訂正有価証券報告書-第111期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/11/26 9:19
【資料】
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【項目】
124項目

研究開発活動

各セグメントでは、常に現行商品の改良・改善に努めていますが、これに加え、お客様のご要望を先取りした次期商品の開発、及び事業の基盤となる製造プロセス技術、設備技術の改善・改良を進めました。また、グループ全体として有望な新規商品については、社内インキュベーションセンターによって、開発、事業化を加速させました。更に、近未来を見据えた新しいコンセプトの商品や革新的新技術に関する基礎研究については、大学等との接触機会を増やし、独自の技術系ファンドである「DOWAテクノファンド」による共同研究をより積極的に実施することによって、社外の最先端技術導入を図りました。これらの研究開発活動により、現在から近未来に渡る広範囲のフェイズにおける「技術立社」を推進しています。
当連結会計年度における研究開発費の総額は4,078百万円です。
なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ② 連結損益計算書」の当連結会計年度における「開発研究費」は4,651百万円ですが、これには研究開発費のほか、新鉱床探鉱費等573百万円が含まれています。
各セグメントの研究開発活動、主な成果及び研究開発費は次のとおりです。
環境・リサイクル部門
環境リサイクル事業の競争力強化に向けて、環境技術研究所が関連事業所と連携して「リサイクル技術の開発」「廃棄物処理技術の開発」「土壌・地下水汚染の浄化技術開発」等に取り組みました。具体的活動と主な成果とし ては、次のようなものが挙げられます。
リサイクル技術では、レアアース研磨剤リサイクルの事業化や、レアメタル等の高度選別、小型家電リサイクル技術開発を行っています。
廃棄物処理技術では、有害廃棄物の管理技術向上とともに、低濃度PCB廃棄物処理事業の準備に取り組みました。
土壌・地下水汚染の浄化技術では、原位置浄化技術の高度化をすすめました。関連技術応用技術として放射性セシウム回収技術の開発に成功しています。
また、将来事業の探索として、グリーンビジネスの可能性についての事業面、技術面での検討を行っています。
なお、当部門における研究開発費は378百万円です。
製錬部門
当年度は各工場に分散していた研究要員を製錬技術研究所に統合して、研究開発の効率化及びスピードアップを図りました。特に電力費高騰、レアメタルの安定供給という課題に対しては経済産業省の技術開発事業に応募し、「省エネルギー製錬技術の開発」と「難処理原料からのレアメタル回収技術の開発」に採用されました。
4年間の長期的な委託試験ですが、1年目の活動において充分な成果を挙げられました。
「環境負荷物質の安定化技術の開発」では、添加剤の変更により、大幅にコスト低減できる可能性を見出し、次年度に向けた基礎固めができています。
「亜鉛電解における省電力電極の試験」に関しては実機規模の試験に着手し、効果の確認ができましたが、新たに見えてきた問題点もあり、引き続き工夫を重ねている段階です。
また、第3四半期から「硫酸殿物からのHg/Seの分離」に着手し、技術的な分離の目処がつきました。ユーザーワークを経て実機に導入できるように精力的に取り組んでいる最中です。
なお、当部門における研究開発費は318百万円です。
電子材料部門
グローバルな競争、流動的な経済情勢の中で、更に成長・発展し、変化に対応するために技術力強化とトップ商品の拡充を目的として、足元並びに将来の市場動向を見据えた戦略的な研究開発に取り組みました。
具体的には、半導体材料研究所、電子材料研究所、機能材料研究所並びに各事業所の技術開発部門において、化合物半導体、オプトデバイス、導電性材料、磁性材料、各種機能性粉体などで、新たな市場開拓・用途展開を見据えての新製品の開発・現行製品の品質改善・生産性の向上に取り組みました。
民生、医療などの幅広い分野で期待される深紫外LED、再生可能エネルギー関連の電極材料に使用される導電粉は引き続き重点テーマとして取り組んでいます。また、次々世代に向けた超高密度磁気記録テープ用途での新規磁性粉、新たな分野・用途開発として接合ペースト用途での金属ナノ粒子、燃料電池用材料の開発にも重点的に取り組んでいます。
主な成果として、銀粉代替金属粉は市場への参入に目処が立ち、次世代超高密度磁気記録テープ用途での新規磁性粉も本格的に市場参入を果たしました。銀ナノインクはプリンテッド・エレクトロニクス市場への参入を果たし、更なる販路拡大・用途開発を進めるなど、今後の収益への貢献が期待されます。
なお、当部門における研究開発費は2,570百万円です。
金属加工部門
車載用標準材であるNB-109、NB-105といった銅合金の板形状改善、1GPaを超える強度と曲げ加工性を両立したYCuT-FXシリーズのプロセス技術向上、車載向け端子用銅合金及びめっき技術の開発、伸銅品の材料製造プロセス技術向上による製品歩留の向上と特性の安定化、エコカー向け貴金属めっきの特性向上及び部分めっきの高精度・高効率化、金属セラミックス接合基板の信頼性・生産性向上、新エネルギー、鉄道やエコカー向けの新構造基板の製造プロセス開発と生産性向上などに取り組んでいます。
なお、当部門における研究開発費は479百万円です。
熱処理部門
顧客ニーズを的確に捉えた新商品開発を目指し、既存技術と要素技術を融合させた新たな次世代商品を顧客と一緒に創出することで、熱処理・工業炉両事業部に貢献するとともに、世界No.1の熱処理メーカーをめざして商品開発に取り組みました。
主な成果として、工業炉事業分野においては、顧客の環境変化を的確に捉え、今後益々加速する海外現地化や生産規模が縮小する国内生産に対応し、小規模かつ低コストな新型連続炉の開発を進めました。パイロット設備での実証試験の結果をフィードバックした量産実証炉を製作し、実証試験をおこないます。また、小ロットで汎用性のある真空浸炭や真空焼結向け小規模真空熱処理設備の開発では、パイロット機を平成26年10月までに完成させ、要素技術の開発に着手します。
熱処理事業分野では、自動車部品の高強度化を目的として開発した新窒化工法ハーデルナイト(商標)について、国内熱処理工場及び海外熱処理工場へ新型専用窒化炉を導入し、量産を軌道に乗せることができました。平成26年度は開発テーマアップし新工法のレベルアップを行います。また顧客の海外工場での量産に向けて立上げ支援を行うとともに、自動車以外の他分野も含め新窒化工法(ハーデルナイト)の更なる市場開拓を目指します
また、摺動部品や電子材、生体材など多岐用途への適用を目指しているDLC膜開発では、低温プロセスとSi含有の2つのDLC膜で顧客部品の試作処理をおこない良好な結果を得ました。平成26年度は量産化試験を実施し商品化と適用拡大を進めます。この他、既存設備のQCDES改善技術開発も継続的に行っており、両事業部門の売上拡大に寄与するとともに顧客とのパートナーシップ強化に貢献しました。
なお、当部門における研究開発費は330百万円です。