有価証券報告書-第50期(2024/01/21-2025/01/20)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要は、以下の通りであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2024年1月21日~2025年1月20日)の我が国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、景気が緩やかに回復しています。しかしながら、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れが景気の下押しリスクとなっています。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動など、不安定な要素も多い状況が続きました。
国内飲料業界においては、原材料価格をはじめとしたコスト上昇に伴う価格改定により、消費者の節約志向は継続していますが、平均気温の上昇などが影響し、市場全体の販売数量は前年並みとなりました。一方、当社が主力とする自販機チャネルの販売数量は他チャネルとの価格差の影響などから、前年を下回りました。また、当社グループの海外主要市場であるトルコでは、2023年6月の政策金融会合以降、高インフレ抑制に向けた政策金利の段階的な引き上げが実施され、高い金利水準が維持されていますが、高インフレ、リラ安は継続しています。
このような市場環境の中、当社グループは2030年のありたい姿「グループミッション2030」に掲げた「世界中の人々の楽しく健やかな暮らしをクリエイトするDyDoグループへ」の実現に向け、5カ年(2023年1月期~2027年1月期)の「中期経営計画2026」を遂行しています。本中期経営計画では、「国内飲料事業の再成長」「海外飲料事業戦略の再構築」「非飲料領域の強化・育成」を3つの基本方針のもと、取り組みを進めています。
当連結会計年度の連結売上高は、主力の国内飲料事業において減収となりましたが、海外飲料事業において主力のトルコ飲料事業が好調に推移したことに加え、2024年2月に取得したポーランドの海外飲料事業子会社Wosana S.A.(以下、ヴォサナ社)が連結対象となったことから、2,371億89百万円(前連結会計年度比11.2%増)、連結営業利益は、海外飲料事業が躍進したことで、47億89百万円(前連結会計年度比28.3%増)となりました。連結経常利益は、正味貨幣持高に関する損失や為替差損などを営業外費用に計上したことなどから、30億23百万円(前連結会計年度比2.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益51億33百万円を特別利益に計上したものの、法人税等が増加したことなどから、38億4百万円(前連結会計年度比14.0%減)となりました。
〈連結経営成績〉
(単位:百万円)
海外飲料事業の主要拠点であるトルコにおいて3年間の累積インフレ率が100%を超えたことを受け、トルコリラを機能通貨とするトルコの子会社について、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」(以下、超インフレ会計)に定められる要件に従い、会計上の調整をしています。
(ご参考)超インフレ会計に定められる要件による会計上の調整額
(単位:百万円)
なお、連結損益計算書の主要項目ごとの前連結会計年度との主な増減要因等は、次の通りであります。
ⅰ.売上高
当連結会計年度の売上高は、2,371億89百万円(前連結会計年度比11.2%増)となりました。
国内飲料事業については、2023年5月及び同年11月に実施した価格改定により販売単価の上昇があった一方で、販売数量へ一定の影響があり、減収となりました。また、海外飲料事業については、トルコにおいて高インフレが継続する中、戦略的な価格改定と機動的な販売促進活動の実施や、中東問題を受けた一部商品への特需の継続により、販売ボリューム・金額ともに前年を大きく上回ったほか、ポーランドのヴォサナ社が、当連結会計年度より連結対象に加わったことで、大幅増収となりました。医薬品関連事業については、パウチ製品の受注が引き続き好調であり、連結会計年度として過去最高の売上高となりました。食品事業については、2024年3月に実施した価格改定による効果のほか、営業活動の奏功により国内の販売は堅調に推移するも、主力輸出先である中国での景気減速の影響を受けて海外向け輸出が苦戦し、減収となりました。
ⅱ.営業利益
当連結会計年度の営業利益は47億89百万円(前連結会計年度比28.3%増)となりました。
国内飲料事業については、自販機チャネルにおける販売数量減による売上総利益の減少のほか、スマート・オペレーションの進化・展開に伴う費用や電子マネーの利用手数料、自販機稼働台数増加に伴う費用など、自販機ネットワーク強化に向けた費用が増加し、減益となりました。海外飲料事業については、トルコ子会社における増収効果やコスト削減による増益に加え、ヴォサナ社を連結対象に加えたことで、大幅な増益となりました。また医薬品関連事業については、原材料コストの上昇や関東工場における製造ラインの入れ替えに伴う撤去予定の設備にかかる減価償却費を当連結会計年度に一部計上したことで、減益となりました。食品事業については、価格改定や原価低減施策による売上総利益の増加、また、工場の生産性改善などが進んだことを背景に、連結会計年度として過去最高の営業利益となりました。
ⅲ.経常利益
当連結会計年度の経常利益は、30億23百万円(前連結会計年度比2.9%減)となりました。
営業外収益は、前連結会計年度と比較して5億18百万円減少し、13億76百万円となりました。また、営業外費用はトルコ飲料事業における通貨安の影響により為替差損8億17百万円を計上したほか、超インフレ会計の適用による影響として正味貨幣持高に関する損失8億59百万円を計上したことなどから、前連結会計年度と比較して6億30百万円増加し、31億41百万円となりました。
ⅳ.親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、38億4百万円(前連結会計年度比14.0%減)となりました。
特別利益は、政策保有株式の見直しに伴い一部銘柄の売却により投資有価証券売却益51億33百万円を計上したほか、固定資産売却益3億97百万円を計上し、前連結会計年度と比較して30億83百万円増加し、55億31百万円となりました。また、特別損失は、国内飲料事業における組織の活性化を目的とした「ライフシフト支援施策」の応募者への割増退職金4億80百万円を計上したほか、事業構造改善費用1億59百万円を計上したことから、6億39百万円となりました。また、法人税等調整額は、前連結会計年度においてトルコ現地の税務及び会計処理においてインフレ会計が適用された影響などにより繰延税金資産を計上していたことから、前連結会計年度と比較して30億12百万円増加し、9億81百万円となりました。
当連結会計年度の1株当たり当期純利益は、120.66円(前連結会計年度は140.77円)となりました。なお、当社は2024年1月21日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っており、1株当たり当期純利益については、前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算出しています。
〈セグメント別経営成績〉
(単位:百万円)
(単位:百万円)
(注1)報告セグメントごとの売上高は、セグメント間の内部売上高を含んでいます。
(注2)報告セグメントごとの営業利益又は営業損失は、ロイヤリティ控除前の数値です。
(注3)海外飲料事業について、超インフレ会計に定められる要件に従い、会計上の調整をしております。この調整により、前連結会計年度において、売上高は83百万円減少、セグメント利益は13億32百万円減少、当連結会計年度において、売上高は40億65百万円増加、セグメント利益は9億33百万円減少しています。
ⅰ.国内飲料事業
国内飲料事業は、ダイドードリンコ株式会社とその傘下のグループ会社が担っています。自販機を主力販路とし、商品の製造や物流は外部に委託、自社の経営資源は商品の開発と自販機オペレーションに集中しています。自販機チャネルにおける2030年のありたい姿を「自販機市場において、絶え間ない挑戦と共創で新しい価値を提供し、トップランナーとして業界をリードし続けます」と定め、自販機市場における確固たる優位性の確立に取り組んでいます。
当連結会計年度の国内飲料市場は、業界各社が実施した価格改定による影響があったものの、平均気温の上昇などが影響し、販売数量は前年並みとなりましたが、当社が主力とする自販機チャネルは、他チャネルとの価格差が大きくなり、自販機市場としては前年を下回りました。
このような状況の中、当社グループの国内飲料事業においては、2023年5月及び同年11月の価格改定により販売単価が上昇したものの、販売数量は減少し、減収となりました。一方、自販機稼働台数は新規開拓営業の奏功と既存設置先の引上抑止によって計画以上に増加し、売上基盤を強化しました。流通チャネルにおいては、業界各社の販売促進活動が活発化する厳しい環境下でも、利益重視の方針のもと、選択と集中による投資効果の発揮と販促費の最適化により、前年を上回る利益を確保しました。
商品戦略としては、主力のコーヒーカテゴリーでは、多様化するお客様の嗜好や価値観にお応えし、ラインアップの強化を図りました。「絶品」シリーズにおいて、SOT缶の「ダイドーブレンド 絶品微糖」及び「ダイドーブレンド 絶品ブラック」について自販機推奨価格をそれぞれ20円値下げし、お客様のお手に取っていただきやすい商品の拡充に努めました。また、皆様に長年愛されている「デミタス」シリーズにおいて各商品のリニューアルを行うとともに、スペシャリティコーヒー豆※1を使用し嗜好性を極めた「ダイドーブレンドプレミアム デミタス甘さに頼らないラテ」を発売し、小容量でプレミアムな味わいを求めるお客様への価値提供も行いました。ソフトドリンクカテゴリ-では、強刺激と冷涼感が体感できる新感覚の炭酸飲料「FRISK SPARKLING(フリスク スパークリング)」の新発売や、肌弾力を維持する※2「肌美精企画監修※3」シリーズをリニューアル発売するなど、当社のブランドメッセージ「こころとからだに、おいしいものを。」を体現した商品ラインアップを拡充しました。
サプリメント通販チャネルは、上期に実施した戦略的な広告投資により、定期顧客に向けた年間累計出荷件数が増加したことで、サプリメント業界における消費者の買い控えによる影響をカバーし、増収となりました。利益面においては、上期に前年同期と比べ積極的に広告宣伝費を投下したことに加え、前述の業界全体の消費者の買い控えによる影響を受けて広告の顧客獲得効率が悪化したことも影響し、減益となりました。
セグメント利益は、自販機チャネルにおける販売数量減による売上総利益の減少に加え、スマート・オペレーションの進化・展開に伴う費用や電子マネーの利用手数料、自販機稼働台数増加に伴う費用など、自販機ネットワーク強化に向けた費用が増加し、減益となりました。
以上の結果、国内飲料事業の売上高は、1,475億19百万円(前連結会計年度比4.0%減)、セグメント利益は、9億86百万円(前連結会計年度比76.8%減)となりました。
※1 10%使用(コーヒー原料に占める割合)
※2 GABAの働きで、 肌の乾燥が気になる方の肌の弾力を維持し、肌の健康を守るのを助ける。
※3 肌美精は、クラシエ㈱の保有する商標且つブランド名です。女性の健康的な生活を応援する商品のコンセプト及びデザインを監修。
ⅱ.海外飲料事業
当社グループの海外飲料事業は、2030年のありたい姿を「世界中の人々の健康を支えるグローバルブランドを生み出します」と定めています。中核となるトルコ飲料事業は、炭酸飲料やミネラルウォーターを中心とした自社ブランドの清涼飲料の製造・販売を行っています。2024年2月に子会社化したポーランドのヴォサナ社では、果汁飲料やミネラルウォーターを中心とした自社ブランドの清涼飲料の製造・販売に加え、大手小売企業のプライベート・ブランドや他社飲料ブランドの受託製造を担っています。なお、ヴォサナ社は、当連結会計年度より連結対象となっています。
当連結会計年度におけるトルコ市場は、高インフレ抑制に向けた高金利政策が打ち出されているものの、高インフレ・リラ安が続いています。このような状況の中、トルコ飲料事業においては、戦略的な価格改定と販売促進活動を機動的に実施したほか、中東問題を受けた一部商品への特需を継続的な販売へと繋げるべく、営業活動や広告投資を実施したことなどにより、販売ボリュームと販売単価をともに伸ばし、大幅増収となりました。利益面においては、インフレやリラ安を背景とした原材料価格の高騰、人件費の上昇などの影響を受ける中で、増収効果やサプライチェーンマネジメント改革などによるコスト削減により、利益率を大きく改善しました。
ポーランド飲料事業では、受託製造品の受注が好調に推移しました。また、オレンジ果汁などの原価上昇による影響を商品ミックスの改善などにより吸収し、一定の利益を確保しました。
中国飲料事業では、無糖茶カテゴリーへの競合他社の参入など事業環境が厳しくなる中でも、現地生産品の「おいしい麦茶」をはじめとした無糖茶の都市部の小売店への導入に注力し、中国飲料市場の無糖茶カテゴリーにて一定のポジションを確立しました。
以上の結果、海外飲料事業の売上高は、562億63百万円(前連結会計年度比112.8%増)、セグメント利益は、50億83百万円(前連結会計年度比357.7%増)となりました。
ⅲ.医薬品関連事業
医薬品関連事業を担う大同薬品工業株式会社では、医薬品・指定医薬部外品をはじめとする数多くの健康・美容等のドリンク剤・パウチ製品等の受託製造に特化したビジネスを展開し、2030年のありたい姿を「健康・美容分野での製造受託企業No.1になります」と定めています。お客様ニーズにあった製品の開発と、奈良工場・関東工場の2拠点4工場を展開する充実した生産体制と高い品質管理体制を強みとして、医薬品メーカーから化粧品メーカーまでの幅広い顧客基盤を有しています。
当連結会計年度のドリンク剤市場は縮小した一方、パウチ製品市場は引き続き旺盛な需要が続いています。
このような状況の中、当社グループの医薬品関連事業においては、ドリンク剤の受注は減少したものの、パウチ容器入りの指定医薬部外品の受注の増加によって、当連結会計年度の売上高は、連結会計年度として過去最高となりました。
セグメント利益は、原材料コストの上昇や関東工場における製造ラインの入れ替えに伴う撤去予定の設備にかかる減価償却費を当連結会計年度に一部計上したことで、減益となりました。
以上の結果、医薬品関連事業の売上高は、131億24百万円(前連結会計年度比1.2%増)、セグメント利益は、2億77百万円(前連結会計年度比24.5%減)となりました。
ⅳ.食品事業
食品事業を担う株式会社たらみは、様々な食感を自在に実現する「おいしいゼリー」を作る技術力とブランド力を大きな強みとして、ドライゼリー市場においてトップシェアを誇るほか、蒟蒻パウチゼリー市場においても一定のシェアを獲得しています。2030年のありたい姿を「フルーツとゼリーを通して、『おいしさ』と『健康』を追求し、すべての人を幸せにします」と定め、「たらみらしい、おいしい、楽しい」 商品をあらゆる販売チャネルで購入できる機会の創造に取り組んでいます。
当連結会計年度のドライゼリー市場は、販売単価の上昇や好天による需要拡大により伸長し、パウチゼリー市場においても、好天や新たな需要の喚起により、市場の拡大が続いています。
このような状況の中、当社グループの食品事業は、2024年3月に価格改定を実施したことによる販売単価の上昇や営業活動の奏功により国内の販売は堅調に推移するも、主力輸出先である中国での景気減速の影響を受けて海外向け輸出が苦戦し、減収となりました。
セグメント利益は、価格改定や原価低減施策による売上総利益の増加、また、工場の生産性改善などが進んだことを背景に、連結会計年度として過去最高となりました。
以上の結果、食品事業の売上高は、206億51百万円(前連結会計年度比0.3%減)、セグメント利益は、11億57百万円(前連結会計年度比16.5%増)となりました。
ⅴ.希少疾病用医薬品事業
希少疾病用医薬品事業を担うダイドーファーマ株式会社(以下、ダイドーファーマ)は、当社グループの新規事業領域拡大への取り組みとして、2019年に設立されました。2030年のありたい姿を「治療選択肢のない希少疾病に苦しむ患者様へ治療薬を提供します」と定め、希少疾病を対象とした新たな治療薬の日本国内での製造販売承認を取得して患者様への提供をめざしています。
2024年9月に、ダイドーファーマの新薬第1号となる、ランバート・イートン筋無力症候群治療剤「ファダプス®錠10mg」の製造販売承認を取得し、2025年1月に日本国内で販売を開始しました。また、現在開発中のDYD-701の開発推進、ならびに新たな治療薬候補となる優良なパイプラインの獲得に向けて活動を続けていきます。
以上の結果、希少疾病用医薬品事業の売上高は、8百万円(前連結会計年度は販売開始前のため売上計上なし)、セグメント損失は、6億21百万円(前連結会計年度は7億96百万円のセグメント損失)となりました。
なお、当社グループは、飲料・食品の製造販売を主たる業務としており、四半期単位での経営成績には、季節的変動があります。
(単位:百万円)
〈ROIC実績※1〉
(ご参考)グループミッション2030で掲げるROIC目標値※1
※1 超インフレ会計適用前、投下資本はセグメントへの投下分
※2 サプリメント通販事業を除く
※3 国内飲料事業のうちサプリメント通販事業、医薬品関連事業、食品事業、希少疾病用医薬品事業
「グループミッション2030」のKPIの一つとしてROICを設定し、現在遂行中の「中期経営計画2026」に該当する「成長ステージ」と最終ステージである「飛躍ステージ」の最終年度の目標値について、グループ連結目標とともに、「国内飲料事業」「海外飲料事業」「非飲料事業」でそれぞれ目標を設定しています。各セグメントにおいて、それぞれの事業特性に合わせた、利益率改善、資産回転率向上に向けたKPIを設定し、従業員それぞれが資本効率を意識した取り組みを進めることで、当社グループ全体の「稼ぐ力」を高めていきます。
〈財政状態〉
(単位:百万円)
当連結会計年度末の総資産は、ヴォサナ社を新たに連結対象としたことを主因に、前連結会計年度末と比較して76億83百万円増加し、1,852億47百万円となりました。
当社グループの連結財政状態の前連結会計年度末と比較した主な増減要因等は、次の通りです。
ⅰ.ネット・キャッシュ
当連結会計年度末の金融資産(現金及び預金、有価証券、投資有価証券(関係会社株式を除く)、長期性預金)は、前連結会計年度末と比較して103億19百万円減少し、519億5百万円となりました。また、当連結会計年度末の有利子負債(短期/長期借入金、短期/長期リース負債・債務、社債、長期預り保証金)は、前連結会計年度末と比較して、14億92百万円増加し、367億16百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度末のネット・キャッシュ(金融資産-有利子負債)は、前連結会計年度末と比較して118億12百万円減少し、151億88百万円となりました。
ⅱ.運転資本
当連結会計年度末の売上債権は、前連結会計年度末と比較して41億95百万円増加し、263億86百万円となりました。また、当連結会計年度末の棚卸資産は、前連結会計年度末と比較して15億79百万円増加し、158億68百万円となりました。一方、当連結会計年度末の仕入債務は、前連結会計年度末と比較して12億32百万円増加し、251億70百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の運転資本(売上債権+棚卸資産-仕入債務)は、前連結会計年度末と比較して45億42百万円増加し、170億84百万円となりました。
ⅲ.固定資産
当連結会計年度末の有形固定資産は、ヴォサナ社の連結影響に加え、ヴォサナ社における製造ラインの増設などに伴う建設仮勘定の増加などから、前連結会計年度末と比較して84億38百万円増加し、599億50百万円となりました。無形固定資産は、ヴォサナ社の株式を100%取得したことに伴い、のれんが増加したことなどから、前連結会計年度末と比較して34億8百万円増加し、118億66百万円となりました。また、投資その他の資産は、政策保有株式の一部売却などにより前連結会計年度末と比較して71億14百万円減少し、213億85百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末と比較して47億32百万円増加し、932億2百万円となりました。
ⅳ.流動負債・固定負債
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末と比較して147億62百万円増加し、635億47百万円となりました。また、当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末と比較して91億5百万円減少し、281億92百万円となりました。これらの主な増減要因は、第2回無担保社債100億円について償還日まで1年を切ったことから、計上先を社債から1年内償還予定の社債に振り替えたことによるものです。
ⅴ.純資産
当連結会計年度末の株主資本は、前連結会計年度末と比較して31億50百万円増加し933億9百万円となりました。
当連結会計年度末のその他有価証券評価差額金は、政策保有株式の一部売却と時価変動により、前連結会計年度末と比較して42億22百万円減少し、15億64百万円となりました。また、当連結会計年度末の為替換算調整勘定は、主にトルコリラの為替変動により、前連結会計年度末と比較して33億83百万円増加し、△40億12百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比較して20億26百万円増加し、935億7百万円となりました。
〈キャッシュ・フローの状況〉
(単位:百万円)
当社グループのキャッシュ・フローの源泉である自販機ビジネスを取り巻く市場環境は、コロナ禍を契機として大きく変化しており、上位寡占化の傾向がより強いものとなっています。このような状況の中、当社グループは、収益性の高い新たな自販機設置先の開拓を進めるとともに、スマート・オペレーションの進化と展開先の拡大に取り組むことで、国内飲料事業の再成長によるキャッシュ・フロー創出力向上を図っていきます。
②生産、受注及び販売の実績
ⅰ.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメント別に示すと次のとおりであります。
(注)金額は販売価格によっております。
ⅱ.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメント別に示すと次のとおりであります。
ⅲ.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと次のとおりであります。
ⅳ.販売実績
当連結会計年度の販売実績については、「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、重要となる会計方針については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
また、当社グループは、連結財務諸表の作成上、固定資産の減損会計、各種引当金の見積り計算、繰延税金資産の回収可能性の判断等に対し、現在入手可能な前提に基づく合理的な見積りを反映させておりますが、将来、これらの見積りと大きな差が生じる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5[経理の状況] 2[財務諸表等](1)[財務諸表][注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要は、以下の通りであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2024年1月21日~2025年1月20日)の我が国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、景気が緩やかに回復しています。しかしながら、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れが景気の下押しリスクとなっています。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動など、不安定な要素も多い状況が続きました。
国内飲料業界においては、原材料価格をはじめとしたコスト上昇に伴う価格改定により、消費者の節約志向は継続していますが、平均気温の上昇などが影響し、市場全体の販売数量は前年並みとなりました。一方、当社が主力とする自販機チャネルの販売数量は他チャネルとの価格差の影響などから、前年を下回りました。また、当社グループの海外主要市場であるトルコでは、2023年6月の政策金融会合以降、高インフレ抑制に向けた政策金利の段階的な引き上げが実施され、高い金利水準が維持されていますが、高インフレ、リラ安は継続しています。
このような市場環境の中、当社グループは2030年のありたい姿「グループミッション2030」に掲げた「世界中の人々の楽しく健やかな暮らしをクリエイトするDyDoグループへ」の実現に向け、5カ年(2023年1月期~2027年1月期)の「中期経営計画2026」を遂行しています。本中期経営計画では、「国内飲料事業の再成長」「海外飲料事業戦略の再構築」「非飲料領域の強化・育成」を3つの基本方針のもと、取り組みを進めています。
当連結会計年度の連結売上高は、主力の国内飲料事業において減収となりましたが、海外飲料事業において主力のトルコ飲料事業が好調に推移したことに加え、2024年2月に取得したポーランドの海外飲料事業子会社Wosana S.A.(以下、ヴォサナ社)が連結対象となったことから、2,371億89百万円(前連結会計年度比11.2%増)、連結営業利益は、海外飲料事業が躍進したことで、47億89百万円(前連結会計年度比28.3%増)となりました。連結経常利益は、正味貨幣持高に関する損失や為替差損などを営業外費用に計上したことなどから、30億23百万円(前連結会計年度比2.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益51億33百万円を特別利益に計上したものの、法人税等が増加したことなどから、38億4百万円(前連結会計年度比14.0%減)となりました。
〈連結経営成績〉
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | |||
| 実績 | 増減率(%) | 増減額 | ||
| 売上高 | 213,370 | 237,189 | 11.2 | 23,819 |
| 営業利益 | 3,732 | 4,789 | 28.3 | 1,056 |
| 経常利益 | 3,115 | 3,023 | △2.9 | △91 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 4,423 | 3,804 | △14.0 | △618 |
海外飲料事業の主要拠点であるトルコにおいて3年間の累積インフレ率が100%を超えたことを受け、トルコリラを機能通貨とするトルコの子会社について、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」(以下、超インフレ会計)に定められる要件に従い、会計上の調整をしています。
(ご参考)超インフレ会計に定められる要件による会計上の調整額
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | |||
| IAS第29号 調整前 | 調整額 | IAS第29号 調整前 | 調整額 | |
| 売上高 | 213,453 | △83 | 233,124 | 4,065 |
| 営業利益 | 5,065 | △1,332 | 5,723 | △933 |
| 経常利益 | 4,078 | △962 | 4,972 | △1,948 |
| 親会社株主に帰属する 当期純利益 | 4,130 | 292 | 5,421 | △1,616 |
なお、連結損益計算書の主要項目ごとの前連結会計年度との主な増減要因等は、次の通りであります。
ⅰ.売上高
当連結会計年度の売上高は、2,371億89百万円(前連結会計年度比11.2%増)となりました。
国内飲料事業については、2023年5月及び同年11月に実施した価格改定により販売単価の上昇があった一方で、販売数量へ一定の影響があり、減収となりました。また、海外飲料事業については、トルコにおいて高インフレが継続する中、戦略的な価格改定と機動的な販売促進活動の実施や、中東問題を受けた一部商品への特需の継続により、販売ボリューム・金額ともに前年を大きく上回ったほか、ポーランドのヴォサナ社が、当連結会計年度より連結対象に加わったことで、大幅増収となりました。医薬品関連事業については、パウチ製品の受注が引き続き好調であり、連結会計年度として過去最高の売上高となりました。食品事業については、2024年3月に実施した価格改定による効果のほか、営業活動の奏功により国内の販売は堅調に推移するも、主力輸出先である中国での景気減速の影響を受けて海外向け輸出が苦戦し、減収となりました。
ⅱ.営業利益
当連結会計年度の営業利益は47億89百万円(前連結会計年度比28.3%増)となりました。
国内飲料事業については、自販機チャネルにおける販売数量減による売上総利益の減少のほか、スマート・オペレーションの進化・展開に伴う費用や電子マネーの利用手数料、自販機稼働台数増加に伴う費用など、自販機ネットワーク強化に向けた費用が増加し、減益となりました。海外飲料事業については、トルコ子会社における増収効果やコスト削減による増益に加え、ヴォサナ社を連結対象に加えたことで、大幅な増益となりました。また医薬品関連事業については、原材料コストの上昇や関東工場における製造ラインの入れ替えに伴う撤去予定の設備にかかる減価償却費を当連結会計年度に一部計上したことで、減益となりました。食品事業については、価格改定や原価低減施策による売上総利益の増加、また、工場の生産性改善などが進んだことを背景に、連結会計年度として過去最高の営業利益となりました。
ⅲ.経常利益
当連結会計年度の経常利益は、30億23百万円(前連結会計年度比2.9%減)となりました。
営業外収益は、前連結会計年度と比較して5億18百万円減少し、13億76百万円となりました。また、営業外費用はトルコ飲料事業における通貨安の影響により為替差損8億17百万円を計上したほか、超インフレ会計の適用による影響として正味貨幣持高に関する損失8億59百万円を計上したことなどから、前連結会計年度と比較して6億30百万円増加し、31億41百万円となりました。
ⅳ.親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、38億4百万円(前連結会計年度比14.0%減)となりました。
特別利益は、政策保有株式の見直しに伴い一部銘柄の売却により投資有価証券売却益51億33百万円を計上したほか、固定資産売却益3億97百万円を計上し、前連結会計年度と比較して30億83百万円増加し、55億31百万円となりました。また、特別損失は、国内飲料事業における組織の活性化を目的とした「ライフシフト支援施策」の応募者への割増退職金4億80百万円を計上したほか、事業構造改善費用1億59百万円を計上したことから、6億39百万円となりました。また、法人税等調整額は、前連結会計年度においてトルコ現地の税務及び会計処理においてインフレ会計が適用された影響などにより繰延税金資産を計上していたことから、前連結会計年度と比較して30億12百万円増加し、9億81百万円となりました。
当連結会計年度の1株当たり当期純利益は、120.66円(前連結会計年度は140.77円)となりました。なお、当社は2024年1月21日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っており、1株当たり当期純利益については、前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算出しています。
〈セグメント別経営成績〉
(単位:百万円)
| 売上高 | ||||
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減率 (%) | 増減額 | |
| 国内飲料事業 | 153,623 | 147,519 | △4.0 | △6,104 |
| 海外飲料事業 | 26,444 | 56,263 | 112.8 | 29,819 |
| 医薬品関連事業 | 12,963 | 13,124 | 1.2 | 161 |
| 食品事業 | 20,705 | 20,651 | △0.3 | △53 |
| 希少疾病用医薬品事業 | - | 8 | - | 8 |
| 調整額 | △366 | △378 | - | △12 |
| 合計 | 213,370 | 237,189 | 11.2 | 23,819 |
(単位:百万円)
| セグメント利益又は損失(△) | ||||
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減率(%) | 増減額 | |
| 国内飲料事業 | 4,255 | 986 | △76.8 | △3,269 |
| 海外飲料事業 | 1,110 | 5,083 | 357.7 | 3,972 |
| 医薬品関連事業 | 367 | 277 | △24.5 | △90 |
| 食品事業 | 993 | 1,157 | 16.5 | 164 |
| 希少疾病用医薬品事業 | △796 | △621 | - | 174 |
| 調整額 | △2,197 | △2,093 | - | 104 |
| 合計 | 3,732 | 4,789 | 28.3 | 1,056 |
(注1)報告セグメントごとの売上高は、セグメント間の内部売上高を含んでいます。
(注2)報告セグメントごとの営業利益又は営業損失は、ロイヤリティ控除前の数値です。
(注3)海外飲料事業について、超インフレ会計に定められる要件に従い、会計上の調整をしております。この調整により、前連結会計年度において、売上高は83百万円減少、セグメント利益は13億32百万円減少、当連結会計年度において、売上高は40億65百万円増加、セグメント利益は9億33百万円減少しています。
ⅰ.国内飲料事業
国内飲料事業は、ダイドードリンコ株式会社とその傘下のグループ会社が担っています。自販機を主力販路とし、商品の製造や物流は外部に委託、自社の経営資源は商品の開発と自販機オペレーションに集中しています。自販機チャネルにおける2030年のありたい姿を「自販機市場において、絶え間ない挑戦と共創で新しい価値を提供し、トップランナーとして業界をリードし続けます」と定め、自販機市場における確固たる優位性の確立に取り組んでいます。
当連結会計年度の国内飲料市場は、業界各社が実施した価格改定による影響があったものの、平均気温の上昇などが影響し、販売数量は前年並みとなりましたが、当社が主力とする自販機チャネルは、他チャネルとの価格差が大きくなり、自販機市場としては前年を下回りました。
このような状況の中、当社グループの国内飲料事業においては、2023年5月及び同年11月の価格改定により販売単価が上昇したものの、販売数量は減少し、減収となりました。一方、自販機稼働台数は新規開拓営業の奏功と既存設置先の引上抑止によって計画以上に増加し、売上基盤を強化しました。流通チャネルにおいては、業界各社の販売促進活動が活発化する厳しい環境下でも、利益重視の方針のもと、選択と集中による投資効果の発揮と販促費の最適化により、前年を上回る利益を確保しました。
商品戦略としては、主力のコーヒーカテゴリーでは、多様化するお客様の嗜好や価値観にお応えし、ラインアップの強化を図りました。「絶品」シリーズにおいて、SOT缶の「ダイドーブレンド 絶品微糖」及び「ダイドーブレンド 絶品ブラック」について自販機推奨価格をそれぞれ20円値下げし、お客様のお手に取っていただきやすい商品の拡充に努めました。また、皆様に長年愛されている「デミタス」シリーズにおいて各商品のリニューアルを行うとともに、スペシャリティコーヒー豆※1を使用し嗜好性を極めた「ダイドーブレンドプレミアム デミタス甘さに頼らないラテ」を発売し、小容量でプレミアムな味わいを求めるお客様への価値提供も行いました。ソフトドリンクカテゴリ-では、強刺激と冷涼感が体感できる新感覚の炭酸飲料「FRISK SPARKLING(フリスク スパークリング)」の新発売や、肌弾力を維持する※2「肌美精企画監修※3」シリーズをリニューアル発売するなど、当社のブランドメッセージ「こころとからだに、おいしいものを。」を体現した商品ラインアップを拡充しました。
サプリメント通販チャネルは、上期に実施した戦略的な広告投資により、定期顧客に向けた年間累計出荷件数が増加したことで、サプリメント業界における消費者の買い控えによる影響をカバーし、増収となりました。利益面においては、上期に前年同期と比べ積極的に広告宣伝費を投下したことに加え、前述の業界全体の消費者の買い控えによる影響を受けて広告の顧客獲得効率が悪化したことも影響し、減益となりました。
セグメント利益は、自販機チャネルにおける販売数量減による売上総利益の減少に加え、スマート・オペレーションの進化・展開に伴う費用や電子マネーの利用手数料、自販機稼働台数増加に伴う費用など、自販機ネットワーク強化に向けた費用が増加し、減益となりました。
以上の結果、国内飲料事業の売上高は、1,475億19百万円(前連結会計年度比4.0%減)、セグメント利益は、9億86百万円(前連結会計年度比76.8%減)となりました。
※1 10%使用(コーヒー原料に占める割合)
※2 GABAの働きで、 肌の乾燥が気になる方の肌の弾力を維持し、肌の健康を守るのを助ける。
※3 肌美精は、クラシエ㈱の保有する商標且つブランド名です。女性の健康的な生活を応援する商品のコンセプト及びデザインを監修。
ⅱ.海外飲料事業
当社グループの海外飲料事業は、2030年のありたい姿を「世界中の人々の健康を支えるグローバルブランドを生み出します」と定めています。中核となるトルコ飲料事業は、炭酸飲料やミネラルウォーターを中心とした自社ブランドの清涼飲料の製造・販売を行っています。2024年2月に子会社化したポーランドのヴォサナ社では、果汁飲料やミネラルウォーターを中心とした自社ブランドの清涼飲料の製造・販売に加え、大手小売企業のプライベート・ブランドや他社飲料ブランドの受託製造を担っています。なお、ヴォサナ社は、当連結会計年度より連結対象となっています。
当連結会計年度におけるトルコ市場は、高インフレ抑制に向けた高金利政策が打ち出されているものの、高インフレ・リラ安が続いています。このような状況の中、トルコ飲料事業においては、戦略的な価格改定と販売促進活動を機動的に実施したほか、中東問題を受けた一部商品への特需を継続的な販売へと繋げるべく、営業活動や広告投資を実施したことなどにより、販売ボリュームと販売単価をともに伸ばし、大幅増収となりました。利益面においては、インフレやリラ安を背景とした原材料価格の高騰、人件費の上昇などの影響を受ける中で、増収効果やサプライチェーンマネジメント改革などによるコスト削減により、利益率を大きく改善しました。
ポーランド飲料事業では、受託製造品の受注が好調に推移しました。また、オレンジ果汁などの原価上昇による影響を商品ミックスの改善などにより吸収し、一定の利益を確保しました。
中国飲料事業では、無糖茶カテゴリーへの競合他社の参入など事業環境が厳しくなる中でも、現地生産品の「おいしい麦茶」をはじめとした無糖茶の都市部の小売店への導入に注力し、中国飲料市場の無糖茶カテゴリーにて一定のポジションを確立しました。
以上の結果、海外飲料事業の売上高は、562億63百万円(前連結会計年度比112.8%増)、セグメント利益は、50億83百万円(前連結会計年度比357.7%増)となりました。
ⅲ.医薬品関連事業
医薬品関連事業を担う大同薬品工業株式会社では、医薬品・指定医薬部外品をはじめとする数多くの健康・美容等のドリンク剤・パウチ製品等の受託製造に特化したビジネスを展開し、2030年のありたい姿を「健康・美容分野での製造受託企業No.1になります」と定めています。お客様ニーズにあった製品の開発と、奈良工場・関東工場の2拠点4工場を展開する充実した生産体制と高い品質管理体制を強みとして、医薬品メーカーから化粧品メーカーまでの幅広い顧客基盤を有しています。
当連結会計年度のドリンク剤市場は縮小した一方、パウチ製品市場は引き続き旺盛な需要が続いています。
このような状況の中、当社グループの医薬品関連事業においては、ドリンク剤の受注は減少したものの、パウチ容器入りの指定医薬部外品の受注の増加によって、当連結会計年度の売上高は、連結会計年度として過去最高となりました。
セグメント利益は、原材料コストの上昇や関東工場における製造ラインの入れ替えに伴う撤去予定の設備にかかる減価償却費を当連結会計年度に一部計上したことで、減益となりました。
以上の結果、医薬品関連事業の売上高は、131億24百万円(前連結会計年度比1.2%増)、セグメント利益は、2億77百万円(前連結会計年度比24.5%減)となりました。
ⅳ.食品事業
食品事業を担う株式会社たらみは、様々な食感を自在に実現する「おいしいゼリー」を作る技術力とブランド力を大きな強みとして、ドライゼリー市場においてトップシェアを誇るほか、蒟蒻パウチゼリー市場においても一定のシェアを獲得しています。2030年のありたい姿を「フルーツとゼリーを通して、『おいしさ』と『健康』を追求し、すべての人を幸せにします」と定め、「たらみらしい、おいしい、楽しい」 商品をあらゆる販売チャネルで購入できる機会の創造に取り組んでいます。
当連結会計年度のドライゼリー市場は、販売単価の上昇や好天による需要拡大により伸長し、パウチゼリー市場においても、好天や新たな需要の喚起により、市場の拡大が続いています。
このような状況の中、当社グループの食品事業は、2024年3月に価格改定を実施したことによる販売単価の上昇や営業活動の奏功により国内の販売は堅調に推移するも、主力輸出先である中国での景気減速の影響を受けて海外向け輸出が苦戦し、減収となりました。
セグメント利益は、価格改定や原価低減施策による売上総利益の増加、また、工場の生産性改善などが進んだことを背景に、連結会計年度として過去最高となりました。
以上の結果、食品事業の売上高は、206億51百万円(前連結会計年度比0.3%減)、セグメント利益は、11億57百万円(前連結会計年度比16.5%増)となりました。
ⅴ.希少疾病用医薬品事業
希少疾病用医薬品事業を担うダイドーファーマ株式会社(以下、ダイドーファーマ)は、当社グループの新規事業領域拡大への取り組みとして、2019年に設立されました。2030年のありたい姿を「治療選択肢のない希少疾病に苦しむ患者様へ治療薬を提供します」と定め、希少疾病を対象とした新たな治療薬の日本国内での製造販売承認を取得して患者様への提供をめざしています。
2024年9月に、ダイドーファーマの新薬第1号となる、ランバート・イートン筋無力症候群治療剤「ファダプス®錠10mg」の製造販売承認を取得し、2025年1月に日本国内で販売を開始しました。また、現在開発中のDYD-701の開発推進、ならびに新たな治療薬候補となる優良なパイプラインの獲得に向けて活動を続けていきます。
以上の結果、希少疾病用医薬品事業の売上高は、8百万円(前連結会計年度は販売開始前のため売上計上なし)、セグメント損失は、6億21百万円(前連結会計年度は7億96百万円のセグメント損失)となりました。
なお、当社グループは、飲料・食品の製造販売を主たる業務としており、四半期単位での経営成績には、季節的変動があります。
(単位:百万円)
| 連結売上高 | 第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 第4四半期 | 計 |
| 2024年1月期 | 47,102 | 54,643 | 63,531 | 48,092 | 213,370 |
| 通期に占める割合(%) | 22.1 | 25.6 | 29.8 | 22.5 | 100.0 |
| 2025年1月期 | 53,164 | 64,413 | 62,594 | 57,017 | 237,189 |
| 通期に占める割合(%) | 22.4 | 27.2 | 26.4 | 24.0 | 100.0 |
| 連結営業損益 | 第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 第4四半期 | 計 |
| 2024年1月期 | △539 | 3,066 | 3,264 | △2,059 | 3,732 |
| 通期に占める割合(%) | - | 82.1 | 87.5 | - | 100.0 |
| 2025年1月期 | △611 | 2,930 | 4,096 | △1,626 | 4,789 |
| 通期に占める割合(%) | - | 61.2 | 85.5 | - | 100.0 |
〈ROIC実績※1〉
| 国内飲料事業※2 | 海外飲料事業 | 非飲料事業※3 | 連結 | |
| 2024年1月期(実績) | 5.8% | 7.5% | 4.1% | 3.5% |
| 2025年1月期(実績) | 0.4% | 13.7% | 4.1% | 3.5% |
(ご参考)グループミッション2030で掲げるROIC目標値※1
| 国内飲料事業※2 | 海外飲料事業 | 非飲料事業※3 | 連結 | |
| 成長ステージ (2023年1月期~2027年1月期) | 4% | 13% | 0% | 4% |
| 飛躍ステージ (2028年1月期~2030年1月期) | 17% | 5% | 17% | 8%以上 |
※1 超インフレ会計適用前、投下資本はセグメントへの投下分
※2 サプリメント通販事業を除く
※3 国内飲料事業のうちサプリメント通販事業、医薬品関連事業、食品事業、希少疾病用医薬品事業
「グループミッション2030」のKPIの一つとしてROICを設定し、現在遂行中の「中期経営計画2026」に該当する「成長ステージ」と最終ステージである「飛躍ステージ」の最終年度の目標値について、グループ連結目標とともに、「国内飲料事業」「海外飲料事業」「非飲料事業」でそれぞれ目標を設定しています。各セグメントにおいて、それぞれの事業特性に合わせた、利益率改善、資産回転率向上に向けたKPIを設定し、従業員それぞれが資本効率を意識した取り組みを進めることで、当社グループ全体の「稼ぐ力」を高めていきます。
〈財政状態〉
(単位:百万円)
| 前連結会計年度末 | 当連結会計年度末 | 増減額 | ||
| 流動資産 | 89,093 | 92,044 | 2,951 | |
| 固定資産 | 88,470 | 93,202 | 4,732 | |
| 資産合計 | 177,563 | 185,247 | 7,683 | |
| 流動負債 | 48,785 | 63,547 | 14,762 | |
| 固定負債 | 37,297 | 28,192 | △9,105 | |
| 負債合計 | 86,082 | 91,739 | 5,657 | |
| 純資産合計 | 91,480 | 93,507 | 2,026 | |
当連結会計年度末の総資産は、ヴォサナ社を新たに連結対象としたことを主因に、前連結会計年度末と比較して76億83百万円増加し、1,852億47百万円となりました。
当社グループの連結財政状態の前連結会計年度末と比較した主な増減要因等は、次の通りです。
ⅰ.ネット・キャッシュ
当連結会計年度末の金融資産(現金及び預金、有価証券、投資有価証券(関係会社株式を除く)、長期性預金)は、前連結会計年度末と比較して103億19百万円減少し、519億5百万円となりました。また、当連結会計年度末の有利子負債(短期/長期借入金、短期/長期リース負債・債務、社債、長期預り保証金)は、前連結会計年度末と比較して、14億92百万円増加し、367億16百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度末のネット・キャッシュ(金融資産-有利子負債)は、前連結会計年度末と比較して118億12百万円減少し、151億88百万円となりました。
ⅱ.運転資本
当連結会計年度末の売上債権は、前連結会計年度末と比較して41億95百万円増加し、263億86百万円となりました。また、当連結会計年度末の棚卸資産は、前連結会計年度末と比較して15億79百万円増加し、158億68百万円となりました。一方、当連結会計年度末の仕入債務は、前連結会計年度末と比較して12億32百万円増加し、251億70百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の運転資本(売上債権+棚卸資産-仕入債務)は、前連結会計年度末と比較して45億42百万円増加し、170億84百万円となりました。
ⅲ.固定資産
当連結会計年度末の有形固定資産は、ヴォサナ社の連結影響に加え、ヴォサナ社における製造ラインの増設などに伴う建設仮勘定の増加などから、前連結会計年度末と比較して84億38百万円増加し、599億50百万円となりました。無形固定資産は、ヴォサナ社の株式を100%取得したことに伴い、のれんが増加したことなどから、前連結会計年度末と比較して34億8百万円増加し、118億66百万円となりました。また、投資その他の資産は、政策保有株式の一部売却などにより前連結会計年度末と比較して71億14百万円減少し、213億85百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末と比較して47億32百万円増加し、932億2百万円となりました。
ⅳ.流動負債・固定負債
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末と比較して147億62百万円増加し、635億47百万円となりました。また、当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末と比較して91億5百万円減少し、281億92百万円となりました。これらの主な増減要因は、第2回無担保社債100億円について償還日まで1年を切ったことから、計上先を社債から1年内償還予定の社債に振り替えたことによるものです。
ⅴ.純資産
当連結会計年度末の株主資本は、前連結会計年度末と比較して31億50百万円増加し933億9百万円となりました。
当連結会計年度末のその他有価証券評価差額金は、政策保有株式の一部売却と時価変動により、前連結会計年度末と比較して42億22百万円減少し、15億64百万円となりました。また、当連結会計年度末の為替換算調整勘定は、主にトルコリラの為替変動により、前連結会計年度末と比較して33億83百万円増加し、△40億12百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比較して20億26百万円増加し、935億7百万円となりました。
〈キャッシュ・フローの状況〉
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 9,211 | 10,824 | 1,612 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △1,240 | △11,595 | △10,354 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △3,212 | △1,708 | 1,504 |
| 現金及び現金同等物に係る換算差額 | △952 | △899 | 53 |
| 超インフレの調整額 | 751 | △693 | △1,444 |
| 現金及び現金同等物の増減額 (△は減少) | 4,557 | △4,071 | △8,628 |
| 現金及び現金同等物の期首残高 | 29,156 | 33,713 | 4,557 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 33,713 | 29,642 | △4,071 |
当社グループのキャッシュ・フローの源泉である自販機ビジネスを取り巻く市場環境は、コロナ禍を契機として大きく変化しており、上位寡占化の傾向がより強いものとなっています。このような状況の中、当社グループは、収益性の高い新たな自販機設置先の開拓を進めるとともに、スマート・オペレーションの進化と展開先の拡大に取り組むことで、国内飲料事業の再成長によるキャッシュ・フロー創出力向上を図っていきます。
②生産、受注及び販売の実績
ⅰ.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメント別に示すと次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2024年1月21日 至 2025年1月20日) | 前年同期比(%) |
| 海外飲料事業(百万円) | 40,833 | 225.1 |
| 医薬品関連事業(百万円) | 12,972 | 101.1 |
| 食品事業(百万円) | 20,500 | 100.6 |
| 合計(百万円) | 74,306 | 144.7 |
(注)金額は販売価格によっております。
ⅱ.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメント別に示すと次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2024年1月21日 至 2025年1月20日) | 前年同期比(%) |
| 国内飲料事業(百万円) | 64,619 | 89.2 |
| 海外飲料事業(百万円) | 3,704 | 165.5 |
| 合計(百万円) | 68,324 | 91.5 |
ⅲ.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2024年1月21日 至 2025年1月20日) | |||
| 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) | |
| 海外飲料事業 | 17,523 | 275.5 | 84 | 153.2 |
| 医薬品関連事業 | 11,933 | 90.5 | 2,729 | 78.9 |
| 合計 | 29,456 | 150.7 | 2,814 | 80.1 |
ⅳ.販売実績
当連結会計年度の販売実績については、「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、重要となる会計方針については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
また、当社グループは、連結財務諸表の作成上、固定資産の減損会計、各種引当金の見積り計算、繰延税金資産の回収可能性の判断等に対し、現在入手可能な前提に基づく合理的な見積りを反映させておりますが、将来、これらの見積りと大きな差が生じる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5[経理の状況] 2[財務諸表等](1)[財務諸表][注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。