いずれも運転開始後に各事業の出資持分を追加取得し、以下の通り持分法適用関連会社から当社の連結子会社としています。
新たに運転開始した発電所の概要
発電事業名称 | 出力 (MW) | 買取価格(1kWhあたり) | 発電開始時期 | 追加出資前 出資割合 (連結区分) | 追加出資後 出資割合 (連結区分) | 連結日 |
那須烏山ソーラー匿名組合事業 | 19.2 | 36円 | 2019年5月(運転中) | 38.0%(持分法) | 100.0%(連結) | 2019年6月30日(みなし取得) |
軽米西ソーラー匿名組合事業 | 48.0 | 36円 | 2019年7月(運転中) | 38.0%(持分法) | 51.0%(連結) | 2019年7月1日 |
軽米東ソーラー匿名組合事業 | 80.8 | 36円 | 2019年12月(運転中) | 38.5%(持分法) | 69.3%(連結) | 2019年12月31日(みなし取得) |
これらの結果、当社グループの運転中の再生可能エネルギー発電所の設備容量は合計設備容量333.3MWとなりました。
2019年4月以降、2020年3月までの期間に、九州電力管内において、再生可能エネルギー設備容量制御(設備容量抑制)が延べ74日間(九州本土合計)行われました。これにより、当社グループの九重ソーラー匿名組合事業が16日、大津ソーラー匿名組合事業が15日(いずれも午前8時から午後4時まで)稼働を停止しました。また、2019年9月5日に発生した台風第15号の影響により、東京電力パワーグリッド株式会社の送電網にトラブルが生じたため、富津ソーラー発電所(千葉県富津市・設備容量40.4MW)は、2019年9月9日及び9月10日の2日間は、送電を行っていませんが、送電の停止により生じた一部の逸失利益は、株式会社富津ソーラーが加入する損害保険により補償される見込みです。当社は連結売上高計画の策定に際して、太陽光発電所における一定の設備容量制御リスク及び長雨等の気象影響リスクを織り込んでいます。前述の逸失発電量は、当社の計画における想定の範囲内です。
「再生可能エネルギー開発・運営事業」においては、新たに3件の発電事業に関し、融資関連契約を締結しました。2019年11月に、熊本県人吉市における大規模太陽光発電事業(設備容量20.8MW)及び静岡県御前崎市及び牧之原市における大規模バイオマス発電事業(設備容量75.0MW)の2件、2020年3月に、宮城県石巻市における大規模バイオマス発電事業(設備容量75.0MW)に関し、融資関連契約を締結しました。これにより、当社は、それぞれの発電事業に関する事業開発報酬(*2)を計上しています。加えて、2019年3月期に着工した、徳島県徳島市における設備容量74.8MWの大型バイオマス発電所に関し、着工後の一定のマイルストーンを達成したことから、2019年8月に第2回目(最終回)の共同スポンサーからの事業開発報酬を計上しています。なお、建設着工済み又は運転開始済みの発電所SPC(*3)からの定常的な運営管理報酬(*4)及び配当・匿名組合分配益(*5)を享受しています。
この他、洋上風力発電事業においては、当社が開発中の秋田県由利本荘市沖が、2019年7月に、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」に基づく「有望な区域」として指定されました。今後、当該区域が促進区域として指定された場合、公募を経て事業者が選定されることとなります。秋田県は、経済産業省資源エネルギー庁及び国土交通省港湾局と共同で、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」に基づく「促進区域」の指定に向けて、秋田県由利本荘市沖における協議会を組織し、2019年10月に第1回協議会、2019年12月に第2回協議会、2020年3月に第3回協議会を開催しました。当社は当該区域において環境影響評価(環境アセスメント)を行っており、2019年10月に準備書を公告・縦覧し、秋田県秋田市・にかほ市・由利本荘市の3市にて法定の説明会を開催するなど手続きを進めています。
なお、2019年10月12日から全国的に被害を及ぼした台風第19号による、当社グループの運転開始済み及び建設着工中の大規模太陽光発電及びバイオマス発電の発電設備への影響はありませんでした。2020年3月11日に、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が「パンデミックとみなせる」と表明した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による、当社グループの運転開始済みの大規模太陽光発電及びバイオマス発電の発電への影響は、当連結会計年度においてはありませんでした。今後の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、物流、金融及び経済環境に影響が生じた場合に想定される当社グループの事業への主な影響については、「2 事業等のリスク(1) 再生可能エネルギー事業のリスク③各種電源のリスクb. バイオマス発電 2.建設中のバイオマス発電所」「2 事業等のリスク(1) 再生可能エネルギー事業のリスク③各種電源のリスクb. バイオマス発電 4.燃料の調達と市況動向」「2 事業等のリスク(4) その他のリスク① 自然災害・火災・事故」に記載しています。なお、提出日現在において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う、電力市場の急激な悪化、当社グループの発電所の運転、建設及び開示済み事業の開発が困難となる事象は発生していません。
(*2)事業開発報酬:
各再生可能エネルギー発電所に係る土地確保、主要な融資関連契約の締結及び主要なプロジェクト関連契約の締結等をもって開発支援に係る役務の提供を完了とみなし、役務提供の完了をもって概ね開発規模や当社による当該プロジェクトの開発に対する貢献度に応じて支払われる報酬です。なお、SPCから受領する事業開発報酬のうち、子会社や関連会社に対する当社の持分に相当する金額については、連結決算上は連結グループ内取引として連結消去されます。
(*3)SPC:
特別目的会社(Special Purpose Company)のことを指しています。当社グループでは基本的に発電所毎に共同事業者が異なること、またプロジェクトファイナンスを行う上でリスク分散を図ることを理由として、発電所を立ち上げる毎にSPCを設立し、当該SPCに発電所を所有させています。なお、当社グループにおいてはSPCを株式会社として設立して株式による出資を行う場合、合同会社(GK)として設立して持分による出資を行う場合に加え、SPCを会社法上の合同会社(GK)として設立して商法上の匿名組合(TK)として営業者に出資を行う場合(TK-GKスキーム)があります。TK-GKスキームの主な特徴としては匿名組合員が有限責任であること及び営業者であるSPCの段階で法人税課税が発生せず、匿名組合員に直接課税されることが挙げられます。
(*4)運営管理報酬:
発電所建設の工程管理、決算及び金融機関へのレポーティング等の業務に代表され、発電所の建設期間及び売電期間に亘り支払われる報酬です。なお子会社や関連会社に対する当社の持分に相当する運営管理報酬については、連結決算上は連結グループ内取引として連結消去されています。
(*5)配当・匿名組合分配益:
「再生可能エネルギー発電事業」に属するSPCが株式会社ないし合同会社として運営されている場合は、当該SPCから当社へ支払われた配当金については当社単体の営業外収益に計上され、またこれはセグメント間取引として「再生可能エネルギー開発・運営事業」のセグメント利益に反映されます。
また「再生可能エネルギー発電事業」に属するSPCが匿名組合として運営されている場合は、当該SPCで計上された利益のうちの当社出資割合分相当額についてその発生年度に匿名組合分配益として当社単体の売上高に計上し、一方損失が発生した場合は、その損失のうちの当社出資割合分相当額を匿名組合分配損として当社単体の販売費及び一般管理費へ計上しています。これらもセグメント間取引として「再生可能エネルギー開発・運営事業」のセグメント利益に反映されます。
なお、これらセグメント利益に反映されたSPCからの配当金及び分配損益については、連結決算上は連結グループ内取引として連結消去されます。
これらの結果を受けた、当連結会計年度における経営成績は次のとおりです。
(単位:百万円) | |||||
2019年 3月期 | 2020年 3月期 | 増減 | 増減率 (%) | 増減の主要因 | |
売上高 | 14,098 | 19,449 | 5,350 | 38.0 | ①四日市・那須烏山・軽米西・軽米東ソーラーの運転開始(+3,223) ②開発・運営事業における、事業開発報酬の増加(+2,393)(注)3、4 ③天候不順による既設太陽光発電所の売電量の減少(△347) |
EBITDA (注)1 | 7,893 | 11,225 | 3,331 | 42.2 | ①四日市・那須烏山・軽米西・軽米東ソーラーの運転開始(+2,603) ②売上高の増減の主要因②、③と同じ理由による合計でのEBITDAの増加 ③事業開発のための人件費、経費の増加(△1,133)(注)6 |
EBITDA マージン(%) (注)2 | 56.0 | 57.7 | 1.7 | - | |
営業利益 | 5,025 | 7,153 | 2,128 | 42.4 | ①四日市・那須烏山・軽米西・軽米東ソーラーの運転開始(+1,210) ②EBITDAの増減の主要因②、③と同じ理由による合計での営業利益の増加 |
経常利益 | 3,460 | 4,650 | 1,189 | 34.4 | ①四日市・那須烏山・軽米西・軽米東ソーラーの運転開始(+411) ②EBITDAの増減の主要因②、③と同じ理由による合計での経常利益の増加 |
親会社株主に 帰属する 当期純利益 | 1,659 | 3,674 | 2,015 | 121.5 | ①経常利益の増加の主要因と同じ理由による当期純利益の増加 ②企業結合に伴う特別利益の増加 (+1,681)(注)7 ③税金費用の増加(△760) |
(注)1.EBITDA=経常利益+純支払利息+減価償却費+長期前払費用償却(電力負担金償却及び繰延消費税償却)+のれん償却額+繰延資産償却額(開業費償却及び創立費償却)
2.EBITDAマージン=EBITDA/売上高
3.前連結会計年度は、苅田バイオマスエナジー株式会社からの事業開発報酬450百万円のうち、当社持分(43.1%)相当の未実現利益を消去した256百万円、徳島津田バイオマス発電所合同会社からの事業開発報酬2,000百万円のうち、当社持分(配当比率41.8%)相当の未実現利益を消去した1,164百万円、及び徳島津田バイオマス事業に出資参画をする共同スポンサーの一部からの追加的な事業開発報酬等を売上高に含みます。
4.当連結会計年度は、人吉ソーラー匿名組合事業からの事業開発報酬500百万円のうち、当社持分(38.0%)相当の未実現利益を消去した310百万円、合同会社御前崎港バイオマスエナジーからの事業開発報酬3,000百万円のうち、当社持分(配当比率57.0%)相当の未実現利益を消去した1,290百万円、合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジーからの事業開発報酬3,500百万円のうち、当社持分(配当比率49.9%)相当の未実現利益を消去した1,752百万円、及び徳島津田バイオマス事業に出資参画をする共同スポンサーの一部からの第2回目の追加的な事業開発報酬を売上高に含みます。
5.発電事業における売上高は、前連結会計年度、当連結会計年度のいずれも12ヶ月分ずつの比較です。
6.前連結会計年度は当社単体の決算月を5月から3月に変更したこと(前期:10ヶ月決算、当期:12ヶ月決算)、及び事業拡大の影響で、当連結会計年度の人件費、経費は増加となりました。
7.2019年3月期における企業結合:四日市ソーラー
2020年3月期における企業結合:那須烏山・軽米西・軽米東ソーラー
なお、前連結会計年度より、当社単体及び当社グループの連結上の決算月を5月から3月に変更しました。下図のとおり、従前より単体決算月が3月である当社連結子会社及び関連会社の場合、前連結会計年度にその4~3月の業績が、前連結会計年度(6~3月)の業績に反映されています。

b.セグメント情報に記載された区分ごとの状況
セグメント別の業績は以下の通りとなりました。各セグメントの業績数値につきましては、セグメント間の内部取引高等を含めて表示しています。また、セグメント利益は、EBITDAにて表示しています。再生可能エネルギー事業は多額の初期投資を必要とする事業であり、全体の費用に占める減価償却費等の償却費の割合が大きい傾向にあります。当社グループでは、一過性の償却費負担に過度に左右されることなく、企業価値の増大を目指すべく、株式価値の向上に努めています。そのため、業績指標として金利・税金・償却前利益であるEBITDAを重視しています。
(報告セグメントごとの売上高)
(単位:百万円)
2019年 3月期 | 2020年 3月期 | 増減額 | 増減率(%) | 増減の主要因 | |
再生可能 エネルギー 発電事業 | 11,622 | 14,605 | 2,982 | 25.7 | ①四日市・那須烏山・軽米西・軽米東ソーラーの運転開始(+3,223) ②天候不順による既設太陽光発電所の売電量の減少(△347) |
再生可能 エネルギー 開発・運営 事業 | 4,568 | 9,860 | 5,291 | 115.8 | 発電事業に関する事業開発報酬の増加 (+5,011)(注)4、5 |
調整額 | △2,092 | △5,016 | △2,923 | - | |
連結財務諸表 計上額 | 14,098 | 19,449 | 5,350 | 38.0 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。なお、下記の主な相手先の販売実績はいずれも12ヶ月分の販売実績となります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2018年6月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
ミツウロコグリーンエネルギー株式会社 | 8,837 | 62.7 | 8,042 | 41.4 |
東京電力エナジーパートナー株式会社 | 1,263 | 9.0 | 2,227 | 11.5 |
東北電力株式会社 | 82 | 5.9 | 1,897 | 9.8 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
3.発電事業における売上高は、前連結会計年度、当連結会計年度のいずれも12ヶ月分ずつの比較です。
4.前連結会計年度は、苅田バイオマスエナジー株式会社からの事業開発報酬450百万円、徳島津田バイオマス発電所合同会社からの事業開発報酬2,000百万円、及び徳島津田バイオマス発電事業に出資参画をする共同スポンサーの一部からの追加的な事業開発報酬等を「再生可能エネルギー開発・運営事業」の売上高に含みます。(セグメント間の内部取引に関する未実現利益は消去していません。)
5.当連結会計年度は、人吉ソーラー匿名組合事業からの事業開発報酬500百万円、合同会社御前崎港バイオマスエナジーからの事業開発報酬3,000百万円、合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジーからの事業開発報酬3,500百万円、及び徳島津田バイオマス事業に出資参画をする共同スポンサーの一部からの第2回目の追加的な事業開発報酬を売上高に含みます。(セグメント間の内部取引に関する未実現利益は消去していません。)
(報告セグメントごとの利益又は損失)
(単位:百万円)
2019年 3月期 | 2020年 3月期 | 増減額 | 増減率(%) | 増減の主要因 | |
再生可能 エネルギー 発電事業 | 7,484 | 9,825 | 2,341 | 31.3 | ①四日市・那須烏山・軽米西・軽米東ソーラーの運転開始(+2,603) ②「再生可能エネルギー発電事業」の売上高の増減の主要因②と同じ理由によるEBITDAの増減 |
再生可能 エネルギー 開発・運営 事業 | 2,837 | 6,658 | 3,821 | 134.7 | ①「再生可能エネルギー開発・運営事業」の売上高の増減の主要因と同じ理由によるEBITDAの増加 ②事業開発のための人件費、経費の増加(△1,133)(注)2 |
セグメント間 取引消去 | △2,427 | △5,258 | 2,830 | - | |
連結EBITDA | 7,893 | 11,225 | 3,331 | 42.2 | |
調整額 | △4,433 | △6,575 | △2,141 | - | |
連結財務諸表 計上額 | 3,460 | 4,650 | 1,189 | 34.4 |
(注)1.セグメント利益は、経常利益に純支払利息及び各種償却費(減価償却費、長期前払費用償却(電力負担金償却及び繰延消費税償却)、のれん償却額及び繰延資産償却額(開業費償却及び創立費償却))を加えたEBITDAにて表示しています。なお、連結財務諸表計上額は、連結損益計算書における経常利益です。
2.前連結会計年度は当社単体の決算月を5月から3月に変更したこと(前期:10ヶ月決算、当期:12ヶ月決算)、及び事業拡大の影響で、当連結会計年度の人件費、経費は増加となりました。
(参考)再生可能エネルギー発電事業に属する連結子会社の単体決算の状況
(単位:百万円)
会社名 | 事業年度 (注)1 | 売上高 | EBITDA | EBITDA マージン (%)(注)2 | 経常利益 | 当期純利益 (注)3 | 当社 持分比率 (%) (注)3 |
(株)水郷潮来 ソーラー (注)5 | 2019年3月期 | 754 | 579 | 76.9 | 261 | 190 | 68.0 |
2020年3月期 | 746 | 567 | 76.0 | 282 | 203 | 68.0 | |
(株)富津 ソーラー (注)5 | 2019年3月期 | 2,038 | 1,710 | 83.9 | 833 | 600 | 51.0 |
2020年3月期 | 1,972 | 1,628 | 82.5 | 795 | 573 | 51.0 | |
(株)菊川石山 ソーラー (注)5 | 2019年3月期 | 484 | 371 | 76.7 | 143 | 104 | 63.0 |
2020年3月期 | 469 | 339 | 72.3 | 121 | 90 | 63.0 | |
(株)菊川堀之内谷 ソーラー (注)5 | 2019年3月期 | 379 | 280 | 73.9 | 98 | 71 | 61.0 |
2020年3月期 | 367 | 254 | 69.2 | 80 | 60 | 61.0 | |
九重ソーラー 匿名組合事業 (注)4、5 | 2019年3月期 | 1,090 | 840 | 77.1 | 180 | 180 | 100.0 |
2020年3月期 | 941 | 688 | 73.1 | 36 | 36 | 100.0 | |
那須塩原ソーラー 匿名組合事業 (注)4、5 | 2019年3月期 | 1,282 | 1,083 | 84.4 | 448 | 448 | 100.0 |
2020年3月期 | 1,214 | 1,004 | 82.7 | 379 | 379 | 100.0 | |
大津ソーラー 匿名組合事業 (注)4、5 | 2019年3月期 | 756 | 550 | 72.8 | 62 | 62 | 100.0 |
2020年3月期 | 727 | 531 | 73.1 | 49 | 49 | 100.0 | |
四日市ソーラー 匿名組合事業 (注)4、6 | 2019年3月期 | - | - | - | - | - | 100.0 |
2020年3月期 | 869 | 709 | 81.6 | 206 | 206 | 100.0 | |
那須烏山ソーラー 匿名組合事業 (注)4、7 | 2019年3月期 | - | - | - | - | - | - |
2020年3月期 | 528 | 421 | 79.8 | 85 | 85 | 100.0 | |
軽米西ソーラー 匿名組合事業 (注)4、8 | 2019年3月期 | - | - | - | - | - | - |
2020年3月期 | 1,286 | 1,010 | 78.6 | 86 | 86 | 51.0 | |
軽米東ソーラー 匿名組合事業 (注)4、9 | 2019年3月期 | - | - | - | - | - | - |
2020年3月期 | 537 | 460 | 85.6 | 32 | 32 | 69.3 | |
ユナイテッドリニューアブルエナジー(株) | 2019年3月期 | 4,835 | 2,019 | 41.8 | 1,104 | 794 | 35.3 |
2020年3月期 | 4,876 | 2,103 | 43.1 | 1,210 | 915 | 35.3 |
(注)1.いずれの連結子会社とも決算日は3月31日です。
2.EBITDAマージン=EBITDA/売上高
3.当社持分比率は各連結子会社単体の損益を、当社グループ連結決算における親会社株主に帰属する当期純利益として取り込む際の比率です。なお、上記の当期純利益は、連結上の当社持分比率を考量する前の各社単体の当期純利益です。
4.匿名組合事業に関してその課税所得は、出資割合に応じて匿名組合出資者に帰属されるため、匿名組合事業としての税金費用は発生しません。
5.当連結会計年度は、主に天候不順により発電量が減少したため、既存太陽光発電所において、前連結会計年度に比べ、売上高、EBITDA、経常利益、当期純利益は全体的に減少しました。
6.四日市ソーラー匿名組合事業は、前連結会計年度(2019年3月期)までの損益については持分法を適用しており、当連結会計年度以降(2019年4月以降)の損益について連結子会社として当社グループの連結決算に取り込んでいます。そのため、上記において前連結会計年度(2019年3月期)の各数値を記載していません。
7.那須烏山ソーラー匿名組合事業は、第1四半期連結累計期間(2019年6月)までの損益については持分法を適用しており、第2四半期連結会計期間の期首以降(2019年7月以降)の損益について連結子会社として当社グループの連結決算に取り込んでいます。そのため、上記において当連結会計年度のうち2019年7月以降の9ヶ月分の損益のみを記載しています。
8.軽米西ソーラー匿名組合事業は、第1四半期連結累計期間(2019年6月)までの損益については持分法を適用しており、第2四半期連結会計期間の期首以降(2019年7月以降)の損益について連結子会社として当社グループの連結決算に取り込んでいます。そのため、上記において当第連結会計年度のうち2019年7月以降の9ヶ月分の損益のみを記載しています。
9.軽米東ソーラー匿名組合事業は、第3四半期連結累計期間(2019年12月)までの損益については持分法を適用しており、第4四半期連結会計期間の期首以降(2020年1月以降)の損益について連結子会社として当社グループの連結決算に取り込んでいます。そのため、上記において当第連結会計年度のうち2020年1月以降の3ヶ月分の損益のみを記載しています。
(3) 財政状態の分析
当社グループでは、資本効率を向上させながら大型の再生可能エネルギー発電所の開発投資を行うために、金融機関からの長期の借入れを活用しています。また、財務健全性を適切にモニタリングする観点から、保有する資産の実態的な価値を把握するほか、純資産比率や自己資本比率、純有利子負債とEBITDAの倍率(純有利子負債/EBITDA倍率)等の指標を重視しています。
当連結会計年度末の純資産比率は16.4%(前連結会計年度末は15.8%)、自己資本比率は12.5%(前連結会計年度末は11.5%)となりました。また、純有利子負債/EBITDA倍率(純有利子負債と直近の12ヶ月間に計上したEBITDAの倍率)は当連結会計年度末において7.6倍(前連結会計年度末は5.1倍)となりました。
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ66,651百万円増加し、148,151百万円となりました。各セグメントにおけるセグメント資産の増減要因は以下の通りです。
「再生可能エネルギー発電事業」
当連結会計年度末のセグメント資産は、54,233百万円増加し、112,131百万円となりました。これは、第1四半期連結会計期間に那須烏山ソーラー匿名組合事業、第2四半期連結会計期間に軽米西ソーラー匿名組合事業及び第3連結会計期間に軽米東ソーラー匿名組合事業の連結に伴う現金及び預金の増加(4,612百万円)及び有形固定資産の増加(45,229百万円)が主要因です。
「再生可能エネルギー開発・運営事業」
当連結会計年度末のセグメント資産は、16,858百万円増加し、44,275百万円となりました。主な増加の理由は、当社において再生可能エネルギー発電事業の開発支援に係る役務の提供完了により売上を計上したことに伴い、「再生可能エネルギー開発・運営事業」における売掛金が4,388百万円増加したこと、及び当社からの関連会社に対する出資による開発投資に加えて、持分法適用関係会社における為替予約、金利スワップに係る繰延ヘッジ損益の取込により関係会社株式が11,997百万円増加したこと等です。
人吉ソーラー匿名組合事業(当社の持分法適用関連会社)の営業者である合同会社人吉ソーラーは2019年11月に金融機関との間で融資関連契約を締結し、ソーラー発電所の建設、運転へ向けてのプロジェクトファイナンスを組成するとともに、2019年11月に着工しました。なお当社は人吉ソーラー発電所の完成日以降に、共同スポンサーが保有する匿名組合出資持分(62.0%)の全てを買い増す権利を有しています。
合同会社御前崎港バイオマスエナジー(当社の持分法適用関連会社)は2019年11月に金融機関との間で融資関連契約を締結し、木質バイオマス専焼発電所の建設、運転へ向けてのプロジェクトファイナンスを組成しました。同社に対する当社持分は出資比率で38.0%、配当比率で57.0%です。なお当社は御前崎港バイオマス発電所の完成日以降に、共同スポンサーの1社が保有する特別目的会社出資持分(18.0%)を買い増す権利を有しています。当該権利を行使した場合には、当社の同社に対する出資比率は56.0%、配当比率は75.0%となります。
合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジー(当社の持分法適用関連会社)は2020年3月に金融機関との間で融資関連契約を締結し、宮城県石巻市における木質バイオマス専焼発電所の建設、運転へ向けてのプロジェクトファイナンスを組成しました。同社に対する当社持分は出資比率で38.0%、配当比率で49.9%です。なお当社は石巻ひばり野バイオマス発電所の完成日以降に、共同スポンサーの1社が保有する特別目的会社出資分(13.0%)を買い増す権利を有しています。当該権利を全て行使した場合には、当社の同社に対する出資比率は51.0%、配当比率は62.9%となります。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ55,223百万円増加し、123,837百万円となりました。
これは、那須烏山ソーラー匿名組合事業、軽米西ソーラー匿名組合事業及び軽米東ソーラー匿名組合事業の新規連結化に伴う長期借入金の増加47,245百万円及び資産除去債務4,062百万円、当社における再生可能エネルギー発電事業の開発に備えての長期借入れの実行による借入金の増加6,980百万円、一方での当社における約定に従った返済による借入金の減少2,523百万円、及び運転開始済みの再生可能エネルギー発電所SPCの長期借入金の返済進捗による借入金の減少3,395百万円が主な増減の内容です。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ11,427百万円増加し、24,313百万円となりました。
主な増減内容は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加3,674百万円、当連結会計年度中の太陽光発電事業の連結化等による非支配株主持分の増加2,258百万円、新株予約権の行使による資本金及び資本剰余金の増加189百万円、持分法適用関連会社である徳島津田バイオマス発電所合同会社、合同会社御前崎港バイオマスエナジーにおける将来の長期に亘る海外からのバイオマス燃料調達に伴う為替予約に係る繰延ヘッジ利益の計上(配当比率徳島バイオマス41.8%、御前崎バイオマス57.0%見合い)7,004百万円、一方での石巻ひばり野バイオマスエナジーにおける為替予約及び金利スワップに係る繰延ヘッジ損失の計上(配当比率49.9%見合い)△1,778百万円です。
(4) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比較して2,082百万円減少し、10,344百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、7,103百万円の収入(前年同期は6,435百万円の収入)となりました。主なキャッシュ・イン・フローは、「再生可能エネルギー発電事業」における売電先からの売電収入及び「再生可能エネルギー開発・運営事業」における再生可能エネルギー発電事業SPCからの事業開発報酬収入です。主なキャッシュ・アウト・フローは、「再生可能エネルギー発電事業」における発電設備の維持管理費用、事業用地の賃借料、各種税金、バイオマス燃料の仕入及び「再生可能エネルギー開発・運営事業」における開発支出(人件費等を含む)です。
当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ「再生可能エネルギー発電事業」において新規に運転開始した複数の太陽光発電事業が新たに連結の範囲に含まれたことにより売電収入が増加したこと、及び「再生可能エネルギー開発・運営事業」における事業開発報酬が増加したこと等により、税金等調整前当期純利益が増加しました。一方で、一部の事業開発報酬の回収が来期以降に実現すること等の理由から、営業活動によるキャッシュ・フローは前年同期に比べ667百万円増加しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、11,915百万円の支出(前年同期は4,007百万円の支出)となりました。主なキャッシュ・イン・フローは、発電所建設のために先行支出していた立替金についての、当該案件でのプロジェクト・ファイナンス組成等による回収2,492百万円です。主なキャッシュ・アウト・フローは、SPCへの出資のための投資有価証券の取得による支出5,946百万円、将来の発電所建設のためのSPCに対する立替金としての支出1,615百万円、主に当連結会計年度に新規竣工した大規模太陽光発電所における固定資産の取得による支出5,100百万円、及び那須烏山・軽米西・軽米東ソーラー匿名組合事業の持分を追加取得したことによる連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,705百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、2,730百万円の収入(前年同期は3,988百万円の収入)となりました。主なキャッシュ・イン・フローは、「再生可能エネルギー発電事業」における新規の長期借入れ5,443百万円、「再生可能エネルギー開発・運営事業」における新規の長期借入れ6,980百万円、及びストックオプションの権利行使に伴う株式の発行による収入178百万円です。主なキャッシュ・アウト・フローは、「再生可能エネルギー発電事業」における長期借入金の返済4,211百万円、「再生可能エネルギー開発・運営事業」における長期借入金の返済2,523百万円、「再生可能エネルギー発電事業」における引出制限付預金の増加2,460百万円、非支配株主への配当金の支払663百万円です。