有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/07/03 15:00
【資料】
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【項目】
129項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
第4期事業年度(自 2018年12月1日 至 2019年11月30日)
(資産)
当事業年度末における資産合計は817,008千円となり、前事業年度末に比べ185,695千円増加いたしました。これは主に売上高の伸長に伴い、現金及び預金が122,539千円及び未収入金が44,612千円増加したことによるものです。
(負債)
当事業年度末における負債合計は361,874千円となり、前事業年度末に比べ1,687千円増加いたしました。これは主に賞与引当金が32,105千円、税率の増加に伴い未払消費税等が19,653千円増加し、繰上げ返済により1年内返済予定の長期借入金が26,808千円、外注の減少に伴い買掛金が21,046千円減少したことによるものです。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は455,133千円となり、前事業年度末に比べ184,007千円増加いたしました。これは、当期純利益の計上により利益剰余金が184,007千円増加したことによるものです。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当事業年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前事業年度末の数値で比較を行っております。
第5期第2四半期累計期間(自 2019年12月1日 至 2020年5月31日)
(資産)
当第2四半期会計期間末における流動資産は777,461千円となり、前事業年度末に比べ49,903千円増加いたしました。これは主に四半期純利益の計上に伴い現金及び預金が82,049千円増加し、未収入金が25,982千円減少したことによるものであります。固定資産は71,080千円となり、前事業年度末に比べ18,370千円減少いたしました。これは主に冬季賞与の支給に伴い繰延税金資産が16,318千円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は848,541千円となり、前事業年度末に比べ31,533千円増加いたしました。
(負債)
当第2四半期会計期間末における流動負債は234,747千円となり、前事業年度末に比べ83,632千円減少いたしました。これは主に冬季賞与の支給に伴い未払費用が32,173千円、税金の支払に伴い未払法人税等が26,416千円、外注の減少に伴い買掛金が12,893千円減少したことによるものであります。固定負債は45,660千円となり、前事業年度末に比べ2,166千円増加いたしました。これは退職給付引当金が2,166千円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は280,408千円となり、前事業年度末に比べ81,466千円減少いたしました。
(純資産)
当第2四半期会計期間末における純資産合計は568,133千円となり、前事業年度末に比べ112,999千円増加いたしました。これは主に四半期純利益の計上により利益剰余金が112,890千円増加したことによるものであります。
②経営成績の状況
第4期事業年度(自 2018年12月1日 至 2019年11月30日)
当事業年度におけるわが国経済は、海外情勢の不安定要素はあるものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあり景気は回復の動きを見せました。当社が事業展開するIT産業においては、ビッグデータ、IoT等の新しい技術やサービスの登場と進展により、企業のIT投資は旺盛な状況で推移しました。
ソリューションカテゴリーは、既存顧客からの継続案件及び追加案件、並びに新規顧客の開拓により売上が増加しました。この結果、当カテゴリーの売上高は1,884,172千円(前年同期比2.9%増)となりました。
半導体カテゴリーは、半導体工場を有する大手企業からの業務受託を目的として、2019年7月に北上事業所を開設し、人材供給の拡大を図りました。この結果、当カテゴリーの売上高は303,253千円(前年同期比29.4%増)となりました。
先進技術ソリューションカテゴリーは、AI市場を中心とした新規案件を獲得するとともに、2019年7月より東北大学との共同研究を開始し、将来への事業基盤作りも行いました。この結果、当カテゴリーの売上高は109,824千円(前年同期比61.3%増)となりました。
以上の結果、当事業年度の売上高は2,297,249千円(前年同期比7.7%増)、営業利益は269,706千円(同34.2%増)、経常利益は269,850千円(同33.3%増)、当期純利益は184,007千円(同25.6%増)となりました。
第5期第2四半期累計期間(自 2019年12月1日 至 2020年5月31日)
当第2四半期累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウィルス感染症の影響により急速な悪化が続いており極めて厳しい状況にあります。緊急事態宣言が発令されて以降、外出自粛の影響もありテレワークの普及が促進され、緊急事態宣言解除後も一定割合は在宅勤務を継続するなど、感染拡大の防止策を取り入れた新しい形態での事業継続が求められています。一方で新型コロナウイルスへの対策が企業のIT戦略に影響をもたらしており、企業活動におけるITの重要性が高まることで、業務のIT化の流れが加速し、IT関連業務の拡大に繋がると考えております。当社では当第2四半期累計期間において新型コロナウィルスの直接的な影響はなく、派遣契約の打ち切りや請負契約の案件取消は発生しておりません。しかしながら、引き続き感染拡大による国民生活及び経済環境への影響には、十分に注意する必要がある状況です。
当社の事業は、システム開発及びその関連サービスの単一セグメントですが、事業の構成をソリューション、半導体、先進技術ソリューションの3カテゴリー構造とし事業展開しております。「ソリューションカテゴリー」では産業領域に特化せずIT人材の供給を継続し、IT開発を支える事業の拡大を図ってまいりました。「半導体カテゴリー」では工場内システムの保守及び運用サービスや、ITヘルプデスク等半導体工場のITインフラストラクチャー運用支援の事業拡大を図ってまいりました。「先進技術ソリューションカテゴリー」ではAI市場に特化した戦略を図ってまいりました。
この結果、当第2四半期累計期間の業績は、売上高1,110,500千円、営業利益164,693千円、経常利益167,694千円、四半期純利益112,890千円となりました。
当第2四半期累計期間におけるカテゴリー毎の経営成績は次のとおりです。
①ソリューションカテゴリー
当第2四半期累計期間の売上高は、892,095千円となりました。
主要得意先からの受注が順調に推移したことに加え、新規の受注が寄与しました。
②半導体カテゴリー
当第2四半期累計期間の売上高は、169,237千円となりました。
主要得意先からの受注が順調だったことに加え、エンジニアの単価改訂による売上増加が寄与しました。
③先進技術ソリューションカテゴリー
当第2四半期累計期間の売上高は、49,167千円となりました。
新たに大手メーカとの取引を開始し、AI関連案件の受注が増加しました。
③キャッシュ・フローの状況
第4期事業年度(自 2018年12月1日 至 2019年11月30日)
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、その他の流動資産の増加、法人税等の支払、長期借入金の返済による支出等の要因により一部相殺されたものの、税引前当期純利益が269,850千円(前年同期比33.3%増)と増加したこと等により、前事業年度末に比べ122,539千円増加し、当事業年度末には323,177千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は168,033千円(前年同期比11.8%増)となりました。これは主に法人税等の支払額86,849千円、その他の流動資産の増加額53,050千円等による支出があったものの、税引前当期純利益269,850千円、その他の流動負債の増加額42,528千円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1,056千円(前年同期比91.6%減)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出885千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は44,438千円(前年同期比41.7%減)となりました。これは長期借入金を繰上げ返済したことによる支出44,438千円であります。
第5期第2四半期累計期間(自 2019年12月1日 至 2020年5月31日)
当第2四半期累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ82,049千円増加し、当第2四半期会計期間末には405,226千円となりました。
当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、81,940千円の収入となりました。これは主に、法人税等の支払額64,900千円、冬季賞与の支給に伴う未払費用の減少額32,173千円、外注の減少に伴う仕入債務の減少額12,893千円があった一方で、税引前四半期純利益の計上167,694千円、未収入金の減少25,982千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローはありません。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、108千円の収入となりました。これは新株予約権の発行によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当社の事業は、システム開発及びその関連サービスの単一セグメントですが、第4期事業年度及び第5期第2四半期累計期間のカテゴリー別販売実績は次のとおりであります。
カテゴリーの名称第4期事業年度
(自 2018年12月1日
至 2019年11月30日)
第5期第2四半期累計期間
(自 2019年12月1日
至 2020年5月31日)
販売高(千円)前年同期比(%)販売高(千円)
ソリューション1,884,172102.9892,095
半導体303,253129.4169,237
先進技術ソリューション109,824161.349,167
合計2,297,249107.71,110,500

(注)1.ソリューションカテゴリーにはキオクシアグループへの販売実績も含まれており、半導体カテゴリーには東芝グループ等キオクシアグループ以外への販売実績も含まれております。
2.最近2事業年度及び第5期第2四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第3期事業年度
(自 2017年12月1日
至 2018年11月30日)
第4期事業年度
(自 2018年12月1日
至 2019年11月30日)
第5期第2四半期累計期間
(自 2019年12月1日
至 2020年5月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
キオクシア(株)159,3147.5360,91915.7165,34614.9
東芝アイエス・コンサルティング(株)257,89412.1241,21510.599,3188.9
(株)日立ハイシステム21239,39411.2211,8019.293,7338.4

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、見積りが必要な事項につきましては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
第4期事業年度(自 2018年12月1日 至 2019年11月30日)
売上高は顧客を取り巻くIT人材の不足を背景に前事業年度より163,712千円増加し、2,297,249千円となりました。
売上原価は、業務に従事する技術者の増加等を要因として前事業年度より45,454千円増加し、1,666,651千円となりました。
販売費及び一般管理費は、前事業年度より49,550千円増加し、360,892千円となりました。これは主に、人員増加に伴う給料及び手当の増加18,977千円、共同研究の開始に伴う研究開発費の増加17,285千円、人材採用費等の増加による支払手数料の増加10,617千円等によるものであります。
その結果、営業利益は68,707千円増加し、269,706千円となりました。
営業外収益は、前事業年度より1,862千円減少し、252千円となりました。これは主に、貸倒引当金戻入額が減少したことによるものであります。営業外費用は前事業年度より561千円減少し、108千円となりました。これは主に、支払利息が減少したことによるものであります。
以上の結果、経常利益は前事業年度より67,405千円増加し、269,850千円となり、税引前当期純利益は269,850千円、当期純利益は184,007千円となりました。
第5期第2四半期累計期間(自 2019年12月1日 至 2020年5月31日)
売上高は新型コロナウィルス感染拡大の防止策を取り入れた新しい形態での事業継続が求められる中、顧客を取り巻くIT人材の不足を背景に、1,110,500千円となり、売上原価は、773,159千円となりました。
販売費及び一般管理費は、172,647千円となりました。これは主に、人件費や監査報酬及び人材採用費等の支払手数料、研究開発費であります。
その結果、営業利益は164,693千円となりました。
営業外収益は、3,000千円となりました。これは主に、研究開発の補助金収入であります。
以上の結果、経常利益は167,694千円となり、税引前当期純利益は167,694千円、当期純利益は112,890千円となりました。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
③資本の財源及び資金の流動性
当社の資本の財源及び資金の流動性については、将来の事業活動に必要な資金を確保し、適切な流動性を維持することを基本方針としております。現在、金融機関からの借入は行っておらず、運転資金及び設備投資等の調達につきましては、自己資金を充当することを原則としながら、必要に応じて銀行借入による調達を行う予定であります。
④経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 目標とする経営指標」に記載のとおりであります。
第4期事業年度(自 2018年12月1日 至 2019年11月30日)
売上高は前事業年度より163,712千円増加し、2,297,249千円(前年同期比7.7%増)となり、営業利益率は、前事業年度より2.3ポイント上昇し、11.7%となりました。これは顧客を取り巻くIT人材の不足を背景に案件が増加し、また案件の利益率を改善することができたためであります。
第5期第2四半期累計期間(自 2019年12月1日 至 2020年5月31日)
売上高は、1,110,500千円となり、営業利益率は、14.8%となりました。これは顧客を取り巻くIT人材の不足を背景に案件の利益率を改善することができ、また外注を減らしたことで案件の利益率を高く維持することができたためであります。