有価証券報告書-第105期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/30 15:02
【資料】
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【項目】
127項目

対処すべき課題

平成27年5月に公表しました、平成29年度を最終事業年度とする第2次中期事業計画の経営目標達成に向け、グループ一体となった取組みを進めています。
現在推進中の重点取組み事項は以下のとおりです。
(グループ共通施策)
(1) コンプライアンス体制及びコーポレートガバナンス体制の強化
リスク管理及びコンプライアンスの強化・維持方策については、「コンプライアンス委員会」において、リスク対応策の一元的管理、並びにリスクの重要性に応じた対応策について、審議及び意思決定を行っています。
コーポレートガバナンス体制の強化については、平成27年6月より適用が開始された企業統治指針「コーポレートガバナンス・コード」の趣旨を踏まえた上で、より一層のコーポレートガバナンスの充実に取り組むことで、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上が実現できるものと認識しています。
当社のコーポレートガバナンスに関する基本的な考え方を明らかにするため、平成27年10月27日に「コーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定し、公表しました。また、同年11月11日には株式会社東京証券取引所に「コーポレートガバナンス報告書」を提出しており、本ガイドラインに沿った取組みの実践を通じて、健全で持続的な企業の発展を目指しています。
(2) 組織統合・業務改革による事業の強化と収益改善
当社は経営基盤の再構築を進めていく上で、管理スパンの拡大、スタッフ部門の統廃合等の組織見直し、業務改革を進めることにより業務効率を高めています。また、平成25年4月1日付で段ボール会社・販売会社等の子会社27社を8社に、平成26年4月1日付で印刷会社の子会社4社を1社に集約し、平成27年4月1日付で段ボール会社4社を1社に統合しました。
今後も組織見直しによる効率化を継続し、さらにグループの間接部門業務の生産性向上に向け、業務の標準化・集約化・BPO化を通じて、コスト低減だけでなく、人材の育成、業務品質の向上、内部統制の強化を推進していきます。
(3) 財務体質の改善
収益の拡大を図ることに加え、保有資産の効率的な運用や棚卸資産・売上債権の圧縮、キャッシュ・マネジメント・システムの一層の機能充実による資金効率化等により、引き続き有利子負債の削減並びに自己資本比率の向上に努めていきます。
(事業別施策)
(1) 洋紙事業の構造転換と徹底したコスト低減
多様なパルプを生産し、複数の品種を生産できる抄紙機の特性を活かして、塗工紙から非塗工紙・包装用紙へのシフト、平判販売比率アップ等市場動向に対応した生産・販売品種へのシフト等の収益構造の転換を進めてきました。さらに、平成25年度にスタートさせた当社独自の収益改善手法による全員参加での収益改善活動を一層強化し、洋紙事業の環境変化に対応しながら、継続した製造原価低減を進めていきます。
(2) 板紙・段ボール事業の強化
板紙事業では、平成26年10月のいわき大王製紙株式会社の新マシン稼動により三島工場と併せた東西両拠点からの主要全品種の安定供給体制を確立しました。今後、さらなる品質向上と製造原価低減に取り組みます。段ボール事業では、大王パッケージ株式会社を1社13工場体制としたことで、運営一体化を進めています。平成27年度は品質向上・原価低減・売上拡大を目的とした製函機と印刷機の増設・更新を5工場で実施しました。今後も各工場に戦略的設備投資を順次実行し、生産・販売体制を強化していきます。
(3) ホーム&パーソナルケア事業の収益拡大
① 国内
ホーム&パーソナルケア紙製品事業は、当社がトップシェアを有する分野です。可児工場における生産設備の増強や、ファーストブランドであるエリエールティシューのリニューアル商品の拡販、高付加価値商品への販売シフトが順調に進み、収益力向上に繋がっています。加工品事業は、平成27年秋に新発売したウェット新商品を中心に新商品・リニューアル商品の販売が好調です。また、エリエールプロダクト株式会社の新工場(福島県いわき市)を中心に、さらなる生産設備の増強を進めていきます。
② 海外
紙おむつの市場拡大が続く中国の「大王(南通)生活用品有限公司」では、ベビー用紙おむつのプレミアムゾーンの生産ラインを増強し、順調に販売を伸長させています。また、内需拡大が著しいインドネシアでは、平成27年12月に「PT.エリエールインターナショナルマニュファクチャリングインドネシア」にてベビー用紙おむつの生産を開始し、「エリエールインターナショナルタイランドCo.,LTD」の輸入製品からの切り替えを進めています。また、インドネシアの工場は、イスラム法で合法であること、清潔・安全・高品質であることを意味する「ハラル認証」を紙おむつ市場で初めて取得し、現地ニーズにあった商品展開を推進できるようになりました。
ベビー用紙おむつは、高価格帯のプレミアムゾーンに加え、タイで販売を開始している中・低価格帯のエコノミーゾーンの商品を、ロシア・台湾・韓国に販売エリアを広げ、より幅広いゾーン別の展開を進めていきます。フェミニンケア用品や大人用紙おむつ等、ベビー用紙おむつ以外のカテゴリーの商品の販売も強化し、日本国内で当社がこれまで行ってきたように、紙製品・紙加工品の複合展開に取り組んでいきます。
さらに、ベトナム・マレーシア・台湾には出張所・駐在所を開設し、中国・タイ・台湾・ロシア等の各国においては販売体制を整備・強化したことにより、配荷店舗を拡大して売れる仕組みを作り上げ、販売拡大のスピードを上げていきます。