有価証券届出書(新規公開時)

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2019/05/15 14:00
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104項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
第15期連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済対策や日銀の金融緩和政策の効果を背景に、雇用・所得環境は着実に改善し、個人消費も持ち直しの動きが見られる等、景気は緩やかな回復基調が続いております。しかしながら、海外経済の不確実性が依然として残る等、先行きは不透明な状況で推移いたしました。
当社グループが属する不動産業界におきましては、低金利政策に支えられ、堅調な市況で推移したものの、土地価格の上昇及び人手不足に伴う建築コストの上昇並びに工期の長期化が顕著となり、今後の仕入・開発計画の進捗に支障をきたす懸念が高まっております。
このような事業環境のもと、当社グループは継続して中長期的な成長に向けた事業展開を推進し、また、不動産分譲事業及び不動産賃貸事業を主力に、グループ全体の企業価値向上に努めてまいりました。当連結会計年度は、不動産分譲事業において、競合他社との仕入及び販売競争が依然として厳しい状況にあり、販売戸数は前年度を下回る結果となりました。一方で不動産賃貸事業、不動産関連事業の売上高は前年度を上回りましたが、不動産分譲事業における減収分を補うには至らず、営業利益以下の各利益につきましても、前年度を下回る結果となりました。
この結果、財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,924,453千円減少し、6,552,657千円となりました。このうち流動資産は、前連結会計年度末に比べて1,938,370千円減少し、4,017,315千円となり、固定資産は、前連結会計年度末に比べて13,917千円増加し、2,535,341千円となりました。流動資産の主な減少の要因は、現金及び預金の減少1,589,754千円及び販売用不動産の減少333,645千円であります。固定資産の主な増加の要因は、土地の増加96,090千円であり、主な減少の要因は建物の減少76,303千円であります。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて2,008,103千円減少し、5,549,588千円となりました。このうち流動負債は、前連結会計年度末に比べて93,036千円減少し、3,510,110千円となり、固定負債は、前連結会計年度末に比べて1,915,067千円減少し、2,039,477千円となりました。流動負債の主な増加の要因は、長期借入金からの振替による増加1,316,413千円であり、主な減少の要因は買掛金及び工事未払金の減少1,350,303千円であります。固定負債の主な減少の要因は、長期借入金の減少1,918,996千円であります。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて83,650千円増加し、1,003,069千円となりました。増加の要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が83,652千円増加したこと等によるものであります。
b.経営成績
当連結会計年度における売上高は3,772,732千円(前年同期比29.0%減)となり、前連結会計年度に比べて1,542,008千円減少いたしました。売上総利益は648,234千円(前年同期比7.8%減)となり、売上高売上総利益率は前連結会計年度比4.0ポイント増加し、17.2%となりました。これは主に、RC3階建て戸建住宅の「エステティカ」シリーズの売上原価率が減少したこと、サービス付き高齢者向け住宅の「グランウエルネス」シリーズ及び賃貸マンションの入居率の改善並びに減価償却費が減少したことによるものであります。また、その他の要因としましては、東京支店の業務報酬料が増加したことによるものであります。営業利益は121,146千円(前年同期比34.5%減)となり、売上高営業利益率は前連結会計年度比0.3ポイント減少し、3.2%となりました。これは主に、体制強化による販売活動人員及び設計、管理部人員の増員に伴う人件費の増加及び分譲マンション事業における広告宣伝費の増加によるものであります。経常利益は106,189千円(前期比38.2%減)となり、売上高経常利益率は前連結会計年度比0.4ポイント減少し、2.8%となりました。これは主に、上述した売上高の減少、体制強化に伴う人件費及び広告宣伝費が増加したことによるものであります。親会社株主に帰属する当期純利益は85,652千円(前期比33.8%減)となりました。
セグメント別の概況は、次のとおりであります。
(不動産分譲事業)
分譲マンション事業におきましては「グランファーレ」シリーズ、分譲戸建住宅事業におきましては「エステティカ」シリーズの引渡により、総引渡戸数99戸(前期比57戸減)と前連結会計年度実績を下回り、売上高は3,203,460千円(前期比32.8%減)となりました。その他として、不動産仲介事業、リフォーム事業等による売上高は81,653千円(前期比41.9%減)となりました。
(不動産賃貸事業)
不動産賃貸事業におきましては、サービス付き高齢者向け住宅の「グランウエルネス」シリーズと賃貸マンション等の賃貸料収入が318,314千円(前期比19.2%増)となりました。その他として、サービス付き高齢者向け住宅支援サービス事業等による売上高は54,608千円(前期比30.5%増)となりました。
(不動産関連事業)
マンション管理事業におきましては、顧客の満足度向上に努め、分譲マンション及び賃貸マンションの管理による売上高は67,175千円(前期比18.5%増)となりました。その他として、火災保険等の保険代理店事業、設計監理事業、業務委託斡旋事業等による売上高は47,520千円(前期比22.7%増)となりました。
第16期第3四半期連結累計期間(自 2018年4月1日 至 2018年12月31日)
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、堅調な企業収益を背景に、設備投資や雇用・所得環境の改善が続き、緩やかな回復が続きました。また、世界経済につきましては、通商問題の動向及び影響、金融市場の変動の影響等先行きが不透明な状況が続きましたが、緩やかに回復いたしました。
このような状況の中、当社グループの主力事業である不動産分譲事業では、当第3四半期連結累計期間において、新築分譲マンション126戸及び新築分譲戸建住宅2戸の引渡、既存竣工物件による分譲マンション3戸の引渡となりました。
この結果、財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産の部)
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて409,847千円減少し、6,142,809千円となりました。このうち流動資産は、前連結会計年度末に比べて463,621千円減少し、3,553,694千円となり、固定資産は、前連結会計年度末に比べて53,773千円増加し、2,589,115千円となりました。流動資産の主な増加の要因は、現金及び預金の増加170,803千円、販売用不動産の増加221,657千円であり、主な減少の要因は、仕掛販売用不動産の減少878,572千円であります。固定資産の主な増加の要因は、建設仮勘定の増加117,418千円であり、主な減少の要因は、減価償却等による減少64,291千円であります。
(負債の部)
当第3四半期連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて638,261千円減少し、4,911,326千円となりました。このうち流動負債は、前連結会計年度末に比べて1,249,675千円減少し、2,260,434千円となり、固定負債は、前連結会計年度末に比べて611,414千円増加し、2,650,892千円となりました。流動負債の主な増加の要因は、短期借入金の増加212,000千円、未払法人税等の増加102,022千円であり、主な減少の要因は、買掛金及び工事未払金の減少172,227千円、1年内返済予定の長期借入金の減少1,327,526千円であります。固定負債の主な増加の要因は、長期借入金の増加609,679千円であります。
(純資産の部)
当第3四半期連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて228,413千円増加し、1,231,483千円となりました。純資産の主な増加の要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上等により利益剰余金が228,453千円増加したことによるものであります。
b.経営成績
当第3四半期連結累計期間における売上高は4,668,582千円、営業利益は377,415千円、経常利益は360,649千円、親会社株主に帰属する四半期純利益は229,453千円となりました。
セグメント別の概況は、次のとおりであります。
(不動産分譲事業)
分譲マンション事業におきましては「グランファーレ」シリーズ、分譲戸建住宅事業におきましては「エステティカ」シリーズの引渡により、売上高は4,178,195千円となりました。その他として、不動産仲介事業、リフォーム事業等による売上高は116,208千円となりました。
(不動産賃貸事業)
不動産賃貸事業におきましては、サービス付き高齢者向け住宅の「グランウエルネス」シリーズと賃貸マンション等の賃貸料収入が245,442千円となりました。その他として、サービス付き高齢者向け住宅支援サービス事業等による売上高は42,054千円となりました。
(不動産関連事業)
マンション管理事業におきましては、顧客の満足度向上に努め、分譲マンション及び賃貸マンションの管理による売上高は56,494千円となりました。その他として、火災保険等の保険代理店事業、設計監理事業、業務委託斡旋事業等による売上高は30,185千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
第15期連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,066,077千円となり、前連結会計年度末に比べ1,589,754千円の減少となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は、930,356千円(前期は1,906,204千円の資金獲得)となりました。これは、主にたな卸資産の減少額242,105千円、仕入債務の減少額1,350,303千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、113千円(前期は10,193千円の資金使用)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出5,531千円、敷金及び保証金の返還による収入4,420千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、659,284千円(前期は423,710千円の資金獲得)となりました。これは、主に長期借入れによる収入418,000千円、長期借入金の返済による支出1,020,583千円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
該当事項はありません。
b.契約実績
第15期連結会計年度における契約実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称契約高契約残高
戸数金額(千円)前期比(%)戸数金額(千円)前期比(%)
不動産分譲事業
分譲マンション1143,516,355△33.41003,134,778+35.3
分譲戸建11415,032+157.5141,236△66.6
合計1253,931,387△27.71013,176,014+30.1

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.不動産賃貸事業及び不動産関連事業については、事業の性質上記載を省略しております。
3.当社は、受注実績を連結会計年度末のみ記載しており四半期情報を記載しておりませんので、第16期第3四半期連結累計期間における受注実績を記載しておりません。
c.販売実績
第15期連結会計年度及び第16期第3四半期連結累計期間における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第15期連結会計年度第16期第3四半期連結累計期間
(自 2017年4月1日(自 2018年4月1日
至 2018年3月31日)至 2018年12月31日)
販売高(千円)前期比(%)販売高(千円)
不動産分譲事業
分譲マンション2,698,171△43.04,094,401
分譲戸建505,288+1,255.383,794
その他81,653△41.9116,208
不動産分譲事業計3,285,113△33.14,294,404
不動産賃貸事業372,923+20.7287,497
不動産関連事業114,695+20.286,679
合計3,772,732△29.04,668,582

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間取引については相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
経営成績の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
③ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、継続的な収益力の改善効果を測定し、経営判断を行うことが重要であると考えており、売上高経常利益率を重要な指標としております。当連結会計年度の経常利益は106,189千円(前期比38.2%減)となり、売上高経常利益率は前連結会計年度比0.4ポイント減少し、2.8%となりました。これは主に、売上高の減少、体制強化に伴う人件費及び広告宣伝費が増加したことによるものであります。当社グループは、継続的な成長及び安定的な収益確保の実現のため、売上原価及び販売費及び一般管理費を低減し、引き続き、企業価値の向上を図るとともに、当該指標の向上に努めてまいります。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
当社グループの主力であります不動産分譲事業は、購入者マインド及び供給者の供給動向に左右される傾向があります。購入者マインドは、景気動向、金利動向、地価動向及び物価動向の変動、住宅税制や消費税等の税制変更等の影響を受け、また、供給者の供給動向は、仕入価格の高騰、用地取得時期の遅れ、外注業者の外注価格の変動、外注業者の倒産等、これらの動向が変動した場合には、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。 詳細につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要の主なものは、不動産分譲事業における分譲用地の取得、建築工事代金のプロジェクト資金であります。資金調達につきましては、各プロジェクトや物件ごとに調達しており、借入金にかかる金利等の資金調達費用の最小化を図る対応をしております。また、運転資金につきましては、営業活動から得られる自己資金により賄っており、不足が生じた場合は金融機関より調達を行っております。
(5) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループを取り巻く事業環境を展望いたしますと、主力の不動産分譲事業におきましては、住宅ローン金利の低位安定等を背景に、購入者ニーズに即した商品の提供により、概ね順調な販売を継続しております。さらに不動産賃貸事業におきましても、サービス付き高齢者向け住宅を中心に高稼働率の維持によって安定的な収益を確保してまいりました。
しかしながら、足元では用地価格や建築費を中心としたコストの上昇に加えて、国内景気に影響を及ぼしかねない、不安定な国際情勢、中長期的には少子・高齢化の進展に伴う住宅市場の縮小、将来の社会保障への不安等、克服すべき課題を有しており、将来を見すえた的確な経営戦略の立案、実行が求められております。
このような状況のもと、当社グループは主として札幌市を事業エリアとして、「人に優しい、生活に優しい、環境に優しい、未来に優しい」を基本コンセプトにした永住型マンションを提供しております。
そのための取り組みといたしまして、分譲マンション事業においては、地下鉄沿線等利便性に富んだ好立地による展開を基本としております。
さらに、地域密着の有利性に加え、これまでの実績に裏付けされた知名度を活かし、一定戸数の安定供給や優良プロジェクトの取組み等によるブランド力の向上にも努め、事業環境が大きく変化するなかにあっても、札幌市において確固たる地位を築いてまいります。
以上のような戦略を推進していくことにより、付加価値の高いマンションの供給を進め、持続的な成長と利益の増大を図りつつ、地域に根ざした不動産業として当地のリーディング・カンパニーを目指して鋭意努力を重ね、すべてのステークホルダーの期待に応えるべく、邁進していく所存であります。