訂正有価証券報告書-第206期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/07/05 11:57
【資料】
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【項目】
123項目

対処すべき課題

当社グループは、中期経営計画に基づく事業ポートフォリオ改革が当連結会計年度で概ね完了したため、今後は成長戦略施策に軸足を移し、業績の拡大を目指す。具体的には、一昨年の金融支援及び外部出資による自己資本増強で得た資金を有効活用し、成長事業である高分子事業を中心とした設備投資を更に推し進め、成長市場であるアジア地域での製品供給能力の増強を図るとともに、高付加価値品の開発を加速することで国内外での事業の拡大を目指す。
個々の事業戦略及び課題については次のとおりである。
高分子事業では、フィルム事業は、包装分野において、非食品包装分野への展開、「エンブレムHG」の拡販を進め、工業分野において、「ユニアミド」など高付加価値品の拡販を図る。また、インドネシア子会社のP.T.EMBLEM ASIAで昨年春に本格稼働したナイロンフィルム大型新鋭機の更なる生産能力増強により、ナイロンフィルムのグローバルトップシェアの地位を確固たるものにし、更に東南アジア市場でのシェア拡大や欧米市場での拡販を目指す。樹脂事業では、「アローベース」は、既存の環境分野に加え電気・電子機器分野などでも用途開拓を進める。昨年度に年産500トンの中量産設備を稼働した「ゼコット」は、電気・電子機器用途を中心とした用途開拓、拡販を更に進める。不織布事業では、タイ子会社のTHAI UNITIKA SPUNBOND CO.,LTD.でのポリエステルスパンボンドの生産設備増設を、平成29年3月末稼働を目標に引き続き進めると同時に、グローバルシェアの拡大に向けてマーケティングの強化を更に進める。コットンスパンレースについては、スキンケア用品などの生活資材用途の販売や海外展開を引き続き強化する。
機能材事業では、ガラス繊維事業の産業資材分野は、引き続き建築土木用途での拡販を進めるとともに、環境や自動車、電気・電子機器用途での拡販を強化する。電子材料分野のICクロスは、超薄物タイプなど高付加価値品の開発を更に進め、情報端末機器用途等で差別化品のシェアを高めることにより収益の拡大を目指す。ガラスビーズ事業は、自動車や電子部品等での用途展開と拡販を進めるとともに、反射材用途では更なる収益性の改善に注力する。活性炭繊維は、浄水用途、工業用途での液相分野、一般脱臭用途での気相分野ともに、中国・台湾などのアジア地域を中心に海外展開を進める。
繊維事業では、産業繊維事業は、複合繊維など差別化した高採算製品の投入により収益を拡大するとともに、調達・生産・販売及び管理の全ての段階においてコスト削減施策を継続し、採算改善を進める。衣料繊維事業は、中国、ベトナム及びインドネシアの海外拠点をベースにグローバル展開を加速し、国内では、製品の機能強化を図るとともに高付加価値品の拡販を目指す。
研究開発については、経営資源を有効活用して、当社グループが保有する高分子設計・改質技術、独自のナノテクノロジーなどを更に強化し、高機能樹脂、高耐熱フィルム、高機能繊維など成長を牽引する開発を加速する。
また、当社及びユニチカトレーディング株式会社は、防衛装備庁が発注する難燃ビニロン又はビニロンを材料として使用する繊維製品の競争入札に関して、独占禁止法違反の疑いがあるとして、平成28年3月1日に公正取引委員会による立入検査を受けた。当社としては、この度の事態を厳粛かつ真摯に受け止め、調査に全面的に協力している。
今回の中期経営計画を達成し、景気変動の影響を受けにくい筋肉質の高収益企業を目指し持続的に成長する企業、すなわち「新生ユニチカ」を実現するために、全社一丸となって不退転の覚悟で取り組む。