有価証券報告書-第5期(令和2年7月1日-令和3年6月30日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、コロナ禍の中、ワクチンの普及による景気回復の兆しが見られたものの、変異株の流行や先進国と新興国・途上国とのワクチン普及の格差等から先行き不透明な状況が続きました。
こうした中、当社グループの事業環境については、フラットパネル・ディスプレイ(FPD)市場、半導体関連市場
ともに回復基調が続きました。FPD市場においては巣ごもり需要によりパネル需給が改善し、半導体関連市場にお
いては次世代通信規格(5G)対応により需要が増加しております。
このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度の受注金額は15,831百万円(前年度比35.8%増)、受注残高は11,656百万円(前年度比2.3%減)となりました。
当社グループの当連結会計年度の連結業績は、売上高16,105百万円(前年度比10.9%増)、営業利益1,010百万円(前年度比115.9%増)、経常利益911百万円(前年度比129.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は696百万円(前年度比139.1%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(IJPソリューション事業)
中国メーカーが10.5世代の大型液晶ディスプレイ(LCD)投資により競争力を強化する中、韓国や台湾の
メーカーは次世代ディスプレイの開発やパネルの高付加価値化・高機能化による差別化を図っています。当社は
微細塗布などの技術を活かしたインクジェット装置の開発により、QD-OLED(量子ドット有機EL)、マ
イクロLED等次世代ディスプレイ向けの開発に取り組んでおります。また、インクジェット技術によるローコ
ストプロセス実現を通じた用途の拡大や、車載分野や医療関連分野など新たな分野の開拓にも注力しておりま
す。
このような状況のもと、当セグメントの当連結会計年度の売上高は2,352百万円(前年度比320.8%増)と大幅な
増収となりましたが、セグメント利益は新技術・新製品の開発により費用が嵩んだため、30百万円(前年度はセグ
メント損失139百万円)に止まりました。
(半導体関連事業)
5G対応のためのスマートフォン向け高性能プロセッサの需要増、基地局・データセンターの活発な投資、テ
レワークや巣ごもり需要の増加等から、半導体の需要は拡大基調で推移しました。米中対立や新型コロナウイル
スの感染状況等先行きに不透明感がありますが、半導体向けは今後も堅調な需要が続くものと思われます。
こうした中、当社のはんだボールマウンタ装置の売上は大幅に増加し、当セグメントの当連結会計年度の売上
高は3,714百万円(前年度比124.1%増)、セグメント利益は901百万円(前年度比155.1%増)となりました。
(LCD事業)
新型コロナウイルスの影響による巣ごもり需要で世界的にパネル需要は高まっており、韓国ではLCD製造装
置の停止が延期され、更に中国ではLCD製造ラインの増設の動きも出て来ています。反面、この需給ひっ迫が
顧客の生産優先、設備の維持更新投資先送りへと繋がっており、メンテナンスを主とするLCS(Life Cycle
Support)部門の売上が抑えられる結果となりました。
このような状況のもと、当セグメントの当連結会計年度の売上高は10,038百万円(前年度比18.4%減)、セグメ
ント利益は1,024百万円(前年度比5.9%減)となりました。
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ3,136百万円減少し、14,746百万円となりました。主として、現金及び預金363百万円、棚卸資産2,585百万円それぞれの減少によるものであります。
有形固定資産は、前連結会計年度末から377百万円増加し、2,232百万円となりました。
無形固定資産は、前連結会計年度末から37百万円減少し、47百万円となりました。
投資その他の資産は、前連結会計年度末から46百万円減少し、179百万円となりました。
これらの結果、総資産は、前連結会計年度末から2,843百万円減少し、17,206百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ3,546百万円減少し、9,126百万円となりました。主として、仕入債務948百万円、短期借入金1,400百万円、前受金1,278百万円それぞれの減少によるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ88百万円減少し、560百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末に比べ792百万円増加し、7,519百万円となりました。主として、親会社株主に帰属する当期純利益696百万円を計上したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は43.7%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ363百万円減少し、2,107百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果取得した資金は、1,609百万円(前年度は2,389百万円の使用)となりました。資金の取得は、主にたな卸資産の減少2,595百万円、税金等調整前当期純利益981百万円によります。また資金の使用は、主に仕入債務の減少957百万円、前受金の減少1,280百万円によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、575百万円(前年度は603百万円の使用)となりました。資金の使用は、主に有形固定資産の取得による支出575百万円によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、1,410百万円(前年度は2,489百万円の取得)となりました。資金の使用は、主に短期借入金の減少1,400百万円によります。
③ 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引はありません。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
④ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引はありません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
3.前連結会計年度のTITAN-SEMI Co.,Ltd.、Changsha HKC Optoelectronics Co.,Ltd.につきましては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
当連結会計年度のHannStar Display Corporation、SAKAI SIO International GuangZhou Co.,Ltd.、InnoLux Corporation、Shenzhen China Star Optoelectronics Semiconductor Display Technology Co.,Ltd.につきましては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末から2,843百万円減少し、17,206百万円となりました。これは主
に棚卸資産が2,585百万円、現金及び預金が363百万円減少した一方で、有形固定資産が377百万円増加したことによ
るものです。棚卸資産の減少は、主にコロナウイルス感染症の影響による特殊事情であります。前連結会計年度末
の棚卸資産は、中国に出荷した装置の据付作業を感染拡大のため行うことが出来ず、棚卸資産が膨らむ結果となり
ました。当連結会計年度においては、斯かる据付作業の大幅な遅延は解消しております。
負債は、前連結会計年度末から3,635百万円減少し、9,686百万円となりました。主として、短期借入金1,400百万
円、前受金1,278百万円、仕入債務948百万円の減少によるものです。短期借入金は、営業キャッシュ・フローによ
り返済を行ったものであり、前受金及び仕入債務の減少は主にLCD事業の大口案件減少によるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ792百万円増加し、7,519百万円となりました。主として、親会社株主に帰属
する当期純利益696百万円を計上したことによるものであります。この結果、自己資本比率は43.7%となり、前年度
より10.2%上昇しました。
b. 経営成績
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の再拡大がありましたが、上述のとおりFPD業界及び
半導体業界がともに堅調に推移し、また主に海外向けに販売を行う当社として据付作業の現地化等コロナ対策の進
展もあり、当社グループの連結業績は、売上高16,105百万円(前年度比10.9%増)、営業利益1,010百万円(前年度
比115.9%増)、経常利益911百万円(前年度比129.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は696百万円(前年
度比139.1%増)と、1割の増収ながら、各利益とも2倍以上の増益となりました。収益面では、増収の効果に加え、売上総利益率が1.3%改善し、加えて販売費及び一般管理費をほぼ前年度並みの水準に抑えたことから、斯かる大幅
な増益となっております。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、各セグメントの当連結会計年度における事業環境は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
また、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益に対応しております。
(IJPソリューション事業)
当セグメントの当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度から1,793百万円増加し、2,352百万円となりました。前年度の4.2倍となる大幅な増収となっております。未だ次世代ディスプレイ向けやローコスト・プロセス実現のための開発・試作案件が主体であるものの、必要な材料を必要な位置に高速かつ的確に塗布できるIJP技術への期待が窺われる結果と考えられます。
セグメント利益については、開発・試作向けの製品であることから価格が抑えられる一方、新技術・新製品のため開発や製造の費用が嵩んだことから、30百万円に止まっております。前連結会計年度のセグメント損失139百万円か ら、僅かではありますが黒字に転換しました。今後は、マイクロLED、Si-OLED等プレミアム・ディスプレイ分野での量産化開始が見込まれ、収益の更なる改善が見込まれております。
(半導体関連事業)
当セグメントの当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度から2,056百万円増加し、3,714百万円となりました。前年度のほぼ2.2倍の売上高です。半導体需要の拡大に加え、微細化・集積化による半導体先端パッケージの伸びが、小径のボールを得意とする当社の大幅な増収に寄与したものといえます。
セグメント利益についても、前連結会計年度から548百万円増加し、901百万円となりました。同じく2.5倍の増益です。増収に加え、新型機の投入、生産効率化等による利益率上昇によるものです。当社のはんだボールマウンタ装置の需要は当面堅調に推移するものと思われます。
(LCD事業)
当セグメントの当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度から2,265百万円減少し、10,038百万円となりました。前年度比18.4%の減収です。これは液晶パネルの大型投資がピークアウトするなど新規投資の減少に加え、既存設備の改造・リプレイスなど維持更新投資が先送りされたためです。
一方、セグメント利益については、前連結会計年度から63百万円減少の1,024百万円と、5.9%の減益に止まっております。これは、前年度はコロナウイルス感染拡大に伴う追加費用が嵩んだことに加え、当年度も収益性の良い維持更新投資を一定規模確保できたことにより、利益率が改善したためであります。
しかし、足下はコロナ禍の中、巣籠もり需要等による液晶パネル需給のひっ迫を受け、LCD設備の新規投資の動きが具体化しつつあり、需要動向にプラスの変化が生じて来ています。
②資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの事業活動における主な資金需要は、部品の仕入代金、製品の製作代金、販売費及び一般管理費等の費用及び設備投資資金であります。上記運転資金につきましては、内部資金、銀行からの借入及び売上債権の回収により調達を行うことを基本としております。日常的な手元流動性は金利費用削減のため必要最小限の残高で運用しておりますが、取引銀行とコミットメントライン契約(極度額4,180百万円)、当座貸越契約(極度額5,400百万円)を締結しており、資金の流動性は確保されております。なお今後につきましては、安定的な内部留保の蓄積等により財政状態の健全化を図るとともに、資本効率を高めてまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計基準に基づき作成しております。
この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益、費用及びキャッシュ・フローの報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。
当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成のための重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
a.貸倒引当金の計上基準
当社グループは、債権の貸倒に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債
権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
顧客の財政状態が悪化し、支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性が
あります。
b.たな卸資産の評価基準
当社グループは、原材料は最終仕入原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切下げの方法により算
定)、製品・仕掛品は個別法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切下げの方法により算
定)、半製品のうち保守部品は移動平均法による原価法、それ以外は個別法による原価法(貸借対照表価額は収
益性の低下による簿価切下げの方法により算定)を採用しております。
将来における実際の需要または市況が見積りより悪化した場合には、評価損の追加計上が必要となる可能性が
あります。
c.繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性について、課税所得の額を合理的に見積ることにより判断してお
ります。
将来の不確実な経済条件の変動等により見積りの見直しが必要となった場合、繰延税金資産及び法人税等調整
額の金額に影響を与える可能性があります。
d.固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グルー
プから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、固定資産の帳簿価額を回収
可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
将来の不確実な経済条件の変動等により見積りの見直しが必要となった場合、減損損失が発生する可能性があ
ります。
e.退職給付債務の算定
当社の退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率等に
基づき算定されております。
将来の不確実な経済条件の変動等により割引率及び期待運用収益率等の見直しが必要となった場合、退職給付
に係る負債及び退職給付費用の金額に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、コロナ禍の中、ワクチンの普及による景気回復の兆しが見られたものの、変異株の流行や先進国と新興国・途上国とのワクチン普及の格差等から先行き不透明な状況が続きました。
こうした中、当社グループの事業環境については、フラットパネル・ディスプレイ(FPD)市場、半導体関連市場
ともに回復基調が続きました。FPD市場においては巣ごもり需要によりパネル需給が改善し、半導体関連市場にお
いては次世代通信規格(5G)対応により需要が増加しております。
このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度の受注金額は15,831百万円(前年度比35.8%増)、受注残高は11,656百万円(前年度比2.3%減)となりました。
当社グループの当連結会計年度の連結業績は、売上高16,105百万円(前年度比10.9%増)、営業利益1,010百万円(前年度比115.9%増)、経常利益911百万円(前年度比129.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は696百万円(前年度比139.1%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(IJPソリューション事業)
中国メーカーが10.5世代の大型液晶ディスプレイ(LCD)投資により競争力を強化する中、韓国や台湾の
メーカーは次世代ディスプレイの開発やパネルの高付加価値化・高機能化による差別化を図っています。当社は
微細塗布などの技術を活かしたインクジェット装置の開発により、QD-OLED(量子ドット有機EL)、マ
イクロLED等次世代ディスプレイ向けの開発に取り組んでおります。また、インクジェット技術によるローコ
ストプロセス実現を通じた用途の拡大や、車載分野や医療関連分野など新たな分野の開拓にも注力しておりま
す。
このような状況のもと、当セグメントの当連結会計年度の売上高は2,352百万円(前年度比320.8%増)と大幅な
増収となりましたが、セグメント利益は新技術・新製品の開発により費用が嵩んだため、30百万円(前年度はセグ
メント損失139百万円)に止まりました。
(半導体関連事業)
5G対応のためのスマートフォン向け高性能プロセッサの需要増、基地局・データセンターの活発な投資、テ
レワークや巣ごもり需要の増加等から、半導体の需要は拡大基調で推移しました。米中対立や新型コロナウイル
スの感染状況等先行きに不透明感がありますが、半導体向けは今後も堅調な需要が続くものと思われます。
こうした中、当社のはんだボールマウンタ装置の売上は大幅に増加し、当セグメントの当連結会計年度の売上
高は3,714百万円(前年度比124.1%増)、セグメント利益は901百万円(前年度比155.1%増)となりました。
(LCD事業)
新型コロナウイルスの影響による巣ごもり需要で世界的にパネル需要は高まっており、韓国ではLCD製造装
置の停止が延期され、更に中国ではLCD製造ラインの増設の動きも出て来ています。反面、この需給ひっ迫が
顧客の生産優先、設備の維持更新投資先送りへと繋がっており、メンテナンスを主とするLCS(Life Cycle
Support)部門の売上が抑えられる結果となりました。
このような状況のもと、当セグメントの当連結会計年度の売上高は10,038百万円(前年度比18.4%減)、セグメ
ント利益は1,024百万円(前年度比5.9%減)となりました。
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ3,136百万円減少し、14,746百万円となりました。主として、現金及び預金363百万円、棚卸資産2,585百万円それぞれの減少によるものであります。
有形固定資産は、前連結会計年度末から377百万円増加し、2,232百万円となりました。
無形固定資産は、前連結会計年度末から37百万円減少し、47百万円となりました。
投資その他の資産は、前連結会計年度末から46百万円減少し、179百万円となりました。
これらの結果、総資産は、前連結会計年度末から2,843百万円減少し、17,206百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ3,546百万円減少し、9,126百万円となりました。主として、仕入債務948百万円、短期借入金1,400百万円、前受金1,278百万円それぞれの減少によるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ88百万円減少し、560百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末に比べ792百万円増加し、7,519百万円となりました。主として、親会社株主に帰属する当期純利益696百万円を計上したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は43.7%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ363百万円減少し、2,107百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果取得した資金は、1,609百万円(前年度は2,389百万円の使用)となりました。資金の取得は、主にたな卸資産の減少2,595百万円、税金等調整前当期純利益981百万円によります。また資金の使用は、主に仕入債務の減少957百万円、前受金の減少1,280百万円によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、575百万円(前年度は603百万円の使用)となりました。資金の使用は、主に有形固定資産の取得による支出575百万円によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、1,410百万円(前年度は2,489百万円の取得)となりました。資金の使用は、主に短期借入金の減少1,400百万円によります。
③ 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高 (千円) | 前年度比 (%) | 受注残高 (千円) | 前年度比 (%) |
IJPソリューション事業 | 3,065,480 | 48.4 | 2,738,325 | 35.2 |
半導体関連事業 | 4,295,590 | 23.4 | 3,072,662 | 23.3 |
LCD事業 | 8,470,276 | 38.6 | 5,845,324 | △21.2 |
合計 | 15,831,347 | 35.8 | 11,656,312 | △2.3 |
(注) 1.セグメント間取引はありません。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
④ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前年度比(%) |
IJPソリューション事業 | 2,352,078 | 320.8 |
半導体関連事業 | 3,714,140 | 124.1 |
LCD事業 | 10,038,977 | △18.4 |
合計 | 16,105,197 | 10.9 |
(注) 1.セグメント間取引はありません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2019年7月1日 至 2020年6月30日) | 当連結会計年度 (自 2020年7月1日 至 2021年6月30日) | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
Wuhan BOE Optoelectronics Technology Co.,Ltd. | 2,985,500 | 20.6 | 3,085,500 | 19.2 |
TITAN-SEMI Co.,Ltd. | - | - | 2,624,100 | 16.3 |
Changsha HKC Optoelectronics Co.,Ltd. | - | - | 2,181,200 | 13.5 |
HannStar Display Corporation | 2,093,480 | 14.4 | - | - |
SAKAI SIO International GuangZhou Co.,Ltd. | 2,069,600 | 14.3 | - | - |
InnoLux Corporation | 1,976,527 | 13.6 | - | - |
Shenzhen China Star Optoelectronics Semiconductor Display Technology Co.,Ltd. | 1,546,800 | 10.7 | - | - |
3.前連結会計年度のTITAN-SEMI Co.,Ltd.、Changsha HKC Optoelectronics Co.,Ltd.につきましては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
当連結会計年度のHannStar Display Corporation、SAKAI SIO International GuangZhou Co.,Ltd.、InnoLux Corporation、Shenzhen China Star Optoelectronics Semiconductor Display Technology Co.,Ltd.につきましては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末から2,843百万円減少し、17,206百万円となりました。これは主
に棚卸資産が2,585百万円、現金及び預金が363百万円減少した一方で、有形固定資産が377百万円増加したことによ
るものです。棚卸資産の減少は、主にコロナウイルス感染症の影響による特殊事情であります。前連結会計年度末
の棚卸資産は、中国に出荷した装置の据付作業を感染拡大のため行うことが出来ず、棚卸資産が膨らむ結果となり
ました。当連結会計年度においては、斯かる据付作業の大幅な遅延は解消しております。
負債は、前連結会計年度末から3,635百万円減少し、9,686百万円となりました。主として、短期借入金1,400百万
円、前受金1,278百万円、仕入債務948百万円の減少によるものです。短期借入金は、営業キャッシュ・フローによ
り返済を行ったものであり、前受金及び仕入債務の減少は主にLCD事業の大口案件減少によるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ792百万円増加し、7,519百万円となりました。主として、親会社株主に帰属
する当期純利益696百万円を計上したことによるものであります。この結果、自己資本比率は43.7%となり、前年度
より10.2%上昇しました。
b. 経営成績
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の再拡大がありましたが、上述のとおりFPD業界及び
半導体業界がともに堅調に推移し、また主に海外向けに販売を行う当社として据付作業の現地化等コロナ対策の進
展もあり、当社グループの連結業績は、売上高16,105百万円(前年度比10.9%増)、営業利益1,010百万円(前年度
比115.9%増)、経常利益911百万円(前年度比129.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は696百万円(前年
度比139.1%増)と、1割の増収ながら、各利益とも2倍以上の増益となりました。収益面では、増収の効果に加え、売上総利益率が1.3%改善し、加えて販売費及び一般管理費をほぼ前年度並みの水準に抑えたことから、斯かる大幅
な増益となっております。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、各セグメントの当連結会計年度における事業環境は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
また、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益に対応しております。
(IJPソリューション事業)
当セグメントの当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度から1,793百万円増加し、2,352百万円となりました。前年度の4.2倍となる大幅な増収となっております。未だ次世代ディスプレイ向けやローコスト・プロセス実現のための開発・試作案件が主体であるものの、必要な材料を必要な位置に高速かつ的確に塗布できるIJP技術への期待が窺われる結果と考えられます。
セグメント利益については、開発・試作向けの製品であることから価格が抑えられる一方、新技術・新製品のため開発や製造の費用が嵩んだことから、30百万円に止まっております。前連結会計年度のセグメント損失139百万円か ら、僅かではありますが黒字に転換しました。今後は、マイクロLED、Si-OLED等プレミアム・ディスプレイ分野での量産化開始が見込まれ、収益の更なる改善が見込まれております。
(半導体関連事業)
当セグメントの当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度から2,056百万円増加し、3,714百万円となりました。前年度のほぼ2.2倍の売上高です。半導体需要の拡大に加え、微細化・集積化による半導体先端パッケージの伸びが、小径のボールを得意とする当社の大幅な増収に寄与したものといえます。
セグメント利益についても、前連結会計年度から548百万円増加し、901百万円となりました。同じく2.5倍の増益です。増収に加え、新型機の投入、生産効率化等による利益率上昇によるものです。当社のはんだボールマウンタ装置の需要は当面堅調に推移するものと思われます。
(LCD事業)
当セグメントの当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度から2,265百万円減少し、10,038百万円となりました。前年度比18.4%の減収です。これは液晶パネルの大型投資がピークアウトするなど新規投資の減少に加え、既存設備の改造・リプレイスなど維持更新投資が先送りされたためです。
一方、セグメント利益については、前連結会計年度から63百万円減少の1,024百万円と、5.9%の減益に止まっております。これは、前年度はコロナウイルス感染拡大に伴う追加費用が嵩んだことに加え、当年度も収益性の良い維持更新投資を一定規模確保できたことにより、利益率が改善したためであります。
しかし、足下はコロナ禍の中、巣籠もり需要等による液晶パネル需給のひっ迫を受け、LCD設備の新規投資の動きが具体化しつつあり、需要動向にプラスの変化が生じて来ています。
②資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの事業活動における主な資金需要は、部品の仕入代金、製品の製作代金、販売費及び一般管理費等の費用及び設備投資資金であります。上記運転資金につきましては、内部資金、銀行からの借入及び売上債権の回収により調達を行うことを基本としております。日常的な手元流動性は金利費用削減のため必要最小限の残高で運用しておりますが、取引銀行とコミットメントライン契約(極度額4,180百万円)、当座貸越契約(極度額5,400百万円)を締結しており、資金の流動性は確保されております。なお今後につきましては、安定的な内部留保の蓄積等により財政状態の健全化を図るとともに、資本効率を高めてまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計基準に基づき作成しております。
この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益、費用及びキャッシュ・フローの報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。
当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成のための重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
a.貸倒引当金の計上基準
当社グループは、債権の貸倒に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債
権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
顧客の財政状態が悪化し、支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性が
あります。
b.たな卸資産の評価基準
当社グループは、原材料は最終仕入原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切下げの方法により算
定)、製品・仕掛品は個別法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切下げの方法により算
定)、半製品のうち保守部品は移動平均法による原価法、それ以外は個別法による原価法(貸借対照表価額は収
益性の低下による簿価切下げの方法により算定)を採用しております。
将来における実際の需要または市況が見積りより悪化した場合には、評価損の追加計上が必要となる可能性が
あります。
c.繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性について、課税所得の額を合理的に見積ることにより判断してお
ります。
将来の不確実な経済条件の変動等により見積りの見直しが必要となった場合、繰延税金資産及び法人税等調整
額の金額に影響を与える可能性があります。
d.固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グルー
プから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、固定資産の帳簿価額を回収
可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
将来の不確実な経済条件の変動等により見積りの見直しが必要となった場合、減損損失が発生する可能性があ
ります。
e.退職給付債務の算定
当社の退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率等に
基づき算定されております。
将来の不確実な経済条件の変動等により割引率及び期待運用収益率等の見直しが必要となった場合、退職給付
に係る負債及び退職給付費用の金額に影響を与える可能性があります。