有価証券報告書-第19期(平成29年6月1日-平成30年5月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析、検討内容は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、経営者の判断に基づく会計方針の選択と適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となりますが、その判断及び見積りに関しては連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しています。しかしながら、実際の結果は、見積り特有の不確実性を伴うことから、これら見積りと異なる可能性があります。
なお、再生可能エネルギー事業は多額の初期投資を必要とする事業であり、減価償却費等の償却費の費用に占める割合が大きくなる傾向にあります。一過性の償却負担に過度に左右されることなく、企業価値の増大を目指し、もって株式価値の向上に努めるべく、当社グループでは業績指標として金利・税金・償却前利益であるEBITDAを重視しています。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しています。
(2) 経営成績の分析
①事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
a.事業全体の状況
世界のエネルギー市場は、2015年末のCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)における、2020年以降の温暖化対策の国際枠組みについての合意を契機とし、各国政府や金融業界の脱炭素化に向けたグローバルでの取り組みが加速し、化石燃料から再生可能エネルギーへのエネルギーシフトが進展しています。
このような状況の中、国内再生可能エネルギー市場においては、固定価格買取制度(FIT)(*1)下の買取実績及び事業認定容量が引き続き増加しています。一部地域においては送電網の容量がひっ迫し、新規の有望事業の事業推進が困難になる状況が生じていますが、経済産業省において「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」が設置されるなど、再生可能エネルギーの大量導入に伴い顕在化し始めた系統制約や調整力確保等の新たな課題の解決に向けた議論も本格化しています。2030年のエネルギーミックス目標(2018年7月に閣議決定された「第5次エネルギー基本計画」において掲げられた2030年度の電源構成の目標。国内総発電量に占める再生可能エネルギー発電の割合は22~24%とする目標が掲げられている。)の実現に向けて、再生可能エネルギー導入に対する政府の支援姿勢は継続しています。今後も、国内再生可能エネルギー市場は、より一層拡大していく見通しです。
(*1)固定価格買取制度(FIT):
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(FIT法)に基づき、電気事業者(電気事業法上に定義された、小売電気事業者、一般送配電事業者及び登録特定送配電事業者の総称)が再生可能エネルギーで発電された電力を固定価格で買い取る制度です。太陽光、バイオマス、風力、地熱及び水力等により発電された電力が当該制度に基づいて電気事業者に販売され、その販売単価は年度毎に経済産業省・資源エネルギー庁の調達価格等算定委員会において定められます。電気事業者との受給契約(売電契約)・系統連系契約(電力系統への接続契約)が締結された場合、一定期間(10kW以上太陽光・バイオマス・風力・水力:20年間、地熱:15年間)に亘り設備認定(2017年4月以降は事業計画認定(事業認定))手続き等に基づき適用される固定価格での電力売買が行われます。
また、2015年1月に、太陽光発電所や風力発電所等の自然変動電源による発電量が大幅に増加した場合でも電力需給バランスを保ち、電力供給の安定化を図ることを目的とし、出力抑制ルールを拡充する制度改定が行われています。出力抑制ルールに基づき、旧一般電気事業者(東京電力・北海道電力・東北電力・北陸電力・中部電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力の総称)は、一定条件のもとで再生可能エネルギーを電源とする発電所による系統への送電電力の数量や質に制限を加えることができます。
当連結会計年度における当社グループの事業については、「再生可能エネルギー発電事業」においては、運転開始済みの大規模太陽光発電所の発電量が順調に推移しました。2018年4月(当社の連結会計年度(*2)としては翌連結会計年度)には、那須塩原ソーラー匿名組合事業において出力1.4MWの設備増強を行いました。この結果、当社グループの運転中の太陽光発電所は、合計出力143.2MWとなりました。また、2017年7月より、秋田県秋田市においてバイオマス発電事業(出力20.5MW。以降、バイオマス発電の出力は発電端出力ベースの発電容量)を行っているユナイテッドリニューアブルエナジー株式会社(以下「URE」という。)を当社の連結子会社とし、複数種類電源化(マルチ電源化)が進展しています。
(*2)当連結会計年度:
当社単体及び当社グループの連結上の決算月は5月ですが、発電所を所有する当社連結子会社及び関連会社の多くは決算月が3月です。下記の表のとおり、当社連結子会社及び関連会社の年次決算月が3月の場合、翌々月の5月を決算月とする当社連結会計年度の業績に含まれます。
(2018年5月期の当社連結会計年度と関係会社会計年度との関係)
「再生可能エネルギー開発・運営事業」においては、2017年8月に四日市ソーラー匿名組合事業(出力21.6MW)、2017年12月に那須烏山ソーラー匿名組合事業(出力19.2MW)、2018年3月に軽米尊坊ソーラー匿名組合事業(出力40.8MW)への出資を行い、それぞれ着工しました。これにより、現在建設中の大規模太陽光発電所は5ヶ所、合計出力210.5MWとなり、運転開始に向けて順調に工事が進んでいます。これらの結果、建設着工済み又は運転開始済みの発電所SPC(*3)からの定常的な運営管理報酬(*4)や配当・匿名組合分配益(*5)に加え、前述の当連結会計年度に着工した3事業に関する事業開発報酬(*6)が収益として計上されています。また、開発人員を増員して、今後の成長の原動力となる、バイオマス発電、洋上風力発電等の事業開発に注力してきました。
なお、2018年6月(当社の連結会計年度としては翌連結会計年度)には、福岡県京都郡苅田町における、出力75MWの大型バイオマス発電所に関する融資関連契約等を締結するとともに、第1回の出資を完了しており、バイオマス発電事業への取組みが順調に拡大しています。
(*3)SPC:
特別目的会社(Special Purpose Company)のことを指しています。当社グループでは基本的に発電所毎に共同事業者が異なること、またプロジェクトファイナンスを行う上でリスク分散を図ることを理由として、発電所を立ち上げる毎にSPCを設立し、当該SPCに発電所を所有させています。なお、当社グループにおいてはSPCを株式会社として設立して株式による出資を行う場合に加え、SPCを会社法上の合同会社(GK)として設立して商法上の匿名組合(TK)として営業者に出資を行う場合(TK-GKスキーム)があります。TK-GKスキームの主な特徴としては匿名組合員が有限責任であること及び営業者であるSPCの段階で法人税課税が発生せず、匿名組合員に直接課税されることが挙げられます。
(*4)運営管理報酬:
発電所建設の工程管理、決算及び金融機関へのレポーティング等の業務に代表され、発電所の建設期間及び売電期間に亘り支払われる報酬です。なお子会社や関連会社に対する当社の持分に相当する運営管理報酬については、連結決算上は連結グループ内取引として連結消去されています。
(*5)配当・匿名組合分配益:
「再生可能エネルギー発電事業」に属するSPCが株式会社として運営されている場合は、当該SPCから当社へ支払われた配当金については当社単体の営業外収益に計上され、またこれはセグメント間取引として「再生可能エネルギー開発・運営事業」のセグメント利益に反映されます。
また「再生可能エネルギー発電事業」に属するSPCが匿名組合として運営されている場合は、当該SPCで計上された利益のうちの当社出資割合分相当額についてその発生年度に匿名組合分配益として当社単体の売上高に計上し、一方損失が発生した場合は、その損失のうちの当社出資割合分相当額を匿名組合分配損として当社単体の販売費及び一般管理費へ計上しています。これらもセグメント間取引として「再生可能エネルギー開発・運営事業」のセグメント利益に反映されます。
なお、これらセグメント利益に反映された株式会社SPCからの配当金及び匿名組合SPCからの分配損益については、連結決算上は連結グループ内取引として連結消去されます。
(*6)事業開発報酬:
各再生可能エネルギー発電所に係る土地確保、主要な融資関連契約の締結及び主要なプロジェクト関連契約の締結等をもって開発支援に係る役務の提供を完了とみなし、役務提供の完了をもって概ね開発規模や当社による当該プロジェクトの開発に対する貢献度に応じて支払われる報酬です。なお、子会社や関連会社に対する当社の持分に相当する事業開発報酬については、連結決算上は連結グループ内取引として連結消去されます。
これらの結果を受けた、当連結会計年度における経営成績は次のとおりです。
(注)1.EBITDA=経常利益+純支払利息+減価償却費+長期前払費用償却(電力負担金償却及び繰延消費税償却)+のれん償却額+繰延資産償却額(開業費償却及び創立費償却)
2.EBITDAマージン=EBITDA/売上高
(参考)再生可能エネルギー発電事業に属する連結子会社の単体決算の状況
(単位:百万円)
(注)1.いずれの連結子会社とも決算日は3月31日です。
2.EBITDAマージン=EBITDA/売上高
3.当社持分比率は各連結子会社単体の損益を、当社グループ連結決算における親会社株主に帰属する当期純利益として取り込む際の比率です。なお、上記の当期純利益は、連結上の当社持分比率を考量する前の各社単体の当期純利益です。
4.匿名組合事業に関してその課税所得は、出資割合に応じて匿名組合出資者に帰属されるため、匿名組合事業としての税金費用は発生しません。
5.大津ソーラー匿名組合事業に関しては、2017年3月期までの損益については持分法を適用し、また2017年4月以降の損益については連結子会社として、当社グループの連結決算に取り込んでいます。そのため、2017年3月期の記載を割愛しています。
6.ユナイテッドリニューアブルエナジー株式会社に関しては、2018年3月期第1四半期連結累計期間(2017年6月)までの損益については持分法を適用し、また、同第2四半期連結会計期間(2017年7月)以降の損益については連結子会社として、当社グループの連結決算に取り込んでいます。そのため、2017年3月期の記載を割愛し、2018年3月期については2017年7月以降の9か月分の損益を記載しています。
b.セグメント情報に記載された区分ごとの状況
セグメント別の業績は以下の通りとなりました。各セグメントの業績数値につきましては、セグメント間の内部取引高等を含めて表示しています。また、セグメント利益は、EBITDAにて表示しています。再生可能エネルギー事業は多額の初期投資を必要とする事業であり、全体の費用に占める減価償却費等の償却費の割合が大きい傾向にあります。当社グループでは、一過性の償却費負担に過度に左右されることなく、企業価値の増大を目指し、もって株式価値の向上に努めています。そのため、業績指標として金利・税金・償却前利益であるEBITDAを重視しています。
(報告セグメントごとの売上高)
(単位:百万円)
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(報告セグメントごとの利益又は損失)
(単位:百万円)
(注)セグメント利益は、経常利益に純支払利息及び各種償却費(減価償却費、長期前払費用償却(電力負担金償却及び繰延消費税償却)、のれん償却額及び繰延資産償却額(開業費償却及び創立費償却))を加えたEBITDAにて表示しています。なお、連結財務諸表計上額は、連結損益計算書における経常利益です。
(3) 財政状態の分析
当社グループでは、資本効率を向上させながら大型の再生可能エネルギー発電所の開発投資を行うために、金融機関からの長期の借入を活用しています。また、財務健全性を適切にモニタリングする観点から、保有する資産の実態的な価値を把握するほか、純資産比率や自己資本比率、純有利子負債とEBITDAの倍率(純有利子負債/EBITDA倍率)等の指標を重視しています。当連結会計年度末における連結純有利子負債は35,070百万円であり、UREの新規連結等により前連結会計年度末の27,543百万円から増加しています。他方、以下で詳述している純資産の増加等により、当連結会計年度末における純資産比率は16.5%であり、前連結会計年度末の13.9%から増加しています。
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ11,798百万円増加し、65,713百万円となりました。各セグメントにおけるセグメント資産の増減要因は以下の通りです。
「再生可能エネルギー発電事業」
当連結会計年度末のセグメント資産は、10,241百万円増加し、51,132百万円となりました。これは、UREを新規連結した際の増加12,949百万円、減価償却費の償却進捗による固定資産の減少2,494百万円が主要因です。
「再生可能エネルギー開発・運営事業」
当連結会計年度末のセグメント資産は、2,435百万円増加し、17,190百万円となりました。これは、当社グループが開発段階において開発資金を立替えていること等により生じる関係会社立替金の増加2,380百万円が主要因です。
また、当連結会計年度において、当社は他の出資者(共同スポンサー)とともに四日市ソーラー匿名組合事業、那須烏山ソーラー匿名組合事業、及び軽米尊坊ソーラー匿名組合事業に出資(それぞれの持分比率は38%、38%、46%)しており、その結果、固定資産中のその他の関係会社有価証券が増加しています。なお、当社は、「合同会社四日市ソーラーに係る匿名組合出資持分等の譲渡に関する覚書」、「合同会社那須烏山ソーラーに係る匿名組合出資持分等の譲渡に関する覚書」、及び「合同会社軽米尊坊ソーラーに係る匿名組合出資持分等の譲渡に関する覚書」に基づき、四日市ソーラー、那須烏山ソーラー及び軽米尊坊ソーラーの大規模太陽光発電所の完成日以降に共同スポンサーが保有する匿名組合出資持分の全部あるいは一部を段階的に買い増す権利(それぞれの買い増しを行うことが出来る他社持分比率は62%、62%、9%)を有しています。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ8,412百万円増加し、54,843百万円となりました。
「再生可能エネルギー発電事業」においては、UREを新規連結した際の増加10,233百万円、運転開始済みの再生可能エネルギー発電所SPCのノンリコース長期借入金及び長期借入金の返済進捗による減少2,728百万円、太陽光発電用地の原状回復費用の見積りの変更等による資産除去債務の減少173百万円が主要因です。
「再生可能エネルギー開発・運営事業」においては、短期借入金及び長期借入金の返済進捗による減少1,889百万円、新規の長期借入れによる増加3,933百万円のほか、未払法人税等の減少632百万円が主要因です。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,385百万円増加し、10,870百万円となりました。これは、「再生可能エネルギー発電事業」におけるUREの連結に伴う非支配株主持分の増加2,396百万円、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加800百万円、新株予約権の行使による資本金及び資本剰余金の増加65百万円が主要因です。非支配株主持分が自己資本に含まれないこと及びUREの連結に伴い総資産が増加したことを主要因として、連結自己資本比率は11.6%となり、前連結会計年度末の12.5%より減少しています。
(4) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比較して1,758百万円減少して、6,009百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、3,941百万円の収入(前年同期は5,042百万円の収入)となりました。主なキャッシュ・イン・フローは、「再生可能エネルギー発電事業」における売電先からの売電収入及び「再生可能エネルギー開発・運営事業」におけるSPCからの業務委託収入です。主なキャッシュ・アウト・フローは、「再生可能エネルギー発電事業」における発電設備の維持管理費用、事業用地の賃借料、各種税金、バイオマス燃料の仕入及び「再生可能エネルギー開発・運営事業」における開発支出(人件費等を含む)です。当連結会計年度においては、大津ソーラー匿名組合事業及びユナイテッドリニューアブルエナジー株式会社の連結子会社化による営業収入の増加がありましたが、前連結会計年度には九重ソーラー匿名組合事業及び那須塩原ソーラー匿名組合事業における消費税還付885百万円があり、さらに当期は、前連結会計年度の株式譲渡益によって法人税等の支払額が増加したことを踏まえ、営業活動の結果得られた資金は前年同期に比べて1,101百万円減少しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、4,026百万円の支出(前年同期は230百万円の収入)となりました。主なキャッシュ・イン・フローは、プロジェクトファイナンス組成により発電所建設のために先行支出していた立替額の回収536百万円です。主なキャッシュ・アウト・フローは、将来の発電所建設のためのSPCに対する立替金としての支出2,994百万円及びSPCへの出資のための投資有価証券の取得による支出1,328百万円です。なお、有形固定資産の取得による支出は、継続的な設備投資が必要である「プラスチックリサイクル事業」に含まれていた連結子会社3社の株式譲渡を主要因として、前年同期に比べて361百万円減少しています。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、1,673百万円の支出(前年同期は2,724百万円の支出)となりました。主なキャッシュ・イン・フローは、「再生可能エネルギー開発・運営事業」における新規の長期借入れ3,933百万円です。主なキャッシュ・アウト・フローは、「再生可能エネルギー発電事業」におけるノンリコース長期借入金及び長期借入金の返済2,728百万円、非支配株主への配当金の支払577百万円、及び「再生可能エネルギー開発・運営事業」における短期借入金及び長期借入金の返済1,889百万円です。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、経営者の判断に基づく会計方針の選択と適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となりますが、その判断及び見積りに関しては連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しています。しかしながら、実際の結果は、見積り特有の不確実性を伴うことから、これら見積りと異なる可能性があります。
なお、再生可能エネルギー事業は多額の初期投資を必要とする事業であり、減価償却費等の償却費の費用に占める割合が大きくなる傾向にあります。一過性の償却負担に過度に左右されることなく、企業価値の増大を目指し、もって株式価値の向上に努めるべく、当社グループでは業績指標として金利・税金・償却前利益であるEBITDAを重視しています。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しています。
(2) 経営成績の分析
①事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
a.事業全体の状況
世界のエネルギー市場は、2015年末のCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)における、2020年以降の温暖化対策の国際枠組みについての合意を契機とし、各国政府や金融業界の脱炭素化に向けたグローバルでの取り組みが加速し、化石燃料から再生可能エネルギーへのエネルギーシフトが進展しています。
このような状況の中、国内再生可能エネルギー市場においては、固定価格買取制度(FIT)(*1)下の買取実績及び事業認定容量が引き続き増加しています。一部地域においては送電網の容量がひっ迫し、新規の有望事業の事業推進が困難になる状況が生じていますが、経済産業省において「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」が設置されるなど、再生可能エネルギーの大量導入に伴い顕在化し始めた系統制約や調整力確保等の新たな課題の解決に向けた議論も本格化しています。2030年のエネルギーミックス目標(2018年7月に閣議決定された「第5次エネルギー基本計画」において掲げられた2030年度の電源構成の目標。国内総発電量に占める再生可能エネルギー発電の割合は22~24%とする目標が掲げられている。)の実現に向けて、再生可能エネルギー導入に対する政府の支援姿勢は継続しています。今後も、国内再生可能エネルギー市場は、より一層拡大していく見通しです。
(*1)固定価格買取制度(FIT):
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(FIT法)に基づき、電気事業者(電気事業法上に定義された、小売電気事業者、一般送配電事業者及び登録特定送配電事業者の総称)が再生可能エネルギーで発電された電力を固定価格で買い取る制度です。太陽光、バイオマス、風力、地熱及び水力等により発電された電力が当該制度に基づいて電気事業者に販売され、その販売単価は年度毎に経済産業省・資源エネルギー庁の調達価格等算定委員会において定められます。電気事業者との受給契約(売電契約)・系統連系契約(電力系統への接続契約)が締結された場合、一定期間(10kW以上太陽光・バイオマス・風力・水力:20年間、地熱:15年間)に亘り設備認定(2017年4月以降は事業計画認定(事業認定))手続き等に基づき適用される固定価格での電力売買が行われます。
また、2015年1月に、太陽光発電所や風力発電所等の自然変動電源による発電量が大幅に増加した場合でも電力需給バランスを保ち、電力供給の安定化を図ることを目的とし、出力抑制ルールを拡充する制度改定が行われています。出力抑制ルールに基づき、旧一般電気事業者(東京電力・北海道電力・東北電力・北陸電力・中部電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力の総称)は、一定条件のもとで再生可能エネルギーを電源とする発電所による系統への送電電力の数量や質に制限を加えることができます。
当連結会計年度における当社グループの事業については、「再生可能エネルギー発電事業」においては、運転開始済みの大規模太陽光発電所の発電量が順調に推移しました。2018年4月(当社の連結会計年度(*2)としては翌連結会計年度)には、那須塩原ソーラー匿名組合事業において出力1.4MWの設備増強を行いました。この結果、当社グループの運転中の太陽光発電所は、合計出力143.2MWとなりました。また、2017年7月より、秋田県秋田市においてバイオマス発電事業(出力20.5MW。以降、バイオマス発電の出力は発電端出力ベースの発電容量)を行っているユナイテッドリニューアブルエナジー株式会社(以下「URE」という。)を当社の連結子会社とし、複数種類電源化(マルチ電源化)が進展しています。
(*2)当連結会計年度:
当社単体及び当社グループの連結上の決算月は5月ですが、発電所を所有する当社連結子会社及び関連会社の多くは決算月が3月です。下記の表のとおり、当社連結子会社及び関連会社の年次決算月が3月の場合、翌々月の5月を決算月とする当社連結会計年度の業績に含まれます。
(2018年5月期の当社連結会計年度と関係会社会計年度との関係)
「再生可能エネルギー開発・運営事業」においては、2017年8月に四日市ソーラー匿名組合事業(出力21.6MW)、2017年12月に那須烏山ソーラー匿名組合事業(出力19.2MW)、2018年3月に軽米尊坊ソーラー匿名組合事業(出力40.8MW)への出資を行い、それぞれ着工しました。これにより、現在建設中の大規模太陽光発電所は5ヶ所、合計出力210.5MWとなり、運転開始に向けて順調に工事が進んでいます。これらの結果、建設着工済み又は運転開始済みの発電所SPC(*3)からの定常的な運営管理報酬(*4)や配当・匿名組合分配益(*5)に加え、前述の当連結会計年度に着工した3事業に関する事業開発報酬(*6)が収益として計上されています。また、開発人員を増員して、今後の成長の原動力となる、バイオマス発電、洋上風力発電等の事業開発に注力してきました。
なお、2018年6月(当社の連結会計年度としては翌連結会計年度)には、福岡県京都郡苅田町における、出力75MWの大型バイオマス発電所に関する融資関連契約等を締結するとともに、第1回の出資を完了しており、バイオマス発電事業への取組みが順調に拡大しています。
(*3)SPC:
特別目的会社(Special Purpose Company)のことを指しています。当社グループでは基本的に発電所毎に共同事業者が異なること、またプロジェクトファイナンスを行う上でリスク分散を図ることを理由として、発電所を立ち上げる毎にSPCを設立し、当該SPCに発電所を所有させています。なお、当社グループにおいてはSPCを株式会社として設立して株式による出資を行う場合に加え、SPCを会社法上の合同会社(GK)として設立して商法上の匿名組合(TK)として営業者に出資を行う場合(TK-GKスキーム)があります。TK-GKスキームの主な特徴としては匿名組合員が有限責任であること及び営業者であるSPCの段階で法人税課税が発生せず、匿名組合員に直接課税されることが挙げられます。
(*4)運営管理報酬:
発電所建設の工程管理、決算及び金融機関へのレポーティング等の業務に代表され、発電所の建設期間及び売電期間に亘り支払われる報酬です。なお子会社や関連会社に対する当社の持分に相当する運営管理報酬については、連結決算上は連結グループ内取引として連結消去されています。
(*5)配当・匿名組合分配益:
「再生可能エネルギー発電事業」に属するSPCが株式会社として運営されている場合は、当該SPCから当社へ支払われた配当金については当社単体の営業外収益に計上され、またこれはセグメント間取引として「再生可能エネルギー開発・運営事業」のセグメント利益に反映されます。
また「再生可能エネルギー発電事業」に属するSPCが匿名組合として運営されている場合は、当該SPCで計上された利益のうちの当社出資割合分相当額についてその発生年度に匿名組合分配益として当社単体の売上高に計上し、一方損失が発生した場合は、その損失のうちの当社出資割合分相当額を匿名組合分配損として当社単体の販売費及び一般管理費へ計上しています。これらもセグメント間取引として「再生可能エネルギー開発・運営事業」のセグメント利益に反映されます。
なお、これらセグメント利益に反映された株式会社SPCからの配当金及び匿名組合SPCからの分配損益については、連結決算上は連結グループ内取引として連結消去されます。
(*6)事業開発報酬:
各再生可能エネルギー発電所に係る土地確保、主要な融資関連契約の締結及び主要なプロジェクト関連契約の締結等をもって開発支援に係る役務の提供を完了とみなし、役務提供の完了をもって概ね開発規模や当社による当該プロジェクトの開発に対する貢献度に応じて支払われる報酬です。なお、子会社や関連会社に対する当社の持分に相当する事業開発報酬については、連結決算上は連結グループ内取引として連結消去されます。
これらの結果を受けた、当連結会計年度における経営成績は次のとおりです。
(単位:百万円) | |||||
2017年 5月期 | 2018年 5月期 | 増減 | 増減率(%) | 増減の主要因 | |
売上高 | 8,265 | 11,740 | 3,475 | 42.0 | ■UREの連結子会社化(+3,782) ■大津ソーラー匿名組合事業の連結子会社化(+765) ■2016年8月末の「プラスチックリサイクル事業」の事業分離に伴う前期対比での減少分(△1,140) |
EBITDA (注)1 | 5,072 | 6,312 | 1,240 | 24.4 | ■売上高の増加と同様の理由によるEBITDAの増加 ※「再生可能エネルギー発電事業」に属する各連結子会社の単体決算におけるEBITDAの金額は下記参照 |
EBITDA マージン(%) (注)2 | 61.4 | 53.8 | △7.6 | - | ■太陽光発電事業と比較して相対的にEBITDAマージンの低いバイオマス発電事業を営むUREの連結子会社化に伴い、EBITDAマージンが低下 |
営業利益 | 2,794 | 3,679 | 885 | 31.7 | ■売上高の増加と同様の理由による営業利益の増加 |
経常利益 | 1,845 | 2,055 | 209 | 11.4 | ■売上高の増加と同様の理由による経常利益の増加 ※「再生可能エネルギー発電事業」に属する各連結子会社の単体決算における経常利益の金額は下記参照 |
親会社株主に 帰属する 当期純利益 | 2,023 | 800 | △1,223 | △60.4 | ■2017年5月期における「プラスチックリサイクル事業」の事業分離に関連し、関係会社株式売却益(特別利益)2,350の計上及び非継続事業に係る特別損失等の計上により、2017年5月期の親会社株主に帰属する当期純利益が相対的に多額であったことによる、親会社株主に帰属する当期純利益の減少 |
(注)1.EBITDA=経常利益+純支払利息+減価償却費+長期前払費用償却(電力負担金償却及び繰延消費税償却)+のれん償却額+繰延資産償却額(開業費償却及び創立費償却)
2.EBITDAマージン=EBITDA/売上高
(参考)再生可能エネルギー発電事業に属する連結子会社の単体決算の状況
(単位:百万円)
会社名 | 事業年度 | 売上高 | EBITDA | EBITDA マージン (%) | 経常利益 | 当期純利益 | 当社 持分比率 (%) |
(株)水郷潮来 ソーラー | 2017年3月期 | 754 | 587 | 77.8 | 264 | 195 | 68.0 |
2018年3月期 | 765 | 599 | 78.3 | 275 | 200 | 68.0 | |
(株)富津ソーラー | 2017年3月期 | 2,010 | 1,689 | 84.0 | 787 | 566 | 51.0 |
2018年3月期 | 2,074 | 1,756 | 84.6 | 868 | 620 | 51.0 | |
(株)菊川石山 ソーラー | 2017年3月期 | 492 | 373 | 76.0 | 133 | 97 | 63.0 |
2018年3月期 | 500 | 387 | 77.5 | 151 | 110 | 63.0 | |
(株)菊川堀之内谷 ソーラー | 2017年3月期 | 386 | 283 | 73.4 | 90 | 65 | 61.0 |
2018年3月期 | 393 | 294 | 74.9 | 104 | 77 | 61.0 | |
九重ソーラー匿名組合事業 (注)4 | 2017年3月期 | 1,048 | 792 | 75.6 | 100 | 100 | 100.0 |
2018年3月期 | 1,003 | 740 | 73.8 | 62 | 62 | 100.0 | |
那須塩原ソーラー匿名組合事業 (注)4 | 2017年3月期 | 1,187 | 982 | 82.7 | 334 | 334 | 100.0 |
2018年3月期 | 1,163 | 970 | 83.4 | 334 | 334 | 100.0 | |
大津ソーラー匿名組合事業 (注)4、5 | 2017年3月期 | - | - | - | - | - | - |
2018年3月期 | 765 | 582 | 76.1 | 86 | 86 | 100.0 | |
ユナイテッドリニューアブルエナジー(株) (注)6 | 2017年3月期 | - | - | - | - | - | - |
2018年3月期 | 3,782 | 1,544 | 40.8 | 824 | 604 | 35.3 |
(注)1.いずれの連結子会社とも決算日は3月31日です。
2.EBITDAマージン=EBITDA/売上高
3.当社持分比率は各連結子会社単体の損益を、当社グループ連結決算における親会社株主に帰属する当期純利益として取り込む際の比率です。なお、上記の当期純利益は、連結上の当社持分比率を考量する前の各社単体の当期純利益です。
4.匿名組合事業に関してその課税所得は、出資割合に応じて匿名組合出資者に帰属されるため、匿名組合事業としての税金費用は発生しません。
5.大津ソーラー匿名組合事業に関しては、2017年3月期までの損益については持分法を適用し、また2017年4月以降の損益については連結子会社として、当社グループの連結決算に取り込んでいます。そのため、2017年3月期の記載を割愛しています。
6.ユナイテッドリニューアブルエナジー株式会社に関しては、2018年3月期第1四半期連結累計期間(2017年6月)までの損益については持分法を適用し、また、同第2四半期連結会計期間(2017年7月)以降の損益については連結子会社として、当社グループの連結決算に取り込んでいます。そのため、2017年3月期の記載を割愛し、2018年3月期については2017年7月以降の9か月分の損益を記載しています。
b.セグメント情報に記載された区分ごとの状況
セグメント別の業績は以下の通りとなりました。各セグメントの業績数値につきましては、セグメント間の内部取引高等を含めて表示しています。また、セグメント利益は、EBITDAにて表示しています。再生可能エネルギー事業は多額の初期投資を必要とする事業であり、全体の費用に占める減価償却費等の償却費の割合が大きい傾向にあります。当社グループでは、一過性の償却費負担に過度に左右されることなく、企業価値の増大を目指し、もって株式価値の向上に努めています。そのため、業績指標として金利・税金・償却前利益であるEBITDAを重視しています。
(報告セグメントごとの売上高)
(単位:百万円)
2017年 5月期 | 2018年 5月期 | 増減額 | 増減率(%) | 増減の主要因 | |
再生可能 エネルギー 発電事業 | 5,880 | 10,448 | 4,567 | 77.7 | ■UREの連結子会社化(+3,782) ■大津ソーラー匿名組合事業の連結子会社化(+765) |
再生可能 エネルギー 開発・運営 事業 | 2,600 | 2,828 | 228 | 8.8 | ■「再生可能エネルギー発電事業」における匿名組合事業からの分配益や、同発電事業に対する運営管理報酬、あるいは発電事業そのものの事業開発報酬の増減 |
プラスチックリサイクル 事業 | 1,140 | - | △1,140 | - | ■「プラスチックリサイクル事業」は2016年8月末に事業分離(非継続事業) |
調整額 | △1,356 | △1,536 | △180 | - | |
連結財務諸表 計上額 | 8,265 | 11,740 | 3,475 | 42.0 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2016年6月1日 至 2017年5月31日) | 当連結会計年度 (自 2017年6月1日 至 2018年5月31日) | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
ミツウロコグリーンエネルギー株式会社 | 3,382 | 40.9 | 7,920 | 76.1 |
東京電力エナジーパートナー株式会社 | 1,720 | 20.8 | 1,432 | 12.2 |
公益財団法人日本容器包装リサイクル協会 | 746 | 9.0 | - | - |
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(報告セグメントごとの利益又は損失)
(単位:百万円)
2017年 5月期 | 2018年 5月期 | 増減額 | 増減率(%) | 増減の主要因 | |
再生可能 エネルギー 発電事業 | 4,952 | 6,847 | 1,895 | 38.3 | ■UREの連結子会社化 ■大津ソーラー匿名組合事業の連結子会社化 ※「再生可能エネルギー発電事業」に属する各連結子会社の単体決算におけるEBITDAの金額は上記参照 |
再生可能 エネルギー 開発・運営 事業 | 1,418 | 1,238 | △179 | △12.7 | ■人員増強含む、積極的な開発先行投資に伴う費用の増加 |
プラスチックリサイクル 事業 | 246 | - | △246 | - | ■「プラスチックリサイクル事業」は2016年8月末に事業分離(非継続事業) |
セグメント間 取引消去 | △1,544 | △1,773 | △228 | - | |
連結EBITDA | 5,072 | 6,312 | 1,240 | 24.4 | |
調整額 | △3,226 | △4,257 | △1,030 | - | |
連結財務諸表 計上額 | 1,845 | 2,055 | 209 | 11.4 |
(注)セグメント利益は、経常利益に純支払利息及び各種償却費(減価償却費、長期前払費用償却(電力負担金償却及び繰延消費税償却)、のれん償却額及び繰延資産償却額(開業費償却及び創立費償却))を加えたEBITDAにて表示しています。なお、連結財務諸表計上額は、連結損益計算書における経常利益です。
(3) 財政状態の分析
当社グループでは、資本効率を向上させながら大型の再生可能エネルギー発電所の開発投資を行うために、金融機関からの長期の借入を活用しています。また、財務健全性を適切にモニタリングする観点から、保有する資産の実態的な価値を把握するほか、純資産比率や自己資本比率、純有利子負債とEBITDAの倍率(純有利子負債/EBITDA倍率)等の指標を重視しています。当連結会計年度末における連結純有利子負債は35,070百万円であり、UREの新規連結等により前連結会計年度末の27,543百万円から増加しています。他方、以下で詳述している純資産の増加等により、当連結会計年度末における純資産比率は16.5%であり、前連結会計年度末の13.9%から増加しています。
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ11,798百万円増加し、65,713百万円となりました。各セグメントにおけるセグメント資産の増減要因は以下の通りです。
「再生可能エネルギー発電事業」
当連結会計年度末のセグメント資産は、10,241百万円増加し、51,132百万円となりました。これは、UREを新規連結した際の増加12,949百万円、減価償却費の償却進捗による固定資産の減少2,494百万円が主要因です。
「再生可能エネルギー開発・運営事業」
当連結会計年度末のセグメント資産は、2,435百万円増加し、17,190百万円となりました。これは、当社グループが開発段階において開発資金を立替えていること等により生じる関係会社立替金の増加2,380百万円が主要因です。
また、当連結会計年度において、当社は他の出資者(共同スポンサー)とともに四日市ソーラー匿名組合事業、那須烏山ソーラー匿名組合事業、及び軽米尊坊ソーラー匿名組合事業に出資(それぞれの持分比率は38%、38%、46%)しており、その結果、固定資産中のその他の関係会社有価証券が増加しています。なお、当社は、「合同会社四日市ソーラーに係る匿名組合出資持分等の譲渡に関する覚書」、「合同会社那須烏山ソーラーに係る匿名組合出資持分等の譲渡に関する覚書」、及び「合同会社軽米尊坊ソーラーに係る匿名組合出資持分等の譲渡に関する覚書」に基づき、四日市ソーラー、那須烏山ソーラー及び軽米尊坊ソーラーの大規模太陽光発電所の完成日以降に共同スポンサーが保有する匿名組合出資持分の全部あるいは一部を段階的に買い増す権利(それぞれの買い増しを行うことが出来る他社持分比率は62%、62%、9%)を有しています。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ8,412百万円増加し、54,843百万円となりました。
「再生可能エネルギー発電事業」においては、UREを新規連結した際の増加10,233百万円、運転開始済みの再生可能エネルギー発電所SPCのノンリコース長期借入金及び長期借入金の返済進捗による減少2,728百万円、太陽光発電用地の原状回復費用の見積りの変更等による資産除去債務の減少173百万円が主要因です。
「再生可能エネルギー開発・運営事業」においては、短期借入金及び長期借入金の返済進捗による減少1,889百万円、新規の長期借入れによる増加3,933百万円のほか、未払法人税等の減少632百万円が主要因です。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,385百万円増加し、10,870百万円となりました。これは、「再生可能エネルギー発電事業」におけるUREの連結に伴う非支配株主持分の増加2,396百万円、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加800百万円、新株予約権の行使による資本金及び資本剰余金の増加65百万円が主要因です。非支配株主持分が自己資本に含まれないこと及びUREの連結に伴い総資産が増加したことを主要因として、連結自己資本比率は11.6%となり、前連結会計年度末の12.5%より減少しています。
(4) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比較して1,758百万円減少して、6,009百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、3,941百万円の収入(前年同期は5,042百万円の収入)となりました。主なキャッシュ・イン・フローは、「再生可能エネルギー発電事業」における売電先からの売電収入及び「再生可能エネルギー開発・運営事業」におけるSPCからの業務委託収入です。主なキャッシュ・アウト・フローは、「再生可能エネルギー発電事業」における発電設備の維持管理費用、事業用地の賃借料、各種税金、バイオマス燃料の仕入及び「再生可能エネルギー開発・運営事業」における開発支出(人件費等を含む)です。当連結会計年度においては、大津ソーラー匿名組合事業及びユナイテッドリニューアブルエナジー株式会社の連結子会社化による営業収入の増加がありましたが、前連結会計年度には九重ソーラー匿名組合事業及び那須塩原ソーラー匿名組合事業における消費税還付885百万円があり、さらに当期は、前連結会計年度の株式譲渡益によって法人税等の支払額が増加したことを踏まえ、営業活動の結果得られた資金は前年同期に比べて1,101百万円減少しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、4,026百万円の支出(前年同期は230百万円の収入)となりました。主なキャッシュ・イン・フローは、プロジェクトファイナンス組成により発電所建設のために先行支出していた立替額の回収536百万円です。主なキャッシュ・アウト・フローは、将来の発電所建設のためのSPCに対する立替金としての支出2,994百万円及びSPCへの出資のための投資有価証券の取得による支出1,328百万円です。なお、有形固定資産の取得による支出は、継続的な設備投資が必要である「プラスチックリサイクル事業」に含まれていた連結子会社3社の株式譲渡を主要因として、前年同期に比べて361百万円減少しています。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、1,673百万円の支出(前年同期は2,724百万円の支出)となりました。主なキャッシュ・イン・フローは、「再生可能エネルギー開発・運営事業」における新規の長期借入れ3,933百万円です。主なキャッシュ・アウト・フローは、「再生可能エネルギー発電事業」におけるノンリコース長期借入金及び長期借入金の返済2,728百万円、非支配株主への配当金の支払577百万円、及び「再生可能エネルギー開発・運営事業」における短期借入金及び長期借入金の返済1,889百万円です。