有価証券報告書-第22期(2024/04/01-2025/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、物価上昇による個人消費への影響が一部に残るものの、雇用・所得環境に改善の動きが見られ、景気は緩やかに回復しました。しかしながら、米国の政策動向や金融資本市場の不安定化などにより、先行きに対する不透明感が高まりました。
建設業界におきましては、政府建設投資は底堅く推移し、民間建設投資は企業の旺盛な設備投資意欲の継続により前年度を上回ったことから、建設投資は総じて堅調に推移しました。
このような情勢下におきまして当社グループは、「長期経営計画 “To zero, from zero.”」に基づき、国内土木・建築・建築リニューアル事業を「コア事業」、国際・不動産・新規事業を「戦略事業」と位置づけ、人材とデジタル技術を競争優位の源泉として3つの提供価値(「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」)を軸とした5つの重点戦略(「東急建設ブランドの訴求・確立」「コア事業の深化」「戦略事業の成長」「人材・組織戦略」「財務・資本戦略」)に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は293,139百万円(前期比2.6%増)となりました。損益面では、営業利益は8,839百万円(前期比8.4%増)、経常利益は9,701百万円(前期比0.4%減)となりました。これに、税金費用等を加味した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は6,631百万円(前期比8.7%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(建設事業(建築))
完成工事高については、海外工事が減少したものの、国内民間工事及び国内官公庁工事の増加により、219,684百万円(前期比1.9%増)となりました。一方、セグメント利益については、11,818百万円(前期比20.8%増)となりました。
(建設事業(土木))
完成工事高については、海外工事が減少したものの、国内官公庁工事及び国内民間工事の増加により、68,486百万円(前期比2.4%増)となりました。一方、セグメント利益については、4,538百万円(前期比24.8%増)となりました。
(不動産事業等)
不動産事業等売上高については、販売用不動産の売却等により、4,968百万円(前期比55.6%増)となりました。セグメント利益については、1,488百万円(前期比32.5%減)となりました。
当連結会計年度末の資産の部につきましては、受取手形・完成工事未収入金等が5,914百万円減少した一方、現金預金が7,543百万円、その他(流動資産)が4,405百万円それぞれ増加したことなどにより、資産合計は前連結会計年度末と比較して9,790百万円増加(3.7%増)し、274,315百万円となりました。
負債の部につきましては、短期借入金が27,626百万円減少した一方、未成工事受入金が12,623百万円、支払手形・工事未払金等が12,374百万円それぞれ増加したことなどにより、負債合計は前連結会計年度末と比較して7,912百万円増加(4.8%増)し、171,648百万円となりました。
純資産の部につきましては、配当を4,039百万円実施したものの、親会社株主に帰属する当期純利益を6,631百万円計上したことなどにより、利益剰余金が増加した結果、株主資本は2,878百万円増加しました。また、株式相場の影響等によりその他有価証券評価差額金が1,918百万円減少したことなどから、その他の包括利益累計額は1,210百万円減少しました。この結果、純資産合計は前連結会計年度末と比較して1,877百万円増加(1.9%増)し、102,667百万円となりました。
なお、自己資本は101,634百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末と比較して0.7ポイント減少し、37.1%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、未収入金の増加や未成工事支出金の増加等の資金減少があったものの、税金等調整前当期純利益9,840百万円の計上や仕入債務の増加等の資金増加により、41,203百万円の資金増加(前連結会計年度は54,023百万円の資金減少)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、有形及び無形固定資産の取得による支出や投資有価証券の取得による支出等により、1,595百万円の資金減少(前連結会計年度は1,399百万円の資金減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、長期借入れによる収入の増加等による資金増加があったものの、短期借入金の返済による支出等により、31,878百万円の資金減少(前連結会計年度は28,523百万円の資金増加)となりました。
この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末から7,723百万円増加し、39,666百万円(前連結会計年度末は31,942百万円)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.受注実績
(注) 当社グループでは「建設事業(建築)」及び「建設事業(土木)」以外では受注生産を行っておりません。
b.売上実績
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載しておりません。
3 前連結会計年度及び当連結会計年度ともに売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
なお、参考のため提出会社個別の事業の実績は次のとおりであります。
建設事業における受注工事高及び完成工事高の実績
a.受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含みます。従って、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。また、前事業年度以前に外貨建で受注したもので、当事業年度中の為替相場の変動により請負金額の増減がある場合についても同様の処理をしております。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。
b.受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
c.完成工事高
(注) 1 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度
当事業年度
2 前事業年度及び当事業年度ともに完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
d.次期繰越工事高(2025年3月31日現在)
(注) 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
当社グループの当連結会計年度の経営成績等について、売上高は293,139百万円(前期比2.6%増)となりました。損益面では、営業利益は8,839百万円(前期比8.4%増)、経常利益は9,701百万円(前期比0.4%減)となりました。これに、税金費用等を加味した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は6,631百万円(前期比8.7%減)となりました。
財政状態については、現金預金やその他(流動資産)が増加したことなどにより、資産合計は274,315百万円(前連結会計年度末比3.7%増)となりました。また、未成工事受入金や支払手形・工事未払金等が増加したことなどにより、負債合計は171,648百万円(前連結会計年度末比4.8%増)、利益剰余金の積上げなどにより純資産は102,667百万円(前連結会計年度末比1.9%増)となりました。自己資本比率は37.1%(前連結会計年度から0.7ポイント減少)となりました。
b.経営成績に重要な影響を与える要因
今後の国内建設市場につきましては、建設投資は引き続き堅調に推移することが見込まれます。しかしながら、技能労働者の減少、時間外労働に関する上限規制の適用による影響や原材料価格の高止まり等が懸念されるとともに、新設等を主体とした「フロー」型から維持・修繕等の「ストック」型への需要の質的変化や、デジタルによる技術革新など構造変革が迫られております。
このような情勢下におきまして当社グループでは、協力会社との関係強化や物価高騰への対応を図りつつ、「長期経営計画 “To zero, from zero.”」に基づき、国内土木・建築・建築リニューアル事業を「コア事業」、国際・不動産・新規事業を「戦略事業」と位置づけ、既存事業の深掘りと新規分野の模索など「知の深化」と「知の探索」を実践してまいります。また、人材とデジタル技術を競争優位の源泉として、3つの提供価値(「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」)を軸とし、この3つの提供価値と人材・デジタル技術の競争優位構築による「東急建設ブランドの訴求・確立」をはじめとする5つの重点戦略を実行することで当社グループの持続的な企業価値向上を目指してまいります。
c.目標とする経営指標の達成状況
当社グループが「長期経営計画“To zero, from zero.”」で掲げた目標及び、当連結会計年度の実績は以下のとおりです。
※1 ㈱リンクアンドモチベーション「モチベーションクラウド」によるエンゲージメントレーティングであります。対象は子会社を含めたグループ全体の従業員としており、全11段階に分かれており、2024年度実績の「BB」は、「AAA」「AA」「A」「BBB」に次ぐ上位から5段階目のレーティングとなっております。
※2 2018年度を基準としております。GHG排出削減目標はSBT認証における1.5℃基準(参照:SBTi Corporate Near-Term criteria ver5.2)に基づき設定しております。
なお、2024年度の実績値は、第三者保証取得前の数値であるため変更の可能性があります。
また、施工中工事の不具合や、過年度引渡し物件に係る施工瑕疵に対し、当社では、安全・品質・工程管理等のコア業務に関する技術員教育の強化、本社による作業所支援体制の強化、特定工事に対する専門委員会の設置等、品質管理体制の強化による再発防止策を徹底し、施工品質の向上に引き続き努めてまいります。
d.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりでありますが、当社グループの運転資金需要のうち主なものは、工事の完成に要する外注費等の工事費の支払や人件費等の販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、当社グループは提出日現在、事業運転資金の安定的且つ機動的な調達を目的として、取引金融機関5行及び20行との間でそれぞれ締結しております、シンジケーション方式によるコミットメントライン契約等からの借入により資金調達を行っております。
e.セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
(建設事業(建築))
当連結会計年度における受注高は308,544百万円(前連結会計年度は241,036百万円)、完成工事高は219,684百万円(前連結会計年度は215,591百万円)、セグメント利益は11,818百万円(前連結会計年度は9,785百万円)となりました。
(ⅰ) 完成工事高(個別)
当事業年度における当社個別の完成工事高は、前事業年度比1,145百万円(0.6%)減少の191,764百万円となりました。
工事分類別では、前事業年度に比べ「倉庫流通施設」、「医療福祉施設」が増加し、「住宅」、「教育研究文化施設」が減少しました。また、発注者別では、官公庁工事が増加、民間工事が減少となりました。
(単位:百万円)
(ⅱ) 完成工事総利益率(個別)
利益率は前事業年度比0.9ポイント増加し、8.1%となりました。
(ⅲ) 受注高(個別)
受注高は283,892百万円で、前事業年度比65,126百万円(29.8%)の増加となりました。
(発注者別)
中央官庁からの受注は前事業年度比317.5%増加、地方自治体からの受注は同64.2%減少し、官公庁工事の受注額合計では同30.3%増加しました。東急グループを除く民間の受注は前事業年度比32.0%増加、東急グループからの受注は同21.9%増加となり、民間の受注額合計では同31.0%増加となりました。なお、受注高全体に占める東急グループ発注工事の割合は、当事業年度7.6%となりました。官公庁工事と民間工事では、官公庁工事12.7%、民間工事87.3%の構成比となりました。
(工事分類別)
「倉庫・流通施設」は前事業年度比13.4%増加し、構成比は20.9%となりました。「住宅」は前事業年度比16.5%増加し、構成比は20.4%となり、「店舗」は前事業年度比410.5%増加し、構成比は13.8%となりました。
(エリア別)
国内において、首都圏と地方の比較でみると、首都圏の割合が前事業年度比15.3ポイント増加し、国内全体に占める割合は82.4%となりました。
(建設事業(土木))
当連結会計年度における受注高は97,335百万円(前連結会計年度は60,037百万円)、完成工事高は68,486百万円(前連結会計年度は66,897百万円)、セグメント利益は4,538百万円(前連結会計年度は3,635百万円)となりました。
(ⅰ) 完成工事高(個別)
当事業年度における当社個別の完成工事高は、前事業年度比1,817百万円(2.7%)増加の68,166百万円となりました。
工事分類別では、前事業年度に比べ「上・下水道」、「道路」が増加しました。また、発注者別では、官公庁工事、民間工事ともに増加となりました。
(単位:百万円)
(ⅱ) 完成工事総利益率(個別)
利益率は前事業年度比2.0ポイント増加し、11.4%となりました。
(ⅲ) 受注高(個別)
受注高は97,206百万円で、前事業年度比37,630百万円(63.2%)の増加となりました。
(発注者別)
中央官庁からの受注は前事業年度比121.3%増加、地方自治体からの受注は同53.2%増加し、官公庁工事の受注額合計では同101.4%増加しました。東急グループを除く民間の受注は前事業年度比17.1%減少、東急グループからの受注は同61.9%増加となり、民間の受注額合計では同6.7%と増加となりました。なお、受注高全体に占める東急グループ発注工事の割合は、当事業年度12.1%となりました。官公庁工事と民間工事では、官公庁工事73.6%、民間工事26.4%の構成比となりました。
(工事分類別)
「道路」は前事業年度比222.8%増加し、構成比は49.5%となりました。「鉄道」は前事業年度比2.6%減少し、構成比は23.0%となり、「上・下水道」は前事業年度比73.5%増加し、構成比は15.5%となりました。
(エリア別)
国内において、首都圏と地方の比較でみると、首都圏の割合が前事業年度比3.5ポイント増加し、国内全体に占める割合は76.1%となりました。
(不動産事業等(連結))
不動産事業等売上高は4,968百万円(前連結会計年度は3,192百万円)となりました。この主な内容は、販売用不動産の売却等に係るものであります。また、損益面では、1,488百万円のセグメント利益(前連結会計年度は2,204百万円)となりました。
②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、物価上昇による個人消費への影響が一部に残るものの、雇用・所得環境に改善の動きが見られ、景気は緩やかに回復しました。しかしながら、米国の政策動向や金融資本市場の不安定化などにより、先行きに対する不透明感が高まりました。
建設業界におきましては、政府建設投資は底堅く推移し、民間建設投資は企業の旺盛な設備投資意欲の継続により前年度を上回ったことから、建設投資は総じて堅調に推移しました。
このような情勢下におきまして当社グループは、「長期経営計画 “To zero, from zero.”」に基づき、国内土木・建築・建築リニューアル事業を「コア事業」、国際・不動産・新規事業を「戦略事業」と位置づけ、人材とデジタル技術を競争優位の源泉として3つの提供価値(「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」)を軸とした5つの重点戦略(「東急建設ブランドの訴求・確立」「コア事業の深化」「戦略事業の成長」「人材・組織戦略」「財務・資本戦略」)に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は293,139百万円(前期比2.6%増)となりました。損益面では、営業利益は8,839百万円(前期比8.4%増)、経常利益は9,701百万円(前期比0.4%減)となりました。これに、税金費用等を加味した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は6,631百万円(前期比8.7%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(建設事業(建築))
完成工事高については、海外工事が減少したものの、国内民間工事及び国内官公庁工事の増加により、219,684百万円(前期比1.9%増)となりました。一方、セグメント利益については、11,818百万円(前期比20.8%増)となりました。
(建設事業(土木))
完成工事高については、海外工事が減少したものの、国内官公庁工事及び国内民間工事の増加により、68,486百万円(前期比2.4%増)となりました。一方、セグメント利益については、4,538百万円(前期比24.8%増)となりました。
(不動産事業等)
不動産事業等売上高については、販売用不動産の売却等により、4,968百万円(前期比55.6%増)となりました。セグメント利益については、1,488百万円(前期比32.5%減)となりました。
当連結会計年度末の資産の部につきましては、受取手形・完成工事未収入金等が5,914百万円減少した一方、現金預金が7,543百万円、その他(流動資産)が4,405百万円それぞれ増加したことなどにより、資産合計は前連結会計年度末と比較して9,790百万円増加(3.7%増)し、274,315百万円となりました。
負債の部につきましては、短期借入金が27,626百万円減少した一方、未成工事受入金が12,623百万円、支払手形・工事未払金等が12,374百万円それぞれ増加したことなどにより、負債合計は前連結会計年度末と比較して7,912百万円増加(4.8%増)し、171,648百万円となりました。
純資産の部につきましては、配当を4,039百万円実施したものの、親会社株主に帰属する当期純利益を6,631百万円計上したことなどにより、利益剰余金が増加した結果、株主資本は2,878百万円増加しました。また、株式相場の影響等によりその他有価証券評価差額金が1,918百万円減少したことなどから、その他の包括利益累計額は1,210百万円減少しました。この結果、純資産合計は前連結会計年度末と比較して1,877百万円増加(1.9%増)し、102,667百万円となりました。
なお、自己資本は101,634百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末と比較して0.7ポイント減少し、37.1%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、未収入金の増加や未成工事支出金の増加等の資金減少があったものの、税金等調整前当期純利益9,840百万円の計上や仕入債務の増加等の資金増加により、41,203百万円の資金増加(前連結会計年度は54,023百万円の資金減少)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、有形及び無形固定資産の取得による支出や投資有価証券の取得による支出等により、1,595百万円の資金減少(前連結会計年度は1,399百万円の資金減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、長期借入れによる収入の増加等による資金増加があったものの、短期借入金の返済による支出等により、31,878百万円の資金減少(前連結会計年度は28,523百万円の資金増加)となりました。
この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末から7,723百万円増加し、39,666百万円(前連結会計年度末は31,942百万円)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.受注実績
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 増減 | 増減率(%) |
| 建設事業(建築) (百万円) | 241,036 | 308,544 | 67,507 | 28.0 |
| 建設事業(土木) (百万円) | 60,037 | 97,335 | 37,297 | 62.1 |
| 合計 (百万円) | 301,074 | 405,879 | 104,804 | 34.8 |
(注) 当社グループでは「建設事業(建築)」及び「建設事業(土木)」以外では受注生産を行っておりません。
b.売上実績
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 増減 | 増減率(%) |
| 建設事業(建築) (百万円) | 215,591 | 219,684 | 4,092 | 1.9 |
| 建設事業(土木) (百万円) | 66,897 | 68,486 | 1,589 | 2.4 |
| 不動産事業等 (百万円) | 3,192 | 4,968 | 1,775 | 55.6 |
| 合計 (百万円) | 285,681 | 293,139 | 7,457 | 2.6 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載しておりません。
3 前連結会計年度及び当連結会計年度ともに売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
なお、参考のため提出会社個別の事業の実績は次のとおりであります。
建設事業における受注工事高及び完成工事高の実績
a.受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
| 期別 | 区分 | 前期繰越 工事高 (百万円) | 当期受注 工事高 (百万円) | 計 (百万円) | 当期完成 工事高 (百万円) | 次期繰越 工事高 (百万円) |
| 前事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 建築工事 | 263,926 | 218,765 | 482,691 | 192,909 | 289,782 |
| 土木工事 | 114,321 | 59,575 | 173,896 | 66,299 | 107,597 | |
| 計 | 378,247 | 278,341 | 656,588 | 259,208 | 397,379 | |
| 当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 建築工事 | 289,782 | 283,892 | 573,675 | 191,764 | 381,911 |
| 土木工事 | 107,597 | 97,206 | 204,803 | 68,116 | 136,686 | |
| 計 | 397,379 | 381,098 | 778,478 | 259,880 | 518,597 |
(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含みます。従って、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。また、前事業年度以前に外貨建で受注したもので、当事業年度中の為替相場の変動により請負金額の増減がある場合についても同様の処理をしております。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。
b.受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
| 期別 | 区分 | 特命(%) | 競争(%) | 計(%) |
| 前事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 建築工事 | 27.9 | 72.1 | 100 |
| 土木工事 | 1.3 | 98.7 | 100 | |
| 当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 建築工事 | 28.0 | 72.0 | 100 |
| 土木工事 | 5.8 | 94.2 | 100 |
(注) 百分比は請負金額比であります。
c.完成工事高
| 期別 | 区分 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 計(百万円) |
| 前事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 建築工事 | 9,186 | 183,723 | 192,909 |
| 土木工事 | 43,440 | 22,858 | 66,299 | |
| 計 | 52,626 | 206,582 | 259,208 | |
| 当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 建築工事 | 11,413 | 180,350 | 191,764 |
| 土木工事 | 44,098 | 24,017 | 68,116 | |
| 計 | 55,512 | 204,368 | 259,880 |
(注) 1 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度
| 三井不動産レジデンシャル㈱ エヌ・ティ・ティ都市開発㈱ 日鉄興和不動産㈱ 住友商事㈱ 住友不動産㈱ 大和ハウス工業㈱ 東急不動産㈱ 東京建物㈱ 野村不動産㈱ 三菱地所レジデンス㈱ | (仮称)晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業 5-3街区建築物工事 |
| 新綱島駅前地区市街地再開発組合 | 新綱島駅前地区第一種市街地再開発事業に伴う施設建築物建設工事 |
| 東急㈱ | (仮称)南町田グランベリーパーク駅前マンション計画新築工事および準備工事 |
| コスモス特定目的会社 | (仮称)ESR加須ディストリビューションセンター2新築工事 |
| ㈱竹内製作所 | (仮称)株式会社竹内製作所 青木工場新築工事 |
当事業年度
| ミャンマー連邦共和国運輸・通信省 | ヤンゴン・マンダレー鉄道改善工事 第1期事業 CP103工区 |
| 日本GLP㈱ | GLP八千代Ⅴ新築工事 |
| 瑞穂プロパティー特定目的会社 | (仮称)多摩地区物流センター新築工事 |
| 三菱地所レジデンス㈱ 三菱倉庫㈱ | 千代田区三番町26計画新築工事 |
| 国土交通省 | R2国道246号渋谷駅周辺地下道工事 |
2 前事業年度及び当事業年度ともに完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
d.次期繰越工事高(2025年3月31日現在)
| 区分 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 計(百万円) |
| 建築工事 | 57,811 | 324,100 | 381,911 |
| 土木工事 | 90,277 | 46,409 | 136,686 |
| 計 | 148,088 | 370,509 | 518,597 |
(注) 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりであります。
| 囲町東地区市街地再開発組合 | 囲町東地区第一種市街地再開発事業 施設建築物本体工事 | 2026年6月完成予定 |
| バングラデシュ人民共和国道路交通橋梁省 | マタバリ港アクセス道路建設工事(中央工区)CW-3bおよび(東工区)CW-3c | 2029年1月完成予定 |
| 積水ハウス㈱ | (仮称)グランドメゾン千鳥ヶ淵計画新築工事 | 2028年12月完成予定 |
| 中日本高速道路㈱ | 新東名高速道路 湯触トンネル他1トンネル工事 | 2025年12月完成予定 |
| 三郷デベロップメント特定目的会社 九州旅客鉄道㈱ ㈱住友倉庫 | ロジクロス三郷計画新築工事 | 2026年8月完成予定 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
当社グループの当連結会計年度の経営成績等について、売上高は293,139百万円(前期比2.6%増)となりました。損益面では、営業利益は8,839百万円(前期比8.4%増)、経常利益は9,701百万円(前期比0.4%減)となりました。これに、税金費用等を加味した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は6,631百万円(前期比8.7%減)となりました。
財政状態については、現金預金やその他(流動資産)が増加したことなどにより、資産合計は274,315百万円(前連結会計年度末比3.7%増)となりました。また、未成工事受入金や支払手形・工事未払金等が増加したことなどにより、負債合計は171,648百万円(前連結会計年度末比4.8%増)、利益剰余金の積上げなどにより純資産は102,667百万円(前連結会計年度末比1.9%増)となりました。自己資本比率は37.1%(前連結会計年度から0.7ポイント減少)となりました。
b.経営成績に重要な影響を与える要因
今後の国内建設市場につきましては、建設投資は引き続き堅調に推移することが見込まれます。しかしながら、技能労働者の減少、時間外労働に関する上限規制の適用による影響や原材料価格の高止まり等が懸念されるとともに、新設等を主体とした「フロー」型から維持・修繕等の「ストック」型への需要の質的変化や、デジタルによる技術革新など構造変革が迫られております。
このような情勢下におきまして当社グループでは、協力会社との関係強化や物価高騰への対応を図りつつ、「長期経営計画 “To zero, from zero.”」に基づき、国内土木・建築・建築リニューアル事業を「コア事業」、国際・不動産・新規事業を「戦略事業」と位置づけ、既存事業の深掘りと新規分野の模索など「知の深化」と「知の探索」を実践してまいります。また、人材とデジタル技術を競争優位の源泉として、3つの提供価値(「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」)を軸とし、この3つの提供価値と人材・デジタル技術の競争優位構築による「東急建設ブランドの訴求・確立」をはじめとする5つの重点戦略を実行することで当社グループの持続的な企業価値向上を目指してまいります。
c.目標とする経営指標の達成状況
当社グループが「長期経営計画“To zero, from zero.”」で掲げた目標及び、当連結会計年度の実績は以下のとおりです。
| 経営指標 | 2024年度目標 | 2024年度実績 | 2030年度目標 |
| 連結営業利益(率) | 50億円(1.6%) | 88億円(3.0%) | 220億円以上 (5.0%以上) |
| 連結ROIC | - | 5.4% | 7.0%以上 |
| 連結ROE | 4.5% | 6.6% | 10.0%以上 |
| D/Eレシオ | 0.5倍以下 | 0.26倍 | 0.5倍以下 |
| 自己資本比率 | 40%程度 | 37.1% | 45%程度 |
| 従業員エンゲージメント ※1 | A | BB | AAA |
| GHG排出量 Scope1・2 ※2 | 16.2%削減 | 27.5%削減 | 47.9%削減 |
| GHG排出量 Scope3 ※2 | 16.2%削減 | 46.9%削減 | 30.0%削減 |
※1 ㈱リンクアンドモチベーション「モチベーションクラウド」によるエンゲージメントレーティングであります。対象は子会社を含めたグループ全体の従業員としており、全11段階に分かれており、2024年度実績の「BB」は、「AAA」「AA」「A」「BBB」に次ぐ上位から5段階目のレーティングとなっております。
※2 2018年度を基準としております。GHG排出削減目標はSBT認証における1.5℃基準(参照:SBTi Corporate Near-Term criteria ver5.2)に基づき設定しております。
なお、2024年度の実績値は、第三者保証取得前の数値であるため変更の可能性があります。
また、施工中工事の不具合や、過年度引渡し物件に係る施工瑕疵に対し、当社では、安全・品質・工程管理等のコア業務に関する技術員教育の強化、本社による作業所支援体制の強化、特定工事に対する専門委員会の設置等、品質管理体制の強化による再発防止策を徹底し、施工品質の向上に引き続き努めてまいります。
d.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりでありますが、当社グループの運転資金需要のうち主なものは、工事の完成に要する外注費等の工事費の支払や人件費等の販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、当社グループは提出日現在、事業運転資金の安定的且つ機動的な調達を目的として、取引金融機関5行及び20行との間でそれぞれ締結しております、シンジケーション方式によるコミットメントライン契約等からの借入により資金調達を行っております。
e.セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
(建設事業(建築))
当連結会計年度における受注高は308,544百万円(前連結会計年度は241,036百万円)、完成工事高は219,684百万円(前連結会計年度は215,591百万円)、セグメント利益は11,818百万円(前連結会計年度は9,785百万円)となりました。
(ⅰ) 完成工事高(個別)
当事業年度における当社個別の完成工事高は、前事業年度比1,145百万円(0.6%)減少の191,764百万円となりました。
工事分類別では、前事業年度に比べ「倉庫流通施設」、「医療福祉施設」が増加し、「住宅」、「教育研究文化施設」が減少しました。また、発注者別では、官公庁工事が増加、民間工事が減少となりました。
(単位:百万円)
| 前事業年度 | 当事業年度 | 増減率 | |||
| 完成工事高 | 192,909 | 191,764 | △0.6% | ||
| 完成工事総利益 | 13,795 | 15,532 | 12.6% | ||
(ⅱ) 完成工事総利益率(個別)
利益率は前事業年度比0.9ポイント増加し、8.1%となりました。
(ⅲ) 受注高(個別)
受注高は283,892百万円で、前事業年度比65,126百万円(29.8%)の増加となりました。
(発注者別)
中央官庁からの受注は前事業年度比317.5%増加、地方自治体からの受注は同64.2%減少し、官公庁工事の受注額合計では同30.3%増加しました。東急グループを除く民間の受注は前事業年度比32.0%増加、東急グループからの受注は同21.9%増加となり、民間の受注額合計では同31.0%増加となりました。なお、受注高全体に占める東急グループ発注工事の割合は、当事業年度7.6%となりました。官公庁工事と民間工事では、官公庁工事12.7%、民間工事87.3%の構成比となりました。
(工事分類別)
「倉庫・流通施設」は前事業年度比13.4%増加し、構成比は20.9%となりました。「住宅」は前事業年度比16.5%増加し、構成比は20.4%となり、「店舗」は前事業年度比410.5%増加し、構成比は13.8%となりました。
(エリア別)
国内において、首都圏と地方の比較でみると、首都圏の割合が前事業年度比15.3ポイント増加し、国内全体に占める割合は82.4%となりました。
(建設事業(土木))
当連結会計年度における受注高は97,335百万円(前連結会計年度は60,037百万円)、完成工事高は68,486百万円(前連結会計年度は66,897百万円)、セグメント利益は4,538百万円(前連結会計年度は3,635百万円)となりました。
(ⅰ) 完成工事高(個別)
当事業年度における当社個別の完成工事高は、前事業年度比1,817百万円(2.7%)増加の68,166百万円となりました。
工事分類別では、前事業年度に比べ「上・下水道」、「道路」が増加しました。また、発注者別では、官公庁工事、民間工事ともに増加となりました。
(単位:百万円)
| 前事業年度 | 当事業年度 | 増減率 | |||
| 完成工事高 | 66,299 | 68,116 | 2.7% | ||
| 完成工事総利益 | 6,238 | 7,757 | 24.4% | ||
(ⅱ) 完成工事総利益率(個別)
利益率は前事業年度比2.0ポイント増加し、11.4%となりました。
(ⅲ) 受注高(個別)
受注高は97,206百万円で、前事業年度比37,630百万円(63.2%)の増加となりました。
(発注者別)
中央官庁からの受注は前事業年度比121.3%増加、地方自治体からの受注は同53.2%増加し、官公庁工事の受注額合計では同101.4%増加しました。東急グループを除く民間の受注は前事業年度比17.1%減少、東急グループからの受注は同61.9%増加となり、民間の受注額合計では同6.7%と増加となりました。なお、受注高全体に占める東急グループ発注工事の割合は、当事業年度12.1%となりました。官公庁工事と民間工事では、官公庁工事73.6%、民間工事26.4%の構成比となりました。
(工事分類別)
「道路」は前事業年度比222.8%増加し、構成比は49.5%となりました。「鉄道」は前事業年度比2.6%減少し、構成比は23.0%となり、「上・下水道」は前事業年度比73.5%増加し、構成比は15.5%となりました。
(エリア別)
国内において、首都圏と地方の比較でみると、首都圏の割合が前事業年度比3.5ポイント増加し、国内全体に占める割合は76.1%となりました。
(不動産事業等(連結))
不動産事業等売上高は4,968百万円(前連結会計年度は3,192百万円)となりました。この主な内容は、販売用不動産の売却等に係るものであります。また、損益面では、1,488百万円のセグメント利益(前連結会計年度は2,204百万円)となりました。
②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。