有価証券報告書-第166期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/26 11:00
【資料】
PDFをみる
【項目】
135項目
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っている。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりである。
① 財政状態及び経営成績の状況
2018年度の日本経済は、輸出の好調を背景として企業収益が高水準を維持し、雇用・所得も良好に推移してきたが、中国経済の減速をはじめとした世界経済の不透明さから、国内景気に減速懸念が漂っている。新聞業界では発行部数の減少、販売・広告収入の減少に歯止めがかからず、新聞を取り巻く環境は厳しい。
19年1月に創刊140周年を迎えた当社は、引き続き「社会に必要とされるジャーナリズムの担い手であり続けること」を企業価値の根幹に据え、充実した紙面を展開した。とりわけ日本新聞協会賞においては、「財務省による公文書の改ざんをめぐる一連のスクープ」が編集部門賞、「編集部門向けデジタル指標分析ツール『Hotaru』の開発」が技術部門賞、「SDGsプロジェクト」が新聞広告賞と三冠を達成した。ほかにも、日本記者クラブ賞、ボーン・上田記念国際記者賞など各賞の受賞が続いた。
こうしたなか、当連結会計年度の売上高は375,020百万円と前年同期と比べ14,468百万円(△3.7%)の減収となった。一方で新聞の発行部数の減少に伴う用紙代などの売上原価と、定年延長実施に伴う退職給付費用の減少など販売費及び一般管理費の減少幅が大きかったため、営業利益は8,910百万円と同1,035百万円(13.2%)の増益となった。経常利益も持分法による投資利益が前年同期に比べて減ったものの、16,034百万円と同111百万円(0.7%)の増益を確保した。親会社株主に帰属する当期純利益は、生産設備縮小に伴う早期割増退職金の特別損失などがあり、10,977百万円と同1,043百万円(△8.7%)の減益となった。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
メディア環境が激変し、世界的に「紙からデジタルへ」の流れが加速するなか、当社はデジタル事業の成長戦略を最優先課題に位置づけ、新たに設けた「デジタル政策統括」のもと、18年11月に全社横断の「デジタル政策タスクフォース」を発足させるなどの施策を開始した。引き続き経営リソースを優先的にデジタル分野に投入していく。18年3月に開始したバーティカルメディア・プラットフォーム事業では、「sippo」「好書好日」「GLOBE+」など7サイトをリリースした。引き続き、広告収入やEC(電子商取引)など収益機会の多様化をめざした。紙とデジタルの真の融合を推進する「統合編集局」に向けては、様々な取り組みを進めた。朝日新聞デジタルに配信したコンテンツがどう読まれているかがリアルタイムでわかる分析ツール「Hotaru」は、記者、編集者の意識改革とワークフローの見直しにつながっている。
コンテンツもさらに充実させた。将棋名人戦で当日の動きを一覧できる「タイムライン」を展開し、100万ページビュー(PV)を超えた。サッカーW杯ロシア大会では、展開した特集ページが前回大会の2倍を超えるPVを記録した。18年7月の西日本豪雨では被災者に向けた支援通信を連日配信。新潟・沖縄の知事選では開票日にライブ解説を実施した。同年11月にはカルロス・ゴーン前日産自動車会長逮捕の特報を、紙面に先駆けてデジタル配信し、各国メディアが転電して一斉に報じるなど、世界的スクープとなった。
18年度のデジタル事業収入は引き続き好調で、3年連続の二桁成長となった。中期経営計画で掲げた20年度の売上目標も上回り、2年前倒しで達成した。朝日新聞デジタルは総会員数342万人、有料会員は29万人と着実に増加しており、課金、広告、外部配信のいずれも増収となった。
新聞編集部門では権力監視の役割を追求し、存在感を示した。財務省による森友学園の公文書改ざんをめぐる一連のスクープは「民主主義の土台を根底から揺るがす行為を明るみに出し、歴史に残る優れた調査報道」などと高く評価された。
教育関連では、「2020年大学入試改革」への対応として「教育ドメイン戦略」に着手した。19年3月にWebメディア「朝日新聞EduA」を立ち上げ、同年5月から紙媒体も発行した。 第100回全国高校野球選手権記念大会では、地方大会、本大会とも総局・本社が連携して「甲子園ベストゲーム47」など様々なコンテンツを発信し、注目を集めた。企画事業部門では、創刊140周年記念事業の一環として「プーシキン美術館展」「名作誕生-つながる日本美術」「藤田嗣治展」「ムンク展」を相次いで開催し、いずれも高い評価を得た。
朝日新聞の年間平均部数は朝刊576万4千部、夕刊178万7千部(前期比で朝刊34万4千部減、夕刊10万6千部減)と苦戦を強いられている。読者との関係を強化し、ASAの活力を引き出すために、「創刊140周年記念 未来にギフトキャンペーン」と、春先の進学・就職などライフステージが変化するタイミングで本紙の価値を訴求する「新生活・新聞力キャンペーン」の2つの販促施策を実施した。
グループ企業は、17年3月に改定したグループ戦略に基づき、朝日新聞グループの企業価値を高めるため、法改正対応や管理職研修を合同で実施し、グループ企業役員との連携強化に取り組んでいる。
電波関係では、当社が出資する放送系企業との連携を強化し、メディア事業を発展させることを目的に、18年6月に「放送メディア企画室」を新設した。中堅記者3人を戦略的パートナーシップを結ぶ㈱テレビ朝日報道局に出向させており、19年度以降も継続する。
㈱朝日新聞出版は創立以来11期連続で黒字を達成した。週刊朝日、アエラなど定期雑誌は逓減傾向だが、増刊・ムックやデジタル収入で収支改善を図り、ニュースサイト「AERA dot.」は年間10億PVを記録した。また、「頭に来てもアホとは戦うな!」が70万部に達するなど書籍が牽引役となった。
この結果、当セグメントの売上高は334,320百万円と前年同期と比べ18,635百万円(△5.3%)の減収、営業利益は1,948百万円と同2,041百万円(△51.2%)の減益だった。
[不動産事業]
「中之島フェスティバルタワー・ウエスト」「X-PRESS有楽町」「東京銀座朝日ビルディング」など17年中に竣工・開業したビルは、当年度を通じてテナント充足率90%台を維持し、順調に推移した。18年5月に北海道支社が移転した「さっぽろ創世スクエア」に賃貸用3フロアを取得し、支社転出後の「札幌ANビル」とともに、㈱朝日ビルディングがリーシングにあたっている。
不動産系グループ企業の役割を再定義し、業務の高度化と効率化、収益増及び保有物件の価値最大化に取り組んでいる。その一環として、当社と㈱朝日ビルディング、朝日建物管理㈱と㈱朝日新聞リアルエステートの企業再編の準備を進め、また中之島フェスティバルタワー・ウエストの他社持分の取得を決定した(いずれも19年4月1日実施)。
この結果、当セグメントの売上高は37,083百万円と前年同期と比べ4,191百万円(12.7%)の増収、営業利益は6,827百万円と同3,006百万円(78.7%)の増益となった。
[その他の事業]
その他の事業では、㈱朝日カルチャーセンターが法人との提携や協賛を中心とした事業収入が好調で、人材ビジネスの朝日新聞総合サービス㈱は、保険事業を拡大した。
この結果、当セグメントの売上高は3,616百万円と前年同期と比べ24百万円(△0.7%)の減収となったが、営業利益は120百万円と同3.7倍となった。
当連結会計年度における総資産は、614,114百万円で前年同期と比べ6,508百万円(1.1%)増加した。主な要因は、時価評価によって投資有価証券が205,265百万円と同4,804百万円(2.4%)増加したことなどによる。負債合計は231,745百万円で、同2,308百万円(△1.0%)減少した。主な要因は支払手形及び買掛金が27,769百万円と同2,742百万円(△9.0%)減少したことなどによる。また、純資産合計は382,368百万円で、同8,817百万円(2.4%)増加した。主な要因は、利益剰余金合計が330,498百万円と同10,601百万円(3.3%)増加したことなどである。その結果、当連結会計年度末の自己資本比率は60.6%となり、同0.7ポイント増加した。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は75,716百万円と前年同期に比べ5,025百万円(7.1%)増加した。
営業活動による資金の増加は、16,373百万円と、増加幅は同11,651百万円(△41.6%)減少した。これは主に税金等調整前当期純利益の減少に加え、未払消費税が増減したことなどによるもの。
投資活動による資金の減少は、10,617百万円で、減少幅は同18,314百万円(△63.3%)減少した。これは主に設備投資の一巡で、有形固定資産の取得による支出が減少したことなどによるもの。
財務活動による資金の減少は、1,324百万円で、減少幅は同773百万円(△36.9%)減少した。これは主に子会社の短期借入金の返済による支出が減少したことなどによるもの。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
主力商品部数(千部)前年同期比(%)発行回数(回)
朝日新聞朝刊5,764△5.6353
朝日新聞夕刊1,787△5.6292
週刊朝日118△8.749

(注) 部数は発行回数1回当たりの部数である。朝日新聞名古屋本社版夕刊のみ発行回数は244回である。
[不動産事業]
不動産事業は受注生産形態をとらないため、生産規模及び受注規模を金額、あるいは数量で示すことはしていない。
[その他の事業]
その他の事業は文化事業、電波事業とその他事業であり、広範囲かつ多種多様であるため、生産規模及び受注規模を金額、あるいは数量で示すことはしていない。
b. 受注実績
[メディア・コンテンツ事業]
新聞については、主に新聞販売店を経由した読者からの受注部数と、即売スタンドでの販売見込部数を生産・販売している。出版物については、主に書店または即売スタンドでの販売見込部数を生産している。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
メディア・コンテンツ事業334,320△5.3
不動産事業37,08312.7
その他の事業3,616△0.7
合計375,020△3.7

(注) 1. セグメント間取引については相殺消去している。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれていない。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、「財政状態及び経営成績の状況」で触れたとおり、減収で営業利益、経常利益段階で増益となった。今後も当社グループの根幹である健全なジャーナリズム活動を維持していくために必要な財政状態を確保できるよう、事業環境の急激な変化にも柔軟に対応できる施策を実施していく。中期経営計画に基づく、より実現性の高い計画を策定し、経営基盤をさらに強化し、再成長への道筋を確かなものにする成長事業の創出を目指す。
一方で、「会社の対処すべき課題」「事業等のリスク」に記載したように、新聞を取り巻く厳しい市場環境は、経営成績に重要な影響を与える要因であり、課題として認識している。
資本の財源については、独立しかつ安定した経営基盤のもとで企業活動を継続していくことを基本としており、主として営業活動からのキャッシュ・フローを源泉にしている。
また、資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、主要金融機関と提携しており、現在必要とされる資金水準を十分満たす流動性を保持していると考えている。
主なセグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
主力事業である朝日新聞を中心としたメディア・コンテンツ事業は、新聞販売部数の減少に加え、読者層の高齢化や広告媒体の多様化などにより、新聞広告市場や折込広告市場の縮小が続き、売上高の減少傾向が続く。「ともに考え、ともにつくる~みなさまの豊かな暮らしに役立つ総合メディア企業へ」の企業理念のもと、引き続き紙面の充実に努め、顧客満足度の向上と新たな顧客開発に取り組む。また、朝日新聞デジタル、バーティカルメディア・プラットホーム事業など、デジタル事業の成長戦略を最優先課題に位置づけ、経営リソースの投入を図る。メディアラボによる新たな事業の創出、ベンチャーキャピタル等による投資も積極的に進めていく。
[不動産事業]
大阪市北区のツインタワー「中之島フェスティバルシティ」及び東京都中央区の「東京銀座朝日ビルディング」など、グループを挙げて進めた開発プロジェクトが成功裏に終了し、経営目標を達成した。収益の柱として不動産事業の重要性はますます高まっており、さらなる収益増、保有物件の価値最大化に向けて、不動産系グループ企業の役割を見直し、さらなる業務の高度化、効率化を推進していく。

IRBANK 採用情報

フルスタックエンジニア

  • 10年以上蓄積したファイナンスデータとAIを掛け合わせて、投資の意思決定を加速させるポジションです。
  • UI からデータベースまで一貫して関われるポジションです。

プロダクトMLエンジニア

  • MLとLLMを掛け合わせ、分析から予測までをスピーディかつ正確な投資体験に落とし込むポジションです。

AI Agent エンジニア

  • 開示資料・決算・企業データを横断し、投資家の意思決定を支援するAI Agent機能を設計・実装するポジションです。
  • RAG・検索・ランキングを含む情報取得/推論パイプラインの設計から運用まで一気通貫で担います。

UI/UXデザイナー

  • IRBANK初の一人目デザイナーとして、複雑な金融情報を美しく直感的に届ける体験をつくるポジションです。

Webメディアディレクター

  • 月間500万PVを超える、大規模DBサイトを運営できます。
  • これから勢いよく伸びるであろうサービスの根幹部分を支えるポジションです。

クラウドインフラ & セキュリティエンジニア

  • Google Cloud 上でマイクロサービス基盤の信頼性・可用性・セキュリティを担うポジションです。
  • 大規模金融データを安全かつ高速に処理するインフラを設計・構築できます。

学生インターン

  • 月間500万PVを超える日本最大級のIRデータプラットフォームの運営に携わり、金融・データ・プロダクトの現場を学生のうちから体験できます。

マーケティングマネージャー

  • IRBANKのブランドと文化の構築。
  • 百万人の現IRBANKユーザーとまだIRBANKを知らない数千万人に対してマーケティングをしてみたい方。