有価証券報告書-第83期(令和2年10月1日-令和3年9月30日)

【提出】
2021/12/27 11:45
【資料】
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【項目】
108項目
(1) 経営成績の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績
当期におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大による大都市を中心とした緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出され、経済活動や個人消費活動が制限されるなど、先行き不透明な状態で推移いたしました。
一方、世界経済においては、一部の国や地域においてワクチン接種の進展による経済活動の正常化に向けた取り組みが開始されるなど、景況感の回復の兆しがみられる状況であるものの、この取り組みは感染再拡大のリスクを伴ったものであることや、米中の対立構造の長期化や深刻な半導体不足による経済への悪影響など、国内経済同様、経済活動の正常化には相応の時間を要するものと考えられます。
このような環境の中、当社におきましては、厨房全体の機器を請け負う一括案件の販売強化、製商品の入替促進強化、修理・保守点検による機器営業タイミングに関する情報収集の施策が軌道に乗り、また、2020年9月期より新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の取り組みによる影響によって繰越された一括案件が加わることとなりました。
販管費においては、研究開発活動の強化や売上高の増加に伴い、試験研究費や運賃荷造費等が増加いたしました。
このような環境の中、当期の業績概要は以下のようになりました。
(単位:千円)
前事業年度
2020年9月期
当事業年度
2021年9月期
増減
機器設備売上13,572,36914,656,9781,084,608
修理備品売上2,329,9262,404,49974,573
売上高合計15,902,29517,061,4771,159,181
売上総利益4,320,4784,640,790320,311
売上総利益率27.2%27.2%0.0%
販売管理費3,856,3723,976,694120,322
営業利益464,106664,095199,989
営業利益率2.9%3.9%1.0%

最適な厨房製品・厨房システム及びサービス等の提案活動強化および新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため前事業年度より繰り越されていた案件が完了したことにより、機器設備案件の売上額は1,084,608千円増加し14,656,978千円を計上することができました。また、顧客の厨房施設稼働率の低下により減少していた、機器の修理額及び食器等の販売額がやや回復し、前事業年度より74,573千円増加し2,404,499千円となりました。なお、本稿では、当事業年度の顧客市場の動向及び当社の事業活動の状況を経営成績と関連付けで分析するにあたり、損益計算書における製品売上高と商品売上高に含まれる機器設備関連の売上を機器設備売上高とし、損益計算書における製品売上高と商品売上高に含まれる修理・保守及び食器などの備品売上を修理備品売上高と標記しております。
これらの結果、当事業年度の売上高は17,061,477千円(前期比7.3%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、研究開発活動の強化に伴い試験研究費で10,388千円、売上高の増加に伴い運賃及び荷造費で77,985千円等の増加により、3,976,694千円(前期比3.1%増)となりました。
営業外損益は、営業外収益では受取家賃が1,330千円減少したこと等により30,046千円(前期比13.8%減)となりました。営業外費用では、前期において発生した控除対象外消費税が当期において発生しなかったこと等により4,587千円(前期比37.2%減)となりました。
利益については、厨房全体の機器を請け負う一括案件の販売強化、製商品の入替促進強化、修理・保守点検による機器営業タイミングに関する情報収集の施策が軌道に乗り、また、2020年9月期より新型コロナウイルス感染症の拡大防止の取り組みによる影響によって繰越された一括案件が加わることにより、売上総利益は4,640,790千円(前期比7.4%増)、営業利益は664,095千円(前期比43.1%増)、経常利益は689,554千円(前期比40.3%増)、税引前当期純利益は671,632千円(前期比38.1%増)、当期純利益436,855千円(前期比31.5%増)となりました。
なお、当社は業務用厨房機器製造、仕入、販売及び保守修理事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
※一括案件:以下のいずれかに該当する案件 ・新築、改築工事等一式工事に伴う機器の購入 ・新築、改築工事等一式工事に伴う什器類(食器等)の購入 ・リニューアル物件で全面改修の機器更新
b.財政状態
財政状態は、総資産で前事業年度末に比べ193,344千円増加の12,532,560千円となりました。
資産の部は、受取手形及び売掛金で347,988千円減少したものの、現金及び預金で792,413千円増加となった結果、前事業年度末に比べ193,344千円増加しました。
負債の部は、流動負債で支払手形及び買掛金の減少等により11,470千円減少、また固定負債で長期借入金の返済等により116,459千円の減少となった結果、前事業年度末に比べ127,930千円減少の6,697,916千円となりました。
純資産の部は、当期純利益の計上等に伴い利益剰余金が増加したこと等により前事業年度末に比べ321,274千円増加の5,834,644千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前事業年度末に比べ792,413千円(前期比31.0%増)増加し、3,349,710千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ356,122千円増加し、1,034,798千円の収入(前年同期は678,676千円の収入)となりました。主な資金増加要因は、税引前当期純利益671,632千円、減価償却費115,605千円及び売上債権の減少額348,448千円であります。売上債権につきましては、当事業年度第3四半期までの売上累計の年間売上に占める割合が57.2%と前事業年度の56.8%よりも上昇したことにより、当事業年度末までに現金回収した売上債権が増加しております。主な資金減少要因は仕入債務の減少額117,928千円および法人税等の支払額167,521千円等であります。仕入債務につきましては、当事業年度第3四半期までの仕入累計の年間仕入に占める割合が、売上と同様に前事業年度の比率よりも上昇したことにより、当事業年度末までに現金支払した仕入債務が増加しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ41,076千円減少し、34,663千円の支出(前年同期は6,412千円の収入)となりました。主な資金減少要因は有形固定資産の除却費用として17,923千円、PFI事業におけるSPCへの出資金6,000千円等であります。主な資金増加要因は、PFI事業におけるSPCへの長期貸付金の回収額10,579千円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ9,600千円減少し、207,721千円の支出(前年同期は198,120千円の支出)なりました。主な資金減少要因は長期借入金の返済額84,000千円、配当金の支払額116,825千円等であります。
③ 生産、受注及び販売実績
生産実績は次のとおりであります。
生産高(千円)前年同期比(%)
2,828,007104.1

(注) 1.金額は、製造原価によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
商品仕入実績は次のとおりであります。
商品仕入高(千円)前年同期比(%)
8,778,937105.2

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
受注実績は次のとおりであります。
受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
16,034,478101.1967,74953.0

(注) 1.金額は販売金額で表示しております。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
販売実績は次のとおりであります。
販売高(千円)前年同期比(%)
17,061,477107.3

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.総販売実績の10%以上の主要顧客はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、決算日における資産・負債の決算数値及び偶発債務、収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」および「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりでありますが、財務諸表に重要な影響を与える可能性のある見積を含む会計方針は以下の通りであります。
a.たな卸資産の評価基準及び評価方法
当社は、製品・仕掛品・原材料及び商品並びに貯蔵品に係わる貸借対照表価額は、収益性の低下に基づく簿価切り下げの方法により算定しております。期末日以降における顧客の需要及び市況により収益性が見積以上に悪化した場合、評価損の追加計上が必要となる可能性があります。
b.貸倒引当金
当社は、債権の貸倒損失に備えるため一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。経済環境や取引先の経営環境の急激な悪化などに起因し、貸倒実績率を超える債権の貸倒れや回収遅延が生じた場合、評価損の追加計上が必要となる可能性があります。
c.退職給付費用及び債務
当社は、退職給付費用及び債務の計上において、将来の金利の動向・退職率・割引率等の一定の前提に基づいて計算しております。将来の不確実な経済条件の変動等により前提条件の見直しが必要となった場合、退職給付に係わる費用及び債務の追加計上が必要となる可能性があります。
d.繰延税金資産
当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産の回収可能性の判断に重要な影響を与える可能性があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等について
当事業年度の売上高は、前期比7.3%増の17,061,477千円、営業利益は同43.1%増の664,095千円、経常利益は同40.3%増の689,554千円、当期純利益は同31.5%増の436,855千円となりました。詳細につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.経営成績」に記載のとおりです。
b.当社の資本の財源及び資金の流動性について
当社は、中長期的に持続的な成長を図るため、生産能力の増強や労働生産性の向上、販売・物流体制の整備、研究開発体制への投資を計画しております。事業を成長・拡大させるための資金需要があるほか、必要に応じてM&A等を行う可能性もあります。当該資金は、営業活動で生み出される内部資金で賄うこととしておりますが、資金需要の大きさや時期、金融マーケットの状況によっては、自己資金以外の資金調達の方法を検討する場合もあります。
外部からの調達に関しましては、大型の設備投資資金は国内金融機関からの長期借入金を中心とした調達を行い、運転資金や小規模な設備資金は短期借入金で調達しております。迅速かつ効率的に調達を行うために、取引銀行と貸出コミットメント契約、当座貸越契約など総額43億円の借入枠を確保しており、資金の流動性は確保しております。また、M&Aや工場建物など大型の超長期資金需要に対しては、資本コスト、金利動向などを考慮し、新株発行や社債発行などの直接金融を検討する予定であります。
c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について
「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社では、人にやさしい、環境にやさしい新製品の開発ならびに付加価値を強化することにより、自社製品力およびブランド力を強化する経営戦略を推進しております。この達成状況を判断するための指標として、売上高、製品売上高、売上総利益、営業利益を重視しております。
当事業年度を含む過去3期の各指標の実績推移は以下のとおりです。当事業年度におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止による営業活動の滞りや顧客の厨房施設稼働率回復の遅れ等により計画していた売上高は未達となりましたが、新製品等の提案活動により自社製品売上高がほぼ計画どおりとなったことにより売上総利益の減少幅を抑えることができ、販売費および一般管理費の抑制も相まって営業利益は計画値を上回ることができました。
単位:千円
指標2019年9月期2020年9月期2021年9月期
売上高16,164,06915,902,29517,061,477
製品売上高4,097,7744,089,6904,842,096
売上総利益4,375,0364,320,4784,640,790
営業利益372,429464,106664,095