有価証券報告書-第22期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/18 15:00
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135項目
※当社グループは当連結会計年度(2020年4月1日から2021年3月31日まで)より、従来の日本基準に替えてIFRSを適用し、前連結会計年度の数値をIFRSに組み替えて比較分析を行っています。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析、検討内容は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下、「連結財務諸表規則」という。)第93条の規則によりIFRSに準拠して作成しています。連結財務諸表の作成にあたり、経営者の判断に基づく会計方針の選択と適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となりますが、その判断及び見積りに関しては連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しています。しかしながら、実際の結果は、見積り特有の不確実性を伴うことから、これら見積りと異なる可能性があります。
なお、再生可能エネルギー事業は多額の初期投資を必要とする事業であり、減価償却費等の償却費の費用に占める割合が大きくなる傾向にあります。一過性の償却負担に過度に左右されることなく、企業価値の増大を目指し、もって株式価値の向上に努めるべく、当社グループでは業績指標として金利・税金・償却前利益であるEBITDAを重視しています。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針、会計上の見積り及び判断は、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 3 重要な会計方針」、「2 作成の基礎 (5) 見積り及び判断の利用」に記載しています。
(2) 経営成績の分析
①事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
a.事業全体の状況
世界のエネルギー市場は、2015年末のCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)における、2020年以降の温暖化対策の国際枠組みについての合意を契機とし、各国政府や金融業界の脱炭素化に向けたグローバルでの取り組みが加速し、化石燃料から再生可能エネルギーへのエネルギーシフトが進展しています。2021年2月には、米国のバイデン政権において、地球温暖化対策の国際枠組みである「パリ協定」に正式復帰し、世界的な排出量削減に向けた取り組みの実効性が一層高まりました。同4月には気候変動サミットが開催される等、地球温暖化対策のための国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に向けた各国の取り組みが強化されています。ベトナムやフィリピン等、東南アジア各国においても、今後の再生可能エネルギーの供給割合として掲げていた目標をさらに引き上げる等、脱炭素化に向けた動きが活発化しています。
このような状況の中、国内再生可能エネルギー市場においては、固定価格買取制度(FIT制度)(*1)下の買取実績は引き続き増加しています。2020年6月には「強靱かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律(エネルギー供給強靭化法)」が成立し、再生可能エネルギーの主力電源化や、災害時の迅速な電力供給の復旧等、強靱かつ持続可能な電気の供給体制の確立に向けた取り組みが推進されています。また、2020年10月以降、経済産業省において「2050年カーボンニュートラルの実現」を目標に本格的な検討が開始されており、第6次エネルギー基本計画の策定に向け、国内のエネルギーミックスの見直しに関する議論も進んでいます。さらに、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(再エネ海域利用法)」に則り、国により指定された国内の海域4ヶ所の「促進区域」において洋上風力発電事業を行うべき者を選定するための公募が開始される等、洋上風力発電市場の拡大が本格化しています。2020年12月15日に経済産業省及び国土交通省が開催した「第2回 洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会」においては、「洋上風力産業ビジョン(第1次)」案が示され、洋上風力発電の導入目標を「年間 1GW 程度の区域指定を10年継続し、2030年までに10GW、2040年までに浮体式も含む30GWから45GWの案件を形成すること」が掲げられています。このように、再生可能エネルギー導入に対する政府の支援姿勢は継続しており、今後も、国内再生可能エネルギー市場は、より一層拡大していく見通しです。
(*1)固定価格買取制度(FIT):
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(FIT法)に基づき、電気事業者(電気事業法上に定義された、小売電気事業者、一般送配電事業者及び登録特定送配電事業者の総称)が再生可能エネルギーで発電された電力を固定価格で買い取る制度です。太陽光、バイオマス、風力、地熱及び水力等により発電された電力が当該制度に基づいて電気事業者に販売され、その販売単価は年度毎に経済産業省・資源エネルギー庁の調達価格等算定委員会において定められます。電気事業者との受給契約(売電契約)・系統連系契約(電力系統への接続契約)が締結された場合、一定期間(10kW以上太陽光・バイオマス・風力・水力:20年間、地熱:15年間)に亘り設備認定(2017年4月以降は事業計画認定(事業認定))手続き等に基づき適用される固定価格での電力売買が行われます。
また、2015年1月に、太陽光発電所や風力発電所等の自然変動電源による発電量が大幅に増加した場合でも電力需給バランスを保ち、電力供給の安定化を図ることを目的とし、設備容量抑制ルールを拡充する制度改定が行われています。設備容量抑制ルールに基づき、旧一般電気事業者(北海道電力・東北電力・北陸電力・東京電力・中部電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力の総称)は、一定条件のもとで再生可能エネルギーを電源とする発電所による系統への送電電力の数量や質に制限を加えることができます。
当連結会計年度末において、当社グループの運転中及び建設中の事業の設備容量は合計約900MWに増加しており、順調に事業が拡大しています。運転開始済みの事業の安定的、持続的な稼働を図りながら、引き続き、国内洋上風力及び海外事業を注力領域として新規事業の開発を推進し、更なる成長を目指しています。
当連結会計年度における当社グループの「再生可能エネルギー発電事業」においては、運転開始済みの大規模太陽光発電所は、夏季の天候不順に伴い期初予想より売電量はやや減少しましたが、大きな設備不良等はなく安定的に発電量が推移しました。2020年7月に、当社の連結子会社である軽米西ソーラー匿名組合事業の出資持分を追加取得(追加取得後の出資比率100.0%)しました。また、2020年12月に、当社の連結子会社である軽米東ソーラー匿名組合事業の出資持分を追加取得(追加取得後の出資比率100.0%)しました。2020年7月に九州地方に被害をもたらした大雨では、当社の大規模太陽光発電所2ヶ所が影響を受けました。九重ソーラー匿名組合事業は、九州電力送配電株式会社の送電系統に被害が生じたことによる停電の影響に伴い、2020年7月7日午前から12日午後までの間は送電を停止しました。大津ソーラー匿名組合事業においては、当該大雨による被害により一部設備の補修を行っています。なお、当該大雨による送電の停止及び設備の補修はいずれも保険適用範囲内であり、連結業績に与える影響は軽微です。また、当連結会計年度において、再生可能エネルギー出力制御(出力抑制)が延べ14日間(九州本土合計)行われましたが、これに伴う当社グループの逸失発電量は、当社の計画量における想定の範囲内でした。
バイオマス発電所については、大きな事故や設備不良等もなく、発電量は順調に推移しました。
「再生可能エネルギー開発・運営事業」においては、引き続き、国内外の新たな発電所の建設及び開発が進捗しています。
2020年5月に、ベトナム社会主義共和国クアンチ省(以下、「ベトナム」という。)にて建設を進めている複数の陸上風力発電事業(合計設備容量 144.0MW)への出資を伴う事業参画を行いました。当社のベトナムクアンチ省における陸上風力発電事業の出資比率は40%になり、持分法の適用範囲に含めています。
2020年10月に、合同会社杜の都バイオマスエナジー(当社の持分法適用関連会社)を通じて開発を主導する大型バイオマス発電事業(仙台蒲生バイオマス発電所)について、金融機関との間で融資関連契約を締結しました。これにより、当社は合同会社杜の都バイオマスエナジーからの事業開発報酬を計上しています。また、前連結会計年度に着工した、静岡県御前崎市及び牧之原市における、設備容量75.0MWの大型バイオマス事業に関し、一定のマイルストーンを達成したことから、共同パートナーからの追加的な事業開発報酬を計上しています。この他、建設着工済み又は運転開始済みの発電所SPC(*2)からの定常的な運営管理報酬(*3)及び配当・匿名組合分配益(*4)を享受しています。
2021年3月に、当社の持分法適用会社であった徳島津田バイオマス発電所合同会社の出資持分を追加取得(出資比率60.8%)し、当社の連結子会社としました。また、2021年2月に、苅田バイオマス事業に関し、共同事業パートナーであるヴェオリア・ジャパン株式会社との間で、苅田バイオマス事業の運転開始後においてヴェオリア・ジャパン株式会社の保有する苅田バイオマスエナジー株式会社の株式(持株比率10%)を当社が取得する権利(コール・オプション)に関する契約を締結しました。追加取得契約に基づき権利を行使した場合には、当社の出資比率は53.07%となり苅田バイオマスエナジー株式会社は当社の連結子会社となる見込みです。
開発中事業については、2020年7月に、当社が洋上風力発電事業の開発を進めている秋田県由利本荘市沖が、再エネ海域利用法に基づく促進区域に指定され、2020年11月より公募プロセスが開始されました。当社は、2021年5月に公募占用計画の提出を予定しており、その後5ヶ月以降を目安に、事業者が選定される見通しです。
なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による、当社グループの運転開始済みの大規模太陽光発電及びバイオマス発電の発電への影響は、当連結会計年度においてはありませんでした。提出日現在において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う、電力市場の急激な悪化、当社グループの発電所の運転、建設及び開示済み事業の開発が困難となる事象は発生していません。
(*2)SPC:
特別目的会社(Special Purpose Company)のことを指しています。当社グループでは基本的に発電所毎に共同事業者が異なること、また、プロジェクト・ファイナンスを行う上でリスク分散を図ることを理由として、発電所を立ち上げる毎にSPCを設立し、当該SPCに発電所を所有させています。なお、当社グループにおいてはSPCを株式会社として設立して株式による出資を行う場合、合同会社(GK)として設立して持分による出資を行う場合に加え、SPCを会社法上の合同会社(GK)として設立して商法上の匿名組合(TK)として営業者に出資を行う場合(TK-GKスキーム)があります。TK-GKスキームの主な特徴としては匿名組合員が有限責任であること及び営業者であるSPCの段階で法人税課税が発生せず、匿名組合員に直接課税されることが挙げられます。
(*3)運営管理報酬:
発電所建設の工程管理、決算及び金融機関へのレポーティング等の業務に代表され、発電所の建設期間及び売電期間に亘り支払われる報酬です。なお子会社や関連会社に対する当社の持分に相当する運営管理報酬については、連結決算上は連結グループ内取引として連結消去されています。
(*4)配当・匿名組合分配益:
「再生可能エネルギー発電事業」に属するSPCが株式会社ないし合同会社として運営されている場合は、当該SPCから当社へ支払われた配当金については当社単体の営業外収益に計上され、また、これはセグメント間取引として「再生可能エネルギー開発・運営事業」のセグメント利益に反映されます。
また、「再生可能エネルギー発電事業」に属するSPCが匿名組合として運営されている場合は、当該SPCで計上された利益のうちの当社出資割合分相当額についてその発生年度に匿名組合分配益として当社単体の売上高に計上し、一方損失が発生した場合は、その損失のうちの当社出資割合分相当額を匿名組合分配損として当社単体の販売費及び一般管理費へ計上しています。これらもセグメント間取引として「再生可能エネルギー開発・運営事業」のセグメント利益に反映されます。
これらの結果を受けた、当連結会計年度における経営成績は次のとおりです。
(単位:百万円)
2020年
3月期
2021年
3月期
増減増減率
(%)
増減の主要因
売上収益19,16720,5531,3867.2①那須烏山・軽米西・軽米東ソーラーが前期期中に運転を開始したことによる運転期間差(+2,739)
②開発・運営事業における、事業開発報酬の減少(△1,547)
③既存太陽光発電所における売電量増加(+229)
④定期修繕期間伸長等に伴うUREの売電量減 少(△145)
EBITDA
(注)1
10,67710,620△58△0.5①那須烏山・軽米西・軽米東ソーラーが前期期中に運転を開始したことによる運転期間差(+2,725)
②開発・運営事業における、事業開発報酬の減少(△1,547)
③事業開発のための人件費、経費の増加(△1,018)
EBITDA
マージン(%)
(注)2
55.751.7△4.0-
営業利益5,8844,605△1,279△21.7①那須烏山・軽米西・軽米東ソーラーが前期期中に運転を開始したことによる運転期間差(+1,603)
②EBITDAの増減の主要因②、③と同じ理由による合計での営業利益の減少
親会社の
所有者に
帰属する
当期利益
3,53611,5077,970225.4①企業結合に伴う再測定による利益の増加(+7,530)(注)3

(注)1.EBITDA=売上収益-燃料費-外注費-人件費+持分法による投資損益+その他の収益・費用
2.EBITDAマージン=EBITDA/売上収益
3. 2020年3月期における企業結合:該当なし
2021年3月期における企業結合:徳島津田バイオマス発電所合同会社
b.セグメント情報に記載された区分ごとの状況
セグメント別の業績は以下のとおりとなりました。各セグメントの業績数値につきましては、セグメント間の内部取引高等を含めて表示しています。また、セグメント利益は、EBITDAにて表示しています。再生可能エネルギー事業は多額の初期投資を必要とする事業であり、全体の費用に占める減価償却費等の償却費の割合が大きい傾向にあります。当社グループでは、一過性の償却費負担に過度に左右されることなく、企業価値の増大を目指すべく、株式価値の向上に努めています。そのため、業績指標として金利・税金・償却前利益であるEBITDAを重視しています。
(報告セグメントごとの売上収益)
(単位:百万円)
2020年
3月期
2021年
3月期
増減額増減率(%)増減の主要因
再生可能
エネルギー
発電事業
14,82717,6512,82419.0①那須烏山・軽米西・軽米東ソーラーが前期期中に運転を開始したことによる運転期間差(+2,739)
②既存太陽光発電所における売電量増加(+229)
③定期修繕期間伸長等に伴うUREの売電量の減少(△145)
再生可能
エネルギー
開発・運営
事業
9,8165,605△4,211△42.9①事業開発報酬の減少(△4,813)
②那須烏山・軽米西・軽米東ソーラーからの匿名組合分配損益(+192)
調整額△5,476△2,7032,773-
連結財務諸表
計上額
19,16720,5531,3867.2

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。なお、下記の主な相手先の販売実績はいずれも12ヶ月分の販売実績となります。
相手先前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
ミツウロコグリーンエネルギー株式会社8,04342.07,41736.1
東京電力エナジーパートナー株式会社2,38712.52,91414.2
東北電力株式会社2,02610.64,66822.7

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(報告セグメントごとの利益又は損失)
(単位:百万円)
2020年
3月期
2021年
3月期
増減額増減率(%)増減の主要因
再生可能
エネルギー
発電事業
9,81412,4422,62826.8①那須烏山・軽米西・軽米東ソーラーが前期期中に運転を開始したことによる運転期間差(+2,725)
②「再生可能エネルギー発電事業」の売上収益の増減の主要因②~③と同じ理由によるEBITDAの増減
再生可能
エネルギー
開発・運営
事業
5,903508△5,395△91.4①「再生可能エネルギー開発・運営事業」の売上収益の増減の主要因①~②と同じ理由によるEBITDAの増減
②事業開発のための人件費、経費の増加(△1,018)
セグメント間
取引消去
△5,040△2,3302,710-
EBITDA10,67710,620△58△0.5

(注)セグメント利益は、売上収益から燃料費、外注費、人件費を差し引き、持分法による投資損益、並びに
その他の収益・費用を加算したEBITDAにて表示しています。
(3) 財政状態の分析
当社グループでは、資本効率を向上させながら大型の再生可能エネルギー発電所の開発投資を行うために、金融機関からの長期の借入れを活用しています。また、財務健全性を適切にモニタリングする観点から、保有する資産の実態的な価値を把握するほか、資本比率や親会社所有者帰属持分比率、純有利子負債とEBITDAの倍率(純有利子負債/EBITDA倍率)等の指標を重視しています。
当連結会計年度における社債の発行及び為替予約や金利スワップの時価変動によるその他の資本の構成要素の減少、徳島津田バイオマス発電所合同会社の新規連結等の影響により、当連結会計年度末の資本比率は11.3%(前連結会計年度末は9.8%)、親会社所有者帰属持分比率は6.9%(前連結会計年度末は7.5%)となりました。また、純有利子負債/EBITDA倍率(純有利子負債と直近の12ヶ月間に計上したEBITDAの倍率。なお、純有利子負債は、借入金及び社債、リース負債、並びにその他の金融負債に含まれる金融負債の合計から、現金及び現金同等物並びに引出制限付預金を差し引いた金額と定義)は、当連結会計年度末において11.5倍(前連結会計年度末は9.4倍)となりました。
(資産の部)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ48,860百万円増加し、220,546百万円となりました。主な増減要因は、新規の社債発行等による現金及び現金同等物の増加(+8,781百万円)、及びベトナムクアンチ省における陸上風力事業への出資等による持分法で会計処理されている投資の増加(+3,394百万円)、さらに徳島津田バイオマス発電所合同会社の連結化等による有形固定資産の増加(+11,529百万円)及び無形資産の増加(+14,786百万円)、長期燃料購入契約に対する為替予約等によるその他の金融資産(非流動)の増加(+10,934百万円)です。
また、その他の金融資産(流動)については、融資関連契約の締結に基づき融資を受けた持分法適用関連会社からの立替金の回収を主な要因として、前連結会計年度末から2,490百万円の減少となりました。
合同会社杜の都バイオマスエナジー(当社の持分法適用関連会社)は2020年10月26日付けにて金融機関との間で融資関連契約を締結し、宮城県仙台市における木質バイオマス専焼発電所の建設、運転へ向けてのプロジェクトファイナンスを組成しました。同社に対する当社持分は出資比率、配当比率ともに29.0%です。なお、当社は仙台蒲生バイオマス発電所の完成日以降に、共同出資会社の一部が保有する同会社への出資持分(31.0%)を買い増す権利を有しています。当該権利を全て行使した場合には、当社の出資比率、配当比率ともに60.0%となります。
苅田バイオマスエナジー株式会社(当社の持分法適用関連会社)における共同スポンサーとの間で、共同スポンサーが保有する苅田バイオマスの株式(10.0%)を当社が取得する権利に関する契約(以下「追加取得契約」といいます。)を締結しました。追加取得契約に基づき権利が行使された場合には、当社の出資比率、配当比率ともに53.07%となります。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ40,905百万円増加し、195,682百万円となりました。
主な増減要因は、新規の社債発行、徳島津田バイオマス発電所合同会社の連結化及び長期借入れの実行による社債及び借入金の増加(+45,602百万円)、約定に従った長期借入金の返済による社債及び借入金の減少(△11,517百万円)、当社の持分法適用関連会社であるバイオマス発電事業SPCが保有する為替予約や金利スワップの公正価値変動を主要因として計上される持分法適用負債(その他の非流動負債の一部)の増加(+4,152百万円)です。
(資本の部)
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ7,956百万円増加し、24,864百万円となりました。
主な増減要因は、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上等による利益剰余金の増加(+11,504百万円)、当連結会計年度中の徳島津田バイオマス発電所合同会社の連結化等による非支配持分の増加(+5,621百万円)、新株予約権の行使による資本金及び資本剰余金の増加(+175百万円)、徳島津田バイオマス発電所合同会社が当社の持分法適用会社から連結子会社に変更となったこと並びに当社の持分法適用会社が保有する為替予約及び金利スワップの公正価値変動を主要因とするその他の資本の構成要素の減少(△9,353百万円)です。
(4) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比較して8,781百万円増加し、19,406百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、12,469百万円の収入(前年同期は4,882百万円の収入)となりました。主なキャッシュ・イン・フローは、「再生可能エネルギー発電事業」における売電先からの売電収入及び「再生可能エネルギー開発・運営事業」における再生可能エネルギー発電事業SPCからの事業開発報酬収入です。主なキャッシュ・アウト・フローは、「再生可能エネルギー発電事業」における発電設備の維持管理費用、事業用地の賃借料、各種税金、バイオマス燃料の仕入及び「再生可能エネルギー開発・運営事業」における開発支出(人件費等を含む)です。
当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ「再生可能エネルギー発電事業」において前連結会計年度中に運転開始した複数の太陽光発電事業が通期にわたり売電したことにより売電収入が増加したこと、及び「再生可能エネルギー開発・運営事業」における前連結会計年度に計上した事業開発報酬の回収が実現したこと等により、営業活動によるキャッシュ・フローは前年同期に比べ7,588百万円増加しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、13,483百万円の支出(前年同期は21,416百万円の支出)となりました。主なキャッシュ・イン・フローは、発電所建設のために先行支出していた立替金の、当該案件でのプロジェクト・ファイナンス組成後の借入実行による回収2,724百万円です。主なキャッシュ・アウト・フローは、持分法で会計処理されている投資の取得による支出8,423百万円、将来の発電所建設のためのSPCに対する立替金としての支出1,023百万円、主に工事中の大規模太陽光発電所における固定資産の取得による支出4,560百万円、及び徳島津田バイオマス発電所合同会社の持分を追加取得したことによる支出618百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、9,778百万円の収入(前年同期は14,772百万円の収入)となりました。主なキャッシュ・イン・フローは、長期借入れによる収入12,681百万円、社債発行による収入13,922百万円です。主なキャッシュ・アウト・フローは、長期借入金の返済による支出11,517百万円、引出制限付預金の増加1,955百万円です。
(5) 並行開示情報
連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表、要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更は、次のとおりです。
なお、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けていません。
また、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、百万円未満の端数処理について、前連結会計年度は切り捨てにて、当連結会計年度は四捨五入にて表示しています。
① 要約連結貸借対照表
(単位:百万円)
前連結会計年度
(2020年3月31日)
当連結会計年度
(2021年3月31日)
資産の部
流動資産36,47344,789
固定資産
有形固定資産88,22295,930
無形固定資産3,12313,247
投資その他の資産17,36833,609
固定資産合計108,714142,786
繰延資産2,9635,986
資産合計148,151193,562
負債の部
流動負債14,84110,679
固定負債108,995153,487
負債合計123,837164,166
純資産の部
株主資本12,87724,575
その他の包括利益累計額5,605△4,780
新株予約権34104
非支配株主持分5,7979,498
純資産合計24,31329,396
負債純資産合計148,151193,562


② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書
要約連結損益計算書
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
売上高19,44920,604
売上原価8,31710,590
売上総利益11,13210,014
販売費及び一般管理費3,9784,993
営業利益7,1535,021
営業外収益71321
営業外費用2,5743,397
経常利益4,6501,944
特別利益1,94911,927
特別損失4
税金等調整前当期純利益6,60013,867
法人税等1,860808
当期純利益4,73913,060
非支配株主に帰属する当期純利益1,0641,177
親会社株主に帰属する当期純利益3,67411,883

要約連結包括利益計算書
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
当期純利益4,73913,060
その他の包括利益合計5,360△10,318
包括利益10,0992,742
(内訳)
親会社株主に係る包括利益8,9671,497
非支配株主に係る包括利益1,1321,244


③ 要約連結株主資本等変動計算書
前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
(単位:百万円)
株主資本その他の
包括利益累計額
新株予約権非支配株主持分純資産合計
当期首残高9,02531293,53912,886
当期変動額3,8515,292252,25811,427
当期末残高12,8775,605345,79724,313

当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
(単位:百万円)
株主資本その他の
包括利益累計額
新株予約権非支配株主持分純資産合計
当期首残高12,8775,605345,79724,313
当期変動額11,698△10,385703,7005,082
当期末残高24,575△4,7801049,49829,396

④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
営業活動によるキャッシュ・フロー7,10312,420
投資活動によるキャッシュ・フロー△11,915△9,671
財務活動によるキャッシュ・フロー2,7305,696
現金及び現金同等物に係る換算差額△0△2
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)△2,0828,444
現金及び現金同等物の期首残高12,42610,344
現金及び現金同等物の期末残高10,34418,791


⑤ 要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更(日本基準)
前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
(連結の範囲の変更)
前連結会計年度において、那須烏山ソーラー匿名組合事業、軽米西ソーラー匿名組合事業及び軽米東ソーラー匿名組合事業の持分を追加取得したことにより、持分法適用の関連会社から除外し、連結の範囲に含めています。
前連結会計年度に新規に設立したRENOVA RENEWABLES ASIA PTE. LTD.は、前連結会計年度より連結の範囲に含めています。
(持分法適用の範囲の変更)
前連結会計年度において、人吉ソーラー匿名組合事業、合同会社御前崎港バイオマスエナジー、合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジー及び秋田由利本荘洋上風力合同会社への出資等に伴い重要性が高まったため、持分法適用の関連会社に含めています。
前連結会計年度において、那須烏山ソーラー匿名組合事業、軽米西ソーラー匿名組合事業及び軽米東ソーラー匿名組合事業の持分を追加取得したことにより、連結の範囲に含めるべく、持分法適用の関連会社から除外しています。
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
(連結の範囲の変更)
当連結会計年度において、ベトナム社会主義共和国クアンチ省における陸上風力発電事業の中間持株会社である当社100%子会社のRENOVA RENEWABLES VIETNAM 1 PTE. LTD.の重要性が増したことから、連結の範囲に含めています。
当連結会計年度において、徳島津田バイオマス発電所合同会社の出資持分を追加取得したことにより、持分法適用の関連会社から除外し、連結の範囲に含めています。
(持分法適用の範囲の変更)
ベトナム社会主義共和国クアンチ省における陸上風力発電事業の事業主体であるLien Lap Wind Power Joint Stock Company、Phong Huy Wind Power Joint Stock Company、Phong Nguyen Wind Power Joint Stock Companyを、当連結会計年度より持分法の適用範囲に含めています。
当連結会計年度において、合同会社杜の都バイオマスエナジーへの出資に伴い重要性が増したことから、同社を持分法適用関連会社としています。
経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「40 初度適用(IFRSへの移行に関する開示)」をご参照ください。
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
(デリバティブ)
当社グループでは、持分法適用会社の他社持分についてコール・オプションを有しています。当該コール・オプションについて、IFRSではデリバティブ資産を認識し公正価値で測定していますが、日本基準では当該取引をデリバティブ取引として認識しないため、その結果、関連する資産負債の認識が行われませんでした。
また、金利スワップについて、IFRSでは当該金利スワップについて金融負債を認識していますが、日本基準上は特例処理の要件を満たしている場合には特例処理を採用していました。さらに、IFRSでは、連結範囲変更による影響で認識する金利スワップ取引が増加しています。
上記の結果により、IFRSへの移行に伴い連結財政状態計算書において、その他の金融資産(非流動)が16,948百万円、その他の金融負債(非流動)が6,331百万円増加しています。IFRSでは連結損益計算書及び連結包括利益計算書においては、オプション公正価値評価益を3,147百万円計上しています。
(リース)
IFRSでは短期リース及び少額資産のリースを除き、原則として全てのリース契約について使用権資産及びリース負債(流動及び非流動)を認識しており、使用権資産は減価償却を実施しています。日本基準では一部を開業費として処理していたものの、大部分はリースとしてオペレーティング・リースまたはファイナンス・リースに区分して処理しており、ファイナンス・リースに係る資産及び負債はそれぞれ、有形固定資産、その他流動負債またはその他固定負債として計上していました。
上記の結果及び連結範囲変更による影響により、IFRSへの移行に伴い、連結財政状態計算書において使用権資産が9,032百万円、リース負債(流動)が839百万円、リース負債(非流動)が9,022百万円それぞれ増加しています。
(連結、持分法及び企業結合)
IFRSでは、主に、日本基準では持分法適用会社としていた会社について、IFRS第10号に照らし実質的に支配していると判定し子会社としてIFRS移行に伴い新規に連結したことによる連結範囲変更及び非支配持分へ付与されたプット・オプションの認識に伴い、関連資産及び負債が増加しています。また、のれんについては連結範囲変更等の影響により、のれんの計上額に日本基準とIFRSで相違があることに加え、日本基準では償却を行うのに対して、IFRSでは償却を行いません。