有価証券報告書-第73期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調が継続しておりましたが、米中間での貿易摩擦の長期化や消費税増税後の個人消費の落ち込みに加え、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う実体経済への影響懸念により、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
建設業界におきましては、政府建設投資は引き続き高水準で推移し、民間建設投資は国内設備投資が増加傾向で推移するなど、良好な受注環境が続きました。また、当連結会計年度末には新型コロナウイルス感染拡大による経済活動への影響がありましたが、当連結会計年度における建設市場への影響は比較的軽微なものでありました。
このような状況のもと、当社グループの経営成績は以下のとおりとなりました。
a.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高につきましては、当社グループ全体において主力の斜面・法面対策工事の施工が高水準で推移したことにより、1,062億1千万円(前期比3.3%増)となりました。
利益面につきましては、建築工事は採算性が低下した一方で、土木工事の売上高が増加したことに加え、採算性も向上したことにより、売上総利益は201億4千万円(前期比3.7%増)となりました。
営業利益につきましては、販売費及び一般管理費が増加しましたが、売上総利益の増加が上回ったことにより、98億7千4百万円(前期比1.8%増)となりました。
また、経常利益につきましては、為替差損や持分法による投資損失の計上による営業外費用の増加により、95億8千2百万円(前期比5.4%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、70億6千6百万円(前期比8.5%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
「建設事業」
建設事業の受注高は、1,018億4千2百万円(前期比2.9%減)、売上高は1,056億2千1百万円(前期比3.4%増)となりました。
また、主な工事種目別の状況は下記のとおりであります。
① 斜面・法面対策工事
受注高は、近年頻発化している台風や豪雨などの自然災害による復旧関連工事が増加したことにより、396億2千4百万円(前期比4.8%増)となりました。
売上高は、西日本豪雨や北海道胆振東部地震などの復旧関連工事の売上の増加やグループ会社も含め施工の進捗が大幅に改善したことにより、407億7千2百万円(前期比11.9%増)となりました。
② 基礎・地盤改良工事
受注高は、米国連結子会社の地盤改良工事は増加したものの、当社において空港及び港湾分野の液状化対策工事が減少したことにより、366億1千4百万円(前期比2.5%減)となりました。
売上高は、首都圏における道路分野及び空港・港湾分野の耐震対策工事の売上が減少したことにより、341億8千4百万円(前期比3.3%減)となりました。
③ 補修・補強工事
受注高は、NEXCO発注の大型橋梁補修工事を受注したことにより、38億1千9百万円(前期比16.5%増)となりました。
売上高は、橋梁やトンネルの補修・補強工事の売上が増加したことにより、36億6千5百万円(前期比17.9%増)となりました。
④ 環境修復工事
受注高は、民間発注の大型土壌汚染対策工事が減少したことにより、13億8千4百万円(前期比38.0%減)となりました。
売上高は、前期以前に受注した民間発注の土壌汚染対策工事の売上が増加したことにより、31億9千4百万円(前期比21.6%増)となりました。
⑤ 建築工事
受注高は、首都圏におけるマンション建築工事の受注が減少したことにより、143億9千9百万円(前期比3.1%減)となりました。
売上高は、首都圏におけるマンション建築工事の施工が順調に進捗したことにより売上が増加したものの、連結子会社において売上が減少したことにより、150億2千1百万円(前期比3.4%減)となりました。
⑥ 一般土木・その他工事
受注高は、東北地方の連結子会社において東日本大震災の復興工事が減少したことにより、60億円(前期比34.5%減)となりました。
売上高は、連結子会社において一般土木工事の売上が減少したことにより、87億8千2百万円(前期比3.0%減)となりました。
「その他」
その他の売上高は、5億8千8百万円(前期比15.8%減)となりました。
なお、「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、商品・資材販売事業、リース事業及び訪問介護事業等を含んでおります。事業の性質上、受注生産は行っておりません。
b.財政状態
当連結会計年度の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ43億5千6百万円増加し、1,011億1百万円となりました。負債につきましては、前連結会計年度末に比べ11億1千1百万円減少し、328億8千6百万円となりました。その結果、純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ54億6千7百万円増加し、682億1千5百万円となりました。
c.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金預金同等物は、株主配当金の支払いによる支出及び関係会社株式の取得による支出があったものの、有価証券の償還による収入により、前連結会計年度に比べ7億6千5百万円増加し、227億5千8百万円となりました。
(2)生産、受注及び販売の実績
a.受注実績
(注)当社グループでは、建設事業以外は受注生産を行っておりません。
b.売上実績
(注)1 セグメント間での取引については相殺消去しております。
(注)2 当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。
なお、参考のため提出会社単独の事業の状況は次のとおりであります。
建設事業における受注工事高及び施工高の状況
① 受注工事高、完成工事高、繰越工事高及び施工高
(注)1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含みます。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。
2 次期繰越工事高の施工高は、手持工事高の工事進捗部分であります。
3 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)に一致しております。
4 前期繰越工事高は、期中に工種の変更が生じた場合、工種分類を組替えております。したがって、総額に変更はありませんが、前期末時点の内訳と異なる場合があります。
② 受注工事高の受注方法別比率
工事受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
③ 売上高
(注)1 官公庁には、当社が建設業者から下請として受注したものを含みます。
2 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度 請負金額 200百万円以上の主なもの。
当事業年度 請負金額 300百万円以上の主なもの。
④ 手持工事高(2020年3月31日現在)
(注)1 官公庁には、当社が建設業者から下請として受注したものを含みます。
2 手持工事の内請負金額400百万円以上の主なものは、次のとおりであります。
(3)経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、特に以下の会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。その他の重要な会計方針は、連結財務諸表注記の「4.会計方針に関する事項」に記載しております。
また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が与える会計上の見積りについては、連結財務諸表注記の「追加情報」に記載しております。
売上高は、建設事業について、当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準(工事の進捗の見積りは原価比例法)を、その他の工事については工事完成基準を適用しております。工事進行基準については社内で基準を定めており、適切な実行予算を組み、売上計上を行うよう指導、モニタリングを行っております。商品・資材販売については、出荷した時点にて計上しております。
次に引当金について、貸倒引当金は、売上債権、貸付金等の損失に備えて一般債権は貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については回収不能見込額を計上しており、取引先の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。完成工事補償引当金は、過去の実績率に基づき将来の見積補償額を算定し計上しております。工事損失引当金は、合理的に見積もることの出来る工事について損失見込額を計上しております。退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定された前提条件に基づいて算定されております。実際の結果が前提条件と異なる場合は、将来期間において認識される債務及び計上される費用に影響を及ぼします。
投資の減損は、期末における時価が取得価額に比べ50%以上下落した場合はすべて減損処理を行い、30%~50%程度下落した場合には、金額の重要性、回復可能性等を考慮して必要な額を減損処理しております。
b.経営成績及び経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社を取り巻く事業環境は、短期的には政府による経済対策や防災・減災対策、大阪・関西万博開催に向けたインフラ整備の需要などを背景に良好な事業環境が維持されると予想をしております。しかしながら、中長期的には財政的な制約や人口の減少を背景として国内建設市場は縮小傾向で推移するものと予想をしております。
このような環境認識のもと、当社グループは2019年5月10日に2019年度を初年度とする中期経営計画「Raito2021」を発表し、『持続的成長に向けた企業力の向上』の基本方針のもと、①技術開発の促進と市場展開の強化、②価値創出のための効率的経営の推進、③資本コストを意識した成長投資の実行に取り組んでおります。
中期経営計画最終年度の2021年度の経営数値につきましては、連結売上高1,100億円、連結営業利益105億円、ROE10.0%以上、配当性向30%以上を目標としております。
また、新型コロナウイルス感染症による2020年度の当社グループの業績に与える影響につきましては、限定的であると想定をしておりますが、同感染症が再拡大し、想定を超える影響があった場合には、工事の中断が発生し、工期遅延に伴う売上高の減少と工事採算の悪化のほか、主に民間発注工事において外部環境の変化による受注高の減少に伴う売上高の減少が懸念されます。
なお、中期経営計画最終年度にあたる2021年度の同感染症による影響につきましては、現時点では先行きが不透明なため、中期経営計画「Raito2021」の見直しは行っておりません。
当連結会計年度の経営成績につきましては、新型コロナウイルス感染拡大の業績への影響は軽微であり、売上高は1,062億円(前期比3.3%増)で過去最高の売上高を更新しました。増収の要因といたしましては、良好な受注環境により豊富な手持ち工事を抱えていたことに加え、当社グループ全体で施工効率の向上に取り組んだ結果、当期初から施工高が増加基調で推移したことが主要因です。特に、当社グループの主力工事の一つである斜面・法面対策工事は、年度を通じて施工が高水準で進捗し全体を牽引しました。今後も引き続き、施工効率の向上の取り組みを推進し、加えて中期経営計画に掲げる専業土木事業・建築事業・海外事業の事業強化戦略を着実に実行することで中期経営計画の売上高目標値1,100億円の達成を目指してまいります。
営業利益につきましては、98億円(前期比1.8%増)となり過去最高益を更新いたしました。増益の要因といたしましては、販売費及び一般管理費は増加したものの、売上高の増加と工事採算性の向上により売上高総利益が増加したことによります。当社の工事採算性につきましては、建築工事の採算性が低下したため前期比で低下いたしましたが、グループ会社の経営強化戦略が奏功しグループ会社の採算性の向上が全体を押し上げ、当社グループ全体としての工事採算性は前期比で向上いたしました。また、販売費及び一般管理費が増加した要因といたしましては、人件費や研究開発費の増加に加え、労働環境の整備に伴う費用など一過性による支出があったことによります。中期経営計画の営業利益目標値105億円の達成に向けては、売上高の増加に加え、更なる工事採算性の向上と適正な固定費の配分に努めてまいります。
ROEにつきましては、10.8%となりました。財務の安定性を確保しつつ、収益性と資産効率性の更なる向上を追求し、中期経営計画最終年度の10.0%以上の達成を目指します。
配当性向につきましては、30.1%となりました。当社グループでは、安定的な配当の維持を基本に、業績と経営環境を勘案して決定することを基本方針としております。今後も配当の基本方針は堅持しつつ、内部留保金につきましては、持続的な成長と企業価値の向上に資する研究開発や成長投資などに活用してまいります。中期経営計画最終年度の配当性向は30%以上を目標といたします。
当社グループは今後も引き続き、「新たな価値に挑戦し、創造し続ける」の経営理念のもと、全てのステークホルダーの皆さまの期待に応えるべく、『持続的成長に向けた企業力の向上』を基本方針とした中期経営計画「Raito2021」に掲げる各種施策を着実に実行していくことで持続的成長と中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。
c.財政状態
当連結会計年度の資産につきましては、前期比で43億5千6百万円増加し、1,011億1百万円となりました。このうち、流動資産は前期比で16億9千万円減少し、679億2千3百万円となりました。これは主に、中期経営計画に掲げる『持続的成長に向けた企業力の向上』の実現を目的とした投資に充当するために有価証券の償還を行ったことによるものです。また、固定資産は前期比で60億4千6百万円増加し、331億7千7百万円となりました。これは主に、資本業務提携を行ったベトナムFECON社の株式取得や当社において支店建替や企業価値の向上を目的とした収益物件用の土地の取得を行ったことによるものです。
負債につきましては、前期比で11億1千1百万円減少し、328億8千6百万円となりました。このうち、流動負債は前期比で12億5千4百万円減少し、317億9千2百万円となりました。これは主に、未払法人税が減少したことによるものです。また、固定負債は前期比で1億4千3百万円増加し、10億9千3百万円となりました。これは主に、子会社において長期未払金が増加したことによるものです。
純資産につきましては、前期比で54億6千7百万円増加し、682億1千5百万円となりました。これは主に、親会社に帰属する当期純利益70億6千6百万円を計上したこと等によるものです。以上の結果、当連結会計年度における自己資本比率は前期比で2.5ポイント増加し、67.4%となりました。今後も強固な経営基盤を確立し、事業運営を行ってまいります。
d.キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、54億7千8百万円の収入超過(前年同期は55億6千万円の収入超過)となりました。これは主に、法人税等の支払(36億1千4百万円)による支出を、税金等調整前当期純利益(94億9千3百万円)による収入が上回ったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、25億1千1百万円の支出超過(前年同期は21億2千7百万円の支出超過)となりました。これは主に、有価証券の取得による支出(10億円)、有形固定資産の取得による支出(37億3千万円)及び関係会社株式の取得による支出(38億3千5百万円)が、有価証券の償還による収入(62億9千9百万円)を上回ったことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、21億7千8百万円の支出超過(前年同期は29億6千9百万円の支出超過)となりました。これは主に、配当金の支払額(19億6千6百万円)及び短期借入金の減少(1億2百万円)による支出によるものであります。
以上により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、新規連結による増加と合わせ前連結会計年度末比7億6千5百万円増加し、227億5千8百万円となりました。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務諸表により計算しております。
※株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を使用しております。
※営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息支払額を使用しております。
e.資本の財源及び資金の流動性
(1)財務戦略についての基本的な考え方
当社グループは強固な財務基盤の確立を基本としております。これは中長期的には国内建設事業環境が縮小傾向になり、決して楽観視できないと見込んでいるからです。そのため、自己資本比率を高く保ち、安定した経営基盤を確保する考えであります。
(2)資金需要について
当社グループの資金需要は、営業活動では建設事業に関する材料費、協力業者への外注費、従業員への人件費などがあります。投資活動では主に施工機械の購入、財務活動では株主配当金があります。
(3)資金配分、投資についての考え方
当社グループは利益やキャッシュフローの範囲内で投資することを基本としており、ステークホルダーの皆様に応分に資金を配分していきます。 また、企業価値の向上に資する将来への投資と判断されたものに対し、資本コストを意識しつつ投資を実行していきます。
(4)資金調達について
当社グループは、従来から蓄積した資金により自己資本比率が高く健全な財政状態であります。また、営業活動においてキャッシュフローを生み出す能力があると考えており、また、コミットメントラインの借入枠80億円、国内子会社の当座貸越契約枠4億円及び海外子会社の当座貸越契約枠18億4千9百万円の合計102億4千9百万円の借入枠を設定しております。このうち未実行の借入枠は102億4千9百万円であり、当社グループの事業活動を継続するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を確保することは可能と考えております。
(5)新型コロナウイルスの感染拡大による影響について
当社グループは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が、2021年3月末まで及ぶという仮定のもと、事業計画を立てております。
当社グループの財務に与える影響として、施工の中断や着工の遅れが出た際に元請業者への請求が行えない場合や実体経済の更なる悪化による信用不安があった場合等が考えられます。これらについて、手元資金の取り崩しや、コミットメントラインの借入実行、また、与信管理を徹底することで影響を最小化する方針です。
投資方針については中期経営計画の方針に基づき、『持続的成長に向けた企業力の向上』に資する投資に実行してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調が継続しておりましたが、米中間での貿易摩擦の長期化や消費税増税後の個人消費の落ち込みに加え、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う実体経済への影響懸念により、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
建設業界におきましては、政府建設投資は引き続き高水準で推移し、民間建設投資は国内設備投資が増加傾向で推移するなど、良好な受注環境が続きました。また、当連結会計年度末には新型コロナウイルス感染拡大による経済活動への影響がありましたが、当連結会計年度における建設市場への影響は比較的軽微なものでありました。
このような状況のもと、当社グループの経営成績は以下のとおりとなりました。
a.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高につきましては、当社グループ全体において主力の斜面・法面対策工事の施工が高水準で推移したことにより、1,062億1千万円(前期比3.3%増)となりました。
利益面につきましては、建築工事は採算性が低下した一方で、土木工事の売上高が増加したことに加え、採算性も向上したことにより、売上総利益は201億4千万円(前期比3.7%増)となりました。
営業利益につきましては、販売費及び一般管理費が増加しましたが、売上総利益の増加が上回ったことにより、98億7千4百万円(前期比1.8%増)となりました。
また、経常利益につきましては、為替差損や持分法による投資損失の計上による営業外費用の増加により、95億8千2百万円(前期比5.4%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、70億6千6百万円(前期比8.5%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
「建設事業」
建設事業の受注高は、1,018億4千2百万円(前期比2.9%減)、売上高は1,056億2千1百万円(前期比3.4%増)となりました。
また、主な工事種目別の状況は下記のとおりであります。
① 斜面・法面対策工事
受注高は、近年頻発化している台風や豪雨などの自然災害による復旧関連工事が増加したことにより、396億2千4百万円(前期比4.8%増)となりました。
売上高は、西日本豪雨や北海道胆振東部地震などの復旧関連工事の売上の増加やグループ会社も含め施工の進捗が大幅に改善したことにより、407億7千2百万円(前期比11.9%増)となりました。
② 基礎・地盤改良工事
受注高は、米国連結子会社の地盤改良工事は増加したものの、当社において空港及び港湾分野の液状化対策工事が減少したことにより、366億1千4百万円(前期比2.5%減)となりました。
売上高は、首都圏における道路分野及び空港・港湾分野の耐震対策工事の売上が減少したことにより、341億8千4百万円(前期比3.3%減)となりました。
③ 補修・補強工事
受注高は、NEXCO発注の大型橋梁補修工事を受注したことにより、38億1千9百万円(前期比16.5%増)となりました。
売上高は、橋梁やトンネルの補修・補強工事の売上が増加したことにより、36億6千5百万円(前期比17.9%増)となりました。
④ 環境修復工事
受注高は、民間発注の大型土壌汚染対策工事が減少したことにより、13億8千4百万円(前期比38.0%減)となりました。
売上高は、前期以前に受注した民間発注の土壌汚染対策工事の売上が増加したことにより、31億9千4百万円(前期比21.6%増)となりました。
⑤ 建築工事
受注高は、首都圏におけるマンション建築工事の受注が減少したことにより、143億9千9百万円(前期比3.1%減)となりました。
売上高は、首都圏におけるマンション建築工事の施工が順調に進捗したことにより売上が増加したものの、連結子会社において売上が減少したことにより、150億2千1百万円(前期比3.4%減)となりました。
⑥ 一般土木・その他工事
受注高は、東北地方の連結子会社において東日本大震災の復興工事が減少したことにより、60億円(前期比34.5%減)となりました。
売上高は、連結子会社において一般土木工事の売上が減少したことにより、87億8千2百万円(前期比3.0%減)となりました。
「その他」
その他の売上高は、5億8千8百万円(前期比15.8%減)となりました。
なお、「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、商品・資材販売事業、リース事業及び訪問介護事業等を含んでおります。事業の性質上、受注生産は行っておりません。
b.財政状態
当連結会計年度の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ43億5千6百万円増加し、1,011億1百万円となりました。負債につきましては、前連結会計年度末に比べ11億1千1百万円減少し、328億8千6百万円となりました。その結果、純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ54億6千7百万円増加し、682億1千5百万円となりました。
c.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金預金同等物は、株主配当金の支払いによる支出及び関係会社株式の取得による支出があったものの、有価証券の償還による収入により、前連結会計年度に比べ7億6千5百万円増加し、227億5千8百万円となりました。
(2)生産、受注及び販売の実績
a.受注実績
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | |||
| 受注高 (百万円) | 次期繰越工事高 (百万円) | 受注高 (百万円) | 次期繰越工事高 (百万円) | ||
| 建設事業 | |||||
| 斜面・法面対策工事 | 37,811 | 17,528 | 39,624 | 16,301 | |
| 基礎・地盤改良工事 | 37,550 | 16,435 | 36,614 | 19,418 | |
| 補修・補強工事 | 3,277 | 1,204 | 3,819 | 1,357 | |
| 環境修復工事 | 2,233 | 2,350 | 1,384 | 559 | |
| 一般土木工事 | 7,484 | 10,407 | 4,808 | 8,394 | |
| 建築工事 | 14,859 | 13,171 | 14,399 | 12,549 | |
| その他工事 | 1,670 | 770 | 1,192 | 286 | |
| 合計 | 104,886 | 61,867 | 101,842 | 58,866 | |
(注)当社グループでは、建設事業以外は受注生産を行っておりません。
b.売上実績
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | |||
| 金額(百万円) | 構成比(%) | 金額(百万円) | 構成比(%) | ||
| 建設事業 | 102,125 | 99.3 | 105,621 | 99.4 | |
| 斜面・法面対策工事 | 36,429 | 35.4 | 40,772 | 38.4 | |
| 基礎・地盤改良工事 | 35,349 | 34.4 | 34,184 | 32.2 | |
| 補修・補強工事 | 3,108 | 3.0 | 3,665 | 3.5 | |
| 環境修復工事 | 2,627 | 2.6 | 3,194 | 3.0 | |
| 一般土木工事 | 7,357 | 7.2 | 6,821 | 6.4 | |
| 建築工事 | 15,555 | 15.1 | 15,021 | 14.1 | |
| その他工事 | 1,699 | 1.7 | 1,961 | 1.8 | |
| その他 | 699 | 0.7 | 588 | 0.6 | |
| 合計 | 102,825 | 100.0 | 106,210 | 100.0 | |
(注)1 セグメント間での取引については相殺消去しております。
(注)2 当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。
なお、参考のため提出会社単独の事業の状況は次のとおりであります。
建設事業における受注工事高及び施工高の状況
① 受注工事高、完成工事高、繰越工事高及び施工高
| 期別 | 工種別 | 前期繰越工事高 (百万円) | 当期受注工事高 (百万円) | 計 (百万円) | 当期完成工事高 (百万円) | 次期繰越工事高 | 当期施工高 (百万円) | ||
| 手持工事高(百万円) | うち施工高 (%、百万円) | ||||||||
| 前事業年度 自2018年4月1日 至2019年3月31日 | 斜面・法面対策工事 | 15,184 | 33,198 | 48,382 | 33,243 | 15,139 | 10.5 | 1,589 | 32,331 |
| 基礎・地盤改良工事 | 13,402 | 34,771 | 48,174 | 33,807 | 14,366 | 9.6 | 1,382 | 33,659 | |
| 補修・補強工事 | 968 | 3,081 | 4,049 | 2,858 | 1,191 | 5.3 | 63 | 2,832 | |
| 環境修復工事 | 2,743 | 2,233 | 4,977 | 2,627 | 2,350 | 1.8 | 41 | 2,626 | |
| 一般土木工事 | 860 | 325 | 1,186 | 885 | 300 | 1.8 | 5 | 829 | |
| 建築工事 | 11,784 | 13,036 | 24,820 | 12,522 | 12,298 | 0.5 | 59 | 12,182 | |
| その他工事 | 754 | 1,416 | 2,170 | 1,456 | 714 | - | 0 | 1,355 | |
| 合計 | 45,698 | 88,063 | 133,762 | 87,400 | 46,361 | 6.8 | 3,141 | 85,816 | |
| 当事業年度 自2019年4月1日 至2020年3月31日 | 斜面・法面対策工事 | 15,060 | 35,082 | 50,143 | 36,133 | 14,010 | 13.3 | 1,857 | 36,401 |
| 基礎・地盤改良工事 | 14,142 | 32,474 | 46,617 | 31,549 | 15,067 | 6.9 | 1,038 | 31,205 | |
| 補修・補強工事 | 1,191 | 3,709 | 4,901 | 3,554 | 1,346 | 16.0 | 214 | 3,706 | |
| 環境修復工事 | 2,368 | 1,384 | 3,753 | 3,194 | 559 | 5.9 | 33 | 3,185 | |
| 一般土木工事 | 300 | 373 | 673 | 670 | 3 | 61.0 | 2 | 667 | |
| 建築工事 | 12,298 | 11,814 | 24,112 | 13,183 | 10,928 | - | △5 | 13,118 | |
| その他工事 | 999 | 852 | 1,852 | 1,680 | 171 | - | △33 | 1,648 | |
| 合計 | 46,361 | 85,692 | 132,054 | 89,966 | 42,087 | 7.4 | 3,107 | 89,932 | |
(注)1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含みます。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。
2 次期繰越工事高の施工高は、手持工事高の工事進捗部分であります。
3 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)に一致しております。
4 前期繰越工事高は、期中に工種の変更が生じた場合、工種分類を組替えております。したがって、総額に変更はありませんが、前期末時点の内訳と異なる場合があります。
② 受注工事高の受注方法別比率
工事受注方法は、特命と競争に大別されます。
| 期別 | 特命(%) | 競争(%) | 計(%) |
| 前事業年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 87.6 | 12.4 | 100.0 |
| 当事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 90.2 | 9.8 | 100.0 |
(注) 百分比は請負金額比であります。
③ 売上高
| 期別 | 区分 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 合計(百万円) |
| 前事業年度 自2018年 4月1日 至2019年 3月31日 | 斜面・法面対策工事 | 26,022 | 7,220 | 33,243 |
| 基礎・地盤改良工事 | 24,729 | 9,077 | 33,807 | |
| 補修・補強工事 | 2,618 | 239 | 2,858 | |
| 環境修復工事 | 165 | 2,461 | 2,627 | |
| 一般土木工事 | 819 | 65 | 885 | |
| 建築工事 | - | 12,522 | 12,522 | |
| その他工事 | 991 | 465 | 1,456 | |
| 計 | 55,346 | 32,053 | 87,400 | |
| 当事業年度 自2019年 4月1日 至2020年 3月31日 | 斜面・法面対策工事 | 28,815 | 7,317 | 36,133 |
| 基礎・地盤改良工事 | 23,981 | 7,567 | 31,549 | |
| 補修・補強工事 | 3,339 | 214 | 3,554 | |
| 環境修復工事 | 456 | 2,737 | 3,194 | |
| 一般土木工事 | 665 | 5 | 670 | |
| 建築工事 | 72 | 13,110 | 13,183 | |
| その他工事 | 1,268 | 412 | 1,680 | |
| 計 | 58,600 | 31,366 | 89,966 |
(注)1 官公庁には、当社が建設業者から下請として受注したものを含みます。
2 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度 請負金額 200百万円以上の主なもの。
| (発注者) | (工事名) | |
| ㈱コスモスイニシア・ 大和ハウス工業㈱ | (仮称)小岩駅前2共同住宅新築工事 | |
| 西日本高速道路㈱ | 中国自動車道 根越地区のり面補強工事 | |
| 国土交通省 | H28精進湖立体橋耐震補強その1工事 | |
| 国土交通省 | 沢向地区道路改良工事 | |
| 国土交通省 | 東京国際空港C滑走路北側他地盤改良工事(その2) |
当事業年度 請負金額 300百万円以上の主なもの。
| (発注者) | (工事名) | |
| ㈱タカラレーベン | (仮称)広尾一丁目新築工事 | |
| JR東海旅客鉄道㈱ | 中央新幹線 名城非常口新設工事 | |
| 東日本高速道路㈱ | 関越自動車道越後川口SAのり面補強工事 | |
| 国土交通省 | 一関大橋床版連結工事 | |
| 国土交通省 | 国道47号蔵岡地区災害復旧工事 |
④ 手持工事高(2020年3月31日現在)
| 区分 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 合計(百万円) |
| 斜面・法面対策工事 | 11,988 | 2,021 | 14,010 |
| 基礎・地盤改良工事 | 10,031 | 5,035 | 15,067 |
| 補修・補強工事 | 1,344 | 2 | 1,346 |
| 環境修復工事 | 68 | 490 | 559 |
| 一般土木工事 | 3 | 0 | 3 |
| 建築工事 | 0 | 10,928 | 10,928 |
| その他工事 | 50 | 121 | 171 |
| 計 | 23,487 | 18,600 | 42,087 |
(注)1 官公庁には、当社が建設業者から下請として受注したものを含みます。
2 手持工事の内請負金額400百万円以上の主なものは、次のとおりであります。
| (発注者) | (工事名) | (完工予定年月) | ||
| 中日本高速道路㈱ | 東名高速道路(特定更新等)大井松田IC~御殿場IC間(左ルート)切土のり面補強工事 | 2022年3月 | ||
| ㈱タカラレーベン | (仮称)レーベン仙台大手町新築工事 | 2021年3月 | ||
| 中日本高速道路㈱ | 北陸自動車道 砺波IC~滑川IC間コンクリート構造物補修工事 | 2020年8月 | ||
| 西日本高速道路㈱ | 京都縦貫自動車道(特定更新等)京都高速道路事務所管内のり面補強工事 | 2020年8月 | ||
| 札幌市 | 清田区里塚地区市街地復旧工事 | 2020年6月 |
(3)経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、特に以下の会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。その他の重要な会計方針は、連結財務諸表注記の「4.会計方針に関する事項」に記載しております。
また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が与える会計上の見積りについては、連結財務諸表注記の「追加情報」に記載しております。
売上高は、建設事業について、当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準(工事の進捗の見積りは原価比例法)を、その他の工事については工事完成基準を適用しております。工事進行基準については社内で基準を定めており、適切な実行予算を組み、売上計上を行うよう指導、モニタリングを行っております。商品・資材販売については、出荷した時点にて計上しております。
次に引当金について、貸倒引当金は、売上債権、貸付金等の損失に備えて一般債権は貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については回収不能見込額を計上しており、取引先の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。完成工事補償引当金は、過去の実績率に基づき将来の見積補償額を算定し計上しております。工事損失引当金は、合理的に見積もることの出来る工事について損失見込額を計上しております。退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定された前提条件に基づいて算定されております。実際の結果が前提条件と異なる場合は、将来期間において認識される債務及び計上される費用に影響を及ぼします。
投資の減損は、期末における時価が取得価額に比べ50%以上下落した場合はすべて減損処理を行い、30%~50%程度下落した場合には、金額の重要性、回復可能性等を考慮して必要な額を減損処理しております。
b.経営成績及び経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社を取り巻く事業環境は、短期的には政府による経済対策や防災・減災対策、大阪・関西万博開催に向けたインフラ整備の需要などを背景に良好な事業環境が維持されると予想をしております。しかしながら、中長期的には財政的な制約や人口の減少を背景として国内建設市場は縮小傾向で推移するものと予想をしております。
このような環境認識のもと、当社グループは2019年5月10日に2019年度を初年度とする中期経営計画「Raito2021」を発表し、『持続的成長に向けた企業力の向上』の基本方針のもと、①技術開発の促進と市場展開の強化、②価値創出のための効率的経営の推進、③資本コストを意識した成長投資の実行に取り組んでおります。
中期経営計画最終年度の2021年度の経営数値につきましては、連結売上高1,100億円、連結営業利益105億円、ROE10.0%以上、配当性向30%以上を目標としております。
また、新型コロナウイルス感染症による2020年度の当社グループの業績に与える影響につきましては、限定的であると想定をしておりますが、同感染症が再拡大し、想定を超える影響があった場合には、工事の中断が発生し、工期遅延に伴う売上高の減少と工事採算の悪化のほか、主に民間発注工事において外部環境の変化による受注高の減少に伴う売上高の減少が懸念されます。
なお、中期経営計画最終年度にあたる2021年度の同感染症による影響につきましては、現時点では先行きが不透明なため、中期経営計画「Raito2021」の見直しは行っておりません。
当連結会計年度の経営成績につきましては、新型コロナウイルス感染拡大の業績への影響は軽微であり、売上高は1,062億円(前期比3.3%増)で過去最高の売上高を更新しました。増収の要因といたしましては、良好な受注環境により豊富な手持ち工事を抱えていたことに加え、当社グループ全体で施工効率の向上に取り組んだ結果、当期初から施工高が増加基調で推移したことが主要因です。特に、当社グループの主力工事の一つである斜面・法面対策工事は、年度を通じて施工が高水準で進捗し全体を牽引しました。今後も引き続き、施工効率の向上の取り組みを推進し、加えて中期経営計画に掲げる専業土木事業・建築事業・海外事業の事業強化戦略を着実に実行することで中期経営計画の売上高目標値1,100億円の達成を目指してまいります。
営業利益につきましては、98億円(前期比1.8%増)となり過去最高益を更新いたしました。増益の要因といたしましては、販売費及び一般管理費は増加したものの、売上高の増加と工事採算性の向上により売上高総利益が増加したことによります。当社の工事採算性につきましては、建築工事の採算性が低下したため前期比で低下いたしましたが、グループ会社の経営強化戦略が奏功しグループ会社の採算性の向上が全体を押し上げ、当社グループ全体としての工事採算性は前期比で向上いたしました。また、販売費及び一般管理費が増加した要因といたしましては、人件費や研究開発費の増加に加え、労働環境の整備に伴う費用など一過性による支出があったことによります。中期経営計画の営業利益目標値105億円の達成に向けては、売上高の増加に加え、更なる工事採算性の向上と適正な固定費の配分に努めてまいります。
ROEにつきましては、10.8%となりました。財務の安定性を確保しつつ、収益性と資産効率性の更なる向上を追求し、中期経営計画最終年度の10.0%以上の達成を目指します。
配当性向につきましては、30.1%となりました。当社グループでは、安定的な配当の維持を基本に、業績と経営環境を勘案して決定することを基本方針としております。今後も配当の基本方針は堅持しつつ、内部留保金につきましては、持続的な成長と企業価値の向上に資する研究開発や成長投資などに活用してまいります。中期経営計画最終年度の配当性向は30%以上を目標といたします。
当社グループは今後も引き続き、「新たな価値に挑戦し、創造し続ける」の経営理念のもと、全てのステークホルダーの皆さまの期待に応えるべく、『持続的成長に向けた企業力の向上』を基本方針とした中期経営計画「Raito2021」に掲げる各種施策を着実に実行していくことで持続的成長と中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。
c.財政状態
当連結会計年度の資産につきましては、前期比で43億5千6百万円増加し、1,011億1百万円となりました。このうち、流動資産は前期比で16億9千万円減少し、679億2千3百万円となりました。これは主に、中期経営計画に掲げる『持続的成長に向けた企業力の向上』の実現を目的とした投資に充当するために有価証券の償還を行ったことによるものです。また、固定資産は前期比で60億4千6百万円増加し、331億7千7百万円となりました。これは主に、資本業務提携を行ったベトナムFECON社の株式取得や当社において支店建替や企業価値の向上を目的とした収益物件用の土地の取得を行ったことによるものです。
負債につきましては、前期比で11億1千1百万円減少し、328億8千6百万円となりました。このうち、流動負債は前期比で12億5千4百万円減少し、317億9千2百万円となりました。これは主に、未払法人税が減少したことによるものです。また、固定負債は前期比で1億4千3百万円増加し、10億9千3百万円となりました。これは主に、子会社において長期未払金が増加したことによるものです。
純資産につきましては、前期比で54億6千7百万円増加し、682億1千5百万円となりました。これは主に、親会社に帰属する当期純利益70億6千6百万円を計上したこと等によるものです。以上の結果、当連結会計年度における自己資本比率は前期比で2.5ポイント増加し、67.4%となりました。今後も強固な経営基盤を確立し、事業運営を行ってまいります。
d.キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、54億7千8百万円の収入超過(前年同期は55億6千万円の収入超過)となりました。これは主に、法人税等の支払(36億1千4百万円)による支出を、税金等調整前当期純利益(94億9千3百万円)による収入が上回ったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、25億1千1百万円の支出超過(前年同期は21億2千7百万円の支出超過)となりました。これは主に、有価証券の取得による支出(10億円)、有形固定資産の取得による支出(37億3千万円)及び関係会社株式の取得による支出(38億3千5百万円)が、有価証券の償還による収入(62億9千9百万円)を上回ったことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、21億7千8百万円の支出超過(前年同期は29億6千9百万円の支出超過)となりました。これは主に、配当金の支払額(19億6千6百万円)及び短期借入金の減少(1億2百万円)による支出によるものであります。
以上により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、新規連結による増加と合わせ前連結会計年度末比7億6千5百万円増加し、227億5千8百万円となりました。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
| 2017年3月期 | 2018年3月 | 2019年3月 | 2020年3月 | |
| 自己資本比率 | 59.7% | 62.7% | 64.9% | 67.4% |
| 時価ベースの自己資本比率 | 66.9% | 61.6% | 80.0% | 63.0% |
| 債務償還年数 | 0.2年 | 0.14年 | 0.2年 | 0.19年 |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ | 173倍 | 346倍 | 397倍 | 186倍 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務諸表により計算しております。
※株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を使用しております。
※営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息支払額を使用しております。
e.資本の財源及び資金の流動性
(1)財務戦略についての基本的な考え方
当社グループは強固な財務基盤の確立を基本としております。これは中長期的には国内建設事業環境が縮小傾向になり、決して楽観視できないと見込んでいるからです。そのため、自己資本比率を高く保ち、安定した経営基盤を確保する考えであります。
(2)資金需要について
当社グループの資金需要は、営業活動では建設事業に関する材料費、協力業者への外注費、従業員への人件費などがあります。投資活動では主に施工機械の購入、財務活動では株主配当金があります。
(3)資金配分、投資についての考え方
当社グループは利益やキャッシュフローの範囲内で投資することを基本としており、ステークホルダーの皆様に応分に資金を配分していきます。 また、企業価値の向上に資する将来への投資と判断されたものに対し、資本コストを意識しつつ投資を実行していきます。
(4)資金調達について
当社グループは、従来から蓄積した資金により自己資本比率が高く健全な財政状態であります。また、営業活動においてキャッシュフローを生み出す能力があると考えており、また、コミットメントラインの借入枠80億円、国内子会社の当座貸越契約枠4億円及び海外子会社の当座貸越契約枠18億4千9百万円の合計102億4千9百万円の借入枠を設定しております。このうち未実行の借入枠は102億4千9百万円であり、当社グループの事業活動を継続するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を確保することは可能と考えております。
(5)新型コロナウイルスの感染拡大による影響について
当社グループは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が、2021年3月末まで及ぶという仮定のもと、事業計画を立てております。
当社グループの財務に与える影響として、施工の中断や着工の遅れが出た際に元請業者への請求が行えない場合や実体経済の更なる悪化による信用不安があった場合等が考えられます。これらについて、手元資金の取り崩しや、コミットメントラインの借入実行、また、与信管理を徹底することで影響を最小化する方針です。
投資方針については中期経営計画の方針に基づき、『持続的成長に向けた企業力の向上』に資する投資に実行してまいります。