有価証券報告書-第113期(令和2年12月1日-令和3年11月30日)

【提出】
2022/02/25 11:07
【資料】
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【項目】
128項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
販売では4月、神戸新聞、デイリースポーツの購読料を改定しました。原材料費や輸送費、販売店人件費などのアップが背景にありまして、神戸新聞の税別本体価格の改定は27年ぶりでした。地元紙ならではの地域情報をアピールするとともに、電子版NEXTに読者無料コースを設けるなどサービスも強化し、部数への影響は想定より緩やかな推移で乗り切りました。
収入のもう一つの柱である広告も、断続的な緊急事態宣言発布で経済活動が低迷し、厳しい状況が続きましたが、新型コロナウイルス克服に向けたシンポジウム特集など、メディアならではのメッセージ性を込めた企画特集で増収を図りました。一方、デイリースポーツと神戸新聞のデジタル4媒体は、巣ごもり効果もあり、ページビューは堅調で、広告単価低迷の課題もありましたが、全体の収入を下支えしました。
当面のこうした対応とともに、アフター・コロナを見据えた事業再構築にも注力しました。柱に掲げたDXでは、課金型のサブスクコンテンツを研究するとともに、ユーザーとの接点を強化するため、音声サービスやウェブマガジンをスタートさせ、オンライン特番では選挙、高校野球などを取り上げました。
コロナ禍で進んだ文科省の「GIGAスクール構想」への対応にも力を入れました。児童生徒にパソコンやタブレットが配置されたのを受け、小中学生向けの電子新聞「まなびープラス」をスタートさせ、昨年春以降の購読申し込みは4万6千人を超えました。新聞製作アプリ「ことまど」への引き合いも全国から増えておりまして、新聞メディアの将来につながる事業として取り組んでまいります。
一方、2021年は選挙イヤーでした。兵庫では、20年ぶりに新知事を選ぶ選挙があり、県政史上初の自民分裂選挙をスクープするなど、報道をリードしました。公開討論会をネット配信するなど、新たな選挙報道にも踏み出しました。投開票が同日実施となった衆院選と神戸市長選でも、地元紙ならではの情報発信やデジタルを活用した当確速報に取り組みました。東京五輪・パラリンピックでは、柔道金メダルの阿部兄妹をはじめ地元選手の活躍を手厚く報じました。
新規事業では、昨年春オープンした神戸三宮阪急ビルで、神戸市が開設したビジネス交流拠点「アンカー神戸」の運営に携わっています。企業や大学などに会員になってもらい、イベントや課題解決プログラムを通じてイノベーションを目指すスペースとして、さらに充実させてまいります。地域の農家や酒蔵と手を組み、自然エネルギーと有機肥料で酒米の山田錦を生産し、日本酒をつくるプロジェクトにも取り組み、この事業は、日本新聞協会の経営部門の表彰、新聞経営賞を受けました。
デイリースポーツは前半、阪神タイガースの健闘で販売も堅調に推移し、五輪・パラリンピックにも注力しました。デジタルのデイリースポーツ・オンラインは好調なページビューの一方で、広告単価が低迷し、収入は伸び悩みましたが、バーティカル・メディアとして創刊した「よろず~ニュース」が順調なスタートを切りました。
技術・印刷部門では、西神製作センターの輪転機統廃合に向けた体制を準備する一方、インターネット接続のサーバーやウイルス対策ソフトなどの更新を行いました。
売上高は39,490,568千円(前年同期比0.4%減)となり、利益については営業利益が2,258,028千円(同27.5%増)、経常利益が2,338,466千円(同29.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,454,779千円(同1,009.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(新聞・雑誌・書籍等の発行印刷・販売業)
新聞・雑誌・書籍等の発行印刷・販売業におきましては、売上高は31,175,354千円(前年同期比2.2%減)となりました。また、営業利益は794,431千円(同43.6%増)となりました。
(放送業)
放送業におきましては、売上高は5,440,068千円(前年同期比11.5%増)となりました。また、営業利益は516,696千円(同146.8%増)となりました。
(貸室業)
貸室業におきましては、売上高は2,719,277千円(前年同期比0.2%増)となりました。また、営業利益は960,479千円(同5.5%減)となりました。
(その他の事業)
その他の事業におきましては、売上高は155,867千円(前年同期比9.8%減)となりました。また、営業損失は15,269千円(同72.4%増)となりました。
資産は、前連結会計年度末に比べ4,607,256千円増加し、61,756,683千円となりました。負債は、前連結会計年度末に比べ2,872,289千円増加し、37,395,301千円となりました。純資産は、前連結会計年度末に比べ1,734,966千円増加し、24,361,381千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結キャッシュ・フローは、営業活動で3,852,563千円の増加となりました。これに対して、投資活動で5,716,645千円の減少、財務活動で3,237,470千円の増加になったことにより、当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下、資金という)は10,821,045千円(前年同期は9,447,657千円)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は3,852,563千円(前年同期は3,354,789千円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益及び減価償却費によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は5,716,645千円(前年同期は3,523,607千円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は3,237,470千円(前年同期は866,011千円の使用)となりました。これは主に長期借入れによる収入によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、受注生産形態をとらないものが多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)
新聞・雑誌・書籍等の
発行印刷・販売業
31,361,211△2.1
放送業5,701,83710.7
貸室業2,728,5950.1
その他の事業409,744△1.1
合計40,201,388△0.3

(注) 1 金額は売上高によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 主要な販売先に、総販売実績の100分の10を超える相手先はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度末の資産は、61,756,683千円(前年同期比8.1%増)となりました。これは主に建物及び構築物が増加したためであります。
当連結会計年度末の負債は、37,395,301千円(同8.3%増)となりました。これは主に長期借入金が増加したためであります。
当連結会計年度末の純資産は、24,361,381千円(同7.7%増)となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益1,454,779千円を計上したためであります。
当連結会計年度の売上高は、販売収入などの減少で前連結会計年度に比べ162,196千円減収の39,490,568千円(前年同期比0.4%減)となりました。売上原価は材料費などの減少により前連結会計年度と比べ498,905千円減少の28,872,979千円(同1.7%減)となりました。また販売費及び一般管理費は退職給付費用などの減少により前連結会計年度に比べ149,684千円減少の8,359,559千円(同1.8%減)となりました。これらにより経常利益は、前連結会計年度に比べ538,549千円増益の2,338,466千円(同29.9%増)となりました。
特別利益は固定資産売却益により3,817千円を計上、特別損失は固定資産除却損などにより80,936千円を計上しました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ1,323,680千円増益の1,454,779千円(同1,009.7%増)となりました。
経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資等の調達につきましては、金融機関からの長期借入及びリース取引を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、24,389,014千円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、10,821,045千円となっております。
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。