有価証券報告書-第19期(平成30年10月1日-令和1年9月30日)

【提出】
2019/12/20 14:21
【資料】
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【項目】
144項目
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
尚、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用情勢の改善傾向が持続し、景気は緩やかな回復基調で推移しているものの、消費増税に伴う景気への影響が懸念されております。一方、海外経済は、米中貿易摩擦の長期化による世界経済の減速懸念並びに地政学リスクの継続等、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループが属する医療業界におきましては、増加し続ける医療費を背景に、医療・介護提供体制の効率化・適正化がより一層求められ、経営改善に資する取り組みを余儀なくされております。また、各都道府県で策定されている「地域医療構想」の実現に向けて、病床の機能分化、医療と介護の連携等、様々な取り組みが進められております。今後は、各医療機関において、統合・再編を含めた病床転換が多く実施され、建築を伴う大型の設備投資の増加も見込まれております。
このような状況の中、当社グループの主要事業であるメディカルトータルソリューション事業におきましては、営業エリアを限定せず、日本全国での受注実績により入手した病院づくりに係る最新の情報を活かし、基本計画から開院までの総合的なコンサルティング力、技術力、IT力を駆使することで顧客のニーズを的確に把握して受注拡大に繋げております。具体的には、新築・移転等の大型案件獲得の鍵となるコンサルティング営業の強化、大規模な設備投資を伴う高度急性期・急性期病院等を中心とした高付加価値の病院への深耕営業を継続的に努めることで、新築・移転、再編・統合等に伴う医療機器の一括販売案件の受注のみならず、大型医療機器を中心とした医療機器及び医療情報システム(電子カルテ等)の新規導入及びリプレース案件の受注活動を日本全国で展開しております。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は36,109,029千円(前期比 40.4%増)、営業利益は1,190,179千円(同 84.3%増)、経常利益は1,184,035千円(同 81.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は732,959千円(同 104.9%増)となり、売上高、段階利益ともに過去最高の実績となりました。
セグメントごとの業績を示すと、次のとおりであります。
・メディカルトータルソリューション事業
当事業における新築・移転、再編・統合等に伴う医療機器の一括販売の売上高は、下記のとおりであります。
(単位:件、百万円)
2018年9月期2019年9月期2020年9月期(予想)
件数売上高件数売上高件数売上高
20億円以上の案件415,27713,000
10億円以上の案件33,69734,63422,730
1億円以上の案件84,24361,833144,720
1億円以下の案件186150
117,9411421,8311810,500

このような状況のもと、当連結会計年度においては、20億円以上の新築・移転、再編・統合等に伴う医療機器の一括販売案件4件の受注等、大型案件を中心に受注額が当初の予定を上回ったこと及び期中におけるスポット的な案件受注が好調に推移し、前期対比で大幅な増収増益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は35,100,704千円(前期比 41.7%増)、営業利益は1,068,054千円(同 93.7%増)となりました。
・遠隔画像診断サービス事業
当事業におきましては、独自性を活かしつつ、質を重視した遠隔画像診断の提供、放射線診断専門医の安定的確保と専門性の高いノウハウを武器に、導入医療機関及び取扱件数の増加を図り、継続的かつ安定的な成長を維持いたしてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は575,916千円(前期比 4.3%増)、営業利益は77,749千円(同 15.5%増)となりました。
・給食事業
不採算業務受託先を撤退することによる減収要因があったものの、クックチル食品のおかず販売の強化に努め、既存の受託施設の販売高の増加及び新規契約先の獲得により売上高が伸張いたしました。利益面では、食材原価の増加があったものの、その他の売上原価低減に努め、収益の確保に注力いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は432,408千円(前期比 9.9%増)、営業利益は41,191千円(同 76.3%増)となりました。
② 財政状態
a 資産
流動資産は、前連結会計年度末に比べて34,688千円減少し、11,573,529千円となりました。これは、現金及び預金が2,459,729千円増加したものの、受取手形及び売掛金が2,496,305千円減少したことなどによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて26,586千円減少し、1,241,104千円となりました。これは、有形固定資産その他が42,301千円、無形固定資産その他が21,819千円、繰延税金資産が21,876千円、投資その他の資産その他が14,398千円それぞれ増加したものの、投資有価証券の減少52,625千円及びのれんの減少31,173千円があったことなどによるものです。
以上の結果、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ61,275千円減少し、12,814,634千円となりました。
b 負債
流動負債は、前連結会計年度末に比べて703,502千円減少し、7,428,811千円となりました。これは、未払法人税等が24,109千円及び役員賞与引当金が18,500千円それぞれ増加したものの、買掛金の減少754,984千円があったことなどによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて16,120千円減少し、1,045,311千円となりました。これは、役員退職慰労引当金の増加42,010千円があったものの、社債の減少44,100千円及び長期借入金の減少21,752千円があったことなどによるものです。
以上の結果、当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ719,623千円減少し、8,474,122千円となりました。
c 純資産
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度に比べて658,348千円増加し、4,340,511千円となりました。これは、利益剰余金の増加661,679千円があったことなどによるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,459,729千円増加し、6,162,281千円となりました。
主な要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、2,764,536千円(前連結会計年度は、962,625千円の増加)であります。資金の増減の主な内訳は、仕入債務の減少754,984千円、法人税等の支払額421,457千円があったものの、税金等調整前当期純利益1,189,648千円、売上債権の減少2,496,305千円などがあったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、91,784千円(同 52,847千円の減少)であります。資金の増減の主な内訳は、投資有価証券の償還による収入31,087千円があったものの、有形固定資産の取得による支出71,712千円、無形固定資産の取得による支出36,597千円及び保険積立金の積立による支出14,937千円などがあったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、213,022千円(同 203,275千円の増加)であります。資金の増減の主な内訳は、配当金の支払額71,280千円、社債の償還による支出60,100千円、長期借入金の返済による支出51,262千円などがあったものがあったことによるものです。
④ 生産、受注及び販売の状況
a 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前年同期比
(%)
メディカルトータルソリューション事業32,016,50743.3
遠隔画像診断サービス事業
給食事業174,57111.8
合計32,191,07943.1

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.金額は、仕入価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前年同期比
(%)
メディカルトータルソリューション事業35,100,70441.7
遠隔画像診断サービス事業575,9164.3
給食事業432,4089.9
合計36,109,02940.4

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
富士フイルムメディカル株式会社5,694,02415.8

(注) 前連結会計年度は、当該割合が10%未満のため、記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、会計上の見積りを行う必要があり、賞与引当金等各引当金の計上及び繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づいて見積りを実施しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、医療・福祉・保健というフィールドに活動範囲を定め、その問題解決に寄与するエキスパートとして、また、未来に対する付加価値を創造するパイオニアとして、時代を読み、これからの社会と人々の繁栄に貢献することを責務と考え、事業に取り組んでおります。特に、当社グループの主要事業であるメディカルトータルソリューション事業におきましては、医療、福祉、保健に関わる人たちのすべてのニーズに応え、付加価値を提供していくことを念頭に置き、「トータルパックシステム」(注)にて全体最適な病院づくりに貢献してまいります。具体的には、医療機関に関わる様々なコンサルティング業務、新築・移転、再編・統合のための企画・設計支援業務、医療情報システムを構築するIT・ネットワーク構築支援業務、医療機器導入後のアフターサービスとしてメンテナンス業務等を併せて行うことにより、医療機関をトータルサポートすることを目指してまいります。
当連結会計年度における経営成績等は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、当社グループの主要事業であるメディカルトータルソリューション事業において大型案件が件数、売上高とも大きな成果を獲得したことにより、売上高、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益とも前連結会計年度比大幅な伸長となる結果を得ることができました。今後もメディカルトータルソリューション事業における「トータルパックシステム」の一層の強化を図り、当社グループが重要視している経営指標である売上高伸長率(当連結会計年度は40.4%)、売上総利益率(同 9.3%)、経常利益率(同 3.3%)の向上を推進してまいります。
また、当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、事業活動のための適切な資金確保を図るため、営業活動によるキャッシュ・フローの向上を最優先事項と考えております。当連結会計年度末における現金及び預金の残高は、6,182,281千円となり、十分な流動性を確保しているものと判断しておりますが、急な資金需要や不測の状態にも備えるため、金融機関との間でコミットメントライン契約を締結しております。(未実行残高1,000,000千円)
(注)トータルパックシステム
トータルパックシステムとは、「お客様のすべての期待・要望に応えること」であります。新築・移転のための基本計画から開院までの様々な場面で、ノウハウ及びソリューションを提供することで、お客様から営業姿勢や相性も含め、厚い信頼を得て、当事者としてすべてに対し、責任感を持って全力で取組むことであります。