有価証券報告書-第4期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2020年4月1日から2021年3月31日)における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経済活動の停滞により、大変厳しい状況が続きました。一時的な経済回復の兆しとその後の新型コロナウイルス感染症の拡大による経済停滞を繰り返しており、国内経済は疲弊している状態であると言えます。
国内きのこ市場の状況は、外出自粛に伴う家庭での調理機会の増加や、健康意識の高まりを背景とした機能性食材の需要が拡大したことにより、きのこ消費量は堅調に推移いたしました。一方で、新型コロナウイルス感染拡大による消費者の小売店来店頻度の減少や、外食産業の落ち込みによる業務使用の減少、また秋口からは温暖な天候による野菜生産供給過多により、野菜市場は低調な単価推移になる等、これまで以上に先行きが見通しづらく、変動要素が多い環境となりました。
このような環境の中、当社グループは、中期経営計画に基づき、これまで長年培ってきた当社の生産技術・ノウハウ、販売力を活かし、プレミアムきのこ総合メーカーとしての基盤の確立を図っております。これに加え、まいたけを中心としたきのこが持つ健康機能性の開発と訴求により、安全・安心な製品を提供することを通じて消費者の健康に寄与し、健やかな社会の実現に貢献すべく事業展開を図ってまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、35,644百万円(前連結会計年度末に比べ444百万円増)となりました。流動資産は、10,202百万円(同842百万円減)となりました。これは主に、借入金の約定返済及び期限前返済により現金及び現金同等物が683百万円減少したことに加え、営業債権及びその他の債権が119百万円、公正価値変動による利得により生物資産が114百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。非流動資産は、25,441百万円(同1,287百万円増)となりました。これは主に、まいたけ増産に係る設備増強・更新等に伴って有形固定資産が1,321百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は、26,413百万円(同3,884百万円減)となりました。流動負債は、7,614百万円(同334百万円増)となりました。これは主に、未払法人所得税が244百万円、1年内返済予定の長期借入金が190百万円増加した一方、営業債務及びその他の債務が419百万円減少したこと等によるものであります。非流動負債は、18,798百万円(同4,218百万円減)となりました。これは主に、約定返済及び期限前返済により借入金が4,086百万円減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の資本合計は、9,230百万円(同4,329百万円増)となりました。これは主に、業績好調による当期利益を計上したこと等により利益剰余金が4,288百万円増加したことによるものであります。
b.経営成績
当連結会計年度の収益は51,380百万円(前期比1.2%増)、売上収益は34,543百万円(同0.1%増)、原油市場の低調推移による製造原価の低減等により営業利益は7,823百万円(同16.9%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は4,744百万円(同9.2%増)となりました。一方、上場関連費用等の一過性費用を除外した調整後の指標については、調整後営業利益8,090百万円(前期比17.3%増)、調整後EBITDA10,070百万円(同16.1%増)、調整後当期利益5,218百万円(同21.9%増)と、いずれも前年同期を大幅に上回る結果となりました。(「調整後営業利益」等の定義については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (参考情報)」を参照ください。)
なお、当社では、IFRS農業会計(IAS第41号)の適用に伴い、きのこ製品で構成される生物資産を売却費用控除後の公正価値で測定しており、当該公正価値の変動による利益又は損失が、連結損益計算書の「公正価値変動による利得」に含まれております。当連結会計年度においては、IAS第41号「農業」の適用に関する公正価値変動による利得が、収益に16,837百万円、売上原価に17,023百万円、それぞれ含まれております。
当連結会計年度における事業セグメント別の売上収益の状況は以下のとおりであります。
[茸事業]
(ⅰ) まいたけ
まいたけが持つ機能性を訴求するとともに、まいたけを気軽に食していただくため、「まい足し」として、メニュー提案を積極的に実施しております。また、まいたけの大株をカッティングして提供する強みを生かし、それぞれのニーズに合わせた量目での製品ラインアップを活かした製品戦略を展開いたしました。販売量は微増いたしましたが、販売単価は前年を下回りました。この結果、まいたけ事業は堅調に推移し、売上収益は19,966百万円(前期比0.9%増)となりました。
(ⅱ) エリンギ
生産品質の向上により安定した供給を実現したことに加え、消費者が手間をかけずにすぐに使える利便性の高いスライス製品を投入する等、製品ラインアップの拡充を図りました。販売量の微減はありましたが、販売単価は前年を上回りました。この結果、エリンギ事業の売上収益は3,419百万円(同0.2%減)となりました。
(ⅲ) ぶなしめじ
青果市況と市場の動向を注視しながら、需給バランスに応じて1株製品と2株製品といった量目が異なる製品を活用し柔軟な製品投入を実施いたしました。また、季節限定パッケージでの製品展開を活用し1株製品の拡充を図りました。販売量の微減はありましたが、販売単価は前年を上回りました。この結果、ぶなしめじ事業の売上収益は6,818百万円(同1.8%増)となりました。
(ⅳ) 茸その他
2019年10月に取得した株式会社三蔵農林のマッシュルームが売上の増加に寄与いたしました。当社の販売力を活かすことで、三蔵農林製品の販売網拡大にもつながりました。この結果、茸その他事業の売上収益は、3,791百万円(同39.7%増)となりました。
[その他]
その他事業の売上収益は、不採算事業であった2020年2月のカット野菜及び納豆事業終了の影響により、547百万円(同71.1%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ683百万円減少し、3,777百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(ⅰ) 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果獲得した資金は、8,204百万円(前期は4,891百万円の獲得)となりました。これは主に、税引前利益7,125百万円や減価償却費及び償却費1,979百万円、支払利息472百万円の計上があった一方、法人所得税の支払2,347百万円があったことによるものであります。
(ⅱ) 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、3,689百万円(前期は1,994百万円の使用)となりました。これは主に、まいたけ増産に係る設備増強・更新等に伴う有形固定資産の取得による支出3,726百万円等があったことによるものであります。
(ⅲ) 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は、5,198百万円(前期は5,053百万円の使用)となりました。これは主に、約定返済及び期限前返済の実施により長期借入金の返済による支出4,462百万円、配当金の支払554百万円等があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.生産実績は、販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。
2.その他セグメントは生産活動によらない事業を含むため記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループは主に見込み生産を行っており、当連結会計年度における受注実績の重要性が乏しいため記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.茸事業の「茸その他」の主な内訳は、マッシュルーム、本しめじ、はたけしめじとなります。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績については、連結売上収益10%以上に該当する販売先がないため、その記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(ⅰ) 資産
資産につきましては、当連結会計年度末(2021年3月31日時点)35,644百万円となり、前連結会計年度末に比べ444百万円増加いたしました。これは主に、借入金の約定返済及び期限前返済により現金及び現金同等物が683百万円減少した一方、まいたけ増産に係る設備増強・更新等に伴って有形固定資産が1,321百万円増加したこと等によるものであります。
(ⅱ) 負債
負債につきましては、当連結会計年度末26,413百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,884百万円減少いたしました。これは主に、未払法人所得税が244百万円が増加した一方、約定返済及び期限前返済により非流動負債の借入金が4,086百万円減少したこと等によるものであります。また、結果として当連結会計年度末時点のレバレッジ・レシオ(連結総有利子負債/直前12カ月の連結EBITDA)は1.9倍まで低下しております。
(ⅲ) 資本
資本につきましては、当連結会計年度末9,230百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,329百万円増加いたしました。これは主に、業績好調による当期利益を計上したこと等により利益剰余金が4,288百万円増加したことによるものであります。
経営成績の分析につきましては、前記「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」を参照ください。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、前記「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」を参照ください。
資本の財源及び資金の流動性に関する情報につきましては、当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。当社グループの主な資金の源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入金となります。
設備投資等の長期資金需要は、自己資金又は金融機関からの長期借入金等により賄い、運転資金等の短期資金需要は、主に自己資金により賄っております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、決算日における財政状態、報告期間における経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える見積り・予測を必要としております。当社グループは、過去の実績や状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき、継続してこの見積り・予測の評価を実施しております。なお、重要な会計上の見積りとした項目は「生物資産の測定」、「非金融資産の減損」及び「確定給付債務の測定」であり、見積りの詳細及び当該見積りに用いた仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎(5)見積り及び判断の利用」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載のとおりであります。
これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。
(参考情報)
当社グループは、経営成績の推移を把握するために、以下の算式により算定された調整後営業利益、調整後EBITDA及び調整後当期利益を重要な経営指標として位置づけております。旧雪国まいたけ③第2期以降の調整後営業利益、調整後EBITDA及び調整後当期利益の推移は以下のとおりであります。
(1) 調整後営業利益、調整後EBITDA
(単位:百万円)
(2) 調整後当期利益
(単位:百万円)
(注) 1.調整後営業利益(日本基準)=営業利益 + のれん償却費 + マネジメントフィー + 上場関連費用 + 非公開化関連費用
2.調整後営業利益(国際会計基準)=営業利益 + マネジメントフィー + 上場関連費用 + 合併に伴う不動産登記費用 - 割安購入益
3.調整後当期純利益(日本基準)=当期純利益 + のれん償却費 + マネジメントフィー + 上場関連費用 + 非公開化関連費用 + 合併に伴う不動産登記費用 + リファイナンス関連損益 + 調整項目の税金調整額
4.調整後当期利益(国際会計基準)=当期利益+ マネジメントフィー + 上場関連費用 - 割安購入益 + 合併に伴う不動産登記費用 + リファイナンス関連損益+ 調整項目の税金調整額
5.Bain Capital Private Equity, LP及び株式会社神明ホールディングスとのマネジメント契約に基づく報酬であります。
6.上場準備アドバイザリー費用、上場のための組織体制構築に関する費用、上場のための国際会計基準導入及び適時開示体制構築に関する費用等の上場関連の一時的な費用であります。
7.当社非公開化に関するアドバイザリー費用、再上場に向けた準備に係る費用等の非公開化に関連して一時的に発生した費用であります。
8.瑞穂農林株式会社の株式取得において、識別可能な純資産の公正価値合計が移転した対価を上回ったことにより発生した割安購入益であります。
9.2018年1月1日に旧雪国まいたけ④が旧雪国まいたけ③を吸収合併したことに伴う不動産登記費用であります。
10.2020年4月1日に旧雪国まいたけホールディングス②が旧雪国まいたけ④を吸収合併したことに伴う不動産登記費用であります。
11.当社非公開化後に実施したリファイナンスに関連して一時的に発生したアドバイザリー費用等であります。なお、調整後当期利益(国際会計基準)の計算においては、同リファイナンスに伴う契約金利の低下によって発生した一時的な利得とそれに連動して発生する残存契約期間における支払利息の増加額を相殺しております。
12.調整後営業利益、調整後EBITDA及び調整後当期利益は国際会計基準により規定された指標ではなく、投資家が当社の業績を評価する上で、当社が有用と考える財務指標であります。調整後営業利益、調整後EBITDA及び調整後当期利益は、上場後には発生しないと見込まれるマネジメントフィー及び上場関連費用、非公開化関連費用及びリファイナンス関連損益や、割安購入益等の非経常的損益項目(通常の営業活動の結果を示していると考えられない項目、あるいは競合他社に対する当社の業績を適切に示さない項目)の影響を除外しております。なお、調整後営業利益、調整後EBITDA及び調整後当期利益に影響を及ぼす項目の一部を除外しており、分析手段としては重要な制限があることから、国際会計基準に準拠して表示された他の指標の代替的指標として考慮されるべきではありません。当社における調整後営業利益、調整後EBITDA及び調整後当期利益は、同業他社の同指標あるいは類似の指標とは算定方法が異なるために、他社における指標とは比較可能でない場合があり、その結果、有用性が減少する可能性があります。
13.1株当たり調整後当期利益=調整後当期利益÷期中平均株式数
14.当社は、2020年7月30日付で普通株式1株につき100株の割合で株式分割を実施しております。1株当たり調整後当期利益につきましては、第2期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、当該株式分割後の発行済株式数により算定しております。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2020年4月1日から2021年3月31日)における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経済活動の停滞により、大変厳しい状況が続きました。一時的な経済回復の兆しとその後の新型コロナウイルス感染症の拡大による経済停滞を繰り返しており、国内経済は疲弊している状態であると言えます。
国内きのこ市場の状況は、外出自粛に伴う家庭での調理機会の増加や、健康意識の高まりを背景とした機能性食材の需要が拡大したことにより、きのこ消費量は堅調に推移いたしました。一方で、新型コロナウイルス感染拡大による消費者の小売店来店頻度の減少や、外食産業の落ち込みによる業務使用の減少、また秋口からは温暖な天候による野菜生産供給過多により、野菜市場は低調な単価推移になる等、これまで以上に先行きが見通しづらく、変動要素が多い環境となりました。
このような環境の中、当社グループは、中期経営計画に基づき、これまで長年培ってきた当社の生産技術・ノウハウ、販売力を活かし、プレミアムきのこ総合メーカーとしての基盤の確立を図っております。これに加え、まいたけを中心としたきのこが持つ健康機能性の開発と訴求により、安全・安心な製品を提供することを通じて消費者の健康に寄与し、健やかな社会の実現に貢献すべく事業展開を図ってまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、35,644百万円(前連結会計年度末に比べ444百万円増)となりました。流動資産は、10,202百万円(同842百万円減)となりました。これは主に、借入金の約定返済及び期限前返済により現金及び現金同等物が683百万円減少したことに加え、営業債権及びその他の債権が119百万円、公正価値変動による利得により生物資産が114百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。非流動資産は、25,441百万円(同1,287百万円増)となりました。これは主に、まいたけ増産に係る設備増強・更新等に伴って有形固定資産が1,321百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は、26,413百万円(同3,884百万円減)となりました。流動負債は、7,614百万円(同334百万円増)となりました。これは主に、未払法人所得税が244百万円、1年内返済予定の長期借入金が190百万円増加した一方、営業債務及びその他の債務が419百万円減少したこと等によるものであります。非流動負債は、18,798百万円(同4,218百万円減)となりました。これは主に、約定返済及び期限前返済により借入金が4,086百万円減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の資本合計は、9,230百万円(同4,329百万円増)となりました。これは主に、業績好調による当期利益を計上したこと等により利益剰余金が4,288百万円増加したことによるものであります。
b.経営成績
当連結会計年度の収益は51,380百万円(前期比1.2%増)、売上収益は34,543百万円(同0.1%増)、原油市場の低調推移による製造原価の低減等により営業利益は7,823百万円(同16.9%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は4,744百万円(同9.2%増)となりました。一方、上場関連費用等の一過性費用を除外した調整後の指標については、調整後営業利益8,090百万円(前期比17.3%増)、調整後EBITDA10,070百万円(同16.1%増)、調整後当期利益5,218百万円(同21.9%増)と、いずれも前年同期を大幅に上回る結果となりました。(「調整後営業利益」等の定義については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (参考情報)」を参照ください。)
なお、当社では、IFRS農業会計(IAS第41号)の適用に伴い、きのこ製品で構成される生物資産を売却費用控除後の公正価値で測定しており、当該公正価値の変動による利益又は損失が、連結損益計算書の「公正価値変動による利得」に含まれております。当連結会計年度においては、IAS第41号「農業」の適用に関する公正価値変動による利得が、収益に16,837百万円、売上原価に17,023百万円、それぞれ含まれております。
当連結会計年度における事業セグメント別の売上収益の状況は以下のとおりであります。
[茸事業]
(ⅰ) まいたけ
まいたけが持つ機能性を訴求するとともに、まいたけを気軽に食していただくため、「まい足し」として、メニュー提案を積極的に実施しております。また、まいたけの大株をカッティングして提供する強みを生かし、それぞれのニーズに合わせた量目での製品ラインアップを活かした製品戦略を展開いたしました。販売量は微増いたしましたが、販売単価は前年を下回りました。この結果、まいたけ事業は堅調に推移し、売上収益は19,966百万円(前期比0.9%増)となりました。
(ⅱ) エリンギ
生産品質の向上により安定した供給を実現したことに加え、消費者が手間をかけずにすぐに使える利便性の高いスライス製品を投入する等、製品ラインアップの拡充を図りました。販売量の微減はありましたが、販売単価は前年を上回りました。この結果、エリンギ事業の売上収益は3,419百万円(同0.2%減)となりました。
(ⅲ) ぶなしめじ
青果市況と市場の動向を注視しながら、需給バランスに応じて1株製品と2株製品といった量目が異なる製品を活用し柔軟な製品投入を実施いたしました。また、季節限定パッケージでの製品展開を活用し1株製品の拡充を図りました。販売量の微減はありましたが、販売単価は前年を上回りました。この結果、ぶなしめじ事業の売上収益は6,818百万円(同1.8%増)となりました。
(ⅳ) 茸その他
2019年10月に取得した株式会社三蔵農林のマッシュルームが売上の増加に寄与いたしました。当社の販売力を活かすことで、三蔵農林製品の販売網拡大にもつながりました。この結果、茸その他事業の売上収益は、3,791百万円(同39.7%増)となりました。
[その他]
その他事業の売上収益は、不採算事業であった2020年2月のカット野菜及び納豆事業終了の影響により、547百万円(同71.1%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ683百万円減少し、3,777百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(ⅰ) 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果獲得した資金は、8,204百万円(前期は4,891百万円の獲得)となりました。これは主に、税引前利益7,125百万円や減価償却費及び償却費1,979百万円、支払利息472百万円の計上があった一方、法人所得税の支払2,347百万円があったことによるものであります。
(ⅱ) 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、3,689百万円(前期は1,994百万円の使用)となりました。これは主に、まいたけ増産に係る設備増強・更新等に伴う有形固定資産の取得による支出3,726百万円等があったことによるものであります。
(ⅲ) 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は、5,198百万円(前期は5,053百万円の使用)となりました。これは主に、約定返済及び期限前返済の実施により長期借入金の返済による支出4,462百万円、配当金の支払554百万円等があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
茸事業(百万円) | 42,297 | 100.2 |
その他(百万円) | - | - |
合計(百万円) | 42,297 | 100.2 |
(注) 1.生産実績は、販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。
2.その他セグメントは生産活動によらない事業を含むため記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループは主に見込み生産を行っており、当連結会計年度における受注実績の重要性が乏しいため記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) | |
茸事業 | まいたけ(百万円) | 19,966 | 0.9 |
エリンギ(百万円) | 3,419 | △0.2 | |
ぶなしめじ(百万円) | 6,818 | 1.8 | |
茸その他(百万円) | 3,791 | 39.7 | |
その他(百万円) | 547 | △71.1 | |
合計(百万円) | 34,543 | 0.1 |
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.茸事業の「茸その他」の主な内訳は、マッシュルーム、本しめじ、はたけしめじとなります。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績については、連結売上収益10%以上に該当する販売先がないため、その記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(ⅰ) 資産
資産につきましては、当連結会計年度末(2021年3月31日時点)35,644百万円となり、前連結会計年度末に比べ444百万円増加いたしました。これは主に、借入金の約定返済及び期限前返済により現金及び現金同等物が683百万円減少した一方、まいたけ増産に係る設備増強・更新等に伴って有形固定資産が1,321百万円増加したこと等によるものであります。
(ⅱ) 負債
負債につきましては、当連結会計年度末26,413百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,884百万円減少いたしました。これは主に、未払法人所得税が244百万円が増加した一方、約定返済及び期限前返済により非流動負債の借入金が4,086百万円減少したこと等によるものであります。また、結果として当連結会計年度末時点のレバレッジ・レシオ(連結総有利子負債/直前12カ月の連結EBITDA)は1.9倍まで低下しております。
(ⅲ) 資本
資本につきましては、当連結会計年度末9,230百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,329百万円増加いたしました。これは主に、業績好調による当期利益を計上したこと等により利益剰余金が4,288百万円増加したことによるものであります。
経営成績の分析につきましては、前記「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」を参照ください。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、前記「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」を参照ください。
資本の財源及び資金の流動性に関する情報につきましては、当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。当社グループの主な資金の源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入金となります。
設備投資等の長期資金需要は、自己資金又は金融機関からの長期借入金等により賄い、運転資金等の短期資金需要は、主に自己資金により賄っております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、決算日における財政状態、報告期間における経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える見積り・予測を必要としております。当社グループは、過去の実績や状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき、継続してこの見積り・予測の評価を実施しております。なお、重要な会計上の見積りとした項目は「生物資産の測定」、「非金融資産の減損」及び「確定給付債務の測定」であり、見積りの詳細及び当該見積りに用いた仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎(5)見積り及び判断の利用」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載のとおりであります。
これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。
(参考情報)
当社グループは、経営成績の推移を把握するために、以下の算式により算定された調整後営業利益、調整後EBITDA及び調整後当期利益を重要な経営指標として位置づけております。旧雪国まいたけ③第2期以降の調整後営業利益、調整後EBITDA及び調整後当期利益の推移は以下のとおりであります。
(1) 調整後営業利益、調整後EBITDA
(単位:百万円)
回次 | 日本基準 | ||
旧雪国まいたけ③ | 旧雪国まいたけ④ | ||
第2期 | 第3期 | 第1期 | |
決算期 | 2017年3月期 | 2017年12月期 | 2018年3月期 |
開始・終了年月 | 2016年4月~ 2017年3月 | 2017年4月~ 2017年12月 | 2018年1月~ 2018年3月 |
営業利益 | 3,190 | 2,710 | 1,028 |
(調整額) +のれん償却費 +マネジメントフィー(注)5 +上場関連費用(注)6 +非公開化関連費用(注)7 | 302 110 - △36 | 226 80 4 - | 377 27 50 - |
調整額小計 | 376 | 312 | 455 |
調整後営業利益(注)1 | 3,566 | 3,022 | 1,484 |
(調整額) +減価償却費及び償却費 | 1,460 | 1,039 | 342 |
調整後EBITDA | 5,027 | 4,062 | 1,827 |
(単位:百万円) |
回次 | 国際会計基準 | ||
当社 | |||
第2期 | 第3期 | 第4期 | |
決算期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 |
営業利益 | 6,491 | 6,691 | 7,823 |
(調整額) | |||
+マネジメントフィー(注)5 | 103 | 102 | 48 |
+上場関連費用(注)6 | 69 | 106 | 157 |
+合併に伴う不動産登記費用(注)10 | - | - | 61 |
-割安購入益(注)8 | △314 | - | - |
調整額小計 | △141 | 208 | 267 |
調整後営業利益(注)2 | 6,349 | 6,899 | 8,090 |
(調整額) +減価償却費及び償却費 | 1,663 | 1,772 | 1,979 |
調整後EBITDA | 8,013 | 8,672 | 10,070 |
(2) 調整後当期利益
(単位:百万円)
回次 | 日本基準 | ||
旧雪国まいたけ③ | 旧雪国まいたけ④ | ||
第2期 | 第3期 | 第1期 | |
決算年月 | 2017年3月 | 2017年12月 | 2018年3月 |
開始・終了年月 | 2016年4月~ 2017年3月 | 2017年4月~ 2017年12月 | 2018年1月~ 2018年3月 |
当期純利益 | 831 | 725 | 927 |
(調整額) +のれん償却費 +マネジメントフィー(注)5 +上場関連費用(注)6 +非公開化関連費用(注)7 +合併に伴う不動産登記費用(注)9 +リファイナンス関連損益(注)11 | 302 110 - △36 - - | 226 80 4 - - 239 | 377 27 50 - 65 - |
調整額小計 (税金調整前) | 376 | 551 | 521 |
調整項目の税金調整額 (適用税率) | △25 (34.31%) | △111 (34.31%) | △49 (34.31%) |
調整額小計 (税金調整後) | 350 | 440 | 472 |
調整後当期純利益(注)3 | 1,182 | 1,165 | 1,399 |
回次 | 国際会計基準 | ||
当社 | |||
第2期 | 第3期 | 第4期 | |
決算年月 | 2019年3月 | 2020年3月 | 2021年3月 |
当期利益(百万円) | 4,378 | 4,344 | 4,740 |
(調整額) | |||
+マネジメントフィー(百万円)(注)5 | 103 | 102 | 48 |
+上場関連費用(百万円)(注)6 | 69 | 106 | 157 |
-割安購入益(百万円)(注)8 | △314 | - | - |
+合併に伴う不動産登記費用(百万円)(注)10 | - | - | 61 |
+リファイナンス関連損益(百万円)(注)11 | △485 | △302 | 459 |
調整額小計(税金調整前)(百万円) | △627 | △94 | 727 |
調整項目の税金調整額(百万円) | 106 | 32 | △249 |
(適用税率) | (34.26%) | (34.26%) | (34.26%) |
調整額小計(税金調整後)(百万円) | △520 | △62 | 478 |
調整後当期利益(百万円)(注)4 | 3,858 | 4,282 | 5,218 |
1株当たり調整後当期利益(円)(注)13、14 | 96.82 | 107.46 | 130.93 |
(注) 1.調整後営業利益(日本基準)=営業利益 + のれん償却費 + マネジメントフィー + 上場関連費用 + 非公開化関連費用
2.調整後営業利益(国際会計基準)=営業利益 + マネジメントフィー + 上場関連費用 + 合併に伴う不動産登記費用 - 割安購入益
3.調整後当期純利益(日本基準)=当期純利益 + のれん償却費 + マネジメントフィー + 上場関連費用 + 非公開化関連費用 + 合併に伴う不動産登記費用 + リファイナンス関連損益 + 調整項目の税金調整額
4.調整後当期利益(国際会計基準)=当期利益+ マネジメントフィー + 上場関連費用 - 割安購入益 + 合併に伴う不動産登記費用 + リファイナンス関連損益+ 調整項目の税金調整額
5.Bain Capital Private Equity, LP及び株式会社神明ホールディングスとのマネジメント契約に基づく報酬であります。
6.上場準備アドバイザリー費用、上場のための組織体制構築に関する費用、上場のための国際会計基準導入及び適時開示体制構築に関する費用等の上場関連の一時的な費用であります。
7.当社非公開化に関するアドバイザリー費用、再上場に向けた準備に係る費用等の非公開化に関連して一時的に発生した費用であります。
8.瑞穂農林株式会社の株式取得において、識別可能な純資産の公正価値合計が移転した対価を上回ったことにより発生した割安購入益であります。
9.2018年1月1日に旧雪国まいたけ④が旧雪国まいたけ③を吸収合併したことに伴う不動産登記費用であります。
10.2020年4月1日に旧雪国まいたけホールディングス②が旧雪国まいたけ④を吸収合併したことに伴う不動産登記費用であります。
11.当社非公開化後に実施したリファイナンスに関連して一時的に発生したアドバイザリー費用等であります。なお、調整後当期利益(国際会計基準)の計算においては、同リファイナンスに伴う契約金利の低下によって発生した一時的な利得とそれに連動して発生する残存契約期間における支払利息の増加額を相殺しております。
12.調整後営業利益、調整後EBITDA及び調整後当期利益は国際会計基準により規定された指標ではなく、投資家が当社の業績を評価する上で、当社が有用と考える財務指標であります。調整後営業利益、調整後EBITDA及び調整後当期利益は、上場後には発生しないと見込まれるマネジメントフィー及び上場関連費用、非公開化関連費用及びリファイナンス関連損益や、割安購入益等の非経常的損益項目(通常の営業活動の結果を示していると考えられない項目、あるいは競合他社に対する当社の業績を適切に示さない項目)の影響を除外しております。なお、調整後営業利益、調整後EBITDA及び調整後当期利益に影響を及ぼす項目の一部を除外しており、分析手段としては重要な制限があることから、国際会計基準に準拠して表示された他の指標の代替的指標として考慮されるべきではありません。当社における調整後営業利益、調整後EBITDA及び調整後当期利益は、同業他社の同指標あるいは類似の指標とは算定方法が異なるために、他社における指標とは比較可能でない場合があり、その結果、有用性が減少する可能性があります。
13.1株当たり調整後当期利益=調整後当期利益÷期中平均株式数
14.当社は、2020年7月30日付で普通株式1株につき100株の割合で株式分割を実施しております。1株当たり調整後当期利益につきましては、第2期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、当該株式分割後の発行済株式数により算定しております。