有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/06/13 15:00
【資料】
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【項目】
79項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
第5期事業年度(自 2017年8月1日 至 2018年7月31日)
(資産)
当事業年度末における資産合計は729,002千円となり、前事業年度末と比較して151,603千円増加しました。その主な要因は、現金及び預金が55,945千円、売掛金が60,606千円、工具、器具及び備品が10,232千円並びに敷金及び保証金が27,556千円増加したためであります。
売掛金の増加は、主に当事業年度の4月に海賊版サイトがブロッキングされて以降、マンガワンの売上高が前年同期を上回ったためであります。工具、器具及び備品の増加は、主にサーバー機器を取得したためであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は177,287千円となり、前事業年度末と比較して58,464千円減少しました。その主な要因は、未払法人税等が50,796千円及び長期借入金が36,364千円減少したためであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は551,715千円となり、前事業年度末と比較して210,068千円増加しました。その主な要因は、第三者割当増資の実施に伴い資本金及び資本準備金がそれぞれ30,450千円並びに当期純利益の計上に伴い利益剰余金が149,168千円増加したためであります。
第6期第3四半期累計期間(自 2018年8月1日 至 2019年4月30日)
(資産)
当第3四半期会計期間末における資産合計は1,063,844千円となり、前事業年度末と比較して334,841千円増加しました。その主な要因は現金及び預金が290,483千円、売掛金が16,485千円並びに固定資産が32,256千円増加したためであります。
(負債)
当第3四半期会計期間末における負債合計は250,245千円となり、前事業年度末と比較して72,958千円増加しました。その主な要因は、未払法人税等が82,691千円増加した一方で、借入金返済に伴い長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む。)が27,273千円減少したためであります。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産合計は813,598千円となり、前事業年度末と比較して261,883千円増加しました。その要因は、四半期純利益の計上に伴い利益剰余金が261,883千円増加したためであります。
② 経営成績の状況
第5期事業年度(自 2017年8月1日 至 2018年7月31日)
当事業年度におけるわが国経済は、政府の経済政策や日銀の金融緩和等の効果によって、雇用・所得環境に改善が見られ、景気は緩やかな回復基調が続いているものの、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動がわが国経済に影響を及ぼす可能性があり、先行きは不透明であります。
このような経営環境の中、当社は、リカーリングサービス及び初期開発・保守開発サービスにおいて、既存サービスの収益力拡大及び新規サービスのリリースに注力してまいりました。
しかしながら、第5期事業年度中から海賊版サイトの利用者が増加したことにより、マンガサービスのユーザーが流出してしまう事態が発生しました。政府主導による海賊版サイトのブロッキングが実施されて以降、マンガサービスの収益力は回復しておりますが、前年比で収益が減少しております。
この結果、当事業年度の業績は、売上高610,247千円(前事業年度比97.0%)、営業利益207,115千円(前事業年度比74.4%)、経常利益211,082千円(前事業年度比75.5%)、当期純利益149,168千円(前事業年度比89.7%)となりました。
なお、当社はインターネットサービス事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。サービス別の状況は、次のとおりであります。
(リカーリングサービス)
リカーリングサービスは、レベニューシェア案件やサーバー保守などのストック型収益獲得構造を持つサービスであり、当社の収益力の柱となるサービスとなっております。
当事業年度においては、上記海賊版サイトの影響により既存サービスの収益が縮小しましたが、既存のマンガサービスを横展開した新規マンガサービスである「マンガUP!」「マンガPark」において、動画やラジオなどのマンガ以外のコンテンツの拡充及び積極的な広告宣伝施策の実施により、アクティブユーザー数等の各種指標は順調に推移しております。
この結果、リカーリングサービスの売上高は580,698千円(前事業年度比94.7%)となりました。
(初期開発・保守開発サービス)
初期開発・保守開発サービスにおきましては、リカーリングサービスに係る案件を受注するための初期開発及びリカーリングサービスに係る案件を継続して運用するための保守開発を行っております。当事業年度は、受注案件が増加及びサービス1件当たりの受注金額が上昇しました。
この結果、初期開発・保守開発サービスの売上高は26,162千円(前事業年度比166.6%)となりました。
(その他サービス)
その他サービスは、上記の2サービスに分類されないスポット案件等により構成されております。
その他サービスの売上高は3,386千円(前事業年度比3,621.2%)となりました。
第6期第3四半期累計期間(自 2018年8月1日 至 2019年4月30日)
当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、企業収益や雇用情勢の改善等を背景とした緩やかな回復基調がみられるものの、国際情勢の緊張不安や不確実性による為替や株価の不安定な動きにより、引き続き不透明な状況が続いております。
このような経営環境の中、当社は、リカーリングサービス及び初期開発・保守開発サービスにおいて、既存サービスの収益力拡大及び新規サービスのリリースに注力してまいりました。
この結果、当第3四半期累計期間の業績は、売上高818,156千円、営業利益374,452千円、経常利益374,509千円、四半期純利益261,883千円となりました。
なお、当社はインターネットサービス事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。サービス別の状況は、次のとおりであります。
(リカーリングサービス)
リカーリングサービスにおきましては、「マンガワン」等のレベニューシェア案件及び初期開発・保守開発サービスからのストック型保守運用業務の積み上げに注力いたしました。
この結果、リカーリングサービスの売上高は625,949千円となりました。
(初期開発・保守開発サービス)
初期開発・保守開発サービスにおきましては、ストック型ビジネスであるサーバー保守運用業務を積み重ねるため、新規案件の獲得に努めており、大型案件を複数リリースいたしました。
この結果、初期開発・保守開発サービスの売上高は192,205千円となりました。
(その他サービス)
その他サービスは、上記の2サービスに分類されないスポット案件等により構成されております。
その他サービスの売上高は2千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
第5期事業年度(自 2017年8月1日 至 2018年7月31日)
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前事業年度末と比較して55,945千円増加し、当事業年度末には453,127千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果獲得した資金は74,143千円(前事業年度は151,512千円の獲得)となりました。その主な要因は、税引前当期純利益の計上211,082千円、法人税等の支払額100,925千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果支出した資金は42,734千円(前事業年度は21,476千円の支出)となりました。その主な要因は、本社移転に伴う敷金及び保証金の差入による支出27,635千円、有形固定資産の取得による支出14,795千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果獲得した資金は24,536千円(前事業年度は58,434千円の獲得)となりました。その要因は、株式の発行による収入60,900千円、長期借入金の返済による支出36,364千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
第5期事業年度及び第6期第3四半期累計期間の受注実績は、次のとおりであります。なお、当社はインターネットサービス事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。
サービスの名称第5期事業年度
(自 2017年8月1日
至 2018年7月31日)
第6期第3四半期累計期間
(自 2018年8月1日
至 2019年4月30日)
受注高
(千円)
前年同期比
(%)
受注残高
(千円)
前年同期比
(%)
受注高
(千円)
受注残高
(千円)
初期開発・保守開発サービス80,0871,127.354,5009,478.3137,705-

(注)1.リカーリングサービス及びその他サービスで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
第5期事業年度及び第6期第3四半期累計期間の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社はインターネットサービス事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。
サービスの名称第5期事業年度
(自 2017年8月1日
至 2018年7月31日)
第6期第3四半期累計期間
(自 2018年8月1日
至 2019年4月30日)
販売高(千円)前年同期比(%)販売高(千円)
リカーリングサービス580,69894.7625,949
初期開発・保守開発サービス26,162166.6192,205
その他サービス3,3863,621.22
合計(千円)610,24797.0818,156

(注)1.最近2事業年度及び第6期第3四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第4期事業年度
(自 2016年8月1日
至 2017年7月31日)
第5期事業年度
(自 2017年8月1日
至 2018年7月31日)
第6期第3四半期累計期間
(自 2018年8月1日
至 2019年4月30日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
株式会社小学館571,72890.9499,26881.8429,90352.5

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
この財務諸表の作成にあたって、見積り、判断並びに仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産・負債の金額、開示期間の収益・費用の金額及び開示情報に影響を与えます。ただし、これらの見積り、判断並びに仮定は、実際の結果とは異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営成績等の状況に関する分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。また経営成績等に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に含めて記載しております。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社の資金需要は、事業規模の拡大に係る人件費、その採用費、広告宣伝費及び主にサーバー購入に係る設備投資資金となります。財政状態等を勘案しながら、自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等による資金調達を考えております。
流動資産と流動負債のバランスを注視し、財政状態の健全性を評価しており、当事業年度末時点で健全な財務体制であると判断しております。なお、資金の短期流動性確保のため、金融機関と合計250,000千円の当座貸越契約を締結しております。