有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/11/11 15:00
【資料】
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【項目】
136項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準28号 2018年2月16日)等を第17期連結会計年度の期首から適用しており、第17期連結会計年度の財政状態については組替処理後の第16期連結会計年度末の数値で比較を行っています。
① 経営成績の状況
第17期連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費の持ち直しや雇用情勢の着実な改善がみられる一方、米中の貿易摩擦が世界経済に与える影響が懸念され、国内景気は依然不透明な状況が続いています。
このような環境の中、当社グループは「卓越した創意工夫と最良の科学技術によって、どこにもなかった素晴らしい方法を創出し、人々の役に立つ」という企業理念(The Vision)を掲げ、家電という道具を通して、心躍るような、素晴らしい体験を世の中にお届けしたいとの考えのもと、事業を運営してきました。
BALMUDAブランドの更なる認知度向上を目指し、「バルミューダと過ごす素敵な週末」をテーマにした体験型ポップアップストアを全国の主要都市にて開催し、また、初めてのTVCMも実施しました。
新製品として、2019年3月に航空機のジェットエンジン技術を応用した空気清浄機「BALMUDA The Pure」、2019年7月に活性炭脱臭フィルター搭載のサーキュレーター「GreenFan C2」、2019年10月に太陽光LEDを採用したランタン「BALMUDA The Lantern」を発表するなど、製品ラインナップの拡充により、積極的に事業拡大を図っており、国内販売は堅調に推移しました。
一方、主力である韓国への輸出環境の悪化に伴い、輸出額は減少しました。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度における業績は、売上高10,849,927千円(対前期比3.1%減)、営業利益1,071,859千円(対前期比35.4%減)、経常利益1,047,870千円(対前期比35.9%減)と減収減益となりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益については632,984千円(前年同期比593,059千円増)となりました。
なお、当社グループは家電事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。
第18期第3四半期連結累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、国内外における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響の長期化に伴う景気の悪化が続いており、極めて厳しい状況にあります。雇用情勢は弱さが増しており、景気の先行きについては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の防止策を講じながら、社会経済活動のレベルの段階的な引き上げが期待されるものの、国内外の経済をさらに悪化させるリスクなどにより、引き続き個人消費は不透明な状況が見込まれます。
このような環境の中、当社グループは「卓越した創意工夫と最良の科学技術によって、どこにもなかった素晴らしい方法を創出し、人々の役に立つ」という企業理念(The Vision)を掲げ、家電という道具を通して、心躍るような、素晴らしい体験を世の中にお届けしたいとの考えのもと、事業を運営してきました。
国内販売については、外出自粛等の影響による巣ごもり需要により堅調に推移し、2020年6月には、新製品として、楽曲に合わせて輝くLEDユニットを搭載したワイヤレススピーカー「BALMUDA The Speaker」を発売し、製品ラインナップの拡充を行いました。
海外販売については、昨年半ばより悪化していた韓国への輸出環境は改善傾向にあるものの、当第3四半期連結累計期間における輸出額は前年同期を下回りました。一方、海外における新たな展開地域として、2020年4月から北米における販売を開始しており、積極的な事業拡大を進めてきました。
以上の結果、当社グループの当第3四半期連結累計期間における業績は、売上高8,097,797千円、営業利益919,255千円、経常利益891,887千円、親会社株主に帰属する四半期純利益603,333千円となりました。
なお、当社グループは家電事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。
② 財政状態の状況
第17期連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は5,070,060千円となり、前連結会計年度末と比べて314,038千円増加しました。流動資産は4,456,762千円(前連結会計年度末比279,290千円増)となり、これは主に期末にかけて売上の増加により売掛金が360,745千円増加したことなどによるものです。固定資産は613,297千円(前連結会計年度末比34,747千円増)となり、これは主に工具、器具及び備品(製品に係る金型)の取得によるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は3,337,621千円となり、前連結会計年度末と比べて319,012千円減少しました。流動負債は2,613,966千円(前連結会計年度末比563,094千円減)となり、これは主に2018年10月に販売を開始した新製品に係る製品仕入に伴う買掛金が437,628千円、製品自主回収関連損失引当金が268,324千円減少したことなどによるものです。固定負債は723,655千円(前連結会計年度末比244,082千円増)となり、これは長期借入金が増加したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は1,732,438千円となり、前連結会計年度末と比べて633,050千円増加しました。これは主に、利益剰余金が632,984千円増加したことによるものです。
第18期第3四半期連結累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は5,890,073千円となり、前連結会計年度末と比べて820,013千円増加しました。流動資産は5,207,183千円(前連結会計年度末比750,421千円増)となり、これは主に、利益剰余金及び短期借入金の増加により現金及び預金が1,048,162千円増加、売上債権の回収により売掛金が137,403千円減少、製品販売の増加により商品及び製品が79,712千円減少したことなどによるものです。固定資産は682,890千円(前連結会計年度末比69,592千円増)となり、これは主に有形固定資産(製品に係る金型)の取得によるものです。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は3,554,172千円となり、前連結会計年度末と比べて216,550千円増加しました。流動負債は2,999,714千円(前連結会計年度末比385,747千円増)となり、これは主に短期借入金が400,000千円増加したことによるものです。固定負債は554,458千円(前連結会計年度末比169,197千円減)となり、これは長期借入金が減少したことによるものです。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は2,335,901千円となり、前連結会計年度末と比べて603,463千円増加しました。これは主に、利益剰余金が603,333千円増加したことによるものです。

③ キャッシュ・フローの状況
第17期連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,248,407千円となり、前年同期に比べて72,353千円増加しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上、製品自主回収関連損失引当金の減少、売上債権の増加及び仕入債務の減少等により、307,361千円の収入(前連結会計年度は354,878千円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、317,370千円の支出(前連結会計年度は250,696千円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入を行う一方で長・短期借入金の返済による支出により、83,527千円の収入(前連結会計年度は219,153千円の収入)となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
第17期連結会計年度及び第18期第3四半期連結累計期間における生産実績は次のとおりです。なお、当社グループは、家電事業の単一セグメントであるため、製品カテゴリー別に記載しています。
製品カテゴリーの名称第17期連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
前年同期比
(%)
第18期第3四半期連結累計期間
(自 2020年1月1日
至 2020年9月30日)
空調関連 (千円)3,424,532105.21,448,999
キッチン関連 (千円)3,259,61571.02,743,449
その他 (千円)589,71190.6522,688
合計 (千円)7,273,86085.64,715,136

(注)1.金額は、総製造費用によっています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
b.仕入実績
第17期連結会計年度及び第18期第3四半期連結累計期間における仕入実績は次のとおりです。なお、当社グループは、家電事業の単一セグメントであるため、製品カテゴリー別に記載しています。
製品カテゴリーの名称第17期連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
前年同期比
(%)
第18期第3四半期連結累計期間
(自 2020年1月1日
至 2020年9月30日)
キッチン関連 (千円)10,901336.38,529
合計 (千円)10,901336.38,529

(注)1.金額は、仕入価格によっています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
c.受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しています。
d.販売実績
第17期連結会計年度及び第18期第3四半期連結累計期間における販売実績は次のとおりです。なお、当社グループは、家電事業の単一セグメントであるため、製品カテゴリー別に記載しています。
製品カテゴリーの名称第17期連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
前年同期比
(%)
第18期第3四半期連結累計期間
(自 2020年1月1日
至 2020年9月30日)
空調関連 (千円)4,691,165105.52,321,139
キッチン関連 (千円)5,262,55282.64,659,880
その他 (千円)896,209238.01,116,776
合計 (千円)10,849,92796.98,097,797

(注)1.最近2連結会計年度及び第18期第3四半期連結累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先第16期連結会計年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
第17期連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
第18期第3四半期連結累計期間
(自 2020年1月1日
至 2020年9月30日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
Limotech Korea Co.,Ltd.2,984,30026.72,470,06622.8855,69110.6
株式会社ミツバ1,065,9029.51,173,67910.8993,69112.3

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりです。また、連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で、かつ合理的と考えられる見積りが行われている部分があり、資産・負債、収益・費用の金額に反映されています。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し、合理的に判断していますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる可能性があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの第17期連結会計年度及び第18期第3四半期連結累計期間の経営成績については以下のとおりです。
第17期連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
売上高は、国内は堅調に推移し、前年比392,242千円増加したものの、韓国を中心に輸出が733,977千円減少したことから、10,849,927千円(前期比341,735千円減)にとどまりました。
売上総利益は、原価低減策により利益率は改善したものの、売上の減少をカバーするに至らず、4,191,765千円(前期比44,276千円減)となりました。
販売費及び一般管理費は、新製品開発のための研究開発費、開発者増員による人件費及びブランド確立のための広告宣伝費等の増加により、前年比544,051千円増加し、3,119,906千円となりました。
この結果、当連結会計年度の営業利益は1,071,859千円(前期比588,326千円減)にとどまりました。
営業外損益は、前期並みの水準で推移したため、経常利益は1,047,870千円(前期比586,868千円減)となりました。
特別損益は、前期のリコールに伴う製品自主回収関連損失が一巡したため、1,426,779千円改善し、174,508千円の損失にとどまりました。
この結果、税金等調整前当期純利益は、873,361千円(前期比839,910千円増)となり、法人税等240,377千円(前期比246,851千円増)を計上しました。
以上により、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、632,984千円(前期比593,060千円増)となりました。
第18期第3四半期連結累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)
売上高は、国内は堅調に推移したものの、韓国を中心に輸出が減少したことから、8,097,797千円となりました。
売上総利益は、原価低減策が奏功し、3,534,209千円となりました。
販売費及び一般管理費は、新製品開発のための研究開発費、開発者増員による人件費及びブランド確立のための広告宣伝費等により、2,614,954千円となりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の営業利益は919,255千円となりました。
営業外損益は、前期並みの水準で推移したため、経常利益は891,887千円となりました。
特別損益は、リコールに伴う保険金収入により、14,549千円となりました。
この結果、税金等調整前四半期純利益は、906,436千円となり、法人税等303,103千円を計上しました。
以上により、当第3四半期連結累計期間の親会社株主に帰属する四半期純利益は、603,333千円となりました。
また、当社グループの第17期連結会計年度及び第18期第3四半期連結累計期間の財政状態、キャッシュ・フローについては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載しているとおりです。
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として掲げている、売上高及び営業利益率は次のとおりです。第17期連結会計年度における売上高は10,849,927千円と、第16期連結会計年度の11,191,662千円に対して、前期比96.7%となりました。また、営業利益率については、第17期連結会計年度9.8%、第18期第3四半期連結累計期間11.4%となりますが、これらの指標については、新製品の発売、ブランドや認知度向上を図るための各種コミュニケーション施策の実施等を通じて、引続き改善できるよう努めていきます。
資本の財源及び資金の流動性については、当社の資金需要の主なものは、運転資金、金型等の設備投資、法人税等の支払、借入金の返済等であり、その資金の源泉としては、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入、新株発行による調達等により、必要とする資金を調達することとしています。また、不足の事態に備えて、金融機関とコミットメントライン契約を締結し、必要な資金を適時に確保する体制を整えています。
また、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、事業運営体制等、様々なリスク要因が挙げられ、当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しています。
そのため当社グループは、常に市場動向に留意しつつ、優秀な人材を確保し、顧客のニーズに合った製品・サービスを提供していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行っていく予定です。
当社グループが今後の業容を拡大し、顧客満足度の高い製品・サービスを継続的に提供するためには、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対処していくことが必要であると認識しています。それらの課題に対応するために、経営者は、常に外部環境の構造やその変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を確認し、その間の課題を認識すると同時に最適な解決策を実施していく方針です。