訂正有価証券報告書-第97期(2020/04/01-2021/03/31)

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2024/06/25 14:50
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142項目
経営成績等の状況の概要
(1)当連結会計年度の経営成績の分析
当社は、2021年4月1日付の三井製糖㈱と大日本明治製糖㈱の経営統合により、商号を「DM三井製糖ホールディングス㈱」に変更し、持株会社体制に移行いたしました。以下の当連結会計年度の経営成績は、当該経営統合以前の三井製糖グループに関する概況であります。
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の発出や外出自粛要請等により、社会経済活動が大きく制限され、企業業績のみならず雇用環境も含め、全般的に厳しい状況で推移いたしました。新型コロナウイルスに対するワクチン接種が進むにつれ、徐々に回復基調になるとの予想がある一方、緊急事態宣言や自粛要請の発出・解除に応じた一進一退の動きが繰り返されることも懸念され、先行きの不透明感が今後も続くものと予測しております。
このような状況下、当社グループでも全国的な経済活動縮小の影響を大きく受ける中で、販売状況に呼応した生産の最適化や各種経費の節減を行うと共に、各社間の連携を推進し、引き続き既存事業の基盤強化と成長領域の事業拡大に取り組んでまいりました。
砂糖事業
海外粗糖相場につきましては、期初は1ポンド当たり10セント前半でスタートし、直後には約13年ぶりの安値となる9セント台まで急落いたしましたが、以降は、新型コロナウイルスの感染動向と砂糖需給を巡る思惑が交錯し、緩やかな上昇基調で推移いたしました。期の中頃からは、世界的な金融緩和による投機資金の流入などにより、14セント前半から15セント半ばの間で小刻みに上下する展開を経て、原油価格の回復とともに、2月には約4年ぶりの高値となる18セント後半にまで達しましたが、その後は落ち着きを見せ、14セント後半で期末を迎えました。また、精製上白糖大袋の国内市中相場につきましては、1kg当たり187円~188円で始まりましたが、海外粗糖相場の高騰を受け、3月に約4年ぶりに出荷価格を5円引き上げた結果、192円~193円にて期末を迎えました。
販売面では、2020年5月の緊急事態宣言解除後に経済活動の回復を図るための政府の各種施策や、自粛期間中に生まれた巣ごもり消費などにより、一時は家庭用の出荷が上向きました。しかしながら、2回目の緊急事態宣言の発出により、土産物や外食向けといった業務用需要が再度減少し、生産面で安定操業に努めたものの減収減益となりました。
連結子会社では、生和糖業㈱は、サトウキビ生産量の増加や歩留まりの向上による原価率の大幅改善などにより増収増益となりました。北海道糖業㈱は、原料てん菜は豊作でありましたが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う白糖販売量減の影響による製品在庫の増加と原価率の悪化を招き減益となりました。SIS’88 Pte Ltdは、シンガポール国内の外出規制による家庭用需要の増加があったものの、円高の影響もあり減収となりました。
以上の結果、砂糖事業全体で、売上高87,450百万円(前連結会計年度比5.1%減)、営業利益1,689百万円(前連結会計年度比47.9%減)となりました。
期中の砂糖市況
国内市中相場(日本経済新聞掲載、東京上白大袋1㎏当たり)
始値 187円~188円 終値 192円~193円
海外粗糖相場(ニューヨーク砂糖当限、1ポンド当たり)
始値 10.39セント 高値 18.94セント 安値 9.05セント 終値 14.77セント
フードサイエンス事業
フードサイエンス事業につきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたものの、パラチノースの国内向け販売量は持ち直し、海外向け販売量は堅調に推移いたしました。また、さとうきび抽出物の除菌用及び食品用需要が国内外ともに伸長したことから、売上高は前期並であったものの増益となりました。
連結子会社におきましても、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け減収となりましたが、㈱タイショーテクノスは、前期に実施した生産集約により原価率が改善されたこと等により増益となり、ニュートリー㈱は、販売管理費の改善が奏功し増益となりました。
以上の結果、フードサイエンス事業全体で、売上高19,475百万円(前連結会計年度比1.5%減)、営業利益1,045百万円(前連結会計年度比53.8%増)となりました。
不動産事業
不動産事業につきましては、施設の老朽化などに伴う修繕工事を実施いたしましたが、新規賃貸の開始などが寄与し、売上高1,961百万円(前連結会計年度比1.0%増)、営業利益897百万円(前連結会計年度比3.3%減)と前期並の実績となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は108,887百万円(前連結会計年度比4.4%減)、営業利益は3,631百万円(前連結会計年度比25.1%減)となりました。
営業外損益においては、フィンゴリモド「FTY720」の開発権及び販売権の許諾に基づく受取ロイヤリティーを628百万円計上いたしました。なお、当社の共同特許権者である田辺三菱製薬㈱とNovartis Pharma AG(以下「ノバルティス社」という。)との間で仲裁手続きが進行中であることを受け、ノバルティス社が契約の有効性に関し疑義を提起している部分につきましては、引き続き収益としては認識しておりません。また、干ばつによるサトウキビの不作でタイ国関連会社損益が大幅に悪化したことを主要因として持分法による投資損失を計上した他、政策保有株式の一部売却による投資有価証券売却益を特別利益として計上いたしました。以上により、経常利益は3,788百万円(前連結会計年度比24.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,764百万円(前連結会計年度比14.1%増)となりました。
(2)経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
当社グループは、主力の砂糖事業において、原料となる粗糖が相場商品であること、また製品価格も競争や市場環境等により変動する場合があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このような事業環境下、当社グループでは適切な原料糖調達と適正販売価格帯の維持に努めてまいりました。
(3)経営上の目標指標に関する分析
当社グループでは、ROE(自己資本当期純利益率)8~10%を経営目標達成のための客観的な指標の一つとしております。当連結会計年度のROEは3.3%となりました。また、将来の成長に向けて取得してきた事業・資産に伴うのれん等の償却負担が増大している財務上の特徴を踏まえ、キャッシュ創出力を表すEBITDA指標を参考として、当社グループの財務の実態把握に努めてまいります。当連結会計年度のEBITDAは10,166百万円となりました。
配当金額につきましては、安定的かつ継続的な配当を基本とし、将来の成長に向けた事業展開と、経営基盤強化のための内部留保の充実にも配慮し、現金配当と機動的な資本政策を組み合わせた総還元性向50%を目途として、都度の経営環境を考慮しつつ株主還元策を決定してまいりました。
(4)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動で11,124百万円増加した一方で、投資活動と財務活動で8,808百万円減少したことにより、前連結会計年度末に対して2,277百万円増加し、17,691百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は11,124百万円(前連結会計年度は資金の増加11,167百万円)となりました。
これは主に税金等調整前当期純利益5,251百万円、減価償却費5,440百万円等による資金の増加があった一方で、法人税等の支払3,452百万円等による資金の減少があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は4,020百万円(前連結会計年度は資金の減少7,146百万円)となりました。
これは主に工場設備等に係る有形固定資産の取得による支出5,680百万円等による資金の減少があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は4,787百万円(前連結会計年度は資金の減少3,425百万円)となりました。
これは主に、配当金の支払1,283百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出2,764百万円等による資金の減少があったことによるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原料糖の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、社債及び金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は19,831百万円となっております。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
砂糖事業(百万円)67,49691.9
フードサイエンス事業(百万円)9,00494.0
合計(百万円)76,50092.2

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
砂糖事業(百万円)16,03695.4
フードサイエンス事業(百万円)4,37699.8
合計(百万円)20,41296.3

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社以下同じ)は原則として見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(4)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
砂糖事業(百万円)87,45094.9
フードサイエンス事業(百万円)19,47598.5
不動産事業(百万円)1,961101.0
合計(百万円)108,88795.6

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次の通りであります。
相手先前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
三井物産㈱49,04143.147,29543.4
双日㈱10,2099.09,1138.4

3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な判断に基づき、会計上の見積りを行っております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。
(2)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比5,005百万円増加し146,710百万円となりました。連結貸借対照表の主要項目ごとの主な増減要因等は、次の通りであります。
①流動資産
流動資産は、前連結会計年度末比3,773百万円増加し60,929百万円となりました。これは主として、現金及び預金の増加2,277百万円、原材料及び貯蔵品の増加1,279百万円等があったことによるものであります。
②固定資産
固定資産は、前連結会計年度末比1,232百万円増加し85,781百万円となりました。これは主として、建設仮勘定の増加1,174百万円、繰延税金資産の増加1,158百万円等があった一方で、のれんの減少932百万円等があったことによるものであります。
③負債
負債は、前連結会計年度末比5,721百万円増加し55,030百万円となりました。これは主として、長期仮受金の増加5,285百万円等があったことによるものであります。
④純資産
純資産は、前連結会計年度末比715百万円減少し91,680百万円となりました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純利益2,764百万円、退職給付に係る調整累計額の増加530百万円等があった一方で、剰余金の配当1,285百万円、非支配株主持分の減少3,201百万円等があったことによるものであります。
(3)経営成績
当連結会計年度における経営成績の概要につきましては、「経営成績等の状況の概要(1)当連結会計年度の経営成績の分析」に記載しております。なお、連結損益計算書の主要項目ごとの主な増減要因等は、次の通りであります。
①売上高
売上高は、前連結会計年度比4,967百万円減少し108,887百万円となりました。これは主として、砂糖事業の売上高の減少4,695百万円等があったことによるものであります。
②営業利益
営業利益は、前連結会計年度比1,217百万円減少し3,631百万円となりました。これは主として、砂糖事業において新型コロナウイルスの影響による販売量の減少等があったことによるものであります。
③経常利益
経常利益は、前連結会計年度比1,194百万円減少し3,788百万円となりました。これは主として、受取ロイヤリティーの減少710百万円等があったことによるものであります。
④親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度は経常利益の減少等を主因として、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度比573百万円増加し5,251百万円となりました。
法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額及び非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比342百万円増加し2,764百万円となりました。
(4)キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況につきましては、「経営成績等の状況の概要(4)キャッシュ・フローの状況の分析」に記載しております。